特許第6982681号(P6982681)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6982681アジマススラスター、船舶、浮遊式プラットフォーム、潜水装置及び潜水艦
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982681
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】アジマススラスター、船舶、浮遊式プラットフォーム、潜水装置及び潜水艦
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/42 20060101AFI20211206BHJP
   B63H 5/125 20060101ALI20211206BHJP
   B63G 8/08 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B63H25/42 E
   B63H5/125
   B63G8/08 Z
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-511293(P2020-511293)
(86)(22)【出願日】2018年8月21日
(65)【公表番号】特表2020-536781(P2020-536781A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(86)【国際出願番号】CN2018101611
(87)【国際公開番号】WO2019037727
(87)【国際公開日】20190228
【審査請求日】2020年2月21日
(31)【優先権主張番号】201710724028.3
(32)【優先日】2017年8月22日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513324321
【氏名又は名称】大連理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】王 文華
(72)【発明者】
【氏名】黄 一
(72)【発明者】
【氏名】王 琳琳
(72)【発明者】
【氏名】杜 亜震
(72)【発明者】
【氏名】王 永傑
(72)【発明者】
【氏名】劉 剛
(72)【発明者】
【氏名】張 崎
(72)【発明者】
【氏名】李 紅霞
(72)【発明者】
【氏名】陳 景傑
(72)【発明者】
【氏名】李 志遠
(72)【発明者】
【氏名】董 磊磊
(72)【発明者】
【氏名】甄 興偉
(72)【発明者】
【氏名】楊 宏啓
【審査官】 渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6458004(US,B2)
【文献】 米国特許第3901177(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0158568(US,A1)
【文献】 米国特許第4964823(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0081811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 25/42
B63H 5/125
B63H 20/08
B63G 8/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体又はプラットフォームの底部に固定されるアジマススラスターであって、
伝動機構を介して回転機構の下方に固定されるスラスターポッドを含み、
作動時、前記伝動機構はスラスターポッドを駆動してピッチングさせ、前記回転機構は、スラスターポッドを駆動して所定の角度まで水平回転させ、伝動機構は、スラスターポッドを駆動して所定の角度までピッチングすることで、船体又はプラットフォームに前後動、左右動、船首動、上下動、横動及び縦動のトルクを発生させ、前記伝動機構は、それぞれ前記回転機構内及び前記スラスターポッド内に設置される主動スプロケット又は従動スプロケット及びチェーンを含み、主動スプロケットはチェーンを介して従動スプロケットを駆動して回転させることで前記スラスターポッドのピッチング角度を変化させることを特徴とするアジマススラスター。
【請求項2】
前記回転機構は伸縮機構を介して船舶又はプラットフォームの底部に固定される、ことを特徴とする請求項1に記載のアジマススラスター。
【請求項3】
前記伸縮機構は油圧シリンダである、ことを特徴とする請求項2に記載のアジマススラスター。
【請求項4】
前記回転機構はリング歯車を有し、リング歯車には、前記リング歯車を駆動して回転させる複数の駆動歯車が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のアジマススラスター。
【請求項5】
船体又はプラットフォームの底部に固定されるアジマススラスターであって、
伝動機構を介して回転機構の下方に固定されるスラスターポッドを含み、
作動時、前記伝動機構はスラスターポッドを駆動してピッチングさせ、前記回転機構は、スラスターポッドを駆動して所定の角度まで水平回転させ、伝動機構は、スラスターポッドを駆動して所定の角度までピッチングすることで、船体又はプラットフォームに前後動、左右動、船首動、上下動、横動及び縦動のトルクを発生させ、前記伝動機構は、前記回転機構内に設置される伝動軸と、スラスターポッドに接続される従動軸とを含み、伝動軸を介して前記従動軸を駆動することで、スラスターポッドを駆動してピッチングさせる、ことを特徴とするアジマススラスター。
【請求項6】
前記伝動軸、従動軸は、スラスターポッドとの間に、傘歯車及び/又はウォームギヤを介して協働する、ことを特徴とする請求項に記載のアジマススラスター。
【請求項7】
船舶であって、
船舶の周囲及び/又は底部に1つ以上の請求項1〜6に記載のアジマススラスターが設けられる、ことを特徴とする船舶。
【請求項8】
浮遊式プラットフォームであって、
浮遊式プラットフォームの周囲及び/又は底部に、1つ以上の請求項1〜6に記載のアジマススラスターが設けられる、ことを特徴とする浮遊式プラットフォーム
【請求項9】
前記アジマススラスターは一つであり、浮遊式プラットフォームの底部の中軸線箇所に固定される、ことを特徴とする請求項8に記載の浮遊式プラットフォーム。
【請求項10】
潜水装置であって、
潜水装置の周囲に、1つ以上の請求項1〜6に記載のアジマススラスターが設けられる、ことを特徴とする潜水装置。
【請求項11】
潜水艦であって、
潜水艦の周囲に、1つ以上の請求項1〜6に記載のアジマススラスターが設けられる、ことを特徴とする潜水艦。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶及び海洋事業用プラットフォームに用いられるスラスターに関し、特に、浮体に6自由度方向の力(トルク)を出力できる推進装置に関する。国際特許分類の情報は、「B処理操作;運輸→B63船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品→B63H船舶の推進または操舵→B63H23/00推進動力設備から推進器への動力伝達→B63H23/02機械的伝動装置をもつもの」である。
【背景技術】
【0002】
船舶及び海洋事業分野において、船舶、海洋プラットフォーム、潜水装置及び潜水艦の動的位置決めに用いられるスラスターは、一般的に水平面内における3つの自由度(前後動、左右動、及び船首動)の力(トルク)だけを出力することができる。しかし、3つの自由度以外のその他の運動(上下動、横動及び縦動)のそれぞれに対しても、スラスターは推進力を出力することで位置決め精度の要件を満たすことができる。環境による影響力が小さい場合、従来の制御方法は、船体、海洋プラットフォームの底部又は潜水装置、潜水艦の周辺に作用するスラスターによる推進力を用いて、縦動又は横動運動を間接的に制御することができる。しかし、環境による負荷が大きい場合、従来の制御方法では、船舶、海洋プラットフォーム又は潜水装置、潜水艦の位置決め精度の要件を満たすことができず、且つ消費エネルギーが急激に増加する。
【0003】
現在、二重ガイド管ポッドスラスターを採用したスラスター装置があり、このスラスターは、プラットフォーム、船舶又は潜水装置、潜水艦に上下動又は下降上昇を発生させる力を出力できるが、その鉛直方向の推進力は総推進力の一方の分力に過ぎず、他方の分力は対称に配置されることで相殺されるため、エネルギーの無駄が生じる。また、このスラスターには2つのプロペラが必要であり、ロスが生じ、構造の信頼性を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のスラスターのタイプにおける欠点に対して、船舶、プラットフォーム又は潜水装置、潜水艦に6自由度方向の力(トルク)を出力できるスラスターのタイプを提供することである。スラスターの回転機構と主伝動機構を組み合わせることにより、船舶、プラットフォーム又は潜水装置、潜水艦における、下降上昇、左右、前後、横動、縦動及び船首動方向の自在運動を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主に、伝動機構を介して回転機構の下方に固定されるスラスターポッドを含み、作動時、前記伝動機構はスラスターポッドを駆動してピッチングさせ、前記回転機構は、スラスターポッドを駆動して所定の角度まで水平回転させ、伝動機構は、スラスターポッドを駆動して所定の角度までピッチングすることで、スラスターポッドに前後動、左右動、船首動、上下動、横動及び縦動のトルクを発生させる。
【0006】
前記アジマススラスターは、船舶/浮遊式プラットフォーム/潜水装置/潜水艦の姿勢感知システムと組み合わされ、高波状態では船体、プラットフォームの外形特徴に応じて、所定の立体角度まで回転して対応するトルクを発生させることで、船舶/プラットフォーム/潜水装置/潜水艦の安定性を向上させる。
【0007】
好ましい実施形態として、本発明にはさらに伸縮機構が設けられ、すなわち前記回転機構は、伸縮機構を介して船舶、プラットフォームの底部又は潜水装置、潜水艦に固定される。好ましい実施形態として、油圧シリンダを選択できる。スラスターの使用時、伸縮機構又は油圧シリンダが延伸し、前記アジマススラスターを所定の深度又は予定の作業深度に固定することにより、スラスターポッドが作動しない状態で露出する頻度を減らして、耐用年数を向上させ、船体又はプラットフォームへの特定の抵抗力を低下させる。また、前記姿勢感知システムと組み合わせることで、伸縮機構の作業の過程における伸縮長さを短くして、トルクをより正確に発生させる。
【0008】
好ましい実施形態として、前記回転機構は、リング歯車を含み、リング歯車は、1つ以上の駆動用歯車によって駆動され、それによりスラスターポッドを駆動して所定の水平方向に回転させる。
【0009】
スラスターポッドが作動の過程で水平方向の抵抗力を大きく変えることを考慮すると、好ましい実施形態として、前記駆動歯車は複数であり、中心対称又は回転対称に設置され(歯車列の正射影)、転舵の過程で、複数の駆動歯車が共同でリング歯車を駆動して回転させることで、スラスターポッドを駆動して所定の角度まで水平に回転させる。
【0010】
好ましい実施形態として、前記伝動機構は、チェーン伝動機構であり、前記回転機構の内部に設置され、回転機構に従動して水平に回転可能な主動スプロケット、接続部材内に設置されるチェーン、及びスラスターポッドの両側に設置される従動スプロケットを含む。作動の過程で、主動スプロケットはチェーンを介して従動スプロケットを駆動して前記スラスターポッドのピッチング角度を変化させ、電磁ブレーキ装置を介して、このピッチング角度を固定する。
【0011】
好ましい実施形態として、前記伝動機構は、伝動軸伝動機構であり、回転機構内部に設置され、回転機構に従動して水平に回転する伝動軸と、鉛直方向に設置され、スラスターポッドを駆動してピッチングさせる従動軸を含む。
【0012】
さらには、前記伝動軸、従動軸及びスラスターポッドの間は傘歯車及び/又はウォームギヤを介して係合される。
【0013】
好ましい実施形態として、さらに耐荷重部材を有し、該部材の上端は前記回転機構と剛性接続され、耐荷重部材の下端は電磁ブレーキ装置を介してスラスターポッド表面に接触して接続され、回転機構の下端は、防水装置を介してスラスターポッドと水密接続される。
【0014】
船舶、潜水装置又は潜水艦であってその周囲に前記アジマススラスターが設けられる。アジマススラスターは、船舶の船尾部、潜水装置又は潜水艦の周囲に選択的に取り付けられる。また、船体側舷の下方箇所にアジマススラスターを対称に設置することを考慮してもよい。通常の航行過程では、側舷のアジマススラスターを収納することで、航行時の抵抗力を減少させる。高波状態又は錨を固定した状態では、側舷のアジマススラスターを延伸して作動させ、前記6方向のトルクを発生させることで、船舶の安定を保持する。
【0015】
浮遊式プラットフォームであって、プラットフォームの底部に前記アジマススラスターが設けられる。アジマススラスターの取り付け位置及び取り付けの形態は浮遊式プラットフォームのタイプに基づき、必要に応じて選択される。
【0016】
断面が中心対称又は回転対称である浮遊式プラットフォームにおける技術手段が、例えば、単柱型プラットフォームである場合、浮遊式プラットフォームの底部の幾何学的中心箇所にアジマススラスターを設置することで、鉛直方向の上下動を防止し、横方向のトルクを大きくすることができる。
【0017】
他の形態の浮遊式プラットフォームにおいては、底部の中央位置を選択する以外にも、浮遊式プラットフォームの側壁又は底部の周囲にアジマススラスターを対称に設置することを考慮でき、姿勢センサと組み合わせることで、浮遊式プラットフォームの安定性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本実用新案の実施例又は従来技術の技術手段をより明確に説明するために、以下に実施例又は従来技術の説明に必要とされる図面を簡単に紹介し、明らかな点として、以下の説明における図面は本実用新案のいくつかの実施例に過ぎず、当業者は創造的な労力を要しない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本発明の実施例1に係る構造概略図である。
図2】本発明のアジマススラスター(実施例1の構造)が船倉内に収納された時の構造概略図である。
図3】本発明のアジマススラスターの実施例1の側面図である。
図4】本発明のアジマススラスターの実施例1の正面図である。
図5】本発明のアジマススラスターが一定の角度に沿って推進力を出力する(実施例1の構造)作動概略図である。
図6】本発明のアジマススラスターの実施例2の正面図である。
図7】本発明のアジマススラスターの実施例3の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実用新案の実施例の目的、技術手段及び有益な効果をさらに明確にするために、以下、本実用新案の実施例の添付図面を参照しながら、本発明の実施例に係る技術手段を明確に説明する。
【0020】
実施例1について、本実施例はアジマススラスターの構造を説明しており、該アジマススラスターを備える船舶、浮遊式プラットフォーム又は潜水装置、潜水艦について、当業者は実際の状況に応じて対応する構造を示すことができる。
【0021】
図1〜7を参照されたい。
実施例1
【0022】
アジマススラスターであって、以下の機能を備える。
【0023】
<伸縮可能機能> 油圧シリンダ101は全方位回転ホルダー201を駆動して昇降運動を実現し、且つ任意の伸長長さでロックすることができる。
【0024】
<全方位回転機能> 第1回転モータ202は、全方位回転ホルダー201に固定され、第1平歯車204を駆動して回転させる。第2回転モータ203は、全方位回転ホルダーに対称に固定され、第2平歯車205を駆動して回転させる。第1平歯車204と第2平歯車205は第3平歯車206に同時に噛合され(第1、第2平歯車は前記駆動歯車であり、第3平歯車は前記リング歯車である)、第3平歯車206を駆動して回転させる。また、第3平歯車206は第1ポッド207端部の構造に内嵌される。これにより、第3平歯車206は第1ポッド207の機構を駆動して共に回転させる。さらに、第1ポッド207はプロペラ305を駆動して回転させその方位角が変化することで、全方位回転機能を実現する。
【0025】
<全方向機能> メインモータ302の出力軸は軸継手303を介してプロペラ軸304を駆動して回転させる。プロペラ軸304は、プロペラハブ305を駆動して回転させる。プロペラ羽根306は、プロペラハブ305に固定して取り付けられ、プロペラ羽根306を駆動して回転させる。プロペラガイド管307は、接続フレーム308を介してスラスターポッド301に固定されることで、構造上の安定性を保持する。第1方向調整用モータ309は、第1減速機310を介して第1主動スプロケット311を駆動し、第1チェーン312を介して第1従動スプロケット313を駆動して回転させ、同時に第2方向調整用モータ314は、第2減速機315を介して第2主動スプロケット316を駆動し、第2チェーン317を介して第2従動スプロケット318を駆動して回転させる。第1従動スプロケット313と第2従動スプロケット318は共にそれぞれに剛性固定されるスラスターポッド301を駆動して、従動スプロケットの軸線の周囲で回転させることで、水平面に垂直な任意の角度のピッチング角を形成し、第1電磁ブレーキ装置319と第2電磁ブレーキ装置320を介してスラスターポッドを固定する。同時に第1耐荷重部材322と第2耐荷重部材323を介してスラスターポッド301の鉛直方向の力を受ける。全方位回転機能と組み合わせることにより、プロペラは、任意の方向に推進力を発生させる。
実施例2
【0026】
アジマススラスターであって、実施例1に記載の技術手段と類似しているが、伝動機構の形式が異なる。
【0027】
図6に示すように、同様に、対になって設置される第1方向調整用モータ309と第2方向調整用モータ314を含む。前記2つの方向調整用モータはそれぞれ第1伝動軸401と第2伝動軸410を駆動して回転させる。2つの前記伝動軸の端部は、それぞれ第1傘歯車セット402と第4傘歯車セット409(傘歯車セットは伝動軸に設置される水平な傘歯車とそれに設置)を介して、スラスターの伸縮運動方向(一般には鉛直方向)と平行に設置される第1従動軸404及び第2従動軸407と協働して、2つの前記従動軸を駆動して回転させる。
【0028】
これに対応して、前記第1従動軸404及び第2従動軸407の端部に傘歯車が設けられ、スラスター両側に固定される傘歯車と共に、それぞれ第2傘歯車セット405及び第3傘歯車セット406を構成する。使用状態では、従動軸の回転によって、最終的にスラスターを駆動して、その両側の傘歯車の接続線を軸とするピッチング運動が実現する。
【0029】
第1従動軸404及び第2従動軸407の中央部には、それぞれ接続アームのケースに固定される第1軸受403と第2軸受408が設けられ、それぞれ従動軸を固定する。
【0030】
実施例3
【0031】
実施例2と同様に、ウォームギヤ機構を介してスラスターを駆動してピッチング運動を実現する。
【0032】
動力源とする第1方向調整用モータ309と第2方向調整用モータ314は、それぞれ第1伝動軸501と第2伝動軸510を駆動する。第1伝動軸I501と第2伝動軸510の端部には、ネジ歯車が設けられ、第1従動軸504と第2従動軸507の上端部の歯車と係合されることで、2つの従動軸を駆動して回転させる。
【0033】
同様に、スラスター両側には、それぞれネジ歯車付きウォームギヤが設けられ、2つの前記第1伝動軸501及び第2伝動軸510の下端の歯車と係合され、従動軸に駆動されることにより、その両側のウォームギヤの接続線を軸とするピッチング運動を実現する。
【0034】
以下、本発明に係るアジマススラスター、船舶、浮遊式プラットフォーム、潜水装置及び潜水艦が、それらの優れた位置決め効果を保証する状況で、従来のアジマススラスターに比較して、消費エネルギーがより少なくなることをより直感的に説明する。
【0035】
表2は、現在検証済のポテンシャル流れの汎用境界要素法による数的シミュレーションから得られた南シナ海における年一度の台風による海況(表1参照)において、従来のスラスター及び本発明に記載のアジマススラスター、船舶、浮遊式プラットフォーム、潜水装置及び潜水艦の前後動、上下動、縦動という3自由度方向の運動の最大値、最小値、レンジ、平均値、平均分散値、及び必要なエネルギー消費値を示したものである。表2から分かるように、従来のアジマススラスターと比較すると、本発明に記載のアジマススラスター、船舶、浮遊式プラットフォーム、潜水装置及び潜水艦は、それらの縦動、上下動、及び縦動という3自由度の少ない運動応答を保証する状況で、消費エネルギーが明らかに低下している。従って、本発明における新たな全方向設計により、動的位置決めの過程で必要とされる消費エネルギーが大幅に低下することが示された。
【0036】
表1 中国の南シナ海における年一度の台風による海況JONSWAPスペクトル(風速21.87m/s)
【表1】
【0037】
表2 従来のアジマススラスターと本発明を位置決め過程に用いた場合の位置決め効果及び消費エネルギーの比較
【表2】
【0038】
上記は本発明の好ましい具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲は前記内容に限定されるものではなく、当業者であれば本発明に開示された技術範囲で、本発明の技術手段及びその発明概念に基づいて同等置換又は変更を行うことができ、それらはいずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1、伸縮機構,101、油圧シリンダ,102、油圧シリンダホルダー,2、回転機構,201、回転機構ホルダー,202、第1回転モータ,203、第2回転モータ,204、第1平歯車,205、第2平歯車,206、第3平歯車,207、第1ポッド,208、第1軸受,3、主伝動機構,301、スラスターポッド,302、メインモータ,303、軸継手,304、プロペラ軸,305、プロペラハブ,306、プロペラ羽根,307、プロペラガイド管,308、接続フレーム,309、第1方向調整用モータ,310、第1減速機,311、第1主動スプロケット,312、第1チェーン,313、 第1従動スプロケット,314、第2方向調整用モータ,315、第2減速機,316、第2主動スプロケット,317、第2チェーン,318、第2従動スプロケット,319、第1電磁ブレーキ装置,320、第2電磁ブレーキ装置,321、防水装置,322、第1耐荷重部材,323、第2耐荷重部材,401、第1伝動軸,402、第1傘歯車セット,403、第1軸受,404、第1従動軸,405、第2傘歯車セット,406、第3傘歯車セット,407、第2従動軸,408、第2軸受,409、第4傘歯車セット,410、第2伝動軸,501、第1伝動軸,502、第1ウォームギヤ機構,503、第1軸受,504、第1従動軸,505、第2ウォームギヤ機構,506、第3ウォームギヤ機構,507、第2従動軸,508、第2軸受,509、第4ウォームギヤ機構,510、第2伝動軸。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7