(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982461
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】小穴形成器
(51)【国際特許分類】
A47J 43/28 20060101AFI20211206BHJP
A23L 13/60 20160101ALN20211206BHJP
【FI】
A47J43/28
!A23L13/60 A
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-203599(P2017-203599)
(22)【出願日】2017年10月20日
(65)【公開番号】特開2019-76195(P2019-76195A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】菅原 礼嘉
【審査官】
西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−217719(JP,A)
【文献】
実開昭58−136052(JP,U)
【文献】
特開平08−131346(JP,A)
【文献】
米国特許第04976029(US,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0036977(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 42/00−44/02
A23L 13/00−17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄部と、該柄部と連続する押圧板部とをそれぞれ備える第1、第2の押圧片部から成り、前記押圧板部の幅より小さい幅を有する前記柄部の後端部同士が連結された小穴形成器であって、
前記押圧板部には、前記柄部の長手方向に沿った断面が外側に円弧状に膨出する円弧板部を有し、
向かい合う前記円弧板部の内側面には、円錐状又は多角錐状の多数の突起部が配置されており、
前記円弧板部に収まる大きさの食品物を、前記円弧板部の内側面に載置し、前記第1、第2の押圧片部を上下から押圧することで、前記食品物の表面に多数の小穴を設けることを特徴とする小穴形成器。
【請求項2】
前記押圧板部は、2個の前記円弧板部を平行に連続して配置したことを特徴とする請求項1に記載の小穴形成器。
【請求項3】
一方の向かい合う前記円弧板部の内側面に、前記円錐状又は角錐状の多数の前記突起部が配置され、他方の向かい合う前記円弧板部の内側面に、先端が鋸歯状の複数枚の切込刃部が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の小穴形成器。
【請求項4】
前記第1、第2の押圧片部は、柔軟性を有すると共に、弾発性を有する合成樹脂材から成ることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の小穴形成器。
【請求項5】
前記第1、第2の押圧片部は、分離可能であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の小穴形成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ソーセージ等の食品物の表面に多数の小穴を形成する小穴形成器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮の厚いソーセージをフライパンで、表面に切込みを入れずに炒めたり茹でたりすると、皮が破裂してしまい、破れたような形状となり見栄えが良くない。そこで、特許文献1に示す切れ目形成具を使用して、ソーセージ表面に切れ目を入れた後に、炒めたり茹でたりする調理を行っている。このように、切れ目を入れて調理することで、調理後の見栄えが良くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−22751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
幼児が調理した皮の厚いソーセージを食する場合に、上手く皮を噛み切れないことがある。そこで、特許文献1の切れ目形成具により切れ目を入れたソーセージを子供に提供すると、幼児はソーセージの切れ目に沿って歯で噛み切ることができるが、ソーセージの任意の位置で噛み切ることができないという問題がある。
【0005】
そこで、噛み切り易くするため、ソーセージの表面全体に対して多数の切れ目を入れることも可能であるが、このような場合には調理中にソーセージがばらばらに分離してしまうこともある。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、幼児が容易にソーセージを噛み切ることのできるようにソーセージに多数の小穴を形成する小穴形成器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る小穴形成器は、柄部と、該柄部と連続する押圧板部とをそれぞれ備える第1、第2の押圧片部から成り、
前記押圧板部の幅より小さい幅を有する前記柄部の後端部同士が連結された小穴形成器であって、前記押圧板部には、前記柄部の長手方向に沿った断面が外側に円弧状に膨出する円弧板部を有し、向かい合う前記円弧板部の内側面には、円錐状又は多角錐状の多数の突起部が配置されて
おり、前記円弧板部に収まる大きさの食品物を、前記円弧板部の内側面に載置し、前記第1、第2の押圧片部を上下から押圧することで、前記食品物の表面に多数の小穴を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る小穴形成器によれば、ソーセージの表面に多数の小孔を設けることができる。この多数の小孔を設けたソーセージは、幼児でも任意の位置で噛み切ることが可能である。
【0009】
また、押圧片部の押圧時に圧力を調整することで、ソーセージの表面に形成される小穴の径の大きさを調節することができ、噛み切り易さを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】柄部を手前にした状態の小穴形成器の斜視図である。
【
図2】小穴形成器を裏返し、押圧板部を手前にした状態の斜視図である。
【
図3】押圧板部にソーセージを載置した状態の側面図である。
【
図4】押圧板部でソーセージを押圧した状態の側面図である。
【
図5】押圧後の押圧板部を離間した状態の斜視図である。
【
図6】片側の押圧板部を用いて押圧した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、柄部を手前にした状態の小穴形成器の斜視図であり、
図2は
図1の小穴形成器を裏返し、押圧板部を手前にした状態の斜視図であり、小穴形成器1の大きさは幅6cm、長さ13cm、厚み5cm程度であり、押圧するソーセージの大きさに応じて適宜のサイズのものを使用することが可能である。
【0012】
小穴形成器1は、対向する一対の第1の押圧片部2と第2の押圧片部3とから成り、第1、第2の押圧片部2、3は、柔軟性を有し、押圧を解除すると元の形状に復元するような弾発性を有する合成樹脂材、例えばポリプロピレンから形成されている。このような素材から形成することにより、押圧すると容易に湾曲するようにされている。
【0013】
第1、第2の押圧片部2、3は、それぞれ指で把持する柄部2a、3aと、この柄部2a、3aと連続する押圧板部2b、3bとから構成されている。そして、押圧板部2b、3bと柄部2a、3aとを柄部2a、3aの後端部2c、3cにより分離可能に連結されている。
【0014】
側面断面が略L字状である後端部2cは、柄部2aと連続する側面で屈曲して突出された係合部2dと、側面に引掛孔2eとを有しており、この引掛孔2eにフック等を引っ掛けて吊設して保管することができる。
【0015】
側面断面が略L字状である後端部3cは、L字の角部に設けた被係合窓部3dと、柄部3aと連続する側面から屈曲して板状に突出された受板部3eとを有している。
【0016】
後端部2cの係合部2dを後端部3cの被係合窓部3dに挿入し、後端部3cの後端を受板部3eに当接することにより、後端部2c、3cは係合状態を保持することになる。
【0017】
図1、
図2に示す状態で、柄部2a、3aを柄部2a、3aに対して狭める方向に押圧しても、後端部2c、3cの係合状態は解除されることはない。しかし、柄部2a、3aを拡開する方向に所定角以上開くと、係合部2d及び被係合窓部3dの係合状態が解除され、第1、第2の押圧片部2、3同士は分離することになる。
【0018】
このように、連結した第1、第2の押圧片部2、3同士を分離可能とすることで、保管時に省スペース化を図れると共に、第1、第2の押圧板部2b、3bの内側面の清掃が容易となる。
【0019】
なお上述のように、第1、第2の押圧片部2、3は分離可能としているが、分離不可能とした一体化してU字状の連結部を採用してもよい。更には、連結部にコイルばね、板ばね等のばね材を配置し、手を離すと第1、第2の押圧片部2、3同士が開離するようにすることもできる。このような場合は、小穴形成器1の素材は弾発性を有しない素材であってもよい。
【0020】
略板状体である押圧板部2b、3bは、外形が長方形をしており、この長方形の一辺の中央に柄部2a、3aが連続している。押圧板部2b、3bは、柄部2a、3aの長手方向に沿った断面が外側に円弧状に膨出する2個の円弧板部が平行して配列した形状とされている。
【0021】
そして、第1、第2の押圧片部2、3の先端側に位置する第1の円弧板部2f、3fの内面には、多数の円錐状の突起部2h、3hが互いに等間隔になるように配置されている。なお実施例では、円錐状としているが、角錐状であってもよい。
【0022】
また、第1の円弧板部2f、3fの柄部2a、3a側に連続する第2の円弧板部2g、3gの内面には、例えば4個の先端が鋸歯状の切込刃部2i、3iが、斜め方向に平行して等間隔に立設されている。なお、切込刃部2i、3iは調理後のソーセージの見栄えに応じて、適宜の形状や個数を採用することができる。
【0023】
小穴形成器1の第1の円弧板部2f、3fには、内面に少なくとも突起部2h、3hを有する構成が必須であるので、第2の円弧板部2g、3gでは、切込刃部2i、3iに代えて、突起部2h、3hを配置するようにしてもよい。
【0024】
このように、第1の円弧板部2f、3f及び第2の円弧板部2g、3gに、共に突起部2h、3hを配置する場合には、大きさの異なるソーセージSに対応できるように、第1の円弧板部2f、3f及び第2の円弧板部2g、3gを異なる大きさとすることもできる。
【0025】
更には、押圧板部2b、3bを、3個以上の突起部2h、3hを備えた円弧板部を平行に連結する構成にすることや、1つの第1の円弧板部2f、3fのみの構成にすることも可能である。
【0026】
小穴形成器1の使い方を説明すると、
図3の側面図に示すように、先ず第1の押圧片部2が下方になるように小穴形成器1を横にした状態で、第1の円弧板部2f上及び第2の円弧板部2g上に、円弧板部2f、2gに納まる大きさのソーセージSa、Sbをそれぞれ載置する。
【0027】
そして、片手で小穴形成器1を把持した状態で、
図4の矢印に示すように上下から第1、第2の押圧片部2、3を押圧する。前述のように小穴形成器1は柔軟であって弾発性を有する合成樹脂材で形成されているので、柄部2a、3aは圧力により撓み、向かい合う第1の円弧板部2f、3f及び向かい合う第2の円弧板部2g、3gは、均等の圧力でソーセージSa、Sbを加圧することになる。
【0028】
柄部2a、3aを上下から押圧することでソーセージSaの表面には、上下の突起部2h、3hにより小穴が多数形成され、ソーセージSbの他表面には、上下の切込刃部2i、3iにより切込みが形成される。
【0029】
図5は押圧後に、柄部2a、3aを離間した状態の斜視図であり、図示するようにソーセージSa及びソーセージSbの上下表面に、多数の小穴及び複数の切込みを設けることができる。
【0030】
この状態で少なくともソーセージSaに対して、90度回転させて再度、第1、第2の押圧片部2、3を上下から押圧することでソーセージSaの表面全体に渡って多数の小穴を設けることができる。
【0031】
そして、小穴、切込みを設けたソーセージSa、Sbの適宜に交換して第1、第2の押圧片部2、3を上下から押圧することで、
図6のソーセージSに示すような表面に切込み、小穴の両方を設けることもできる。なお、小穴のみをソーセージSの表面に設けるようにしてもよい。
【0032】
このように少なくとも多数の小穴を表面に設けたソーセージSを、フライパン等で加熱して調理を行うことになる。調理時にはソーセージSの表面に多数の小穴が存在するため、皮が破裂して、破れるような形状になることはない。
【0033】
また、第1、第2の押圧片部2、3の押圧時に圧力を調整することで、ソーセージSの表面に形成される小穴の径の大きさを調節することができる。突起部2h、3hをソーセージSの表面に対して奥まで加圧することで、小穴の径は大きくなるので噛み切り易くなる。
【0034】
このように、小穴形成器1を使用することで、ソーセージSの表面に多数の小孔を設けることができる。この多数の小孔を設けたソーセージSは、幼児でも任意の位置で容易に噛み切ることが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 小穴形成器
2 第1の押圧片部
2a、3a 柄部
2b 第1の押圧板部
2c、3c 後端部
2d 係合部
2e 引掛孔
2f、3f 第1の円弧板部
2g、3g 第2の円弧板部
2h、3h 突起部
2i、3i 切込刃部
3 第2の押圧片部
3b 第2の押圧板部
3d 被係合窓部
3e 受板部
S、Sa、Sb ソーセージ