特許第6982639号(P6982639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 財團法人工業技術研究院の特許一覧

特許6982639マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法およびエッジコンピューティングシステム
<>
  • 特許6982639-マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法およびエッジコンピューティングシステム 図000002
  • 特許6982639-マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法およびエッジコンピューティングシステム 図000003
  • 特許6982639-マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法およびエッジコンピューティングシステム 図000004
  • 特許6982639-マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法およびエッジコンピューティングシステム 図000005
  • 特許6982639-マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法およびエッジコンピューティングシステム 図000006
  • 特許6982639-マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法およびエッジコンピューティングシステム 図000007
  • 特許6982639-マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法およびエッジコンピューティングシステム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982639
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法およびエッジコンピューティングシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/20 20180101AFI20211206BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20211206BHJP
   H04W 92/24 20090101ALI20211206BHJP
【FI】
   H04W76/20
   H04W88/18
   H04W92/24
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-11948(P2020-11948)
(22)【出願日】2020年1月28日
(65)【公開番号】特開2021-78098(P2021-78098A)
(43)【公開日】2021年5月20日
【審査請求日】2020年1月28日
(31)【優先権主張番号】108140801
(32)【優先日】2019年11月11日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェイチェン
【審査官】 野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−046682(JP,A)
【文献】 特開2015−023453(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2019/0090169(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0279881(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0183855(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/191835(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 12/00ー12/955
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1エッジコンピューティングプラットフォーム、第2エッジコンピューティングプラットフォーム、ならびに前記第1エッジコンピューティングプラットフォームおよび前記第2エッジコンピューティングプラットフォームに情報を送信する中央制御プラットフォームに適用されるマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法であって、
前記第1エッジコンピューティングプラットフォームによって、ターゲットサービスを端末装置に提供し、
前記中央制御プラットフォームによって、前記第1エッジコンピューティングプラットフォームにサービス異常状態があることを判定し、
前記中央制御プラットフォームによって、前記サービス異常状態、前記ターゲットサービス、および前記第2エッジコンピューティングプラットフォームの動作情報に応じて、前記第2エッジコンピューティングプラットフォームに前記ターゲットサービスを再割り当てし、オフロード情報およびターゲットサービス位置を生成し、
前記中央制御プラットフォームによって、前記第2エッジコンピューティングプラットフォームに前記オフロード情報を送信し、
前記第1エッジコンピューティングプラットフォームまたは前記第2エッジコンピューティングプラットフォームによって、前記ターゲットサービス位置を前記端末装置に送信することにより、前記端末装置が前記ターゲットサービス位置に応じて前記第2エッジコンピューティングプラットフォームと通信接続を有するようにすることを含み、
前記オフロード情報は、少なくとも前記端末装置のIDおよび前記ターゲットサービスのIDを有し、前記ターゲットサービス位置は、前記ターゲットサービスを提供可能なサービスモジュールのIPアドレスであるネットワーク通信制御方法。
【請求項2】
前記中央制御プラットフォームによって、前記サービス異常状態、前記ターゲットサービス、および前記第2エッジコンピューティングプラットフォームの動作情報に応じて、前記第2エッジコンピューティングプラットフォームに前記ターゲットサービスを再割り当てすることは、
前記ターゲットサービスと、1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補のそれぞれの動作情報とに応じて、前記1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補から前記第2エッジコンピューティングプラットフォームを選択し、
前記サービス異常状態および前記選択の結果に応じて、リダイレクト情報を生成し、前記第1エッジコンピューティングプラットフォームに前記リダイレクト情報を送信することを含む請求項1に記載のネットワーク通信制御方法。
【請求項3】
前記オフロード情報はさらに前記第1エッジコンピューティングプラットフォームのIDを含み、前記ネットワーク通信制御方法はさらに、
前記第1エッジコンピューティングプラットフォームによって、前記リダイレクト情報に応じて前記第2エッジコンピューティングプラットフォームとの接続を確立することを含む請求項2に記載のネットワーク通信制御方法。
【請求項4】
前記第1エッジコンピューティングプラットフォームまたは前記第2エッジコンピューティングプラットフォームによって、前記ターゲットサービス位置を前記端末装置に送信することは、
前記第1エッジコンピューティングプラットフォームによって、前記ターゲットサービス位置を前記中央制御プラットフォームから取得し、前記ターゲットサービス位置を前記端末装置に送信することを含む請求項1に記載のネットワーク通信制御方法。
【請求項5】
前記中央制御プラットフォームによって、前記第1エッジコンピューティングプラットフォームにおいて前記サービス異常状態があることを判定するステップは、
前記中央制御プラットフォームによって、前記第1エッジコンピューティングプラットフォームから前記サービス異常状態と関連するサービス無効化信号を受信し、
前記サービス無効化信号は、前記第1エッジコンピューティングプラットフォームが優先順位に応じて前記ターゲットサービスをスワップアウトすることを判定するときに生成されることを含む請求項1に記載のネットワーク通信制御方法。
【請求項6】
前記中央制御プラットフォームによって、前記第1エッジコンピューティングプラットフォームに前記サービス異常状態があることを判定することは、
前記中央制御プラットフォームによって、前記第1エッジコンピューティングプラットフォームから前記サービス異常状態と関連するサービス無効化信号を受信し、
前記サービス無効化信号は、前記ターゲットサービスが停止するときに、前記第1エッジコンピューティングプラットフォームによって生成されることを含む請求項1に記載のネットワーク通信制御方法。
【請求項7】
前記サービス異常状態は前記第1エッジコンピューティングプラットフォームが無効であることを示し、前記第1エッジコンピューティングプラットフォームまたは前記第2エッジコンピューティングプラットフォームによって、前記ターゲットサービス位置を前記端末装置に送信することは、
前記第2エッジコンピューティングプラットフォームよって、前記中央制御プラットフォームから前記ターゲットサービス位置を取得し、前記ターゲットサービス位置を前記端末装置に送信することを含む請求項1に記載のネットワーク通信制御方法。
【請求項8】
前記中央制御プラットフォームによって、前記第1エッジコンピューティングプラットフォームに前記サービス異常状態があることを判定することは、
前記中央制御プラットフォームによって、前記中央制御プラットフォームが前記第1エッジコンピューティングプラットフォームから一定時間情報を受信していないことを判定するときに、前記中央制御プラットフォームは前記第1エッジコンピューティングプラットフォームが無効であることを判定することを含む請求項1に記載のネットワーク通信制御方法。
【請求項9】
前記中央制御プラットフォームによって、前記サービス異常状態、前記ターゲットサービス、および前記第2エッジコンピューティングプラットフォームの動作情報に応じて、前記ターゲットサービスを前記第2エッジコンピューティングプラットフォームに再割り当てすることは、
前記ターゲットサービスを提供することができる1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補を選択し、前記1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補のそれぞれが動作情報を有し、前記第2エッジコンピューティングプラットフォームは前記1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補に含まれ、前記動作情報は、前記ターゲットサービスに対応するリソース条件および待機時間を含み、
前記第2エッジコンピューティングプラットフォームの前記動作情報が最適な動作情報であることを判定することによって、前記1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補から前記第2エッジコンピューティングプラットフォームを選択することを含む請求項1に記載のネットワーク通信制御方法。
【請求項10】
前記第1エッジコンピューティングプラットフォームによって前記ターゲットサービスが前記端末装置に提供される前に、さらに、
前記第1エッジコンピューティングプラットフォームによって、登録リクエストを前記中央制御プラットフォームに送り、
前記第1エッジコンピューティングプラットフォームによって、前記第1エッジコンピ
ューティングプラットフォームの動作情報を前記中央制御プラットフォームに提供し、
前記中央制御プラットフォームによって、前記端末装置からサービスリクエストを受信し、
前記中央制御プラットフォームによって、前記ターゲットサービスおよび前記第1エッジコンピューティングプラットフォームの前記動作情報に応じて、前記ターゲットサービスを前記第1エッジコンピューティングプラットフォームに割り当てることを含む請求項1に記載のネットワーク通信制御方法。
【請求項11】
エッジコンピューティングシステムであって、
端末装置にターゲットサービスを提供するエッジコンピューティング装置と、
前記エッジコンピューティング装置と通信接続を有する中央制御装置と、を含み、
前記中央制御装置は、前記エッジコンピューティング装置にサービス異常状態があることを判定するときに、前記サービス異常状態、前記ターゲットサービス、および別のエッジコンピューティング装置の動作情報に応じて、前記ターゲットサービスを前記別のエッジコンピューティング装置に再割り当てし、オフロード情報およびターゲットサービス位置を生成し、前記オフロード情報を前記別のエッジコンピューティング装置に送信し、前記エッジコンピューティング装置または前記別のエッジコンピューティング装置に前記ターゲットサービス位置を前記端末装置に送信するように指示することにより、前記端末装置が前記ターゲットサービス位置に応じて前記別のエッジコンピューティング装置と通信接続を有するようにし、
前記オフロード情報は、少なくとも前記端末装置のIDおよび前記ターゲットサービスのIDを含み、前記ターゲットサービス位置は、前記ターゲットサービスを提供可能なサービスモジュールのIPアドレスであるエッジコンピューティングシステム。
【請求項12】
前記中央制御装置によって実行される、前記サービス異常状態、前記ターゲットサービス、および前記別のエッジコンピューティング装置の動作情報に応じて、前記ターゲットサービスを別のエッジコンピューティング装置に再割り当てすることは、
前記ターゲットサービスおよび1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補のそれぞれの動作情報に応じて、前記1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補から前記別のエッジコンピューティング装置を選択し、
前記サービス異常状態および前記選択の結果に応じて、リダイレクト情報を生成し、前記リダイレクト情報を前記エッジコンピューティング装置に送信することを含む請求項11に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項13】
前記オフロード情報はさらに前記エッジコンピューティング装置のIDを含み、前記エッジコンピューティング装置はさらに前記リダイレクト情報に応じて前記別のエッジコンピューティング装置との接続を確立する請求項12に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項14】
前記中央制御装置によって実行される、前記エッジコンピューティング装置または前記別のエッジコンピューティング装置に、前記ターゲットサービス位置を前記端末装置に送信するように指示することは、前記ターゲットサービス位置および前記端末装置の前記IDを前記エッジコンピューティング装置に送信することによって実行される請求項11に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項15】
前記エッジコンピューティング装置はさらに、優先順位に応じて前記ターゲットサービスをスワップアウトすることを判定するときに、サービス無効化信号を生成し、前記中央制御装置はさらに、前記エッジコンピューティング装置に前記サービス異常状態があることを判定するために前記エッジコンピューティング装置から前記サービス無効化信号を受信する請求項11に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項16】
前記エッジコンピューティング装置はさらに、前記ターゲットサービスが停止するときに、サービス無効化信号を生成し、前記中央制御装置はさらに、前記エッジコンピューティング装置に前記サービス異常状態があることを判定するために前記エッジコンピューティング装置から前記サービス無効化信号を受信する請求項11に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項17】
前記サービス異常状態は前記エッジコンピューティング装置が無効であることを示し、前記中央制御装置によって実行される、前記エッジコンピューティング装置または前記別のエッジコンピューティング装置に、前記ターゲットサービス位置を前記端末装置に送信するように指示することは、前記ターゲットサービス位置を前記別のエッジコンピューティング装置に送信することによって実行される請求項11に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項18】
前記中央制御装置はさらに、前記中央制御装置が前記エッジコンピューティング装置から一定時間情報を受信していないことを判定したときに、前記エッジコンピューティング装置が無効であることを判定する請求項11に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項19】
前記中央制御装置によって実行される、前記サービス異常状態、前記ターゲットサービス、および前記別のエッジコンピューティング装置の動作情報に応じて、前記ターゲットサービスを別のエッジコンピューティング装置に再割り当てすることは、
前記ターゲットサービスを提供することができる1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補を選択し、1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補のそれぞれが動作情報を有し、前記別のエッジコンピューティングシステムは1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補に含まれ、前記動作情報は前記ターゲットサービスに対応するリソース条件および待機時間を含み、
前記別のエッジコンピューティング装置の前記動作情報が最適な動作情報であることを判定することによって、前記1または複数のエッジコンピューティングプラットフォーム候補から前記別のエッジコンピューティング装置を選択することを含む請求項11に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項20】
前記エッジコンピューティング装置はさらに登録リクエストを前記中央制御装置に送り、前記端末装置に前記ターゲットサービスを提供する前に前記エッジコンピューティング装置の動作情報を前記中央制御装置に提供し、前記中央制御装置はさらに前記端末装置からのサービスリクエストを受信し、前記ターゲットサービスに対応する前記サービスリクエストを判定し、前記エッジコンピューティング装置が前記端末装置に前記ターゲットサービスを提供する前に、前記ターゲットサービスおよび前記エッジコンピューティング装置の動作情報に応じて、前記ターゲットサービスを前記エッジコンピューティング装置に割り当てる請求項11に記載のエッジコンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク通信制御方法に関し、特にマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器の人気およびデオストリーミング、バーチャルリアリティ、セルフドライブなどのインターネットサービスの普及、および様々な産業におけるインターネットサービスへのビジネスサービスの拡大に伴い、モバイルネットワークトラフィックに対する需要が増加し続けており、したがって、一般的なバックホールネットワークの負荷トラフィックは十分ではなく、リモートクラウドコンピューティングセンタは、膨大な量のコンピューティングを取り扱うことができない。従来のネットワークアーキテクチャはますます発達した通信技術の場合に、かなりの課題に直面する。
【0003】
上記の状況に応じて、トラフィック需要および計算の複雑さを増大させる問題を解決するために、モバイルエッジコンピューティング(MEC)のアーキテクチャが提案されている。文字通り、モバイルエッジコンピューティングは、モバイルネットワークのエッジにおいて、クラウドコンピューティングおよび情報技術(IT)サービスの環境を提供する。モバイルエッジコンピューティングの主な概念はコアネットワーク装置のコンピューティング負荷を低減し、モバイルオペレータが顧客のための特定のモバイル体験を作成するためのプラットフォームを提供することである。しかしながら、モバイルエッジコンピューティングアーキテクチャにおいて異常な状況が発生した場合、通信環境全体を再構築する必要があることが多く、これには多くの時間がかかり、したがって、ユーザ体験は良好でないはずである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、上述の問題を解決するためのマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法およびエッジコンピューティングシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法は、第1エッジコンピューティングプラットフォーム、第2エッジコンピューティングプラットフォーム、および中央制御プラットフォームに適用され、中央制御プラットフォームは、第1エッジコンピューティングプラットフォームおよび第2エッジコンピューティングプラットフォームと情報通信する。ネットワーク通信制御方法は、第1エッジコンピューティングプラットフォームによって端末装置にターゲットサービスを提供し、中央制御プラットフォームによって第1エッジコンピューティングプラットフォームにサービス異常状況があることを判定し、サービス異常状態、ターゲットサービス、および第2エッジコンピューティングプラットフォームの動作情報に応じて、ターゲットサービスを第2エッジコンピューティングプラットフォームに再割り当てし、オフロード情報およびターゲットサービス位置を生成し、中央制御プラットフォームによってオフロード情報を第2エッジコンピューティングプラットフォームに送信し、第1のエッジコンピューティングプラットフォームまたは第2エッジコンピューティングプラットフォームによって、ターゲットサービス位置を端末装置に送信することにより、端末装置がターゲットサービス位置に応じて第2エッジコンピューティングプラットフォームと通信接続を有するようにすることを含む。オフロード情報は、少なくとも端末装置の識別およびターゲットサービスの識別を含む。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、エッジコンピューティングシステムは、エッジコンピューティング装置と、エッジコンピューティング装置との通信接続を有する中央制御装置とを含む。エッジコンピューティング装置は、端末装置にターゲットサービスを提供する。中央制御装置は、エッジコンピューティング装置にサービス異常状態があることを判定するときに、サービス異常状態、ターゲットサービス、別のエッジコンピューティング装置の動作情報に応じて、ターゲットサービスを別のエッジコンピューティング装置に再割り当てし、オフロード情報およびターゲットサービス位置を生成し、オフロード情報を別のエッジコンピューティング装置に送信し、エッジコンピューティング装置または別のエッジコンピューティング装置に前記ターゲットサービス位置を端末装置に送信するように指示することにより、端末装置がターゲットサービス位置に応じて別のエッジコンピューティング装置と通信接続を有するようにすることを含む。オフロード情報は、少なくとも端末装置の識別およびターゲットサービスの識別を含む。
【0007】
上記に鑑みて、本発明で提供されるマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法およびエッジコンピューティングシステムは、様々なサービス異常状態に応じて、サービスを提供するエッジコンピューティングプラットフォームを再割り当てすることができる。したがって、サービス異常状態が発生した場合に、通信環境全体を再構成する必要はない。なお、本発明で提供するエッジコンピューティングシステム、エッジコンピューティング装置、マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法は、業務中断のないダイナミックアロケーションの機能を有していてもよく、ロードバランシングやリモートバックアップの機能を有していてもよい。
【0008】
本発明は以下に与えられる詳細な説明および添付の図面からより完全に理解され、これらは、単に例示として与えられるものであり、したがって、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るエッジコンピューティングシステムの通信環境の概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係るエッジコンピューティングシステムの機能構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係るマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法のフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係るマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法における信号送信の概略図である。
図5】本発明の別の実施形態に係るマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法における信号送信の概略図である。
図6】本発明の一実施形態に係るマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法の部分フローチャートである。
図7】本発明の別の実施形態に係るエッジコンピューティング装置の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明において、説明の目的のために、開示された実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、これらの具体的な詳細なしに、1つ以上の実施形態が実施されてもよいことは明らかである。他の例では、図面を簡略化するために、周知の構造および装置が概略的に示されている。
【0011】
本発明は、エッジコンピューティングシステムを提供する。図1および図2を参照する。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係るエッジコンピューティングシステムの通信環境の概略図であり、図2は、本発明の一実施形態に係るエッジコンピューティングシステムの機能構成図である。図1に示すように、エッジコンピューティングシステム1は、互いに通信接続を有する第1エッジコンピューティング装置11および中央制御装置13を備える。エッジコンピューティングシステム1は端末装置21との通信接続を有することができ、また、第2エッジコンピューティング装置31との通信接続を有することもできる。特に、第1エッジコンピューティング装置11は端末装置21との通信接続を有することができ、中央制御装置13は第2エッジコンピューティング装置31との通信接続を有することができる。なお、エッジコンピューティングシステム1に接続された端末装置21の数、図1に示されたエッジコンピューティングシステム1に接続された第2エッジコンピューティング装置31の数は単なる例示に過ぎないことに留意する必要がある。エッジコンピューティングシステム1はまた、複数の端末装置21に接続され、複数の第2エッジコンピューティング装置31に接続される。さらに、第2エッジコンピューティング装置31は、1つまたは複数の端末装置21に接続することができる。
【0012】
第1エッジコンピューティング装置11は、「エッジクラウド」と略すことができるモバイルエッジコンピューティング(MEC)クラウドとすることができる。第1エッジコンピューティング装置11は、端末装置21に1つ以上の種類のサービスを提供するように構成されている。第1エッジコンピューティング装置11は、基地局を介して端末装置21と接続することができる。ネットワークアーキテクチャに関しては、第1エッジコンピューティング装置11がネットワークエッジに位置し、ユーザエンドの端末装置21に比較的近い。より具体的には、クラウドサーバまたはインターネットがネットワークアーキテクチャにおけるネットワークコアとすることができ、端末装置21はネットワークアーキテクチャの周辺に位置し、ネットワークを介してクラウドサーバまたはインターネットに接続することができる。ネットワークエッジは端末装置21が位置するローカルエリアネットワークとの境界を表すことができるが、これに限定されるものではない。特に、第1エッジコンピューティング装置11は計算能力を有する単一のサーバであってもよいし、異なる機能を有し、互いに接続された複数のサーバで構成されていてもよい。端末装置21はスマートフォン、タブレット、ラップトップ等の携帯電子機器であり、これに限定されるものではない。
【0013】
より詳細には図2に示すように、第1エッジコンピューティング装置11はユーザプラン機能(UPF)モジュール111と、ドメインネームサービス(DNS)モジュール112と、リソース管理モジュール113と、サービス管理モジュール114と、第1サービスモジュール115と、第2サービスモジュール116とを備えることができる。第1エッジコンピューティング装置11のユーザープラン機能モジュール111はN6インタフェースを介して第1サービスモジュール115および第2サービスモジュール116とそれぞれ接続することができ、N3インタフェースを介して基地局と接続することもでき、基地局を介して端末装置21と接続することもできる。ドメインネームサービスモジュール112は端末装置21からのサービス位置リクエストに応答し、対応するサービスを起動することができる。例えば、ユーザが端末装置21を介して「www.youtube(登録商標).com」のサービス位置のリクエストを送信すると、ドメインネームサービスモジュール112は端末装置21に「10.14.188.xxx」と応答し、YouTube(登録商標)のサービスを起動する。リソース管理モジュール113は第1エッジコンピューティング装置11のリソース条件を監視し、整理し、管理することができる。サービス管理モジュール114は第1サービスモジュール115および第2サービスモジュール116の動作状態を監視し、サービス実行状態を監視し、エラーが発生したときに報告を戻すことができ、さらに、新しいサービスモジュール(すなわち、この実施形態では、第1および第2サービスモジュール115および116以外のサービスモジュール)を作成または使用可能にすることができる。第1サービスモジュール115および第2サービスモジュール116は、それぞれ、1つまたは複数の網サービスを提供することができる。
【0014】
前述のモジュールは独立して設定されるが互いに接続される複数のサーバによって実施することができ、または1つまたは複数のサーバ上で実行される複数のアプリケーションによって実施することができる。本発明は、前述のモジュールの実装のための物理サーバの数を限定しない。さらに、図2は第1エッジコンピューティング装置11が2つのサービスモジュール(第1サービスモジュール115および第2サービスモジュール116)を備えることを例示的に示しているが、第1エッジコンピューティング装置11は他の実施形態では1つまたは2つ以上のサービスモジュールを備えることができ、サービスモジュールのイネーブル状態を動的に調整することができ、イネーブル状態は、例えば、サービスを提供することができるかどうかを示すことに留意する。第1エッジコンピューティング装置11のサービスモジュールによって端末装置21にサービスを提供することにより、より複雑な動作を第1エッジコンピューティング装置11に実行することができ、端末装置21の計算負担を軽減することができる。また、第1エッジコンピューティング装置11は、端末装置21が利用可能な情報を記憶または処理するサービスを提供することもできる。なお、上記のサービスは単なる例示であって、第1エッジコンピューティング装置11が提供可能なサービスはこれらに限定されるものではない。
【0015】
例えば、中央制御装置13はオーケストレータ、特に5G中核のデータセンタであり、第1エッジコンピューティング装置11および第2エッジコンピューティング装置31との間で情報を送受信する。第2エッジコンピューティング装置31は、上述した第1エッジコンピューティング装置11と同様の構成および機能を有することができる。第2エッジコンピューティング装置31は、端末装置に1つまたは複数のサービスを提供するように構成されたモバイルエッジコンピューティングクラウドとすることができる。特に、第2エッジコンピューティング装置31は計算能力を有する単一のサーバであってもよいし、異なる機能を有し、互いに接続された複数のサーバで構成されていてもよい。第2エッジコンピューティング装置31は前述のように、ユーザープラン機能モジュール、ドメインネームサービスモジュール、リソース管理モジュール、サービス管理モジュール、および1つまたは複数の保守モジュールを備えることができる。第2エッジコンピューティング装置31はリソース条件(例えば、リソース量)、提供可能なサービスの個数および種類、およびある端末装置にサービスを提供する際に生成される待機時間が第1エッジコンピューティング装置11と異なる場合がある。
【0016】
第1および第2エッジコンピューティング装置11および31との通信接続を有することに加えて、中央制御装置13は装置識別(ID)、装置位置(例えば、エッジコンピューティング装置のIP)、提供可能なサービスのID、提供可能なサービスの位置(例えば、対応するサービスモジュールのIP)、接続された端末装置のID、リソース条件、待機時間などの各エッジコンピューティング装置の情報を収集し、特にこれらのタイプの情報を定期的に収集するために、より多くのエッジコンピューティング装置との通信接続をそれぞれ有することもできる。中央制御装置13は、収集した内容に応じて、複数の端末装置と複数のエッジコンピューティング装置との間の通信接続関係を設定することができる。特に、本発明の中央制御装置13は端末装置の要件に従って端末装置を所定のエッジコンピューティング装置に割り当てることができ、エッジコンピューティング装置の動作状態に従って再割り当てを行うことができ、更なる実施については後述する。
【0017】
さらに、中央制御装置13の構成を説明すると、図2に示すように、中央制御装置13は、ユーザープラン機能モジュール131と、ドメインネームサービスモジュール132と、サービス位置管理モジュール133と、サービスリダイレクトモジュール134と、リソース管理モジュール135とを備えることができる。中央制御装置13のユーザープラン機能モジュール131は、N9インターフェースを介して第1エッジコンピューティング装置11のユーザープラン機能モジュール111に接続することができる。同様に、ユーザープラン機能モジュール131は、N9インターフェースを介して他の1つまたは複数のエッジコンピューティング装置と接続することもできる。ドメインネームサービスモジュール132は、上述したドメインネームサービスモジュール112と同様の機能を有するので、ここではその詳細な説明は省略する。サービス位置管理モジュール133は中央制御装置13に接続された各エッジコンピューティング装置が提供可能なサービスを記録するためのデータベースを有することができ、記録方式は、例えば、各サービスのIDを記録することである。サービス位置管理モジュール133はサービスリダイレクトモジュール134またはリソース管理モジュール135と連携してサービスの再割り当てを実行することができ、再割り当てのさらなる実施については後述する。上記のモジュールは、独立して設定されるが、互いに接続される複数のサーバであってもよく、または1つ以上のサーバ上で実行される複数のアプリケーションであってもよい。本発明は、前述のモジュールを実行するための物理サーバの数を限定するものではない。すなわち、中央制御装置13は1台のサーバで実現されてもよいし、機能が異なった複数台のサーバで構成されてもよい。別の実施形態では、中央制御装置13が中央制御機能を有するモバイルエッジコンピューティングクラウドであってもよく、基地局を介して端末装置21に接続され、1つまたは複数のサービスを端末装置21に提供することができる。この実施形態では前述の多数のモジュールに加えて、中央制御装置13はサービス管理モジュールおよび1つまたは複数の保守モジュールをさらに備えることができる。
【0018】
本発明はまた、マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法を提供する。図1図3を参照すると、図3は、本発明の一実施形態に係るマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法のフローチャートである。図3に示すように、マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御法は、第1エッジコンピューティングプラットフォームによって、端末装置にターゲットサービスを提供し(ステップS11)、中央制御プラットフォームによって、第1のエッジコンピューティングプラットフォームにサービス異常状況があると判定し(ステップS12)、中央制御プラットフォームによって、サービス異常状況、ターゲットサービス、第2エッジコンピューティングプラットフォームの動作情報に従って、ターゲットサービスを第2エッジコンピューティングプラットフォームに再割り当てし、オフロード情報およびターゲットサービス位置を生成し(ステップS13)、ステップS14:中央制御プラットフォームによって、オフロード情報を第2エッジコンピューティングプラットフォームに送信し(ステップ14)、ステップS15:第1のエッジコンピューティングプラットフォームまたは第2エッジコンピューティングプラットフォームによって、ターゲットサービス位置を端末装置に送信することにより、端末装置がターゲットサービス位置に従って第2エッジコンピューティングプラットフォームと通信接続を有することを可能にする(ステップS15)ことを含むことができる。
【0019】
一実施形態では、上記の第1エッジコンピューティングプラットフォーム,第2エッジコンピューティングプラットフォームおよび中央制御プラットフォームがそれぞれ、図1および図2の前述の第1エッジコンピューティング装置11、第2エッジコンピューティング装置31、および中央制御装置13によって実施することができる。別の実施形態では、第1エッジコンピューティングプラットフォーム、第2エッジコンピューティングプラットフォーム、および中央制御プラットフォームはそれぞれ、サーバー内の仮想マシンによって実行されるアプリケーションとすることができる。以下、図3に示すマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法の第1エッジコンピューティングプラットフォーム、第2エッジコンピューティングプラットフォーム、中央制御プラットフォームを例示して説明し、それぞれ第1エッジコンピューティング装置11、第2エッジコンピューティング装置31、中央制御装置13によって実現する。
【0020】
S11において、第1エッジコンピューティング装置11は、端末装置21にターゲットサービスを与える。例えば、ターゲットサービスは、人工知能、仮想現実、拡張現実、自動運転、または他のアプリケーションサービスを含む。本発明は、本ターゲットサービスの種類を限定することを意図するものではない。特に、第1エッジコンピューティング装置11と端末装置21との間の通信接続は第1エッジコンピューティング装置11の動作情報に従って中央制御装置13によって予め決定され、動作情報はターゲットサービスを提供するときの第1エッジコンピューティング装置11の動作のリソース条件および待機時間を含む。ステップS12において、中央制御装置13は第1エッジコンピューティング装置11にサービス異常状態が発生していると判断し、サービス異常状態は、ターゲットサービスが中断されている(「サービスダウン」と呼ばれる)、ターゲットサービスがスワップアウトされている(「サービススワップアウト」と呼ばれる)、またはプラットホームが無効化されている(「MECダウン」と呼ばれる)ことを示すことができる。このサービス異常状態に応じて、ステップS13〜S15において、中央制御装置13は他のエッジコンピューティング装置(第2エッジコンピューティング装置31)にターゲットサービス(すなわち、第1エッジコンピューティング装置11によって最初に提供されたサービス)を端末装置21に提供するように指示するために、再割り当てを実行する。
【0021】
別のサービス異常状態に応じて工程S12〜S15をさらに説明するために、図1〜4を参照する。ここで、図4は、本発明の一実施形態に係るマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法における信号伝送の概略図である。サービス異常状態がサービスダウンまたはサービススワップアウトを示す動作状態では、図4のA11に示すように、中央制御装置13は第1エッジコンピューティング装置11からサービス異常状態に係るサービス無効化信号を受信することにより、第1エッジコンピューティング装置11に異常が発生したと判定することができる。
【0022】
より具体的には、サービスモジュールが無効化されるので、サービスダウンは、ターゲットサービスを端末装置21に最初に提供していたサービスモジュールが、もはやターゲットサービスを提供することができない状態を表すことができる。この場合、サービス管理モジュール114は対応するサービス無効化信号を生成し、対応するサービス無効化信号を中央制御装置13のサービス位置管理モジュール133に供給することができる。一方、サービススワップアウトは第1エッジコンピューティング装置11のリソース管理モジュール113がリソースが不足していると判断した場合に、第1エッジコンピューティング装置11のサービス管理モジュール114が優先順位の低いサービスを優先順に入れ替えることを示すことができる。例えば、サービス管理モジュール114は、サービスに対応するサービスモジュールを無効にするか、またはこのサービスモジュールに別のサービスを提供するように指示することによって、サービスを切り替えることができる。優先順位は実際の要件に従って設定することができ、本発明では限定されない。サービス管理モジュール114がスワップアウトすることを決定したサービスが、端末装置21に最初に提供されたターゲットサービスである場合、サービス管理モジュール114は対応するサービス無効化信号を生成し、対応するサービス無効化信号を中央制御装置13のサービス位置管理モジュール133に提供する。サービスダウンまたはサービススワップアウトに対応するサービス無効化信号は、異常事態が発生したエッジコンピューティングプラットフォームに最初に接続された第1エッジコンピューティング装置11のID、ターゲットサービスのID、および端末装置21のIDを含むことができる。
【0023】
中央制御装置13のサービス位置管理モジュール133がサービス無効化信号を受信し、第1エッジコンピューティング装置11にサービス異常状態が発生したことを知ると、サービス位置管理モジュール133およびサービスリダイレクトモジュール134は、それに応じて再割り当てを実行することができる。この実施形態では、再割り当ては再配置手順およびリダイレクト手順を含む。再配置手順(ステップA12)は、エッジコンピューティングプラットフォーム候補となるターゲットサービスを提供することができるエッジコンピューティング装置を選択することと、それぞれのエッジコンピューティングプラットフォーム候補の動作情報に従ってターゲットエッジコンピューティングプラットフォームを決定することとを含むことができる。以上のように、中央制御装置13は、中央制御装置13に接続されたエッジコンピューティング装置のリソース条件、提供時に発生する待機時間等を定期的に収集することができる。具体的には中央制御装置13のサービス位置管理モジュール133がサービス無効化信号からターゲットサービスのIDを取得し、エッジコンピューティングプラットフォーム候補となるターゲットサービスのIDを有するサービスモジュールを備えるエッジコンピューティング装置を選択し、次に、ターゲットエッジコンピューティング装置となる最良の動作情報を有するエッジコンピューティングプラットフォーム候補を選択することができ、ターゲットエッジコンピューティング装置は端末装置21にターゲットサービスを提供する作業を引き継ぐことを除いたエッジコンピューティングプラットフォームである。
【0024】
最良の動作情報の判定は、ターゲットサービスの種類によって異なった基準を有することができる。例えば、バーチャルリアリティサービスの場合、帯域幅リソースの条件は主要な考慮事項とすることができるが、本発明はこれに限定されない。さらに、ターゲットサービスをリクエストする端末装置21の個数も重要な考慮事項の1つである。サービス位置管理モジュール133はサービス無効化信号に含まれる端末装置21のIDからターゲットサービスをリクエストする端末装置21の番号を取得し、それぞれのエッジコンピューティングプラットフォーム候補のリソース条件が端末装置21にターゲットサービスを提供するのに充分であるか否かを判定することができる。より具体的には、モバイルエッジコンピューティング環境ではターゲットサービスを提供するものとして生成される待機時間が主要な検討事項となり得る。特に、サービス位置管理モジュール133はリソース条件がある規格を満たすエッジコンピューティングプラットフォーム候補から、最も低い待機時間を有するエッジコンピューティングプラットフォーム候補を選択することができる。より具体的には、ある規格が端末装置21にターゲットサービスを提供するための最低しきい値を指すことができる。
【0025】
サービス位置管理モジュール133はサービス位置管理モジュール133が上記再配置手順により対象エッジコンピューティングプラットフォームを決定すると、リダイレクトリクエストを生成し、サービスリダイレクトモジュール134に送信する(A13)。リダイレクトリクエストは、ターゲットエッジコンピューティングプラットフォームのIDと、ターゲットサービスのIDと、端末装置21のIDとを含む。前述の図3の実施形態では、第2エッジコンピューティング装置31がターゲットエッジコンピューティングプラットフォームであるようにサービス位置管理モジュール133によって選択される。従って、本実施形態では、リダイレクトリクエストには第2エッジコンピューティング装置31のIDが含まれている。サービスリダイレクトモジュール134は、前述したリダイレクト手順であるリダイレクションリクエストに応じて、第1エッジコンピューティング装置11にリダイレクト情報を送信する(A14)。リダイレクト情報は、第2エッジコンピューティング装置31のID、端末装置21のID、およびターゲットサービスのIDを含むことができる。特に、第1エッジコンピューティング装置11のユーザープラン機能モジュール111は本リダイレクト情報による第2エッジコンピューティング装置31のユーザープラン機能モジュールに対して、端末装置21のための第1の第2エッジコンピューティング装置11と31との間の接続を確立するためのリクエストを提案することができ、接続は、具体的には端末装置21のための第1の第2エッジコンピューティング装置11と31との間のN9インターフェースを介して確立される端末装置21のためのセッション接続である。具体的には、第1エッジコンピューティング装置11がリダイレクト情報の送信に成功したことを示すために、受信リダイレクト情報としてサービスリダイレクトモジュール134に肯定応答(ACK)を返信する。
【0026】
以上のようにして、中央制御装置13は第2エッジコンピューティング装置31にターゲットサービスを再割り当てし、ターゲットサービスのオフロード情報と位置(「ターゲットサービス位置」と呼ぶ)を生成し、第2エッジコンピューティング装置31にオフロード情報を送信し、ターゲットサービス位置を端末装置21に送信する。具体的には、中央制御装置13のサービスリダイレクトモジュール134がオフロード情報を第2エッジコンピューティング装置31に送信する(A15)。より詳細には、サービスリダイレクトモジュール134が第1エッジコンピューティング装置11がステップA14に対応する肯定応答メッセージを返すまで、ステップA15を実行しない。この実施形態では、オフロード情報が第1エッジコンピューティング装置11のID、端末装置21のID、およびターゲットサービスのIDを含む。第2エッジコンピューティング装置31は、本オフロード情報による端末装置21のための第1の第2エッジコンピューティング装置11と31との間の接続を確立するための前述のリクエストに同意することができる。つまり、第1エッジコンピューティング装置11および第2エッジコンピューティング装置31は中央制御装置13からそれぞれリダイレクト情報およびオフロード情報を取得することができ、これにより、端末装置21およびターゲットサービスに対応付けられた接続を確立することができる。さらに、第2エッジコンピューティング装置31がオフロード情報を受信すると、第2エッジコンピューティング装置31はオフロード情報内のターゲットサービスのIDに対応するサービスモジュールの位置情報(例えば、IP)を取得し、位置情報をターゲットサービス位置とみなし、オフロード情報が正常に送信されたことを示すために、肯定応答メッセージをサービスリダイレクトモジュール134に返すことができる。具体的には、このA15に対応する肯定応答メッセージにはターゲットサービス位置が含まれている。
【0027】
中央制御装置13のサービスリダイレクトモジュール134は、第1エッジコンピューティング装置11を介して端末装置21にターゲットサービス位置を送信する。具体的には、サービスリダイレクトモジュール134が第2エッジコンピューティング装置31がステップA15に対応する肯定応答メッセージを返信するのを待ってから、ターゲットサービス位置からターゲットサービス位置を取得し、端末装置21のIDおよびターゲットサービス位置を第1エッジコンピューティング装置11に送信することができる(ステップA16)。第1エッジコンピューティング装置11は中央制御装置13からターゲットサービス位置を取得し、端末装置21のIDに応じて端末装置21にターゲットサービス位置を送信することができる(A17)。具体的には上記ステップA16、A17の情報送信はドメインネームサービス通知(DNS Notify)、HTTP 301、HTTP 302によって行うことができる。端末装置21がターゲットサービス位置を取得した後、端末装置21は、第1エッジコンピューティング装置11と第2エッジコンピューティング装置31との間の接続を介して、第2エッジコンピューティング装置31のターゲットサービスを提供可能なサービスモジュールに接続することができる(ステップA18、A19)。
【0028】
上述のようにサービスダウンまたはサービススワップアウトのサービス異常状態を処理することに加えて、図3に示されるネットワーク通信制御方法は、MECダウンのサービス異常状態をさらに処理することができる。図1〜3および5を参照すると、図5は、本発明の別の実施形態に係るマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法における信号送信の概略図である。図5の実施例では、中央制御装置13のリソース管理モジュール135が第1エッジコンピューティング装置11から定期的に第1エッジコンピューティング装置11の情報を取得することができる。リソース管理モジュール135が、リソース管理モジュール135が第1エッジコンピューティング装置11から一定の期間、情報を受信していないと判断した場合(ステップA21)、リソース管理モジュール135は、第1エッジコンピューティング装置11が無効であると判断する。そして、中央制御装置13は、再割り当てを行うことができる。本実施形態では、リソース管理モジュール135がサービス異常状態に従って再配置リクエストを生成し、サービス位置管理モジュール133に送信する(A22)。特に、再配置リクエストは、第1エッジコンピューティング装置11のIDと、第1エッジコンピューティング装置11に最初に接続された端末装置21のIDとを含むことができる。
【0029】
サービス位置管理モジュール133は再配置リクエストに従って再配置手順を実行し、再配置応答を生成し、再配置応答をリソース管理モジュール135に返す(A23)。上述したように、サービス位置管理モジュール133は、中央制御装置13に接続されたエッジコンピューティング装置が所有する業務のIDを記憶することができる。したがって、再配置手順は、第1エッジコンピューティング装置11のIDに従って、第1エッジコンピューティング装置11が最初に所有するサービスを決定することと、サービスのそれぞれをターゲットサービスとして見なすこととを含むことができる。エッジコンピューティングプラットフォーム候補およびターゲットエッジコンピューティングプラットフォームを選択する以降の実装は前述の図4の実施形態と同じであり、ここでは繰り返さない。サービス位置管理モジュール133によって生成される再配置応答は、ターゲットエッジコンピューティングプラットフォームのID、ターゲットサービスのID、および端末装置21のIDを含むことができる。上述したように、図3の実施形態では第2エッジコンピューティング装置31がサービス位置管理モジュール133によってターゲットエッジコンピューティングプラットフォームとして選択されるので、本実施形態における再配置応答は第2エッジコンピューティング装置31のIDを含む。
【0030】
以上のようにして、中央制御装置13は第2エッジコンピューティング装置31にターゲットサービスを再割り当てし、ターゲットサービスのオフロード情報と位置(「ターゲットサービス位置」と呼ぶ)を生成し、第2エッジコンピューティング装置31にオフロード情報を送信し、ターゲットサービス位置を端末装置21に送信する。具体的には、中央制御装置13のリソース管理モジュール135が再配置応答に応じて、端末装置21のIDとターゲットサービスのIDとを含むオフロード情報を生成し、第2エッジコンピューティング装置31にオフロード情報を送信する(A24)。したがって、第2エッジコンピューティング装置31はオフロード情報に従って端末装置21にターゲットサービスを提供しようとしていることを知ることができ、第2エッジコンピューティング装置31がオフロード情報を受信すると、第2エッジコンピューティング装置31はオフロード情報内のターゲットサービスのIDに対応するサービスモジュールの位置情報(例えば、IP)を取得し、位置情報をターゲットサービス位置とみなし、オフロード情報が正常に送信されたことを示すためにリソース管理モジュール135に肯定応答メッセージを返すことができる。より具体的には、この肯定応答メッセージがターゲットサービス位置を含む。
【0031】
中央制御装置13のリソース管理モジュール135は、第2エッジコンピューティング装置31を介して端末装置21にターゲットサービス位置を送信する。具体的には、リソース管理モジュール135が第2エッジコンピューティング装置31が肯定応答メッセージを返信するのを待って、ターゲットサービス位置からターゲットサービス位置を取得し、端末装置21のIDとターゲットサービス位置を第2エッジコンピューティング装置31に送信する(A25)。第2エッジコンピューティング装置31は中央制御装置13からターゲットサービス位置を取得し、端末装置21のIDに応じて端末装置21にターゲットサービス位置を送信することができる(A26)。より具体的には、上記ステップA25およびA26の情報送信がDNS Notify、HTTP 301、またはHTTP 302によって実行することができる。端末装置21がターゲットサービス位置を取得した後、端末装置21は、それに応じて、第2エッジコンピューティング装置31のターゲットサービスを提供することができるサービスモジュールに接続することができる(ステップA27)。より具体的には本実施形態ではターゲットサービスを提供するエッジコンピューティングプラットフォームを変更する前に、端末装置21には第1エッジコンピューティング装置11および第2エッジコンピューティング装置31が接続されている。より具体的には端末装置21に接続された基地局が本来、第1エッジコンピューティング装置11および第2エッジコンピューティング装置31に接続されており、第1エッジコンピューティング装置11はメインエッジコンピューティングプラットフォームとして機能し、第2エッジコンピューティング装置31はメインエッジコンピューティングプラットフォームが故障した場合に基地局を引き継ぐためのバックアップエッジコンピューティングプラットフォームとして機能する。
【0032】
一実施形態では第1エッジコンピューティング装置11が端末装置にターゲットサービスを提供する前に(すなわち、図3のステップS11)、マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法はエッジコンピューティングプラットフォーム/装置を登録する手順と、端末装置21からサービスリクエストを割り当てる手順とをさらに含むことができる。図1図3、および図6を参照すると、図6は、本発明の一実施形態に係るマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法の部分フローチャートである。図3に示すステップS11の前に、マルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法は図6に示すステップをさらに含むことができ、ステップS21は第1エッジコンピューティングプラットフォームによって中央制御プラットフォームに登録リクエストを送るステップと、ステップS22は第1エッジコンピューティングプラットフォームによって、中央制御プラットフォームに第1エッジコンピューティングプラットフォームの動作情報を提供するステップと、ステップS23は中央制御プラットフォームによって、端末装置からサービスリクエストを受信するステップと、サービスリクエストがターゲットサービスに対応すると判定するステップと、ステップS24は第1エッジコンピューティングプラットフォームのターゲットサービスおよび動作情報に従って、中央制御プラットフォームによって、第1エッジコンピューティングプラットフォームにターゲットサービスを割り当てるステップとを含む。
【0033】
特に、図1に示す通信環境は、ステップS21〜S24によって確立することができる。図1に示すように、ステップS21およびS22において、第1エッジコンピューティング装置11は中央制御装置13に登録リクエストを送り、それに応じて中央制御装置13は第1エッジコンピューティング装置11と中央制御装置13との間の接続を確立することができる。第1エッジコンピューティング装置11が登録された後、第1エッジコンピューティング装置11は、リソース条件,待機時間等を含むその動作情報を中央制御装置13に提供することができる。より具体的には、第1エッジコンピューティング装置11がその動作情報を中央制御装置13に周期的に供給する。さらに、再割り当て手順が実行される前に、第2エッジコンピューティング装置31は中央制御装置13に登録リクエストを提出し、登録後にその動作情報を中央制御装置13に提供することもできる。さらに、より多くのエッジコンピューティング装置が、登録リクエストおよびそれらの動作情報を中央制御装置13に送ることができるが、これは本発明において限定されない。
【0034】
エッジコンピューティングシステム1が端末装置21からサービスリクエストを受信すると、ステップS23およびS24において、中央制御装置13はサービスリクエストがターゲットサービスであると判断し、登録されているエッジコンピューティング装置のターゲットサービスと動作情報に応じてターゲットサービスの割り当てを行う。特に、中央制御装置13に登録されている第1エッジコンピューティング装置11、第2エッジコンピューティング装置31、または他のエッジコンピューティング装置のドメインネームサービスモジュールは通信圏内の端末装置21からサービスリクエスト(例えば、サービス位置問い合わせ)を受信することができ、上記受信工程を実行するエッジコンピューティング装置は、そのID、そのサービスのID、端末装置21のIDを中央制御装置13のサービス位置管理モジュール133に送信することができる。本実施形態では、第1エッジコンピューティング装置11の動作情報がターゲットサービスに対応する最良の動作情報であるため、中央制御装置13は第1エッジコンピューティング装置11にターゲットサービスを割り当てる。最良動作情報の判定の例および説明は、先の実施形態における再割り当て手順における最良動作情報の判定と同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0035】
さらに、前述のように、一実施形態では、中央制御装置13が中央制御機能を有するモバイルエッジコンピューティングクラウドとすることができ、基地局を介して端末装置21に接続し、1つまたは複数のサービスを端末装置21に提供することができる。この実施形態では中央制御装置13が先の実施形態で説明したような割り当て手順または再割り当て手順を実行するとき、中央制御装置13はそれ自身をターゲットエッジコンピューティングプラットフォームの選択肢の1つとみなすことができる。より具体的には、中央制御装置13がそのプライオリティを最も低く設定することができ、すなわち、中央制御装置13は全てのエッジコンピューティング装置がターゲットサービスを提供するのに適していないと判定した後に、ターゲットサービスを提供するのに適しているか否かを判定する。また、中央制御装置13はエッジコンピューティング装置がターゲットサービスを提供できないと判断した場合に、割当失敗信号を生成して端末装置21に送信することができる。
【0036】
本発明はさらに、エッジコンピューティング装置の構成を提供する。より具体的には、第1エッジコンピューティング装置11および中央制御装置13がこのような装置構成を有することができる。図7は、本発明の他の実施形態に係るエッジコンピューティング装置の機能構成図である。図7に示すように、エッジコンピューティング装置10はメモリ101と、プロセッサ103とを備え、プロセッサ103はメモリ101と電気的に接続されている。例えば、メモリ101は、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ、磁気メモリ、または他の不揮発性記憶媒体である。メモリ101は、複数の命令を記憶する。具体的には、前記複数の命令が少なくとも、前述の実施形態で説明したように、第1エッジコンピューティング装置11/中央制御装置13によって実行されるステップに対応する命令を含む。プロセッサ103は例えば、中央演算装置、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ等である。プロセッサ103はメモリ101に格納された命令を実行することにより、前述の実施形態で説明したように、第1エッジコンピューティング装置11/中央制御装置13が実行するステップを実行することができる。
【0037】
上記に鑑みて、本発明は集中通信環境に適用され、様々なサービス異常状態に応じてサービスを提供するエッジコンピューティングプラットフォームを再割り当てするエッジコンピューティングシステム、エッジコンピューティング装置、およびマルチエッジクラウドのネットワーク通信制御方法を提供し、その結果、サービス異常状態が発生したときに通信環境全体を再構成する必要がなくなる。本発明のマルチエッジクラウドのエッジコンピューティングシステム、エッジコンピューティング装置、ネットワーク通信制御方法は業務中断のないダイナミックアロケーションの機能を有していてもよいし、ロードバランシングやリモートバックアップの機能を有していてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7