(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す側断面図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、ランプボディ12とこのランプボディ12の前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、灯具ユニット20が組み込まれた構成となっている。
【0026】
灯具ユニット20は、発光素子32と、この発光素子32からの出射光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタ52とを備えた構成となっている。
【0027】
図2は、
図1のII部詳細図である。また、
図3は、発光素子32を含む光源ユニット30を単品で示す底面図であり、
図4は、光源ユニット30を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【0028】
これらの図において、Xで示す方向が灯具としての「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「右方向」であり、Zで示す方向が「上方向」である。
【0029】
これらの図に示すように、光源ユニット30は、発光素子32と、この発光素子32の灯具後方近傍に配置された反射部材34と、これらを支持する基板36とを備えており、その基板36は水平面に沿って延びた状態で配置されている。
【0030】
発光素子32は、白色発光ダイオードであって、横長矩形状の発光面32aを有している。
【0031】
この発光素子32は、その発光面32aを真下の方向に向けた状態で、基板36の下面36aに搭載されている。
【0032】
基板36の下面36aには、発光素子32と電気的に接続された導電パターン38が形成されている。また、基板36の下面36aの後端部には、導電パターン38を給電用コード(図示せず)と電気的に接続するためのコネクタ40が搭載されている。
【0033】
基板36の上面側には、水平面に沿って延びるヒートシンク60が配置されている。基板36は、このヒートシンク60に固定支持されている。この固定支持は、基板36の左右両側面に形成された凹部36bにおいて位置決めされた状態で、その後部の左右2箇所に形成されたネジ挿通孔36c、36dにおいてネジ締めすることによって行われている。
【0034】
リフレクタ52は、光源ユニット30の下方に配置されている。
【0035】
このリフレクタ52の反射面52aは、縦横格子状の配置で形成された複数の反射素子52sによって構成されている。各反射素子52sは、発光素子32の発光中心(すなわち発光面32aの中心位置)Aを焦点とするとともにこの発光中心Aを通るようにして灯具前後方向に延びる軸線を中心軸とする回転放物面を基準面として凹曲面状に形成されている。
【0036】
このリフレクタ52は、その上端縁が、光源ユニット30における発光素子32および反射部材34の灯具後方側でかつコネクタ40の灯具前方側において、その基板36の下面36aに近接する位置まで延びるように形成されている。
【0037】
そして、このリフレクタ52においては、その反射面52aを構成する各反射素子52sにおいて発光素子32からの光を拡散反射および/または偏向反射させるようになっている。
【0038】
図1に示すように、リフレクタ52は、射出成形品として形成された樹脂製のリフレクタユニット50の一部として構成されている。
【0039】
このリフレクタユニット50は、発光素子32の灯具前方側に配置された上壁部54を備えている。この上壁部54は、リフレクタ52の上端部と略同じ高さ位置において水平面に沿って延びるように形成されている。この上壁部54の上面には、上方へ突出する位置決めピン54aが形成されており、その周囲には環状突起部54bが形成されており、さらにその灯具後方側には環状突起部54bよりも低い突起部54cが形成されている。
【0040】
一方、ヒートシンク60には、位置決めピン54aに対応する位置において該ヒートシンク60を上下方向に貫通するピン挿通孔60aが形成されている。
【0041】
そして、リフレクタユニット50は、その位置決めピン54aをピン挿通孔60aに対して下方から挿入して、その環状突起部54bをヒートシンク60の下面に当接させた状態でネジ締め等を行うことによってヒートシンク60に固定されている。その際、上壁部54の突起部54cが基板36の下面36aに当接するようになっている。
【0042】
リフレクタユニット50は、その上壁部54の後端部が付加リフレクタ56として構成されている。
【0043】
この付加リフレクタ56は、発光素子32から灯具前方側に離れた位置において、発光素子32からの出射光を該発光素子32の灯具後方近傍へ向けて反射させるように構成されている。
【0044】
図2〜4に示すように、基板36の下面36aにおける発光素子32の灯具後方側に位置する部位にはランド部42が形成されている。このランド部42は、発光素子32よりもひとまわり大きい横長矩形状の外形形状を有している。
【0045】
このランド部42は、導電パターン38と共に基板36の下面36aにプリントされた金属箔によって構成されている。導電パターン38は、このランド部42を迂回するように形成されている。
【0046】
反射部材34は、ランド部42にハンダ付け等によって溶着された金属片で構成されている。
【0047】
この反射部材34は、ステンレス鋼板に曲げ加工を施すことによって形成されている。その際、この反射部材34は、ランド部42に溶着された上端水平部の前端縁から斜め下前方へ向けて平面状に延びた後、斜め上前方へ向けて平面状に延びるように形成されている。
【0048】
そして、この反射部材34においては、その斜め上前方へ向けて延びる部分の下面が、付加リフレクタ56で反射した発光素子32からの光をリフレクタ52へ向けて正反射させる反射面34aを構成している。この反射面34aは、発光素子32の発光面32aと略同一サイズの外形形状を有しており、水平面に対する傾斜角度が10〜30°(例えば20°)程度の値に設定されている。
【0049】
その際、この反射部材34は、その反射面34aの前端縁が発光素子32の発光面32aと略同じ高さ位置となるように形成されており、かつ、この前端縁が発光面32aの後端縁と近接するように(具体的には、灯具前後方向の隙間が発光面32aの前後幅の1/5以下の値となるように)形成されている。
【0051】
図5にも示すように、付加リフレクタ56の反射面56aは、発光素子32の発光中心Aを第1焦点とするとともに反射部材34の反射面34aの中心位置Bを第2焦点とする回転楕円面で構成されている。これにより、付加リフレクタ56は、その反射面56aに到達した発光素子32からの光を反射部材34の反射面34aへ向けて反射させるようになっている。そしてこれにより、反射部材34の反射面34aは、発光素子32の発光面32aの灯具後方側に隣接した位置において疑似光源として機能するようになっている。
【0052】
このように反射部材34の反射面34aが発光素子32の発光面32aの灯具後方側に隣接した位置に配置されていることにより、
図2に示すように、付加リフレクタ56および反射部材34で順次反射してリフレクタ52に入射した発光素子32からの光は、リフレクタ52の反射面52aの同一点に直接入射した発光素子32からの光に対して、リフレクタ52からの反射光の向きが多少下向きとなる。
【0053】
反射部材34は、発光素子32からの直射光についても、その一部をリフレクタ52へ向けて反射させるように構成されている。
【0054】
すなわち、
図2に示すように、反射部材34の反射面34aは、発光素子32の発光面32aの後端縁と略同じ高さ位置から斜め下後方へ向けて延びているので、発光素子32から灯具後方へ向けて出射した光の一部は、この反射面34aに直接入射する。そして、この反射面34aに直接入射した光は、該反射面34aにおいてリフレクタ52の反射面52aの上部領域へ向けて正反射し、この反射面52aの上部領域で反射した後、付加リフレクタ56の下方近傍を通過して灯具前方へ向けて照射される。
【0055】
このように反射部材34に直接入射して該反射部材34で反射した後にリフレクタ52に入射した発光素子32からの光も、リフレクタ52の反射面52aの同一点に直接入射した発光素子32からの光に対して、リフレクタ52からの反射光の向きが多少下向きとなる。
【0056】
図6は、車両用灯具10からの照射光によって車両前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図である。
【0057】
この配光パターンは、ロービーム用配光パターンPL−1であって、上端縁にカットオフラインCL1、CL2を有する左配光のロービーム用配光パターンとして形成されている。
【0058】
カットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH−Vを鉛直方向に通るV−V線よりも右側の対向車線側部分が水平カットオフラインCL1として形成されるとともに左側の自車線側部分が斜め上方へ延びる斜めカットオフラインCL2として形成されている。
【0059】
このロービーム用配光パターンPL−1において、水平カットオフラインCL1と斜めカットオフラインCL2との交点であるエルボ点Eは、H−Vの0.5〜0.6°程度下方に位置している。そして、このロービーム用配光パターンPL−1においてエルボ点Eをやや左寄りに囲む横長の領域が高光度領域HZとして形成されている。
【0060】
このロービーム用配光パターンPL−1は、基本配光パターンPL0と2つの付加配光パターンPLA、PLBとの合成配光パターンとして形成されている。
【0061】
基本配光パターンPL0は、発光素子32から出射した後、リフレクタ52の反射面52aに直接入射して、該反射面52aで灯具前方へ向けて反射した光によって形成される配光パターンであって、この基本配光パターンPL0によってカットオフラインCL1、CL2や高光度領域HZ等のロービーム用配光パターンPL−1の主要部が形成されるようになっている。
【0062】
付加配光パターンPLAは、発光素子32から出射した後、付加リフレクタ56、反射部材34およびリフレクタ52で順次反射した光によって形成される配光パターンである。
【0063】
この付加配光パターンPLAは、ロービーム用配光パターンPL−1の下部領域においてV−V線を中心にして左右方向に延びる横長の配光パターンとして形成されている。
【0064】
この付加配光パターンPLAは、基本配光パターン対応領域PLAоの下方側に隣接する位置においてこれと略同一形状の配光パターンとして形成されている。
【0065】
ここで、基本配光パターン対応領域PLAоとは、リフレクタ52の反射面52aにおいて付加リフレクタ56および反射部材34で順次反射した光が入射する領域に発光素子32からの直射光が入射したときに、基本配光パターンPL0の一部として形成される配光パターンを意味するものである。以下においても同様である。
【0066】
一方、付加配光パターンPLBは、発光素子32から出射した後、反射部材34およびリフレクタ52で順次反射した光によって形成される配光パターンである。
【0067】
この付加配光パターンPLBは、付加配光パターンPLAよりも上方側においてV−V線を中心にして左右方向に延びる横長の配光パターンとして形成されている。
【0068】
この付加配光パターンPLBも、基本配光パターン対応領域PLBоの下方側に隣接する位置においてこれと略同一形状の配光パターンとして形成されている。
【0069】
各付加配光パターンPLA、PLBが、各基本配光パターン対応領域PLAо、PLBоの下方側に隣接して略同一形状で形成されるのは、反射部材34の反射面34aが発光素子32の発光面32aの灯具後方側に隣接した位置においてこれと略同一サイズで形成されていることによるものである。
【0070】
また、付加配光パターンPLBおよびその基本配光パターン対応領域PLBоは、付加配光パターンPLAおよびその基本配光パターン対応領域PLAоよりも上下幅が狭い配光パターンとして形成されている。これは、リフレクタ52の反射面52aの上部領域から反射部材34の反射面34aおよび発光素子32の発光面32aを見たとき、その前後幅の見込み角が小さくなることによるものである。
【0071】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0072】
本実施形態に係る車両用灯具10は、発光素子32からの出射光をリフレクタ52によって灯具前方へ向けて反射させることによりロービーム用配光パターンPL−1(所要の配光パターン)を形成する構成となっているが、発光素子32から灯具前方側に離れた位置には、該発光素子32からの出射光を発光素子32の灯具後方近傍へ向けて反射させる付加リフレクタ56が配置されており、また、発光素子32の灯具後方近傍には、付加リフレクタ56からの反射光をリフレクタ52へ向けて反射させる反射部材34が配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0073】
すなわち、発光素子32から灯具前方側に離れた位置に付加リフレクタ56が配置されていることにより、発光素子32から灯具前方へ向かう直射光によってグレアや配光ムラが発生してしまうのを未然に防止することができる。
【0074】
その上で、リフレクタ52からの反射光に対して、付加リフレクタ56、反射部材34およびリフレクタ52で順次反射した光が追加されるので、発光素子32からの出射光に対する光束利用率を高めることができる。そしてこれによりロービーム用配光パターンPL−1の明るさを増大させることができる。
【0075】
その際、反射部材34は、発光素子32の灯具後方近傍に配置されているので、この反射部材34からの反射光を、発光素子32の灯具後方近傍に配置された疑似光源からの出射光として扱うことが可能となる。このため、付加リフレクタ56、反射部材34およびリフレクタ52で順次反射した光によって形成される付加配光パターンPLAを、リフレクタ52の同一領域からの直接反射光によって形成される基本配光パターン対応領域PLAоの下方に隣接した位置に配置することができる。そしてこれにより、配光ムラの発生を抑制した上でロービーム用配光パターンPL−1の明るさを増大させることができる。
【0076】
このように本実施形態によれば、発光素子32からの出射光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタ52を備えた車両用灯具10において、配光ムラの発生を抑制した上でロービーム用配光パターンPL−1の明るさを増大させることができる。
【0077】
その際、本実施形態においては、反射部材34が発光素子32を支持する基板34に設けられているので、反射部材34を位置精度良く配置することができる。
【0078】
しかも、この反射部材34は、基板34の下面34aに形成されたランド部42に溶着された金属片で構成されているので、反射部材34の反射面34aの形状やその配置の自由度を高めることができる。
【0079】
本実施形態においては、発光素子32がその発光面32aを下向きにした状態で配置されているので、発光素子32から灯具前方へ向かう直射光に起因するグレアや配光ムラが比較的発生しにくくなり、このため付加リフレクタ56の形状や配置の自由度を高めることができる。
【0080】
その上で、本実施形態においては、反射部材34が発光素子32の灯具後方側に配置されているので、基本配光パターン対応領域PLAоに対して付加配光パターンPLAが下側に形成されるようにすることができ、これによりロービーム用配光パターンPL−1を上端縁に明瞭なカットオフラインCL1、CL2を有する配光パターンとして形成することができる。
【0081】
また本実施形態においては、反射部材34が発光素子32からの直射光の一部をリフレクタ52へ向けて反射させるように構成されているので、付加配光パターンPLAに対して第2の付加配光パターンPLBを追加形成することができ、これによりロービーム用配光パターンPL−1の明るさを一層増大させることができる。
【0082】
さらに本実施形態においては、付加リフレクタ56がリフレクタユニット50としてリフレクタ52と一体的に形成されているので、両者の位置関係精度を高めることができる。
【0083】
上記実施形態においては、反射部材34がステンレス鋼板に曲げ加工を施すことによって形成されているものとして説明したが、メッキ処理等の鏡面処理が施された鋼板に曲げ加工を施すことによって形成された構成とすることも可能である。
【0084】
上記実施形態に係る車両用灯具10は、単一の灯具ユニット20からの照射光によりロービーム用配光パターンPL−1を形成する構成となっているが、複数の灯具ユニットからの照射光によりロービーム用配光パターンPL−1を形成する構成とすることも可能であり、その際、一部または全部の灯具ユニットからの照射光によって付加配光パターンPLA、PLBと同様の配光パターンを形成する構成とすることが可能である。
【0085】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0086】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0087】
図7は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、
図5と同様の図である。
【0088】
図7に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、付加リフレクタ156および反射部材134の構成が上記実施形態の場合と異なっている。
【0089】
すなわち、本変形例においては、付加リフレクタ156が左右1対の反射面156aL、156aRを有しており、また、反射部材134が左右1対の反射面134aL、134aRを有している。
【0090】
付加リフレクタ156における左右1対の反射面156aL、156aRは、発光素子32の発光中心Aを通るようにして灯具前後方向に延びる軸線に関して左右対称の位置関係で形成されている。
【0091】
また、反射部材134における左右1対の反射面134aL、134aRも、上記軸線に関して左右対称の位置関係で形成されており、両者間にはスリット134bが形成されている。その際、各反射面134aL、134aRは、上記実施形態の反射部材34の反射面34aよりもやや狭い左右幅で該反射面34aと同一傾斜角度で形成されている。
【0092】
付加リフレクタ156における左側の反射面156aLは、発光素子32の発光中心Aを第1焦点とするとともに反射部材134における右側の反射面134aRの中心位置BRを第2焦点とする回転楕円面で構成されており、付加リフレクタ156における右側の反射面156aRは、発光素子32の発光中心Aを第1焦点とするとともに反射部材134における左側の反射面134aLの中心位置BLを第2焦点とする回転楕円面で構成されている。
【0093】
これにより、付加リフレクタ156における左側の反射面156aLおよび反射部材134における右側の反射面134aRで順次反射した光を、リフレクタ52の反射面52aに対して上記実施形態の場合よりも右側の領域に入射させ、この反射面52aからの反射光を上記実施形態の場合よりも右寄りの方向へ向けて照射するようになっている。
【0094】
同様に、付加リフレクタ156における右側の反射面156aRおよび反射部材134における左側の反射面134aLで順次反射した光を、リフレクタ52の反射面52aに対して上記実施形態の場合よりも左側の領域に入射させ、この反射面52aからの反射光を上記実施形態の場合よりも左寄りの方向へ向けて照射するようになっている。
【0095】
一方、反射部材134の各反射面134aL、134aRに入射した発光素子32からの直射光に関しては、上記実施形態の場合と同様の光路を経てリフレクタ52から灯具前方へ向けて照射するようになっている。
【0096】
図9(a)は、本変形例に係る車両用灯具からの照射光によって形成されるロービーム用配光パターンPL−2を示す、
図6と同様の図である。
【0097】
このロービーム用配光パターンPL−2は、基本配光パターンPL0と左右1対の付加配光パターンPLC1、PLC2および左右1対の付加配光パターンPLD1、PLD2との合成配光パターンとして形成されている。
【0098】
右側の付加配光パターンPLC1は、付加リフレクタ156における左側の反射面156aL、反射部材134における右側の反射面134aRおよびリフレクタ52の反射面52aで順次反射した光によって形成される配光パターンである。この付加配光パターンPLC1は、V−V線よりも右側において上記実施形態の付加配光パターンPLAよりも小さい左右拡散角を有する横長の配光パターンとして形成されている。
【0099】
同様に、左側の付加配光パターンPLC2は、付加リフレクタ156における右側の反射面156aR、反射部材134における左側の反射面134aLおよびリフレクタ52の反射面52aで順次反射した光によって形成される配光パターンである。この付加配光パターンPLC2は、V−V線よりも左側において上記実施形態の付加配光パターンPLAよりも小さい左右拡散角を有する横長の配光パターンとして形成されている。
【0100】
左右1対の付加配光パターンPLC1、PLC2は、それぞれ基本配光パターン対応領域PLC1о、PLC2оの下方側に隣接する位置においてこれと略同一形状の配光パターンとして形成されている。
【0101】
一方、右側の付加配光パターンPLD1は、反射部材134における右側の反射面134aRおよびリフレクタ52の反射面52aで順次反射した光によって形成される配光パターンである。この付加配光パターンPLD1は、上記実施形態の付加配光パターンPLAの右半分と略同一の配光パターンとして形成されている。
【0102】
同様に、左側の付加配光パターンPLD2は、反射部材134における左側の反射面134aLおよびリフレクタ52の反射面52aで順次反射した光によって形成される配光パターンである。この付加配光パターンPLD2は、上記実施形態の付加配光パターンPLAの左半分と略同一の配光パターンとして形成されている。
【0103】
これら左右1対の付加配光パターンPLD1、PLD2は、それぞれ基本配光パターン対応領域PLD1о、PLD2оの下方側に隣接する位置においてこれと略同一形状の配光パターンとして形成されている。
【0104】
本変形例の構成を採用した場合においても、配光ムラの発生を抑制した上でロービーム用配光パターンPL−2の明るさを増大させることができる。
【0105】
また本変形例の構成を採用した場合には、ロービーム用配光パターンPL−2の下端部におけるV−V線の左右両側に位置する領域の明るさを増大させることができる。
【0106】
上記第1変形例においては、付加リフレクタ156が左右1対の反射面156aL、156aRを有しており、また、反射部材134が左右1対の反射面134aL、134aRを有しているものとして説明したが、各反射面156aL、156aR毎に独立した付加リフレクタとして構成することも可能であり、また、各反射面134aL、134aR毎に独立した反射部材として構成することも可能である。
【0107】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0108】
図8は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、
図5と同様の図である。
【0109】
図8に示すように、本変形例の基本的な構成は上記第1変形例の場合と同様であるが、反射部材234の構成が上記第1変形例の場合と異なっている。
【0110】
すなわち、本変形例の反射部材234も、左右対称の位置関係で形成された左右1対の反射面234aL、234aRを有しており、両者間にはスリット234bが形成されているが、各反射面234aL、234aRの傾斜角度が上記第1変形例の場合と異なっている。
【0111】
具体的には、左側の反射面234aLは左側に傾斜しており、右側の反射面234aRは右側に傾斜している。ただし、各反射面234aL、234aRの灯具前後方向の傾斜角度は、上記第1変形例の反射部材134における各反射面134aL、134aRの場合と同一の値に設定されている。
【0112】
これにより、付加リフレクタ156における左側の反射面156aLおよび反射部材234における右側の反射面234aRで順次反射した光を、リフレクタ52の反射面52aに対して上記第1変形例の場合よりもさらに右側の領域に入射させ、この反射面52aからの反射光を上記第1変形例の場合よりもさらに右寄りの方向へ向けて照射するようになっている。
【0113】
同様に、付加リフレクタ156における右側の反射面156aRおよび反射部材234における左側の反射面234aLで順次反射した光を、リフレクタ52の反射面52aに対して上記第1変形例の場合よりもさらに左側の領域に入射させ、上記第1変形例の場合よりもさらにリフレクタ52の反射面52aの左側領域に入射させ、この反射面52aからの反射光を上記第1変形例の場合よりもさらに左寄りの方向へ向けて照射するようになっている。
【0114】
一方、本変形例においては、反射部材234の各反射面234aL、234aRに入射した発光素子32からの直射光に関しても、左側の反射面234aLでの反射光はリフレクタ52の反射面52aに対して上記第1変形例の場合よりも左側の領域に入射させ、また、右側の反射面234aRでの反射光はリフレクタ52の反射面52aに対して上記第1変形例の場合よりも右側の領域に入射させるようになっている。
【0115】
図9(b)は、本変形例に係る車両用灯具からの照射光によって形成されるロービーム用配光パターンPL−3を示す、
図6と同様の図である。
【0116】
このロービーム用配光パターンPL−3は、基本配光パターンPL0と左右1対の付加配光パターンPLE1、PLE2および左右1対の付加配光パターンPLF1、PLF2との合成配光パターンとして形成されている。
【0117】
右側の付加配光パターンPLE1は、付加リフレクタ156における左側の反射面156aL、反射部材234における右側の反射面234aRおよびリフレクタ52の反射面52aで順次反射した光によって形成される配光パターンである。この付加配光パターンPLE1は、上記第1変形例の付加配光パターンPLC1よりもさらに右側において該付加配光パターンPLC1と略同じ左右拡散角を有する横長の配光パターンとして形成されている。
【0118】
同様に、左側の付加配光パターンPLE2は、付加リフレクタ156における右側の反射面156aR、反射部材234における左側の反射面234aLおよびリフレクタ52の反射面52aで順次反射した光によって形成される配光パターンである。この付加配光パターンPLE2は、上記第1変形例の付加配光パターンPLC1よりもさらに左側において該付加配光パターンPLC2と略同じ左右拡散角を有する横長の配光パターンとして形成されている。
【0119】
これら左右1対の付加配光パターンPLE1、PLE2は、それぞれ基本配光パターン対応領域PLE1о、PLE2оの下方側に隣接する位置においてこれと略同一形状の配光パターンとして形成されている。
【0120】
一方、右側の付加配光パターンPLF1は、反射部材234における右側の反射面234aRおよびリフレクタ52の反射面52aで順次反射した光によって形成される配光パターンである。この付加配光パターンPLF1は、上記第1変形例の付加配光パターンPLD1よりも右側において該付加配光パターンPLD1と略同じ左右拡散角を有する横長の配光パターンとして形成されている。
【0121】
同様に、左側の付加配光パターンPLF2は、反射部材234における左側の反射面234aLおよびリフレクタ52の反射面52aで順次反射した光によって形成される配光パターンである。この付加配光パターンPLF2は、上記第1変形例の付加配光パターンPLD2よりも左側において該付加配光パターンPLD2と略同じ左右拡散角を有する横長の配光パターンとして形成されている。
【0122】
これら左右1対の付加配光パターンPLF1、PLF2は、それぞれ基本配光パターン対応領域PLF1о、PLF2оの下方側に隣接する位置においてこれと略同一形状の配光パターンとして形成されている。
【0123】
本変形例の構成を採用した場合においても、配光ムラの発生を抑制した上でロービーム用配光パターンPL−3の明るさを増大させることができる。
【0124】
また本変形例の構成を採用した場合には、ロービーム用配光パターンPL−3の下端部における左右両端部の近傍領域の明るさを増大させることができる。
【0125】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0126】
図10は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、
図2と同様の図である。
【0127】
図10に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、反射部材334の構成が上記実施形態の場合と異なっており、これに伴って基板336およびヒートシンク360の構成も上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0128】
すなわち、本変形例の反射部材334は、ヒートシンク360の下面から下方へ突出する突起部で構成されており、その反射面334aはこの突起部の先端面に鏡面仕上げを施すことによって形成されている。この鏡面仕上げは、アルミ蒸着等の表面処理や研磨加工等によって行うことが可能である。
【0129】
この反射部材334の反射面334aは、上記実施形態の反射部材34の反射面34aと略同一の位置に配置されており、かつ、この反射面34aと略同一の外形形状および傾斜角度で形成されている。
【0130】
本変形例の基板336には、反射部材334(すなわちヒートシンク360の突起部)を挿通させるための挿通孔336eが形成されている。
【0131】
なお本変形例においても、基板336の下面336aには、導電パターン338が形成されており、発光素子32およびコネクタ40が搭載されているが、上記実施形態のランド部42に相当する構成要素は存在しない。
【0132】
本変形例の構成を採用した場合においても、配光ムラの発生を抑制した上でロービーム用配光パターンPL−1と同様のロービーム用配光パターンを形成することができ、その明るさを増大させることができる。
【0133】
また本変形例の構成を採用した場合には、反射部材334がヒートシンク360と一体的に形成されているので、部品点数を削減を図ることができる。
【0134】
次に、上記実施形態の第4変形例について説明する。
【0135】
図11は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、
図2と同様の図である。
【0136】
図11に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、基板436が上下反転した状態で配置されており、これに伴ってリフレクタ452および付加リフレクタ456も上下反転した状態で配置されている。
【0137】
すなわち本変形例においては、発光素子32がその発光面32aを真上の方向に向けた状態で基板436の上面436aに搭載されている。また、本変形例の反射部材434は、発光素子32の灯具前方近傍に配置されている。
【0138】
基板436の上面436aには導電パターン438およびランド部442が形成されているが、その配置は上記実施形態の場合と異なっている。
【0139】
反射部材434は、ランド部442に溶着された金属片で構成されている。この反射部材434の反射面434aは、上記実施形態の反射部材34の反射面34aと略同一の外形形状で、斜め上後方へ向けて平面状に延びるように形成されており、その後端縁は発光素子32の発光面32aの前端縁近傍に位置している。
【0140】
付加リフレクタ456の反射面456aは、発光素子32の発光中心Aを第1焦点とするとともに反射部材434の反射面434aの中心位置Bを第2焦点とする回転楕円面で構成されている。これにより、付加リフレクタ456は、その反射面456aに到達した発光素子32からの光を反射部材434の反射面434aへ向けて反射させるようになっている。そしてこれにより、反射部材434の反射面434aは、発光素子32の発光面32aの灯具前方側に隣接した位置において疑似光源として機能するようになっている。
【0141】
このように反射部材434の反射面434aが発光素子32の発光面32aの灯具前方側に隣接した位置に配置されていることにより、付加リフレクタ456および反射部材434で順次反射してリフレクタ452に入射した発光素子32からの光は、リフレクタ452の反射面452aの同一点に直接入射した発光素子32からの光に対して、リフレクタ452からの反射光の向きが多少下向きとなる。
【0142】
本変形例の構成を採用した場合においても、配光ムラの発生を抑制した上で上記実施形態のロービーム用配光パターンPL−1と略同様のロービーム用配光パターンを形成することができ、その明るさを増大させることができる。
【0143】
次に、上記実施形態の第5変形例について説明する。
【0144】
図12は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、
図2と同様の図である。
【0145】
図12に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、本変形例に係る車両用灯具は、ハイビーム用配光パターンを形成するための灯具として構成されている。
【0146】
このため本変形例においては、反射部材534が発光素子32の灯具前方近傍に配置されており、また、リフレクタ552および付加リフレクタ556の構成が上記実施形態の場合と異なっている。
【0147】
本変形例においても、基板36の下面36aには、導電パターン538およびランド部542が形成されているが、その配置は上記実施形態の場合と異なっている。
【0148】
反射部材534は、ランド部542に溶着された金属片で構成されている。この反射部材534の反射面534aは、上記実施形態の反射部材34の反射面34aと略同一の外形形状で、斜め下後方へ向けて平面状に延びるように形成されており、その後端縁は発光素子32の発光面32aの前端縁近傍に位置している。
【0149】
付加リフレクタ556の反射面556aは、発光素子32の発光中心Aを第1焦点とするとともに反射部材534の反射面534aの中心位置Bを第2焦点とする回転楕円面で構成されている。これにより、付加リフレクタ556は、その反射面556aに到達した発光素子32からの光を反射部材534の反射面534aへ向けて反射させるようになっている。そしてこれにより、反射部材534の反射面534aは、発光素子32の発光面32aの灯具前方側に隣接した位置において疑似光源として機能するようになっている。
【0150】
このように反射部材534の反射面534aが発光素子32の発光面32aの灯具前方側に隣接した位置に配置されていることにより、付加リフレクタ556および反射部材534で順次反射してリフレクタ552に入射した発光素子32からの光は、リフレクタ552の反射面552aの同一点に直接入射した発光素子32からの光に対して、リフレクタ552からの反射光の向きが多少上向きとなる。
【0151】
図13は、本変形例に係る車両用灯具からの照射光によって形成されるハイビーム用配光パターンPHを示す、
図6と同様の図である。
【0152】
このハイビーム用配光パターンPHは、H−Vを中心にして左右方向に拡散する横長の配光パターンとして形成されており、その中心位置に高光度領域HZが形成されている。
【0153】
このハイビーム用配光パターンPHは、基本配光パターンPH0と付加配光パターンPHAとの合成配光パターンとして形成されている。
【0154】
基本配光パターンPH0は、発光素子32から出射した後、リフレクタ552の反射面552aに直接入射して、該反射面552aで灯具前方へ向けて反射した光によって形成される配光パターンであって、ハイビーム用配光パターンPHの主要部分を構成している。
【0155】
付加配光パターンPHAは、付加リフレクタ556の反射面556a、反射部材534の反射面534aおよびリフレクタ552の反射面552aで順次反射した光によって形成される配光パターンである。
【0156】
この付加配光パターンPHAは、H−Vの上方において左右方向に拡がる横長の配光パターンとして形成されている。
【0157】
この付加配光パターンPHAは、基本配光パターン対応領域PHAоの上方側に隣接する位置においてこれと略同一形状の配光パターンとして形成されている。これは、反射部材534の反射面534aが発光素子32の発光面32aの灯具前方側に隣接した位置においてこれと略同一サイズで形成されていることによるものである。
【0158】
本変形例の構成を採用した場合には、配光ムラの発生を抑制した上でハイビーム用配光パターンPHの明るさを増大させることができる。
【0159】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0160】
また本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。