特許第6982700号(P6982700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982700
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】内視鏡用チャンネルユニット
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   A61B1/018 513
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-559606(P2020-559606)
(86)(22)【出願日】2018年12月12日
(86)【国際出願番号】JP2018045685
(87)【国際公開番号】WO2020121438
(87)【国際公開日】20200618
【審査請求日】2021年5月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 弘美
(72)【発明者】
【氏名】山谷 高嗣
【審査官】 ▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/199759(WO,A1)
【文献】 特表2007−532262(JP,A)
【文献】 特開平05−307143(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0079735(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡挿入部の外周面に対して、少なくとも一部が前記内視鏡挿入部の長手軸方向に沿って位置する管路と、
前記内視鏡挿入部の前記長手軸方向の先端側に固定される取付部材と、
一端が前記取付部材に接続され、他端が前記管路の前記長手軸方向の先端に接続された、前記長手軸方向の長さが可変自在に構成されて可撓性を有する連結部材と、
を具備し、
前記連結部材の前記管路への基端側固定部は、前記管路の前記長手軸方向の前後移動に伴い、前記連結部材の前記取付部材への先端側固定部に対し、前記長手軸方向の前後に移動自在となっていることを特徴とする内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項2】
前記連結部材は、前記管路の回動に伴い、前記内視鏡挿入部の周方向に変形することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項3】
前記内視鏡挿入部の前記外周面に対して前記管路を係止させる係止部材をさらに具備していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項4】
前記係止部材は、前記内視鏡挿入部における湾曲部よりも前記長手軸方向の基端側に前記管路を係止させることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項5】
前記係止部材は、前記管路が前記長手軸方向に沿って前後に摺動される摺動部を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項6】
前記連結部材の前記長手軸方向の長さを可変させる長さ調整部材をさらに具備していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項7】
前記連結部材の前記基端側固定部が、前記先端側固定部よりも前記長手軸方向の前方に移動した際、前記先端側固定部から前記長手軸方向の前方への突出長さを規制する規制部材をさらに具備していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項8】
前記連結部材は、該連結部材の前記基端側固定部が、前記先端側固定部よりも前記長手軸方向の前方に移動した際、前記管路の前記長手軸方向の前後移動及び回動に伴い、前記管路の前記長手軸方向の先端開口の位置、向きを、前記長手軸方向に対して、3次元空間における複数方向に変化させることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項9】
前記連結部材は、該連結部材の前記基端側固定部が、前記先端側固定部よりも前記長手軸方向の前方に移動した際、前記管路の前記長手軸方向の先端開口を、前記内視鏡挿入部の前記長手軸方向の先端に位置する先端面に対向させることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項10】
前記取付部材と、前記連結部材と、前記管路とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項11】
前記管路は、前記長手軸方向の先端側部位が、他の部位よりも柔軟に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項12】
前記管路は、柔軟な部材から構成されており、
前記管路の前記長手軸方向の先端側部位よりも前記長手軸方向の後方部位の外周に、硬質管が被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項13】
前記取付部材に、前記内視鏡挿入部の前記先端側に対する前記取付部材の前記長手軸方向及び周方向における固定位置を規定する位置規定部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項14】
前記連結部材は、前記長手軸方向に対して交わる方向よりも前記長手軸方向に沿った方向での変形が発生し難い特性を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用チャンネルユニット。
【請求項15】
内視鏡挿入部の外周面に対して、少なくとも一部が前記内視鏡挿入部の長手軸方向に沿って位置する管路と、
前記内視鏡挿入部の前記長手軸方向の先端側に固定される取付部材と、
一端が前記取付部材に接続され、他端が前記管路の前記長手軸方向の先端に接続された、可撓性を有する連結部材と、
を具備し、
前記連結部材の前記管路への基端側固定部は、前記管路の前記長手軸方向の前後移動に伴い、前記連結部材の前記取付部材への先端側固定部に対し、前記長手軸方向の前後に移動自在となっており、
前記連結部材は、該連結部材の前記基端側固定部が、前記先端側固定部よりも前記長手軸方向の前方に移動した際、前記管路の前記長手軸方向の先端開口を、前記内視鏡挿入部の前記長手軸方向の先端に位置する先端面に対向させることを特徴とする内視鏡用チャンネルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡挿入部の外周面に対して、少なくとも一部が内視鏡挿入部の長手軸方向に沿って位置する管路を具備する内視鏡用チャンネルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。
【0003】
医療分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を被検体となる体腔内に挿入することによって、体腔内の臓器を観察したり、必要に応じて内視鏡が具備する処置具の挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をしたりすることができる。
【0004】
また、工業用分野において用いられる内視鏡は、内視鏡の細長い挿入部をジェットエンジン内や、工場の配管等の被検体内に挿入することによって、被検体内の被検部位の傷及び腐蝕等の観察や各種処置等の検査を行うことができる。尚、工業用分野において用いられる内視鏡においても、必要に応じて上述した挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をすることができる。
【0005】
ここで、挿入部の外周面に、該挿入部の長手軸方向(以下、単に長手軸方向と称す)に沿って、内視鏡用チャンネルユニットの管路である外付けチャンネルが着脱自在な構成が周知である。
【0006】
外付けチャンネル内に対しては、内視鏡が具備する挿通チャンネルに挿入される処置具とは異なる処置具や、他の内視鏡の挿入部等の挿入物が挿抜自在となっている。
【0007】
このことにより、例えば外付けチャンネル内に挿入され、外付けチャンネルの先端開口から突出された把持鉗子によって被検部位が把持された状態において、内視鏡の挿通チャンネル内に挿入され該挿通チャンネルの先端開口から突出された切除具を用いて被検部位の切除処置を行うことができる。
【0008】
また、内視鏡の挿通チャンネル内に挿入され該挿通チャンネルの先端開口から突出された保持用の処置具によって被検部位を保持した状態において、外付けチャンネルの先端開口から突出された他の内視鏡の挿入部を、被検部位の開口内に挿入すること等を行うことができる。
【0009】
また、外付けチャンネルは、取付部材及び複数の係止部材によって、先端開口が長手軸方向において挿入部における先端部の先端面と略同じ位置に規定されるよう挿入部の外周面に対し固定、係止される。
【0010】
具体的には、挿入部の先端部の外周に固定される取付部材や、挿入部における湾曲部よりも長手軸方向の基端側の外周に設定間隔を有して係止される複数の係止部材により、外付けチャンネルは、挿入部の外周面に沿って、少なくとも一部が外周面に近接した状態において長手軸方向に対して略平行に位置する。
【0011】
このことにより、外付けチャンネルの先端開口から突出された処置具(他の内視鏡も含む。)は、長手軸方向に略平行に先端部の先端面よりも長手軸方向の前方に突出される。
【0012】
しかしながら、この構成では、外付けチャンネルの長手軸方向の先端側は、取付部材によって、内視鏡の挿入部の先端部に固定されている。よって、外付けチャンネルの先端開口から突出される処置具の突出角度や突出位置を変更させる際、挿入部の先端部の位置や角度も一緒に変更しなくてはならず、その結果、先端部の先端面に設けられた対物レンズの観察方向が一緒にずれてしまうといった問題があった。
【0013】
このような問題に鑑み、日本国特表2007−532262号公報においては、取付部材に、外付けチャンネルの先端側の角度を長手軸方向に対して略直交する方向に可変自在な構成を具備する内視鏡用チャンネルユニットが開示されている。
【0014】
このような内視鏡用チャンネルユニットによれば、対物レンズの観察方向がずれてしまうことなく、外付けチャンネルの長手軸方向の前後移動に伴い、取付部材によって外付けチャンネルの先端開口から突出される処置具の突出角度を可変自在とすることができる。
【0015】
ところが、日本国特表2007−532262号公報における内視鏡用チャンネルユニットにおいては、取付部材は、外付けチャンネルの先端開口から突出される処置具の突出方向を、長手軸方向に略直交する方向にのみしか可変することができない。即ち、管路の先端開口の向きや位置を、2次元平面における複数方向にしか可変させることができない。
【0016】
このため、処置具の突出方向の可変自由度が低く、場合によっては、処置具を用いた被検部位の処置性が悪い。
【0017】
よって、外付けチャンネルの先端開口から突出させる処置具による処置性を向上させるため、内視鏡の観察方向を変えることなく3次元空間における複数方向に外付けチャンネルの先端開口の向きや位置を可変できる構成が望まれていた。
【0018】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡の観察方向を変えることなく管路の先端開口を、任意の位置、角度に可変自在な構成を具備する内視鏡用チャンネルユニットを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため本発明の一態様による内視鏡用チャンネルユニットは、内視鏡挿入部の外周面に対して、少なくとも一部が前記内視鏡挿入部の長手軸方向に沿って位置する管路と、前記内視鏡挿入部の前記長手軸方向の先端側に固定される取付部材と、一端が前記取付部材に接続され、他端が前記管路の前記長手軸方向の先端に接続された、前記長手軸方向の長さが可変自在に構成されて可撓性を有する連結部材と、を具備し、前記連結部材の前記管路への基端側固定部は、前記管路の前記長手軸方向の前後移動に伴い、前記連結部材の前記取付部材への先端側固定部に対し、前記長手軸方向の前後に移動自在となっている。
また、本発明の他態様による内視鏡用チャンネルユニットは、内視鏡挿入部の外周面に対して、少なくとも一部が前記内視鏡挿入部の長手軸方向に沿って位置する管路と、前記内視鏡挿入部の前記長手軸方向の先端側に固定される取付部材と、一端が前記取付部材に接続され、他端が前記管路の前記長手軸方向の先端に接続された、可撓性を有する連結部材と、を具備し、前記連結部材の前記管路への基端側固定部は、前記管路の前記長手軸方向の前後移動に伴い、前記連結部材の前記取付部材への先端側固定部に対し、前記長手軸方向の前後に移動自在となっており、前記連結部材は、該連結部材の前記基端側固定部が、前記先端側固定部よりも前記長手軸方向の前方に移動した際、前記管路の前記長手軸方向の先端開口を、前記内視鏡挿入部の前記長手軸方向の先端に位置する先端面に対向させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施の形態の内視鏡用チャンネルユニットが取り付けられた内視鏡の挿入部が、被検体内に挿入されている状態を概略的に示す図
図2図1の内視鏡の挿入部の先端側から内視鏡用チャンネルユニットが取り外された状態を示す部分斜視図
図3図2の内視鏡用チャンネルユニットが内視鏡の挿入部の先端側に取り付けられた状態を示す部分斜視図
図4図3の内視鏡用チャンネルユニットの外付けチャンネルが前方に押され、外付けチャンネルの先端開口の向きが長手軸方向に変位した状態を示す部分斜視図
図5図3の内視鏡用チャンネルユニットの外付けチャンネルが捩られ、外付けチャンネルの先端開口の向きが長手軸方向と略直交方向に変位した状態を示す部分斜視図
図6図4の外付けチャンネルの先端開口から突出された把持鉗子によって病変部位が把持され、内視鏡の挿通チャンネルから突出された切除具によって病変部位を切除する状態を示す部分斜視図
図7図3の連結部材を、長手軸方向に可変自在とした変形例を示す部分斜視図
図8図7の外付けチャンネルの先端開口が、内視鏡の挿入部の先端面に対向した状態を示す部分斜視図
図9図3の連結部材が長手軸方向に図3よりも長く形成された変形例を示す部分斜視図
図10図9よりも連結部材が長手軸方向に短く可変された変形例を示す部分斜視図
図11図3の係止部材の摺動部が、外付けチャンネルの基端まで形成されている変形例を示す部分斜視図
図12図3の外付けチャンネル内に挿入される処置具にて外付けチャンネルの他の部位の硬度を硬くする変形例を示す部分斜視図
図13図12の外付けチャンネル内において、図12よりも前方に外付けチャンネルを、把持具を入れたまま移動させた状態を示す部分斜視図
図14図1の外付けチャンネルの基端側を、内視鏡操作部に対して着脱自在な構成した変形例を示す図
図15図14の外付けチャンネルの進退動作を、操作部に設けられたノブにて行う変形例の構成を示す図
図16図1の連結部材の長手軸方向へ伸縮し難い具体例を示す断面図
図17図1の連結部材の他の長手軸方向へ伸縮し難い具体例を示す断面図
図18図1の連結部材のさらに他の長手軸方向へ伸縮し難い具体例を示す断面図
図19】第2実施の形態の内視鏡用チャンネルユニットが内視鏡の挿入部の先端側に取り付けられた状態を示す部分斜視図
図20図19の内視鏡用チャンネルユニットから第1カバーを分離した部分分解斜視図
図21】第2実施の形態の内視鏡用チャンネルユニットを、側視型内視鏡の挿入部の先端側とともに示す部分斜視図
図22図21の内視鏡用チャンネルユニットから第1カバーを分離した部分分解斜視図
図23図21の内視鏡用チャンネルユニットを、側視型内視鏡の挿入部の先端側に装着した状態を示す部分斜視図
図24図23の内視鏡用チャンネルユニットが取り付けられた内視鏡の挿入部を十二指腸の乳頭付近まで挿入し、外付けチャンネルの先端開口から突出させた他の内視鏡を、乳頭に対向させた状態を示す図
図25図22の連結部材の先端側固定部が第1のカバーに接続された変形例を示す部分斜視図
図26図21の係止部材の摺動部が、外付けチャンネルの基端まで形成されている変形例を示す部分斜視図
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態の内視鏡用チャンネルユニットが取り付けられた内視鏡の挿入部が、被検体内に挿入されている状態を概略的に示す図、図2は、図1の内視鏡の挿入部の先端側から内視鏡用チャンネルユニットが取り外された状態を示す部分斜視図である。
【0024】
また、図3は、図2の内視鏡用チャンネルユニットが内視鏡の挿入部の先端側に取り付けられた状態を示す部分斜視図、図4は、図3の内視鏡用チャンネルユニットの外付けチャンネルが前方に押され、外付けチャンネルの先端開口の向きが長手軸方向に変位した状態を示す部分斜視図である。
【0025】
さらに、図5は、図3の内視鏡用チャンネルユニットの外付けチャンネルが捩られ、外付けチャンネルの先端開口の向きが長手軸方向と略直交方向に変位した状態を示す部分斜視図、図6は、図4の外付けチャンネルの先端開口から突出された把持鉗子によって病変部位が把持され、内視鏡の挿通チャンネルから突出された切除具によって病変部位を切除する状態を示す部分斜視図である。
【0026】
図1に示すように、内視鏡用チャンネルユニット1は、内視鏡50の長手軸方向Nに細長な挿入部51に取り付けられて被検体B内に挿入部51とともに挿入されるものである。
【0027】
一例を挙げると、操作者の左手Lによって内視鏡50の操作部55が把持された状態において、操作者の右手Rにて把持された挿入部51が被検体B内に、挿入部51に内視鏡用外付けチャンネルユニット1が取り付けられた状態にて挿入される。
【0028】
その後、内視鏡用外付けチャンネルユニット1は、後述する外付けチャンネル2が操作者の右手Rにて把持され、右手Rにより外付けチャンネル2に対して、長手軸方向Nに沿った前後操作や、周方向Cに対する捻り操作といった各種操作が行われる。
【0029】
図1図2に示すように、内視鏡用チャンネルユニット1は、管路である外付けチャンネル2と、取付部材3と、係止部材4と、連結部材5とを具備して主要部が構成されている。尚、外付けチャンネル2と取付部材3と連結部材5とは一体的に形成されていても構わない。
【0030】
外付けチャンネル2は、柔軟な部材から長手軸方向Nに所定の長さを有して筒状に形成されているとともに、挿入部51の外周面51gに対して、少なくとも一部が長手軸方向Nに沿って位置する。
【0031】
また、外付けチャンネル2は、内部に、各種処置具や、内視鏡50とは異なる他の内視鏡の挿入部251(図24参照)等が挿入される挿通路2iが形成されている。
【0032】
尚、外付けチャンネル2の長手軸方向Nの先端(以下、単に先端と称す)に、挿通路2iの先端開口2kが形成されている。
【0033】
尚、図2以降においては、先端開口2kは、長手軸方向Nに対して傾斜する形状に形成されている場合を図示して示しているが、長手軸方向Nに略垂直な形状に形成されていても構わないことは勿論である。
【0034】
また、本実施の形態においては、外付けチャンネル2は、長手軸方向Nの先端側部位2aが、該先端側部位2aよりも後方部位となる他の部位2bよりも柔軟に形成されている。
【0035】
例えば、先端側部位2aは、ePTFE等の多孔質の樹脂から構成され、他の部位2bは、PTFE等の多孔質でない樹脂から構成されていることにより、先端側部位2aは、他の部位2bよりも柔軟に形成されている。尚、先端側部位2a、他の部位2bを構成する部材は、これらに限定されない。
【0036】
また、先端側部位2aの長手軸方向Nの長さは、図3に示すように、内視鏡用チャンネルユニット1が挿入部51に取り付けられ、外付けチャンネル2が非操作状態において、挿入部51の湾曲部53よりも長く設定されているほうがより好ましい。
【0037】
取付部材3は、ポリサルフォンやゴム等から筒状に形成されており、挿入部51における湾曲部53の先端に連設された先端部52の外周面に取り付けられて摩擦力等により固定されるものである。
【0038】
尚、取付部材3は、先端部52に対して取り付けられた後、取付部材3自体の摩擦力等により、長手軸方向N及び周方向Cに移動してしまうことがないよう先端部52に固定されている。また、取付部材3は、先端部52に対して着脱自在である。
【0039】
係止部材4は、1つまたは複数から構成されており、挿入部51の外周面51gに対して外付けチャンネル2を係止させるものである。
【0040】
具体的には、係止部材4は、外付けチャンネル2が内部に挿通された状態において長手軸方向Nに沿って前後に外付けチャンネル2が摺動する筒状の摺動部4aと、該摺動部4aに連設されるとともに外周面51gに係止される、例えばC字状の係止部4bとから構成されている。
【0041】
尚、摺動部4aの内周面に、外付けチャンネル2の摺動性を向上させるため、摩擦軽減部材が設けられていたり、摩擦軽減加工が施されていたりしても構わない。
【0042】
係止部4bは、湾曲部53よりも長手軸方向Nの基端側(以下、単に基端側と称す)、即ち、湾曲部53の長手軸方向Nの基端(以下、単に基端と称す)に連設された可撓管部54の外周面に、外付けチャンネル2を係止させる。
【0043】
このことにより、図3に示すように、外付けチャンネル2は、内視鏡用チャンネルユニット1が挿入部51に取り付けられた状態において、外周面51gに近接するとともに挿入部51に沿って位置する。
【0044】
尚、係止部4bは、外周面51gに対して着脱自在である。
【0045】
連結部材5は、可撓性を有する部材から構成されている。
【0046】
尚、連結部材5を構成する部材としては、シリコーンゴムや、フッ素ゴム、紐、シリコーンバネ、プラスチックチェーン、金属の網状部材等が挙げられる。
【0047】
連結部材5は、一端が取付部材3に接続され、他端が外付けチャンネル2の先端に接続されている。
【0048】
また、連結部材5は、図4に示すように、外付けチャンネル2への基端側固定部5bが、外付けチャンネル2の長手軸方向Nにおける前後移動に伴い、取付部材3への先端側固定部5aに対して、長手軸方向Nの前後に移動自在となっている。
【0049】
さらに、連結部材5は、可撓性を有していることにより、図5に示すように、外付けチャンネル2の捩り操作に伴う周方向Cへの回動に伴い、周方向Cに変形自在となっている。
【0050】
連結部材5は、外付けチャンネル2の長手軸方向Nの前方(以下、単に前方と称す)への押し込み操作に伴い、図4に示すように、連結部材5の基端側固定部5bが、先端側固定部5aよりも前方に移動した際、図4図5に示すように、その後の外付けチャンネル2の長手軸方向Nの前後移動及び周方向Cへの回動操作に伴い、外付けチャンネル2の先端開口2kの向きを、長手軸方向Nに対して、3次元空間における複数方向に傾斜させるものである。
【0051】
尚、その他の内視鏡用外付けチャンネルの構成は、従来と同じであるため、その説明は省略する。
【0052】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0053】
図3に示すように、内視鏡用外付けチャンネルユニット1が挿入部51に取り付けられ、図1に示すように被検体B内に挿入された状態において、先ず、操作者によって、外付けチャンネル2に対して前方への押し込み操作が行われると、上述したように、基端側固定部5bは先端側固定部5aよりも前方に移動する。
【0054】
その後、操作者により更なる外付けチャンネル2の前方への押し込み操作が行われると、取付部材3が先端部52に固定されているため、連結部材5の長手軸方向Nの長さ以上の外付けチャンネル2の前方への移動が制限される。
【0055】
その結果、図4に示すように、外付けチャンネル2の柔軟な先端側部位2aは弓状に変形する。この変形に伴い、先端開口2kの位置や向きが、長手軸方向Nに対して、長手軸方向Nに直交する方向だけでなく長手軸方向Nの前後位置も含めて3次元空間における複数方向に自在に変化させられる。
【0056】
よって、先端開口2kから突出される処置具の角度、位置も3次元空間における複数方向の所望の位置に自在に可変させることができる。
【0057】
また、この状態において、操作者により、外付けチャンネル2に対して周方向Cに方向C1またはC2への捩り操作が行われると、連結部材5は、可撓性を有する部材で構成されているため、先端開口2kの向きを同一方向に変位させる。
【0058】
この場合においても、先端側固定部5aが取付部材3に固定されていることにより、連結部材5の変形可能量以上の外付けチャンネル2の周方向Cへの移動が制限される。
【0059】
よって、先端側部位2aは周方向Cに自在に変形し、先端開口2kは、図5の2点鎖線から実線、または2点鎖線から1点鎖線に示すよう、周方向Cへ移動する。
【0060】
尚、先端側部位2aの周方向Cへの移動は、取付部材3の外周面に形成された図示しないレールに沿って行われても構わない。
【0061】
その結果、先端開口2kの位置、向きは、上述した長手軸方向Nの前後移動、長手軸方向Nに対する傾斜も含めて、3次元空間における複数方向に自在に変化する。
【0062】
よって、先端開口2kから突出される処置具の角度、位置も3次元空間における複数方向の所望の位置に自在に可変させることができる。
【0063】
このため、図6に示すように、先端側部位2aの変形に伴い、挿通路2iに挿入した把持具31を、長手軸方向Nに対して傾斜させた状態にて、先端開口2kから前方に突出させ、把持具31にて病変部Tを把持し、該病変部Tに対して長手軸方向Nとは異なる方向にテンションを加えた状態にて、内視鏡50の挿通チャンネル60から前方に突出させた切除具32を用いて、病変部Tの切除を行うことができる等、病変部Tの切除性が向上する。
【0064】
このように、本実施の形態においては、内視鏡用チャンネルユニット1は、先端部52に固定される取付部材3と、外付けチャンネル2とが、可撓性を有する連結部材5によって接続されていると示した。
【0065】
また、連結部材5は、基端側固定部5bが外付けチャンネル2の長手軸方向Nへの前後移動に伴い、先端側固定部5aに対して、長手軸方向Nの前後に移動自在に構成されていると示した。
【0066】
このことによれば、連結部材5は、可撓性を有することにより周方向Cに変形自在なことから、外付けチャンネル2の長手軸方向Nの前後への移動、周方向Cへの捩り操作に伴い、長手軸方向Nにおいては、連結部材5の長さ分だけ、周方向Cにおいては、連結部材5の変形可能量の分だけにおいて、外付けチャンネル2の先端側部位2aを変形させる。
【0067】
その結果、先端開口2kの角度、位置、即ち、先端開口2kから前方に突出される処置具の角度、位置を、観察視野を可変させることなく、3次元空間における複数方向の所望の位置に可変させることができる。
【0068】
また、連結部材5は、可撓性を有していることにより、湾曲部53の湾曲に追従して湾曲したり挿入部51の長手軸方向Nのおける大きな前後移動に追従したりすることがないことから、挿入部51に移動に伴って先端開口2kの角度、位置、即ち、先端開口2kから前方に突出される処置具の角度、位置が可変し難い。
【0069】
以上から、内視鏡の観察方向を変えることなく、先端開口2kを、任意の位置、角度に可変自在な構成を具備する内視鏡用チャンネルユニット1、内視鏡50を提供することができる。
【0070】
尚、以下、変形例を示す。
【0071】
上述した本実施の形態においては、外付けチャンネル2は、1本の場合を例に挙げて示したが、これに限らず、複数本から構成されていても良いことは勿論である。
【0072】
この場合、複数本の外付けチャンネル2は、取付部材3、係止部材4、連結部材5によって、挿入部51の外周面51gに対して、周方向Cのそれぞれ異なる位置に配置され、複数本の外付けチャンネル2はそれぞれ、別個に設けた複数の連結部材5により、1つの取付部材3に対して接続される。
【0073】
また、以下、別の変形例を、図7図8を用いて示す。
【0074】
図7は、図3の連結部材を、長手軸方向に可変自在とした変形例を示す部分斜視図、図8は、図7の外付けチャンネルの先端開口が、内視鏡の挿入部の先端面に対向した状態を示す部分斜視図である。
【0075】
図7図8に示すように、連結部材5は、長手軸方向Nにおける長さが可変自在に調節できるように構成されていても構わない。
【0076】
具体的には、図7に示すように、本変形例においては、連結部材5が、上述した本実施の形態における連結部材5よりも長手軸方向Nに長く形成されている。
【0077】
また、先端側固定部5は、取付部材3の外周面に設けられたアーチ型のフック53tに180°巻回され、長さ調整部材40の先端に接続されている。
【0078】
長さ調整部材40は、外付けチャンネル2と同様の長さを有するとともに、操作者によって、長手軸方向Nの前後の押し引き操作されるものであり、柔軟で強度のある部材、例えばPTFEから構成されている。
【0079】
尚、内視鏡用チャンネルユニット1が取り付けられた挿入部51の被検体B内への挿入の際に、長さ調整部材40が挿入の妨げとならないよう、長さ調整部材40は、連結部材5よりも小径に形成されている。
【0080】
よって、長さ調整部材40は、一方、操作者により長手軸方向Nの後方(以下、単に後方と称す)に引っ張られると、接続された連結部材5がフック53tにおいて180°巻回されていることによって、連結部材5は、長さ調整部材40の引き込み方向とは逆の前方に移動する。このことにより、連結部材5の長さが短くなる。
【0081】
他方、操作者により、長さ調整部材40の前方への押し操作に加え、外付けチャンネル2の後方への引き込み操作が行われると、長さ調整部材40に接続された連結部材5がフック53tにおいて180°巻回されていることによって、連結部材5は、長さ調整部材40の押し込み方向とは反対の後方に移動する。このことにより、連結部材5の長さが長くなる。
【0082】
即ち、長さ調整部材40は、連結部材5の長手軸方向Nの長さを可変する。
【0083】
このような構成によれば、連結部材5の長さを長く設定しておき、外付けチャンネル2を前方に押し込むと、上述した本実施の形態よりも先端側部位2aの変形量が長手軸方向N及び周方向Cにおいて大きくなる。
【0084】
尚、この際、先端側固定部5aからの基端側固定部5bの前方への突出長さの規制は、即ち、連結部材5の長さは、長さ調整部材40に対して後方へ軽い引っ張り力を加えることにより設定することができる。即ち、これらの長さを維持することができる。
【0085】
よって、長さ調整部材40は、先端側固定部5aから前方への外付けチャンネル2の突出長さを規制する規制部材を兼ねている。
【0086】
このことにより先端側部位2aの変形量が増えることによって、例えば、図8に示すように、連結部材5は、外付けチャンネル2の押し込み操作に伴い基端側固定部5bが先端側固定部5aよりも前方に移動した後、被検体B内において、先端側部位2aを、先端部52の先端面52sよりも前方位置において180°変形させることにより、先端開口2kを、先端面52sに対向させることができる。
【0087】
このような構成によれば、先端開口2kから突出させた把持具31により、病変部Tを前方に引っ張って固定した状態にて、挿通チャンネル60から前方に突出させた切除具32より病変部Tの切除操作を行うことができる。
【0088】
また、この際、把持具31が切除具32よりも前方に位置するため、切除具32を用いた病変部Tの切除の際に、把持具31が妨げとなってしまうことがない。
【0089】
さらに、病変部Tの切除中に、先端面52sに設けられた対物レンズ52rに汚れ等が付着してしまったとしても、被検体B内から挿入部51を抜去することなく、先端開口2kから把持具31の代わりに突出させたブラシ等によって対物レンズ52rに付着してしまった汚れ等を除去することができる。
【0090】
尚、本構成においては、例えば図8においては、連結部材5の一部が対物レンズ52rの視野に映り込んでしまうことから、観察視野が悪くなってしまうことを防ぐため、連結部材5は、透明部材から構成されていることが好ましい。
【0091】
尚、その他の効果は、上述した本実施の形態と同じである。
【0092】
また、以下、連結部材5の長手軸方向Nの長さを可変する構成の変形例を、図9図10を用いて示す。
【0093】
図9は、図3の連結部材が長手軸方向に図3よりも長く形成された変形例を示す部分斜視図、図10は、図9よりも連結部材が長手軸方向に短く可変された変形例を示す部分斜視図である。
【0094】
連結部材5の長手軸方向Nにおける長さ可変の構成は、図7図8に示した構成に限らず、他の構成であっても構わない。
【0095】
例えば、図9に示すように、先端側固定部5aが取付部材3に接続され、基端側固定部5bが外付けチャンネル2の先端に接続されるとともに、長手軸方向Nにおいて図3よりも長い第1の長さNaに設定された連結部材5に対し、周方向Cへの捩り力を、外付けチャンネル2を介して加えることにより、図10に示すように、連結部材5の長さを第1の長さNaよりも短い第2の長さNb(Nb<Na)に可変できる構成であっても構わない。尚、第2の長さNbは、外付けチャンネル2の捩り量を可変することによって自由に設定することができる。
【0096】
さらに、以下、別の変形例を、図11を用いて示す。図11は、図3の係止部材の摺動部が、外付けチャンネルの基端まで形成されている変形例を示す部分斜視図である。
【0097】
上述した本実施の形態においては、外付けチャンネル2は、先端側部位2aが、他の部位2bよりも柔軟に形成されていると示した。
【0098】
これに限らず、外付けチャンネル2の全てを柔軟な同一部材から構成し、先端側部位2aを除く他の部位2bの外周が、係止部材4の硬質な(外付けチャンネル2よりも硬質な)摺動部4a'によって覆われていても構わない。
【0099】
さらには、摺動部4aとは別に、他の部位2bの外周が、硬質管によって被覆されていても構わない。
【0100】
このような構成によっても、外付けチャンネル2を前方に押し込むと、摺動部4a'や硬質管によって覆われていない柔軟な先端側部位2aが、上述した本実施の形態と同様に変形することから、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
また、外付けチャンネル2の硬度を、先端側部位2aと他の部位2bとにおいて作り分ける必要がないことから、製造コスト削減を図ることができる。
【0102】
さらには、外付けチャンネル2の押し込み操作や引き込み操作においては、外付けチャンネル2が長手軸方向Nの前後に移動するため、被検体Bの体壁に外付けチャンネル2が直接摺動接触してしまう可能性がある。
【0103】
ところが、本構成によれば、摺動部4a'や硬質管によって、他の部位2bの外周が覆われているため、外付けチャンネル2の被検体Bの体壁への接触を防ぐことができる。
【0104】
また、以下、別の変形例を、図12図13を用いて示す。図12は、図3の外付けチャンネル内に挿入される処置具にて外付けチャンネルの他の部位の硬度を硬くする変形例を示す部分斜視図、図13は、図12の外付けチャンネル内において、図12よりも前方に外付けチャンネルを、把持具を入れたまま移動させた状態を示す部分斜視図である。
【0105】
図12図13に示すように、図11と同様に、外付けチャンネル全体を柔軟な同一部材から構成し、外付けチャンネル2内において、図12に示すように、摺動部4a付近まで把持具31等の処置具を挿入して、他の部位2bの硬度を把持具31により硬くした状態において、外付けチャンネル2を前方に押し込むことにより、図13に示すように、上述した本実施の形態と同様に先端側部位2aを変形させても良い。
【0106】
この先端側部位2aが変形した状態において、図13に示すように、把持具31等の処置具だけを前方に押し込み、先端開口2kから突出させれば、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
尚、先端側部位2aを変形させる前における把持具31等の処置具の先端位置を操作者に認識させるため、即ち、他の部位2bに処置具を正確に位置させるため、先端側部位2aと他の部位2bとにおいて内周面の摺動抵抗が異なる処理が施されていたり、外付けチャンネル2の内周面において、先端側部位2aと他の部位2bとの境に処置具の通過に伴いクリック感を生じさせる突起が設けられていたり等の構成を外付けチャンネル2は有していても構わない。
【0108】
また、以下、別の変形例を、図14を用いて示す。図14は、図1の外付けチャンネルの基端側を、内視鏡操作部に対して着脱自在な構成した変形例を示す図である。
【0109】
図14に示すように、外付けチャンネル2の基端側に、チャンネル取付部材7が設けられ、該チャンネル取付部材7の取付部7aが、操作部55に設けられた溝55nに着脱自在な構成であっても構わない。
【0110】
また、外付けチャンネル2の基端側外周にパイプ状の把持部材8が接着固定されおり、該把持部材8は、チャンネル取付部材7内に遊嵌状態にて移動自在に嵌入されていても構わない。
【0111】
このような構成によれば、操作者は、チャンネル取付部材7を操作部55に取り付けた状態にて、把持部材8を把持した状態にて、チャンネル取付部材7内において、外付けチャンネル2の進退動作や、捩り動作を行うことができる。
【0112】
尚、その他の構成、効果は、上述した本実施の形態と同じである。
【0113】
さらに、以下、別の外付けチャンネル基端側の変形例の構成を、図15を用いて示す。図15は、図14の外付けチャンネルの進退動作を、操作部に設けられたノブにて行う変形例の構成を示す図である。
【0114】
図15に示すように、操作部55に回動自在なノブ57が設けられるとともに、把持部材8の基端外周に回動部材9が回動自在に嵌合され、また、一端がノブ57に接続されるとともに他端が回動部材9に回動自在に接続されたリンク部材58が設けられていることにより、ノブ57の回動操作に伴い、リンク部材58、回動部材9、把持部材8を介して、外付けチャンネル2の進退操作を行っても良い。
【0115】
尚、この場合、外付けチャンネル2の捩り操作は、図14と同様に、チャンネル取付部材7内における把持部材8を把持した操作者による捩り操作によって行われる。
【0116】
また、その他の構成、効果は、上述した図14の構成と同じである。
【0117】
また、以下、別の変形例を、図16図18を用いて示す。図16は、図1の連結部材の長手軸方向へ伸縮し難い具体例を示す断面図、図17は、図1の連結部材の他の長手軸方向へ伸縮し難い具体例を示す断面図、図18は、図1の連結部材のさらに他の長手軸方向へ伸縮し難い具体例を示す断面図である。
【0118】
上述した本実施の形態においては、連結部材5は、長手軸方向Nに対して交わる方向への変形(伸縮)よりも、長手軸方向Nに沿った方向に変形(伸縮)しにくい特性を有した構成である旨、示した。
【0119】
その構成を実現する具体的として、連結部材5がゴム等から構成されている場合、図16に示すように、連結部材5を構成するゴム5g内に、柔軟で伸び難い芯材5iが長手軸方向Nに沿って設けられていても構わない。
【0120】
また、図17に示すように、ゴム5g内に、該ゴム5gよりも硬度が大きく伸び難いゴム5nが長手軸方向に沿って設けられていても構わない。
【0121】
さらに、図18に示すように、ゴム5gの一部に肉厚部5jが長手軸方向Nに沿って設けられていても構わない。
【0122】
これら図16図18に示す構成によれば、上述した本実施の形態の効果に加え、処置具の挿抜によって長手軸方向Nに沿って意図せず伸縮してしまうことを防ぎつつ、長手軸方向Nに交わる方向(例えば長手軸に対して傾けた方向)に対して多少の動きを持たせることができ、外付けチャンネル2の方向を調整することができる。
【0123】
(第2実施の形態)
図19は、本実施の形態の内視鏡用チャンネルユニットが内視鏡の挿入部の先端側に取り付けられた状態を示す部分斜視図、図20は、図19の内視鏡用チャンネルユニットから第1カバーを分離した部分分解斜視図である。
【0124】
この第2実施の形態の内視鏡用チャンネルユニットの構成は、上述した図1図18に示した第1実施の形態の内視鏡用チャンネルユニットの構成と比して、取付部材が2つのカバー部材から構成されている点と、取付部材に、内視鏡の挿入部の先端部に対する固定位置を規定する位置規定部材が設けられている点が異なる。
【0125】
よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0126】
上述した第1実施の形態においては、内視鏡用チャンネルユニット1の取付部材3は、挿入部51の先端部52の外周に対して摩擦力で固定されていると示した。
【0127】
しかしながら、摩擦力だけでは、先端部52から脱落してしまう可能性が有る他、先端部52の周方向Cにおける固定位置を決め難く、取り付け、固定作業が行い難いといった問題があった。
【0128】
よって、被検体B内に内視鏡用チャンネルユニット1が取り付けられた挿入部51を挿入する前に、外付けチャンネル2の先端開口2kから処置具を突出させ、モニタから処置具の突出方向を確認しながら先端部52に対する取付部材3の周方向Cの位置を調整する必要があった。
【0129】
そこで、本実施の形態においては、図19図20に示すように、取付部材83を、第1のカバー81と第2のカバー82とから構成した。
【0130】
第1のカバー81は、硬質な部材、例えば樹脂から筒状に形成されており、先端部52の外周に固定される部位を構成している。
【0131】
また、第1のカバー81の内周面には、長手軸方向Nに沿って先端部52に対する取付部材83の周方向Cにおける固定位置を規定する位置規定部材であるスライド凸部81tが形成されている。
【0132】
さらに、第1のカバー81の外周に形成された脆弱部81zに、該第1のカバー81の内外を連通するとともに、先端部52に対する取付部材83の周方向C及び長手軸方向Nにおける固定位置を規定する位置規定部材である貫通孔81hが形成されている。
【0133】
尚、脆弱部81zに、第1のカバー81の他の部位よりも薄肉に形成されているとともに、第1のカバー81の基端まで延びる長手軸方向Nに沿った複数のスリットが周方向Cにおいて設定間隔を有して複数形成されている。このことにより、脆弱部81zは、第1のカバー81の基端側部位を変形させやすくすることによって、先端部52に対する第1のカバー81の着脱を容易にするものである。
【0134】
第2のカバー82は、弾性部材、例えばゴムから筒状に形成されており、先端に、連結部材5の先端側固定部5aが接続されている。
【0135】
また、第2のカバー82は、第1のカバー81の外周に対して、貫通孔81h及び脆弱部81zを覆う領域に被覆される。
【0136】
さらに、第2のカバー82は、取付部材83が先端部52の外周に固定された際、先端部52の基端外周に嵌合された絶縁リング52zに基端側部位が密着嵌合することにより、取付部材83の水密性を確保するとともに、摩擦力により取付部材83を先端部52の外周に固定する。
【0137】
尚、取付部材83が先端部52の外周に固定された際、第2のカバー82の絶縁リング52zに対する密着位置と、第2のカバー82に対する連結部材5の先端側固定部5aの位置が長手軸方向Nにずれている。
【0138】
このことにより、上述した第1実施の形態に示したように、外付けチャンネル2の先端側部位2aが変形したとしても、上述した密着位置に力が加わり難くなるため、密着状態に影響してしまうことがない。よって、水密性を充分確保することができる。
【0139】
さらに、図19に示すように、先端部52の外周面において、周方向Cの所定の位置に、長手軸方向Nに沿ったスライド凹部52mが形成されている。
【0140】
スライド凹部52mは、先端部52に取付部材83が固定された際、長手軸方向Nに沿ってスライド凸部81tが嵌入する。
【0141】
また、先端部52の外周面の基端側に、係止ピン52tが起立して設けられている。係止ピン52tは、先端部52に取付部材83が固定された際、貫通孔81hに嵌入される。
【0142】
尚、先端部52の外周から取付部材83を取り外す際、貫通孔81hからの係止ピン52tの脱却は、操作者により脆弱部81zが変形、破断されることにより行われる。
【0143】
尚、その他の構成は、上述した第1実施の形態と同じである。
【0144】
このような構成によれば、先端部52に取付部材83を固定する際、スライド凹部52mにスライド凸部82tを嵌入させ、係止ピン52tを貫通孔81hに嵌入させるのみにより、容易に、先端部52に対する取付部材83の周方向C及び長手軸方向Nの位置決めを行うことができる。
【0145】
また、第2のカバー82の摩擦力だけでなく、貫通孔81hへの係止ピン52tの嵌入により、取付部材83が先端部52の外周から脱落し難くなる。
【0146】
尚、その他の効果は、上述した第1実施の形態と同じである。
【0147】
また、上述した本実施の形態の構成は、既知の側視型内視鏡にも適用可能である。以下、側視型内視鏡に適用した構成を、図21図24を用いて示す。
【0148】
図21は、本実施の形態の内視鏡用チャンネルユニットを、側視型内視鏡の挿入部の先端側とともに示す部分斜視図、図22は、図21の内視鏡用チャンネルユニットから第1カバーを分離した部分分解斜視図である。
【0149】
また、図23は、図21の内視鏡用チャンネルユニットを、側視型内視鏡の挿入部の先端側に装着した状態を示す部分斜視図、図24は、図23の内視鏡用チャンネルユニットが取り付けられた内視鏡の挿入部を十二指腸の乳頭付近まで挿入し、外付けチャンネルの先端開口から突出させた他の内視鏡を、乳頭に対向させた状態を示す図である。
【0150】
図21図23に示すように、上述した本実施の形態の内視鏡用チャンネルユニット1は、側視型内視鏡の挿入部151の先端側に取り付けられる。
【0151】
側視型内視鏡の挿入部151は、先端部152と、湾曲部153と、可撓管部154とから構成されており、先端部152の外周の一部が切り欠かれることにより形成された切り欠き面に、照明レンズや対物レンズ、流体供給ノズル等が設けられている他、先端部152に、既知の処置具起上台152kが設けられている。
【0152】
また、上述した本実施の形態と同様に、図21に示すように、先端部152の外周面において、周方向Cの所定の位置に、長手軸方向Nに沿ったスライド凹部152mが形成されている。
【0153】
図23に示すように、スライド凹部152mは、先端部152に取付部材83が挿入された際、長手軸方向Nに沿ってスライド凸部81tが嵌入する。
【0154】
また、先端部152の外周面の基端側に、係止ピン152tが起立して設けられている。図23に示すように、係止ピン152tは、先端部152に取付部材83が挿入された際、貫通孔81hに嵌入される。
【0155】
尚、先端部152の外周から取付部材83を取り外す際、貫通孔81hからの係止ピン152tの脱却は、操作者により脆弱部81zが変形、破断されることにより行われる。
【0156】
また、第2のカバー82は、取付部材83が先端部152の外周に被覆された際、先端部152の基端外周に嵌合された絶縁リング152zに基端側部位が密着嵌合することにより、取付部材83の水密性を確保するとともに、摩擦力により取付部材83を先端部152の外周に固定する。
【0157】
さらに、係止部材4の係止部4bは、可撓管部154の先端側外周面に対して取り付けられる。
【0158】
尚、その他の構成は、上述した本実施の形態と同じである。
【0159】
このような側視型内視鏡に適用しても、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0160】
さらに、上述した第1実施の形態において示したように、連結部材5が長く形成されている場合、図24に示すように、内視鏡用チャンネルユニット1が取り付けられた挿入部151が十二指腸Jに経口的に挿入され、先端部152に設けられた対物レンズによって、乳頭Vを観察した状態において、外付けチャンネル2を前方に押し込むと、十二指腸J内において、先端側部位2aは、略180°変形し、先端開口2kを乳頭に対向させることができる。
【0161】
よって、図24に二点鎖線に示すように、従来は、側視型内視鏡の挿通チャンネル160に、他の内視鏡の挿入部251を挿入して、処置具起上台152kにより、挿入部251を乳頭V内に挿入し、胆管Wまたは膵管Sに挿入していた。ところが、処置具起上台152k通過時に挿入部251の湾曲部が破損しやすいといった問題がある他、通過時の曲率半径r2が小さいため、やはり湾曲した挿入部251の湾曲部が破損しやすいといった問題があった。
【0162】
しかしながら、外付けチャンネル2の先端開口2kから挿入部251を突出させ、乳頭V内に挿入する構成においては、変形した先端側部位2aの曲率半径r1は、曲率半径r2よりも大きいため(r1>r2)、先端側部位2a通過時に湾曲した挿入部251が破損し難い。
【0163】
また、処置具起上台251kを通過することもないため、挿入部251はより破損し難い。
【0164】
さらに、乳頭Vに対して先端開口2kを容易に対向させることが可能となるため、乳頭Vを介して、特に胆管Wに挿入部251を挿入しやすくなる。
【0165】
また、挿入部151を多少動かしても、挿入部251は、連結部材5及び外付けチャンネル2により追従しないことから、より挿入部251を乳頭V内に挿入しやすくなる。
【0166】
尚、先端開口2kから突出させた挿入部251を、乳頭V内に挿入する際、挿通チャンネル160内に挿入し、処置具起上台152kにより方向が変更された処置具により、挿入部251を支える等の補助作業を行っても良い。
【0167】
また、外付けチャンネル2内に挿入するものは、内視鏡の挿入部251に限らず、処置具であっても良いことは勿論である。
【0168】
尚、以下、変形例を、図25を用いて示す。図25は、図22の連結部材の先端側固定部が第1のカバーに接続された変形例を示す部分斜視図である。
【0169】
図25に示すように、連結部材5の先端側固定部5aは、第1のカバー81に固定されていても、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0170】
また、他の変形例を、図26を用いて示す。図26は、図21の係止部材の摺動部が、外付けチャンネルの基端まで形成されている変形例を示す部分斜視図である。
【0171】
図26に示すように、外付けチャンネル2の全てを柔軟な同一部材から構成し、先端側部位2aを除く他の部位2bの外周が、係止部材4の硬質な摺動部4a'によって覆われていても構わない。
【0172】
さらには、摺動部4aとは別に、他の部位2bの外周が、ガイドチューブによって被覆されていても構わない。
【0173】
このような構成によっても、外付けチャンネル2を前方に押し込むと、摺動部4a'やガイドチューブによって覆われていない柔軟な先端側部位2aが、上述した第1実施の形態と同様に変形することから、上述した第1、第2実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0174】
また、外付けチャンネル2の硬度を、先端側部位2aと他の部位2bとにおいて作り分ける必要がないことから、製造コスト削減を図ることができる。
【0175】
さらには、外付けチャンネル2の押し込み操作や引き込み操作においては、外付けチャンネル2が長手軸方向Nの前後に移動するため、被検体Bの体壁に外付けチャンネル2が直接摺動接触してしまう可能性がある。
【0176】
これに対して、本構成によれば、摺動部4a'やガイドチューブによって、他の部位2bの外周が覆われているため、外付けチャンネル2の被検体Bの体壁への接触を防ぐことができる。
【0177】
以上の実施形態によれば、内視鏡の観察方向を変えることなく管路の先端開口を、任意の位置、角度に可変自在に調整可能な内視鏡用チャンネルユニット、及びそのようなチャンネルユニットを装着した内視鏡を提供することができる。
【0178】
これによって、例えばESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)や十二指腸手術といった内視鏡下処置を行うにあたって、内視鏡挿入部に対し傾斜して取付ける外付けチャンネルから突出する処置具の位置を、内視鏡挿入部を動かすことなく、任意の位置、角度に調整できることから、病変等の処置対象部位の保持と治療を容易かつ確実に行うことができるという効果を得ることができ、内視鏡外付けチャンネルの先端開口から突出させる処置具等による内視鏡下処置の処置性を大幅に向上させることが可能である。
【0179】
また、以上の実施形態に挙げた実施形態において述べた処置具に限らず、各種術式に応じた他の処置具又は内視鏡を用いる場合であっても、上述した本実施の形態が適用可能であることは云うまでもない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26