(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態における工作機械用のドア装置1、および、工作機械100について説明する。なお、以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部位、部材については同一の符号を付し、同一の符号が付された部位、部材についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1乃至
図13を参照して、第1の実施形態における工作機械用のドア装置1Aについて説明する。
図1乃至
図4は、第1の実施形態における工作機械用のドア装置1Aを模式的に示す図である。
図5は、操作スイッチ6の配置の一例を模式的に示す図である。
図6は、操作スイッチ6の配置の他の一例を模式的に示す図である。
図7および
図8は、ハンドル3の一例を模式的に示す概略平面図である。
図9は、操作スイッチ6の変形例を模式的に示す図である。
図10は、第1の実施形態の第1変形例における工作機械用のドア装置1Aを模式的に示す図である。
図11は、第1の実施形態の第2変形例における工作機械用のドア装置1Aを模式的に示す図である。
図12および
図13は、少なくとも1つの切替弁5の動作の制御フローの一例を示す図である。
【0012】
図1に例示されるように、第1の実施形態におけるドア装置1Aは、ドア2と、ハンドル3と、少なくとも1つのエアシリンダ4と、空気流路FPと、少なくとも1つの切替弁5と、操作スイッチ6と、を具備する。
【0013】
ドア2は、工作機械の内部領域を規定する筐体110の開口部OPを閉鎖する第1位置Q1(
図1を参照。)と開口部OPを開放する第2位置Q2(
図3を参照。)との間でスライド移動可能である。第1位置Q1から第2位置Q2に向かう方向を第1方向DR1と定義し、第2位置Q2から第1位置Q1に向かう方向を第2方向DR2と定義するとき、ドア2は、第1方向DR1にスライド移動可能であり、第2方向DR2にスライド移動可能である。
図1に記載の例では、第1方向DR1および第2方向DR2は、水平方向に平行な方向である。
【0014】
ハンドル3は、ドア2に配置される。ハンドル3は、ドア2に取り付けられた取っ手であってもよいし、ドア2の一部に設けられた凹みであってもよい。
図1に記載の例では、ハンドル3が第1方向DR1に操作されることにより、ドア2は、第1位置Q1から第2位置Q2に向けて移動する。また、
図3に記載の例では、ハンドル3が、第2方向DR2(換言すれば、第1方向DR1とは反対の方向)に操作されることにより、ドア2は、第2位置Q2から第1位置Q1に向けて移動する。
【0015】
少なくとも1つのエアシリンダ4は、第1空気室41Aを有する。少なくとも1つのエアシリンダ4は、第1空気室41Aに空気が供給されることにより、ドア2に第1方向DR1に第1アシスト力を付与する。
図1に記載の例では、空気供給源91から第1空気室41Aに空気を供給可能である。
【0016】
少なくとも1つのエアシリンダ4は、第2空気室43Aを有していてもよい。少なくとも1つのエアシリンダ4は、第2空気室43Aに空気が供給されることにより、ドア2に第2方向DR2に第2アシスト力を付与する。
図1に記載の例では、空気供給源91から第2空気室43Aに空気を供給可能である。
【0017】
図1に記載の例では、少なくとも1つのエアシリンダ4は、第1エアシリンダ4Aを含む。また、当該第1エアシリンダ4Aが、第1空気室41Aおよび第2空気室43Aの両方を有する。
【0018】
空気流路FPは、第1空気室41Aと空気供給源91とを接続する第1流路FP1を含む。空気流路FPは、第2空気室43Aと空気供給源91とを接続する第2流路FP2を含んでいてもよい。
図1に例示されるように、第1流路FP1の一部と、第2流路FP2の一部とは、共通化されていてもよい(
図1に記載の例では、第1流路FP1のうちの空気供給源91と切替弁5との間の部分と、第2流路FP2のうちの空気供給源91と切替弁5との間の部分とが共通化されている。)。代替的に、第1流路FP1と第2流路FP2とは、互いに完全に独立していてもよい。
図1に記載の例では、空気流路FPに少なくとも1つの切替弁5が配置されている。
【0019】
操作スイッチ6は、
図1に例示される第1状態と、
図2に例示される第2状態との間で、少なくとも1つの切替弁5の状態を切り替える。
【0020】
図1に例示される第1状態では、第1アシスト力なしでドア2が第1方向DR1または第2方向DR2に移動されることが許容される。
図1に記載の例では、少なくとも1つの切替弁5は、上述の第1状態において、第1空気室41Aの内部の空気を開放する第1大気開放口E1と第1空気室41Aとを流体的に接続している。この場合、作業者がハンドル3を第1方向DR1に操作すると、ドア2は、第1アシスト力なしで、第1位置Q1から第2位置Q2に向けて移動する。なお、
図1に例示されるように、少なくとも1つの切替弁5は、上述の第1状態において、第2空気室43Aの内部の空気を開放する第2大気開放口E2と第2空気室43Aとを流体的に接続していてもよい。
【0021】
図2に例示される第2状態では、ドア2に第1方向DR1に第1アシスト力が付与される。
図2に記載の例では、少なくとも1つの切替弁5は、上述の第2状態において、第1空気室41Aに空気が供給されるように、空気供給源91と第1空気室41Aとを流体的に接続する。この場合、作業者がハンドル3を第1方向DR1に操作すると、ドア2は、第1アシスト力と作業者の操作力との合力によって、第1位置Q1から第2位置Q2に向けて移動する。なお、
図2に例示されるように、少なくとも1つの切替弁5は、上述の第2状態において、第2大気開放口E2と第2空気室43Aとを流体的に接続していてもよい。
【0022】
第1の実施形態では、工作機械用のドア装置1Aは、第1アシスト力なしでドア2が第1方向DR1または第2方向DR2に移動することを許容する第1状態と、ドア2に第1方向DR1に第1アシスト力を付与する第2状態との間で少なくとも1つの切替弁5の状態を切り替え可能である。よって、第1の実施形態では、アシスト力を必要とする作業者と、アシスト力が不要な作業者との両方にとって使い易い工作機械用のドア装置1Aが提供される。より具体的には、どのような作業者がどのような姿勢でどのような作業内容を行う場合でも扱いやすいようにユニバーサルデザインに配慮された工作機械用のドア装置1Aが提供される。また、第1の実施形態における工作機械用のドア装置1Aは、上述の第1状態と上述の第2状態との間で少なくとも1つの切替弁5の状態を切り替える操作スイッチ6を有するため、作業者は、自らの意思で、上述の第1状態あるいは上述の第2状態とを選択することができる。例えば、アシスト力が不要な作業者は、第1状態を選択することにより、アシスト機能なしの通常のドアと同じようにドア2を開けることができ、作業効率が低下しない。また、アシスト力を必要とする作業者は、第2状態を選択することにより、小さな力でドア2を開けることができる。
【0023】
また、上述の第1状態(
図1を参照。)では、エアシリンダ4の空気室と大気開放口とが流体的に接続されている。よって、万が一、動力源が遮断された場合でも(より具体的には、空気供給源91から空気流路FPに空気を供給できなくなった場合でも)、ドア2を第1方向DR1または第2方向DR2に自由に移動させることができる。
【0024】
上述の第2状態(
図2を参照。)において、エアシリンダ4の第2空気室43Aと第2大気開放口E2とが流体的に接続されていてもよい。この場合、ハンドル3に付与する第1方向DR1の操作力を増加させることにより、ドア2の移動速度を増加させることができる。換言すれば、第1空気室41Aへの空気の供給速度が限界値に達しない限り、アシスト力を付与する機構の存在が、ドア2の移動速度の増加の妨げにならない。この場合、作業者は、アシスト力を利用することと、素早くドア2を開けることとを両立させることができる。
【0025】
また、
図1および
図2に記載の例では、第1位置Q1にあるドア2を、第1位置Q1と第2位置Q2との間の任意の位置に移動させて、当該任意の位置に停止させることができる。また、
図1および
図2に記載の例では、第1位置Q1と第2位置Q2との間の任意の位置で停止しているドア2を再び移動させる場合、作業者は、第1アシスト力なしでドア2を移動させることができる。また、第1位置Q1と第2位置Q2との間の任意の位置で停止しているドア2を再び移動させる場合、作業者は、操作スイッチ6を操作することにより、第1アシスト力を利用してドア2を移動させることができる。
【0026】
(任意付加的な構成)
続いて、
図1乃至
図13を参照して、第1の実施形態における工作機械用のドア装置1A、あるいは、後述の第2の実施形態における工作機械用のドア装置1Bにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0027】
(第1アシスト力の大きさ)
第1アシスト力の大きさは、ドア2をスライド移動させるために必要な力よりも小さくてもよい。換言すれば、第1アシスト力の大きさは、第1アシスト力だけでは、ドア2を第1方向DR1に移動させることができない大きさに設定されていてもよい。この場合、第1アシスト力が付与されている状態においても、作業者がハンドル3に力を加えない限り、ドア2の位置が変更されずに維持される。代替的に、第1アシスト力の大きさは、第1アシスト力だけで、ドア2を第1方向DR1に低速度で移動させることが可能な大きさに設定されていてもよい。第1アシスト力の大きさは、例えば、後述の第1レギュレータ71の第1設定圧を変更することによって調整可能である。
【0028】
(第2アシスト力の付与)
図3に記載の例では、少なくとも1つのエアシリンダ4(より具体的には、第1エアシリンダ4A)は、第2空気室43Aを有する。少なくとも1つのエアシリンダ4は、第2空気室43Aに空気が供給されることにより、ドア2に第2方向DR2に第2アシスト力を付与可能である。第2空気室43Aに空気を供給可能とするため、空気流路FPは、第2空気室43Aと空気供給源91とを接続する第2流路FP2を含む。
【0029】
操作スイッチ6は、第1アシスト力および第2アシスト力なしでドア2が第1方向DR1または第2方向DR2に移動することを許容する第1状態(
図3を参照。)と、ドア2に第2方向DR2に第2アシスト力を付与する第3状態(
図4を参照。)との間で少なくとも1つの切替弁5の状態を切り替え可能である。
【0030】
図3に例示される第1状態では、第1アシスト力および第2アシスト力なしでドア2が第1方向DR1または第2方向DR2に移動されることが許容される。
図3に記載の例では、少なくとも1つの切替弁5は、上述の第1状態において、第1空気室41Aの内部の空気を開放する第1大気開放口E1と第1空気室41Aとを流体的に接続し、かつ、第2空気室43Aの内部の空気を開放する第2大気開放口E2と第2空気室43Aとを流体的に接続する。この場合、作業者がハンドル3を第2方向DR2に操作すると、ドア2は、第2アシスト力なしで、第2位置Q2から第1位置Q1に向けて移動する。
【0031】
図4に例示される第3状態では、ドア2に第2方向DR2に第2アシスト力が付与される。
図4に記載の例では、少なくとも1つの切替弁5は、上述の第3状態において、第1大気開放口E1と第1空気室41Aとを流体的に接続し、かつ、空気供給源91と第2空気室43Aとを流体的に接続する。この場合、作業者がハンドル3を第2方向DR2に操作すると、ドア2は、第2アシスト力と作業者の操作力との合力によって、第2位置Q2から第1位置Q1に向けて移動する。
【0032】
図3に記載の例では、アシスト力が不要な作業者は、第1状態を選択することにより、アシスト機能なしの通常のドアと同じようにドア2を閉めることができ、作業効率が低下しない。また、アシスト力を必要とする作業者は、第3状態を選択することにより、小さな力でドア2を閉めることができる。
【0033】
また、上述の第3状態(
図4を参照。)では、エアシリンダ4の第1空気室41Aと第1大気開放口E1とが流体的に接続されている。よって、ハンドル3に付与する第2方向DR2の操作力を増加させることにより、ドア2の移動速度を増加させることができる。よって、作業者は、アシスト力を利用することと、素早くドア2を閉めることとを両立させることができる。
【0034】
また、
図3および
図4に記載の例では、第2位置Q2にあるドア2を、第2位置Q2と第1位置Q1との間の任意の位置に移動させて、当該任意の位置に停止させることができる。また、
図3および
図4に記載の例では、第2位置Q2と第1位置Q1との間の任意の位置で停止しているドア2を再び移動させる場合、作業者は、第1アシスト力および第2アシスト力なしでドア2を移動させることができる。また、第2位置Q2と第1位置Q1との間の任意の位置で停止しているドア2を再び移動させる場合、作業者は、操作スイッチ6を操作することにより、第1アシスト力あるいは第2アシスト力を利用してドア2を第1方向DR1あるいは第2方向DR2に移動させることができる。
【0035】
(第2アシスト力の大きさ)
第2アシスト力の大きさは、ドア2をスライド移動させるために必要な力よりも小さくてもよい。換言すれば、第2アシスト力の大きさは、第2アシスト力だけでは、ドア2を第2方向DR2に移動させることができない大きさに設定されていてもよい。この場合、第2アシスト力が付与されている状態においても、作業者がハンドル3に力を加えない限り、ドア2の位置が変更されずに維持される。代替的に、第2アシスト力の大きさは、第2アシスト力だけで、ドア2を第2方向DR2に低速度で移動させることが可能な大きさに設定されていてもよい。第2アシスト力の大きさは、例えば、後述の第2レギュレータ72の第2設定圧を変更することによって調整可能である。
【0036】
(操作スイッチ6)
図1乃至
図4に記載の例では、操作スイッチ6の操作の全てをハンドル3の操作とは独立して実行可能である。換言すれば、
図1乃至
図4に記載の例では、ハンドル3の操作に連動して操作スイッチ6の操作が行われない。この場合、上述の第1状態と上述の第2状態(あるいは、上述の第3状態)との間の切り替えのタイミングの自由度が大きい。例えば、ハンドル3が第1方向DR1(あるいは、第2方向DR2)に操作される前に、操作スイッチ6を操作することにより、切替弁5の状態を、第1状態から、アシストありの第2状態(あるいは、アシストありの第3状態)に切り替えることができる。また、ドア2の移動中に、操作スイッチ6を操作することにより(例えば、操作スイッチ6から指を離すことにより)、切替弁5の状態を、第2状態または第3状態から、アシストなしの第1状態に切り替えることができる。換言すれば、ドア2の移動速度が所定の速度に達するまでアシスト力を利用し、その後、アシスト力の利用を停止することができる。
【0037】
図5に記載の例では、手でハンドル3を把持することと、ハンドル3を把持した手の指(例えば、親指)で操作スイッチ6を操作することとを同時に実行可能なように操作スイッチ6がハンドル3に配置されている。よって、ハンドル3を把持する動作と、操作スイッチ6を操作する動作とを、ほぼ同時に実行することができる。よって、ハンドル3および操作スイッチ6の操作を効率的に実行することができる。
【0038】
ドア2の主面25に垂直かつドア2の内側からドア2の外側に向かう方向を第3方向DR3と定義するとき、
図5に記載の例では、操作スイッチ6は、ハンドル3の第3方向DR3側の面31f(換言すれば、正面側の面)に配置されている。代替的に、鉛直上方に向かう方向を第4方向DR4と定義するとき、
図6に例示されるように、操作スイッチ6は、ハンドル3の第4方向DR4側の面31u(換言すれば、ハンドル3の上面)に配置されていてもよい。
図6に記載の例においても、手でハンドル3を把持することと、ハンドル3を把持した手の指(例えば、親指)で操作スイッチ6を操作することとを同時に実行可能である。
【0039】
図5および
図6に記載の例では、ハンドル3とドア2との間には、作業者の4本の指(すなわち、人差し指、中指、薬指、および、小指)を挿入可能な孔部3hが形成されている。
図5および
図6に記載の例では、作業者の4本の指を孔部3hに挿入した状態で、残りの親指で操作スイッチ6を操作可能なように、ハンドル3に操作スイッチ6が配置されている。
【0040】
図5および
図6に例示されるように、操作スイッチ6の操作部60(換言すれば、作業者によって操作される部分)は、ハンドル3の外表面31から突出するように配置されていてもよい。この場合、操作部60の操作が容易である。
図5に記載の例では、操作部60は、ハンドル3の第3方向DR3側の面31fよりも第3方向DR3に突出している。また、
図6に記載の例では、操作部60は、ハンドル3の第4方向DR4側の面31uよりも第4方向DR4に突出している。
【0041】
図5および
図6に記載の例では、ハンドル3は、ドア2に対して相対移動不能なように取り付けられた固定ハンドルである。代替的に、ハンドル3は、ドア2に対して相対移動可能なように(例えば、揺動軸まわりに揺動可能なように)、ドア2に取り付けられた可動ハンドルであってもよい。
【0042】
図7に記載の例では、操作スイッチ6は、少なくとも1つの切替弁5の状態を上述の第1状態から上述の第2状態に切り替える第1操作部61と、少なくとも1つの切替弁5の状態を上述の第1状態から上述の第3状態に切り替える第2操作部62と、を含む。また、第1操作部61は、第2操作部62よりも第1方向DR1側に配置されている。この場合、作業者が、第1方向DR1側に配置された第1操作部61を操作することにより、ドア2に第1方向DR1の第1アシスト力を付与することができる。また、作業者が、第2方向DR2側に配置された第2操作部62を操作することにより、ドア2に第2方向DR2の第2アシスト力を付与することができる。
【0043】
図7に記載の例では、第1操作部61および第2操作部62を含む操作部60は、第1方向DR1に垂直な第1軸AT1まわりに揺動可能なように、操作部支持部材64によって支持されている。
図7に記載の例では、操作部支持部材64の一部はハンドル3内に埋め込まれ、操作部支持部材64の他の一部は、ハンドル3の外表面31から突出している。
図7に記載の例では、第1軸AT1は、ハンドル3の外側に配置されている。代替的に、第1軸AT1は、ハンドル3を横切るように配置されていてもよい。
【0044】
図7に記載の例において、第1操作部61が押圧されると、操作部60は、デフォルト位置(換言すれば、中立位置)から第1操作位置に向けて、第1軸AT1まわりの第1回転方向R1に傾動する(
図8を参照。)。操作部60が、第1操作位置に傾動操作されると、少なくとも1つの切替弁5の状態が、第1状態から第2状態に切り替えられる。他方、第2操作部62が押圧されると、操作部60は、デフォルト位置(換言すれば、中立位置)から第2操作位置に向けて、第1軸AT1まわりの第2回転方向R2(換言すれば、第1回転方向R1とは反対の方向)に傾動する。操作部60が、第2操作位置に傾動操作されると、少なくとも1つの切替弁5の状態が、第1状態から第3状態に切り替えられる。
【0045】
操作部60は、第1操作位置(または、第2操作位置)から、デフォルト位置に自動復帰するように構成されていることが好ましい。換言すれば、操作部60は、第1操作位置(または、第2操作位置)からデフォルト位置に向かう方向に、ばね等の付勢部材によって付勢されていることが好ましい。この場合、作業者が操作部60から指を離すことにより、操作部60は、第1操作位置(または、第2操作位置)からデフォルト位置に自動復帰する。操作スイッチ6の操作部60がデフォルト位置に戻ると、切替弁5の状態は、上述の第2状態あるいは上述の第3状態から、第1状態に戻る。
【0046】
図8に記載の例では、操作スイッチ6は、操作部60が操作されるだけで切替弁5の状態を切り替えるスイッチである。代替的に、操作スイッチ6は、操作部60が操作され、かつ、ハンドル3が操作されることにより、切替弁5の状態を切り替えるスイッチであってもよい。
図9に記載の例では、操作部60が押圧され、かつ、ハンドル3に第1方向DR1の操作力が付与されると、切替弁5の状態が第1状態から第2状態に切り替えられる。他方、操作部60が押圧され、かつ、ハンドル3に第2方向DR2の操作力が付与されると、切替弁5の状態が第1状態から第3状態に切り替えられる。また、操作部60が押圧されない状態で、ハンドル3に第1方向DR1または第2方向DR2の操作力が付与されると、切替弁5の状態は第1状態に維持される。
【0047】
図9に記載の例では、操作スイッチ6の操作の一部(より具体的には、操作部60の操作)をハンドル3の操作とは独立して実行可能である。この場合、第1状態と第2状態(あるいは、第3状態)との間の切り替えのタイミングの自由度が大きい。例えば、ドア2の移動中に、操作部60を操作することにより(例えば、操作部60から指を離すことにより)、切替弁5の状態を、第2状態または第3状態から、アシストなしの第1状態に切り替えることができる。
【0048】
図9に記載の例では、ハンドル3に第1方向DR1または第2方向DR2の操作力が付与されると、ハンドル3は、ドア2に対して相対移動する。この場合、ハンドル3に第1方向DR1の操作力が付与されているか否かの検出は、ドア2に対するハンドル3の相対移動を検出する第1センサ66a(例えば、第1の近接センサ)によって行われてもよい。また、ハンドル3に第2方向DR2の操作力が付与されているか否かの検出は、ドア2に対するハンドル3の相対移動を検出する第2センサ66b(例えば、第2の近接センサ)によって行われてもよい。
【0049】
代替的に、ハンドル3に第1方向DR1または第2方向DR2の操作力が付与されているか否かの検出は、ハンドル3に埋め込まれた荷重センサによって行われてもよい。
【0050】
図1乃至
図9に記載の例では、切替弁5の状態が第2状態または第3状態であるときに、操作部60の押圧が解除されると、切替弁5の状態が、第1状態に戻るように構成されている。代替的に、切替弁5の状態が第2状態または第3状態であるときに、操作部60の押圧が解除されても、切替弁5の状態が第2状態または第3状態に維持されるように構成されてもよい。換言すれば、操作部60が積極的に操作されない限り、切替弁5の状態が第2状態または第3状態に維持されるようにしてもよい。
【0051】
(切替弁5)
少なくとも1つの切替弁5のデフォルト状態は、第1状態であることが好ましい。より具体的には、切替弁5に電力が供給されない電源遮断状態において、切替弁5の状態は、第1状態に維持されることが好ましい。この場合、電源遮断時(例えば、停電時)に、ドア2を第1方向DR1または第2方向DR2に自由に移動させることができる。
【0052】
切替弁5は、例えば、ソレノイドバルブである。この場合、切替弁5のソレノイドが通電状態になると、切替弁5の状態が、第1状態から第2状態(または、第3状態)に切り替えられる。また、切替弁5のソレノイドが非通電状態になると、切替弁5の状態が、第1状態に維持される。
図1に記載の例では、切替弁5は、第1ソレノイド51と、第2ソレノイド52とを有する。操作スイッチ6の操作部60が第1操作位置に向かうように第1操作されると、第1ソレノイド51が通電される。第1ソレノイド51が通電されると、切替弁5の状態が第1状態から第2状態に切り替えられる(
図2を参照。)。操作スイッチ6の操作部60が第2操作位置に向かうように第2操作されると、第2ソレノイド52が通電される。第2ソレノイド52が通電されると、切替弁5の状態が第1状態から第3状態に切り替えられる(
図4を参照。)。また、操作スイッチ6の操作部60がデフォルト位置にあるときには、切替弁5の状態は、第1状態に維持される。
【0053】
図1に記載の例では、第1状態と第2状態との間の切り替えと、第1状態と第3状態との間の切り替えとが、1つの切替弁5によって行われる。より具体的には、切替弁5は、(1)
図1に例示されるように、第1空気室41Aと第1大気開放口E1とが流体的に接続され、かつ、第2空気室43Aと第2大気開放口E2とが流体的に接続された非アシスト状態を実現可能であり、(2)
図2に例示されるように、第1空気室41Aと空気供給源91とが流体的に接続され、かつ、第2空気室43Aと第2大気開放口E2とが流体的に接続された第1アシスト状態を実現可能であり、(3)
図4に例示されるように、第1空気室41Aと第1大気開放口E1とが流体的に接続され、かつ、第2空気室43Aと空気供給源91とが流体的に接続された第2アシスト状態を実現可能である。
【0054】
代替的に、
図10に例示されるように、第1状態と第2状態との間の切り替え(あるいは、第1状態と第3状態との間の切り替え)が、複数の切替弁5によって行われてもよい。
図10に記載の例では、少なくとも1つの切替弁5は、第1切替弁5Aと第2切替弁5Bとを含む。第1切替弁5Aは、第1空気室41Aと空気供給源91とを接続する第1流路FP1に配置され、第2切替弁5Bは、第2空気室43Aと空気供給源91とを接続する第2流路FP2に配置されている。
【0055】
図10に記載の例において、第1アシスト力および第2アシスト力なしでドア2が第1方向DR1または第2方向DR2に移動されることが許容される第1状態は、第1切替弁5Aおよび第2切替弁5Bによって実現される。より具体的には、第1状態では、第1切替弁5Aは、第1空気室41Aと第1大気開放口E1との間の流体連通状態を維持し、第2切替弁5Bは、第2空気室43Aと第2大気開放口E2との間の流体連通状態を維持する。第1切替弁5Aおよび第2切替弁5Bを含む複数の切替弁5の状態が第1状態であるとき、作業者がハンドル3を第1方向DR1(または、第2方向DR2)に操作すると、ドア2は、第1アシスト力なしで、第1方向DR1(または、第2方向DR2)に移動する。
【0056】
図10に記載の例において、ドアに第1方向DR1に第1アシスト力が付与される第2状態は、第1切替弁5Aおよび第2切替弁5Bによって実現される。より具体的には、第2状態では、第1切替弁5Aは、第1空気室41Aに空気が供給されるように、第1空気室41Aを空気供給源91に流体的に接続し、第2切替弁5Bは、第2空気室43Aを第2大気開放口E2に流体的に接続する。第1切替弁5Aおよび第2切替弁5Bを含む複数の切替弁5の状態が第2状態であるとき、作業者がハンドル3を第1方向DR1に操作すると、ドア2は、第1アシスト力と作業者の操作力との合力によって、第1方向DR1に移動する。
【0057】
図10に記載の例において、ドアに第2方向DR2に第2アシスト力が付与される第3状態は、第1切替弁5Aおよび第2切替弁5Bによって実現される。より具体的には、第3状態では、第1切替弁5Aは、第1空気室41Aを第1大気開放口E1に流体的に接続し、第2切替弁5Bは、第2空気室43Aに空気が供給されるように、第2空気室43Aを空気供給源91に流体的に接続する。第1切替弁5Aおよび第2切替弁5Bを含む複数の切替弁5の状態が第3状態であるとき、作業者がハンドル3を第2方向DR2に操作すると、ドア2は、第2アシスト力と作業者の操作力との合力によって、第2方向DR2に移動する。
【0058】
(エアシリンダ4)
図1に記載の例では、少なくとも1つのエアシリンダ4は、第1エアシリンダ4Aを含む。第1エアシリンダ4Aは、第1空気室41Aと、第2空気室43Aと、第1空気室41Aと第2空気室43Aとの間に配置される第1ピストン44Aと、を有する。第1エアシリンダ4Aは、第1ピストン44Aに連結される第1ロッド45Aを有していてもよい。
【0059】
図1に記載の例では、第1エアシリンダ4Aは、第1流路FP1を介して空気供給源91に接続可能な第1空気室41Aと、第2流路FP2を介して空気供給源91に接続可能な第2空気室43Aと、を有する。第1ピストン44Aは、第1空気室41Aと第2空気室43Aとの間の圧力差によって駆動される。第1ロッド45Aは、第1ピストン44Aとともに移動する。第1ロッド45Aは、ドア2に直接的に連結されるか、あるいは、ベルト、ワイヤ、ケーブル、歯車等の機械的な伝達要素を介してドア2に間接的に連結される。
【0060】
図1に記載の例では、少なくとも1つの切替弁5が第1状態であるとき、第1空気室41Aと第1大気開放口E1とが流体的に接続され、かつ、第2空気室43Aと第2大気開放口E2とが流体的に接続される。よって、第1ピストン44Aおよび第1ロッド45Aは、第1方向DR1または第2方向DR2へのドア2の移動に応答して、実質的な抵抗なしに第1エアシリンダ4Aの本体部40Aに対して相対移動することができる。
図2に記載の例では、少なくとも1つの切替弁5が第2状態であるとき、第1空気室41Aと空気供給源91とが流体的に接続され、かつ、第2空気室43Aと第2大気開放口E2とが流体的に接続される。よって、ドア2には、第1方向DR1の第1アシスト力が付与される。また、
図4に記載の例では、少なくとも1つの切替弁5が第3状態であるとき、第2空気室43Aと空気供給源91とが流体的に接続され、かつ、第1空気室41Aと第1大気開放口E1とが流体的に接続される。よって、ドア2には、第2方向DR2の第2アシスト力が付与される。
【0061】
図1に記載の例では、ドア2に第1アシスト力または第2アシスト力を付与するエアシリンダの数は、1個である。代替的に、
図11に例示されるように、ドア2に第1アシスト力または第2アシスト力を付与するエアシリンダの数は、2個以上であってもよい。換言すれば、ドア2に第1アシスト力または第2アシスト力を付与する少なくとも1つのエアシリンダ4は、第1エアシリンダ4Aと、第2エアシリンダ4Bとを含んでいてもよい。
【0062】
図11に記載の例において、第1エアシリンダ4Aは、第1空気室41Aと、第3空気室41Bと、第1空気室41Aと第3空気室41Bとの間に配置される第1ピストン44Aと、第1ピストン44Aに連結される第1ロッド45Aと、を有する。また、第2エアシリンダ4Bは、第2空気室43Aと、第4空気室43Bと、第2空気室43Aと第4空気室43Bとの間に配置される第2ピストン44Bと、第2ピストン44Bに連結される第2ロッド45Bと、を有する。
【0063】
図11に記載の例では、第1エアシリンダ4Aは、第1流路FP1を介して空気供給源91に接続可能な第1空気室41Aを有し、第2エアシリンダ4Bは、第2流路FP2を介して空気供給源91に接続可能な第2空気室43Aを有する。
図11に記載の例では、ドア2に第1方向DR1に第1アシスト力を付与する際に、空気供給源91と接続される第1空気室41Aが第1エアシリンダ4Aに配置され、ドア2に第2方向DR2に第2アシスト力を付与する際に、空気供給源91と接続される第2空気室43Aが第2エアシリンダ4Bに配置されている。第1の実施形態では、
図1に例示されるように、第1空気室41Aおよび第2空気室43Aが、1つの第1エアシリンダ4Aに配置されていてもよいし、
図11に例示されるように、第1空気室41Aおよび第2空気室43Aが、複数のエアシリンダ(4A、4B)に分散して配置されていてもよい。
【0064】
(空気流路FP)
図1、
図10、
図11に記載の例では、空気流路FPは、第1空気室41Aと空気供給源91とを流体的に接続する第1流路FP1を含む。
図1、
図11に記載の例では、第1流路FP1に切替弁5が配置され、
図10に記載の例では、第1流路FP1に第1切替弁5Aが配置されている。
【0065】
図1、
図10、
図11に記載の例では、空気流路FPは、第2空気室43Aと空気供給源91とを流体的に接続する第2流路FP2を含む。
図1、
図11に記載の例では、第2流路FP2に切替弁5が配置され、
図10に記載の例では、第2流路FP2に第2切替弁5Bが配置されている。
【0066】
図1、
図10、
図11に記載の例では、空気流路FPは、第1空気室41Aと第1大気開放口E1とを流体的に接続する第3流路FP3を含む。
図1、
図11に記載の例では、第3流路FP3に切替弁5が配置され、
図10に記載の例では、第3流路FP3に第1切替弁5Aが配置されている。第3流路FP3の一部は、第1流路FP1の一部と共通化されていてもよい(例えば、第1空気室41Aと切替弁5との間の流路が共通化される。)。
【0067】
図1、
図10、
図11に記載の例では、空気流路FPは、第2空気室43Aと第2大気開放口E2とを流体的に接続する第4流路FP4を含む。
図1、
図11に記載の例では、第4流路FP4に切替弁5が配置され、
図10に記載の例では、第4流路FP4に第2切替弁5Bが配置されている。第4流路FP4の一部は、第2流路FP2の一部と共通化されていてもよい(例えば、第2空気室43Aと切替弁5との間の流路が共通化される。)。
図1、
図10、
図11に記載の例では、第2大気開放口E2は、第1大気開放口E1とは異なる大気開放口である。代替的に、第2大気開放口E2と第1大気開放口E1とは共通化されていてもよい。
【0068】
図11に記載の例では、空気流路FPは、第3空気室41Bと第3大気開放口E3とを流体的に接続する第5流路FP5と、第4空気室43Bと第4大気開放口E4とを流体的に接続する第6流路FP6と、を含む。
【0069】
図1、
図10、
図11に記載の例では、第1空気室41Aに空気を供給する空気供給源91と、第2空気室43Aに空気を供給する空気供給源91とが同一である。代替的に、第1空気室41Aに空気を供給する空気供給源と、第2空気室43Aに空気を供給する空気供給源とが異なっていてもよい。換言すれば、ドア装置1Aが有する空気供給源の数は、2個以上であってもよい。空気供給源91は、エアポンプであってもよいし、コンプレッサであってもよい。
【0070】
(第1レギュレータ71)
図1、
図10、
図11に記載の例では、ドア装置1Aは、第1空気室41Aに供給される空気の圧力を調整する第1レギュレータ71を有する。第1レギュレータ71は、第1流路FP1(より具体的には、切替弁5と第1空気室41Aとの間の流路)に配置される。第1レギュレータ71は、第1空気室41Aに供給される空気の圧力を第1設定圧に調整する。第1レギュレータ71は、第1空気室41Aから切替弁5に向けて空気が流れることを許容するリバースレギュレータ(換言すれば、逆流機能付きのレギュレータ)であってもよい。
【0071】
(第2レギュレータ72)
図1、
図10、
図11に記載の例では、ドア装置1Aは、第2空気室43Aに供給される空気の圧力を調整する第2レギュレータ72を有する。第2レギュレータ72は、第2流路FP2(より具体的には、切替弁5と第2空気室43Aとの間の流路)に配置される。第2レギュレータ72は、第2空気室43Aに供給される空気の圧力を第2設定圧に調整する。第2設定圧は、上述の第1設定圧と同じ値に設定されてもよいし、上述の第1設定圧とは異なる値に設定されてもよい。第2レギュレータ72は、第2空気室43Aから切替弁5に向けて空気が流れることを許容するリバースレギュレータ(換言すれば、逆流機能付きのレギュレータ)であってもよい。
【0072】
ドア装置1Aが、第1レギュレータ71と、第1レギュレータ71とは別の第2レギュレータ72とを備える場合、工作機械のドア2の配置やドア2の形状等に起因して、ドア2の開放動作において必要とされるアシスト力と、ドア2の閉鎖動作において必要とされるアシスト力とが互いに異なる場合でも、それぞれの動作に必要なアシスト力を個別に設定することができる。
【0073】
(制御装置8)
ドア装置1Aは、少なくとも1つの切替弁5の動作を制御する制御装置8を有していてもよい。
図1に記載の例では、制御装置8は、操作スイッチ6から操作スイッチ6が操作されたことを示す操作検出信号を受信し、少なくとも1つの切替弁5に制御信号を送信する。
【0074】
操作スイッチ6は、第1操作されることに応じて、制御装置8に第1操作検出信号を送信する。制御装置8は、操作スイッチ6が第1操作されていることを示す第1操作検出信号を受信すると、少なくとも1つの切替弁5に第1制御信号を送信して、少なくとも1つの切替弁5の状態を第1状態から第2状態に切り替える。少なくとも1つの切替弁5が第1ソレノイド51を有する場合には、第1制御信号は、当該第1ソレノイド51を通電させるための制御指令を含んでいてもよい。代替的に、第1制御信号は、第1ソレノイド51を通電させる電流そのものであってもよい。第1ソレノイド51が通電されると、空気供給源91と第1空気室41Aとが流体的に接続されるように、少なくとも1つの切替弁5の状態が第2状態に切り替えられる。
【0075】
制御装置8は、第1閾値を超える期間、継続的に第1操作検出信号を受信すると、少なくとも1つの切替弁5の状態を第2状態から第1状態に戻すように構成されていてもよい。この場合、操作スイッチ6の異常等に起因して、第1アシスト力が付与され続けられることが防止される。制御装置8は、第1閾値を超える期間、継続的に第1操作検出信号を受信すると、アラームを発出するように構成されていてもよい。アラームの発出は、警告音の発生を含んでいてもよいし、警告ランプの点灯を含んでいてもよいし、警告メッセージの表示を含んでいてもよい。
【0076】
操作スイッチ6は、第2操作されることに応じて、制御装置8に第2操作検出信号を送信する。制御装置8は、操作スイッチ6が第2操作されていることを示す第2操作検出信号を受信すると、少なくとも1つの切替弁5に第2制御信号を送信して、少なくとも1つの切替弁5の状態を第1状態から第3状態に切り替える。少なくとも1つの切替弁5が第2ソレノイド52を有する場合には、第2制御信号は、当該第2ソレノイド52を通電させるための制御指令を含んでいてもよい。代替的に、第2制御信号は、第2ソレノイド52を通電させる電流そのものであってもよい。第2ソレノイド52が通電されると、空気供給源91と第2空気室43Aとが流体的に接続されるように、少なくとも1つの切替弁5の状態が第3状態に切り替えられる。
【0077】
制御装置8は、第2閾値を超える期間、継続的に第2操作検出信号を受信すると、少なくとも1つの切替弁5の状態を第3状態から第1状態に戻すように構成されていてもよい。この場合、操作スイッチ6の異常等に起因して、第2アシスト力が付与され続けられることが防止される。制御装置8は、第2閾値を超える期間、継続的に第2操作検出信号を受信すると、アラームを発出するように構成されていてもよい。第2閾値は、例えば、第1閾値と同じ値に設定される。
【0078】
操作スイッチ6の操作部60がデフォルト位置に戻ることに応じて、操作スイッチ6から制御装置8への信号が途絶える。代替的に、操作スイッチ6の操作部60がデフォルト位置に戻ることに応じて、操作スイッチ6は、制御装置8に第3操作検出信号を送信してもよい。制御装置8は、操作スイッチ6からの信号の受信が途絶えることに応じて(あるいは、第3操作検出信号を受信することに応答して)、少なくとも1つの切替弁5に第3制御信号を送信する。制御装置8は、少なくとも1つの切替弁5に、第3制御信号を送信することに代えて、少なくとも1つの切替弁5への制御信号の送信を停止してもよい。少なくとも1つの切替弁5は、第3制御信号を受信すると(あるいは、制御信号の受信が途絶えると)、少なくとも1つの切替弁5の状態を第1状態に戻す。
【0079】
上述の例では、少なくとも1つの切替弁5の動作が制御装置8によって制御される。代替的に、操作スイッチ6の操作が、ダイレクトに、切替弁5の動作に反映されてもよい。より具体的には、操作スイッチ6と切替弁5とが電気回路を介して電気的に接続され、操作スイッチ6の操作により電気回路の状態が変化するように構成されてもよい。また、電気回路の状態の変化に応じて、切替弁5の第1ソレノイド51または第2ソレノイド52が駆動されるようにしてもよい。
【0080】
続いて、
図12および
図13を参照して、制御装置8による制御の一例について説明する。
図12および
図13は、少なくとも1つの切替弁5の動作の制御フローの一例を示す図である。
【0081】
第1ステップST1において、制御装置8は、操作スイッチ6が第1操作または第2操作されたか否かを判定する。制御装置8は、操作スイッチ6から第1操作検出信号を受信すると、操作スイッチ6が第1操作されたと判断し、第1ソレノイド51を通電する(第2ステップST2)。制御装置8は、操作スイッチ6から第2操作検出信号を受信すると、操作スイッチ6が第2操作されたと判断し、第2ソレノイド52を通電する(第8ステップST8)。
【0082】
第1ステップST1は、ドア2がアンロック状態である場合にのみ実行可能であってもよい。換言すれば、ドア2がロック状態である場合、第1ステップST1の実行が禁止されていてもよい。
【0083】
第2ステップST2において、第1ソレノイド51が通電されることにより、少なくとも1つの切替弁5の状態が第1状態から第2状態に切り替えられる。その結果、少なくとも1つのエアシリンダ4は、ドア2に第1方向DR1に第1アシスト力を付与する。
【0084】
第3ステップST3において、制御装置8は、第1操作の継続期間が第1閾値以下であるか否かを判定する。換言すれば、制御装置8は、第1操作検出信号受信の継続期間が第1閾値以下であるか否かを判定する。第1操作の継続期間が第1閾値以下である場合、第6ステップST6に進む。他方、制御装置8は、第1閾値を超える期間、継続的に第1操作検出信号を受信すると、第1ソレノイド51の通電を解除する(第4ステップST4)。第1ソレノイド51の通電が解除されることにより、少なくとも1つの切替弁5の状態が第2状態から第1状態に戻る。制御装置8は、第1閾値を超える期間、継続的に第1操作検出信号を受信すると、アラームを発出してもよい(第5ステップST5)。
【0085】
第6ステップST6において、制御装置8は、第1操作が終了しているか否かを判定する。換言すれば、制御装置8は、第1操作検出信号の受信が途絶えたか否かを判定する。第1操作が終了していない場合、第3ステップST3に戻る。他方、第1操作が終了している場合、制御装置8は、第1ソレノイド51の通電を解除し(第7ステップST7)、第1アシスト力の付与を終了する。その後、制御装置8は、再度、第1ステップST1を実行してもよい。
【0086】
第8ステップST8において、第2ソレノイド52が通電されることにより、少なくとも1つの切替弁5の状態が第1状態から第3状態に切り替えられる。その結果、少なくとも1つのエアシリンダ4は、ドア2に第2方向DR2に第2アシスト力を付与する。
【0087】
第9ステップST9において、制御装置8は、第2操作の継続期間が第2閾値以下であるか否かを判定する。換言すれば、制御装置8は、第2操作検出信号受信の継続期間が第2閾値以下であるか否かを判定する。第2操作の継続期間が第2閾値以下である場合、第12ステップST12に進む。他方、制御装置8は、第2閾値を超える期間、継続的に第2操作検出信号を受信すると、第2ソレノイド52の通電を解除する(第10ステップST10)。第2ソレノイド52の通電が解除されることにより、少なくとも1つの切替弁5の状態が第3状態から第1状態に戻る。制御装置8は、第2閾値を超える期間、継続的に第2操作検出信号を受信すると、アラームを発出してもよい(第11ステップST11)。
【0088】
第12ステップST12において、制御装置8は、第2操作が終了しているか否かを判定する。換言すれば、制御装置8は、第2操作検出信号の受信が途絶えたか否かを判定する。第2操作が終了していない場合、第9ステップST9に戻る。他方、第2操作が終了している場合、制御装置8は、第2ソレノイド52の通電を解除し(第13ステップST13)、第2アシスト力の付与を終了する。その後、制御装置8は、再度、第1ステップST1を実行してもよい。
【0089】
(第2方向DR2へのブレーキ力の付与)
制御装置8は、操作スイッチ6から第1操作信号を受信することに応じて、少なくとも1つの切替弁5の状態を第1状態から第2状態に切り替える。その結果、少なくとも1つのエアシリンダ4は、ドア2に、第1方向DR1に第1アシスト力を付与する。その後、制御装置8は、第1操作信号の受信を終了することに応じて、少なくとも1つのエアシリンダ4がドア2に第2方向DR2にブレーキ力を付与するように、少なくとも1つの切替弁5の状態を切り替えてもよい。より具体的には、制御装置8は、第1操作信号の受信を終了することに応じて、切替弁5の状態を、上述の第2状態から第3状態に切り替えてもよい。ドア2に第2方向DR2にブレーキ力が付与されることにより、慣性力によってドア2が第1方向DR1に移動する距離が短縮される。なお、切替弁5の状態が、上述の第2状態から第3状態に切り替えられた後、予め設定された第1の設定期間が経過することに応じて、制御装置8は、切替弁5の状態を、第3状態から第1状態に戻してもよい。
【0090】
第2方向DR2へのブレーキ力の付与は、例えば、
図12に記載の例において、第1ソレノイド51の通電が解除された後(換言すれば、第7ステップST7の実行後)に実行される。より具体的には、第1ソレノイド51の通電が解除された後、制御装置8は、予め設定された第1の設定期間だけ、第2ソレノイド52を通電する。その結果、空気供給源91から第2空気室43Aに空気が供給され、ドア2に第2方向DR2にブレーキ力が付与される。第1の設定期間の経過後、制御装置8は、第2ソレノイド52の通電を解除する。
【0091】
(第1方向DR1へのブレーキ力の付与)
制御装置8は、操作スイッチ6から第2操作信号を受信することに応じて、少なくとも1つの切替弁5の状態を第1状態から第3状態に切り替える。その結果、少なくとも1つのエアシリンダ4は、ドア2に、第2方向DR2に第2アシスト力を付与する。その後、制御装置8は、第2操作信号の受信を終了することに応じて、少なくとも1つのエアシリンダ4がドア2に第1方向DR1にブレーキ力を付与するように、少なくとも1つの切替弁5の状態を切り替えてもよい。より具体的には、制御装置8は、第2操作信号の受信を終了することに応じて、切替弁5の状態を、上述の第3状態から第2状態に切り替えてもよい。ドア2に第1方向DR1にブレーキ力が付与されることにより、慣性力によってドア2が第2方向DR2に移動する距離が短縮される。なお、切替弁5の状態が、上述の第3状態から第2状態に切り替えられた後、予め設定された第2の設定期間が経過することに応じて、制御装置8は、切替弁5の状態を、第2状態から第1状態に戻してもよい。
【0092】
第1方向DR1へのブレーキ力の付与は、例えば、
図13に記載の例において、第2ソレノイド52の通電が解除された後(換言すれば、第13ステップST13の実行後)に実行される。より具体的には、第2ソレノイド52の通電が解除された後、制御装置8は、予め設定された第2の設定期間だけ、第1ソレノイド51を通電する。その結果、空気供給源91から第1空気室41Aに空気が供給され、ドア2に第1方向DR1にブレーキ力が付与される。第2の設定期間の経過後、制御装置8は、第1ソレノイド51の通電を解除する。なお、第2の設定期間は、例えば、第1の設定期間と同じ長さである。
【0093】
(第2の実施形態)
図14乃至
図17を参照して、第2の実施形態における工作機械用のドア装置1Bについて説明する。
図14乃至
図16は、第2の実施形態における工作機械用のドア装置1Bを模式的に示す図である。
図17は、動滑車76および/または第1エアシリンダ4Aの配置の一例を模式的に示す図である。
【0094】
第2の実施形態における工作機械用のドア装置1Bは、動滑車76を備える点で、第1の実施形態における工作機械用のドア装置1Aと異なる。その他の点では、第2の実施形態における工作機械用のドア装置1Bは、第1の実施形態における工作機械用のドア装置1Aと同様である。
【0095】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第2の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態において説明済みの事項を第2の実施形態に適用できることは言うまでもない。
【0096】
図14に例示されるように、第2の実施形態における工作機械用のドア装置1Bは、(1)工作機械の内部領域を規定する筐体110の開口部OPを閉鎖する第1位置Q1と開口部OPを開放する第2位置Q2との間でスライド移動可能なドア2と、(2)ドア2に配置されるハンドル3と、(3)第1空気室41Aを有し、第1空気室41Aに空気が供給されることにより、ドア2に第1位置Q1から第2位置Q2に向かう第1方向DR1に第1アシスト力を付与する少なくとも1つのエアシリンダ4と、(4)第1空気室41Aと空気供給源91とを接続する第1流路FP1を含む空気流路FPと、(5)空気流路FPに配置される少なくとも1つの切替弁5と、(6)第1アシスト力なしでドア2が第1方向DR1または第2位置Q2から第1位置Q1に向かう第2方向DR2に移動されることを許容する第1状態と、ドア2に第1方向DR1に第1アシスト力を付与する第2状態との間で少なくとも1つの切替弁5の状態を切り替える操作スイッチ6と、を具備する。
【0097】
よって、第2の実施形態における工作機械用のドア装置1Bは、第1の実施形態における工作機械用のドア装置1Aと同様の効果を奏する。
【0098】
図14に記載の例では、少なくとも1つのエアシリンダ4は、第1空気室41Aに供給される空気によって駆動される第1ピストン44Aを有する。より具体的には、少なくとも1つのエアシリンダ4は、第1空気室41Aと、第2空気室43Aと、第1空気室41Aと第2空気室43Aとの間に配置される第1ピストン44Aとを有する第1エアシリンダ4Aを含む。
図14に例示されるように、少なくとも1つの切替弁5が第1状態であるとき、第1空気室41Aと第1大気開放口E1とが流体的に接続され、かつ、第2空気室43Aと第2大気開放口E2とが流体的に接続される。また、
図15に例示されるように、少なくとも1つの切替弁5が第2状態であるとき、第1空気室41Aと空気供給源91とが流体的に接続され、かつ、第2空気室43Aと第2大気開放口E2とが流体的に接続される。
【0099】
図15に記載の例では、ドア装置1Bは、ドア2の第1移動量を、第1移動量よりも小さな第1ピストン44Aの第2移動量に変換する動滑車76を備える。第2移動量は、例えば、第1移動量の1/2である。
【0100】
図15に記載の例では、ドア装置1Bが動滑車76を備えることにより、ドア2の移動ストロークと比較して、第1ピストン44Aの移動ストロークを小さくすることができる。よって、第1エアシリンダ4Aの長さを小さくすることができる。また、第1ピストン44Aの移動ストロークが小さい場合、より小径の第1エアシリンダ4A(換言すれば、より小径の第1ピストン44A)を採用することができる。第1ピストン44Aが小径であることは、空気室(41A、43A)内の空気と接触する第1ピストン44Aの面積(すなわち、第1ピストン44Aの受圧面積)が小さいことを意味する。第1ピストン44Aの受圧面積が小さいことは、空気室内の圧力の変動に対して、ドア2に付与されるアシスト力の変動が小さいことを意味する。以上のことから、第1ピストン44Aの移動ストロークが小さい場合、第1ピストン44Aの受圧面積を小さくすることができ、レギュレータ(71、72)による圧力調整において求められる精度を緩和することができる。
【0101】
続いて、
図14乃至
図17を参照して、第2の実施形態における工作機械用のドア装置1Bにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0102】
(第1動滑車76A)
図15に記載の例では、動滑車76は、第1動滑車76Aを含む。第1動滑車76Aは、第1ロッド45A(より具体的には、第1ロッド45Aの第1端部451A)によって、第1回転軸AX1まわりに回転可能なように支持されている。第1ロッド45Aの第2端部は、例えば、第1ピストン44Aに連結される。
【0103】
図15に例示されるように、少なくとも1つの切替弁5の状態が第2状態である場合を想定する。
図15に記載の例において、第1空気室41Aは、空気供給源91に流体的に接続されている。この場合、第1空気室41Aに空気が供給されることにより、第1ピストン44A、第1ロッド45A、および、第1動滑車76Aに、第1方向DR1に第1の力F1が付与される。
【0104】
図15に記載の例では、ドア装置1Bは、第1動滑車76Aによってガイドされる可撓性部材77を備える。また、ドア2は、当該可撓性部材77に直接的または間接的に連結されている。この場合、第1動滑車76Aに、第1方向DR1に第1の力F1が付与されると、可撓性部材77は、ドア2に、第1の力F1の大きさの半分の第1アシスト力を付与する。
【0105】
当該第1アシスト力と作業者の操作力との合力によって、ドア2が第1方向DR1に第1移動量だけ移動する場合を想定する。この場合、第1動滑車76A、第1ロッド45A、および、第1ピストン44Aは、第1移動量の半分の大きさの第2移動量だけ第1方向DR1に移動する。
【0106】
可撓性部材77は、ワイヤ、ケーブル等の線状材であってもよく、ベルト等の帯状材であってもよい。
図15に記載の例では、可撓性部材77の第1端部77aは、第1エアシリンダ4Aの本体部40A(換言すれば、シリンダ部分)に連結されている。代替的に、可撓性部材77の第1端部77aは、筐体110に連結されてもよい。
【0107】
(第2動滑車76B)
図16に記載の例では、動滑車76は、第2動滑車76Bを含む。第2動滑車76Bは、第2ロッド45C(より具体的には、第2ロッド45Cの第1端部451C)によって、第2回転軸AX2まわりに回転可能なように支持されている。第2ロッド45Cの第2端部は、例えば、第1ピストン44Aに連結される。
【0108】
図16に例示されるように、少なくとも1つの切替弁5の状態が第3状態である場合を想定する。
図16に記載の例において、第2空気室43Aは、空気供給源91に流体的に接続されている。この場合、第2空気室43Aに空気が供給されることにより、第1ピストン44A、第2ロッド45C、および、第2動滑車76Bに、第2方向DR2に第2の力F2が付与される。
【0109】
図16に記載の例では、ドア装置1Bは、第2動滑車76Bによってガイドされる可撓性部材77を備える。また、ドア2は、当該可撓性部材77に直接的または間接的に連結されている。この場合、第2動滑車76Bに、第2方向DR2に第2の力F2が付与されると、可撓性部材77は、ドア2に、第2の力F2の大きさの半分の第2アシスト力を付与する。
【0110】
当該第2アシスト力と作業者の操作力との合力によって、ドア2が第2方向DR2に第3移動量だけ移動する場合を想定する。この場合、第2動滑車76B、第2ロッド45C、および、第1ピストン44Aは、第3移動量の半分の大きさの第4移動量だけ第2方向DR2に移動する。
【0111】
図16に記載の例では、可撓性部材77の第2端部77bは、第1エアシリンダ4Aの本体部40Aに連結されている。代替的に、可撓性部材77の第2端部77bは、筐体110に連結されてもよい。
【0112】
なお、余剰ワイヤを巻き取り、不足ワイヤを繰り出すような巻回装置が設けられる場合等には、第2動滑車76Bは省略されても構わない。あるいは、第2動滑車76Bが、定滑車に置換されても構わない。
【0113】
(エアシリンダ4)
少なくとも1つのエアシリンダ4は、第1エアシリンダ4Aを含む。
図16に記載の例では、ドア装置1Bが有するエアシリンダ4の数は、1個である。代替的に、ドア装置1Bが有するエアシリンダ4の数は、2個以上であってもよい。換言すれば、
図11に例示されるように、少なくとも1つのエアシリンダ4は、第1エアシリンダ4Aおよび第2エアシリンダ4Bを含んでいてもよい。
【0114】
図16に記載の例では、第1エアシリンダ4Aは、両ロッドシリンダ(英語では、「double rod cylinder」と呼ばれる。)である。より具体的には、第1エアシリンダ4Aは、本体部40Aの第1端部から第1方向DR1に突出する第1ロッド45Aと、本体部40Aの第2端部から第2方向DR2に突出する第2ロッド45Cとを備える。第1ロッド45Aの先端部には、第1動滑車76Aが配置され、第2ロッド45Cの先端部には、第2動滑車76Bが配置されている。
図16に記載の例では、可撓性部材77は、第1ロッド45Aの先端部に配置された第1動滑車76Aと、第2ロッド45Cの先端部に配置された第2動滑車76Bとの両方によってガイドされる。
【0115】
(動滑車76の配置)
図17に記載の例では、動滑車76の回転軸は、鉛直方向に平行である。より具体的には、第1動滑車76Aの第1回転軸AX1は、鉛直方向に平行であり、第2動滑車76Bの第2回転軸AX2は、鉛直方向に平行である。この場合、動滑車76の高さ方向のサイズをコンパクトにすることができ、また、アシスト力を付与する機構全体の高さ方向のサイズをコンパクトにすることができる。
【0116】
図17に記載の例では、工作機械の内部領域を規定する筐体110の天井部111(より具体的には、天井部111の上面111u)に、動滑車76が配置されている。この場合、動滑車76の回転軸が鉛直方向に平行であることにより、工作機械全体の高さ方向のサイズをコンパクトにすることができる。
【0117】
(第1エアシリンダ4Aの配置)
図17に記載の例では、工作機械の内部領域を規定する筐体110の天井部111(より具体的には、天井部111の上面111u)に、第1エアシリンダ4Aが配置されている。この場合、第1エアシリンダ4Aを付加することに伴い、平面視における筐体110のサイズを大きくする必要がない。また、既存の工作機械に、アシスト力を付与する機構(第1エアシリンダ4A等)を付加するのが容易である。
図17に記載の例では、第1エアシリンダ4Aの本体部40A(換言すれば、シリンダ部分)は、天井部111に固定されている。
図17における第1エアシリンダ4Aの配置は、第1の実施形態において採用されてもよい。
【0118】
図17に記載の例では、第1エアシリンダ4Aの本体部40Aは、平面視で、動滑車76とオーバーラップしないように配置されている。より具体的には、第1エアシリンダ4Aの本体部40Aと、動滑車76(より具体的には、第1動滑車76Aおよび第2動滑車76B)とが、1つの水平面に沿って配置されている。この場合、アシスト力を付与する機構全体の高さ方向のサイズをコンパクトにすることができる。
図17に記載の例では、第1動滑車76Aと、第1エアシリンダ4Aの本体部40Aと、第2動滑車76Bとが、水平面に平行な一つの直線上に配置されている。
【0119】
(第1連結部材78)
ドア装置1Bは、ドア2と可撓性部材77とを連結する第1連結部材78を有する。
図17に記載の例では、第1連結部材78は、平面視で、第1エアシリンダ4Aとオーバーラップしないように配置されている。より具体的には、第1エアシリンダ4Aと、第1連結部材78とが、1つの水平面に沿って配置されている。この場合、アシスト力を付与する機構全体の高さ方向のサイズをコンパクトにすることができる。
図17に記載の例では、筐体110の背面から筐体110の開口部OPに向かう方向を第3方向DR3と定義するとき、第1連結部材78は、第1エアシリンダ4Aの第3方向DR3側に配置されている。
【0120】
(第2連結部材79)
ドア装置1Bは、筐体110の天井部111と可撓性部材77とを連結する少なくとも1つの第2連結部材79を有していてもよい。
図17に記載の例では、第1エアシリンダ4Aと、少なくとも1つの第2連結部材79とが、1つの水平面に沿って配置されている。
図17に記載の例では、第2連結部材79の数は2個であるが、第2連結部材79の数は1個あるいは3個以上であってもよい。また、可撓性部材77が無端部材である場合等には、第2連結部材79は省略されても構わない。
【0121】
(ドア2)
図17に記載の例では、ドア2の数は1枚である。代替的に、ドア2の数は2枚以上であってもよい。例えば、ドア2は、第1方向DR1に移動することにより開口部OPの一部を開放する第1ドアと、第1方向DR1とは反対の第2方向DR2に移動することにより開口部OPの他の一部を開放する第2ドアとを含んでいてもよい。この場合、第1ドアおよび第2ドアの各々に、アシスト力を付与する機構が設けられてもよい。また、ドア2は、第1パネルと、第1パネルに対してスライド移動可能に連結される第2パネルとを有するスライドドアであってもよい。この場合、開口部OPが開放されるとき、第1パネルと第2パネルとは重ね合わせられ、開口部OPが閉鎖されるとき、第1パネルと第2パネルとの間の重なり領域が少なくなるように、第2パネルが第1パネルに対して展開されてもよい。この場合、第2パネルにハンドル3が設けられ、第2パネルにアシスト力を付与する機構が設けられてもよい。なお、第1の実施形態あるいは第2の実施形態において、ドア2の数、あるいは、ドア2の種類は、上述の例に限定されず任意である。
【0122】
図17に記載の例では、筐体110の開口部OPは、筐体110の正面壁112に形成された第1開口部OP1と、筐体110の天井部111に形成された第2開口部OP2とを含む。また、
図17に記載の例では、ドア2は、筐体110の正面壁112の第1開口部OP1を閉鎖可能な第1板部21と、筐体110の天井部111の第2開口部OP2を閉鎖可能な第2板部22とを有する。
図17に記載の例では、ドア2は、第1方向DR1に垂直な断面において、略L字形状を有する。なお、第1の実施形態あるいは第2の実施形態において、ドア2の形状は、上述の例に限定されず任意である。
【0123】
(支持部材95)
ドア装置1Bは、少なくとも1つのエアシリンダ4と、動滑車76と、第1連結部材78とを支持する支持部材95を有していてもよい。この場合、支持部材95を天井部111に取り付けることにより、少なくとも1つのエアシリンダ4、動滑車76、および、第1連結部材78を天井部111に配置することができる。
【0124】
(切替弁5)
第2の実施形態において、少なくとも1つの切替弁5の構成としては、第1の実施形態における少なくとも1つの切替弁5と同様の構成を採用可能である。
図14に記載の例では、ドア装置1Bが有する切替弁5の数は、1個である。代替的に、ドア装置1Bが有する切替弁5の数は、2個以上であってもよい。例えば、
図10に記載の例と同様に、少なくとも1つの切替弁5は、第1切替弁5Aおよび第2切替弁5Bを含んでいてもよい。
【0125】
(第3の実施形態)
図1乃至
図18を参照して、第3の実施形態における工作機械100について説明する。
図18は、第3の実施形態における工作機械100を模式的に示す概略斜視図である。
【0126】
第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第3の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みの事項を第3の実施形態に適用できることは言うまでもない。
【0127】
第3の実施形態における工作機械100は、加工装置120と、ワーク支持装置130と、筐体110と、ドア装置1と、を備える。
【0128】
ドア装置1は、第1の実施形態におけるドア装置1Aであってもよいし、第2の実施形態におけるドア装置1Bであってもよいし、その他のドア装置であってもよい。ドア装置1は、(1)筐体110の開口部OPを閉鎖する第1位置Q1と開口部OPを開放する第2位置Q2との間でスライド移動可能なドア2と、(2)ドア2に配置されるハンドル3と、(3)第1空気室41Aを有し、第1空気室41Aに空気が供給されることにより、ドア2に第1位置Q1から第2位置Q2に向かう第1方向DR1に第1アシスト力を付与する少なくとも1つのエアシリンダ4と、(4)第1空気室41Aと空気供給源91とを接続する第1流路FP1を含む空気流路FPと、(5)空気流路FPに配置される少なくとも1つの切替弁5と、(6)第1アシスト力なしでドア2が第1方向DR1または第2位置Q2から第1位置Q1に向かう第2方向DR2に移動されることを許容する第1状態と、ドア2に第1方向DR1に第1アシスト力を付与する第2状態との間で少なくとも1つの切替弁5の状態を切り替える操作スイッチ6と、を備える。
【0129】
加工装置120は、ワークを加工する。加工装置120はワークを加工する工具を保持可能である。
【0130】
ワーク支持装置130は、加工装置120によって加工されるワークを支持する。
【0131】
筐体110は、加工装置120およびワーク支持装置130を囲む。筐体110は、開口部OPを有する。加工装置120による加工に先立ち、ワークは、開口部OPを介して、筐体110の内部に挿入される。また、加工装置120による加工の終了後、ワークは、開口部OPを介して取り出される。
【0132】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態または各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
工作機械用のドア装置は、工作機械の内部領域を規定する筐体の開口部を閉鎖する第1位置と開口部を開放する第2位置との間でスライド移動可能なドアと、ドアに配置されるハンドルと、第1空気室を有し、第1空気室に空気が供給されることにより、ドアに第1位置から第2位置に向かう第1方向に第1アシスト力を付与する少なくとも1つのエアシリンダと、第1空気室と空気供給源とを接続する第1流路を含む空気流路と、空気流路に配置される少なくとも1つの切替弁と、第1アシスト力なしでドアが第1方向または第2位置から第1位置に向かう第2方向に移動されることを許容する第1状態と、ドアに第1方向に第1アシスト力を付与する第2状態との間で少なくとも1つの切替弁の状態を切り替える操作スイッチと、を具備する。