【実施例1】
【0012】
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置1は、未処理の基板Wが収納されているFOUP2と、FOUP2を載置するFOUP載置台3と、FOUP2に収納された未処理の基板Wを取り出す搬送ロボット4と、搬送ロボット4が移動する搬送レール5と、搬送ロボット4によって搬送された基板Wを載置する基板載置台6と、基板載置台6に載置された基板Wを、後述する処理チャンバ10及び乾燥処理チャンバ30に搬送する搬送ロボット7と、搬送ロボット7が移動する搬送レール8と、処理液により処理を実行する処理チャンバ10と、処理チャンバ10で処理された基板Wを乾燥処理するための乾燥処理チャンバ30とを備えている。
【0013】
図2は、処理チャンバ10の構成を示している。処理チャンバ10内には、基板Wを水平に保持する保持手段である回転テーブル11がある。この回転テーブル11は、回転軸12とモータ13に連結されており、このモータ13の回転動作により、回転テーブル11を回転できるように構成される。モータ13には、制御部100と電気的に接続されており、制御部100からの指令により設定された回転数で、
図2に示した矢印I方向に回転する。保持ピン14は、偏心回転できる構造(図示せず)に構成され、保持ピン14が 偏心回転することで、処理チャンバ10に搬入された基板Wの端部に接触してその基板を保持するようになっている。
【0014】
カップ15は、回転テーブル11によって回転する基板Wの処理面に供給された処理液を回収し、回収した処理液を排出管(図示せず)に誘導する役割は果たしている。なお、カップ15を二重構造にして、処理液を分離回収できる構造にしてもよい。
【0015】
アーム駆動機構16は、揺動アーム17を回転駆動させる。なお、アーム駆動機構16は、制御部100と電気的に接続され、制御部100に設定されたプログラムにより、揺 動アーム17を駆動するようになっている。
【0016】
処理液吐出ノズル18は、揺動アーム17の先端に接続されており、アーム駆動機構16の動作により、基板W上にて水平方向に移動できる。処理液吐出ノズル18により処理液が基板Wの表面上に吐出されて、基板Wの表面を処理することができる。基板Wを処理する時、処理液吐出ノズル18は、アーム駆動機構16の動作により、待機位置から基板Wの中心に向けて水平移動させられる。なお、処理液吐出ノズル18は、処理液供給部40からの処理液供給管(図示せず)が、アーム駆動機構16や揺動アーム17を経由して 接続される。また、処理液供給管の途中には、バルブ(図示せず)が設置される。このバルブや処理液供給部40は、制御部100と電気的にそれぞれ接続される。この制御部100により、処理液供給部40やバルブを制御させることで、処理液を処理液吐出ノズル18へ供給している。この処理液は、エッチング液や洗浄液(APM、SC−1)等が使用される。
【0017】
アーム駆動機構19は、揺動アーム20を回転駆動できるように連結している。なお、アーム駆動機構19は、制御部100と電気的に接続され、制御部100に設定されたプ ログラムにより駆動する。
【0018】
リンス液吐出ノズル21は、揺動アーム20の先端に接続されており、アーム駆動機構19の動作により、基板W上を水平方向に移動できる。リンス液吐出ノズル21により、 リンス液Rが基板Wの表面上に吐出されて、基板Wの表面上に存在する、処理液吐出ノズル18より吐出された処理液を洗い流すことができる。なお、リンス液吐出ノズル21は、リンス液供給部50からのリンス液供給管(図示せず)が、アーム駆動機構19や揺動 アーム20を経由して接続される。また、リンス液供給管の途中には、バルブ(図示せず)が設定される。このバルブやリンス液供給部50は、制御部100と電気的にそれぞれ接続される。この制御部100により、リンス液供給部50やバルブが制御されることで、リンス液Rをリンス液吐出ノズル21へ供給している。このリンス液Rは、超純水が使用される。なお、リンス液Rとしては、超純水の他に、IPA(イソプロピルアルコール)を使用する場合も考えられ、リンス液吐出ノズル21の他にIPAを吐出するノズルや 供給源を設けてもよい。
【0019】
搬送扉22は、搬送ロボット7によって基板Wを回転テーブル11に搬入するための、搬入口の開閉を行なう。この搬送扉22は、昇降機構(図示せず)によって昇降可能に設けられることにより、その開閉動作を行なうことができる。つまり、昇降機構の動作により搬送扉22が降下することで、処理チャンバ10に対して、搬送ロボット7による基板Wの搬入出が可能となっている。この昇降機構は、制御部100と電気的に接続されており、昇降動作を制御部100により制御される。
【0020】
図3は、乾燥処理チャンバ30の構成を示したものである。乾燥処理チャンバ30は、乾燥手段としてのランプ61を収容するランプチャンバ60と基板を処理する処理チャンバ37から構成される。この処理チャンバ37には、基板Wを水平に保持する保持手段で ある回転テーブル31がある。この回転テーブル31は、回転軸32とモータ33とに連結されており、モータ33の回転動作により回転可能に構成される。モータ33には、制 御部100と電気的に接続されており、制御部100からの指令により設定された回転数で、
図3に示した矢印I方向に回転する。保持ピン34は、偏心回転できるような構造(図示せず)に構成され、保持ピン34が偏心回転することで、乾燥処理チャンバ30に搬入された基板Wの端部に接触してその基板を保持する。
【0021】
搬送扉35は、搬送ロボット7によって基板Wを回転テーブル31に搬入するための、搬入口の開閉を行なう。この搬送扉35は、昇降機構(図示せず)によって昇降可能に設けられ、搬入口の開閉動作を行なう。つまり、搬送扉35が降下することで、処理チャンバ37に対して、搬送ロボット7による基板Wの搬入出が可能となっている。この昇降機構は、制御部100と電気的に接続されており、昇降動作を制御部100により制御される。
【0022】
処理チャンバ37の上方には、ランプチャンバ60が設けられる。このランプチャンバ60内には、加熱手段としてのランプ61や、冷却手段(冷却流体噴射部)としての複数のノズル64、バッファ部63を有する。
【0023】
ランプ61は、回転テーブル31上の基板Wの表面に光を照射するものである。ランプ61は、制御部100と電気的に接続されており、ランプの点灯制御が制御部100により行われる。ここで、ランプ61は、例えば、直管タイプのランプ61を複数本並列に所定の間隔で設けたものやアレイ配置(格子状)に設けたものなどを用いることが可能であ る。また、ランプ61としては、例えば、ハロゲンランプやキセノンフラッシュランプ(一例として、400〜1000nmの波長光を有するフラッシュランプ)、遠赤ヒータなどを用いることが可能である。
【0024】
処理チャンバ37とランプチャンバ60間には、ランプ61から照射される光を透過する透過窓62が設置される。この透過窓62は、ランプ61の直下に位置し、ランプチャンバ60に支持されるように設けられる。また、この透過窓62は、ランプチャンバ60から基板Wの表面上にパーティクル(金属物のゴミ)等の付着を防ぐものである。この実施形態において、透過窓62は、石英が用いられているが、石英に限定されず、光を透過する部材であれば良い。
【0025】
図3及び
図4に示すように、バッファ部63は箱型の形状になっており、冷却流体供給部70、配管72、供給口73が接続される。この冷却流体供給部70から冷却流体G、例えば、空気や窒素ガスが、配管72を通じてバッファ部63内に矢印Nのように供給できるようになっている。なお、配管72の途中には、バルブ71が介在される。
図6に示すようにバッファ部63の底部63bには、複数のノズル64にそれぞれ対応するように、複数の供給口69aが設けられる。この供給口69aとノズル64とは、冷却流体Gが漏れないように接合される。
【0026】
図4に示すように、バッファ部63内には、仕切り板65が設置される。この仕切り板65の水平方向の長さは、バッファ部63の水平方向の長さに対して、短く設定されている。そのため、仕切り板65の両端とバッファ部63の側壁面63aとの間には隙間Aが形成される。
【0027】
複数のノズル64は、バッファ部63の底部63bに設けられ、複数の供給口69aと 対応するようにして固定される。この複数のノズル64は、所定の間隔で配置された複数のランプ61の隙間に複数本ずつ配置される。また、各ノズル64は、冷却流体供給部70から送られた冷却流体Gを透過窓62に向けて供給できるように設置される(
図3参照)。各ノズル64は、ランプ61からの光を透過しない材質(例えば、アルミニウム)を採用する。なお、各ノズル64の吐出口は透過窓62に対向し、吐出口の高さ位置は、垂 直方向(
図4における上下方向)に見て、ランプ61の中心高さ位置と透過窓62の上面の高さ位置との間に位置するように設定される。さらに、
図3に示すように、透過窓62の周囲にも対向してノズル64を設け、透過窓62の全体に冷却流体Gを供給できるようにしている。なお、この実施形態において、複数のノズル64のノズル径は直径4mmであり、長さは25mmである。
【0028】
リフレクター66は、
図4及び
図5に示すように、バッファ部63とランプ61の間に位置し、バッファ部63に着脱可能に固定して設けられる。このリフレクター66には、複数の貫通孔69bが形成され、各貫通孔69bを介して、複数のノズル64がバッファ部63の底部63bに設置できるようになっている。つまり、貫通孔69bは、バッファ部63の底部63bに設けている複数の供給口69aと対応するようになっている。このリフレクター66は、ランプ61が点灯して基板Wの表面側とは反対方向に照射された光を基板Wの表面に向けるように反射させるものである。
【0029】
図4に示すように、支持部材67は、ランプ61と複数のノズル64とをバッファ部63に固定する部材である。この支持部材67は、バッファ部63に着脱可能に固定されている。ここでは、支持部材67とランプ61は、固定具67aにより固定されている。また、支持部材67と複数のノズル64は、固定具67aにより固定されている。なお、支持部材67と複数のノズル64は接着剤等での固定でもよい。
【0030】
図3に戻り、排出口68は、複数のノズル64から噴射された冷却流体Gを、ランプチャンバ60内から外に排出するものである。この排出口68は、ランプチャンバ60の上側に設置されているが、処理工程に影響を与えない位置であれば、ランプチャンバ60の上側には限らない。また、排出口68に排出ポンプ(図示せず)を接続させ、一定の排出量で排出させてもよい。
【0031】
制御装置を構成する制御部100は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する基板処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部とを備えている。この制御部100は、搬送ロボット4及び7、モータ13及び33、アーム駆動機構16及び19、搬送扉22及び35、処理液供給部40、リンス液供給部50、ランプ61、冷却流体供給部70などを、決められたプログラムで制御する。
【0032】
次に、前述した基板処理装置1が行う基板処理(基板処理方法)について説明する。なお、未処理の基板Wが収納されているFOUP2は、FOUP載置台3にセットされた状態になっているものとする。
【0033】
図1に示すように、搬送ロボット4が搬送レール5に沿って移動して、FOUP載置台3にセットされているFOUP2に対向するように位置づけられる。この搬送ロボット4は、FOUP2に収納されている基板Wを取り出して、保持したまま搬送レール5に沿って移動して、基板載置台6に対向するように位置づけられる。そして、搬送ロボット4によって基板Wは基板載置台6に載置される。次に、搬送ロボット7が搬送レール8に沿って移動して、基板載置台6に対向するように位置づけられる。搬送ロボット7は、基板載置台6に載置された基板Wを保持して、基板Wを保持したまま搬送レール8に沿って移動する。搬送ロボット7は、処理チャンバ10に対向するように位置づけられて基板Wを処理チャンバ10内へ搬入する。
【0034】
図2に示すように、搬送ロボット7によって保持された基板Wは、回転テーブル11に載置される。このとき、搬送扉22は開いている。回転テーブル11に載置された基板Wは、偏心回転した保持ピン14が基板Wの端部に接触することで保持される。これにより、基板Wは、回転テーブル11と共に回転可能に保持される。
【0035】
基板Wが回転テーブル11に保持されると、制御部100から電気信号がモータ13に送信され、モータ13が所定の回転数で回転駆動する。この回転駆動によって、回転テーブル11及び基板Wが回転される。
【0036】
次に、回転している基板Wの表面を処理するために、
図2で示す処理液吐出ノズル18が、カップ15よりも外側に退避していた位置(待機位置)から、基板Wの表面の中心付近(処理位置)まで、アーム駆動機構16及び揺動アーム17によって移動する。
【0037】
処理液吐出ノズル18が処理位置に設定されたと判断された時、制御部100から電気信号が処理液供給部40に送られる。これにより、処理液供給部40から処理液吐出ノズル18に処理液が供給される。そして、基板Wの表面に処理液が吐出され、所定時間が経過したら、処理液供給部40から処理液の供給が停止される。なお、処理液の供給が停止されたら、処理液吐出ノズル18は、アーム駆動機構16及び揺動アーム17により待機位置に移動する。
【0038】
次に、リンス液吐出ノズル21が、カップ15よりも外側に退避していた位置(待機位置)から、基板Wの表面の中心付近(処理位置)まで、アーム駆動機構19及び揺動アーム20によって移動する。
【0039】
リンス液吐出ノズル21が処理位置に移動されると、制御部100により電気信号がリンス液供給部50に送信される。これにより、リンス液供給部50からリンス液Rがリンス液吐出ノズル21に供給される。そして、リンス液吐出ノズル21からリンス液Rが基板Wの表面に供給され、所定時間が経過したら、リンス液供給部50からの供給を停止させる。ここでは、所定時間の経過前になると、モータ13の回転数を減速させ、リンス液Rの供給が停止したときには、ほぼ同時に回転を停止させる。つまり、基板Wの表面全体にリンス液Rを液盛りした状態で処理が終了する。さらに、リンス液Rによる処理が終了したら、リンス液吐出ノズル21は、アーム駆動機構19及び揺動アーム20により待機位置に移動をする。なお、
図2は、基板Wにリンス液Rが供給されている状態を示している。
【0040】
次に、リンス液Rで液盛りされた状態の基板Wは、搬送ロボット7により乾燥処理チャンバ30に搬入される。そして、搬入された基板Wは、
図3に示す回転テーブル31に載置される。このとき、開閉扉35は開いていて、また回転テーブル31に載置された基板Wは、保持ピン34によって保持され、回転テーブル31と共に回転可能とされる。
【0041】
基板Wが回転テーブル31に保持された後、制御部100によりランプ61を点灯を開始し、同時にモータ33を駆動させて基板Wを回転させる。これにより、乾燥処理が開始される。この乾燥処理は、ランプ61の点灯により、基板Wの温度を瞬時に上昇させることで行なわれる。実施形態のランプ61は、基板Wが10秒で100℃以上になることを可能とする。
【0042】
詳しくは、このランプ61からの光は、基板Wだけに吸収され、基板Wの表面上に存在するリンス液Rを透過する。これにより、基板Wのみを加熱させる。これにより、基板Wが瞬時に加熱され、基板Wの表面(パターン面も含む)と接している部分のリンス液Rが瞬時に気化して気層が形成される。つまり、基板Wの表面とリンス液Rの間に気層(空間)が形成されるということなる。この気層の形成によりリンス液Rは、表面張力の働きで液玉状になる。
【0043】
そして、液玉状になったリンス液Rは、回転している基板Wの遠心力により基板Wの表面上から飛ばされて、結果的に基板Wの乾燥が行われる。そして、乾燥処理が所定時間行なわれると乾燥処理は終了し、ランプ61の点灯と回転テーブル31の回転がいずれも停止され、乾燥処理済みの基板Wを搬送ロボット7により処理チャンバ37から搬出する。
【0044】
ところで、前述した乾燥処理を繰り返して行うと、透過窓62の温度が徐々に上昇する。これは、ランプ61の点灯による光の影響によるものである。このランプ61からの光には、透過窓62に吸収される波長が含まれているため、透過窓62が加熱されてしまう。透過窓62の温度は直ぐには下がらないため、乾燥処理を繰り返すことにより、透過窓62に熱が蓄熱されていく状態となる。この状態が続き、数回目の乾燥処理を実行するときに、ランプ61が点灯する前には透過窓62の温度は、100℃以上になっていることが確認された。
【0045】
透過窓62が高温状態であるために、乾燥処理チャンバ30内の雰囲気が温められて高温環境となってしまう。この高温環境の乾燥処理チャンバ30内に、リンス液Rを液盛りした状態の基板Wを搬入した後(回転テーブル31に基板Wを載置する前)において、ランプ61による乾燥処理が開始する前に、基板Wの表面の乾燥が始まってしまう。その結果、基板Wの表面上に液盛りされたリンス液Rが不均一に乾燥されてしまい、乾燥ムラやウォータマークの発生が生じ、基板Wが製品不良(配線パターンの倒壊)になることが確認された。これは、透過窓62が全体的に均一な温度になっていないことも起因していると考えられる。
【0046】
そこで、本実施形態においては、乾燥処理の終了と同時、あるいは終了後に、制御部100により、冷却流体供給部70とバルブ71が制御されて、冷却流体Gが配管72を通じてバッファ部63に供給される。このとき、ランプ61は消灯している。バッファ部63に供給された冷却流体Gは、複数のノズル64から透過窓62に向けて噴射される。これにより、透過窓62の全体が冷却流体Gにより冷却される。なお、ランプチャンバ60に充満する冷却流体Gは、バッファ60内に設けた排出口68から排出される。
【0047】
そして、透過窓62の冷却時間が経過すると、冷却流体供給部70とバルブ71が制御されて、冷却流体Gの供給が停止する。この冷却時間が経過すると、処理チャンバ10で処理された未乾燥の基板Wが処理チャンバ37に新たに搬入され、前述した乾燥処理が実行される。本実施形態では、冷却流体Gの供給時間(冷却時間)は50秒と設定されている。これは、乾燥処理チャンバ30から乾燥済みの基板Wを搬出してから、次の基板Wを乾燥処理チャンバ30に搬入するまでの時間を50秒と設定しているからである。なお、この時間は、調整することが可能である。
【0048】
本実施形態の基板処理装置1では、隣接するランプ間の隙間に、透過窓62に直接冷却流体Gを供給する複数のノズル64を設けた。この複数のノズル64から冷却流体Gは、ランプ61にさえぎられることなく、透過窓62に直接噴射されることで、透過窓62が冷却される。つまり、処理チャンバ37に基板Wが搬入された際に、基板Wの表面が乾燥ムラを起こさない温度まで、透過窓62の温度を下げるようにしている。本実施形態では、透過窓62は40度以下に冷却される。
【0049】
このようにすれば、乾燥処理が繰り返されたとしても、透過窓62の高温状態が続くということが防止される。また、これにより、乾燥処理チャンバ30内の雰囲気が高温環境となることも防止することができる。
【0050】
従って、乾燥処理を繰り返して行っても、透過窓62が高温状態でない(先に述べた温度まで低下している)ために、基板Wが乾燥処理チャンバ30内に搬送される途中において、基板Wの表面の乾燥が始まってしまうことを阻止することができる。これにより、基板Wの表面が不均一に加熱されることによる、乾燥ムラやウォータマーク等の発生を抑止できる。これにより、パターン倒壊が生じた製品の発生を防止でき、生産性の向上につながる。
【0051】
なお、複数のノズル64からの冷却流体Gの噴射は、常に実行しても良い。また、ランプ61を点灯させる直前に実行しても良い。さらには、基板Wの乾燥処理が終了する毎に行なうのに代えて、所定枚数の基板Wの乾燥処理が終了する毎に、冷却流体Gを噴射させてもよい。この場合、実験等で得られた処理回数と、透過窓62の温度と、の相関等に基づいて所定枚数は決定される。
【実施例3】
【0061】
第3の実施形態について、
図8乃至
図10を参照して説明する。
【0062】
第3の実施形態は、基本的に第2の実施形態と同様である。このため、第3の実施形態では、第2の実施形態との相違点について説明して、第2の実施形態で説明した部分と同一部分は同一の符号で示し、説明も省略する。
【0063】
図8及び
図9(c)に示すように、バッファ部170を構成する、本体部163aと底部163bは、前述した第2の実施形態と同じ構成となっている。バッファ部170内には、バッファ部170の形状に対応した円形のシャッター265(
図9(a)参照)と、円形のシャッター365(
図9(b)参照)が収容されている。
【0064】
シャッター265の中心には、回転機構111の回転軸が接合する貫通孔266が設けられている。この回転機構111によって、シャッター265は回転が可能となっている。なお、シャッター265の寸法は、バッファ部163内で回転できるように、本体部163aの内径より少し小さい設定となっている。また、シャッター265には、
図9(a)に示すように、冷却流体Gが通過する孔となる供給口267が形成されている。なお各供給口267は、シャッター265における、直交する2本の直径上に並ぶように配置される。この供給口267は、貫通孔266の中心から距離aに設置され、供給口267同士の間隔も距離a、つまり、等間隔に設置されている。
【0065】
シャッター365の中心には、回転機構111の回転軸が貫通する貫通孔366が設けられている。この貫通孔366には、ベアリング(図示せず)が設置されており、このベアリングによって回転機構111の回転軸がシャッター365に回転自在に支持されるようになっている。このシャッター365は、本体部163aに固定されている。そのため、回転機構111の回転軸が回転できるようになっている。また、このシャッター365の下面には、
図8、
図9(b)に示すように、円周方向に沿って連続する壁である、外側仕切り部368と内側仕切り部369とが設けられる。この、外側仕切り部368と内側仕切り部369とにより、シャッター365は、外側エリアU、中側エリアV、内側エリアYの3つに仕切られた領域が形成される。そして、各エリアには、供給口267と同様に冷却流体Gが通過する孔となる、供給口367がそれぞれ形成されている。内側エリアYに設けられた供給口367と貫通孔366との距離は、貫通孔266と供給口267との距離と同じ距離aに設置されている。中側エリアVに設けられた供給口367は、貫通孔366の中心から距離2aの位置に設けられている。これは、貫通孔366と内側エリアYの供給口367との距離の2倍の間隔となっている。外側エリアUに設けられた供給口367は、貫通孔366の中心から距離3aの位置に設けられている。これは、貫通孔366と内側エリアYの供給口367との距離の3倍の間隔となっている。さらに具体的には、
図9(b)に示されるように、内側エリアYに設けられる供給口367は、貫通孔366を中心に、図において垂直軸上と水平軸上とに設けられ、中側エリアVに設けられる供給口367は、上記した垂直軸から30度、水平軸から30度、いずれも左方向(
図10において矢印M方向)に回転した軸線上に設けられ、外側エリアUに設けられる供給口367は、上記した垂直軸から60度、水平軸から60度、いずれも左方向(
図10において矢印M方向)に回転した軸線上に設けられる。
【0066】
図8に示すように、矢印Q方向に、シャッター265、シャッター365、底部163bの順に配置されている。また、先に述べたシャッター365に設けられた外側仕切り部368と内側仕切り部369は、シャッター365と底部163bとの間にある。
【0067】
図9(b)に示すように、シャッター365を、外側エリアU、中側エリアV、内側エリアYの3つのエリアに仕切ることにより、供給口367及び供給口69aも、それぞれのエリア毎に仕切られることになる。
【0068】
図10は、
図8において矢印Q方向から見た、シャッター265とシャッター365、底部163bの位置関係を示したものである。この
図10(a)、(b)、(c)では、回転機構111によってシャッター265を30度毎に矢印M方向に回転させた様子を示している。なお、
図10において、シャッター265が有する供給口267と、シャッター365が有する供給口367とが重なっている供給口は実線(白丸)で示し、重なっていない供給口は、黒丸または破線で示している。
【0069】
図10(a)に示す位置関係は、シャッター265が
図9の(a)の位置にある時を示す。供給口267と重なる供給口367を冷却流体Gが通過できるようになる。そして、供給口267と供給口367とを通過した冷却流体Gは、供給口69a及び複数のノズル64に供給することができる。ここでは、供給口267と重なる供給口367は、内側仕切り部369で仕切られた内側エリアYに存在しているため、内側エリアYに配置された(属する)供給部69a及びその供給部69aに対応するノズル64に冷却流体Gが供給される。これにより、透過窓62の内側(中央部分)に冷却流体Gを供給することが可能となる。
【0070】
図10(b)は、
図10(a)の位置にあるシャッター265を、矢印M方向に30度回転させたときの状態を示しており、供給口267と重なる供給口367の位置(実線で示す)が変わる。また、供給口267とは重ならない供給口367の位置(黒丸と破線で示す)も変わる。供給口267と重なる供給口367の位置は、外側仕切り部368と内側仕切り部169の間である、中側エリアVに存在しているため、中側エリアVに配置された供給口69a及びその供給部69aに対応するノズル64に冷却流体Gが供給される。これにより、透過窓62の中側(中央部分と外周部分との間の領域)に冷却流体Gが供給されることになる。
【0071】
図10(c)は、
図10(b)の位置にあるシャッター265を、矢印M方向にさらに30度回転させたときの状態を示している。この状態では、
図10(a)、(b)と比較して、供給口267と重なる供給口367の位置(実線で示す)が変わる。また、供給口267とは重ならない供給口367の位置(黒丸と破線)も変わる。供給口267と重なる供給口367の位置は、外側仕切り部368より外側である、外側エリアUに存在しているため、外側エリアUに配置された供給口69a及びその供給部69aに対応するノズル64に冷却流体Gが供給される。これにより、透過窓62の外側(外周部分)に冷却流体Gが供給されることになる。
【0072】
本実施形態においては、
図10(a)、(b)、(c)の順にシャッター265を矢印M方向に回転させると、冷却流体Gは、内側エリアY、中側エリアV、外側エリアUのそれぞれに属するノズル64を経由して順に透過窓62に供給されることになる。このようにして冷却流体Gを供給することで、透過窓62は、その内側から外側に向けて徐々に冷却される。従って、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を有する。なお、ノズル64から冷却流体Gを噴射させるタイミングは、第1の実施形態と同様である。
【0073】
また、透過窓62の周辺にある高温の雰囲気(気体)を、透過窓62の内側から外側へ向けて追い払うようにして排出させながら、透過窓62を冷却することができる。つまり、透過窓62の周辺にある高温の雰囲気を排除することで、透過窓62に直接、冷却流体Gを供給することができる。このように、シャッター265の回転に伴って、冷却流体Gが供給される供給口69a及びノズル64が変わり、透過窓62に対して冷却流体Gの供給位置を変化させることができる。これにより、透過窓62の全体に冷却流体Gを同時に供給する場合に比べ、冷却流体G同士の干渉による影響が少なくなるため、透過窓62の周辺にある高温の雰囲気(気体)を効率良く排出することが可能となる。このため、高温の雰囲気が排出されるとともに、冷却流体Gが直接、透過窓62に噴射されるために、透過窓62は冷却されやすくなる。
【0074】
さらに、供給口267と重なる供給口367だけに冷却流体Gが集中的に供給されるため、流速が速くなる。これにより、流速が速くなった冷却流体Gがノズル64から噴射されるため、透過窓62の冷却効率が向上するのに加え、透過窓62の周辺の高温状態の雰囲気(気体)を、バッファ170の外部に排出することが効率的にできるので、透過窓62を冷却する効率を向上させることができる。