(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のプレス装置について図面を参照しながら以下に説明する。
<1.構成>
(1−1.プレス装置の概要)
図1は、本発明にかかる実施の形態のプレス装置1の構成を示す模式図である。
本実施の形態のプレス装置1は、メインブレーカ9と、プレス装置本体90と、を備える。メインブレーカ9は、工場電源100からプレス装置本体90への電力の供給または停止を行う。メインブレーカ9を接続することによって、プレス装置1の電源が入り、メインブレーカ9を遮断することによってプレス装置1の電源が切れる。
【0010】
プレス装置本体90は、上金型7と下金型8を用いて材料にプレス加工を行う。プレス装置本体90は、スライド2と、ボルスタ3と、スライド駆動部4と、サーボ電源部5と、蓄電システム部6と、メインブレーカ9と、コントローラ10と、放電部11と、コンタクタ13と、主に有する。
スライド2の下面には、上金型7が取りつけられる。ボルスタ3の上面には、下金型8が載置される。スライド駆動部4は、スライド2を昇降移動させる。サーボ電源部5は、工場電源100から供給された交流を直流に変換して蓄電システム部6に出力する。蓄電システム部6は、工場電源100から供給される電力若しくはスライド駆動部4において生じる回生電力を蓄電する。コントローラ10は、スライド駆動部4、サーボ電源部5、および蓄電システム部6の制御を行う。放電部11は、キャパシタユニット60に蓄えられた電荷を強制的に放電するために設けられている。コンタクタ13は、放電部11と蓄電システム部6の蓄電盤42との間の電気的接続のオン・オフを行う。
【0011】
(1−2.スライド駆動部)
スライド駆動部4は、サーボモータ21と、サーボアンプ22と、ピニオンギヤ23と、メインギヤ24と、クランクシャフト25と、コンロッド26とを有する。サーボモータ21は、スライド2の駆動源である。サーボアンプ22は、サーボモータ21に駆動電流を供給する。ピニオンギヤ23は、サーボモータ21と連結されており、サーボモータ21の回転によって回転する。メインギヤ24は、ピニオンギヤ23と噛み合っており、ピニオンギヤ23の回転に伴って回転する。クランクシャフト25は、メインギヤ24と連結されており、メインギヤ24の回転によって回転する。コンロッド26は、クランクシャフト25とスライド2を連結する。本実施の形態では、コンロッド26は2つ設けられている。
【0012】
サーボアンプ22からの駆動電流によってサーボモータ21が回転すると、ピニオンギヤ23が回転し、ピニオンギヤ23の回転と共にメインギヤ24も回転する。メインギヤ24の回転によりクランクシャフト25が回転し、コンロッド26が上下動する。これによってコンロッド26が接続されているスライド2が昇降移動する。
(1−3.サーボ電源部)
サーボ電源部5は、高調波フィルタモジュール31と、リアクトル32と、PWMコンバータ33とを有する。高調波フィルタモジュール31は、PWMコンバータ33において発生する高調波が工場電源100側に戻ることを防ぐ。
【0013】
リアクトル32とPWMコンバータ33はチョッパー回路を構成し、交流を直流に変換し昇圧する。工場電源100からは所定電圧の交流が供給されており、PWMコンバータ33からは所定電圧よりも高い電圧の直流が出力される。PWMコンバータ33とサーボアンプ22は、DCバスライン14によって接続されている。また、PWMコンバータ33は、DCバスライン14における電圧を監視する。
【0014】
(1−4.蓄電システム部)
蓄電システム部6は、複数の電気二重層キャパシタ601(後述する
図2参照)が設けられた蓄電盤42と、動作前に電気二重層キャパシタ601を充電する初期充電回路41と、初期充電回路41をバイパスするための短絡コンタクタ43と、電気二重層キャパシタ601からサーボモータ21への電流の供給を遮断するコンタクタ44と、を主に有する。
【0015】
(1−4−1.初期充電回路)
初期充電回路41は、DCバスライン14上に設けられており、蓄電盤42に設けられた複数の電気二重層キャパシタ601(後述する)を充電するための回路である。すなわち、プレス装置1を動作する前には、蓄電盤42の電気二重層キャパシタ601は充電されていないため、工場電源100から供給される電力を充電する。初期充電回路41は、DC/DCコンバータ51と、リアクトル52とを有している。初期充電回路41は、充電の際に電気二重層キャパシタ601に急激に電流が流れ込まないように電流を絞る。
【0016】
(1−4−2.短絡コンタクタ)
短絡コンタクタ43は、初期充電回路41をバイパスするようにDCバスライン14に接続されたバイパスライン15上に設けられている。すなわち、バイパスライン15は、初期充電回路41のPWMコンバータ33側においてDCバスライン14と接続され、初期充電回路41のサーボアンプ22側においてDCバスライン14と接続されている。短絡コンタクタ43をオン状態にすることにより、PWMコンバータ33から出力された電流は、初期充電回路41をバイパスしてサーボアンプ22へと供給される。
【0017】
(1−4−3.蓄電盤)
蓄電盤42は、24個の電気二重層キャパシタ601(
図2参照)が設けられた4つのキャパシタユニット60と、を有する。
図2は、蓄電盤42に設けられたキャパシタユニット60を示す図である。本実施の形態では、キャパシタユニット60は、2枚のヒートシンク602と、24個の直列接続された電気二重層キャパシタ601と、を有する。
【0018】
2枚のヒートシンク602は上下に配置されている。キャパシタユニット60では、一枚のヒートシンク602と、ヒートシンク602上に載置された12個の電気二重層キャパシタ601が、2段設けられている。2枚のヒートシンク602および24個の電気二重層キャパシタ601は、枠部材等によって固定されている。ヒートシンク602は、アルミによって形成された板形状の部材であり、ヒートシンク602には、冷却水が流通する流路が形成されている。ヒートシンク602の流路には、チラー12から冷却水が供給される。冷却水は、チラー12によって循環する。
【0019】
本実施の形態のプレス装置1では、
図1に示すように、キャパシタユニット60は4つ設けられており、4つのキャパシタユニット60は、工場電源100からサーボモータ21に電力を供給するライン(具体的にはDCバスライン14)に対して並列接続されている。詳細には、DCバスライン14のバイパスライン15の接続部とサーボアンプ22との間に、4つのキャパシタユニット60が繋がっている。また、本明細書において電気二重層キャパシタ601の電圧との記載は、キャパシタユニット60(24個直列に接続された電気二重層キャパシタ601)の電圧を示す。
【0020】
4つのキャパシタユニット60は、接続ライン16によってDCバスライン14に接続されている。接続ライン16は、DCバスライン14に接続されている共通ライン161と、各々のキャパシタユニット60と共通ライン161を接続する個別ライン162とを有する。
(1−4−4.コンタクタ)
コンタクタ44は、共通ライン161に設けられており、ノーマルオープンタイプである。コンタクタ44は、可動接点441と、励磁コイル442と、固定接点443とを有する。可動接点441は、共通ライン161に繋がった固定接点443に接触または離間可能に設けられている。
【0021】
励磁コイル442に通電する通電ライン17は、第2制御電源部81に接続されている。第2制御電源部81は、メインブレーカ9とサーボ電源部5の間を接続する第1電源ライン18と、通電ライン82で接続されている。第2制御電源部81には、工場電源100からメインブレーカ9を介して、電力が供給され、第2制御電源部81において直流が作成される。第2制御電源部81は、コントローラ10からの指令に従って直流電力を励磁コイル442に供給する。
【0022】
励磁コイル442に通電されていない状態(非通電状態)では、可動接点441は固定接点443から離間しており、共通ライン161は遮断されている。これにより、4つのキャパシタユニット60とDCバスライン14の間の電気的な接続が遮断されている。
励磁コイル442に通電された状態(通電状態)では、可動接点441は固定接点443に接触し、共通ライン161は接続されている。これにより、4つのキャパシタユニット60とDCバスライン14の間は電気的に接続されている。
【0023】
メインブレーカ9を接続してプレス装置1を使用している間は、コントローラ10からの指令に基づいて第2制御電源部81から励磁コイル442に通電されているため、4つのキャパシタユニット60とDCバスライン14の間は電気的に接続されており、キャパシタユニット60とDCバスライン14の間で電力の授受が行われる。
一方、プレス装置1の使用が終了すると、コントローラ10からの指令に基づいて第2制御電源部81は励磁コイル442への通電を停止する。励磁コイル442は非通電状態となり、4つのキャパシタユニット60とDCバスライン14の間は電気的に遮断される。このため、プレス装置1を使用した際にキャパシタユニット60に充電された電荷が、接続ライン16およびDCバスライン14を介してサーボアンプ22等に設けられた抵抗から放電されることを防ぐことができる。
【0024】
また、メインブレーカ9を遮断した状態では、工場電源100から第2制御電源部81への電力の供給が停止しているため、コントローラ10からの指令にかかわらず第2制御電源部81から励磁コイル442への通電も停止されている。そのため、4つのキャパシタユニット60とDCバスライン14の間は電気的に遮断されている。
(1−5.放電部、コンタクタ)
放電部11は、抵抗を有しており、キャパシタユニット60に蓄えられた電荷を強制的に放電するために設けられている。放電部11は、放電ライン19によって共通ライン161と接続されている。
【0025】
コンタクタ13は、放電ライン19に設けられており、ノーマルクローズタイプである。コンタクタ13は、可動接点131と、励磁コイル132と、固定接点133とを有する。可動接点131は、放電ライン19に繋げられた固定接点133に接触および離間可能に設けられている。
励磁コイル132に通電する通電ライン20は、第1制御電源部83に接続されている。第1制御電源部83は、工場電源100とメインブレーカ9を接続する第2電源ライン101と、通電ライン84で接続されている。第1制御電源部83には、工場電源100からメインブレーカ9を介さずに直接電力が供給されている。第1制御電源部83において直流が作成され、第1制御電源部83から直流の電力が励磁コイル132に供給される。
【0026】
励磁コイル132に通電されている状態(通電状態)では、可動接点131は固定接点133から離間しており、放電ライン19は遮断されている。これにより、4つのキャパシタユニット60と放電部11の間の電気的な接続は遮断されている。
励磁コイル132に通電されていない状態(非通電状態)では、可動接点131は固定接点133に接触している。これにより、4つのキャパシタユニット60と放電部11の間は電気的に接続されている。このため、4つのキャパシタユニット60に蓄えられた電荷は放電部11を介して放電される。
【0027】
メインブレーカ9を接続してプレス装置1を使用している場合、第1制御電源部83に工場電源100から交流電力が供給されており、第1制御電源部83から励磁コイル132に直流電力が供給されている。このため、励磁コイル132は通電状態であり、キャパシタユニット60と放電部11の間の電気的な接続は遮断されている。また、プレス装置1の使用が終了してメインブレーカ9を遮断した場合であっても、第2電源ライン101から電力が供給されているため、メインブレーカ9の遮断にかかわらず第1制御電源部83に交流電力が供給され、第1制御電源部83から励磁コイル132に直流電力が供給される。これにより、励磁コイル132は通電状態となっている。そのため、メインブレーカ9を遮断してプレス装置本体90への電力の供給が停止された場合(プレス装置1の電源が切られた場合)でも、キャパシタユニット60と放電部11の間の電気的な接続は遮断されているので、キャパシタユニット60に蓄えられた電荷は放電部11を介して放電されない。
【0028】
このため、プレス装置1を使用した際にキャパシタユニット60に充電された電荷が、プレス装置1の電源を切ったときに放電部11を介して放電されることを防ぐことができる。
なお、プレス装置1に不具合が発生し修理や点検等を行う場合には、例えばキャパシタユニット60に蓄えられた電荷を放電させる必要があるが、例えば工場電源100をオフにすることによって励磁コイル132への電力の供給を停止し放電させることができる。
【0029】
(1−6.コントローラ)
コントローラ10は、サーボ電源部5のPWMコンバータ33によって電気二重層キャパシタ601の電圧が所定電圧に達すると、短絡コンタクタ43をオン状態にしてバイパスライン15を接続状態にする。コントローラ10は、設定されたモーションに従ってサーボアンプ22に信号を出力してスライド2の昇降動作を制御する。また、コントローラ10は、第2制御電源部81に指令を送信し、第2制御電源部81から励磁コイル442への電力の供給および遮断を制御する。
【0030】
<2.動作>
次に、本発明にかかる実施の形態のプレス装置1の動作について説明する。
図3は、プレス装置1の動作を示すフロー図である。
はじめに、
図3のステップS1において、メインブレーカ9が接続される。
次に、ステップS2において、コントローラ10からプレス運転準備信号が出力されているか否かが検出される。プレス運転準備信号は、プレス装置1を運転する際にユーザによってボタンが押されて出力される信号であり、プレス装置1を正常に動作させる準備が出来たことを示す信号である。一方、ステップS2においてプレス運転準備信号が出力されていない場合には、制御はステップS17へと進み、ステップS17においてメインブレーカ9が遮断されているか否かが判断される。そして、メインブレーカ9が遮断されていない場合には、制御はステップS2に戻る。このように、ステップS2では、メインブレーカ9を遮断してプレス装置1の電源を切るまでプレス運転準備信号が出力されるか判断される。
【0031】
次に、ステップS3において、コントローラ10から第2制御電源部81に指令が送信され、第2制御電源部81は、工場電源100からの交流電力を用いて作成した直流電力をコンタクタ44の励磁コイル442に供給する。これによって、可動接点441が固定接点443に接触し、キャパシタユニット60とDCバスライン14の間が電気的に接続される。
【0032】
なお、第1制御電源部83には、第2電源ライン101および通電ライン84を介して電力が供給されており、第1制御電源部83は、供給される交流電力に基づいて直流電力を作成し、作成した直流電力をコンタクタ13の励磁コイル132に供給している。このため、励磁コイル132は通電状態となっており、キャパシタユニット60と放電部11の間の電気的な接続は遮断されている。
【0033】
次に、ステップS4において、電気二重層キャパシタ601に充電が行われる。短絡コンタクタ43はオフされている状態のため、バイパスライン15には電流が流れず、PWMコンバータ33から出力された電力は初期充電回路41へ流れる。初期充電回路41のDC/DCコンバータ51によって電流制御が行われながら、DCバスライン14に接続されている電気二重層キャパシタ601に電荷が蓄積される。DC/DCコンバータ51が、DCバスライン14の電圧を監視しており、ステップS5において、電気二重層キャパシタ601の電圧が所定電圧に昇圧されるまで充電が行われる。なお、DC/DCコンバータ51は、入力側電圧と出力側電圧が一致すると充電が完了したと判断し、動作を停止する。
【0034】
ステップS5においてDC/DCコンバータ51によって電気二重層キャパシタ601の電圧が所定電圧まで昇圧されたことが検出されると、ステップS6において、コントローラ10は、短絡コンタクタ43を接続する。これによって、PWMコンバータ33からの出力は、初期充電回路41をバイパスしてサーボアンプ22へと供給され、ステップS11において電気二重層キャパシタ601からの充放電が開始される。
【0035】
ステップS6において短絡コンタクタ43が接続されると、ステップS7において、コントローラ10は、サーボモータ21を通電する。
次に、ステップS8において、設定されたモーションに従いサーボモータ21が動作してスライド2を上下動作させる。なお、スライド2の下方への移動の際、サーボモータ21は所定速度に達するまで加速し、その後一定速度で駆動する。サーボモータ21の駆動によるクランクシャフト25の回転に伴って、スライド2は下死点に達してから上昇する。そして、上死点でスライド2を停止させるために所定位置からサーボモータ21が減速される。
【0036】
そして、ステップS9において、サーボモータ21の停止信号が出力されている場合には、ステップS10において、サーボモータ21は停止する。これによって、スライド2が上死点で停止する。
プレス加工の際の消費電力の変化について
図4を用いて説明する。
図4は、プレス加工の際の電力の変化を示す図である。
図4には、点線L1と実線L2が示されている。点線L1は、プレス成形時におけるプレス装置1の消費電力の時間変化を示す。実線L2は、工場電源100から供給された電力の時間変化を示す。
【0037】
図4における時刻t1からスライド2の下方への移動が開始され、時刻t1〜t2において、サーボモータ21が所定速度に達するまで加速されており、サーボモータ21によって電力が消費される。サーボモータ21によって電力が消費され、DCバスライン14の電圧が低下すると、サーボ電源部5からは予め設定された一定電力が供給される。実線L2に示すように、サーボ電源部5からは一定電力しか供給されないため、不足分が電気二重層キャパシタ601から供給される。すなわち、点線L1のうち実線L2よりも超えた分が電気二重層キャパシタ601から供給される。
【0038】
そして、時刻t2においてサーボモータ21の速度が所定速度に達すると、時刻t2からサーボモータ21は、一定速度で駆動する。時刻t2から、上金型7が材料(ワーク)に接触する時刻t3までサーボモータ21にかかる負荷が少ないため、点線L1に示す消費電力が少なくなっている。このとき、実線L2のうち点線L1よりも超えた分の電力が電気二重層キャパシタ601に充電される。
【0039】
次に、時刻t3から更にスライド2が下降しワークに対して時刻t4までプレス加工が行われる。このときに消費電力がピークとなるが、上述したようにサーボ電源部5からは予め設定された一定電力が供給され不足分の電力は電気二重層キャパシタ601から供給される。
そして、スライド2が所定位置に達すると、コントローラ10は、スライド2を上死点で停止するためにサーボモータ21を減速させる。
図4における、時刻t5がサーボモータ21の減速開始時刻を示し、時刻t6が減速終了を示す。
図4に示すように、時刻t5からt6では、出力がマイナス側になっており、サーボモータ21において回生電力が発生している。この回生電力は、電気二重層キャパシタ601に充電される。
【0040】
一方、上記ステップS7〜ステップS10のプレス加工の間に、並行してステップS11~ステップS15の制御が行われている。上述したように、ステップS6における短絡コンタクタ43の接続によって、ステップS11において電気二重層キャパシタ601による充放電が開始される。
そして、次のステップS12では、PWMコンバータ33が、DCバスライン14の電圧が所定電圧以上になるか否かを判定している。そして、DCバスライン14の電圧が所定電圧以上になった場合、制御はステップS13へと進み、電力は、PWMコンバータ33の電源回生機能により工場電源100に回生される。DCバスライン14の電圧は電気二重層キャパシタ601の電圧と等しいため、PWMコンバータ33は、電気二重層キャパシタ601の電圧を検出していることになる。すなわち、電気二重層キャパシタ601の充電量が所定量以上になると、サーボモータ21で発生した回生電力は工場電源100へと回生される。また、ステップS12において、DCバスライン14の電圧が、所定電圧よりも小さい場合には、ステップS14において電気二重層キャパシタ601が充電される。
【0041】
次に、ステップS15において、コントローラ10からプレス運転準備信号が出力されているか否かが検出される。プレス運転準備信号が検出されている間は、ステップS11〜ステップS14が繰り返される。
なお、初めに電気二重層キャパシタ601に充電を行った後は、サーボモータ21の減速時の回生電力等によって電気二重層キャパシタ601に充電が行われる。このため、工場電源100から充電を行わなくてもよい。
【0042】
以上のように、充電可能な電気二重層キャパシタ601を備えることによって、不足分は電気二重層キャパシタ601から供給されるため、
図4に示すように工場電源100から供給される電力を一定に出来できる。
一方、ステップS15において、コントローラ10からプレス運転準備信号が出力されていないことが検出されると、制御はステップS16へ進む。
【0043】
次に、ステップS16において、コントローラ10が第2制御電源部81に指令を送信し、第2制御電源部81は電力の励磁コイル442への供給を停止する。これにより、可動接点441が固定接点443から離間し、キャパシタユニット60とDCバスライン14の間が電気的に遮断される。
次に、ステップS17において、メインブレーカ9が遮断されると、プレス装置1の電源が切られる。なお、ステップS17において、メインブレーカ9が遮断されていない場合には、制御はステップS2へと進み、上述したようにステップS2においてプレス運転準備信号が出力されているか確認される。そして、プレス運転準備信号が出力されていない場合には、制御はステップS17へと戻る。このように、プレス運転準備信号が出力されるかメインブレーカ9が遮断されるまでステップS2、S17が繰り返される。
【0044】
このように、キャパシタユニット60は、DCバスライン14との接続が遮断されているため、回生電力によって充電された電荷がサーボアンプ22等に設けられた抵抗から放電されることを防ぐことができる。
一方、第2電源ライン101および通電ライン84から第1制御電源部83に電力が供給され、第1制御電源部83からコンタクタ13に通電ライン20を介して電力が供給されているため、メインブレーカ9の遮断にかかわらず励磁コイル132は通電状態となっている。そのため、メインブレーカ9を遮断してプレス装置本体90への電力の供給が停止された場合(プレス装置1の電源が切られた場合)でも、キャパシタユニット60と放電部11の間の電気的な接続は遮断されている。
【0045】
このように、キャパシタユニット60は、放電部11との接続が遮断されているため、回生電力によって充電された電荷が放電部11から放電されることを防ぐことができる。
以上より、プレス装置1の電源が切られた状態において電気二重層キャパシタ601からの放電が出来るだけ防止される。そのため、次にプレス装置1の電源を入れてプレス成形を行う場合、ステップS4においてキャパシタ充電を行うときに充電量が少なくて済み、省エネルギー化を図ることができる。
【0046】
<3.特徴等>
(3−1)
本実施の形態のプレス装置1は、プレス装置本体90と、メインブレーカ9とを備える。プレス装置本体90は、スライド2と、ボルスタ3と、サーボモータ21と、蓄電盤42(蓄電部の一例)と、放電部11と、コンタクタ13(第1コンタクタの一例)と、を有する。スライド2は、上金型7が装着可能である。ボルスタ3は、スライド2の下方に配置され下金型8が載置可能である。サーボモータ21は、スライド2を駆動する。蓄電盤42は、蓄電した電力をサーボモータ21に供給可能である。放電部11は、蓄電盤42に蓄えられた電荷を放電させる。コンタクタ13は、通電状態において蓄電盤42と放電部11の間の電気的な接続を遮断し、非通電状態において蓄電盤42と放電部11の間を電気的に接続する。メインブレーカ9は、工場電源100(外部電源の一例)からプレス装置本体90への電力の供給または停止を行う。コンタクタ13には、工場電源100からメインブレーカ9を介さずに通電用の電力が供給される。
【0047】
これにより、メインブレーカ9を遮断してプレス装置1の電源が切られた場合であっても、工場電源100からの電力は第1制御電源部83において交流から直流に変換されてコンタクタ13に供給され続けるので、コンタクタ13は通電状態が維持される。そのため、蓄電盤42と放電部11の間の電気的な接続が遮断されており、蓄電盤42に蓄電された電荷が放電部11を介して放電されない。
【0048】
従って、次回にプレス装置1を立ち上げた際に蓄電盤42に蓄えられた電力を利用できるため、省エネルギー化を図ることができる。
(3−2)
本実施の形態のプレス装置1では、プレス装置本体90は、DCバスライン14と、コンタクタ44(第2コンタクタの一例)とを更に有する。DCバスライン14は、工場電源100(外部電源の一例)からの電力をサーボモータ21に供給し、蓄電盤42(蓄電部の一例)と電気的に接続されている。コンタクタ44は、通電状態において蓄電盤42とDCバスライン14の間を電気的に接続し、非通電状態において蓄電盤42とDCバスライン14の間の電気的な接続を遮断する。コンタクタ44には、工場電源100からメインブレーカ9を介して通電用の電力が供給される。
【0049】
これにより、コンタクタ44が非通電状態となると、蓄電盤42とDCバスライン14の間の電気的な接続が遮断され、DCバスライン14に繋がっている抵抗等からの放電を防止することができる。なお、コンタクタ44への電力の供給の制御は、コントローラ10からの指令に基づいて第2制御電源部81によって行われる。また、メインブレーカ9を遮断してプレス装置1の電源が切られた状態では、通電用の電力は第2制御電源部81に供給されないため、コントローラ10からの指令にかかわらずコンタクタ44に通電用の電力が供給されず、コンタクタ44は非通電状態となる。
【0050】
(3−3)
本実施の形態のプレス装置1では、蓄電盤42(蓄電部の一例)は、複数の電気二重層キャパシタ601を有する。
このように、電気二重層キャパシタ601を有する蓄電盤42を用いることにより、蓄電盤42に蓄えられるエネルギーが高くなる。そのため、プレス装置1の電源を切った際の放電を防止することにより、次回のプレス装置1の立ち上げ時に利用できる電力が大きくなり、省エネルギー化をより図ることができる。
【0051】
(3−4)
本実施の形態のプレス装置1では、コンタクタ13(第1コンタクタの一例)は、可動接点131(第1可動接点の一例)と、励磁コイル132(第1コイルの一例)とを有する。可動接点131は、蓄電盤42(蓄電部の一例)と放電部11を接続する放電ライン19(第1ラインの一例)を遮断または接続する。
【0052】
励磁コイル132は、通電状態において放電ライン19を遮断し、非通電状態において放電ライン19を接続するように可動接点131を移動する。励磁コイル132は、工場電源100とメインブレーカ9を接続する第2電源ライン101(第2ラインの一例)から通電用の電力が供給される。
これにより、メインブレーカ9を遮断してプレス装置1の電源を切った場合であっても、励磁コイル132に通電を行い、蓄電盤42と放電部11の電気的な接続の遮断を維持することができる。
【0053】
(3−5)
本実施の形態のプレス装置1では、コンタクタ44(第2コンタクタの一例)は、可動接点441(第2可動接点の一例)と、励磁コイル442(第2コイルの一例)と、を有する。可動接点441は、DCバスライン14と蓄電盤42(蓄電部の一例)を接続する接続ライン16(第3ラインの一例)を遮断または接続する。励磁コイル442は、通電状態において接続ライン16を接続し、非通電状態において接続ライン16を遮断するように可動接点441を移動する。励磁コイル442は、メインブレーカ9からサーボモータ21へ電力を供給する第1電源ライン18(第4ラインの一例)から通電力の電力が供給される。
【0054】
これにより、メインブレーカ9を遮断してプレス装置1の電源を切られた状態では、励磁コイル442への通電が停止されているため、コントローラ10からの指令にかかわらず蓄電盤42とDCバスライン14の電気的な接続は遮断されている。
<4.他の実施の形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0055】
(A)
上記実施の形態では、メインブレーカ9を遮断したときに蓄電盤42とDCバスライン14との接続を遮断するコンタクタ44が設けられているが、コンタクタ44が設けられていなくてもよい。メインブレーカ9を遮断したときに蓄電盤42と放電部11との接続を遮断するコンタクタ13が少なくとも設けられていれば従来よりも放電する量を減少させることができる。
【0056】
(B)
上記実施の形態では、コンタクタ44の励磁コイル442に供給される電力は、第1電源ライン18から供給されているが、これに限られるものではない。励磁コイル442には、工場電源100からメインブレーカ9を介して電力が供給されていればよく、メインブレーカ9の遮断とともに励磁コイル442への電力の供給が停止されればよい。
【0057】
(C)
上記実施の形態では、第1制御電源部83および第2制御電源部81は、直流電力を作成し、励磁コイル132、442に供給しているが、交流電力を供給してもよい。
(D)
上記実施の形態では、24個の電気二重層キャパシタ601が直列接続されたキャパシタユニット60が4つ設けられ、4つのキャパシタユニット60が並列に接続されているが、これらの数および接続構成に限定されるものではない。
【0058】
(E)
上記実施の形態では、蓄電を行うために電気二重層キャパシタ601が用いられているが、電気二重層キャパシタに限らず、アルミ電解コンデンサ等が用いられてもよく、要するに電荷を蓄電可能な構成であればよい。