特許第6982485号(P6982485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982485
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】芝生用殺菌剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/42 20060101AFI20211206BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20211206BHJP
   A01N 43/72 20060101ALI20211206BHJP
   A01N 47/44 20060101ALI20211206BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20211206BHJP
   A01N 37/34 20060101ALI20211206BHJP
   A01N 47/12 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   A01N43/42 101
   A01P3/00
   A01N43/72
   A01N47/44
   A01N43/40 101J
   A01N37/34 104
   A01N47/12 102
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-239067(P2017-239067)
(22)【出願日】2017年12月13日
(65)【公開番号】特開2019-104711(P2019-104711A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2020年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109508
【弁理士】
【氏名又は名称】菊間 忠之
(72)【発明者】
【氏名】池田 庸二
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−166991(JP,A)
【文献】 特開2014−221747(JP,A)
【文献】 特表2016−501899(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/047441(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/061483(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/081174(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/080870(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/161071(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/018686(WO,A1)
【文献】 特開2014−037406(JP,A)
【文献】 特開2007−077027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 43/00
A01P 3/00
A01N 47/00
A01N 37/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−{2−[(7,8−ジフルオロ−2−メチルキノリン−3−イル)オキシ]−6−フルオロフェニル}プロパン−2−オールと、
多作用点阻害殺菌剤、酸化的リン酸化の脱共役剤およびミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤から選ばれる少なくとも一つの化合物Bと
を含有し、
多作用点阻害殺菌剤がイミノクタジン、イミノクタジンの塩およびクロロタロニルからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
酸化的リン酸化の脱共役剤がフルアジナムであり、
ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤がピリベンカルブである、
芝生用殺菌剤組成物。
【請求項2】
芝生を構成する芝草が、ノシバ、コウライシバ、ビロードシバ、バミューダグラス、セントオーガスチングラス、クリーピングベントグラス、ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライグラス、およびフェスクからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
芝生に発生する、さび病、葉腐病(ラージパッチ、ブラウンパッチ)、葉枯病(犬の足跡)、疑似葉腐病、春はげ症、象の足跡、イエローパッチ 、赤焼病、ダラースポット病、雪腐大粒菌核病、炭そ病、うどんこ病、白絹病、立枯病、フェアリーリング病、およびいもち病からなる群より選ばれる少なくとも1つの病害の防除に用いるものである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかひとつに記載の組成物を、芝生用の土壌又は芝生を構成する芝草の茎葉に施用することを含む、芝生にて繁殖することがある糸状菌の防除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、残効性が高い、つまり効果持続期間が長い芝生用殺菌剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
芝生の病害防除のために各種の薬剤が知られている。散布された芝生用薬剤に含まれる活性成分物質は、分解などによって減少していくため、病害菌などに対する効果は継時的に低下してしまう。残効性が高い、つまり効果持続期間が長い芝生用薬剤は、散布間隔日数が同じ場合、残効性の低い芝生用薬剤に比べて少ない散布量でも病害菌などの防除効果を維持でき、また、散布量が同じ場合、残効性の低い芝生用薬剤に比べて長い散布間隔としても病害菌の防除効果を維持できるので、芝生管理の費用および手間を減らすことができる。
【0003】
ところで、特許文献1は、式(A)で表される化合物、式(B)で表される化合物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物と、フルアジナムなどの酸化的リン酸化の脱共役剤、イミノクタジンなどのグアニジン系殺菌剤、ピリベンカルブなどのQoI剤などからなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物とを含有する農園芸用殺菌剤組成物を開示している。この農園芸用殺菌剤組成物の対象植物として芝類が例示されているが、この農園芸用殺菌剤組成物を適用して殺菌した菌の具体例としては、ジャガイモブドウ糖培地上の灰色カビ病菌(Botrytis cinerea Persoon (糸状菌 不完全菌類))、キュウリ灰色カビ病菌、キュウリうどんこ病菌が示されるのみである。
【0004】

{式(1)中、Xはそれぞれ独立してハロゲノ基またはC1〜6アルキル基を示す。nはXの個数を示し且つ0〜6のいずれかの整数である。X’はハロゲノ基を示す。R1、R2及びR3はそれぞれ独立してC1〜6アルキル基または水酸基を示す。}
【0005】

{式(2)中、Xはそれぞれ独立してハロゲノ基またはC1〜6アルキル基を示す。nはXの個数を示し且つ0〜6のいずれかの整数である。X’はハロゲノ基を示す。R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素原子、C1〜6アルキル基または水酸基を示す。}
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2013/047441 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、残効性が高い、つまり効果持続期間が長い芝生用殺菌剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するものとして、以下の態様を包含する本発明を完成するに至った。
【0009】
〔1〕 式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物Aと、
多作用点阻害殺菌剤、酸化的リン酸化の脱共役剤およびミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤から選ばれる少なくとも一つの化合物Bと
を含有する、芝生用殺菌剤組成物。
【0010】

{式(1)中、Xはそれぞれ独立してハロゲノ基またはC1〜6アルキル基を示す。nは化学的に許容されるXの個数を示し且つ0〜6のいずれかの整数である。X’は水素原子またはハロゲノ基を示す。R1、R2及びR3はそれぞれ独立してC1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基または水酸基を示す。A1及びA2はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子を示す。}
【0011】

{式(2)中、Xはそれぞれ独立してハロゲノ基またはC1〜6アルキル基を示す。nは化学的に許容されるXの個数を示し且つ0〜6のいずれかの整数である。X’は水素原子またはハロゲノ基を示す。R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素原子、C1〜6アルキル基または水酸基を示す。}
【0012】
〔2〕 多作用点阻害殺菌剤がイミノクタジン、イミノクタジンの塩およびクロロタロニルからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
酸化的リン酸化の脱共役剤がフルアジナムであり、
ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤がピリベンカルブである、
〔1〕に記載の組成物。
【0013】
〔3〕 芝生を構成する芝草が、ノシバ、コウライシバ、ビロードシバ、バミューダグラス、セントオーガスチングラス、クリーピングベントグラス、ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライグラス、およびフェスクからなる群より選ばれる少なくとも1つである、〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
【0014】
〔4〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載の組成物を、芝生用の土壌又は芝生を構成する芝草の茎葉に施用することを含む、芝生にて繁殖することがある糸状菌の防除方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の芝生用殺菌剤組成物は、残効性が高い、つまり効果持続期間が長い。本発明の芝生用殺菌剤組成物は、散布間隔日数が同じ場合、残効性の低い芝生用薬剤に比べて少ない散布量でも病害菌などの防除効果が維持され、また、散布量が同じ場合、残効性の低い芝生用薬剤に比べて長い散布間隔としても病害菌の防除効果が維持される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の芝生用殺菌剤組成物は、化合物Aと化合物Bとを含有するものである。
【0017】
本発明に用いられる化合物Aは、式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と表記することがある。)、式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)と表記することがある。)、化合物(1)の塩、及び化合物(2)の塩からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
【0018】
【0019】
【0020】
式(1)または式(2)中のXはそれぞれ独立してハロゲノ基またはC1〜6アルキル基を示す。nは化学的に許容されるXの個数を示し且つ0〜6のいずれかの整数である。
Xにおける、C1〜6アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。C1〜6アルキル基は、一部または全部の水素原子が、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の基で置換されていてもよい。該置換基としては、ハロゲノ基、水酸基等を挙げることができる。
Xにおける、ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基を挙げることができる。
【0021】
式(1)または式(2)中のX’は水素原子またはハロゲノ基を示す。X’におけるハロゲノ基としてはXにおいて例示したそれと同じものを挙げることができる。
【0022】
式(1)中のR1、R2及びR3はそれぞれ独立してC1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基または水酸基を示す。R1、R2及びR3におけるC1〜6アルキル基としてはXにおいて例示したそれと同じものを挙げることができる。
1、R2及びR3におけるC1〜6アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基等を挙げることができる。
1及びA2はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子を示す。
【0023】
式(2)中のR4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素原子、C1〜6アルキル基または水酸基を示す。R4、R5、R6及びR7におけるC1〜6アルキル基としてはXにおいて例示したそれと同じものを挙げることができる。
【0024】
本発明に用いられる化合物(1)の塩及び化合物(2)の塩は、農園芸学上許容される塩であれば、特に制限されない。例えば、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸の塩;酢酸塩、乳酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩等の有機酸の塩;等を挙げることができる。
【0025】
化合物(1)及びその塩は、公知物質である。化合物(1) 及びその塩の具体例としては、例えば、WO 2011/081174 A1に記載される化合物を挙げることができる。また、化合物(1)及びその塩は、公知の手法、例えば、WO 2011/081174 A1に記載される方法によって製造することができる。
【0026】
化合物(2)及びその塩は、公知物質である。化合物(2) 及びその塩の具体例としては、例えば、WO 2010/018686 A1に記載される化合物を挙げることができる。また、化合物(2)及びその塩は、公知の手法、例えば、WO 2010/018686 A1に記載される方法によって製造することができる。
【0027】
本発明において好ましく用いられる化合物Aとしては、式(1-1)または(1-2)で表される化合物が挙げられる。
【0028】
【0029】
【0030】
本発明に用いられる化合物Bは、多作用点阻害殺菌剤、酸化的リン酸化の脱共役剤、およびミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
【0031】
多作用点阻害殺菌剤としては、銅(銅塩)、ボルドー液、水酸化銅、銅ナフタレート、酸化銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、硫黄、硫黄製品、多硫化カルシウム、ファーバム、マンコゼブ、マネブ、マンカッパー、メチラム、ポリカーバメート、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム、キャプタン、カプタホール、フォルペット、クロロタロニル、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、グアザチン、イミノクタジン酢酸塩(iminoctadine triacetate)、イミノクタジンアルベシル酸塩(iminoctadine trialbesilate)、アニラジン、ジチアノン、キノメチオネート、フルオルイミド等が挙げられる。これらのうち、イミノクタジン、イミノクタジンの塩およびクロロタロニルからなる群から選ばれる少なくとも一つが好ましい。
【0032】
酸化的リン酸化の脱共役剤としては、ビナパクリル、メプチルジノカップ、ジノカップ、フルアジナム、フェリムゾン等が挙げられる。これらのうち、フルアジナムが好ましい。
【0033】
ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤(QoI剤、QiI剤など)としては、アゾキシストロビン、クモキシストロビン、クメトキシストロビン、エノキサストロビン、フルフェノキシストロビン、ピコキシストロビン、ピラオキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、トリクロピリカルブ、クレソキシム-メチル、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン、フェナミンストロビン、メトミノストロビン、オリサストロビン、ファモキサドン、フルオキサストロビン、フェンアミドン、ピリベンカルブ、ストロビン等が挙げられる。これらのうち、ピリベンカルブが好ましい。
【0034】
本発明の芝生用殺菌剤組成物において、化合物Bの量は、化合物A 1質量部に対して、好ましくは0.63質量部超過150質量部以下、より好ましくは0.65質量部以上90質量部以下、さらに好ましくは0.7質量部以上60質量部以下、最も好ましくは0.7質量部以上35質量部以下である。
【0035】
本発明の芝生用殺菌剤組成物における化合物Aの含有量は、製剤の形態により異なる。製剤の形態として、例えば、水和剤、乳剤、粉剤、粒剤、水溶剤、懸濁剤、顆粒水和剤、錠剤等を挙げることができる。例えば、水和剤における化合物Aの含有量は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜85重量%であり、乳剤における化合物Aの含有量は、好ましくは3〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%であり、粒剤における化合物Aの含有量は、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.05〜40重量%である。
【0036】
本発明の芝生用殺菌剤組成物には、本発明の効果に影響を与えない範囲において、肥料、固体担体、増粘剤、界面活性剤、展着剤、添加剤、溶剤等が含まれていてもよい。
【0037】
肥料としては、堆肥、油粕、魚粉、牛糞、鶏糞等あるいはこれらを加工してなる有機資材;硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸石灰、尿素等の窒素肥料;過リン酸石灰、リン酸第一アンモニウム、熔成リン肥等のリン酸肥料;塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム等のカリ肥料;苦土石灰等の苦土肥料;消石灰等の石灰肥料;ケイ酸カリウム等のケイ酸肥料;ホウ酸塩等のホウ素肥料;各種無機肥料を含有してなる化成肥料;等を挙げることができる。
【0038】
固体担体としては、大豆粒、小麦粉等の植物性粉末;二酸化ケイ素、珪藻土、燐灰石、石こう、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレー、目土等の鉱物性微粉末等を挙げることができる。
【0039】
添加剤としては、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有機及び無機化合物等;ナタネ油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、マツ(pine)油、綿実油、並びにこれらの油の誘導体や、これらの油濃縮物等を挙げることができる。
溶剤としては、ケロシン、キシレン;ソルベントナフサ等の石油留分;シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、植物油、水等を挙げることができる。
【0040】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
【0041】
本発明の芝生用殺菌剤組成物には、本発明の効果を低下させない限りにおいて、さらに殺虫・殺ダニ剤、植物生長調節剤、他の殺菌剤等を含有することができる。
【0042】
以下に、本発明の芝生用殺菌剤組成物を製剤化する際の処方例を示す。なお、本発明の主旨に反しない範囲で製剤処方は修正することができ、本発明は以下の処方例によって何ら制限されるものではない。「部」は特段の断りが無い限り「重量部」を意味する。
【0043】
(製剤1:水和剤)
化合物A+化合物B 40部
珪藻土 53部
高級アルコール硫酸エステル 4部
アルキルナフタレンスルホン酸塩 3部
以上を均一に混合して微細に粉砕して、有効成分40%の水和剤を得る。
【0044】
(製剤2:乳剤)
化合物A+化合物B 30部
キシレン 33部
ジメチルホルムアミド 30部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 7部
以上を混合溶解して、有効成分30%の乳剤を得る。
【0045】
(製剤3:粉剤)
化合物A+化合物B 10部
クレー 90部
以上を均一に混合して微細に粉砕し、有効成分10%の粉剤を得る。
【0046】
(製剤4:粒剤)
化合物A+化合物B 5部
クレー 73部
ベントナイト 20部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 1部
リン酸カリウム 1部
以上をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
【0047】
(製剤5:懸濁剤)
化合物A+化合物B 10部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 4部
ポリカルボン酸ナトリウム塩 2部
グリセリン 10部
キサンタンガム 0.2部
水 73.8部
以上を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕し、有効成分10%の懸濁剤を得る。
【0048】
(製剤6:顆粒水和剤)
化合物A+化合物B 40部
クレー 36部
塩化カリウム 10部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 1部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の
ホルムアルデヒド縮合物 5部
以上を均一に混合して微細に粉砕後,適量の水を加えてから練り込んで粘土状にする。粘土状物を造粒した後乾燥し、有効成分40%の顆粒水和剤を得る。
【0049】
本発明の芝生用殺菌剤組成物は、公知の、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、植物成長調整剤等と併用することにより、省力化等の効果をもたらす場合がある。
【0050】
本発明の芝生用殺菌剤組成物は、そのまま若しくは水で所定の濃度に希釈して、または溶解液、懸濁液あるいは乳濁液の形態にして、芝生用の土壌に潅注、混和または散布したりすることによって、または、芝生を構成する芝草の茎葉に散布したりすることによって、施用する。
本発明の芝生用殺菌剤組成物は、1ヘクタール当たりに、化合物Aと化合物Bとの合計量で好ましくは50g以上、より好ましくは75g以上、さらに好ましくは100g以上が施用されるようにする。また、本発明の芝生用殺菌剤組成物は、施用する際に、化合物Aの濃度が、好ましくは20ppm以上、より好ましくは30ppm以上、さらに好ましくは40ppm以上、よりさらに好ましくは50ppm以上となるように調整する。本発明の芝生用殺菌剤組成物は、芝草の種子を処理するために使用することができる。
【0051】
本発明の芝生用殺菌剤組成物の処理の対象となる芝草は、芝生を構成する芝草であれば特に制限されない。例えば、スズメガヤ亜科として、ノシバ、コウシュンシバ、ビロードシバなどの日本芝類、ギョウギシバ、バミューダグラス、アフリカンバミューダグラス、ティフトンシバなどのバミューダグラス類、ウィーピングラブグラス、バッファローグラスを挙げることができ、キビ亜科として、センチペドグラス、カーペットグラス、バヒアグラス、シマスズメノヒエ・ダリスグラス、キクユグラス(アフリカチカラシバ)、セントオーガスチングラス(イヌシバ)などを挙げることができ、ウシノケグサ亜科として、レッドトップ、コロニアルベントグラス、クリーピングベントグラス、ベルベットベントグラスなどのベントグラス類、ケンタッキーブルーグラス(ナガハグサ)、ラフストークドメドウグラス(オオスズメノカタビラ)、スズメノカタビラ、カナダブルーグラス(イチゴツナギ)などのブルーグラス類、レッドフェスク(オオウシノケグサ)、チューイングフェスク(イトウシノケグサ)、ハードフェスク(コウライウシノケグサ)、シープフェスク、トールフェスクなどのフェスク類、ペレニアルライグラス、イタリアンライグラスなどのライグラス(ホソムギ)類、オーチャードグラス、チモシー、スムーズブロムグラス、トールオートグラス、クレステッドホイートグラス、ウエスタンホイートグラス、スイートバーナルグラスなどの寒地型芝草などを挙げることができる。これらのうち、ノシバ、コウライシバ、ビロードシバ、バミューダグラス、セントオーガスチングラス、クリーピングベントグラス、ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライグラス、およびフェスクからなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましい。
【0052】
芝生が罹患する主な病気としては、さび病、葉腐病(ラージパッチ(Rhizoctonia solani AG-2-2(IV))、ブラウンパッチ(Rhizoctonia solani AG-2-2(IIIB)))、葉枯病(犬の足跡(Curvularia geniculate))、疑似葉腐病(春はげ症、象の足跡、イエローパッチ)、赤焼病(Pythium aphanidermatum)、ダラースポット病(Sclerotinia homoeocarpa)、雪腐大粒菌核病(Sclerotinia borealis)、炭そ病(Colletotrichum graminicola)、うどんこ病(Erysiphe graminis)、白絹病、立枯病、フェアリーリング病(Lycoperdon perlatum、Lepista sordida、Marasmius oreades)、いもち病(Pyricularia sp.)、などが挙げられる。本発明の芝生用殺菌剤組成物は、これら芝生の病害に対する防除効果に優れる。
【0053】
芝生の病気の原因となる病原菌の約8割が糸状菌と言われている。糸状菌としては、例えば、藻菌類(Oomycetes)、子のう(嚢)菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)に属する菌などを挙げることができる。本発明の芝生用殺菌剤組成物は、芝生に繁殖することがある糸状菌に対する殺菌効果に優れる。本発明の芝生用殺菌剤組成物は、既存薬剤の耐性菌に対しても優れた殺菌効果を有する。さらに、ごく低薬量の施用で効果を示すため、新たな耐性菌の出現を予防する効果がある。
【0054】
以下に本発明の芝生用殺菌剤組成物の作用効果を実施例によって具体的に説明する。但し、以下の実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0055】
実施例1
2−{2−[(7,8−ジフルオロ−2−メチルキノリン−3−イル)オキシ]−6−フルオロフェニル}プロパン−2−オール(式(1-2)参照、以下、化合物(1-2)という。)の10%SC剤を水で希釈して、化合物(1-2)50ppm含有溶液(溶液1-a)を得た。
カシマン液剤(イミノクタジン酢酸塩5.0%)を水で希釈し、イミノクタジン酢酸塩50ppm含有溶液(溶液1-b)を得た。
化合物(1-2)の10%SC剤とカシマン液剤との1:1混合物を水で希釈し、化合物(1-2)50ppmとイミノクタジン酢酸塩50ppm含有溶液(溶液1-c)を得た。
【0056】
ハウス内において、ベントグラスダラースポット病が甚発生したベントグラス(ペンクロス)に、TeeJet社製ノズルを取り付けたCO2加圧式スプレーヤーを用いて、水、溶液1-a、溶液1-b、および溶液1-cを、各試験区に、それぞれ0.5L/m2、約7日間に1回の頻度で、3回散布した。
第3回目の散布をした日から、14日間、22日間、および29日間、経過したときに、水を散布した試験区(無処理区)に対する溶液1-a、溶液1-bまたは溶液1-cを散布した試験区(処理区1-a、1-bまたは1-c)における発病面積率(%)をそれぞれ調査し、以下の式で、実測防除率(%)を算出した。各試験は2反復で行った。
実測防除率=(1−(処理区平均発病面積率/無処理区平均発病面積率))×100
【0057】
処理区1-aにおける実測防除率Mおよび処理区1-bにおける実測防除率Nから、コルビーの式に基づいて、処理区1-cにおける理論防除率Eを算出し、処理区1-cにおける実測防除率と対比した。結果を表1に示す。
コルビーの式: E=M+N−(M×N)/100
【0058】
【表1】
【0059】
実施例2
化合物(1-2)の20%SC剤を水で希釈し、化合物(1-2)314ppm含有溶液(溶液2-a)及び化合物(1-2)157ppm含有溶液(溶液2-a')を得た。
フルアジナムの40%SC剤を水で希釈し、フルアジナム786ppm含有溶液(溶液2-b)及びフルアジナム393ppm含有溶液(溶液2-b')を得た。
化合物(1-2)の20%SC剤とフルアジナムの40%SC剤との314:786混合物を、水で希釈し、化合物(1-2)314ppmとフルアジナム786ppm含有溶液(溶液2-c)及び化合物(1-2)157ppmとフルアジナム393ppm含有溶液(溶液2-c')を得た。
【0060】
圃場において、ベントグラスダラースポット病が多発生したベントグラス(ペンクロス)に、TeeJet社製ノズルを取り付けたCO2加圧式スプレーヤーを用いて、水、溶液2-a、溶液2-b、溶液2-c、溶液2-a'、溶液2-b'、および溶液2-c'を、各試験区に、それぞれ81mL/m2散布した。
散布をした日から、14日間、20日間、および27日間、経過したときに、水を散布した試験区(無処理区)に対する溶液2-a、溶液2-b、溶液2-c、溶液2-a'、溶液2-b'または溶液2-c'を散布した試験区(処理区2-a、2-b、2-c、2-a'、2-b'、または2-c')における発病面積率(%)をそれぞれ調査し、実測防除率(%)を算出した。各試験は3反復で行った。
処理区2-aにおける実測防除率および処理区2-bにおける実測防除率から、コルビーの式に基づいて、処理区2-cにおける理論防除率を算出し、処理区2-cにおける実測防除率と対比した。処理区2-a'における実測防除率および処理区2-b'における実測防除率から、コルビーの式に基づいて、処理区2-c'における理論防除率を算出し、処理区2-c'における実測防除率と対比した。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
実施例3
化合物(1-2)の20%SC剤を水で希釈し、化合物(1-2)314ppm含有溶液(溶液3-a)及び化合物(1-2)157ppm含有溶液(溶液3-a')を得た。
ダコニールSC剤(クロロタロニル)を水で希釈し、クロロタロニル9946ppm含有溶液(溶液3-b)及びクロロタロニル4973ppm含有溶液(溶液3-b')を得た。
化合物(1-2)の20%SC剤とダコニールSC剤との314:9946混合物を水で希釈し、化合物(1-2)314ppmとクロロタロニル9946ppm含有溶液(溶液3-c)及び化合物(1-2)157ppmとクロロタロニル4973ppm含有溶液(溶液3-c')を得た。
【0063】
圃場において、ベントグラスダラースポット病が多発生したベントグラス(ペンクロス)に、TeeJet社製ノズルを取り付けたCO2加圧式スプレーヤーを用いて、水、溶液3-a、溶液3-b、溶液3-c、溶液3-a'、溶液3-b'、および溶液3-c'を、各試験区に、それぞれ81mL/m2散布した。
散布をした日から、14日間、20日間、および27日間、経過したときに、水を散布した試験区(無処理区)に対する溶液3-a、溶液3-b、溶液3-c、溶液3-a'、溶液3-b'または溶液3-c'を散布した試験区(処理区3-a、3-b、3-c、3-a'、3-b'、または3-c')における発病面積率(%)をそれぞれ調査し、実測防除率(%)を算出した。各試験は3反復で行った。
処理区3-aにおける実測防除率および処理区3-bにおける実測防除率から、コルビーの式に基づいて、処理区3-cにおける理論防除率を算出し、処理区3-cにおける実測防除率と対比した。処理区3-a'における実測防除率および処理区3-b'における実測防除率から、コルビーの式に基づいて、処理区3-c'における理論防除率を算出し、処理区3-c'における実測防除率と対比した。結果を表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
実施例4
化合物(1-2)の10%SC剤を水で希釈し、化合物(1-2)25ppm含有溶液(溶液4-a)を得た。
ファンターフ顆粒水和剤(ピリベンカルブ)を水で希釈し、ピリベンカルブ50ppm含有溶液(溶液4-b)を得た。
化合物(1-2)の10%SC剤とファンターフ顆粒水和剤との1:2混合物を水で希釈し、化合物(1-2)25ppmとピリベンカルブ50ppm含有溶液(溶液4-c)を得た。
【0066】
圃場において、ベントグラスダラースポット病菌を植え付けたベントグラス(ペンクロス)に、TeeJet社製ノズルを取り付けたCO2加圧式スプレーヤーを用いて、水、溶液4-a、溶液4-b、および溶液4-cを、各試験区に、それぞれ0.5L/m2散布した。
散布をした日から、13日間、15日間、18日間、および20日間、経過したときに、水を散布した試験区(無処理区)に対する溶液4-a、溶液4-b、または溶液4-cを散布した試験区(処理区4-a、4-b、または4-c)における発病面積率(%)をそれぞれ調査し、実測防除率(%)を算出した。各試験は3反復で行った。
処理区4-aにおける実測防除率および処理区4-bにおける実測防除率から、コルビーの式に基づいて、処理区4-cにおける理論防除率を算出し、処理区4-cにおける実測防除率と対比した。結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
以上の結果から、本発明に係る芝生用殺菌剤組成物は、化合物Aと化合物Bとの相乗的効果を奏して、高い残効性、すなわち長い効果持続時間を有することがわかる。