(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982571
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】林業用ハーベスター
(51)【国際特許分類】
A01G 23/095 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
A01G23/095
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-527488(P2018-527488)
(86)(22)【出願日】2017年6月23日
(86)【国際出願番号】JP2017023223
(87)【国際公開番号】WO2018012255
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2020年5月25日
(31)【優先権主張番号】特願2016-140081(P2016-140081)
(32)【優先日】2016年7月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593041206
【氏名又は名称】松本 良三
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】松本 良三
【審査官】
田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−149897(JP,A)
【文献】
米国特許第04050485(US,A)
【文献】
米国特許第05975168(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材送り機本体と、材送り機本体に回動可能に連結された左右一対のクランプアームと、クランプアームを互いに開閉するように作動するための油圧シリンダと、前記クランプアームのそれぞれに設けられた、材を前方に送るため可逆式油圧モータ手段で回転駆動される送り手段と、を含む材送り機と、材送り機本体に装着され、動力チエーンソーを有するチエーンソーボックスと、枝払い機本体と、該本体に固定して設けられた山形の上カッター及び枝払い機本体に前、中として前後にずらして回動可能に連結され、それぞれサイドカッターを有する一対のカッターアームと、カッターアームを互いに開閉するように作動するための油圧シリンダと、を含む枝払い機と、前記枝払い機を材送り機に対して前後に移動可能に案内するためのガイド機構と、前記枝払い機と前記材送り機とに連結され、前記枝払い機を材送り機に対して近づけたり遠ざけたりするように作動するための油圧シリンダと、を含む、林業用ハーベスター。
【請求項2】
材送り機は、下カッターを有する後カッターアームと、該後カッターアームを開閉するように作動するための油圧シリンダをさらに含む,請求項1に記載の林業用ハーベスター。
【請求項3】
前記送り手段は、木肌に対する滑りを防止して材を確実に送れるように外周にスパイクを有する単一又は複数の送りローラからなる、請求項1に記載の林業用ハーベスター。
【請求項4】
前記送り手段は、一対の送りローラからなり、前記クランプアームの各々は、その上端に固定して取り付けられ、前記材送り機本体のガイド管と同様に長手方向に延びた連結管と、該連結管に固定された一対の中央ブラケットとを含み、前記可逆油圧モータ手段は、中央ブラケット間に設けられた固定軸に揺動可能に取付られたブラケットに装着された一対の油圧モータからなり、前記送りローラの各々は、油圧モータの回転軸に固定的に取り付けられ、ブラケットとクランプアームとの間には、緩衝ばねが設けられる、請求項1に記載の林業用ハーベスター。
【請求項5】
前記材送り機本体は、左右一対の長手方向に延びたガイド管を含み、前記枝払い機は、左右一対の長手方向に延びた連結管を含み、前記ガイド機構は、前記材送り機本体のガイド管と、枝払い機の連結管内から後方に延びて、前記ガイド管に挿入されたスライドシャフトと、からなる、請求項1に記載の林業用ハーベスター。
【請求項6】
前記材送り機は、その長手方向中心上において材送り機本体に固定して取り付けられた支持枠に水平に並設された多数の小径のローラ及び材送り機本体の前方位置に設けられた大径のローラを有する、請求項1に記載の林業用ハーベスター。
【請求項7】
前記枝払い機は、山形の上カッターの後に位置し、正面からみて山形に、そして前後に配して枝払い機本体に回転自在に設けられた一対のローラと、枝払い機本体の長手方向中心上において枝払い機本体に固定して取り付けられた支持枠に水平に並設された、複数のローラと、を有する、請求項1に記載の林業用ハーベスター。
【請求項8】
材送り機本体と、該材送り機本体に回動可能に連結された左右一対のクランプアームと、クランプアームを互いに開閉するように作動するための油圧シリンダと、材送り本体に回動可能に連結され、木を前進させるため、可逆式油圧モータで回転駆動される左右一対の送り手段と、材送り機本体に装着され、動力チエーンソーを有するチエーンソーボックスと、を含む材送り機と、送り手段を互いに開閉するように作動するための油圧シリンダと、材送り機本体に装着され、動力チエーンソーを有するチエーンソーボックスと、を含む材送り機と、枝払い機本体と、該本体に固定して設けられた山形の上カッター及び枝払い機本体に前、中として前後にずらして回動可能に連結され、それぞれサイドカッターを有する一対のカッターアームと、カッターアームを互いに開閉するように作動するための油圧シリンダと、を含む枝払い機と、前記枝払い機を材送り機に対して前後に移動可能に案内するためのガイド機構と、前記枝払い機と前記材送り機本体とに連結され、前記枝払い機を材送り機に対して近づけたり遠ざけたりするように作動するための油圧シリンダと、を含む、林業用ハーベスター。
【請求項9】
材送り機は、下カッターを有する後カッターアームと、該後カッターアームを開閉するように作動するための油圧シリンダをさらに含む、請求項8に記載の林業用ハーベスター。
【請求項10】
前記送り手段は、左右それぞれ1個の送りローラからなり、送りローラは、木肌に対する滑りを防止して材を確実に送れるように外周にスパイクを有する、請求項8に記載の林業用ハーベスター。
【請求項11】
前記可逆油圧モータ手段は、材送り機本体から回動可能に支持されたブラケットに取り付けられた支持板に装着された油圧モータからなり、前記送りローラは、油圧モータの回転軸に固定的に取り付けられる、請求項8に記載の林業用ハーベスター。
【請求項12】
前記材送り機本体は、左右一対の長手方向に延びたガイド管を含み、また、前記枝払い機は、左右一対の長手方向に延びた連結管を含み、前記ガイド機構は、枝払い機の連結管内から後方に延びて、前記材送り機本体のガイド管に挿入されたスライドシャフトからなる、請求項8に記載の林業用ハーベスター。
【請求項13】
材送り機は、その長手方向中心上において装着された左右一対の油圧モータで回転駆動され、材の送りを補助するための鼓型ローラを有する、請求項8に記載の林業用ハーベスター。
【請求項14】
枝払い機は、山形の上カッターの後に位置し、正面からみて山形に、そして前後に配して枝払い機本体に回転自在に設けられた一対のローラと、枝払い機本体の長手方向中心上において枝払い機本体に固定して取り付けられた支持枠に水平に並設された、複数のローラと、を有する、請求項8に記載の林業用ハーベスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立木を根元近くで切断し、横倒しにした材を枝払いしながら、また切断された横倒しに置かれ手いる材を拾い上げた後、所定寸法に切断して材木にするのに用いられる林業用ハーベスターに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のハーベスターは、国際公開第2010/143076号(公知文献1)、日本国特許第5914958号明細書(公知文献2)などに開示されている。これらの公知文献に記載のハーベスターは、基本的には、ブームから懸垂支持された本体に装着された固定上カッターと、左右に開閉するように作動され、それぞれサイドカッターを有する一対のカッターアームと、同様に開閉するように作動され、可逆式油圧モータにより回転駆動される送りローラ又は送りホイールと、切断操作にあたってスイングするようになった動力チエーンソーと、を含む。立木の切断に当たっては、ハーベスター全体を縦向きにしてカッターアームと送りローラとで木を抱き抱えて、チエーンソーで立木をその根元近くで切断する。ブームを操作してハーベスターとともに立木を横倒しにし、油圧モータの作動で送りローラを回転させて材を所定長さ前進させる。その過程で、枝があれば、枝は固定上カッターやサイドカッターに当たってそれらのカッターで枝払いされることになる。
【0003】
硬い材などでは、枝を切り落とせない場合がある。油圧モータの作動が止まり、そのため、送りローラによる材の送りが止まる。油圧モータの作動により送りローラを逆転させて材を後退させ、再度、送りローラを正転させて材を前進させ、固定上カッターやサイドカッターに枝を押し当ててそれらのカッターで枝払いをする。それでも枝払いが巧くいかない場合には、同じ作業を繰り返すことになるが、その度、送りローラの正逆回転により木肌を傷め、また材の種類によっては、枝払いに時間を費やすといった問題点が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/143076号
【特許文献2】日本国特許第5914958号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題点の解決のために、送り手段により材を前進させながら山形の上カッターやサイドカッターで枝払いを行なうハーベスターにおいて、枝を切り落せないで材の送りが停止したとき、送り手段を停止させたまま、山形の上カッターやサイドカッターを材に対して移動させて枝を切り落とす林業用ハーベスターを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のこの目的は、材送り機本体と、該材送り機本体に回動可能に連結された左右一対のクランプアームと、クランプアームを互いに開閉するように作動するための油圧シリンダと、前記クランプアームのそれぞれに設けられた、木を前進させるため可逆式油圧モータで回転駆動される送り手段と、材送り機本体に装着され、動力チエーンソーを有するチエーンソーボックスと、を含む材送り機と、枝払い機本体と、該本体に固定して設けられた山形の上カッター及び枝払い機本体に前、中として前後にずらして回動可能に連結され、それぞれサイドカッターを有する一対のカッターアームと、
カッターアームを互いに開閉するように作動するための油圧シリンダと、を含む枝払い機と、前記枝払い機を材送り機に対して前後に移動可能に案内するためのガイド機構と、前記枝払い機と前記材送り機本体とに連結され、前記枝払い機を材送り機に対して近づけたり遠ざけたりするように作動するための油圧シリンダと、を含む、林業用ハーベスターを提供することによって達成される。
【0007】
本発明の好ましい実施形態によれば、枝払い機は、下カッターを有する後カッターアームと、該後カッターアームを開閉するように作動するための油圧シリンダをさらに含む。
【0008】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、前記送り手段は、木肌に対する滑りを防止して材を確実に送れるように外周にスパイクを有する単一又は複数の送りローラからなる。
【0009】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、前記送り手段は、一対の送りローラからなり、前記クランプアームの各々は、その上端に固定して取り付けられ、前記材送り機本体のガイド管と同様に長手方向に延びた連結管と、該連結管に固定された一対の中央ブラケットとを含み、前記可逆油圧モータ手段は、中央ブラケット間に設けられた固定軸に揺動可能に取付られた取付板に装着された一対の油圧モータからなり、前記送りローラの各々は、油圧モータの回転軸に固定的に取り付けられ、取付板とクランプアームとの間には、緩衝ばねが設けられる。
【0010】
本発明の沙羅好ましい実施形態によれば、前記材送り機本体は、左右一対の長手方向に延びたガイド管を含み、前記枝払い機は、左右一対の長手方向に延びた連結管を含み、前記ガイド機構は、前記材送り機本体のガイド管と、枝払い機の連結管内から後方に延びて、前記ガイド管に挿入されたスライドシャフトと、からなる。
【0011】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、前記材送り機は、その長手方向中心上において材送り機本体に固定して取り付けられた支持枠に水平に並設された多数の小径のローラ及び材送り機本体の前方位置に設けられた大径のローラを有する。
【0012】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、前記枝払い機は、山形の上カッターの後に位置し、正面からみて山形に、そして前後に配して枝払い機本体に回転自在に設けられた一対のローラと、枝払い機本体の長手方向中心上において枝払い機本体に固定して取り付けられた支持枠に水平に並設された、複数のローラと、を有する。
【0013】
本発明の更なる目的は、材送り機本体と、該材送り機本体に回動可能に連結された左右一対のクランプアームと、クランプアームを互いに開閉するように作動するための油圧シリンダと、材送り本体に回動可能に連結され、木を前進させるため、可逆式油圧モータで回転駆動される左右一対の送り手段と、材送り機本体に装着され、動力チエーンソーを有するチエーンソーボックスと、を含む材送り機と、送り手段を互いに開閉するように作動するための油圧シリンダと、材送り機本体に装着され、動力チエーンソーを有するチエーンソーボックスと、を含む材送り機と、枝払い機本体と、該本体に固定して設けられた山形の上カッター及び枝払い機本体に前、中として前後にずらして回動可能に連結され、それぞれサイドカッターを有する一対のカッターアームと、
カッターアームを互いに開閉するように作動するための油圧シリンダと、を含む枝払い機と、前記枝払い機を材送り機に対して前後に移動可能に案内するためのガイド機構と、前記枝払い機と前記材送り機本体とに連結され、前記枝払い機を材送り機に対して近づけたり遠ざけたりするように作動するための油圧シリンダと、を含む、林業用ハーベスターを提供することによって達成される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、枝払い機は、下カッターを有する後カッターアームと、該後カッターアームを開閉するように作動するための油圧シリンダをさらに含む。
【0015】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、前記送り手段は、左右それぞれ1個の送りローラからなり、送りローラは、木肌に対する滑りを防止して材を確実に送れるように外周にスパイクを有する。
【0016】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、前記可逆油圧モータ手段は、材送り機本体から回動可能に支持されたブラケットに取り付けられた支持板に装着された油圧モータからなり、前記送りローラは、油圧モータの回転軸に固定的に取り付けられる。
【0017】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、前記材送り機本体は、左右一対の長手方向に延びたガイド管を含み、また、前記枝払い機は、左右一対の長手方向に延びた連結管を含み、前記ガイド機構は、枝払い機の連結管内から後方に延びて、前記材送り機本体のガイド管に挿入されたスライドシャフトからなる。
【0018】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、材送り機は、その長手方向中心上において装着された左右一対の油圧モータで回転駆動され、材の送りを補助するための鼓型ローラを有する。
【0019】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、枝払い機は、山形の上カッターの後に位置し、正面からみて山形に、そして前後に配して枝払い機本体に回転自在に設けられた一対のローラと、枝払い機本体の長手方向中心上において枝払い機本体に固定して取り付けられた支持枠に水平に並設された、複数のローラと、を有する。
【発明の効果】
【0020】
常態では、枝払い機は、油圧シリンダの収縮動作により後退されて材送り機本体に近接して位置する。その状態で、ブームないしアームを操作してハーベスター全体を縦向きにして、油圧シリンダの作動で閉じられるカッターアームと、同じく油圧シリンダの作動で閉じられるクランプアームと送り手段又はそれぞれ別個の油圧シリンダの作動で閉じられるクランプアーム及び送り手段とで立木を抱き抱えて、チエーンソーで立木をその根元近くで切断する。ブームないしアームを操作してハーベスターとともに立木を横倒しにし、油圧モータにより送り手段を回転させて材を所定長さ前進させる。その過程で、枝は固定上カッターや前、中、後カッターアームのカッターに当たってこれらのカッターで枝払いされることになる。枝を切り落とせない場合には、過負荷が生じて油圧モータの作動が止まり、そのため、送り手段による木の送りが止まる。油圧シリンダの伸長動作により枝払い機を材送り機から前進(枝払い機が材送り機から離れる方向)させ、前進する枝払い機のカッターで枝を押し切りする。再び油圧シリンダの収縮動作で枝払い機を後退させたら、油圧モータの駆動による送り手段の回転で材を所定長さ前進移動させ、チエーンソーを作動して材を切断する。本発明によれば、切り落とせなかった枝を枝払いする間送り手段は停止しているから木肌を傷めることはない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明による林業用ハーベスターの全体を示す側面図であって、枝払い機を材送り機に向かって後退させた状態を示す図である。
【
図3】本発明による林業用ハーベスターの全体を示す側面図であって、枝払い機を材送り機から前進させた状態を示す図である。
【
図10】クランプアームと送りローラとの関係を示す図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態によるハーベスターの右前から見た斜視図である。
【
図15】
図14に示すハーベスターの下から見た斜視図である。
【
図19】材送り機のクランプアームを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好ましい実施形態を図を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1乃至
図4を参照すると、本発明による林業用ハーベスターは、材送り機1と枝払い機2とを含む。
図1及び
図2は枝払い機2を引っ込めて材送り機1に近接させた状態を示す。
図3及び
図4は、枝払い機2を材送り機1から前進させた状態を示している。
図5乃至
図7から明らかなように、材送り機1は、材送り機本体3を有し、該材送り機本体3は、その長手方向に延びた左右一対のガイド管4と、ガイド管を互いに連結するためそれらに交差して固定された正面プレート5、背面プレート6及び複数の取付プレート7と、で構成される。ハーベスターは、その本体に回動可能に連結され、交差しうるように前後に配した左右一対のクランプアーム8、9を備えている。クランプアーム8と9は、相似形に寸法決めされており、閉じられるとき、上記の交差を可能にする。クランプアーム8、9の各々は、その上端に固定して取り付けられ、前記ガイド管4と同様に長手方向に延びた連結管10を有し、連結管10は、それに固定された一対の中央ブラケット11、11及び左右のブラケット12、12を有する。クランプアーム8、9の各々の材送り機本体3に対する回動可能な連結は、好ましくは、各クランプアーム8、9を、ブラケット12、12及び一方の中央ブラケット11と材送り機本体3の取付プレート7との間に設けられたピボットピン13、13で材送り機本体3に枢着連結することによって行われる。なお、ピボットピン13、13は、クランプアームと一緒に回転するようにそのアーム部分に固定的に植設されている。
【0024】
図8から明らかなように、一対の油圧シリンダ14は、それぞれ、後端が取付プレート7にピン15で枢着連結され、プランジャ端がクランプアーム8、9の他方の中央ブラケット11とブラケット12とにピン16で枢着連結されて、油圧シリンダ14の伸縮によりクランプアーム8、9をピボットピン13、13を中心に互いに開閉するように作動する。
図9からわかるように、各一対の可逆油圧モータ17が、前記一対の中央ブラケット11、11間に固定して取り付けられた固定軸18に揺動可能に取り付けられた支持板19に装着されている。左右の送り手段20は、それぞれ一対の送りローラ20a,20aからなり、該送りローラは、油圧モータ17、17の回転軸にそれぞれ固定的に取り付けられ、油圧モータの駆動により、正逆回転されるようになっている。一対の送りローラ20a、20aは、支持板19の固定軸18を中心とする揺動により、材の外径変化に巧く順応することができる。支持板19とクランプアーム8又は9との間には、緩衝ばね21、21(
図10参照)が設けられ、支持板19の固定軸18を中心に平衡位置に保持するように作用する。
【0025】
一対の送りローラ20a、20aは、好ましくは、木肌に対する滑りを防止するために、外周にスパイク20dを有する。上記の例では、各送り手段20は、一対のスパイク付送りローラからなっているが、単一のスパイク付送りローラであってもよい。図示したように、一対の送りローラ20a、20aは、それらに設けたスプロケット20b、20b間にチエーン20cを掛け渡すことによってそれらの回転を同調させるようにするのがよい。
【0026】
材送り機本体は、その後側に、動力チエーンソー22を有するチエーンソーボックス22aを備える。
【0027】
図11乃至
図13を参照すると、枝払い機2は、左右一対の長手方向に延びた連結管23、23を含む枝払い機本体24と、該本体に前、中として前後にずらして枝払い機本体24に回動可能に連結され、それぞれサイドカッター25を有する左右一対のカッターアーム26、26と、
カッターアームを互いに開閉するように作動するための油圧シリンダ27、27と、を含む。枝払い機2は、更に、枝払い機本体24に回動可能に連結され、下カッター28を有する後カッターアーム29と、該後カッターアーム29を開閉するように作動するための油圧シリンダ30と、を含むのがよい。前記枝払い機は、前端がボルト31で連結管23に固定されて連結管内から前方に延びて前記材送り機本体3のガイド管4に挿入されたスライドシャフト32を有している。スライドシャフト32とガイド管4は、前記枝払い機を材送り機に対して前後に移動可能に案内するためのガイド機構を構成する。
【0028】
枝払い機本体24は、その連結管23、23にそれぞれ固定して取り付けられた、前プレート34及び側方に張り出したブラケット部分35を有する後プレート36と、一方の連結管に固定して取り付けられ、前記ブラケット部分35と対をなすブラケット37と、前プレート34と後プレート36との間にあって、位置をずらして各連結管23、23に固定して取り付けられた各一対のブラケット38、38と、を備えている。前及び中カッターアーム26、26の枝払い機本体24に対する枢着連結は、カッターアーム26、26を前プレート34及び後プレート36にピボットピン39、39で連結することによって果たされ、後カッターアーム29の枝払い機本体24に対する枢着連結は、カッターアーム29をブラケット部分35及びブラケット37にピボットピン40で連結することによって果たされる。前及び中カッターアーム26、26を開閉するための油圧シリンダ27、27は、後端が各一対のブラケット38、38にピン42で連結され、プランジャ端が前及び中カッターアーム26、26の上端26’にピン43で連結されている。また後カッターアーム29を開閉するための油圧シリンダ30は、後端が後プレート36とブラケット37にピン45で連結され、プランジャ端が後カッターアーム29の上端29’にピン46で連結されている。
【0029】
油圧シリンダ47が、材送り機1及び枝払い機2の長手方向中心線上に位置決めされ、材送り機1と枝払い機2とに連結されるが、より具体的には、後端が材送り機本体3の取付プレート7にブラケット48を介してピン49で連結され、プランジャ端が枝払い機本体24の前プレート34にブラケット50を介してピン51で連結され、油圧シリンダの伸縮により枝払い機2を材送り機本体3に対して近づけたり遠ざけたりするように作動する。前プレート34には、それより前に位置して、前プレートから支持された山形の上カッター52が設けられている。
【0030】
材送り機1は、その長手方向中心上において材送り機本体3に固定して取り付けられた支持枠53に水平に並設された多数の小径のローラ54を、及び材送り機本体3の前方位置に大径のローラ55を有するのが好ましい。これらのローラ54、55は、材の受けと案内を目的とし、材の円滑な移動を確保するように機能する。材送り機1は、また、この種のハーベスターでよく知られた、送りローラの回転により前方に送られる材の長さを測定するエンコーダー測長器56を備えている。
【0031】
枝払い機2は、山形の上カッター52の後に位置し、正面から見て、山形に、そして前後にずらして枝払い機本体24に回転自在に設けられた一対のローラ57、57を有し、更に枝払い機2の長手方向中心線上において枝払い機本体24に固定して取り付けられた支持枠58に水平に並設された複数のローラ59を有するのがよい。山形に配した一対のローラ57、57は、材の引き込みを良くし、水平に配した複数のローラ59は、材の受け及び案内を目的とし、材の円滑な移動を確保するように機能する。
【0032】
図14及び
図15は、本発明の第2実施形態による林業用ハーベスターを示している。
図16乃至
図19は、ハーベスターの材送り機100及び
図1乃至4及び
図11乃至
図13に示す枝払い機と実質的に同一の枝払い機2を含む。従って材送り枝についてのみ以下説明する。
【0033】
材送り機100は,材送り機本体103を含み、該材送り機本体103は、その長手方向に延びた左右一対のガイド管104と、ガイド管を互いに連結するためそれらに交差してガイド管に固定された正面プレート105、背面プレート106及び取付プレート107と、で構成される。ハーベスターは、その本体に回動可能に連結され、交差しうるように前後に配した左右一対のクランプアーム108、109を備えている。クランプアーム108、109の各々の材送り機本体103に対する回動可能な連結は、好ましくは、各クランプアーム108、109を、背面プレート106と取付プレート107との間に設けられたピボットピン113、113で材送り機本体103に枢着連結することによって行なわれる。
【0034】
一対の油圧シリンダ114は、後端がクランプアーム108のピボットピン113に、またクランプアーム109のピボットピン113にそれぞれ枢着連結され、プランジャ端がクランプアーム108,109の先端にピボットピン114Cで枢着連結され、油圧シリンダ114の伸縮によりクランプアーム108,109を、ピボットピン113,113を中心に互いに開閉するように作動する。
【0035】
可逆油圧モータ手段は、材送り機本体103の正面プレート105と取付プレート107との間にピボットピン121で枢着連結されたブラケット111,111に取り付けられた支持板119に装着された油圧モータ117からなり、送りローラ120は、油圧モータ117の回転軸に固定的に取り付けられる。油圧シリンダ114Aは、後端が正面プレート及び取付プレート107にピボットピン111Bで枢着連結され、プランジャ端がブラケット111の先端部にピボットピン111Cで枢着連結され、油圧シリンダ114Aの伸縮により送りローラ120,120を、ピボットピン121,121を中心に互いに開閉するように作動する。
【0036】
第2実施形態においても、材送り機本体は、その後側に、動力チエーンソー22を有するチエーンソーボックス22aを備える。
【0037】
本発明の第2実施形態では、材送り機100は、その長手方向中心上において材送り機本体103に装着された左右一対の油圧モータ160,160で回転駆動され、材の送りを補助するための鼓型ローラ161を有する。
【0038】
本発明による林業用ハーベスターは、常態では、枝払い機2が、油圧シリンダ47の収縮動作により後退されて材送り機1、100に近接して位置する。その状態で、ハーベスター全体を縦向きにして、油圧シリンダ14、14の伸長でピボットピン13、13を中心に閉じられるクランプアーム8、9と送りローラ20a、20aと、油圧シリンダ27、27、30伸長で、ピボットピン39、39、40を中心として閉じられるカッターアーム26、26、29とで立木を抱き抱えて、動力チエーンソー22で立木をその根元近くで切断する。
【0039】
第2の実施形態では、立木の抱き抱えは、油圧シリンダ114、114の伸長でピボットピン113、113を中心に閉じられるクランプアーム108、109と、油圧シリンダ114Aの伸長でピボットピン121,121を中心に互いに閉じられる送りローラ120,120とで行なわれる。
【0040】
立木の切断に続いて、ブーム乃至アームを操作してハーベスターとともに立木を横倒しにする。油圧モータ17、17又は117、117により送りローラ20a、20a又は送りローラ120、120を回転させて材を所定長さ前方に送る。材の送りは、材送り機本体に設けられたローラ55、56又は、鼓型ローラ161及び枝払い機本体に設けられたローラ57、59によって円滑に行なわれる。その過程で、枝は固定山形上カッター52や前、中、後カッターアーム26、26、29のサイドカッター25、25、下カッター28に当たってこれらのカッターで万遍なく枝払いされることになる。
【0041】
枝を切り落とせない場合には、過負荷により油圧モータ17、17又は117、117の回転が止まり、そのため、送りローラ20a、20a又は120、120による材の送りが止まる。材送り機1又は100は、油圧シリンダによるクランプアーム8、9又は108、109の材に対する締め付けにより材に固定される。油圧シリンダ47を伸長させ、材送り機本体3のガイド管4でスライドシャフト32が案内されながら、枝払い機2を材送り機1から前進(枝払い機が材送り機から離れる方向)させ、前進する枝払い機のカッター25、25、28で枝を押し切りする。再び油圧シリンダ47を収縮させることで枝払い機2を材送り機1、又は100まで後退させ、クランプアームの締め付けをゆるめ、再び油圧モータによる送りローラ20a、20a又は120、120の回転で材を所定長さ前進移動させる。材が所定長さに達すると、送りローラの回転が止まり、動力チエーンソー22が作動して材を切断する。クランプアーム8、9は、グラップルの機能を兼ねるように十分長い寸法形状を有しているから、チエーンソーボックスの前にたまる所定長さに切断された複数本の材木を纏めて掴んで運ぶことができる特徴を有する。
【0042】
本発明によるハーベスターでは、また、切断され、横倒しにされている材を拾い上げた後、先に述べたのと同じ方法で、材の所定長さの送り、チエーンソーによる材の切断を行い、所定寸法の材木を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 材送り機
2 枝払い機
3 材送り機本体
4 ガイド管
8 クランプアーム
9 クランプアーム
10 支持管
14 油圧シリンダ
17 油圧モータ
20 送りローラ(送り手段)
22 動力チエーンソー
22aチエーンソーボックス
23 連結管
24 枝払い機本体
25 サイドカッター
26 カッターアーム
27 油圧シリンダ
28 下カッター
29 後カッターアーム
30 油圧シリンダ
52 山形の上カッター
53 支持枠
54 小径のローラ
55 大径のローラ
57 ローラ
58 支持枠
59 ローラ
100 材送り機
103 材送り機本体
104 ガイド管
108 クランプアーム
109 クランプアーム
114 油圧シリンダ
117 油圧モータ
120 送りローラ(送り手段)
22 動力チエーンソー
22aチエーンソーボックス