特許第6982482号(P6982482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982482
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】可変静翼、及び圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/56 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   F04D29/56 C
   F04D29/56 E
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-237232(P2017-237232)
(22)【出願日】2017年12月11日
(65)【公開番号】特開2019-105183(P2019-105183A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2020年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】山下 知志
(72)【発明者】
【氏名】三戸 良介
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0285085(US,A1)
【文献】 米国特許第05328327(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が流通する流路内に配置され、2つの縁を結ぶ翼面と、ケーシングの周面との間にクリアランスを形成する径方向端面と、を有する静翼本体と、
前記作動流体の主流の流れ方向に対する前記静翼本体の角度を可変させるように回転するとともに、前記径方向端面と接続された回転軸と、
前記回転軸の外側に突出する前記径方向端面に隣接する前記翼面に設けられた曲面部と、
を備え、
前記曲面部の曲率半径は、前記回転軸から離れるにつれて徐々に小さくなり、
前記回転軸は、前記径方向端面が接続される接続面を有し、
前記翼面と前記接続面との間には、前記静翼本体と前記回転軸とを接続するフィレット部が設けられており、
前記フィレット部の端部は、前記接続面の外側まで延びて配置されるとともに、外面が第1の曲面とされており、
前記フィレット部の端部と前記縁との間に位置する前記径方向端面を区画する前記静翼本体の角部の少なくとも一部は、前記フィレット部の端部に到達し、かつ該第1の曲面よりも曲率半径の小さい第2の曲面とされており、
前記曲面部は、前記第1の曲面と、前記第2の曲面と、を含み、
前記第1の曲面は、前記回転軸の軸線に平行な断面視で、前記翼面から離間する方向に凸となるように湾曲している可変静翼。
【請求項2】
前記翼面は、負圧面と、正圧面と、を有し、
前記曲面部は、前記負圧面側に配置させる請求項1記載の可変静翼。
【請求項3】
前記翼面は、負圧面と、正圧面と、を有し、
前記曲面部は、前記正圧面側に配置させる請求項1記載の可変静翼。
【請求項4】
前記翼面は、負圧面と、正圧面と、を有し、
前記曲面部は、前記負圧面側と、前記正圧面側と、にそれぞれ配置させる請求項1記載の可変静翼。
【請求項5】
前記ケーシングには、該ケーシングの前記周面から露出され、前記回転軸が収容される軸収容部が形成されており、
前記軸収容部は、前記周面から露出された第1の部分と、該第1の部分と一体とされ、前記周面から離れた位置に配置された第2の部分と、を有しており、
前記回転軸は、前記第1の部分と対向するとともに、凹んだ湾曲面を有しており、
前記第1の部分は、前記第2の部分から前記周面に向かうにつれて、拡径された形状とされており、
前記第1の部分は、一定の角度で傾斜した傾斜面と、該傾斜面と前記第2の部分の内周面との間に形成され、前記湾曲面に向かう方向に突出する第1の湾曲面と、前記周面と前記傾斜面との間に形成され、前記湾曲面に向かう方向に突出する第2の湾曲面と、を有する請求項1からのうち、いずれか一項記載の可変静翼。
【請求項6】
請求項1からのうち、いずれか一項記載の可変静翼と、
ロータ本体、及び該ロータ本体の軸線方向及び周方向に配列された複数の動翼を含むロータと、
前記ロータの外側に設けられた内側ケーシングと、
前記内側ケーシングの外側に設けられた外側ケーシングと、
前記回転軸と接続され、前記回転軸を回転させる回転駆動部と、
を備え、
前記ケーシングは、前記内側ケーシング及び前記外側ケーシングのうち、少なくとも一方である圧縮機。
【請求項7】
前記回転軸は、回転可能な状態で前記内側ケーシングに支持されており、
前記可変静翼は、前記回転軸が設けられた側とは反対側に位置する前記静翼本体と接続され、前記外側ケーシングに回転可能な状態で支持された他の回転軸を有する請求項記載の圧縮機。
【請求項8】
前記曲面部は、前記他の回転軸側に位置する前記翼面にも配置させる請求項記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変静翼、及び圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機には、ケーシング内に収容されたロータ本体と、ロータ本体の径方向外側に放射状に配列された複数の動翼と、ロータ本体の延在方向に対して、動翼と交互に配置された複数の可変静翼と、を備えたものがある。
【0003】
特許文献1には、圧力面及び負圧面を有する静翼本体と、第1の軸部(第1の回転軸)と、第2の軸部(第2の回転軸)と、を備えた可変静翼が開示されている。静翼本体は、内側ケーシングと外側ケーシングとの間に配置されている。
第1の軸部は、静翼本体の一端と接続されている。第1の軸部は、内側ケーシングに対して揺動可能に支持されている。第2の軸部は、静翼本体の他端と接続されている。第2の翼軸は、外側ケーシングに対して揺動可能に支持されている。
【0004】
このような構成とされた可変静翼を圧縮機に適用する場合、内側ケーシングの外周面と静翼本体の一端面の間、及び外側ケーシングの内周面と静翼本体の他端面との間には、クリアランスが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−233424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記構成とされた可変静翼では、静翼本体の前縁と後縁との中間付近における負圧面と静圧面との圧力差が大きくなる。このため、前述のクリアランス部からの漏れ流れが生じ、第1及び第2の軸部(以下、「回転軸」という)付近を流れる流体の流れが乱されやすいという問題があった。また、回転軸の側面はクリアランス部の主流方向の流れと正対するため、大きな圧力損失を生じるという問題があった。
このように、回転軸で流体の流が乱されると、静翼本体の縁に向かうにつれて、角部の流れの剥離を生じるため、さらに圧力損失が大きくなる可能性があった。
【0007】
そこで、本発明は、圧力損失の発生を抑制可能な可変静翼、及び圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る可変静翼は、作動流体が流通する流路内に配置され、2つの縁を結ぶ翼面と、ケーシングの周面との間にクリアランスを形成する径方向端面と、を有する静翼本体と、前記作動流体の主流の流れ方向に対する前記静翼本体の角度を可変させるように回転するとともに、前記径方向端面と接続された回転軸と、前記回転軸の外側に突出する前記径方向端面に隣接する前記翼面に設けられた曲面部と、を備え、前記曲面部の曲率半径は、前記回転軸から離れるにつれて徐々に小さくなり、前記回転軸は、前記径方向端面が接続される接続面を有し、前記翼面と前記接続面との間には、前記静翼本体と前記回転軸とを接続するフィレット部が設けられており、前記フィレット部の端部は、前記接続面の外側まで延びて配置されるとともに、外面が第1の曲面とされており、前記フィレット部の端部と前記縁との間に位置する前記径方向端面を区画する前記静翼本体の角部の少なくとも一部は、前記フィレット部の端部に到達し、かつ該第1の曲面よりも曲率半径の小さい第2の曲面とされており、前記曲面部は、前記第1の曲面と、前記第2の曲面と、を含み、前記第1の曲面は、前記回転軸の軸線に平行な断面視で、前記翼面から離間する方向に凸となるように湾曲している
【0009】
本発明によれば、回転軸から突出する径方向端面に隣接する翼面に設けられた曲面部を有することで、翼面の圧力差が大きい回転軸の近傍に配置された曲面部により、作動流体の流れが乱されることを抑制可能となる。
また、回転軸から離れるにつれて徐々に曲面部の曲率半径を小さくすることで、回転軸近傍の漏れ流れの増加量を抑制した上で、可変静翼の出口側における作動流体の流れを曲面部に沿ってスムーズにすることが可能となる。
したがって、上述した曲面部を備えることで、漏れ流れの増加量を抑制した上で、圧力損失の発生を抑制することができる。
さらに、このように、第1の曲面を有するフィレット部の一部と、径方向端面の角部に形成され、第1の曲面よりも曲率半径の小さい第2の曲面と、を用いて曲面部を構成することにより、漏れ流れの増加量を抑制した上で、圧力損失の発生を抑制することができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る可変静翼において、前記翼面は、負圧面と、正圧面と、を有し、前記曲面部は、前記負圧面側に配置させてもよい。
【0013】
このように、曲面部を負圧面側に位置する翼面のみに配置させた場合でも漏れ流れの増加量を抑制した上で、圧力損失の発生を抑制することができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る可変静翼において、前記翼面は、負圧面と、正圧面と、を有し、前記曲面部は、前記正圧面側に配置させてもよい。
【0015】
このように、曲面部を正圧面側に位置する翼面のみに配置させた場合でも漏れ流れの増加量を抑制した上で、圧力損失の発生を抑制することができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る可変静翼において、前記翼面は、負圧面と、正圧面と、を有し、前記曲面部は、前記負圧面側と、前記正圧面側と、にそれぞれ配置させてもよい。
【0017】
このように、曲面部を正圧面側に位置する翼面、及び負圧面側に位置する翼面にそれぞれ配置させることで、漏れ流れの増加量を抑制した上で、圧力損失の発生をさらに抑制することができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る可変静翼において、前記ケーシングには、該ケーシングの前記周面から露出され、前記回転軸が収容される軸収容部が形成されており、前記軸収容部は、前記周面から露出された第1の部分と、該第1の部分と一体とされ、前記周面から離れた位置に配置された第2の部分と、を有しており、前記回転軸は、前記第1の部分と対向するとともに、凹んだ湾曲面を有しており、前記第1の部分は、前記第2の部分から前記周面に向かうにつれて、拡径された形状とされており、前記第1の部分は、一定の角度で傾斜した傾斜面と、該傾斜面と前記第2の部分の内周面との間に形成され、前記湾曲面に向かう方向に突出する第1の湾曲面と、前記周面と前記傾斜面との間に形成され、前記湾曲面に向かう方向に突出する第2の湾曲面と、を有してもよい。
【0019】
このように、軸収容部のうち、ケーシングの周面から露出された第1の部分が、一定の角度で傾斜した傾斜面と、傾斜面と第2の部分の内周面との間に形成され、湾曲部に向かう方向に突出する第1の湾曲面と、ケーシングの周面と傾斜面との間に形成され、湾曲部に向かう方向に突出する第2の湾曲面と、を有することで、回転軸の軸線方向に位置する湾曲部の端と第1及び第2の湾曲面との間に形成される隙間を小さくすることが可能となる。これにより、ケーシングと湾曲部との間における漏れ流れの発生を抑制することができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る圧縮機において、上記可変静翼と、ロータ本体、及び該ロータ本体の軸線方向及び周方向に配列された複数の動翼を含むロータと、前記ロータの外側に設けられた内側ケーシングと、前記内側ケーシングの外側に設けられた外側ケーシングと、前記回転軸と接続され、前記回転軸を回転させる回転駆動部と、を備え、前記ケーシングは、前記内側ケーシング及び前記外側ケーシングのうち、少なくとも一方であってもよい。
【0021】
このような構成とされた圧縮機によれば、上述した可変静翼を有することで、漏れ流れの増加量を抑制した上で、圧力損失の発生を抑制することができる。
【0022】
また、本発明の一態様に係る圧縮機において、前記回転軸は、回転可能な状態で前記内側ケーシングに支持されており、前記可変静翼は、前記回転軸が設けられた側とは反対側に位置する前記静翼本体と接続され、前記外側ケーシングに回転可能な状態で支持された他の回転軸を有してもよい。
【0023】
このような構成とされた圧縮機においても漏れ流れの増加量を抑制した上で、圧力損失の発生を抑制することができる。
【0024】
また、本発明の一態様に係る圧縮機において、前記曲面部は、前記他の回転軸側に位置する前記翼面にも配置させてもよい。
【0025】
このような構成とされた圧縮機においても漏れ流れの増加量を抑制した上で、圧力損失の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、圧力損失の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施形態に係る圧縮機の主要部(吸込口側の上半分)の断面図である。
図2図1に示す圧縮機のうち、領域Aで囲まれた部分を拡大した断面図である。
図3図2に示す構造体のC−C線方向の断面図である。
図4図3に示す構造体のD−D線方向の断面図である。
図5図3に示す構造体のE−E線方向の断面図である。
図6図3に示す構造体のF−F線方向の断面図である。
図7図3に示す構造体のG−G線方向の断面図である。
図8図1に示す圧縮機のうち、領域Bで囲まれた部分を拡大した断面図である。
図9図8に示す構造体のH−H線方向の断面図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る圧縮機の主要部を拡大した断面図であり、内側ケーシングと可変静翼との境界部分を示す断面図である。
図11図10に示す構造体の領域Jで囲まれた部分を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1図3を参照して、第1の実施形態に係る圧縮機10について説明する。図1では、圧縮機10の一例として、軸流圧縮機を図示する。図1では、ケーシング13及びロータ11のみを断面で図示する。図1において、Aは領域(以下、「領域A」という)、Bは領域(以下、「領域B」という)、Oはロータ11の軸線(以下、「軸線O」という)をそれぞれ示している。
また、図1では、図2に示すクリアランスCL、及び図8に示すクリアランスCLを図示することが困難なため、これらの図示を省略する。
図2及び図3において、Oは回転軸43,44の軸線(以下、「軸線O」という)を示している。図3に示すSは、作動流体の主流の流れ方向(以下、「S方向」という)を示している。図1図3において、同一構成部分には同一符号を付す。
【0030】
圧縮機10は、ロータ11と、ケーシング13と、複数の可変静翼機構15と、複数の静翼群17と、を有する。
【0031】
ロータ11は、ロータ本体21と、複数の動翼23と、複数の動翼23で構成された第1〜第6の動翼群23A〜23Fと、を有する。
【0032】
ロータ本体21は、柱状の部材であり、一方向に延在している。ロータ本体21は、複数のロータディスク(図示せず)が積層された構成とされている。ロータ本体21は、軸受(図示せず)により回転可能に支持されている。
【0033】
動翼23は、複数のロータディスク毎に複数設けられている。各ロータディスクに設けられた複数の動翼23は、周方向に配列されており、ロータディスクの外周面から放射方向に延出している。
【0034】
複数のロータディスクのうち、圧縮機10の吸込口28側に最も近い位置に配置された第1のロータディスクには、第1の動翼群23Aが設けられている。第1の動翼群23Aは、第1のロータディスクの周方向に配列された複数の動翼23で構成されている。
【0035】
第1のロータディスクの吐出口側に配置された第2のロータディスクには、第2の動翼群23Bが設けられている。第2のロータディスクの吐出口側には、吸込口28から吐出口に向かう方向に対して、所定の間隔を空けた状態で、第3の動翼群23C、第4の動翼群23D、第5の動翼群23E、第6の動翼群23Fが順次設けられている。
【0036】
なお、図1では、紙面の都合上、第1〜第6の動翼群23A〜23Fのみ図示したが、第6の動翼群23Fの吐出口側にも複数の動翼群が軸線O方向に配列されている。
【0037】
ケーシング13は、内側ケーシング25と、外側ケーシング26と、を有する。
内側ケーシング25は、ロータ11の外側に配置された筒状の部材である。内側ケーシング25は、可変静翼機構15を構成する可変静翼35の回転軸43が収容される軸収容部25Aを有する。軸収容部25Aは、内側ケーシング25の周方向及び軸線O方向に複数設けられている。内側ケーシング25は、回転軸43が回転可能な状態で、可変静翼35の一端側を支持している。
【0038】
外側ケーシング26は、内側ケーシング25の外側に配置された筒状の部材である。外側ケーシング26は、可変静翼機構15を構成する可変静翼35の回転軸44が収容される軸収容部26Aを有する。軸収容部26Aは、外側ケーシング26の周方向及び軸線O方向に複数設けられている。
外側ケーシング26は、回転軸44が回転可能な状態で、可変静翼35の他端側を支持している。外側ケーシング26と内側ケーシング25との間には、筒状の流路27が区画されている。
【0039】
ケーシング13は、吸込口28と、吐出口(図示せず)と、を有する。吸込口28は、軸線Oの一方の側に設けられている。吸込口28は、流路27と連通している。吸込口28は、ケーシング13内に作動流体(例えば、外気)を吸い込む。
吐出口は、軸線Oの他方の側に設けられている。吐出口は、流路27と連通している。吐出口は、ケーシング13内で圧縮された作動流体をケーシング13の外部に吐き出す。
【0040】
複数の可変静翼機構15は、第1〜第4の動翼群23A〜23Dの吸込口28側にそれぞれ設けられている。
ここで、図1及び図2を参照して、可変静翼機構15の構成について説明する。図2において、図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0041】
可変静翼機構15は、互いに離間した状態で軸線O方向に複数(図1の場合、一例として4つ)設けられている。
可変静翼機構15は、可動環31と、複数のリンク機構33と、複数の可変静翼35と、回転駆動部37と、を有する。
【0042】
可動環31は、環状とされた部材である。可動環31は、ケーシング13を囲むように、ケーシング13の外側に設けられている。
【0043】
複数のリンク機構33は、可動環31の周方向に所定間隔で配置されている。複数のリンク機構33は、一端が可動環31に固定されている。複数のリンク機構33の他端は、吸込口28側に突出している。
【0044】
図1図7を参照して、可変静翼35について説明する。図4及び図5において、図4では、図1図3に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。図5では、図4に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。図1図7において、同一構成部分には、同一符号を付す。
【0045】
可変静翼35は、静翼本体41と、回転軸43,44と、フィレット部45〜48と、曲面部50A〜50D,51A〜51Dと、を有する。
静翼本体41は、翼形状とされた部材である。静翼本体41は、作動流体が流通する流路27内に配置されている。
静翼本体41は、2つの縁である前縁41A及び後縁41Bと、翼面41abである正圧面41a及び負圧面41bと、径方向端面41c,41dと、を有する。
【0046】
前縁41Aは、正圧面41aと負圧面41bとを結ぶ一端を構成している。後縁41Bは、正圧面41aと負圧面41bとを結ぶ他端を構成している。正圧面41a及び負圧面41bは、湾曲した面である。
正圧面41aと負圧面41bとの圧力差は、前縁41Aと後縁41Bとの中間付近が最も大きくなり、前縁41Aまたは後縁41Bに向かうにつれて小さくなる。
【0047】
径方向端面41cは、軸線O方向一方側(内側ケーシング25側)に配置された端面である。径方向端面41cの中央部は、回転軸43と接続されている。
静翼本体41のうち、前縁41A側に位置する前縁側部分41AA、及び後縁41B側に位置する後縁側部分41BBは、回転軸43の外側に突出して配置されている。
これにより、前縁側部分41AAの径方向端面41c、及び後縁側部分41BBの径方向端面41cは、内側ケーシング25の外周面25a(ケーシングの周面)と対向している。
前縁側部分41AAの径方向端面41c、及び後縁側部分41BBの径方向端面41cと内側ケーシング25の外周面25aとの間には、クリアランスCLがそれぞれ形成されている。
【0048】
径方向端面41dは、軸線O方向他方側(外側ケーシング26側)に配置された端面である。径方向端面41dの中央部は、回転軸44と接続されている。
前縁側部分41AAの径方向端面41d、及び後縁側部分41BBの径方向端面41dは、外側ケーシング26の内周面26a(ケーシングの周面)と対向している。
前縁側部分41AAの径方向端面41d、及び後縁側部分41BBの径方向端面41dと外側ケーシング26の内周面26aとの間には、クリアランスCLがそれぞれ形成されている。
【0049】
回転軸43は、回転軸本体52と、拡径部53と、を有する。回転軸本体52は、軸線O方向に延在する柱状の部材である。回転軸本体52は、静翼本体41側の端部が内側ケーシング25の外周面25aから突出した状態で、残りの部分が軸収容部25Aに収容されている。
回転軸43は、作動流体の主流の流れ方向(S方向)に対する静翼本体41の角度を可変させるように回転する。
【0050】
拡径部53は、回転軸本体52と一体に構成されている。拡径部53は、軸線O方向において、静翼本体41と回転軸本体52との間に配置されている。拡径部53は、回転軸本体52の外径よりも拡径されている。
拡径部53は、静翼本体41の径方向端面41cの中央部と接続される接続面53aを有する。
【0051】
次に、図8を参照して、回転軸44について説明する。図8において、図1図7に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0052】
回転軸44は、回転軸本体55と、拡径部56と、を有する。回転軸本体55は、軸線O方向に延在する柱状の部材である。回転軸本体55は、静翼本体41側の端部が外側ケーシング26の内周面26aから突出した状態で、残りの部分が軸収容部26Aに収容されている。
【0053】
拡径部56は、回転軸本体55と一体に構成されている。拡径部56は、軸線O方向において、静翼本体41と回転軸本体55との間に配置されている。拡径部56は、回転軸本体52の外径よりも拡径されている。
拡径部56は、静翼本体41の径方向端面41dの中央部と接続される接続面56aを有する。
【0054】
次に、図3図7を参照して、フィレット部45について説明する。
フィレット部45は、正圧面41aと接続面53aとの間(境界部分)に設けられている。フィレット部45は、静翼本体41の正圧面41a側と拡径部53とを接続している。
フィレット部45は、正圧面41aが延びる方向に延在している。フィレット部45は、前縁41A側に配置された端部45Aと、後縁41B側に配置された端部45Bと、を有する。
【0055】
端部45A,45Bは、それぞれ接続面53aの外側で、かつ径方向端面41cの近傍に位置する正圧面41aに配置されている。端部45A,45Bは、それぞれ外面として第1の曲面45aを有する。
第1の曲面45aは、拡径部53から離れるにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
【0056】
フィレット部46は、負圧面41bと接続面53aとの間(境界部分)に設けられており、静翼本体41の負圧面41b側と拡径部53とを接続している。
フィレット部46は、負圧面41bが延びる方向に延在している。フィレット部46は、前縁41A側に配置された端部46Aと、後縁41B側に配置された端部46Bと、を有する。
【0057】
端部46A,46Bは、それぞれ接続面53aの外側で、かつ径方向端面41cの近傍に位置する負圧面41bに配置されている。端部46A,46Bは、それぞれ外面として第1の曲面46aを有する。
第1の曲面46aは、拡径部53から離れるにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
【0058】
フィレット部47は、正圧面41aと接続面56aとの間(境界部分)に設けられている。フィレット部47は、静翼本体41の正圧面41a側と拡径部56とを接続している。
フィレット部47は、正圧面41aが延びる方向に延在している。フィレット部47は、先に説明したフィレット部45と同様な構成とされている。具体的には、フィレット部47は、拡径部56の外側に配置され、第1の曲面45aを有する端部45A,45Bを備える。
【0059】
フィレット部48は、負圧面41bと接続面56aとの間(境界部分)に設けられており、静翼本体41の負圧面41b側と拡径部56とを接続している。
フィレット部48は、負圧面41bが延びる方向に延在している。フィレット部48は、先に説明したフィレット部46と同様な構成とされている。具体的には、フィレット部48は、拡径部56の外側に配置され、第1の曲面46aを有する端部46A,46Bを備える。
【0060】
曲面部50Aは、拡径部53の外側に突出する径方向端面41cに隣接する正圧面41aに設けられている。曲面部50Aは、拡径部53から前縁41Aに亘って配置されている。
曲面部50Aは、端部45Aを構成する第1の曲面45aと、第2の曲面41eと、を含んだ構成とされている。
曲面部50Aを構成する第2の曲面41eは、フィレット部45の端部45Aと前縁41Aとの間に位置する径方向端面41cを区画する静翼本体41の角部に形成されている。
【0061】
曲面部50Aを構成する第2の曲面41eは、フィレット部45の端部45Aに到達している。曲面部50Aを構成する第2の曲面41eは、第1の曲面45aよりも曲率半径が小さく、かつ端部45Aから前縁41Aに向かうにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
これにより、曲面部50Aは、拡径部53から前縁41Aに向かう方向に離れるにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
【0062】
曲面部50Bは、拡径部53の外側に突出する径方向端面41cに隣接する正圧面41aに設けられている。曲面部50Bは、拡径部53から後縁41Bに亘って配置されている。
曲面部50Bは、端部45Bを構成する第1の曲面45aと、第2の曲面41eと、を含んだ構成とされている。
曲面部50Bを構成する第2の曲面41eは、フィレット部45の端部45Bと後縁41Bとの間に位置する径方向端面41cを区画する静翼本体41の角部に形成されている。
【0063】
曲面部50Bを構成する第2の曲面41eは、フィレット部45の端部45Bに到達している。曲面部50Bを構成する第2の曲面41eは、第1の曲面45aよりも曲率半径が小さく、かつ端部45Bから後縁41Bに向かうにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
これにより、曲面部50Bは、拡径部53から後縁41Bに向かう方向に離れるにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
【0064】
曲面部50Cは、拡径部53の外側に突出する径方向端面41cに隣接する負圧面41bに設けられている。曲面部50Cは、拡径部53から前縁41Aに亘って配置されている。
曲面部50Cは、端部46Aを構成する第1の曲面46aと、第2の曲面41fと、を含んだ構成とされている。
曲面部50Cを構成する第2の曲面41fは、フィレット部46の端部46Aと前縁41Aとの間に位置する径方向端面41cを区画する静翼本体41の角部に形成されている。
【0065】
曲面部50Cを構成する第2の曲面41fは、フィレット部46の端部46Aに到達している。曲面部50Cを構成する第2の曲面41fは、第1の曲面46aよりも曲率半径が小さく、かつ端部46Aから前縁41Aに向かうにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
これにより、曲面部50Cは、拡径部53から前縁41Aに向かう方向に離れるにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
【0066】
曲面部50Dは、拡径部53の外側に突出する径方向端面41cに隣接する負圧面41bに設けられている。曲面部50Dは、拡径部53から後縁41Bに亘って配置されている。
曲面部50Dは、端部46Bを構成する第1の曲面46aと、第2の曲面41fと、を含んだ構成とされている。
曲面部50Dを構成する第2の曲面41fは、フィレット部46の端部46Bと後縁41Bとの間に位置する径方向端面41cを区画する静翼本体41の角部に形成されている。
【0067】
曲面部50Dを構成する第2の曲面41fは、フィレット部46の端部46Bに到達している。曲面部50Dを構成する第2の曲面41fは、第1の曲面46aよりも曲率半径が小さく、かつ端部46Bから後縁41Bに向かうにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
これにより、曲面部50Dは、拡径部53から後縁41Bに向かう方向に離れるにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
【0068】
上述した曲面部50A〜50Dを有することで、正圧面41aと負圧面41bとの圧力差が大きい拡径部53の近傍に配置された曲面部50A〜50Dにより、静翼本体41の径方向端面41c側において作動流体の流れが乱されることを抑制可能となる。
また、拡径部53から離れるにつれて徐々に曲面部50A〜50Dの曲率半径を小さくすることで、回転軸43近傍の漏れ流れの増加量を抑制した上で、可変静翼35の出口側における作動流体の流れを曲面部50A〜50Dに沿ってスムーズにすることが可能となる。
したがって、曲面部50A〜50Dを備えることで、漏れ流れの増加量を抑制した上で、静翼本体41の径方向端面41c側における圧力損失の発生を抑制することができる。
【0069】
曲面部51Aは、拡径部56の外側に突出する径方向端面41dに隣接する正圧面41aに設けられている。曲面部51Aは、拡径部56から前縁41Aに亘って配置されている。
曲面部51Aは、先に説明した曲面部50Aと同様な構成とされている。つまり、曲面部51Aは、端部45Aを構成する第1の曲面45aと、第2の曲面41eと、を含んだ構成とされている。
曲面部51Aは、拡径部56から前縁41Aに向かう方向に離れるにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
【0070】
曲面部51Bは、拡径部56の外側に突出する径方向端面41dに隣接する正圧面41aに設けられている。曲面部51Bは、拡径部56から後縁41Bに亘って配置されている。
曲面部51Bは、先に説明した曲面部50Bと同様な構成とされている。つまり、曲面部51Bは、端部45Bを構成する第1の曲面45aと、第2の曲面41eと、を含んだ構成とされている。
曲面部51Bは、拡径部56から後縁41Bに向かう方向に離れるにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
【0071】
曲面部51Cは、拡径部56の外側に突出する径方向端面41dに隣接する負圧面41bに設けられている。曲面部51Cは、拡径部56から前縁41Aに亘って配置されている。
曲面部51Cは、先に説明した曲面部50Cと同様な構成とされている。つまり、曲面部51Cは、端部46Aを構成する第1の曲面46aと、第2の曲面41fと、を含んだ構成とされている。
曲面部51Cは、拡径部56から前縁41Aに向かう方向に離れるにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
【0072】
曲面部51Dは、拡径部56の外側に突出する径方向端面41dに隣接する負圧面41bに設けられている。曲面部51Dは、拡径部56から後縁41Bに亘って配置されている。
曲面部51Dは、先に説明した曲面部50Dと同様な構成とされている。つまり、曲面部51Dは、端部46Bを構成する第1の曲面46aと、第2の曲面41fと、を含んだ構成とされている。
曲面部51Dは、拡径部56から後縁41Bに向かう方向に離れるにつれて徐々に曲率半径が小さくなるように構成されている。
【0073】
上述した曲面部51A〜51Dを有することで、正圧面41aと負圧面41bとの圧力差が大きい拡径部56の近傍に配置された曲面部51A〜51Dにより、静翼本体41の径方向端面41d側において作動流体の流れが乱されることを抑制可能となる。
また、拡径部56から離れるにつれて徐々に曲面部51A〜51Dの曲率半径を小さくすることで、回転軸44近傍の漏れ流れの増加量を抑制した上で、可変静翼35の出口側における作動流体の流れを曲面部51A〜51Dに沿ってスムーズにすることが可能となる。
したがって、曲面部51A〜51Dを備えることで、漏れ流れの増加量を抑制した上で、静翼本体41の径方向端面41d側における圧力損失の発生を抑制することができる。
【0074】
なお、図1では、一例として、軸線O方向に4つの可変静翼機構15を設けた場合を例に挙げて説明したが、軸線O方向に配置させる可変静翼機構15の数は、1つ以上であればよく、1つに限定されない。
【0075】
複数の静翼群17は、複数の可変静翼機構15が配置された領域の吐出口側に所定の間隔を空けて配置されている。各静翼群17は、外側ケーシング26の内面の周方向に固定された複数の静翼58で構成されている。複数の静翼58は、それぞれ静翼本体59を有する。静翼58は、流路27に配置されるとともに、軸線O方向において動翼23の間に配置されている。
複数の静翼群17を構成する静翼58は、作動流体の主流の流れ方向に対する複数の静翼本体59の角度が可変できない構成とされている。
【0076】
第1の実施形態の可変静翼35によれば、静翼本体41の径方向端面41c側に曲面部50A〜50Dを有することで、正圧面41aと負圧面41bとの圧力差が大きい拡径部53の近傍に配置された曲面部50A〜50Dにより、静翼本体41の径方向端面41c側において作動流体の流れが乱されることを抑制可能となる。
また、拡径部53から離れるにつれて徐々に曲面部50A〜50Dの曲率半径を小さくすることで、漏れ流れの増加量を抑制した上で、漏れ流れの増加量を抑制した上で、静翼本体41の径方向端面41c側における圧力損失の発生を抑制することができる。
【0077】
また、静翼本体41の径方向端面41d側に曲面部51A〜51Dを有することで、正圧面41aと負圧面41bとの圧力差が大きい拡径部56の近傍に配置された曲面部51A〜51Dにより、静翼本体41の径方向端面41d側において作動流体の流れが乱されることを抑制可能となる。
また、拡径部56から離れるにつれて徐々に曲面部51A〜51Dの曲率半径を小さくすることで、漏れ流れの増加量を抑制した上で、静翼本体41の径方向端面41d側における圧力損失の発生を抑制することができる。
【0078】
なお、第1の実施形態では、一例として、静翼本体41の径方向端面41c側に4つの曲面部(曲面部50A〜50D)を設けた場合を例に挙げて説明したが、曲面部50A〜50Dのうち、少なくとも1つの曲面部を設けることで、漏れ流れの増加量を抑制した上で、静翼本体41の径方向端面41c側における圧力損失の発生を抑制することができる。
【0079】
また、第1の実施形態では、一例として、静翼本体41の径方向端面41d側に4つの曲面部(曲面部51A〜51D)を設けた場合を例に挙げて説明したが、曲面部51A〜51Dのうち、少なくとも1つの曲面部を設けることで、漏れ流れの増加量を抑制した上で、静翼本体41の径方向端面41d側における圧力損失の発生を抑制することができる。
【0080】
また、第1の実施形態では、一例として、正圧面41a側及び負圧面41b側の両方に曲面部(曲面部50A〜510D,51A〜51D)を設けた場合を例に挙げて説明したが、例えば、正圧面41a側のみに曲面部(具体的には、曲面部50A,50Bまたは曲面部50A,50B,51A,51B)を設けてもよいし、負圧面41b側のみに曲面部(具体的には、曲面部50C,50Dまたは曲面部50C,50D,51C,51D)を設けてもよい。
【0081】
(第2の実施形態)
図10及び図11を参照して、第2の実施形態の圧縮機60について説明する。図10において、図1図3に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。図11において、図10に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
なお、図10及び図11には、図示していないが第2の実施形態の圧縮機60は、第1の実施形態の圧縮機10を構成する曲面部50A〜50D,51A〜51Dを有する。
【0082】
第2の実施形態の圧縮機60は、第1の実施形態の圧縮機10を構成する軸収容部25A及び拡径部53の形状を異ならせたこと以外は、圧縮機10と同様な構成とされている。
軸収容部25Aは、内側ケーシング25の外周面25aから露出された第1の部分61と、第1の部分61と一体とされ、外周面25aから離れた位置に配置された第2の部分62と、を有する。
拡径部53は、第1の部分61と対向するとともに、凹んだ湾曲面53bを有する。
【0083】
第1の部分61は、第2の部分62から外周面25aに向かうにつれて、拡径された形状とされている。第1の部分61は、傾斜面61aと、第1の湾曲面61bと、第2の湾曲面62cと、を有する。
傾斜面61aは、一定の角度で傾斜した面である。第1の湾曲面61bは、傾斜面61aと第2の部分62の内周面62aとの間に形成されている。第1の湾曲面61bは、湾曲面53bに向かう方向に突出している。
第2の湾曲面61cは、内側ケーシング25の外周面25a傾斜面61aとの間に形成されている。第2の湾曲面61cは、湾曲面53bに向かう方向に突出している。
【0084】
第2の実施形態の圧縮機60によれば、上述した湾曲面53b、傾斜面61a、第1の湾曲面61b、及び第2の湾曲面62cを有することで、湾曲面53bの端と第1及び第2の湾曲面61b,61cとの間に形成される隙間を小さくすることが可能となる。これにより、内側ケーシング25と湾曲面53bとの間における漏れ流れの発生を抑制することができる。
【0085】
なお、第2の実施形態では、拡径部53に湾曲面53bを設けるとともに、内側ケーシング25に傾斜面61a、第1の湾曲面61b、及び第2の湾曲面62cを設けた場合を例に挙げて説明したが、例えば、拡径部56湾曲面53bを設けるとともに、外側ケーシング26に傾斜面61a、第1の湾曲面61b、及び第2の湾曲面62cを設けてもよい。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
10,60…圧縮機
11…ロータ
13…ケーシング
15…可変静翼機構
17…静翼群
21…ロータ本体
23…動翼
23A…第1の動翼群
23B…第2の動翼群
23C…第3の動翼群
23D…第4の動翼群
23E…第5の動翼群
23F…第6の動翼群
25…内側ケーシング
25a…外周面
25A,26A…軸収容部
26…外側ケーシング
26a…内周面
27…流路
28…吸込口
31…可動環
33…リンク機構
35…可変静翼
37…回転駆動部
41,59…静翼本体
41a…正圧面
41A…前縁
41AA…前縁側部分
41ab…翼面
41b…負圧面
41B…後縁
41BB…後縁側部分
41c,41d…径方向端面
41e,41f…第2の曲面
43,44…回転軸
45〜48…フィレット部
45a,46a…第1の曲面
45A,45B,46A,46B…端部
50A〜50D,51A〜51D…曲面部
52,55…回転軸本体
53,56…拡径部
53a,56a…接続面
53b…湾曲面
58…静翼
61…第1の部分
61a…傾斜面
61b…第1の湾曲面
61c…第2の湾曲面
62…第2の部分
62a…内周面
CL,CL…クリアランス
S…方向
,O…軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11