特許第6982590号(P6982590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982590
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   E02F9/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-43651(P2019-43651)
(22)【出願日】2019年3月11日
(65)【公開番号】特開2020-147909(P2020-147909A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】特許業務法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳井 陽介
(72)【発明者】
【氏名】竹内 大和
(72)【発明者】
【氏名】松井 琢也
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−71893(JP,A)
【文献】 特開2018−141360(JP,A)
【文献】 特開2011−12513(JP,A)
【文献】 特開2015−68013(JP,A)
【文献】 特開2000−168452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に設けられ楔形状をなす掘削爪が着脱可能に取付けられたバケットを有する作業装置とからなり、
前記下部走行体は、センタフレームの左,右両側に設けられたサイドフレームと、
前記サイドフレームの前記センタフレームとは反対側となる外側面に設けられた乗降用ステップとを備え、
前記乗降用ステップは、
前記下部走行体の前,後方向に離間して前記サイドフレームの外側面に固定された一対の突出板と、前記一対の突出板の先端間を連結し前記サイドフレームの外側面との間に空間を形成した連結板とにより構成された建設機械において、
前記乗降用ステップには、前記サイドフレームの外側面との間に前記掘削爪を挟込んで保持することができる保持部材が設けられていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記乗降用ステップには、前記サイドフレームの外側面と前記乗降用ステップとの間に形成された空間を上方から覆うカバー部材が着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記乗降用ステップの上端よりも下側に配置され前記サイドフレームの外側面と前記乗降用ステップとの間に形成された空間を施蓋する蓋部材と、前記蓋部材に固定され前記乗降用ステップと共に足場を形成する足掛け部材とにより構成されていることを特徴とする請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記保持部材は、前記乗降用ステップを構成する前記一対の突出板間に設けられた棒状体により形成され、
前記乗降用ステップは、前記掘削爪を前記棒状体と前記サイドフレームの外側面との間に挟込んで保持することができる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項5】
前記保持部材には、前記掘削爪が前記保持部材に保持されているときに前記掘削爪に係合することにより前記掘削爪の前,後方向への移動を規制する移動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項6】
前記カバー部材には、前記サイドフレームの外側面と前記乗降用ステップとの間に形成された空間を上方から覆った状態で下向きに突出した移動規制部が設けられており、前記移動規制部は、前記掘削爪が前記保持部材に保持されているときに前記掘削爪に係合することにより前記掘削爪の前,後方向への移動を規制することを特徴とする請求項2に記載の建設機械。
【請求項7】
前記保持部材は、前記乗降用ステップを構成する前記連結板に設けられ前記連結板から前記サイドフレームの外側面に向けて突出した突出部材により形成され、
前記乗降用ステップは、前記掘削爪を前記突出部材の突出端と前記サイドフレームの外側面との間に挟込んで保持することができる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械を代表する油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とを備え、下部走行体と上部旋回体とによって車体が構成されている。上部旋回体の前側には作業装置が俯仰動可能に設けられ、この作業装置によって土砂の掘削作業等が行われる。
【0003】
油圧ショベルの作業装置は、基端側が上部旋回体に回動可能に取付けられたブームと、基端側がブームの先端側に回動可能に取付けられたアームと、アームの先端側に回動可能に取付けられたバケットとを備えている。このバケットは、通常、掘削した土砂を収容するバケット本体と、このバケット本体のカッティングエッジに固定された複数のアダプタと、これら複数のアダプタに着脱可能に取付けられた掘削爪とを含んで構成されている。
【0004】
ところで、掘削すべき地面の土質が比較的軟らかい場合、あるいは掘削した地面を平坦に均す地均し作業を行う場合には、掘削爪に代えてバケットに平爪を取付けることが知られている。この平爪は、平板状の掘削板と、掘削板に左,右方向に並んで設けられた複数のソケットとからなり、このソケットがバケット本体のアダプタに取付けられる。このため、掘削爪に代えてバケット本体に平爪を取付ける場合には、バケット本体から取外された複数の掘削爪は、上部旋回体に設けられたキャブや工具箱等の収容スペース内に収容される。しかし、上部旋回体に設けられた収容スペースは地上高さが高く、重量物である掘削爪を収容スペースに対して出し入れするときの作業性が悪いという問題がある。
【0005】
一方、下部走行体のトラックフレームを構成するサイドフレームの内部に収容スペースを形成し、サイドフレームの外側面に、収容スペースに開口する窓穴と、窓穴を開閉する扉板とを設けた油圧ショベルが提案されている(特許文献1)。この油圧ショベルによれば、収容スペースの地上高さが低いため、重量物である掘削爪を出し入れするときの作業性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−18467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1による油圧ショベルは、サイドフレームの内部に収容スペースが形成されているので、掘削爪に付着した土砂が離脱することにより、収容スペース内に土砂が滞留し易いという問題がある。しかも、収容スペース内の土砂を清掃する場合には、窓穴を通じて土砂を収容スペースの外部に排出する必要があり、清掃時の作業性が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、掘削爪を収容スペース内に収容するときの作業性を高め、かつ掘削爪に付着した土砂を収容スペースの外部に容易に排出することができるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自走可能な下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に設けられ楔形状をなす掘削爪が着脱可能に取付けられたバケットを有する作業装置とからなり、前記下部走行体は、センタフレームの左,右両側に設けられたサイドフレームと、前記サイドフレームの前記センタフレームとは反対側となる外側面に設けられた乗降用ステップとを備え、前記乗降用ステップは、前記下部走行体の前,後方向に離間して前記サイドフレームの外側面に固定された一対の突出板と、前記一対の突出板の先端間を連結し前記サイドフレームの外側面との間に空間を形成した連結板とにより構成された建設機械に適用される。
【0010】
本発明の特徴は、前記乗降用ステップには、前記サイドフレームの外側面との間に前記掘削爪を挟込んで保持することができる保持部材が設けられていることにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、掘削爪を保持する保持部材は、地上高さが低いサイドフレームの乗降用ステップに設けられているので、この保持部材とサイドフレームの外側面との間に掘削爪を保持し、かつ両者間から掘削爪を取外すときの作業性を高めることができる。一方、掘削爪に付着した土砂は、乗降用ステップとサイドフレームの外側面との間の隙間を通じて外部に排出されるので、土砂を清掃するときの作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
図2】下部走行体を示す斜視図である。
図3】バケットと掘削爪を示す分解斜視図である。
図4】サイドフレーム、乗降用ステップ、保持部材、掘削爪を上方から見た平面図である。
図5】サイドフレーム、乗降用ステップ、保持部材、掘削爪を図4中の矢示V−V方向から見た断面図である。
図6】乗降用ステップ、保持部材、掘削爪をサイドフレーム側からみた斜視図である。
図7】サイドフレーム、乗降用ステップ、保持部材、掘削爪を示す一部破断の斜視図である。
図8】乗降用ステップ、カバー部材を示す分解斜視図である。
図9】乗降用ステップにカバー部材を取付けた状態を示す斜視図である。
図10】サイドフレーム、乗降用ステップ、保持部材、掘削爪、カバー部材を示す図5と同様位置の断面図である。
図11】第2の実施の形態によるサイドフレーム、乗降用ステップ、保持部材、移動規制部材、掘削爪を示す図4と同様位置の平面図である。
図12】第3の実施の形態によるサイドフレーム、乗降用ステップ、保持部材、カバー部材、移動規制部材、掘削爪を示す図5と同様位置の断面図である。
図13】第3の実施の形態によるカバー部材、移動規制部材を示す斜視図である。
図14】第4の実施の形態によるサイドフレーム、乗降用ステップ、保持部材、掘削爪を示す図7と同様位置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。なお、実施の形態では、油圧ショベルの走行方向を前,後方向とし、油圧ショベルの走行方向と直交する方向を左,右方向として説明する。
【0014】
図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、油圧ショベル1は、前,後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前側に設けられた作業装置5とを含んで構成されている。下部走行体2と上部旋回体4とは、油圧ショベル1の車体を構成している。油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場を走行し、上部旋回体4を旋回させつつ作業装置5を用いて土砂の掘削作業等を行う。
【0015】
上部旋回体4は、ベースとなる旋回フレーム6と、旋回フレーム6の前部左側に搭載され運転室を画成するキャブ7と、旋回フレーム6の後端に設けられ作業装置5との重量バランスをとるカウンタウエイト8と、カウンタウエイト8の前側に位置して旋回フレーム6上に設けられ、原動機、油圧ポンプ等の搭載機器(図示せず)を収容する建屋カバー9とを含んで構成されている。
【0016】
作業装置5は、旋回フレーム6の前端に左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポスト5Aと、スイングポスト5Aに回動可能に取付けられたブーム5Bと、ブーム5Bの先端に回動可能に取付けられたアーム5Cと、アーム5Cの先端に回動可能に取付けられた後述のバケット10とを備えている。旋回フレーム6とブーム5Bとの間には、ブーム5Bを駆動するブームシリンダ5Dが設けられ、ブーム5Bとアーム5Cとの間には、アーム5Cを駆動するアームシリンダ5Eが設けられている。また、アーム5Cとバケット10との間には、バケット10を駆動するバケットシリンダ5Fが、バケットリンク5Gを介して設けられている。さらに、旋回フレーム6とスイングポスト5Aとの間には、スイングポスト5Aを左,右方向に揺動させるスイングシリンダ(図示せず)が設けられている。
【0017】
バケット10は、作業装置5を構成するアーム5Cの先端に回動可能に取付けられている。図3に示すように、バケット10は、後述のバケット本体11、複数のアダプタ12、複数の掘削爪13を含んで構成され、土砂の掘削作業等に用いられる。
【0018】
バケット本体11は、バケット10のベースとなり、掘削した土砂等を収容する。バケット本体11は、凹湾曲状をなす底板11Aと、底板11Aの左,右両側に溶接によって固着された左側板11Bおよび右側板11Cとを有し、これら底板11A、左,右の側板11B,11Cによって土砂収容部11Dが形成されている。底板11Aの土砂収容部11Dの開口側には、底板11Aよりも厚肉なカッティングエッジ11Eが溶接によって固着されている。一方、底板11Aの土砂収容部11Dとは反対側となる背面側には、左,右一対のブラケット11Fが溶接によって固着されている。このブラケット11Fには、アーム5Cの先端とバケットリンク5Gが回動可能に取付けられている。
【0019】
複数(例えば4個)のアダプタ12は、バケット本体11のカッティングエッジ11Eに設けられている。これら複数のアダプタ12は、カッティングエッジ11Eの長手方向(左,右方向)に一定の間隔をもって配置され、アダプタ12の基端はカッティングエッジ11Eに溶接によって固着されている。そして、アダプタ12の先端は、カッティングエッジ11Eから突出する楔状の嵌合凸部12Aとなり、この嵌合凸部12Aに掘削爪13が着脱可能に取付けられる。
【0020】
複数の掘削爪13は、バケット本体11の開口側に着脱可能に取付けられている。これら複数の掘削爪13は、バケット本体11(カッティングエッジ11E)に設けられた複数のアダプタ12の嵌合凸部12Aに、それぞれ着脱可能に取付けられている。図4ないし図6に示すように、掘削爪13は、アダプタ12に取付けられる基端部13Aから先端部13Bに向けて間隔が徐々に小さくなる一対の傾斜面13Cと、これら一対の傾斜面13C間を連結する三角形状の一対の側面13Dとを有し、全体として先細りの楔形状に形成されている。また、掘削爪13には、アダプタ12の嵌合凸部12Aに挿嵌される嵌合凹部13Eが設けられている。そして、掘削爪13は、嵌合凹部13Eをバケット本体11に固着されたアダプタ12の嵌合凸部12Aに嵌合させた状態で、ロックピン等(図示せず)を用いてアダプタ12に固定される。
【0021】
クローラ式の下部走行体2は、図2に示すように、後述するトラックフレーム14と、遊動輪19と、駆動輪21と、履帯24とを含んで構成されている。
【0022】
トラックフレーム14は、下部走行体2のベースを構成するもので、センタフレーム15と、左サイドフレーム16と、右サイドフレーム17とにより構成されている。センタフレーム15は、トラックフレーム14の中央部分を形成している。センタフレーム15は、円筒状の丸胴15Aが設けられた旋回体支持部15Bと、旋回体支持部15Bから左側方に張出す左脚部15Cと、旋回体支持部15Bから右側方に張出す右脚部15Dとを有している。旋回体支持部15Bの丸胴15Aには、旋回装置3を介して旋回フレーム6が取付けられている。左脚部15Cの先端には左サイドフレーム16が取付けられ、右脚部15Dの先端には右サイドフレーム17が取付けられている。
【0023】
左サイドフレーム16は、センタフレーム15の左側に配置され、前,後方向に延びている。左サイドフレーム16は、左脚部15Cの先端に固定された内側面(図示せず)と、センタフレーム15とは反対側に配置され内側面と間隔をもって対面する外側面16Aと、内側面および外側面16Aの上端間を連結する上面16Bとを有している。これにより、左サイドフレーム16は、逆U字型の断面形状をもって前,後方向に延びる枠体として形成されている。
【0024】
左サイドフレーム16の前,後方向の一端(前端)には遊動輪ブラケット18が固定され、遊動輪ブラケット18には遊動輪19が回転可能に取付けられている。左サイドフレーム16の前,後方向の他端(後端)には駆動輪ブラケット20が固定され、駆動輪ブラケット20には、走行モータによって回転駆動される駆動輪21が取付けられている。左サイドフレーム16の下端には、複数の下ローラ22が回転可能に設けられ、左サイドフレーム16の上面16Bには上ローラ23が回転可能に設けられている。そして、遊動輪19、駆動輪21、下ローラ22、上ローラ23には履帯(クローラ)24が巻回されている。また、左サイドフレーム16の外側面16Aには、後述の乗降用ステップ25が固定されている。
【0025】
トラックフレーム14の右サイドフレーム17は、センタフレーム15の右側に配置され、前,後方向に延びている。右サイドフレーム17は、左サイドフレーム16と同様に、右脚部15Dの先端に固定された内側面17Aと、センタフレーム15とは反対側に配置され内側面17Aと間隔をもって対面する外側面(図示せず)と、内側面17Aおよび外側面の上端間を連結する上面17Bとを有している。右サイドフレーム17の前端には遊動輪ブラケット18が固定され、遊動輪ブラケット18には遊動輪(図示せず)が取付けられている。右サイドフレーム17の後端には駆動輪ブラケット20が固定され、駆動輪ブラケット20には駆動輪(図示せず)が取付けられている。右サイドフレーム17には、左サイドフレーム16と同様に上ローラおよび複数の下ローラ(いずれも図示せず)が設けられ、遊動輪、駆動輪、下ローラおよび上ローラには履帯24が巻回されている。
【0026】
次に、左サイドフレーム16に設けられた乗降用ステップ25について説明する。なお、乗降用ステップ25は、右サイドフレーム17にも設けられているが、左サイドフレーム16と右サイドフレーム17に設けられる乗降用ステップ25は同一形状を有しているため、以下、左サイドフレーム16に設けられた乗降用ステップ25について説明し、右サイドフレーム17の乗降用ステップについての説明は省略する。
【0027】
乗降用ステップ25は、左サイドフレーム16に設けられている。乗降用ステップ25は、例えばオペレータがキャブ7に対して乗降するときの足場を形成している。図4ないし図6に示すように、乗降用ステップ25は、例えば鋼板材を折曲げることにより、U字型の枠状に形成されている。即ち、乗降用ステップ25は、前,後方向で対をなして左サイドフレーム16の外側面16Aに固定され、先端がセンタフレーム15から離れる方向に突出した前突出板25Aおよび後突出板25Bと、これら前突出板25Aおよび後突出板25Bの先端間を連結する連結板25Cとにより構成されている。
【0028】
乗降用ステップ25の前突出板25Aと後突出板25Bとは、前,後方向で間隔をもって対面し、前突出板25Aおよび後突出板25Bの基端は、左サイドフレーム16の外側面16Aに溶接によって固着されている。また、前突出板25Aおよび後突出板25Bの上側には、外側面16Aから上面16B側に張出す張出し部25A1および25B1が設けられ、これら張出し部25A1および25B1は上面16Bに溶接によって固着されている。乗降用ステップ25の連結板25Cは、左サイドフレーム16の外側面16Aと一定の間隔をもって対面し、左サイドフレーム16の外側面16Aと乗降用ステップ25との間には、掘削爪13を収容する爪収容空間26が形成されている。乗降用ステップ25の下端は開口部25Dとなり、爪収容空間26は上,下方向に開口している。従って、爪収容空間26内に収容された掘削爪13から離脱した土砂は、乗降用ステップ25の開口部25Dを通じて地面へと排出される。
【0029】
乗降用ステップ25の連結板25Cの上端25Eには、鋸歯状に連続する凹凸部25Fが設けられている。この凹凸部25Fは、オペレータが乗降用ステップ25に足を掛けたときの滑り止めを行う。一方、乗降用ステップ25の前突出板25Aおよび後突出板25Bの上縁部には、上側が開口端となって鉛直下向きに延びる切欠部25Gが形成されている。これら前突出板25Aおよび後突出板25Bに形成された切欠部25Gには、後述するカバー部材28の足掛け板30が嵌合する。
【0030】
保持部材27は、爪収容空間26内に位置して乗降用ステップ25に設けられている。保持部材27は、左サイドフレーム16の外側面16Aとの間に掘削爪13を挟込んで保持する。ここで、保持部材27は、例えば断面円形状の棒状体からなり、保持部材27の前端27Aは、切欠部25Gよりも下側で前突出板25Aに固定され、保持部材27の後端27Bは、切欠部25Gよりも下側で後突出板25Bに固定されている。このように、保持部材27は、前,後方向で対をなす前突出板25Aと後突出板25Bとの間に設けられ、左サイドフレーム16の外側面16Aとの間に一定の間隔を保った状態で前,後方向に延びている。
【0031】
この場合、図5に示すように、左サイドフレーム16の外側面16Aと保持部材27の外周面との間隔Aは、掘削爪13の基端部13Aにおける一対の傾斜面13Cの間隔Bよりも小さく、かつ、掘削爪13の先端部13Bにおける一対の傾斜面13Cの間隔Cよりも大きく設定されている(C<A<B)。
【0032】
そして、掘削爪13は、先端部13Bを下向きにして、左サイドフレーム16の外側面16Aと保持部材27との間に差込まれる。これにより、基端部13Aから先端部13Bに向けて先細りとなる楔形状の掘削爪13は、一方の傾斜面13Cが左サイドフレーム16の外側面16Aに当接し、他方の傾斜面13Cが保持部材27の外周面に当接する。従って、掘削爪13の一対の傾斜面13Cは、掘削爪13の自重によって左サイドフレーム16の外側面16Aと保持部材27との間に確実に挟込まれて保持され、左サイドフレーム16の外側面16Aと乗降用ステップ25との間の爪収容空間26内に収容される。
【0033】
カバー部材28は、乗降用ステップ25に設けられ、爪収容空間26を上方から覆っている。図8ないし図10に示すように、カバー部材28は、爪収容空間26を施蓋する平板状の蓋体29と、蓋体29の上面に溶接等の手段を用いて固定された足掛け板30とにより構成されている。蓋体29は、平板状の板体からなり、乗降用ステップ25を構成する連結板25Cの上端25Eよりも下側に配置されている。足掛け板30は、乗降用ステップ25の前,後方向の長さ寸法よりも長尺な長方形の板体により形成され、足掛け板30の上端30Aには、鋸歯状に連続する凹凸部30Bが設けられている。
【0034】
足掛け板30の前端30Cは、蓋体29の前端から前方に突出し、乗降用ステップ25の前突出板25Aに形成された切欠部25Gに嵌合する。足掛け板30の後端30Dは、蓋体29の後端から後方に突出し、乗降用ステップ25の後突出板25Bに形成された切欠部25Gに嵌合する。これにより、図9および図10に示すように、カバー部材28は乗降用ステップ25に保持され、蓋体29は、爪収容空間26内に収容された掘削爪13を上方から覆う。従って、油圧ショベル1の走行時に、履帯24から左サイドフレーム16に向けて土砂が落下した場合でも、この土砂が爪収容空間26内に収容された掘削爪13に付着するのを抑えることができる構成となっている。一方、カバー部材28が乗降用ステップ25に保持された状態で、足掛け板30の上端30Aは、乗降用ステップ25(連結板25C)の上端25Eと同一平面上に配置される。これにより、足掛け板30は、乗降用ステップ25と共に、オペレータがキャブ7に乗降するときの足場を形成する。
【0035】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、油圧ショベル1の動作について説明する。
【0036】
まず、油圧ショベル1を用いて土砂の掘削作業等を行う場合には、オペレータは、乗降用ステップ25を足場としてキャブ7に搭乗し、キャブ7に設けられた走行用の操作レバー装置、あるいは作業用の操作レバー装置(いずれも図示せず)を操作する。これにより、油圧ショベル1を作業場所まで自走させ、作業場所において上部旋回体4を旋回させつつ作業装置5を用いて掘削作業を行うことができる。
【0037】
ここで、地面が比較的軟らかい土質である場合には、軟質地面の掘削作業に適した平爪(図示せず)がバケット10に取付けられる。このため、バケット10のアダプタ12から複数の掘削爪13が取外され、取外された掘削爪13は、乗降用ステップ25と左サイドフレーム16の外側面16Aとの間の爪収容空間26内に収容される。
【0038】
次に、バケット10から取外された掘削爪13を爪収容空間26内に収容する手順について説明する。
【0039】
バケット10から取外された掘削爪13は、図5および図7に示すように、先端部13Bを下向きにして、左サイドフレーム16の外側面16Aと保持部材27との間に差込まれる。この場合、掘削爪13は、基端部13Aから先端部13Bに向けて先細りとなる楔形状を有している。このため、一方の傾斜面13Cが左サイドフレーム16の外側面16Aに当接し、他方の傾斜面13Cが保持部材27の外周面に当接する。この結果、掘削爪13の一対の傾斜面13Cは、掘削爪13の自重によって左サイドフレーム16の外側面16Aと保持部材27との間に確実に挟込まれて保持される。このようにして、左サイドフレーム16の外側面16Aと乗降用ステップ25との間の爪収容空間26内に、2個の掘削爪13を並べて収容することができる(図4参照)。
【0040】
この場合、乗降用ステップ25は、地上高さが低い位置に配置されているので、重量物である掘削爪13を、高い位置まで持ち上げることなく、左サイドフレーム16と乗降用ステップ25との間の爪収容空間26内に収容することができる。この結果、取外された掘削爪13を爪収容空間26内に収容するときの作業性を高めることができる。また、乗降用ステップ25の下端は開口部25Dとなり、爪収容空間26は上,下方向に開口している。このため、爪収容空間26内に収容された掘削爪13に土砂が付着していたとしても、この掘削爪13から離脱した土砂は、爪収容空間26内に滞留することなく、乗降用ステップ25の開口部25Dを通じて地面へと落下する。この結果、爪収容空間26を清掃するときの作業性を高めることができ、かつ清掃作業の頻度を少なくすることができる。
【0041】
爪収容空間26内に2個の掘削爪13を収容した後には、図8および図9に示すように、カバー部材28の足掛け板30を、乗降用ステップ25の切欠部25Gに嵌合させる。即ち、足掛け板30の前端30Cを、乗降用ステップ25の前突出板25Aに形成された切欠部25Gに嵌合させると共に、足掛け板30の後端30Dを、乗降用ステップ25の後突出板25Bに形成された切欠部25Gに嵌合させる。
【0042】
これにより、カバー部材28が乗降用ステップ25に保持され、爪収容空間26内に収容された掘削爪13を蓋体29によって上方から覆うことができる(図10参照)。この結果、油圧ショベル1の走行時に、履帯24から左サイドフレーム16に向けて土砂が落下した場合でも、この土砂が爪収容空間26内に収容された掘削爪13の嵌合凹部13E内に付着するのを抑えることができる。一方、カバー部材28が乗降用ステップ25に保持された状態で、足掛け板30の上端30Aは、乗降用ステップ25(連結板25C)の上端25Eと同一平面上に配置される。これにより、足掛け板30は、乗降用ステップ25と共に、オペレータがキャブ7に乗降するときの大きな足場を形成する。この場合、足掛け板30の上端30Aには鋸歯状の凹凸部30Bが形成されているので、乗降用ステップ25の凹凸部25Fと足掛け板30の凹凸部30Bとの両方によって、オペレータが乗降用ステップ25に足を掛けたときの滑り止めを確実に行うことができる。
【0043】
そして、右サイドフレーム17の外側面と乗降用ステップとの間に形成された爪収容空間内にも、上述したと同様に2個の掘削爪13が並べて収容され、これら2個の掘削爪13を、カバー部材によって上方から覆うことができる。
【0044】
かくして、第1の実施の形態による油圧ショベル1は、下部走行体2と、上部旋回体4と、楔形状をなす掘削爪13が着脱可能に取付けられたバケット10を有する作業装置5とからなっている。下部走行体2は、センタフレーム15の左,右両側に設けられた左,右のサイドフレーム16,17と、左,右のサイドフレーム16,17のセンタフレーム15とは反対側となる外側面に設けられた乗降用ステップ25とを備えている。乗降用ステップ25は、下部走行体2の前,後方向に離間して左,右のサイドフレーム16,17の外側面に固定された前,後の突出板25A,25Bと、前,後の突出板25A,25Bの先端間を連結し左,右のサイドフレーム16,17の外側面との間に爪収容空間26を形成した連結板25Cとにより構成されている。そして、乗降用ステップ25には、左,右のサイドフレーム16,17の外側面との間に掘削爪13を挟込んで保持することができる保持部材27が設けられている。
【0045】
この構成によれば、基端部13Aから先端部13Bに向けて先細りとなる楔形状の掘削爪13を、先端部13Bを下向きにして左サイドフレーム16の外側面16Aと保持部材27との間に挟込むことにより、掘削爪13を、左サイドフレーム16の外側面16Aと乗降用ステップ25との間の爪収容空間26内に収容することができる。この場合、乗降用ステップ25は、地上高さが低い位置に配置されているので、重量物である掘削爪13を爪収容空間26内に収容するときの作業性を高めることができる。また、爪収容空間26内に収容された掘削爪13に土砂が付着していたとしても、この掘削爪13から離脱した土砂は、乗降用ステップ25の開口部25Dを通じて地面へと落下するので、爪収容空間26を清掃するときの作業性を高めることができる。
【0046】
また、乗降用ステップ25には、左,右のサイドフレーム16,17の外側面と乗降用ステップ25との間に形成された爪収容空間26を上方から覆うカバー部材28が着脱可能に設けられている。この構成によれば、油圧ショベル1の走行時に、履帯24から左,右のサイドフレーム16,17に向けて土砂が落下した場合でも、この土砂が爪収容空間26内に収容された掘削爪13に付着するのを抑えることができる。
【0047】
さらに、カバー部材28は、乗降用ステップ25を構成する連結板25Cの上端25Eよりも下側に配置され左,右のサイドフレーム16,17の外側面と乗降用ステップ25との間に形成された爪収容空間26を施蓋する蓋体29と、蓋体29に固定され乗降用ステップ25と共に足場を形成する足掛け板30とにより構成されている。この構成によれば、カバー部材28が乗降用ステップ25に保持された状態で、蓋体29によって、履帯24から落下した土砂が爪収容空間26内の掘削爪13に付着するのを抑えることができる。また、足掛け板30は、乗降用ステップ25と共に、オペレータがキャブ7に乗降するときの大きな足場を形成することができる。
【0048】
次に、図11は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、保持部材に、掘削爪の前,後方向への移動を規制する移動規制部が設けられていることにある。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
図中、保持部材31は、第1の実施の形態による保持部材27と同様に、爪収容空間26内に位置して乗降用ステップ25に設けられ、左サイドフレーム16の外側面16Aとの間に掘削爪13を挟込んで保持する。しかし、第2の実施の形態による保持部材31は、後述の移動規制部32が設けられている点で、第1の実施の形態によるものとは異なっている。
【0050】
保持部材31は、断面円形状の棒状体からなり、軸方向に間隔をもって複数の移動規制部32が設けられている。保持部材31の前端31Aは、乗降用ステップ25の切欠部25Gよりも下側で前突出板25Aに固定され、保持部材31の後端31Bは、切欠部25Gよりも下側で後突出板25Bに固定されている。これにより、保持部材31は、左サイドフレーム16の外側面16Aとの間に一定の間隔を保った状態で前,後方向に延びている。
【0051】
移動規制部32は、保持部材31に複数個(例えば4個)設けられ、保持部材31の外周面から径方向外側に突出している。移動規制部32は、例えば保持部材31よりも大きな外径寸法を有する環状の板体によって形成され、その内周側が保持部材31に挿嵌された状態で、溶接等の手段を用いて保持部材31の外周面に固定されている。この場合、2個の移動規制部32の間隔Dは、掘削爪13の一対の側面13Dの間隔Eよりも若干大きく設定されている(D>E)。
【0052】
従って、掘削爪13は、一対の側面13Dが2個の移動規制部32間に配置された状態で、左サイドフレーム16の外側面16Aと保持部材31との間に挟込んで保持される。これにより、爪収容空間26内に収容された掘削爪13が前,後方向(保持部材31の軸方向)に移動しようとしたときに、移動規制部32に係合することにより、この掘削爪13の移動を規制することができる。
【0053】
第2の実施の形態による油圧ショベルは、上述の如き保持部材31を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0054】
然るに、第2の実施の形態による保持部材31には、保持部材31と左サイドフレーム16の外側面16Aとの間に挟込まれた掘削爪13に係合することにより、掘削爪13の前,後方向への移動を規制する複数の移動規制部32が設けられている。これにより、油圧ショベルの作動時に、爪収容空間26内に収容された掘削爪13が前,後方向に移動しようとしても、掘削爪13が移動規制部32に係合(当接)することにより、この掘削爪13の移動を規制することができる。この結果、爪収容空間26内で掘削爪13同士が衝突して損傷するのを抑え、掘削爪13の耐久性を高めることができる。
【0055】
次に、図12および図13は本発明の第3の実施の形態を示している。第3の実施の形態の特徴は、カバー部材に、掘削爪の前,後方向への移動を規制する移動規制部が設けられていることにある。なお、第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
図中、カバー部材33は、第1の実施の形態によるカバー部材28と同様に、乗降用ステップ25に保持され、爪収容空間26を上方から覆っている。しかし、第3の実施の形態によるカバー部材33は、後述の移動規制部36が設けられている点で、第1の実施の形態によるものとは異なっている。
【0057】
カバー部材33は、爪収容空間26を施蓋する平板状の蓋体34と、蓋体34の上面に固定された長方形の板体からなる足掛け板35とにより構成されている。足掛け板35の上端35Aには、鋸歯状に連続する凹凸部35Bが設けられている。足掛け板35の前端35Cは、乗降用ステップ25の前突出板25Aに形成された切欠部25Gに嵌合し、足掛け板35の後端35Dは、乗降用ステップ25の後突出板25Bに形成された切欠部25Gに嵌合する。これにより、カバー部材33は乗降用ステップ25に保持され、蓋体34は、爪収容空間26内に収容された掘削爪13を上方から覆う。また、足掛け板35の上端35Aは、乗降用ステップ25を構成する連結板25Cの上端25Eと同一平面上に配置され、足掛け板35は乗降用ステップ25と共に、オペレータがキャブ7に乗降するときの足場を形成する。
【0058】
移動規制部36は、カバー部材33の蓋体34に複数個(例えば2個)設けられ、蓋体34から鉛直下向きに突出している。移動規制部36は、例えば掘削爪13の嵌合凹部13E内に挿入可能な直方体のブロック体からなり、蓋体34の下面に溶接等の手段を用いて固定されている。そして、カバー部材33が乗降用ステップ25に保持され、掘削爪13が収容された爪収容空間26を蓋体34によって上方から覆った状態で、蓋体34に固定された移動規制部36は、掘削爪13の嵌合凹部13E内に係合する。
【0059】
第3の実施の形態による油圧ショベルは、上述の如きカバー部材33を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0060】
然るに、第3の実施の形態によるカバー部材33には、爪収容空間26を上方から覆った状態で下向きに突出し、保持部材31と左サイドフレーム16の外側面16Aとの間に挟込まれた掘削爪13の嵌合凹部13Eに係合する移動規制部36が設けられている。これにより、油圧ショベルの作動時に、爪収容空間26内に収容された掘削爪13が前,後方向に移動しようとしても、掘削爪13が移動規制部36に係合することにより、この掘削爪13の移動を規制することができる。この結果、爪収容空間26内で掘削爪13同士が衝突して損傷するのを抑え、掘削爪13の耐久性を高めることができる。
【0061】
次に、図14は本発明の第4の実施の形態を示している。第4の実施の形態の特徴は、保持部材が、乗降用ステップの連結板に設けられサイドフレームの外側面に向けて突出する突出部によって構成されていることにある。なお、第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明は省略する。
【0062】
図中、保持部材としての突出部材37は、第1の実施の形態による保持部材27と同様に、爪収容空間26内に位置して乗降用ステップ25に設けられ、左サイドフレーム16の外側面16Aとの間に掘削爪13を挟込んで保持する。しかし、第4の実施の形態による突出部材37は、乗降用ステップ25の連結板25Cに設けられている点で、第1の実施の形態によるものとは異なっている。
【0063】
突出部材37は、乗降用ステップ25とは別部材として、例えば断面L字型の鋼材(山形鋼)を用いて形成されている。突出部材37は、乗降用ステップ25の連結板25Cの爪収容空間26側に位置する面に溶接等によって固定された固定板37Aと、固定板37Aと直交し左サイドフレーム16の外側面16Aに向けて突出した突出板37Bとを有している。そして、突出板37Bの突出端37Cは、左サイドフレーム16の外側面16Aとの間で掘削爪13を挟込んで保持する構成となっている。
【0064】
第4の実施の形態による油圧ショベルは、乗降用ステップ25の連結板25Cに上述の如き突出部材37が設けられるもので、本実施の形態においても、突出板37Bの突出端37Cと左サイドフレーム16の外側面16Aとの間に掘削爪13を挟込んで保持することより、爪収容空間26内に掘削爪13を収容することができる。
【0065】
なお、第4の実施の形態では、乗降用ステップ25とは別部材からなる突出部材37を、乗降用ステップ25の連結板25Cに取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば乗降用ステップの連結板に曲げ加工を施すことにより、連結板と一体の突出部材を設ける構成としてもよい。
【0066】
また、第1の実施の形態では、カバー部材28を構成する足掛け板30の前端30Cおよび後端30Dを、乗降用ステップ25の前突出板25Aおよび後突出板25Bの切欠部25Gにそれぞれ嵌合させることにより、乗降用ステップ25に対してカバー部材28を保持する構成を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばボルト等の締結具を用いて、乗降用ステップ25にカバー部材28を取付ける構成としてもよい。このことは、第3の実施の形態によるカバー部材33についても同様である。
【0067】
また、実施の形態では、爪収容空間26内に2個の掘削爪13を収容する場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば1個、あるいは3個以上の掘削爪13を収容する構成としてもよい。さらに、乗降用ステップの前突出板と後突出板との間隔を大きくして爪収容空間を拡張することにより、この爪収容空間内に平爪を収容する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
4 上部旋回体
5 作業装置
10 バケット
13 掘削爪
15 センタフレーム
16 左サイドフレーム
16A 外側面
17 右サイドフレーム
25 乗降用ステップ
25A 前突出板
25B 後突出板
25C 連結板
25E 上端
26 爪収容空間
27,31 保持部材
28,33 カバー部材
29,34 蓋体
30,35 足掛け板
32,36 移動規制部
37 突出部材(保持部材)
37C 突出端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14