(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レーザ加工機において、レーザ光を集光させて被加工物に照射するための集光レンズを、レーザ加工により前記被加工物から飛んでくる汚れから保護するための保護ガラスの汚れを検知する保護ガラス汚れ検知システムであって、
前記保護ガラスに付着した汚れによって生じる散乱光を検出するための散乱光検出器と、
前記散乱光検出器よりの検出値から前記保護ガラスの汚れの種類、時期、程度を検知して、前記保護ガラスの交換や清掃の必要を判定する汚れ検知回路と、を有することを特徴とする保護ガラス汚れ検知システム。
前記保護ガラス汚れ検知システムが、さらに、前記汚れ検知回路よりの判定結果に基づいて、前記保護ガラスの交換や清掃の必要を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載の保護ガラス汚れ検知システム。
前記汚れ検知回路が、前記散乱光検出器よりの検出値を微分した変化量を求め、その変化量および前記検出値から前記保護ガラスの汚れの種類、時期、程度を検知することを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の保護ガラス汚れ検知システム。
前記汚れ検知回路が、前記散乱光検出器よりの検出値を時間データと共に保存するメモリと、前記メモリよりの検出値および時間データに基づいて、前記検出値の微分値からなる変化量を計算する演算部と、前記演算部よりの検出値変化量に基づいて、汚れ付着無しの正常状態かスパッタ付着状態か金属ヒューム付着状態かを判定する汚れ判定部と、前記汚れ判定部よりの判定結果および前記メモリよりの検出値に基づいて、前記保護ガラスの交換か前記保護ガラスの清掃か前記保護ガラスの継続使用かを判定する保護ガラスの交換判定部と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保護ガラス汚れ検知システム。
前記汚れ判定部は、前記演算部よりの検出値変化量を所定の判定閾値と比較し、前記検出値変化量が前記判定閾値より大きい場合、スパッタ付着状態と判定し、前記検出値変化量が前記判定閾値より小さい場合、金属ヒューム付着状態と判定することを特徴とする請求項4に記載の保護ガラス汚れ検知システム。
前記保護ガラスが、前記集光レンズと前記被加工物との間に設けられ、前記散乱光検出器が、前記保護ガラスの端面からの散乱光を受光することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保護ガラス汚れ検知システム。
レーザ加工機において、レーザ光を集光させて被加工物に照射するための集光レンズを、レーザ加工により前記被加工物から飛んでくる汚れから保護するための保護ガラスの汚れを検知する保護ガラス汚れ検知方法であって、
(a)散乱光検出器により、前記保護ガラスに付着した汚れによって生じる散乱光を検出する工程と、
(b)前記散乱光検出器よりの検出値から前記保護ガラスの汚れの種類、時期、程度を検知する工程と、
(c)前記保護ガラスの汚れの種類、時期、程度から前記保護ガラスの交換や清掃の必要を判定する工程と、を有することを特徴とする保護ガラス汚れ検知方法。
前記保護ガラス汚れ検知方法が、さらに、(d)前記保護ガラスの交換や清掃の必要の判定結果に基づいて、前記保護ガラスの交換や清掃の必要を表示する工程を有することを特徴とする請求項7に記載の保護ガラス汚れ検知方法。
前記工程(b)が、前記散乱光検出器よりの検出値を微分した変化量を求め、その変化量および前記検出値から前記保護ガラスの汚れの種類、時期、程度を検知することを特徴とする請求項7および8のいずれかに記載の保護ガラス汚れ検知方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の汚れ検知システムは、基本的には汚れの量に応じて、散乱光の強度が高くなることを利用して、保護ガラスの汚れを検知するようにしていたため、何時、どのような種類の汚れが、どの程度付着したかを問題とはしていなかった。
【0008】
そのため、清掃で済むのか、新品に交換する必要があるのか判断できず、保護ガラスの交換のタイミングも予期できないため、新しい保護ガラスを前もって準備できない可能性があった。
【0009】
すなわち、従来の汚れ検知システムでは、何時、どのような種類の汚れが、どの程度付着したか判らず、そのため、清掃で済むのか、新品に交換する必要があるのか判断できない欠点があった。
【0010】
本発明は、上記した事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、保護ガラスに付着した汚れの種類等を明確に判定して、保護ガラスの交換や清掃や継続使用等の適切な対処を行うことができるようにする保護ガラス汚れ検知システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上述の問題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、レーザ加工機において、レーザ光を集光させて被加工物に照射するための集光レンズを、レーザ加工により前記被加工物から飛んでくる汚れから保護するための保護ガラスの汚れを検知する保護ガラス汚れ検知システムであって、前記保護ガラスに付着した汚れによって生じる散乱光を検出するための散乱光検出器と、前記散乱光検出器よりの検出値から前記保護ガラスの汚れの種類、時期、程度を検知して、前記保護ガラスの交換や清掃の必要を判定する汚れ検知回路と、を有することを特徴とする保護ガラス汚れ検知システムである。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記保護ガラス汚れ検知システムが、さらに、前記汚れ検知回路よりの判定結果に基づいて、前記保護ガラスの交換や清掃の必要を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載の保護ガラス汚れ検知システムである。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記汚れ検知回路が、前記散乱光検出器よりの検出値を微分した変化量を求め、その変化量および前記検出値から前記保護ガラスの汚れの種類、時期、程度を検知することを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の保護ガラス汚れ検知システムである。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記汚れ検知回路が、前記散乱光検出器よりの検出値を時間データと共に保存するメモリと、前記メモリよりの検出値および時間データに基づいて、前記検出値の微分値からなる変化量を計算する演算部と、前記演算部よりの検出値変化量に基づいて、汚れ付着無しの正常状態かスパッタ付着状態か金属ヒューム付着状態かを判定する汚れ判定部と、前記汚れ判定部よりの判定結果および前記メモリよりの検出値に基づいて、前記保護ガラスの交換か前記保護ガラスの清掃か前記保護ガラスの継続使用かを判定する保護ガラスの交換判定部と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保護ガラス汚れ検知システムである。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記汚れ判定部は、前記演算部よりの検出値変化量を所定の判定閾値と比較し、前記検出値変化量が前記判定閾値より大きい場合、スパッタ付着状態と判定し、前記検出値変化量が前記判定閾値より小さい場合、金属ヒューム付着状態と判定することを特徴とする請求項4に記載の保護ガラス汚れ検知システムである。
【0016】
請求項6に係る発明は、前記保護ガラスが、前記集光レンズと前記被加工物との間に設けられ、前記散乱光検出器が、前記保護ガラスの端面からの散乱光を受光することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保護ガラス汚れ検知システムである。
【0017】
請求項7に係る発明は、レーザ加工機において、レーザ光を集光させて被加工物に照射するための集光レンズを、レーザ加工により前記被加工物から飛んでくる汚れから保護するための保護ガラスの汚れを検知する保護ガラス汚れ検知方法であって、(a)散乱光検出器により、前記保護ガラスに付着した汚れによって生じる散乱光を検出する工程と、(b)前記散乱光検出器よりの検出値から前記保護ガラスの汚れの種類、時期、程度を検知する工程と、(c)前記保護ガラスの汚れの種類、時期、程度から前記保護ガラスの交換や清掃の必要を判定する工程と、を有することを特徴とする保護ガラス汚れ検知方法である。
【0018】
請求項8に係る発明は、前記保護ガラス汚れ検知方法が、さらに、(d)前記保護ガラスの交換や清掃の必要の判定結果に基づいて、前記保護ガラスの交換や清掃の必要を表示する工程を有することを特徴とする請求項7に記載の保護ガラス汚れ検知方法である。
【0019】
請求項9に係る発明は、前記工程(b)が、前記散乱光検出器よりの検出値を微分した変化量を求め、その変化量および前記検出値から前記保護ガラスの汚れの種類、時期、程度を検知することを特徴とする請求項7および8のいずれかに記載の保護ガラス汚れ検知方法である。
【0020】
請求項10に係る発明は、レーザ加工ヘッドに搭載される保護ガラスの汚れを検出する汚れ検出システムであって、前記保護ガラスに付着した汚れによって生じる散乱光を検出する散乱光検出器と、前記散乱光検出器の出力値に基づいて、前記保護ガラスの汚れの種類を検出する汚れ種類検出回路と、を有
し、前記汚れ種類検出回路は、所定時間内における、前記散乱光検出器の出力値の変動量に基づいて汚れの原因がスパッタであるか金属ヒュームであるかを識別する汚れ検出システムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、保護ガラスに付着した汚れの種類、時期、程度を明確に判定して、保護ガラスの交換や清掃や継続使用等の適切な対処を表示することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明を実施した汚れ検知システムを備えたレーザ加工機の概略構成図である。
【0025】
図1に示すように、このレーザ加工機は、レーザ光LBを生成するファイバーレーザ発振器1により生成されたレーザ光LBが、プロセスファイバー3を介してレーザ加工ユニット5へ送られ、レーザ加工ユニット5が、レーザ光LBを高エネルギー密度に集光させて、種々の材料からなる被加工材(ワーク)Wに照射して加工を行うようになっている。
【0026】
レーザ加工ユニット5は、被加工材Wが載せられる加工テーブル7と、加工テーブル7上においてX軸方向に移動する門型のX軸キャリッジ9と、X軸キャリッジ9の上においてX軸に垂直なY軸方向に移動するY軸キャリッジ11とを備え、Y軸キャリッジ11には、コリメータユニット13が固定され、コリメータユニット13は、Y軸キャリッジ11と共にY軸方向に移動する。
【0027】
コリメータユニット13には、プロセスファイバー3から射出されたレーザ光LBを略平行光束に変換するコリメータレンズ15、略平行光束に変換されたレーザ光LBをX軸及びY軸に垂直なZ軸方向下方に向けて反射するベンドミラー17、ベンドミラー17により反射されたレーザ光LBを集光する集光レンズ19、及び加工ヘッド21が含まれる。
【0028】
なお、レーザ加工機は、NC装置23により、駆動制御される。
【0029】
NC装置23は、種々の情報を表示すると共にオペレータによる入力機能を有するモニター23aを有しており、レーザ加工機の駆動制御と共に、後述するように、そのモニター23aを介して、保護ガラスの汚れ検知に関する情報等を表示したり、判定のための値を設定したりするようになっている。
【0030】
図2は、
図1に示した加工ヘッド21に設けられた保護ガラス25の概略構成図である。
【0031】
図1および
図2に示すように、加工ヘッド21は、アシストガスを加工点へ導くように逆三角形状となっており、その加工ヘッド21における集光レンズ19と被加工物との間に、レーザ加工において被加工物から飛んでくるスプラッシュ(スパッタ)や金属ヒューム等の汚れから集光レンズ19を保護するための保護ガラス25が設けられている。
【0032】
図3に示すように、この保護ガラス25は、保護ガラス25を収納する保護ガラスフォルダ25a内に収納された状態で、加工ヘッド21へ着脱自在に取り付けられる構成となっており、保護ガラスフォルダ25aを加工ヘッド21から取り出すことにより、簡単に保護ガラス25を交換できるようになっている。
【0033】
そして、この保護ガラス25の端部には、加工ヘッド21に取り付けられた状態の保護ガラス25の端面からの散乱光を受光する散乱光検出器27が設けられ、散乱光検出器27よりの検知信号は、汚れ検知部29へ送られる。
【0034】
図3は、本発明を実施した汚れ検知システムの汚れ検知部29のブロック図である。
【0035】
図3に示すように、汚れ検知部29は、散乱光検出器27よりの検出信号を増幅して高周波成分(ノイズ)をカットするアナログI/F回路30と、アナログI/F回路30よりのアナログ信号をデジタル信号へ変換し、検出値Xとして出力するADコンバータ31と、検出値Xから保護ガラス25の汚れを検知する汚れ検知回路33とを有している。
【0036】
汚れ検知回路33は、ADコンバータ31よりの検出値Xと時間データとを保存するメモリ33aと、メモリ33aよりの検出値Xおよび時間データに基づいて、検出値Xの変化量ΔX(微分値)を計算する演算部33bとを有している。
【0037】
汚れ検知回路33は、さらに、演算部33bよりの検出値変化量ΔXに基づいて、正常(汚れ付着無し)かスパッタ付着か金属ヒューム付着かを判定する汚れ判定部33cと、汚れ判定部33cよりの判定結果およびメモリ33aよりの検出値Xに基づいて、保護ガラス25の交換か保護ガラス25の清掃か保護ガラス25の継続使用かを判定する保護ガラスの交換判定部33dとを有している。
【0038】
メモリ33aよりの検出値Xおよび時間データ、汚れ判定部33cよりの判定結果、保護ガラス交換判定部33dよりの判定結果は、NC装置23に送られ、所定の表示処理がなされる。
【0039】
すなわち、NC装置23では、メモリ33aよりの検出値Xおよび時間データに基づいて、後述するように、
図6に示すようなグラフ等のロギングデータ表示や、汚れ判定部33cよりの判定結果に基づいて、汚れ状態結果の表示や、保護ガラス交換判定部33dよりの判定結果に基づいて、交換判定結果の表示を行うようになっている。
【0040】
ここで、NC装置23におけるロギングデータ表示および汚れ状態結果の表示および交換判定結果の表示は、同時に表示するようにしても良いし、NC装置23に設けた切替えスイッチによって切替えて表示するようにしても良い。
【0041】
なお、この実施形態では、散乱光検出器27、汚れ検知部29、NC装置23により、汚れ検知システムが構成される。
【0042】
なお、この実施形態では、汚れ検知回路33は、RAM、ROM、CPU等からなるマイクロコンピュータからなり、CPUが、ROMに記憶されたプログラムに従って、後述する汚れ検知動作を行うようになっているが、専用回路により構成するようにしても良い。
【0043】
次に、
図4を参照して、本発明を実施した汚れ検知システムの動作について説明する。
【0044】
図4は、本発明を実施した汚れ検知システムの動作のフローチャートである。
【0045】
図4のステップ101において、レーザ光を照射している状態での、加工ヘッド21に取り付けられた保護ガラス25の端面からの散乱光を散乱光検出器27により検出する。
【0046】
図5は、レーザ光を照射している状態での、保護ガラス25の端面からの散乱光を検出する様子を示した説明図である。
【0047】
図5に示すように、レーザ光を照射してレーザ加工を行っている時に、保護ガラス25の下面25bに汚れ35が付着すると、集光レンズ19からのレーザ光が汚れ35に当たって散乱光37が発生する。
【0048】
この散乱光37が、保護ガラス25の端面から出射したものを、散乱光検出器27により検出する。すなわち、保護ガラス25の端面から出射した散乱光量が検出される。
【0049】
なお、散乱光検出器27による散乱光量の検出は、レーザ加工において継続して行われる。
【0050】
次に、ステップ103において、散乱光検出器27によりの散乱光量の検出信号は、アナログI/F回路29により増幅され、高周波成分(ノイズ)がカットされ、ステップ105において、ADコンバータ31により、アナログ信号からデジタル信号へ変換され、検出値Xとして汚れ検知回路33へ出力される。
【0051】
汚れ検知回路33へ入力された検出値Xは、ステップ107において、後述する微分値を生成するため、メモリ33aにより、タイマ33eよりの時間データと一緒に保存される。
【0052】
そして、ステップ109において、演算部33bにより、メモリ33aよりの検出値Xおよび時間データに基づいて、検出値Xの変化量ΔX(微分値)が計算される。
【0053】
すなわち、所定期間(例えば、100msec〜200msec)における検出値X(散乱光量)の変化量ΔX(微分値)が計算される。
【0054】
これは、検出値X(散乱光量)の変化量ΔXにより、保護ガラス25に付着した汚れの種類や程度等が判断できるためである。
【0055】
すなわち、
図6(a)に示すように、保護ガラス25にスパッタが付着した場合は、検出値Xは急激に高くなり、一方、
図6(b)に示すように、保護ガラス25に金属ヒュームが付着した場合は、検出値Xが緩やかに高くなる。よって、検出値Xの変化量ΔXである微分波形を求めることにより、保護ガラス25に付着した汚れが何かを判断することができる。
【0056】
図6は、保護ガラス25に付着した汚れによる散乱光量の検出値Xの変化を示すグラフであり、(a)は、保護ガラス25にスパッタが付着した場合であり、(b)は、保護ガラス25に金属ヒュームが付着した場合である。
【0057】
図6において、変化量ΔXは、散乱光検出器27への入力光パワーをその散乱光検出器27の出力電流値と、その散乱光検出器27の仕様の受光感度A/Wとによって換算ワットWが得られるので、その時間的経緯でもって前記換算ワットWの差分が得られるものである。
【0058】
散乱光検出器27は、応答速度の速いフォトダイオードを使い、特定の波長における入力光パワーWiで生成する光電流Aoを検出できるものである。要するに、散乱光検出器27の仕様の受光感度A/Wから、散乱光検出器27の最大出力電流に対して測定電流の割合を検出すれば、対応する入力光パワーが分かるものである。然して、入力光パワーWiはフォトダイオードの出力電流値Aoによってその換算ワットWが確認できるものである。
【0059】
また、散乱光検出器27への入力光パワーWiの検出は、この場合、保護ガラス25およびその取り付け部材が熱で変形する兆候かを検出するものであり、保護ガラス25の耐熱性(厚さ、大きさ、取り付け状態などの物性を含む)で危険と判断する閾値は任意に設定できる。
【0060】
例えば、レーザ最大出力が9kWの発振器で、0.1%分の入力パワーWiを危険と設定する場合は、9Wを検出すれば異常とみなし、レーザ最大出力が2kWの発振器で、0.4%分の入力パワーWiを危険と設定する場合は、8Wを検出すれば異常とみなすように、閾値を任意設定できるものである。
【0061】
本実施形態の場合、更に微細な入力パワーWiを危険と設定しており、0.2μWを検出すれば異常な兆候があるとみなすこととした。
【0062】
次に、ステップ111において、汚れ判定部33cにより、演算部33bよりの検出値X(散乱光量)の変化量ΔXに基づいて、保護ガラス25の状態が、正常(汚れ付着無し)かスパッタ付着か金属ヒューム付着かが判定される。
【0063】
ステップ113において、保護ガラス交換判定部33dにより、汚れ判定部33cよりの判定結果に基づいて、保護ガラス25の交換か保護ガラス25の清掃か保護ガラス25の継続使用かが判定される。
【0064】
ステップ115において、NC装置23により、メモリ33aよりの検出値Xおよび時間データおよび保護ガラス交換判定部33dよりの判定結果に基づいて、交換判定結果表示として保護ガラス25の交換、清掃、継続使用等が表示処理される。
【0065】
次に、
図7および
図8を参照して、
図4のステップ111、113、115の処理について詳しく説明する。
【0066】
図7は、
図5のステップ111、113、115の処理の詳細なフローチャートであり、
図8は、汚れ判定部33cおよび保護ガラス交換判定部33dおよびNC装置23のモニター23aにおける汚れ検知処理の説明図である。
【0067】
図7のステップ201において、汚れ判定部33cでは、演算部33bよりの検出値X(散乱光量)の変化量ΔXが、判定閾値より大きいか否かが判定され、変化量ΔXが判定閾値より大きい場合、ステップ203において、汚れ判定部33cでは、スパッタ付着と判定し、スパッタ付着の判定信号を出力する。
【0068】
ここで、判定閾値は、スパッタ付着と金属ヒューム付着とを切り分けるための閾値である。
【0069】
例えば、スパッタ付着により、200msecの所定期間における散乱光量の検出値X(μW)の変化量ΔX(微分値)が、500以上であり、金属ヒューム付着により、200msecの所定期間における散乱光量の検出値X(μW)の変化量ΔX(微分値)が、20〜50であった場合となる。
【0070】
次に、上記ステップ203においてスパッタ付着信号が出力された場合、ステップ205において、交換判定部33dでは、メモリ33aよりの検出値Xが、アラーム値より大きいか否かが判定され、検出値Xがアラーム値より大きい場合、ステップ207において、交換判定部33dでは、保護ガラス25の交換と判定し、保護ガラス交換の判定信号をNC装置23へ出力する。
【0071】
ここで、アラーム値は、レーザ加工に支障が出てしまう保護ガラス25が要交換とする判定値である。
【0072】
交換判定部33dからNC装置23へ保護ガラス交換の判定信号が送られると、ステップ209において、NC装置23は、そのモニター23a上に、交換判定結果表示として保護ガラス交換との表示を行う。
【0073】
これにより、オペレータは、レーザ加工においてスパッタ付着により保護ガラス交換が必要になったことを瞬時に簡単に判断することができ、保護ガラス25を交換することにより、加工品質の悪化を未然に防ぐことができる。
【0074】
すなわち、リアルタイムで保護ガラス25の汚れの種類、時期、程度を検知して、保護ガラス25の交換の必要が判定されるので、速やかに保護ガラス25を交換することにより、加工品質の悪化を未然に防ぐことができる。
【0075】
次に、上記ステップ205においてメモリ33aよりの検出値Xがアラーム値より小さい場合、ステップ211において、交換判定部33dでは、検出値Xが、交換ワーニング値より大きいか否かが判定され、検出値Xが、交換ワーニング値より大きい場合、ステップ213において、交換判定部33dでは、注意を要する程度の汚れと判定し、オペレータに保護ガラス25の交換判断を促すための交換ワーニング判定信号をNC装置23へ出力する。
【0076】
ここで、交換ワーニング値は、レーザ加工に明らかな支障は起こらないが、加工の種類によっては、加工品質に影響が出てしまうような汚れの判定値である。
【0077】
交換判定部33dからNC装置23へ交換ワーニング判定信号が送られると、ステップ215において、NC装置23は、そのモニター23a上に、交換判定結果表示として、例えば、汚れ注意等の交換ワーニング表示を行う。
【0078】
これにより、オペレータは、オペレータに保護ガラス25の交換判断を促され、加工の種類に応じたオペレータの判断により保護ガラス25を交換することにより、加工品質の悪化を未然に防ぐことができる。
【0079】
なお、この交換ワーニング値は、NC装置23の入力機能を有するモニター23aを介して、オペレータが加工品質保証条件等を勘案して設定するようにしても良い。
【0080】
また、アラーム値等も、モニター23aを介して、オペレータが設定するようにしても良い。
【0081】
次に、上記ステップ211において検出値Xが、交換ワーニング値より小さい場合、ステップ217において、交換判定部33dでは、継続使用が可能と判定し、継続使用可の判定信号をNC装置23へ出力する。
【0082】
交換判定部33dからNC装置23へ継続使用可の判定信号が送られると、ステップ219において、NC装置23は、そのモニター23a上に、交換判定結果表示として、例えば、加工を続けて下さい等の継続使用可の表示を行う。
【0083】
これにより、オペレータは、安心して加工処理を継続することができる。
【0084】
次に、上記ステップ201において変化量ΔXが判定閾値より小さい場合、ステップ221において、汚れ判定部33cでは、変化量ΔXが、判定下限値より大きいか否かが判定され、変化量ΔXが判定下限値より大きい場合、ステップ223において、汚れ判定部33cでは、金属ヒューム付着と判定し、金属ヒューム付着の判定信号を出力する。
【0085】
ここで、判定下限値は、汚れ無しの状態を判断するための下限値である。
【0086】
次に、上記ステップ223において金属ヒューム付着信号が出力された場合、ステップ225において、交換判定部33dでは、メモリ33aよりの検出値Xが、アラーム値より大きいか否かが判定され、検出値Xがアラーム値より大きい場合、ステップ227において、交換判定部33dでは、保護ガラス25の清掃と判定し、保護ガラス清掃の判定信号を出力する。
【0087】
ここで、アラーム値は、レーザ加工に支障が出てしまう保護ガラス25を清掃要とする判定値である。
【0088】
交換判定部33dからNC装置23へ保護ガラス清掃の判定信号が送られると、ステップ229において、NC装置23は、そのモニター23a上に、交換判定結果表示として保護ガラス清掃との表示を行う。
【0089】
これにより、オペレータは、金属ヒューム付着により保護ガラス清掃が必要になったことを瞬時に簡単に判断することができ、保護ガラス25を清掃することにより、加工品質の悪化を未然に防ぐことができる。
【0090】
すなわち、リアルタイムで保護ガラス25の汚れの種類、時期、程度を検知して、保護ガラス25の清掃の必要が判定されるので、速やかに保護ガラス25を清掃することにより、加工品質の悪化を未然に防ぐことができる。
【0091】
次に、上記ステップ225において検出値Xがアラーム値より小さい場合、交換判定部33dでは、注意を要する程度の汚れと判定し、ステップ231において、交換判定部33dでは、オペレータに保護ガラス25の清掃判断を促すための清掃ワーニング判定信号をNC装置23へ出力する。
【0092】
交換判定部33dからNC装置23へ清掃ワーニング判定信号が送られると、ステップ233において、NC装置23は、そのモニター23a上に、交換判定結果表示として、例えば、金属ヒューム汚れ注意等の清掃ワーニング表示を行う。
【0093】
これにより、オペレータは、保護ガラス25の清掃判断を促され、オペレータの判断により保護ガラス25を清掃することにより、加工品質の悪化を未然に防ぐことができる。
【0094】
次に、上記ステップ221において変化量ΔXが判定下限値より小さい場合、ステップ235において、交換判定部33dは、汚れ無し(正常)と判定し、汚れ無し(正常)の判定信号をNC装置23へ出力する。
【0095】
交換判定部33dからNC装置23へ汚れ無し(正常)の判定信号が送られると、ステップ237において、NC装置23は、そのモニター23a上に、交換判定結果表示として、例えば、汚れ無しの表示か、あるいは加工を続けて下さい等の継続使用可の表示を行う。
【0096】
これにより、オペレータは、安心して加工処理を継続することができる。
【0097】
このように、この実施形態によれば、スパッタ付着か金属ヒューム付着かの汚れの種類や時期や程度が自動的に判定され、保護ガラス25の交換か交換ワーニングか保護ガラス25の清掃か清掃ワーニングか保護ガラス25の継続使用かの交換判定結果表示がなされるので、オペレータは、簡単に適切な対処を行うことができる。
【0098】
また、NC装置23では、上述した交換判定結果表示と共に、メモリ33aよりの検出値Xおよび時間データに基づいて、
図6に示すようなグラフ等のロギングデータ表示を行うようになっているので、オペレータは、スパッタ付着における検出値X(汚れ指数)の上昇度合いや、金属ヒューム付着における検出値X(汚れ指数)の上昇度合いを直接的に認識することができるので、簡単に適切な対処を行うことができる。
【0099】
また、NC装置23では、上述した交換判定結果表示と共に、汚れ判定部33cよりの判定結果に基づいて、スパッタ付着か金属ヒューム付着かの汚れの種類および汚れの無い正常状態かを示す汚れ状態結果の表示を行うようになっているので、オペレータは、汚れの種類等を的確に認識することができるので、簡単に適切な対処を行うことができる。
【0100】
この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0101】
すなわち、上記実施形態では、NC装置23は、そのモニター23a上に、交換清掃判定結果表示として、継続使用可の表示や交換ワーニングの表示や保護ガラス交換の表示や清掃ワーニングの表示や保護ガラス清掃の表示や汚れ無しの表示を文字で行っていたが、予め決められた赤色や黄色や青色等の光で表示することも可能である。
【0102】
また、上記実施形態では、NC装置23のモニター23a上に、交換清掃判定結果を表示するようにしていたが、専用の表示装置を設け、その表示装置によって、交換清掃判定結果を表示するようにしても良い。