(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態のセンサについて図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、実施の形態におけるセンサのブロック図である。
図2は、センサのブロック図が機能毎に分けて記載された図である。
【0013】
なお、以下の説明では、各電気信号に対して以下の名称を与えて説明する。「駆動信号」とは、角速度駆動回路105から角速度素子120への信号、あるいは、加速度駆動回路115から加速度素子130への信号を意味する。「検出信号」とは、角速度素子120から角速度検出回路110への信号、あるいは、加速度素子130から加速度検出回路117への信号を意味する。「診断信号」とは、診断回路から診断される回路への信号を意味する。「応答信号」とは、診断回路される回路から診断回路への信号を意味する。「エラー信号」とは、異常が発生した場合に診断回路から出力される信号を意味する。「物理量信号」とは、センサに働く物理量に応じて、角速度検出回路110あるいは加速度検出回路117から出力される信号を意味するものである。
【0014】
なお、
図1、
図2ではセンサの基本的な動作を説明するために必要な構成が記載されたものであり、各種の診断回路は省略されている。
【0015】
なお、図中では増幅器を「AMP」、バンドパスフィルタを「BPF」、アンチエイリアスフィルタを「AAF」、AD変換回路を「ADC」、オートゲインコントロール回路を「AGC回路」、と表記する。
【0016】
本実施の形態のセンサは、角速度に起因する信号(角速度検出信号)を出力する角速度素子120と、加速度に起因する信号(加速度検出信号)を出力する加速度素子130と、角速度素子120及び加速度素子130に電気的に接続され回路100と、を備える。
【0017】
ここで、回路100は、角速度駆動回路105と、角速度検出回路110と、加速度駆動回路115と、加速度検出回路117と、信号調整回路125と、を備える。
【0018】
角速度駆動回路105は、角速度素子120に駆動信号(図中で「D+、D−」と表記)を入力して角速度素子120を特定の周波数(駆動周波数)で駆動振動させる。さらに、角速度駆動回路105は、角速度素子120からモニタ信号(図中で「MO」と表記)が入力される。モニタ信号は、駆動振動によって生じる信号であり、角速度素子120の振動の状態を表す信号である。
【0019】
角速度検出回路110は、角速度素子120から角速度検出信号(図中で「S+、S−」と表記)が入力される。入力された角速度検出信号は角速度検出回路110において電気的に処理され、角速度を表す物理量信号として出力する。なお、角速度検出信号は、角速度素子120に印加される角速度によって生じる信号である。
【0020】
加速度駆動回路115は、加速度素子130に搬送波信号(図中で「Gx+、Gx−」と表記)を入力する。
【0021】
加速度検出回路117は、加速度素子130から加速度検出信号(図中で「Gv」と表記)が入力される。入力された加速度検出信号は加速度検出回路117において電気的に処理され、加速速度を表す物理量信号として出力する。なお、加速度検出信号は、加速度素子130に与えられる加速度によって生じる信号である。
【0022】
増幅器10は、角速度素子120が備えるモニタ電極128の出力信号(モニタ信号)が入力される。
【0023】
バンドパスフィルタ12は、増幅器10から出力される信号が入力される。バンドパスフィルタ12は角速度素子120の駆動周波数と同じ周波数の信号を通過させ、駆動周波数と異なる周波数の信号(例えば、その信号は機械共振に起因する不要信号である。)を減衰させる。なお、バンドパスフィルタ12を設ける位置は、角速度駆動回路105の中であればどこに配置してもよい。
【0024】
オートゲインコントロール回路14は、バンドパスフィルタ12の出力信号が入力される整流器14aと、この整流器14aの出力信号が入力される平滑回路14bとを内部に備え、この平滑回路14bの出力信号の大きさに基づいて、バンドパスフィルタ12の出力信号を増幅、あるいは減衰する制御を行う。この制御とは、より詳細には、モニタ信号の振幅が小さい場合はオートゲインコントロール回路14のゲインを増加させて駆動信号の振幅を増加させる。こうすることによって角速度素子120に与えられる駆動振動の振幅が増加させてモニタ信号の振幅を減らすよう制御が行われる。反対に、モニタ信号の振幅が大きい場合はオートゲインコントロール回路14のゲインを減少させて駆動信号の振幅を減少させる。こうすることで角速度素子120の駆動振動の振幅を減少させてモニタ信号の振幅を減らすよう制御が行われる。このような制御によって、駆動信号の振幅(即ち、角速度素子120の駆動振動の大きさ)がおおよそ一定に保たれる。
【0025】
増幅器16は、オートゲインコントロール回路14からの出力信号が入力され、角速度素子120を駆動するための駆動信号として駆動電極126に出力する。
【0026】
PLL回路18は、バンドパスフィルタ12の出力信号が入力され、入力信号の位相と同期し、同時に、入力信号の周波数を逓倍したPLL出力信号を生成する。そして、PLL出力信号をモニタ信号(別の表現では、バンドパスフィルタ12の出力信号)の位相に対して90度ずれたタイミングのクロック信号(検波信号)を生成する。クロック信号(検波信号)は後述する同期検波回路26に入力される。
【0027】
増幅器23は、検出電極124から出力される角速度検出信号を増幅し、後述する増幅器24に出力する。
【0028】
キャンセル回路28は、キャンセル信号を出力する。このキャンセル信号は角速度検出信号の中に含まれる不要信号成分を相殺するための信号である。キャンセル信号は、増幅器23から出力される角速度検出信号に加算される。これにより、角速度検出信号に含まれるノイズ信号が相殺(キャンセル)される。なお、ここでいうノイズ信号とは、機械結
合(以下、「MC」と記載)により駆動振動が角速度素子120を変形させることで角速度検出信号に現れる信号である。これは、角速度素子120の質量バランスの不一致(素子形状の非対称性)に起因して生じるノイズ信号であり、例えば、本実施の形態の角速度素子120の一例である音叉型の素子(詳細は後述する)の場合では、左右のアームの質量に差異があるとノイズ信号が生じる。また、キャンセル信号は、ノイズ信号を予め測定してメモリ(図示しない)に保存しておき、保存した値を読み出すことで生成される。
【0029】
増幅器24は、差動型の増幅器であり、増幅器23からの出力信号が入力されて増幅器24によって差動増幅される。
【0030】
同期検波回路26は、前述のクロック信号と、増幅器24とを乗じた信号をアンチエイリアスフィルタ30に出力する。
【0031】
アンチエイリアスフィルタ30は、同期検波回路26から出力された角速度検出信号から高周波成分を除去して出力する。この信号を「角速度信号」と表記する。
【0032】
AD変換回路32は、アンチエイリアスフィルタ(角速度)から出力された角速度信号をAD変換してデジタル処理回路40に出力する。
【0033】
加速度駆動回路は、可動電極132cと第1の固定電極133aとの間および、可動電極132cと第2の固定電極133bとの間に搬送波信号を入力する。
【0034】
増幅器50は、加速度素子130からの加速度検出信号が入力され、可動電極132cと第1の固定電極133aとの間および、可動電極132cと第2の固定電極133bとの間の容量の変化に応じた電圧信号を出力する。
【0035】
増幅器52は、増幅器50からの電圧信号を増幅する。増幅器52の詳細は後述する。
【0036】
アンチエイリアスフィルタ54は、増幅器52の出力信号から、後段のAD変換回路のサンプリング周波数の1/2以上の周波数帯域のノイズ成分を減衰した信号を出力する。アンチエイリアスフィルタ54から出力される信号を「加速度信号」と表記する。
【0037】
AD変換回路56は、アンチエイリアスフィルタ54から出力された加速度信号をAD変換してデジタル処理回路40に出力する。
【0038】
クロック発振回路42は、回路100の内部クロックを生成する。内部クロックは、デジタル処理回路40の動作、AD変換回路におけるAD変換などの動作に用いられる。
【0039】
デジタル処理回路40は、角速度信号に対するオフセット調整やゲイン調整、デジタルフィルタ演算などの各種の演算を行う。あるいは、外部との電気的な通信や各種レジスタの制御などを行う。
【0040】
図3は、同ブロック図の一部を説明する図である。
【0041】
回路100は、第1の電圧(Vref1)を出力する第1の増幅器21aと、第2の電圧(Vref2)を出力する第2の増幅器21bと、を有する。
【0042】
第1の電圧(Vref1)は、回路100の動作に用いる基準電圧であり、第1の電圧を出力する端子はコンデンサに接続する。
【0043】
第2の電圧(Vref2)は、角速度素子120の基準電圧であり、第2の電圧(Vref2)を出力する端子と角速度素子120との間は、第1の配線20aと第2の配線20bとで電気的に接続される。なお、第1の配線20aと第2の配線20bとは「第1の経路」と「第2の経路」と読み替えてもよい。第2の電圧(Vref2)は、例えば、電源電圧とグランドとを抵抗分割することにより生成される。第2の電圧(Vref2)は角速度素子120に供給される。第2の電圧(Vref2)と、前述の駆動信号とによって、角速度素子120の駆動振動が発生する。なお、第2の電圧(Vref2)を「基準電圧」と表現してもよい。
【0044】
ここで、第2の電圧(Vref2)を角速度素子120に供給する配線が断線すると、直ちにセンサの動作が停止してしまうが、
図3のセンサでは第2の電圧(Vref2)を供給する配線を2系統にして冗長化しているので、センサの安全性が向上する。
【0045】
ところで、回路100は、角速度素子120に供給する第2の電圧(Vref2)をグランド電圧に切り替えることで電圧パルスを発生させ、この電圧パルスを角速度素子120に与えるスイッチ(
図3中のSW)を有する。この電圧パルスが角速度素子120に与えられると、角速度素子120が正常に動作している場合には電圧パルスに応じた出力変化が角速度検出回路110で検出される。一方、第2の電圧(Vref2)を角速度素子120に供給する配線が断線するなどの異常が発生している場合には、この電圧パルスが角速度素子120に与えられても、電圧パルスに応じた電気的変化が角速度検出回路110で検出されない。この様に、電圧パルスに応じた電気的変化を用いて、センサの異常を検出することができる。すなわち、このパルス電圧を角速度素子120に印加した時の角速度検出回路110に生じる電気的変化に基づいて診断を行う診断回路22を更に備えることで、センサの安全性が向上するので好ましい。
【0046】
図4は、実施の形態におけるセンサのブロック図の一部を説明する図である。
制御回路は、角速度検出信号から不要信号を抽出する同期検波回路45(第2の同期検波回路)と、同期検波回路45からの信号が入力されるアンチエイリアスフィルタ46と、アンチエイリアスフィルタ46からの信号が入力されるAD変換回路48(別の表現では「第2のAD変換回路」)と、AD変換回路48からの信号が入力される診断回路49と、を有する。
【0047】
また、キャンセル回路28は増幅器23と同期検波回路45との間にも前述のキャンセル信号を入力(加算)する。
【0048】
同期検波回路45は、キャンセル信号が加算された後の信号に対して、駆動信号(別の表現では、PLL回路18から同期検波回路26に入力される検波信号、更に別の表現では、角速度の検出に用いる検波信号)と90°位相がずれた信号で検波を行う。これにより、同期検波回路は、駆動信号と(実質的に)同位相である不要信号成分は通過し、駆動信号と(実質的に)90°位相がずれている角速度信号成分はカットさする。
【0049】
診断回路49は、角速度素子120と回路100との間のオープン故障(異常)の有無を診断する。以下、診断回路49の動作を具体的に説明する。
【0050】
まず、通常(異常が起きていない時)は、キャンセル回路28からのキャンセル信号が加算されることによって、それぞれの増幅器23の出力に含まれる不要信号(不要信号の説明は前述したものと同じ)はゼロ付近にキャンセルされている。しかし、角速度素子120と回路100との間にオープン故障が発生した場合、断線した側の信号が増幅器23に入力(増幅器23から出力)されなくなり、結果、断線した側の信号に含まれるノイズ信号成分も増幅器23から入力(増幅器23から出力)されなくなる。しかし一方で、キ
ャンセル回路28の動作は断線に影響を受けないので、断線の発生後もキャンセル信号を増幅器23の出力側に加算する動作を継続する。結果、断線が起きた側においては、増幅器23の後段に加算されたキャンセル信号がキャンセルされずに残り続け、このキャンセルされずに残ったキャンセル信号は同期検波回路45に入力される。その結果、断線が起きると同期検波回路45から出力される信号が増加する。この変化を診断回路49が検出(監視)することでオープン故障(異常)の判定を行うことができる。すなわち、診断回路49は、AD変換回路48から入力される信号が所定の値を越えた時、エラー信号を出力する。
【0051】
ところで、同期検波回路45にノイズ信号が含まれない信号(この信号は従来よりレンジが小さい)が入力されるので、後段のAD変換回路48の入力フルスケール電圧が小さくて済むため、同じAD変換分解能であっても、AD変換回路32(別の表現では「第1のAD変換回路」)よりも、Bit数を少なくすることができるので回路面積の増加を抑制しつつ診断機能を搭載することができる。
【0052】
ところで、この診断方法は次の様に説明することも出来る。この診断方法は、増幅器23から出力される信号にキャンセル信号を加算するステップと、キャンセル信号を加算するステップで得られた信号に対して、駆動信号と90°位相がずれた信号で同期検波を行うステップと、同期検波を行うステップで得られた信号を検出(監視)するステップと、とを含む診断方法である。なお、駆動信号と90°位相がずれた信号は、別の表現では、PLL回路18から同期検波回路26に入力される検波信号と90°位相がずれた信号である。更に別の表現では、角速度の検波に用いる検波信号と90°位相がずれた信号である。
【0053】
図5は、実施の形態におけるセンサのブロック図の一部を説明する図である。
図6は、検出信号の波形図である。
図6では、説明を容易にするために角速度信号とノイズ信号とが分けて表記されている。
【0054】
まず、
図6を用いて本実施の形態のセンサの動作を説明する。
図6(a)は、同期検波の前における角速度検出信号中の角速度信号の波形、
図6(b)は、同期検波の前における角速度検出信号中のノイズ信号、
図6(c)は、検波信号、
図6(d)は、同期検波後における角速度検出信号中の角速度信号、
図6(e)は、同期検波後における角速度検出信号中のノイズ信号、
図6(f)は、AD変換後(フィルタ処理後)の信号(すなわち角速度信号)、である。
【0055】
角速度検出信号には、角速度素子120に加わった角速度に対応した(a)角速度信号と、前述の角速度素子120の機械結合(MC)に起因して生じる(b)ノイズ信号と、が含まれる。ここで、ノイズ信号の位相は駆動信号の位相と略等しい位相を持つ、即ち、角速度検出信号の位相に対し90°ずれている信号である(角速度検出信号は、コリオリ力に起因して生じる信号であるため、駆動信号の位相に対し90°ずれた信号になる)。このため、角速度検出信号と略同じ位相を持つ
図6(c)の検波信号を用いて角速度検出信号を同期検波することにより、角速度信号だけを抽出することができる。
【0056】
ところで、回路100は、同期検波回路26とAD変換回路32との間の信号が入力される診断回路36と、AD変換回路32からの出力が入力される診断回路38と、を備える。
【0057】
診断回路36は、同期検波回路26を通過した後の信号であってAD変換回路32を通過する前の信号(平滑化処理がされる前の信号)、別の表現では、
図6(d)+図(e)の信号、が入力される。そして、診断回路36は、入力される信号のレンジ(振幅)が所
定の値以上の時にセンサに異常が発生したと診断してエラー信号を出力する。
【0058】
診断回路38は、AD変換回路32を通過した後の信号(平滑化処理がされた後の信号)、更に別の表現では、
図6(f)の信号、が入力される。そして、診断回路38は、入力される信号のレンジ(振幅)が所定の値以上の時にセンサに異常が発生したと診断してエラー信号を出力する。なお、ここでの「異常」とは、過大な角速度信号の入力、AD変換回路を含む各種の平滑回路の故障、などである。なお、ここでの「所定」は、例えば、AD変換回路の出力ダイナミックレンジの90%(飽和する手前)などとすればよい。
【0059】
図6及び
図6に関連する記載から分かるように、診断回路36に入力される信号の中では、(d)角速度に対応した信号よりも、(e)ノイズ信号に対応した信号の方が大きなレンジ(振幅)を有する。従って、診断回路36は、ノイズ信号の振幅を監視し、これが所定の値以上になる場合にセンサに異常が発生したと診断するよう動作する回路と説明できる。一方、診断回路38には、(f)AD変換後(フィルタ処理後)の信号のみが入力される。従って、診断回路38は角速度信号の振幅を監視し、これが所定の値以上になる場合にセンサに異常が発生したと診断するよう動作する回路と説明できる。
【0060】
ところで、診断回路36は診断回路38に比べて、診断する際に用いる判定の為の閾値が大きい。これは、不要信号は角速度信号に比べて約100倍〜1000倍大きいので、診断回路36は診断回路38に比べて、診断する際に用いる判定の為の閾値が100倍程度大きくすることが好ましいためである。ここで、「不要信号は角速度信号に比べて約100倍〜1000倍大きい」とは、別の表現では、「不要信号を角速度に換算した値(単位はdps)が、角速度に信号(単位はdps)に対して約100倍〜1000倍大きい」という意味である。
【0061】
この様に、同期検波後の信号であってAD変換回路32を通過する(平滑化する)前の信号が入力される診断回路36と、AD変換回路32を通過した(平滑化した)後の信号が入力される診断回路38とが設けられることで、過大な角速度が入力されたか否かをより高精度に診断することができる。即ち、同期検波回路26へ入力される信号が飽和していると、波形の上下の対称性が崩れてしまい、平滑時に正しくキャンセルできないので、角速度素子120に角速度が印加されていないにもかかわらず、オフセット出力が発生する。加えて、飽和していると角速度検出信号がAD変換回路32を通過できず、正しい角速度出力信号を出力できないという問題が生じる。このため、AD変換回路32を通過する前(平滑する前)の信号を監視することでこの問題の発生を防ぐがことができる。
【0062】
ところで、この診断方法は次の様に説明することも出来る。この診断方法は、同期検波回路26とAD変換回路32との間の信号を検出するステップと、AD変換回路32から出力される信号を検出するステップと、を備える診断方法である。
【0063】
図7は、実施の形態におけるセンサの一部を説明する図である。
図8は、(a)周波数比較回路のブロック図、(b)周波数カウンタ60の動作を説明する波形図である。
【0064】
回路100は、PLL回路18(第1の回路)と、内部クロックを生成するクロック発振回路42(第2の回路)と、からの信号が入力される周波数カウンタ60と、周波数カウンタ60からの信号が入力される診断回路62と、を備える。ここで、PLL回路18と、クロック発振回路42とは互いにその信号源が独立(周波数が比例しない)である。
【0065】
周波数カウンタ60は、PLL回路18から出力される信号の周波数と、クロック発振回路42からの出力される信号の周波数とを比較し、その周波数の差を診断回路62に出力する。
【0066】
診断回路62は、PLL回路18(以下、PLL出力信号)とクロック発振回路42とからの信号(以下、クロック発振回路出力信号)の周波数の差を監視する。例えば、PLL回路出力信号の周波数がクロック発振回路出力信号の周波数よりも低い場合は、PLL出力信号の立ち上がりエッジのタイミングからクロック発振回路出力信号のパルスカウントを開始して、次回のPLL出力信号の立ち上がりエッジまでのクロック発振回路出力信号のパルスカウント数が規定値以内であるかどうかを監視する。パルスカウント数が規定値以内であれば、PLL出力信号とクロック発振回路出力信号の周波数関係は正常であるため、エラー信号を正常側にセットする。なお、エラー信号はその初期値を異常側にセットしておき、正常であるという判定が行われた後に正常側にセットするような構成にすることが好ましい。別の表現では、診断回路62は周波数カウンタ60の最初のカウントが完了する前においてエラー信号を出力する構成とすることが好ましい。これにより、PLL出力信号そのものが停止してしまった場合(パルスカウントを開始するトリガ信号が得られず、カウント自体がスタートしない場合など。)においても、異常として検知することが可能となる。このような構成をとることにより、PLL出力信号とクロック発振回路出力信号のどちらが異常であったとしても故障の判定が可能となり、PLL回路18とクロック発振回路42のいずれかの故障を検出することができる。
【0067】
ところで、先行技術文献(特開2003‐264460号公報)でも、2つの信号の間で周波数を比較するという診断の方法が開示されている。具体的には、クロックを分周した信号(以下、信号A)と電圧制御発振器の出力クロックを分周した信号(以下、信号B)とを比較して異常の有無を診断するという診断の方法である。しかし、この診断の方法では、信号Bが信号Aの下流の信号であるので、別の表現では、信号Bが信号Aに従属する、更に別の表現では、周波数が比例する、信号であるので、信号Aと信号Bとで同じ周波数異常が発生することがあり得る。従って、この様な異常は先行技術文献(特開2003‐264460号公報)に記載される構成によって検出されない。
【0068】
一方、
図7の構成では、PLL出力信号とクロック発振回路出力という互いに独立した(周波数が比例しない)信号源から得られる信号同士が比較されるので、一方に発生した異常が他方に影響することがなく、先行技術文献の構成で検出されない故障を検出することができる。
【0069】
ところで、この診断方法は次の様に説明することも出来る。この診断方法は、PLL回路18から出力される信号の周波数とクロック発振回路42から出力される信号の周波数との差を検出するステップと、この周波数の差が所定以上に場合にエラー信号を出力するステップと、を含む診断方法である。
【0070】
図9は、実施の形態におけるセンサのブロック図の一部を説明する図である。
【0071】
診断回路70(第1の診断回路)は、デジタル処理回路40の故障を診断する。
【0072】
診断回路72(第2の診断回路)は、診断回路70の故障を診断する。具体的には、デジタル処理回路40の故障が発生したときに診断回路70がその故障を検知できるかどうかを診断するために、擬似的に故障状態を作り出して診断回路70が正確に検知できるかどうかを診断する。この点について詳細に説明する。
【0073】
まず、通常の検出動作を行っている間においては、SW1は閉じており、診断回路70はAD変換回路32からの信号S1(即ち、デジタル処理回路40で処理される前の信号)が入力される。同時に、デジタル処理回路40で処理された後の信号S2が診断回路70に入力される。そして、診断回路70は、信号S1と信号S2の関係に基づいて、デジ
タル処理回路40の故障を検知する。詳細には、デジタル処理回路40が正常に動作している場合におけるデジタル処理回路40に入力される信号S1とデジタル処理回路40から出力される信号S2との間には特定に関係がある(別の表現では、ある入力信号に対して出力されるべき信号が予め決まっている)ので、診断回路70はこの関係性が保たれているかを監視することでデジタル処理回路40が正常に動作しているかを監視する。診断回路70は、信号S1と信号S2が所定の関係に無い場合に、デジタル処理回路40に故障が発生したことを示すエラー信号を出力する。
【0074】
また、診断回路72が診断の動作をする間においては、SW1は開いており、診断回路70は診断回路72からの信号S3(即ち、診断信号)が入力される。同時に、デジタル処理回路40で処理された後の信号S2が診断回路70に入力される。ここで、信号S3は、信号S1とは異なる大きさの信号であり、診断回路70に入力される信号S3、信号S2の組み合わせは、正常なデジタル処理回路40への入力と出力の関係から外れるように信号S3が設定されている。従って、診断回路70は、正常ではないデジタル処理回路40への入力と出力の関係を持つ信号の組み合わせが入力されるので、デジタル処理回路40が故障したと判断してエラー信号を出力する。このエラー信号が出力されるか否かを外部からあるいは監視することで診断回路70が正常に動作するか確認する。
【0075】
なお、このエラー信号が出力されるか否かを外部からあるいは監視することで診断回路70が正常に動作するか確認すると説明したがこれに限らない。例えば、診断回路72が診断回路70からエラー信号S5が出力されるか監視する構成としてもよい。
【0076】
なお、診断回路72が診断の動作をする間においてSW1は開いており、診断回路70は診断回路72からの信号S3(即ち、診断信号)が入力されると説明したがこれに限らない。例えば、診断回路72が診断の動作をする間においてSW2は開いており、診断回路70は診断回路72からの信号S4(即ち、診断信号)が入力される構成でもよい。(この構成ではSW1および信号S3を伝達する信号経路は不要である。)この構成では、診断回路70は診断回路72からの信号S4(即ち、診断信号)が入力される。同時に、デジタル処理回路40で処理される前の信号S1が診断回路70に入力される。ここで、信号S4は、信号S1とは異なる大きさの信号であり、診断回路70に入力される信号S1、信号S4の組み合わせは、正常なデジタル処理回路40への入力と出力の関係から外れるように信号S4が設定されている。従って、診断回路70は、正常ではないデジタル処理回路40への入力と出力の関係を持つ信号の組み合わせが入力されるので、デジタル処理回路40が故障したと判断してエラー信号を出力する。このエラー信号が出力されるか否かを外部からあるいは監視することで診断回路70が正常に動作するか確認する。
【0077】
診断回路72の動作は以下のようにも記載することができる。
【0078】
診断回路72は、デジタル処理回路40に入力される信号(信号S1)の代わり、又はデジタル処理回路40から出力される信号(信号S2)の代わりに、診断信号(すなわち、信号S3又は信号S4)を診断回路70に出力する。
【0079】
ここで、デジタル処理回路40に入力される信号(信号S1)の代わりに診断信号(S3)が診断回路70に出力される場合には、診断信号(S3)とデジタル処理回路40から出力される信号(S2)との組み合わせは診断回路70がエラー信号S5を出力する組み合わせに設定されている。診断回路70が正常に動作していれば、診断回路70はデジタル処理回路40に異常が発生している事を示すエラー信号を出力する。診断回路72は、診断回路70からエラー信号を出力されたかを監視する。これにより、診断回路70が正常に動作するか確認する。
【0080】
一方、デジタル処理回路40から出力される信号(S2)の代わりに診断信号(S4)が診断回路70に出力される場合には、診断信号(S4)とデジタル処理回路40に入力される信号との組み合わせは診断回路70がエラー信号(S5)を出力する組み合わせに設定されている。診断回路70が正常に動作していれば、診断回路70はデジタル処理回路40に異常が発生している事を示すエラー信号を出力する。診断回路72は、診断回路70からエラー信号を出力されたかを監視する。これにより、診断回路70が正常に動作するか確認する。
【0081】
この様に、デジタル処理回路40のエラー信号を出力する状態を意図的に診断回路70が作り出し、そのときに診断回路70が正確に異常判定を行うかどうかを診断回路72が診断する。
【0082】
特に、シングルポイント故障が発生する構成に診断回路72を設けることが好ましい。シングルポイント故障とは、ある一つの故障によってセンサが異常となり、かつ、その故障の検知や通知ができないような故障である。基本的には、シングルポイント故障を起こす箇所には診断回路70(第1の診断回路)を設けて故障検出を行うが、診断回路70(第1の診断回路)の方が被診断回路よりも先に故障した場合、その後に被診断回路が故障したとしても故障検出ができなくなってしまう。そのため、診断回路72を設けて診断回路70の診断も行うことで、センサ安全性をより高める事ができる。
【0083】
本実施の形態のセンサでは、シングルポイント故障を起こす構成としては例えば、デジタル処理回路40がある。デジタル処理回路40が故障を起こすと、デジタル処理回路40に入力される角速度信号に対する演算(オフセット調整やゲイン調整、デジタルフィルタ演算など。)が異常となるため、正確なセンサ出力信号を出力することができなくなる。
【0084】
診断回路74は、診断回路72から出力された信号S3が診断回路70へと入力されたか否かを監視する。これにより、診断回路72から診断回路70へ診断信号を出力したときに診断回路70がエラーを出力しなかった場合において、それが診断回路70の異常によるものか、それとも診断回路72が診断信号を出力できないような異常が発生したことによるものか判別することができる。
【0085】
この様にして診断回路70の異常か診断回路72の異常かを判別することにより以下の効果を得られる。
【0086】
(ケース1)診断回路70に異常がある場合
次の故障でIF(Intended Function)に異常が発生した場合に検出ができなくなるので、潜在的な故障(LF:Latent Fault)となってしまう。
【0087】
(ケース2)診断回路72に異常が有る場合
(a)次の故障でIFに異常が発生した場合、診断回路70は正常であるため故障検出が可能である。
【0088】
(b)次の故障で診断回路70に異常が発生した場合、IFは正常であるため潜在的な故障にはならない。
【0089】
以上の様にして、潜在的な故障状態が発生しているか否を判別する事が可能となる。
【0090】
図10は、実施の形態におけるセンサのブロック図の一部を説明する図である。
図11は、加速度駆動回路の動作を説明する波形図である。
【0091】
増幅器50は、加速度検出素子からの加速度検出信号が入力され、加速度検出信号を電圧変換する。増幅器50は、CV変換回路を構成する。
【0092】
増幅器52は、増幅器50の出力電圧をサンプリング(測定)して所定期間保持する。すなわち、増幅器52は、サンプルホールド回路を構成する。
【0093】
制御回路57は、基準クロックCLKと、故障診断信号Tに基づいて、搬送波信号P1、P2と、スイッチ信号S1、S2とをそれぞれ生成して出力する。搬送波信号P1(第1の信号)は、固定電極133aに入力する振幅±Vの信号である。搬送波信号P2(第2の信号)は、固定電極133bに入力する振幅±Vの信号である。スイッチ信号S1は、スイッチ501を開閉させる信号である。スイッチ信号S2は、スイッチ51を開閉させる信号である。スイッチ501、スイッチ51は半導体スイッチ等で構成されており、制御回路57からのスイッチ信号がハイレベルのとき閉の状態になる。
【0094】
図11のP1は、固定電極133aに入力される搬送波信号P1を示している。
図11のP2は、固定電極133bに入力される搬送波信号P2を示している。
図11の501は、スイッチ501の開閉のタイミングを示している。
図11の51は、スイッチ51の開閉のタイミングを示している。
【0095】
第1の期間T1、T2において、入力された加速度に応じて加速度素子130で発生する容量の変化が測定される。そして、第2の期間T3、T4において、加速度駆動回路115と加速度素子130との間の信号経路が断線しているか否かが判定される。ここで、第一の期間を「通常期間」、第2の期間を「故障診断期間」と表記する。
【0096】
制御回路57から搬送波信号P1と、搬送波信号P2とが出力される。搬送波信号P1は、第1の期間T1、T2において、ハイレベル(+V)とローレベル(−V)が変化する一定振幅の矩形波信号である。また、搬送波信号P2は、第1の期間T1、T2において、搬送波信号P1に対して電圧レベルが反転した信号である。
【0097】
第1の期間のT1では、搬送波信号P1は+V、搬送波信号P2は−Vになっている。また、制御回路57からのスイッチ信号S1、S2により、スイッチ501は閉(HIGH)、スイッチ51は開(LOW)になっている。このことにより、増幅器50の非反転入力端子にV0の電圧が印加され、可動電極132cにV0の電圧が印加されるとともに、容量502の電荷が放電される。なお、通常動作時の測定において、スイッチ523a、スイッチ523bは基準電圧V0に接続されず、搬送波P1、P2を可動電極132cに入力するように接続される。なお、通常動作時の測定において、スイッチ523a、スイッチ523bは基準電圧V0に接続されず、搬送波P1、P2を可動電極132cに入力するように接続される。
【0098】
この状態において、可動電極132cと固定電極133aとの間には、Q1=−C1・Vという電荷がたまる。−の符号は、可動電極132cの固定電極133aと対向する側の表面に負の電荷がたまることを意味している。また、可動電極132cと固定電極133bとの間には、Q2=+C2・Vという電荷がたまる。+の符号は、可動電極132cの固定電極133bと対向する側の表面に正の電荷がたまることを意味している。可動電極132cの総電荷量はQ1とQ2の合計値となるので、Q1+Q2=(C2−C1)・Vとなる。
【0099】
第1の期間のT2において、搬送波信号P1、P2の電圧レベルが反転し、P1が−VとなりP2が+Vとなり、スイッチ501が開くとともにスイッチ51が閉じる。
【0100】
このとき、可動電極132cと固定電極133aとの間にはQ1’=+C1・Vという電荷がたまり、可動電極132cと固定電極133bとの間にはQ2’=−C2・Vという電荷がたまる。可動電極132cの総電荷量はQ1’とQ2’の合計値となるので、Q1’+Q2’=(C1−C2)・Vとなる。
【0101】
T1のときに可動電極132cにたまっていた電荷(Q1+Q2)とT2のときに可動電極132cにたまっていた電荷(Q1’+Q2’)との差ΔQは、ΔQ=(Q1+Q2)−(Q1’+Q2’)=−(C1−C2)・2Vとなる。
【0102】
ここで、差動容量C1、C2が異なっていると、ΔQという電荷が可動電極132cに生じるが、増幅器50の作用によって可動電極132cの電圧はV0に保持されるため、ΔQの電荷は、容量502の可動電極132c側にたまり、容量502の反対側の電極には、逆の極性の電荷ΔQ’=(C1−C2)・2Vがたまる。その結果、容量502の容量をCfとすると、増幅器50の出力端子にΔQ’/Cf=(C1−C2)・2V/Cfという電圧が生じ、容量の差(C1−C2)に応じた電圧が出力される。
【0103】
増幅器52は、T2の期間において増幅器50の出力電圧をサンプリング(測定)し、それ以外の期間では、そのサンプリングした電圧を保持する(即ち、サンプルホールドする)ように動作する。そして、増幅器52からの出力電圧が増幅などの処理をされて加速度信号となる。
【0104】
次に、故障診断時の動作について説明する。
【0105】
故障診断時においては、第2の期間のT3、T4において、スイッチ523aもしくはスイッチ523bのどちらかが基準電圧V0へ接続されるように切り替わる。
【0106】
例として、スイッチ523aが基準電圧V0へ接続される場合を説明する。この状態においては、第2の期間のT3において、可動電極132cと固定電極133aの電圧はともにV0であり、電圧差がゼロとなるため、電荷Q1もゼロとなる。一方、可動電極132cと固定電極133bとの間には、第1の期間のT1と同じようにQ2=+C2・Vという電荷がたまる。これより、可動電極132cの総電荷量は、Q1+Q2=0+C2・V=C2・Vとなる。
【0107】
第2の期間のT4においては、電荷Q1’は第2の期間のT3と同じくゼロであり、電荷Q2’は第1の期間のT2と同じくQ2’=−C2・Vとなる。これより、可動電極132cの総電荷量は、Q1’+Q2’=0−C2・V=−C2・Vとなる。
【0108】
T3のときに可動電極132cにたまっていた電荷(Q1+Q2)とT4のときに可動電極132cにたまっていた電荷(Q1’+Q2’)の差ΔQは、ΔQ=(Q1+Q2)−(Q1’+Q2’)=C2・2Vとなる。その結果、増幅器50の出力端子に−ΔQ/Cf=−C2・2V/Cfという電圧が生じる。
【0109】
信号経路が正常な場合には、増幅器50の出力電圧は−C2・2V/Cfとなる。しかし、信号経路が断線している場合には増幅器50の出力はゼロとなる。そのため、診断回路によって増幅器50の出力電圧が所定の閾値を超えているか否かを判定することにより、信号経路が断線しているか否かを判定できる。また、本構成によると、加速度素子130に印加される加速度がゼロの場合においても、C2はゼロにはならないので、正常時の増幅器50の出力電圧(−C2・2V/Cf)と断線時の増幅器50の出力電圧(ゼロ)とを判別できる。
【0110】
以上の様にして、本実施の形態のセンサ、第1の期間T1、T2においては入力された物理量に応じた容量の変化を測定するという通常動作を行う。また、第2の期間T3、T4においては容量検出手段への信号経路が断線しているか否かを判定する故障診断動作を行う。これにより、可動電極を変位させずに故障診断を行うことができ、故障診断の時間が短縮できる。
【0111】
ところで、増幅器50は、オフセット調整回路59を備える。オフセット調整回路59は、第1のモードにおいて動作し、第2のモードにおいて停止することが好ましい。すなわち、このオフセット調整回路59は第1の期間における増幅器50のオフセット量をキャンセルするように設定されているが、第2の期間おいては増幅器50のオフセット量が異なる値になるので、第2の期間においてオフセット調整を停止することでオフセット調整分による診断回路58の誤検出を回避することができる。なお、ここでの「オフセット」とは、増幅器50の出力に現れるオフセット電圧量を意味する。このオフセット電圧量は、加速度素子130からのオフセット信号と、増幅器50自身で発生するオフセット信号とが合算された信号である。そして、このオフセット電圧量は、第1のモードにおいて、DA変換器、電流入力回路などからなるオフセット調整回路59によって打ち消されている。
【0112】
図12は、実施の形態のセンサが備える角速度素子の正面図である。なお、
図10ではオフセット調整回路59は増幅器50の後段に設ける構成としているが、これに限らない。例えば、増幅器50の前段に設けてもよい。
【0113】
角速度素子120は、支持部121に一対のアーム122を有する構造であり、圧電体を有する素子である。
【0114】
角速度素子120は、角速度素子120を特定周波数で振動させるための駆動信号が入力される駆動電極126と、角速度素子120の振動周波数を検出しモニタ信号127として出力するモニタ電極128と、角速度素子120に与えられた角速度に起因して発生し、モニタ信号に同期した検出信号129を出力する検出電極124とを有している。駆動電極126及び検出電極124はアーム122に形成され、モニタ電極128は支持部121及びアーム122の境界近傍に形成されている。
【0115】
図13は、実施の形態のセンサが備える加速度素子の正面図である。
【0116】
加速度素子130は、加速度センサ基板132と、上蓋133と、下蓋134とを有している。加速度センサ基板132は、上蓋133と下蓋134との間に狭持されている。加速度センサ基板132は、梁132aと、梁132bと、可動電極132cと、枠部132dと、を有する。上蓋133に、固定電極133a(第1の固定電極)と、固定電極133b(第2の固定電極)が形成されている。固定電極133aは、可動電極132cの第1の箇所に対向して配置されている。固定電極133bは、可動電極132cの第2の箇所に対向して配置されている。可動電極132cは、物理量の変化に応じて変位する。第1の固定電極133aは、可動電極132cの第1の箇所に対向して配置されている。第2の固定電極133bは、可動電極132cの第2の箇所に対向して配置されている。
【0117】
なお、本実施の形態では、角速度素子(及びその駆動と検出の為の部分)と加速度素子(及びその駆動と検出の為の部分)とを搭載するセンサとして説明したがこれに限らない。例えば、角速度素子(及びその駆動と検出の為の部分)だけを搭
載するセンサ、あるいは、加速度素子(及びその駆動と検出の為の部分)だけを搭載する
センサ、であってもよい。
【0118】
なお、本実施の形態では、1軸の角速度素子、1軸の加速度素子を説明したが、これに限らない。例えば、3軸の角速度素子、3軸の加速度素子であってもよい。
【0119】
なお、本実施の形態では、角速度の検出に圧電体が用いられると説明したがこれに限らない。例えば、静電容量が検出に用いられるものであってもよい。
【0120】
なお、本実施の形態では、角速度素子を音叉型の素子として説明したがこれに限らない。例えば王字型の素子など、振動型の角速度素子であれば種々の角速度素子を用いることができる。
【0121】
なお、本実施の形態では、加速度素子を梁に錘が支持される構造(バルク方式、あるいはトーション方式)として説明したがこれに限らない。例えば櫛歯型の素子など、加速度素子(サーフェス型)など、容量型の素子であれば種々の加速度素子を用いることができる。
【0122】
なお、
図3〜5、7、9に示す構成は、1つのセンサに重複して用いてもよいし、一部だけ用いてもよい。
【0123】
なお、本実施の形態で「等しい」および「同一」との語句は、それぞれ物理的に完全に等しいおよび完全に同一であることを意味するのではなく、誤差を含み、さらに実用上等しいまたは実用上同一と扱える程度の差を含む。