【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、この目的は、緩衝要素と保護要素とを備えるシューズ用のソ
ール、特にスポーツシューズ用のソールによって少なくとも一部解決される。ここで、ソ
ールは、第1の部分領域と第2の部分領域とを備え、緩衝要素は、第1の部分領域におい
て第2の部分領域よりも高い剛性を有し、ソールで地面に着地したとき、保護要素は、第
1の部分領域において第2の部分領域よりも地面との大きな接触面積を備える。
【0010】
歩行周期の様々な段階は、シューズのソール、ならびに着用者の足および筋骨格系に対
する様々な負荷によって特徴付けられる。例えば、足の衝突中、大きな衝突力が作用する
ことがあり、この衝突力は、筋骨格系の過労、したがって怪我を防止するために、ソール
によって緩衝および減衰されるべきである。他方、踏み切り中、ダイナミックな踏み切り
を容易にするために、着用者が費やした力をできるだけ直接地面に伝達することができる
ようにするという趣旨で、足がサポートされるべきである。このために、ソールは、踏み
切りが主に生じるソール領域では「柔らか」すぎるべきでなく、地面に対する良好なグリ
ップ性を保証し、かつまた着用者の足を十分に安定させるべきである。
【0011】
これらの要件は、歩行周期の最後で踏み切りが主に行われるソールの領域に、より高い
剛性およびより大きい地面との接触面積を有する第1の部分領域を配置することによって
、本発明によるソールによって満たすことができ、それによりダイナミックな踏み切りを
容易にする。例えば、地面との接触の改良、およびより大きな地面との接触面積による安
定性を得るために、第1の部分領域は、ソールの中央側に延びることができる。
【0012】
他方、より小さい剛性を有する第2の部分領域は、衝突中に足が主に地面に接触するソ
ールの領域内に配置することができ、それにより、減少された剛性により、衝突力を少な
くとも一部吸収または緩衝することができる。例えば、第2の部分領域は、地面との足の
衝突時の接触が生じることがあるソールの側方側に延びることができる。
【0013】
シューズの所期の主な用途に従って、第1および第2の部分領域、ならびに場合によっ
てはさらなる部分領域を異なる様式で配置することもできることにさらに言及しておく。
したがって、部分領域の適切な配置によって、シューズおよびそのソールの特性は、例え
ばスポーツ特有の力や、そのようなスポーツ活動の実施中に典型的に生じる歩行特性など
に適合させることができる。
【0014】
これに関して、歩行周期の様々な段階で、保護要素は、様々な領域で地面に接触するこ
とができ、一方、他の領域は、所与の段階で地面に接触せず、地面と接触する保護要素の
領域が、歩行周期中に「ソールに沿って移動」することができることに留意すべきである
。したがって、ソールによる地面への着地時に第1の部分領域において第2の部分領域よ
りも大きい地面との接触面積を有する保護要素について言及するとき、完全な歩行周期中
に、ソールがそれぞれ第1および第2の部分領域で地面に接触する総計の全接触面積を示
唆することがある。あるいは、歩行周期中の特定の時点で、例えば、地面との衝突の時点
で、または足による踏み切りの時点で、ソールがそれぞれ第1および第2の部分領域で地
面に接触する接触面積を示唆することができる。
【0015】
ソールが3つ以上の部分領域を備えることもあることに再度言及しておく。それらの領
域の間で、緩衝要素保護の剛性および保護要素の接触面積が異なり、それにより、ソール
の特性のさらに正確な制御が可能になり得る。ソールは、例えば3つのそのような部分領
域または4つのそのような部分領域などを備える。
【0016】
以下では、本発明によるソールのさらなる設計可能性および任意選択の特徴を述べる。
それらは、ソールの特性に対する影響に関して、それぞれの望みの効果を実現するために
、望みに応じて当業者が組み合わせることができる。
【0017】
例えば、保護要素は、緩衝要素の下に、緩衝要素に直接、配置されうる。
【0018】
他方、これは、コンパクトであり、構造的に複雑でないソールの提供を可能にする。さ
らに、保護要素を緩衝要素に直に配置することによって、緩衝要素と保護要素との特に有
益な相互作用を実現することができ、それにより、ソールの異なる部分領域の特性に対す
る上述の望ましい影響を特に効果的に及ぼすことができる。
【0019】
特に、緩衝要素がミッドソールまたはミッドソールの一部として提供されることが想定
可能である。また、保護要素は、アウトソールまたはアウトソールの一部として提供する
ことができる。
【0020】
特にスポーツシューズの場合には、とにかく、ソールの構成に関して通常はミッドソー
ルとアウトソールが設計されるので、そのような実施形態は、ソールの追加の構成要素な
しでの実施を可能にすることができる。特に、緩衝要素がミッドソールを形成し、一方で
保護要素がアウトソールを形成することが可能である。この場合、さらに、アウトソール
がミッドソールの下に直に配置される場合には、特に単純であり、コンパクトであり、安
価に製造されるソール構成が得られることがある。
【0021】
しかし、原理的には、ミッドソールおよび/またはアウトソールがさらなる構成要素ま
たは要素を備えることも可能である。例えば、ミッドソールは、ソールの縁部にあるフレ
ームまたは同様の要素を備えることができる。
【0022】
緩衝要素は、第1の部分領域において第2の部分領域よりも大きい密度を有することが
さらに可能である。
【0023】
第1の部分領域での緩衝要素のより大きな密度は、第1の部分領域でのより大きな剛性
を自動的にもたらし、同時に、例えばモールドのそれぞれの部分において製造に使用され
るモールドの充填高さ、または製造に使用されるベース材料の適切な変更によって、第1
および第2の部分領域それぞれでの緩衝要素の密度を製造中に特に簡単な様式で制御する
ことができるという利点を有する。
【0024】
特に、緩衝要素が、1つの一体部片として提供されることが想定可能である。
【0025】
しかし、緩衝要素が2つの(またはそれよりも多くの)個別の部分要素を備えることも
想定可能であり、ここで、第1の部分要素は、ソールの第1の部分領域内に主に配置され
、第2の部分要素は、ソールの第2の部分領域内に少なくとも主に配置される。
【0026】
これは、緩衝要素の製造を容易にすることができ、また、一体に製造することができな
いことがある、または非常に大きい製造労力を用いないと製造することができないことが
ある緩衝要素の提供を可能にする。第1の部分要素が、ソールの第1の部分領域内に「少
なくとも主に」配置されるというとき、これは、例えば、第1の部分要素が(例えばソー
ル内部で第1の部分要素によって占有される面積全体に対して)50%超、80%超、ま
たは90%超にわたって第1の部分領域内に配置されているが、いくらかのパーセンテー
ジは、例えば第2の部分領域またはソールの別の(部分)領域内に延びていてもよいこと
を意味する。同様のことが第2の部分領域にも当てはまる。
【0027】
ここでは、第1の部分要素と第2の部分要素は、追加の手段、例えば接着、溶接、融合
、または何らかの他の接続手段によって、例えば第1の部分要素と第2の部分要素が互い
に接する領域内で互いに接続されることが可能である。あるいは、第1の部分要素と第2
の部分要素は、一体結合部を有さず、保護要素/アウトソール、および場合によってはソ
ールのさらなる部分、例えばインソールによって互いに対して位置を固定される。
【0028】
特に、緩衝要素が、発泡材、特に発泡熱可塑性ポリウレタン(eTPU)または発泡ポ
リマーエーテル−ブロック−アミド(ePEBA)のランダム配向粒子を備えることが可
能である。
【0029】
例えば表面で一体に融合されることがある発泡材のランダム配向粒子、特にeTPUお
よび/またはePEBAのランダム配向粒子から形成された緩衝要素は、特に、歩行サイ
クル中にソールの変形に費やされるエネルギーの、着用者の足への特に高いエネルギーリ
ターンによって特徴付けられ、したがって例えば着用者のパフォーマンスおよび持久力を
サポートすることができる。
【0030】
さらに、緩衝要素は、補強要素を備えることがある。
【0031】
そのような補強要素は、ソールの特性に局所的に影響を及ぼす、特に個々の領域で追加
の安定性をソールに提供する目的をさらに果たすことができる。これに関して、着地およ
びさらなるそのような動作中の足の過回内を防止するために、特に足の土踏まずの領域、
特に足の土踏まずの中央側にある補強要素が想定可能である。そのような補強要素は、プ
ラスチック材料、箔状材料、テキスタイル材料、層状構成で上記の材料から構成された材
料などを含むことができる。
【0032】
ここで、補強要素が、ソールの第1の部分領域内およびソールの第2の部分領域内に延
びることが可能である。
【0033】
このようにして、特に個別に製造される部分要素から形成される緩衝要素の場合に関し
て、結合効果を実現することができ、それにより、ソールは、歩行周期中において連続的
な滑らかな着用感覚を提供し、履き心地の良さを損なうソールの特性の階段的な変化を有
さない。
【0034】
保護要素は、第1の部分領域において第2の部分領域よりも変形が難しく、特に曲げに
対して堅くてもよい。また、所与のソールに関して望ましい安定性に従って、緩衝要素の
伸張、特にミッドソールの伸張を制限することができる。
【0035】
このようにして、保護要素は、一般にソールが第1の部分領域でより安定になるように
寄与することができ、それにより、この点で緩衝要素の設計を補完およびサポートするこ
とができる。
【0036】
保護要素が、複数の開口および/または(例えば、第2の部分領域の残りの部分での保
護要素の厚さに比べて)より薄い材料の領域を第2の部分領域に備えることが可能である
。
【0037】
そのような開口および/またはより薄い材料の領域の提供は、単純な構成によって、第
2の部分領域での曲げ剛性を減少させることができる。それと同時に、軽量化することが
でき、特にアウトソールとして提供される場合に、保護要素のプロファイリング(pro
filing)を実現することができる。
【0038】
さらに、保護要素が、複数の開口および/または(例えば、第1の部分領域の残りの部
分での保護要素の厚さに比べて)より薄い材料の領域を第1の部分領域にも備えることが
想定可能である。平均して、第2の部分領域における開口および/またはより薄い材料の
領域は、第1の部分領域における開口および/またはより薄い材料の領域よりも大きい面
積を占めることがある。
【0039】
分かりやすくするために、以下の論述は、それぞれ第1または第2の部分領域で保護要
素にある開口の場合に焦点を当てる。しかし、適用可能である限り、それぞれ第1または
第2の部分領域でのより薄い材料の領域の場合にも、全ての説明が当てはまる。
【0040】
第1の部分領域にも開口を提供することによって、例えば、第1の部分領域でも重量の
減少またはプロファイルングが実現されることがあり、ここで、第1の部分領域でのより
高い曲げ剛性は、第1の部分領域での開口が第2の部分領域での開口よりも小さい面積を
平均で占有することによって保証することができる。それぞれ第1の部分領域および第2
の部分領域での開口の平均面積は、例えば、第1の部分領域および第2の部分領域でそれ
ぞれ5個の開口またはそれぞれ10個の開口など所与の数の開口を選択することによって
決定することができ、それらの開口の平均面積が決定される。または、例えば、第1の部
分領域および第2の部分領域に存在する全ての開口の面積がそれぞれ平均される。
【0041】
ここで、第1の部分領域での個々の開口が、第2の部分領域での個々の開口よりも大き
い面積を占有することが想定可能である。しかし、第1の部分領域での開口の面積は、平
均で第2の部分領域での開口の面積よりも小さいので、少なくともそれぞれの2つの部分
領域にわたって平均すると、保護要素は、第1の部分領域において、第2の部分領域より
も曲げ難い。
【0042】
さらに、保護要素は、平坦化された表面を備える複数の第1の突起を第1の部分領域に
備えることができる。
【0043】
第1の突起の平坦化された表面によって、ソールによる着地時の地面との接触面積は、
平坦化されていない表面を有する突起と比較して増加させることができ、したがって、例
えば第1の部分領域でのソールのグリップ性を高めることができる。同時に、特に保護要
素がアウトソールとして提供される場合に、第1の突起間のギャップによって、ソールの
プロファイリングを実現することができ、それにより、例えば濡れた地面でも良好なグリ
ップ性を保証することができる。
【0044】
さらに、保護要素は、第2の部分領域に複数の第2の突起を備え、突起は、ソールが地
面に着地したときに、緩衝要素に少なくとも部分的に貫入する。
【0045】
このために、第2の突起は、例えば(概して)円錐形状またはピラミッド形状などで提
供することができ、したがって、地面でのソールの良好な固定を可能にすることができる
。既述のように、ソールの第2の部分領域は、例えば足の衝突が主に生じるソールの領域
に配置され、それにより、第2の突起の形状、および緩衝要素への少なくとも部分的な貫
入によって、着用者の足が衝突中に地面にしっかりと着地され、したがってスリップおよ
びその結果生じる怪我を防止することができる。さらに、第2の部分領域での緩衝要素の
材料への第2の突起の貫入はまた、緩衝要素のせん断性に局所的に影響を及ぼす目的を果
たすこともできる。なぜなら、緩衝要素の材料は、第2の突起が緩衝要素の材料に貫入す
る場所でより強く圧迫され、したがって例えばせん断力に対してより耐性を有するからで
ある。
【0046】
本発明によるソールでは、第1の部分領域は、特にソールの中央側に延びることができ
る。さらに、第2の部分領域は、ソールの側方側に延びることができる。
【0047】
ほとんどの人において、典型的な歩行周期中の足の衝突は踵の側方領域で生じ、地面と
の足の接触領域は、歩行周期中に中足部領域を横切って前足部の中央領域に移動し、そこ
で足の踏み切りが行われる。したがって、ソールの中央側に第1の部分領域を配置するこ
とによって、上で説明したようにダイナミックな踏み切りを容易にすることができ、その
一方で、側方側に第2の部分領域を配置することで、側方踵領域での衝突中に衝突力を少
なくとも一部吸収または緩和することができる。
【0048】
しかし、第1および第2の部分領域、ならびに場合によってはさらなる部分領域の他の
配置も想定可能である。例えば、第1の部分領域がソールの前足部領域を構成し、一方で
第2の部分領域がソールの踵領域を構成することもできる。一般に、中央側または側方側
それぞれでの、およびソールの前足部領域内ならびに中足部領域および/または踵領域内
での様々な配置も想定可能である。
【0049】
本発明のさらなる態様は、本発明によるソールを備えるシューズ、特にスポーツシュー
ズによって与えられる。これに関して、本発明の範囲内で、そのような本発明によるソー
ルの上述した設計オプションおよび任意選択の特徴を任意に組み合わせることが可能であ
り、また、それぞれのシューズまたはそれぞれのソールに関して、なくすことができると
考えられる場合には特定の態様を省くことも想定可能である。
【0050】
本発明の現在好ましい実施形態を、以下の図面を参照して以下の詳細な説明で述べる。