特許第6982585号(P6982585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982585
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】統合型カメラウィンドウ
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20211206BHJP
   G03B 11/04 20210101ALI20211206BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   G03B17/02
   G03B11/04 Z
   H04N5/225 200
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-19021(P2019-19021)
(22)【出願日】2019年2月5日
(62)【分割の表示】特願2017-20667(P2017-20667)の分割
【原出願日】2013年1月4日
(65)【公開番号】特開2019-109525(P2019-109525A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年3月7日
(31)【優先権主張番号】13/347,430
(32)【優先日】2012年1月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー, ダグラス ジェイ.
【審査官】 殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0255000(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0019354(US,A1)
【文献】 特開2009−227523(JP,A)
【文献】 特開2012−098726(JP,A)
【文献】 特表2013−519151(JP,A)
【文献】 特表2013−518746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02 − 17/22
G03B 11/00 − 11/06
H04M 1/02 − 1/23
H04N 5/222 − 5/257
C03C 15/00 − 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内の少なくとも一部に位置するディスプレイと、
前記筐体内の少なくとも一部に位置するカメラと、
外側カバー面と前記外側カバー面と反対側の内側カバー面とを規定し、前記筐体に取り付けられたガラスカバーであって、前記外側カバー面から前記内側カバー面へ延在する不透明なガラス領域を有し、前記不透明なガラス領域を貫通して延在する開口を規定するガラスカバーと、
前記不透明なガラス領域を貫通して延在する前記開口の内壁に結合された透明ウィンドウと
を備え
前記不透明なガラス領域は、前記ガラスカバーから前記開口への光の伝達を阻止するように構成されている電子デバイス。
【請求項2】
前記透明ウィンドウは前記開口の前記内壁に溶融結合されている請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記透明ウィンドウは、外側ウィンドウ面と、前記外側ウィンドウ面と反対側の内側ウィンドウ面とを規定し、
前記内側カバー面は、前記内側ウィンドウ面と同一平面上にある、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記内側カバー面及び前記内側ウィンドウ面は、滑らかな連続する内面を規定するように協働する、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記外側カバー面及び前記外側ウィンドウ面は、同一平面状にあり、前記電子デバイスの滑らかな連続する外面を規定するように協働する、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記ガラスカバーは、透明ガラス領域を規定し、
前記透明ガラス領域は前記ディスプレイを覆うように位置する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記ガラスカバーは、実質的に透過的な照明器エリアをさらに備え、
前記電子デバイスは、前記実質的に透過的な照明器エリアの下に位置する照明器コンポーネントを更に備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記ガラスカバーと前記透明ウィンドウの両方が、化学強化されている、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項9】
電子デバイスであって、
筐体と、
前記筐体内の少なくとも一部に位置するディスプレイと、
前記ディスプレイを覆うように位置し、外側カバー面から内側カバー面へ延在する不透明なガラス領域を規定するカバーであって、前記ディスプレイは前記カバーを通して視認可能であり、前記不透明なガラス領域は前記不透明なガラス領域を通して延在するセンサ開口を規定し、前記センサ開口は内側壁面を規定し、前記不透明なガラス領域は、前記カバーから前記センサ開口への光の伝達を阻止するように構成されている、カバーと、
前記センサ開口内に位置し、前記内側壁面と結合されたガラスウィンドウと、
前記筐体内で、前記ガラスウィンドウの下に位置する光学センサと
を備える電子デバイス。
【請求項10】
前記ガラスウィンドウは、前記センサ開口の前記内側壁面に溶融結合されている、請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記カバーは、実質的に透過的な照明器エリアを更に規定し、
前記電子デバイスは、前記実質的に透過的な照明器エリアの下に位置する照明器を更に備える、請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記不透明なガラス領域は、前記照明器により生成された光が、前記カバーを通って前記光学センサに伝達されるのを低減する、請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記光学センサはカメラであり、
前記照明器は光学フラッシュである、請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項14】
電子デバイス用のガラスカバーを形成する方法であって、
ガラスシートの不透明なガラス部を貫通するカメラ開口を形成することであって、前記不透明なガラス部は前記ガラスシートの第1の側から前記ガラスシートの第2の側へ延在し、前記不透明なガラス部から前記カメラ開口への光の伝達を阻止するように構成されている、ことと、
前記カメラ開口内にカメラウィンドウを配置することと、
前記カメラウィンドウを、前記カメラ開口を規定する内側ガラス壁に結合することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記カメラウィンドウは前記カメラ開口の前記内側ガラス壁に熱プレスされる、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カメラウィンドウを、前記内側ガラス壁に結合することは、
前記カメラウィンドウを、摂氏600度以上に加熱することと、
前記カメラウィンドウを前記カメラ開口内にプレスすることと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記カメラウィンドウは、熱プレスにより前記内側ガラス壁に結合され、
前記カメラウィンドウが結合された後、前記ガラスシートの前記第1の側と、前記カメラウィンドウの第1の側とは、第1の滑らかな表面を形成するようにラップ加工され、
前記カメラウィンドウが結合された後、前記ガラスシートの前記第2の側と、前記カメラウィンドウの第2の側とは、第2の滑らかな表面を形成するようにラップ加工される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ガラスシートの前記第1の側及び前記第2の側がラップ加工された後、前記ガラスシート及び前記カメラウィンドウはイオン交換処理により化学強化される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ガラスシート、及び、前記カメラウィンドウを化学強化することと、
前記電子デバイスの露出した外面を規定するために、前記ガラスシートの内面を筐体に結合することと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体としてガラスの加工に関する。より具体的には、本発明は、ポータブル電子デバイスにおいて使用されるカバーガラスの加工に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドヘルド電子デバイスなどの小型フォームファクタのデバイスは、様々な層を含むディスプレイ機構を含む。この様々な層は、少なくともディスプレイ技術層を含み、及び追加として、そのディスプレイ技術層の上に配置される感知機構及び/又はカバーウィンドウが含まれ得る。例として、ディスプレイ技術層は、液晶モジュール(LCM)を含む液晶ディスプレイ(LCD)を含み得るか、又はそれに関連し得る。LCMは、一般的に、液晶層を間に挟む上部ガラスシート及び下部ガラスシートを含む。感知機構は、タッチスクリーンを作り出すために使用されるものなどの、接触感知機構とすることができる。例えば、容量性感知タッチスクリーンは、ガラス(又はプラスチック)のシート一面に分散された、実質的に透明な感知点又は感知ノードを含み得る。加えて、典型的に外側防護バリアとして設計されたカバーウィンドウは、ガラス製又はプラスチック製であり得る。ただし、防護バリアとしては、強度及び耐引掻性を備えるガラスの方が優れる傾向がある。
【0003】
更に、デジタルカメラ技術のサイズ及びコスト面で急速な進歩は、1つ以上のデジタルカメラが各種のポータブル電子デバイスと統合されるに至った。そのような統合によって、利用可能なカメラ機能に利便性が備わるようになったが、その反面、この種の統合型カメラで画像又は映像をキャプチャした場合に、その画像又は映像品質が損なわれることもしばしばである。なお、フラッシュ又はその他の照明は、暗い場面で画像又は映像に恩恵をもたらし得るが、統合が困難であるなどの諸々の理由から、多くの場合は、フラッシュ又は他の照明がポータブル電子デバイスから排除されている。
【0004】
それ故、電子デバイスにおいてカメラをガラス製カバー機構と統合する手法を改良することに対して継続的なニーズが存在している。
【発明の概要】
【0005】
電子デバイス用のカメラウィンドウを提供するために、カメラをカバーガラスと統合し、カバーガラスを加工するための装置、システム及び方法が開示されている。カメラウィンドウをカバーガラスに統合することも可能である。本装置、システム及び方法は、ハンドヘルド電子デバイスなどの小型フォームファクタの電子デバイス(例えば、モバイル電話、メディアプレーヤ、携帯情報端末、リモートコントロールなど)に組み立てられる、カバーガラス、又はディスプレイ(例えば、LCDディスプレイ)に特に好適である。本装置、システム、及び方法はまた、相対的に大型のフォームファクタの他の電子デバイス(例えば、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、ディスプレイ、モニタ、テレビなど)に対応したカバーガラス又はディスプレイにも使用できる。
【0006】
本発明は、方法、システム、デバイス、又は装置を含め、数多くの方法で実施することができる。本発明の幾つかの実施形態が、下記に記述される。
【0007】
消費者向け電子製品として一実施形態は、少なくとも筐体及び少なくとも部分的に筐体の内部に配設された電気部品を含んでもよく、電気部品は少なくともカメラを含む。カバーガラスを筐体に結合させることも可能である。カバーガラスは、光学的バリア周辺部で実質的に包囲された透明領域を含んでいる、実質的に滑らかな外面を有し得る。カバーガラスの透明領域がカメラに対して実質的に透過的になるように、カメラを透明領域に隣接して光学的バリア周辺部の内部に配置してもよい。光学的バリア周辺部は、カバーガラスを介してカメラにおけるグレアを低減するために、カバーガラスの内部で、カメラとカバーガラスの隣接領域との間に介在させてもよい。
【0008】
電気部品に少なくともカメラを含み、少なくとも筐体及び少なくとも部分的に筐体の内部に配設された電気部品を、消費者向け電子製品として別の実施形態に含んでもよい。カバーガラスを筐体に結合させることも可能である。カバーガラスは、化学強化ガラス製カメラウィンドウと光学的バリアとを含み得る。カメラを化学強化ガラス製カメラウィンドウに隣接して配置してもよい。光学的バリアは、カバーガラスを介してカメラにおけるグレアを低減するために、カバーガラスの内部で、カメラとカバーガラスの隣接領域との間に介在させてもよい。
【0009】
電気部品に少なくともカメラを含み、少なくとも筐体及び少なくとも部分的に筐体の内部に配設された電気部品を、消費者向け電子製品として別の実施形態に含んでもよい。カバーガラスを筐体に結合させることも可能である。カバーガラスは、透明なカメラウィンドウと、隣接のガラス領域と、を含み得る。カメラを透明なカメラウィンドウに隣接して配置してもよい。隣接するガラス領域は、カバーガラスを介してカメラにおけるグレアが実質的に低減するために、十分に暗色又は不透明であってよい。
【0010】
電気部品に少なくともカメラを含み、少なくとも筐体及び少なくとも部分的に筐体の内部に配設された電気部品を、消費者向け電子製品として更に別の実施形態に含んでもよい。カバーガラスを筐体に結合させることも可能である。カバーガラスは、カメラウィンドウと光学的バリアと、を含み得る。カメラをカメラウィンドウに隣接して配置してもよい。光学的バリアは、カメラウィンドウを実質的に包囲する光学的バリア周辺部を含んでもよく、光学的バリア周辺部は物理的気相成長法で塗布された材料層を含み得る。
【0011】
電子製品を組み立てる方法として、一実施形態は少なくとも、カバーガラス内に開口を形成する工程と、カバーガラス内に透明なカメラウィンドウを配設する工程と、透明なカメラウィンドウ及びカバーガラスの隣接ガラス領域をカバーガラスの平面状外面になるようにラップ加工する工程と、を含む。加えて、所望される場合、本方法は、透明なカメラウィンドウをカメラに隣接して配設する工程と、その後に、カバーガラスを電子製品の筐体に取り付ける工程と、を更に含み得る。
【0012】
本発明の他の態様及び利点は、例として本発明の原理を説明する添付図と共に考慮される、下記の「発明を実施するための形態」から明らかとなるであろう。
【0013】
本発明は、類似の参照番号は類似の構造要素を指す、添付の図と共に下記の「発明を実施するための形態」により容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】消費者向け電子製品の一実施形態の図である。
図1B】消費者向け電子製品の一実施形態の図である。
図1C】消費者向け電子製品の一実施形態の図である。
図1D】消費者向け電子製品の一実施形態の図である。
図1E】消費者向け電子製品の一実施形態の図である。
図2A】一実施形態に係るカバーガラスの加工である。
図2B】一実施形態に係るカバーガラスの加工である。
図3A】一実施形態に係る、開口が形成された後の加工済みカバーガラスの斜視図である。
図3B】一実施形態に係る、図3Aに示す加工済みカバーガラスの周辺領域の詳細図である。
図4A】一実施形態に係る、カバーガラス内に形成された開口の中に光学的バリア周辺部が配設された後の、更に加工されたカバーガラスの斜視図である。
図4B】一実施形態に係る、図3Aに示す更に加工されたカバーガラスの周辺領域の詳細図である。
図5A】一実施形態に係る、光学的バリア周辺部の内部及びカバーガラスを貫通して延在する開口の内部に透明なカメラウィンドウが配設された後の、更に加工されたカバーガラスの斜視図である。
図5B】一実施形態に係る、図5Aに示す更に加工されたカバーガラスの周辺領域の詳細図である。
図6A】一実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。
図6B】一実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。
図6C】一実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。
図6D】一実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。
図7A】別の実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。
図7B】別の実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。
図7C】別の実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。
図8A】別の実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。
図8B】別の実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。
図8C】別の実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。
図8D】消費者向け電子製品の別の実施形態の略図である。
図9】カバーガラスの露出面部分の化学強化の詳細な部分断面図を示す線図である。
図10A】一実施形態に係るカバーガラスの化学強化を示す略断面図である。
図10B】一実施形態に係るカバーガラスの化学強化を示す略断面図である。
図10C】消費者向け電子製品の別の実施形態の略図である。
図11】一実施形態に係る組立プロセスを示したフローチャートである。
【0015】
図1から図11が必ずしも尺度どおりに描画されるとは限らないことに注意すべきである。代替的に、これらの図は、その特徴部が見え易いように拡大されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
電子デバイス用のカメラウィンドウするために、カメラをカバーガラスと統合し、カバーガラスを加工するための装置、システム及び方法が開示されている。カメラウィンドウをカバーガラスと統合することも可能である。本装置、システム及び方法は、ハンドヘルド電子デバイスなどの小型フォームファクタの電子デバイス(例えば、モバイル電話、メディアプレーヤ、携帯情報端末、リモートコントロールなど)にて組み立てられる、カバーガラス、又はディスプレイ(例えば、LCDディスプレイ)に特に好適である。本装置、システム、及び方法はまた、相対的に大型のフォームファクタの他の電子デバイス(例えば、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、ディスプレイ、モニタ、テレビなど)に対応したカバーガラス又はディスプレイにも使用できる。
【0017】
ハンドヘルド電子デバイス及びポータブル電子デバイスは可動であるため、固定式デバイスが被ることのない、様々な異なる衝撃イベント及び応力を被る可能性がある。それ故、本発明は、薄型に設計されるハンドヘルド電子デバイス又はポータブル電子デバイス用のディスプレイの実装に良好に適している。
【0018】
一実施形態において、ガラス製カバーの寸法は、関連付けされた電子デバイスのサイズによって決まる。例えば、ハンドヘルド電子デバイスでは多くの場合、ガラス製カバーは対角線で5インチ以下である。別の実施例として、比較的小型のポータブルコンピュータ又はタブレットコンピュータなどの、ポータブル電子デバイスに関しては、カバーガラスは、多くの場合、対角線で約4インチから約12インチである。更に別の実施例として、フルサイズのポータブルコンピュータ、ディスプレイ、又はモニタなどの、ポータブル電子デバイスに関しては、ガラス製カバーは、多くの場合、対角線で10インチから20インチであるか、又は更に大きい。
【0019】
しかしながら、画面のサイズが大きくなると共に、ガラス層の厚さをより大きくすることが必要となる可能性がある点を理解されたい。より大きいガラス層の平面性を維持するために、ガラス層の厚さを増大させることが必要となる可能性がある。ディスプレイは、依然として比較的薄いまま維持することができるが、画面のサイズの増大と共に、最小の厚さが増大する可能性がある。例えば、ガラス製カバーの最小の厚さは、この場合も画面のサイズに応じて決定され、小型のハンドヘルド電子デバイスに関しては約0.4mm、比較的小型のポータブルコンピュータ又はタブレットコンピュータに関しては約0.6mm、フルサイズのポータブルコンピュータ、ディスプレイ、又はモニタに関しては約1.0mm以上に対応し得る。ガラス製カバーの厚さは、電子デバイスのアプリケーション及び/又はサイズによって決まる。昨今では、デバイスの薄型化に適応することがトレンドになっているが、ガラス製カバーの厚さの幾つかの例は、小型ハンドヘルド電子デバイスでは約1mmに相当し、より小型のポータブルコンピュータ又はタブレットコンピュータでは約2mmに相当し、フルサイズのポータブルコンピュータ、ディスプレイ又はモニタでは約3mm以上に相当し得る。これらのガラス製カバーの厚さは、前にも述べたように、画面のサイズによって決まる。
【0020】
本発明の実施形態については、後ほど図1Aから図11を参照しながら説明する。ただし、当業者には、これらの図に関して本明細書で与えられる「発明を実施するための形態」が、説明目的のものであり、本発明がこれらの限られた実施形態を超えて拡張されることが、容易に理解されよう。
【0021】
図1Aから図1Eは、消費者向け電子製品の1つ以上の実施形態の図を示す。電子デバイス100は、例えば、薄型フォームファクタ(即ち、ロープロファイル)を有するポータブル又はハンドヘルド電子デバイスとして具現され得る。電子デバイス100は、例えば、メディアプレーヤ、メディアストレージデバイス、ポータブルデジタルアシスタント(PDA)、タブレットPC、コンピュータ、セルラー電話、スマートフォン、GPSユニット、リモートコントロール、及びこれらに類するものに対応し得る。
【0022】
図1Aは、一実施形態に係る電子デバイス100の斜視図を示す。図1Bは、電子デバイス100の詳細図を示す。電子デバイス100は、電子デバイス100の外面の一部として機能する筐体102を含み得る。電気部品(図1A及び図1Bに示されていない)は、筐体102の内部に配設され得る。電気部品としては、コントローラ(又はプロセッサ)、メモリ、バッテリ、ディスプレイ、カメラ、及びフラッシュなどの照明器が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
加えて、電子デバイス100の正面及び/又は背面を覆う際に、ガラスを使用してもよい。電子デバイス100は、少なくとも1つのカバーガラス104を有し得る。カバーガラス104は、電子デバイス100の外面(即ち、正面又は背面)として機能し得る。カバーガラス104は、引掻きにも耐え得るため、電子デバイス100用の筐体102の正面又は背面に対し、実質的に耐引掻性面を提供することができる。カバーガラス104は、例えば、接着剤を使用して筐体102に結合されてもよい。
【0024】
カバーガラス104は、カメラエリア上に提供され得る。カバーガラス104は、カメラエリアにおける又はカメラエリアに隣接した透明なカメラウィンドウ106を含み得る。一実施例において、カメラエリアは、少なくともカメラ、例えば、画像又は映像をキャプチャするデジタルカメラを含み得る。カメラエリアにおける又はカメラエリアに隣接した、カバーガラス104の透明なカメラウィンドウ106は、カバーガラス104を介して画像又は映像をキャプチャするために、カメラに対して実質的に透過であり得る。カメラエリアは、電子デバイス100の筐体102の内部に延在し得る。カメラに隣接するカバーガラス104の小部分の領域は、カメラエリアにわたって延在し得る。カメラに隣接するカバーガラス104の小部分の領域に、透明なカメラウィンドウ106が含まれてもよい。カバーガラス104、より具体的には、透明なカメラウィンドウ106が実質的にカメラに重なってもよい。一実施形態において、カバーガラス104の周辺領域(より具体的には、透明なカメラウィンドウ106)がカメラに隣接してもよく、カメラエリアにわたって延在してもよい。
【0025】
同様に、カバーガラス104は、照明器エリア上に提供されてもよい。一実施例において、照明器エリアは、少なくとも照明器、例えば、暗い場面を照らす発光ダイオード(LED)又は電子閃光管を含み得る。照明器エリアにおいて、カバーガラス106は照明器に対して実質的に透過的であってもよく、並びに、照明がカバーガラス104から外方へ投影され得るように配置されてもよい。照明器エリアは、電子デバイス100の筐体102の内部に配設されてもよい。
【0026】
加えて、幾つかの実施形態においては、カバーガラス104は、ディスプレイエリアの上に提供されてもよい。幾つかの実施形態において、カバーガラス104は、カバーガラス104を通してディスプレイエリアが見えるように、実質的に透明であってもよい。幾つかの実施形態において、ディスプレイエリアは、電子デバイス100の筐体102の内部に配設されてもよい。幾つかの実施形態においては、電子デバイス100は、電子デバイス100の前面の大部分を占める、全画面表示又は実質的に全画面表示のディスプレイエリアを含み得る。ディスプレイエリアは、様々な様式で具現され得る。一実施例において、ディスプレイエリアは、少なくともディスプレイ、例えばフラットパネルディスプレイ、より具体的にはLCDディスプレイを含み得る。
【0027】
ディスプレイエリアは、代替的に又は付加的に、ディスプレイ画面上に配置された接触感知デバイスを含み得る。例えば、ディスプレイエリアは、1つ以上のガラス層を含み、そのガラス層上に容量性感知点(capacitive sensing point)が分散されてもよい。これらのコンポーネントの各々は、別々の層であってもよく、又は1つ以上のスタックに組み込まれてもよい。一実施形態において、カバーガラス104は、ディスプレイエリアの最も外側の層として機能し得る。
【0028】
幾つかの実施形態においては、電子デバイス100は、様々な層を含むディスプレイ領域(例えば、ディスプレイエリア)を含み得る。様々な層は少なくともディスプレイを含んでもよく、ディスプレイ上に配設された感知機構を付加的に含み得る。幾つかの事例においては、層を相互に隣接して積み上げてもよく、更に積層させてもよく、これにより単一ユニットが形成され得る。他の事例においては、少なくとも幾つかの層を直接隣接しないように空間的に離隔させる。
【0029】
例えば、層同士の間に間隙が生ずるように、ディスプレイ上に感知機構を配設してもよい。例として、ディスプレイは、液晶モジュール(LCM)を含む液晶ディスプレイ(LCD)を含み得る。LCMは概して、少なくとも上側ガラスシートと下側ガラスシートとを含み、これらのシートの間に液晶層が少なくとも部分的に挟持されてもよい。感知機構は、タッチスクリーンを作り出すために使用されるものなどの、接触感知機構とすることができる。
【0030】
例えば、容量性感知タッチスクリーンは、カバーガラス一面に分散された、実質的に透明な感知点又は感知ノードを含み得る。カバーガラス104は、ディスプレイ領域の外側防護バリアとして機能し得る。典型的に、カバーガラス104はディスプレイ領域と隣接し得る。一方、カバーガラス104はまた、ディスプレイ領域、例えば、ディスプレイ領域の別の層(外側防護層)と統合され得る。
【0031】
カバーガラス104は、筐体102の上面全体にわたって延在してもよい。そのような場合、カバーガラス104の縁を、筐体102の側面に位置合わせしてもよく、又は側面に実質的に位置合わせしてもよい。
【0032】
カバーガラス104の厚さは、かなり薄い(即ち、典型的には1、2ミリメートル未満)場合があるので、カバーガラス104を慎重に配置しないと、例えば、電子デバイス100が偶発的に落下する落下イベントなどの、有意な力がかかる場合、亀裂又は破壊の影響を受け易くなる可能性がある。
【0033】
カバーガラス104用のガラス材料は、利用可能な強化ガラスから選択され得る。例えば、アルミノシリケートガラス(例えば、Corning製のDVTS)は、カバーガラス104用のガラス材料に好適な一選択肢である。ガラス材料の他の例としては、ソーダ石灰、硼珪酸塩及びこれらに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
透明なカメラウィンドウ106をカバーガラス104に統合することも可能である。透明なカメラウィンドウ106は同様に、ガラスを含んで構成され得る。一方、幾つかの実施形態においては、透明なカメラウィンドウは、プラスチックを含み得る。
【0035】
カバーガラス片の縁は、予め定められた特定のジオメトリに対応するように構成され得る。カバーガラス104の縁を予め定められた特定のジオメトリに対応するように機械加工することによって、カバーガラス104が強化され、結果として、損傷を受けにくくすることができる。
【0036】
なお、本明細書において後ほど詳述するように、カバーガラス104は、更に強化されるように選択的に化学的処理を施してもよい。好適な化学的処理の1つは、カリウム(例KNO3)含有の化学浴槽中で、高温にて一定期間(例えば、数時間)カバーガラスの1つ以上の表面部分を選択的に露出させることである。選択的な化学的処理により、望ましくは、選択的に露出させたカバーガラスの表面部分における圧縮応力が上昇する場合がある。圧縮応力が上昇すると、結果として、イオン交換が為され得る。その際、K+イオンは、カバーガラス104における選択的に露出した表面部分にて又はその近くで、いくつかのNa+イオンを効率的に置換する。
【0037】
そのような選択的な強化に加えて、ベイリンググレアを低減することにより透明なカメラウィンドウ106を介してカメラでキャプチャされた画像又は映像の品質の向上も可能になる。光学特徴部(例えば光学的バリア領域110)をカバーガラス104の内部に配設してもよい。光学的バリア領域110は、そのような迷光の乱反射(diffuse stray light)がカメラの画像平面に到達するのを実質的に抑止することによって、ベイリンググレアの実質的な低減を可能にしている。それ以外の場合、ベイリンググレアは、カメラでキャプチャされた画像又は映像のコントラスト及び解像度を低減し得る。
【0038】
図に示すように(特に、図1Bの詳細図に具体的に示すように)、カバーガラス104は、光学的バリア周辺部110で実質的に包囲された透明なカメラウィンドウ106を含む、実質的に滑らかな外面を有してもよい。カバーガラス104の外面を、透明なカメラウィンドウ106、光学的バリア周辺部110、及びカバーガラス104の隣接領域111にわたって平面状にラップ加工してもよい。本明細書において後ほど詳述するように、光学的バリア周辺部110は金属を含み得る。
【0039】
カメラを透明なカメラウィンドウ106に隣接して光学的バリア周辺部110の内部に配置してもよい。光学的バリア周辺部110は、カバーガラスを介してカメラにおけるグレアを低減するために、カバーガラス104の内部で、カメラとカバーガラスの隣接領域111との間に介在させてもよい。より具体的には、光学的バリア周辺部110は、カバーガラスを介してカメラにおけるグレアを低減するために、カバーガラス104の内部で、透明なカメラウィンドウ106とカバーガラスの隣接領域111との間に介在させてもよい。図に示すように、カバーガラスの隣接領域111は、カバーガラスの大部分の領域を占めてもよい。
【0040】
同様に、カバーガラス104の内部で、透明なカメラウィンドウ106に付随するカメラと照明器エリアの照明器との間に、光学的バリア周辺部110を配設してもよい。光学的バリア周辺部110は、カバーガラス104を介してカメラ内へ入り込む照明器からの光を、実質的に低減するように機能することができる。より具体的には、光学的バリア周辺部110は、カバーガラス104を介してカメラ内へ入り込む照明器からのベイリンググレアを、実質的に低減するように機能することができる。
【0041】
図1Cに略断面図で示すように、電子デバイス100は筐体102を含み得る(図1Cにかなり簡略化して示してある)。電気部品103は、筐体102の内部に配設され得る。本明細書において前述したように、電気部品としては、コントローラ(又はプロセッサ)、メモリ、バッテリ、ディスプレイ、カメラ、及びフラッシュなどの照明器が挙げられるが、これらに限定されるものではない。カバーガラス104は、例えば、接着剤105を使用して筐体102に結合され得る。図を判り易くするため、断面図に、カバーガラス104の相対的厚さをかなり誇張して示してある。同様に、図を簡略化するため、光学的バリア周辺部110の層厚は、かなり誇張して示してある。同図において光学的バリア周辺部110は、ハッチングを使用して強調されている。
【0042】
図1Cの断面図に示すように、カバーガラス104は、光学的バリア周辺部110で実質的に包囲された透明領域106を含む、実質的に滑らかな外面を有し得る。光学的バリア周辺部110は、カバーガラスを介してカメラにおけるグレアを低減するために、カバーガラス104の内部で、透明なカメラウィンドウ106とカバーガラスの隣接領域111との間に介在させてもよい。カバーガラスの隣接領域111は、カバーガラス104の大部分の領域を占めてもよい。
【0043】
電子デバイス100のカメラ107においてベイリンググレアを低減する際の、光学的バリア周辺部110の動作を示すために、図1Dに電子デバイス100の一部を更に簡略化して断面図で示してある。図1Dには、カバーガラス104内に伝播するベイリンググレアを概念的な点線矢印で描画してある。光学的バリア周辺部110は、そのような迷光の乱反射がカメラ107の画像平面に到達するのを実質的に抑止することによって、ベイリンググレアの実質的な低減を可能にしている。したがって、図1Dにベイリンググレアのこのような実質的な低減を示すため、概念的な点線矢印部をブロックするものとして光学的バリア周辺部110を描画してある。
【0044】
図1Dに示すように、カメラ107を、透明なカメラウィンドウ106に隣接して光学的バリア周辺部110の内部に配置してもよい。光学的バリア周辺部110は、カバーガラス104を介してカメラ107におけるグレアを低減するために、カバーガラス104の内部で、カメラ107とカバーガラスの隣接領域111との間に介在させてもよい。より具体的には、光学的バリア周辺部110は、カバーガラス104を介してカメラ107におけるグレアを低減するために、カバーガラス104の内部で、透明なカメラウィンドウ106とカバーガラスの隣接領域111との間に介在させてもよい。図1Dに示すように、カバーガラス104の隣接領域111は、カバーガラス104の大部分の領域を含んでもよい。
【0045】
電子デバイス100の照明器109からのベイリンググレアをカメラ107において低減する際の、光学的バリア周辺部110の動作を示すために、図1Eに電子デバイス100の一部を更に簡略化して断面図で示してある。図1Eには、照明器109からのベイリンググレアがカバーガラス104内に伝播する様子を、概念的な点線矢印で描画してある。光学的バリア周辺部110は、照明器のそのような迷光の乱反射がカメラ107の画像平面に到達するのを実質的に抑止することによって、照明器109からのベイリンググレアの実質的な低減を可能にしている。したがって、照明器109からのベイリンググレアのこのような実質的な低減を記述するため、概念的な点線矢印部をブロックするものとして光学的バリア周辺部110を図1Eに示してある。
【0046】
図1Eに示すように、カメラ107を、透明なカメラウィンドウ106に隣接して光学的バリア周辺部110の内部に配置してもよい。光学的バリア周辺部110は、カバーガラスを介してカメラ107におけるグレアを低減するために、カバーガラス104の内部で、カメラ107と隣接領域111(即ち、照明器109の照明器エリア)との間に介在させてもよい。より具体的には、光学的バリア周辺部110は、カバーガラス104を介してカメラにおけるグレアを低減するために、カバーガラス104の内部で、透明なカメラウィンドウ106とカバーガラスの隣接領域111(即ち、照明器109の照明器エリア)との間に介在させてもよい。
【0047】
図2Aから図2Bは、一実施形態に係るカバーガラスの加工を示す。
【0048】
図2Aは、シートガラスから切り離され得るカバーガラス204の斜視図を示す。図2Bは、カバーガラス204の周辺領域の詳細図を示す。
【0049】
図3Aは、カバーガラス304内に開口312が形成された後の、加工済みカバーガラス304の斜視図を示す。開口312は、例えばドリル加工などの様々な方法で形成することができる。図3Bは、開口312を有する加工済みカバーガラス304の周辺領域の詳細図を示す。
【0050】
図4Aは、光学的バリア周辺部410がカバーガラス404内に形成された開口412の内部に配設された後の、更に加工されたカバーガラス404の斜視図を示す。光学的バリア周辺部410は金属であってもよく、これは比較的高い溶融温度を有するように選択されてもよい(例えばタングステン又はモリブデン)。
【0051】
光学的バリア周辺部410の層厚は、比較的薄型、例えば、約数百ナノメートル程度、又は約1から数ミクロン程度であり得る。光学的バリア周辺部410の層厚は、材料(例えば、金属)に応じてベイリンググレアを低減する有効性に基づいて選択されてもよい。
【0052】
カバーガラス404内に形成された開口412の中に光学的バリア周辺部410を配設する際には、様々な方法を使用できる。例えば、物理的気相成長法のプロセスを使用してもよい。PVDは、開口412の中に材料の薄層(例えば、金属)を形成することで、光学的バリア周辺部410として機能し得る。図4Aに示すように、カバーガラスの開口412内部の露出側面上に、PVDプロセスで適用される材料の薄層を提供できる。
【0053】
図4Bは、更に加工されたカバーガラス404の周辺領域の詳細図を示す。図4A及び図4Bにおいて光学的バリア周辺部410は、ハッチングを使用して強調されている。
【0054】
図5Aは、光学的バリア周辺部510の内部に及びカバーガラス504を貫通して延在する開口506の内部に、透明なカメラウィンドウ514を配設した後の、更に加工されたカバーガラス504の斜視図を示す。透明なカメラウィンドウ514は、適切にサイズ調整されたガラス製プラグ又はペグとして形成でき、好適な温度、例えば摂氏約600から約700度(℃)にて適所で熱圧プレスできる。
【0055】
特に、図5Bの詳細図に具体的に示すように、カバーガラス504は、光学的バリア周辺部510で実質的に包囲された透明なカメラウィンドウ514を含む実質的に滑らかな外面を有し得る。カバーガラス504の外面(例えば、正面又は背面)を、透明なカメラウィンドウ514、光学的バリア周辺部510、及びカバーガラス504の隣接領域511にわたって平面状にラップ加工してもよい。
【0056】
図6Aから図6Dは、一実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。図6Aは、カバーガラス604内に開口612が形成された後の、加工済みカバーガラス604の断面図を示す。上で述べたように、開口612は、例えばドリル加工などの様々な方法で形成することができる。
【0057】
図6Bは、カバーガラス604内に形成された開口612の中に光学的バリア周辺部610が配設された後の、更に加工されたカバーガラス604の断面図を示す。上で述べたように、光学的バリア周辺部410は金属であり得る。金属は、比較的高い溶融温度を有するように選択されてもよい(例えばタングステン又はモリブデン)。図中の光学的バリア周辺部610は、ハッチングを使用して強調されている。
【0058】
図6Cは、細長の透明なカメラウィンドウ606Aが、カバーガラス604を貫通して延在する光学的バリア周辺部610の内部及び開口の内部に配設された後の、更に加工されたカバーガラス604の断面図を示す。細長の透明なカメラウィンドウ606Aは、細長のガラス製プラグ又はペグとして形成でき、好適な温度、例えば摂氏約600から約700度(℃)にて適所に熱圧プレスできる。次に述べるように、好適な研磨スラリー(例えば、酸化セシウムを含有しているもの)を使用して、カバーガラスの外面が平面状になり得るように、細長の透明なカメラウィンドウ606Aをラップ加工してもよい。
【0059】
例えば、図6Dに断面図で示すように、カバーガラス604は、光学的バリア周辺部610で実質的に包囲された透明なカメラウィンドウ606Bを含む実質的に滑らかな外面を有し得る。結果として得られるカバーガラス604の外面は、透明なカメラウィンドウ606B、光学的バリア周辺部610、及びカバーガラス604の隣接領域611にわたって平面状であり得る。
【0060】
図7Aから図7Cは、別の実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。図7Aは、カバーガラス604内に開口712が形成された後の、加工されたカバーガラス704の断面図を示す。上で述べたように、開口712は、例えばドリル加工などの様々な方法で形成することができる。
【0061】
先ほど図6Bに関して述べたように、カバーガラス604内に形成された開口712の中に光学的バリア周辺部を配設するよりもむしろ、図7Bのこの代替実施形態においては、光学的バリア周辺部710が、細長の透明なカメラウィンドウ706A上に被覆物として配設される。図7Bは、細長の透明なカメラウィンドウ706A(光学的バリア周辺部710で被覆されたもの)が、カバーガラス704を貫通して延在する開口712の内部に配設された後の、更に加工されたカバーガラス704の断面図を示す。細長の透明なカメラウィンドウ706Aは、細長のガラス製プラグ又はペグとして形成でき、好適な温度、例えば摂氏約600から約700度(℃)にて適所に熱圧プレスされ得る。次に述べるように、好適な研磨スラリー(例えば、酸化セシウムを含有しているもの)を使用して、カバーガラス704の外面が平面状になり得るように、細長の透明なカメラウィンドウ706A(光学的バリア周辺部710で被覆されたもの)をラップ加工してもよい。
【0062】
例えば、図7Cに断面図で示すように、カバーガラス704は、光学的バリア周辺部710で実質的に包囲された透明なカメラウィンドウ706Bを含む実質的に滑らかな外面を有し得る。結果として得られるカバーガラス704の外面は、透明なカメラウィンドウ706B、光学的バリア周辺部710、及びカバーガラス704の隣接領域711にわたって平面状であり得る。
【0063】
図8Aから図8Cは、別の実施形態に係るカバーガラスの加工を示す略断面図である。図8Aは、カバーガラス804内に開口812が形成された後の、加工済みカバーガラス804の断面図を示す。図8Aに示す実施形態において、カバーガラス804のガラスは、右から左のハッチングで示されているように、暗色又は不透明であってよい。
【0064】
図8Bは、細長の透明なカメラウィンドウ806Aが暗色又は不透明なカバーガラス804を貫通して延在する開口812の内部に配設された後の、暗色又は不透明なカバーガラス804の断面図を示す。細長の透明なカメラウィンドウ806Aは、細長のガラス製プラグ又はペグとして形成でき、好適な温度、例えば摂氏約600から約700度(℃)にて適所に熱圧プレスされ得る。次に述べるように、好適な研磨スラリー(例えば、酸化セシウムを含有しているもの)を使用して、暗色の不透明なカバーガラスの外面が平面状になり得るように、細長の透明なカメラウィンドウを806Aをラップ加工してもよい。
【0065】
例えば、図8Cに断面図で示すように、暗色又は不透明なカバーガラス804は、透明なカメラウィンドウ806Bを含む実質的に滑らかな外面を有し得る。結果として得られる暗色又は不透明なカバーガラス804の外面は、透明なカメラウィンドウ806B、及び暗色又は不透明なカバーガラス804の隣接領域811にわたって平面状であり得る。
【0066】
図8Dは、消費者向け電子製品800の別の実施形態の略図である。消費者向け電子製品800は、筐体及び少なくとも部分的に筐体の内部に配設された電気部品を含んでもよい。電気部品は少なくともカメラ807を含んでもよい。
【0067】
消費者向け電子製品800は、筐体に結合されたカバーガラス804を含んでもよい。カバーガラス804は、透明なカメラウィンドウ806Bと、隣接する暗色又は不透明なガラス領域811と、を含んでもよい。カメラ807を透明なカメラウィンドウ806Bに隣接して配置してもよい。隣接するガラス領域811は、カバーガラス804を通したカメラ807におけるグレアを低減するのに十分に暗色又は不透明であってよい。
【0068】
カバーガラス804は、透明なカメラウィンドウ806B及び隣接するガラス領域811にわたって延在する、実質的に滑らかな外面を有し得る。カバーガラス804は、透明なカメラウィンドウ806B及び隣接するガラス領域811にわたって平面状にラップ加工された外面を有してもよい。
【0069】
図9は、カバーガラスの露出面部分の化学強化の詳細な部分断面図を示す線図である。図9は、加熱されたカリウム浴916(例えば、溶融した硝酸カリウム(KNO3)浴)にカバーガラス904を浸水させて、カバーガラス904に化学強化を施す化学的処理プロセスを、概略的に示している。加熱されたカリウム浴916中にカバーガラス904が浸水されるか又は浸漬されると、カバーガラス904の露出面部分にて拡散及びイオン交換が発生し得る。
【0070】
図9に示すように、圧縮面層919を形成できるように、カバーガラス904内に存在するNaイオン915をカリウム浴916中に拡散させてもよく、カリウム浴916中のKイオン917をカバーガラス904中に拡散させてもよい。言い換えると、カリウム浴916からのKイオン917は、Naイオン915との交換によって圧縮面層919を形成し得る。Kイオン917は圧縮面層919の圧縮応力の表面応力(CS)を提供でき、それにより、カバーガラス904の圧縮面層919に化学強化が施される。圧縮面層919は、クロスハッチングを使用して強調されている。
【0071】
図9においてカバーガラス904は厚さ(t)を有するものとして示されている。化学的処理パラメータ、例えば、化学強化処理の時間及び/又はカリウム浴916中のKイオン917の濃度を制御することによって、圧縮面層919の深度(d)、及び圧縮面層919の圧縮応力の表面応力(CS)は実質的に制御され得る。幾つかの事例においては、Kイオン917が、カバーガラス904の中央部分921に拡散されないこともあり得る。図9では、中央部分921がクロスハッチングなしで示されている。カバーガラス904の中心部分921は、圧縮面層919の圧縮応力の表面応力(CS)に応答して、中心張力(CT)を有し得る。
【0072】
図10A及び図10Bは、一実施形態に係るカバーガラス1004の化学強化を示す略断面図である。図10Aは、化学強化を施す前のカバーガラス1004を示す。図10Bは、化学強化を施した後のカバーガラス1004を示す。
【0073】
図10A及び図10Bに示すように、カバーガラス1004は、光学的バリア周辺部1010によって実質的に包囲された透明なカメラウィンドウ1006を含む実質的に滑らかな外面を有し得る。カバーガラス1004の外面を、例えば化学強化に先立って、透明なカメラウィンドウ1006、光学的バリア周辺部1010及びカバーガラスの隣接領域1004にわたって平面状にラップ加工してもよい。
【0074】
図10Bは、化学強化が施された後の、ガラス製カメラウィンドウ1006の化学強化面1019Aを示す。図10Bはまた、カバーガラス1004の隣接領域1011の、化学強化面1019Bを示す。
【0075】
図10Cは、筐体及び少なくとも部分的に筐体の内部に配設された電気部品を含み、この電気部品が少なくともカメラ1007を含む、消費者向け電子製品1000の別の実施形態の略図である。カバーガラス1004は、筐体に結合できる。
【0076】
カバーガラス1004は、化学強化面1019Aを有するガラス製カメラウィンドウ1006を含んでもよい。カバーガラス1004は、強化面1019Bを有する隣接領域1011を含んでもよい。カバーガラス1004は光学的バリア周辺部1010を更に含み得る。光学的バリア周辺部1010は、ガラス製カメラウィンドウ1006を実質的に包囲してもよい。光学的バリア周辺部1010は金属を含み得る。
【0077】
カメラ1007をガラス製カメラウィンドウ1006に隣接して配置してもよい。光学的バリア周辺部1010は、カバーガラスを介してカメラ1007におけるグレアを低減するために、カバーガラス1004の内部で、カメラ1007とカバーガラスの隣接領域1011との間に介在させてもよい。より具体的には、光学的バリア周辺部1010は、カバーガラス1004の内部で、カメラウィンドウ1006とカバーガラス1004の隣接領域1011との間に介在させてもよく、並びに、カバーガラス1004を介してカメラ1007におけるグレアを低減するように機能することができる。
【0078】
電子デバイス1000のカメラ1007においてベイリンググレアを低減する際の、光学的バリア周辺部1010の動作を示すために、図10Cに電子デバイス1000を簡略化して断面図で示してある。図10Cには、カバーガラス1004内を伝播するベイリンググレアを、概念的な点線矢印で描画してある。光学的バリア周辺部1010は、そのような迷光の乱反射がカメラ1007の画像平面に到達するのを実質的に抑止することによって、ベイリンググレアの実質的な低減を可能にしている。したがって、図10Cにベイリンググレアのこのような実質的な低減を示すため、概念的な点線矢印部をブロックするものとして光学的バリア周辺部1010を描画してある。
【0079】
図10Cに示す消費者向け電子製品1000において、カバーガラス1004は、ガラス製カメラウィンドウ1006、光学的バリア周辺部1010、及びカバーガラス1004の隣接領域1011にわたって延在する、実質的に滑らかな外面を有し得る。カバーガラス1004は、(例えば、ラップ加工によって)ガラス製カメラウィンドウ1006、光学的バリア1010及びカバーガラス1004の隣接領域1011にわたって平面状の外面を有し得る。
【0080】
図11は、一実施形態に係る組立プロセス1100のフローチャートである。組立プロセス1100は、カバーガラス内に開口を形成する工程1102によって開始してもよい。プロセス1100は引き続き、カメラウィンドウを実質的に包囲する光学的バリア周辺部を介在させる工程1104を実行できる。光学的バリア周辺部は、カメラウィンドウと隣接のガラス領域との間に提供される。
【0081】
プロセス1100は引き続き、カバーガラスの開口内に透明なカメラウィンドウを配設する工程1106を実行できる。透明なカメラウィンドウを、加熱して(即ち、コンプライアントになるように)開口部の内部の所定位置に押圧することにより、密着させてもよい。プロセス1100は引き続き、透明なカメラウィンドウ及びカバーガラスの隣接するガラス領域が、カバーガラスの平面状外面になるように、透明なカメラウィンドウをラップ加工する工程1108を実行できる。
【0082】
プロセス1100は引き続き、カメラに隣接する透明なカメラウィンドウを配設する工程1110を実行できる。その後、プロセス1100はその後に、カバーガラスを電子製品用の筐体に取り付ける工程1112を実行できる。一旦カバーガラスが筐体に取り付けられた後は、組立プロセス1100を終了してもよい。
【0083】
本出願は、2010年7月30日に出願された「Electronic Device Having Selectively Strengthening Glass Cover Glass」と題した米国特許出願第12/847,926号を参照しており、この出願は本明細書において参照により援用されている。
【0084】
本発明の実施形態は、ポータブルなバッテリ駆動型電子デバイス、より具体的には、ハンドヘルドのバッテリ駆動型電子デバイスによく適している。ポータブルなバッテリ駆動型電子デバイスの例としては、ラップトップ、タブレットコンピュータ、メディアプレーヤ、電話、GPSユニット、リモートコントロール、携帯情報端末(PDA)及びこれらに類するものを挙げることができる。
【0085】
上述の本発明の種々の態様、特長、実施形態又は実施は、単独で又は種々の組み合わせで使用することができる。
【0086】
本発明の利点は多岐にわたっている。様々な態様、実施形態、又は実装によって、以下の利点のうちの1つ以上がもたらされ得る(ただし、必ずしもその必要はない)。本発明の利点の1つは、カバーガラスを強化したことで、カメラウィンドウ領域においてさえも落下イベントに起因する損傷から防護できることにある。別の利点は、透明なカメラウィンドウをカバーガラスと統合すると、効率及び/又は外観が良くなることである。画像又は映像品質が向上するという別の利点がある。この利点は、ベイリンググレアの実質的な低減によってもたらされ得る。
【0087】
本発明の多くの特徴及び利点は、記載されている説明から明らかであり、それ故、添付の特許請求の範囲によって、本発明のそのような特徴及び利点を包含することが意図される。更には、数多くの修正形態及び変形形態が、当業者には容易に想到されるため、本発明は、例示及び説明される厳密な構成並びに動作に限定されるべきではない。したがって、全ての好適な修正形態及び均等物が本発明の範囲内に入るものとして用いられてもよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10A
図10B
図10C
図11