(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二酸化炭素濃度検出手段による二酸化炭素濃度が前記所定の値より低く、室内温度と室外温度の温度差が所定の値よりも大きい場合、前記制御手段は、前記循環風路による循環運転を行うことを特徴とする請求項1に記載の熱交換型換気扇。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、未満に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するために例示するものであって、本発明は未満のものに特定しない。特に実施の形態に記載されている数値、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる実施例に過ぎない。
【0011】
本発明の請求項1記載の熱交換型換気扇は、室外吸込口より室外の空気を取り入れ、室内給気口より室内に供給する給気風路と、室内吸込口より室内の空気を取り入れ、室外排気口より室外に排気する排気風路と、給気風路における給気流を発生させる給気流発生手段と、排気風路における排気流を発生させる排気流発生手段と、室外吸込口を通る空気の微粒子を除去する第一微粒子除去手段と、室内給気口を通る空気の微粒子を除去する第二微粒子除去手段と、室内の微粒子濃度を検出する第一微粒子濃度検出手段と、室外の微粒子濃度を検出する第二微粒子濃度検出手段と、室内の二酸化炭素濃度を検知する二酸化炭素濃度検出手段と、室内の温度を検出する第一温度検出手段と、室外の温度を検出する第二温度検出手段と、給気風路は、排気風路を通る空気と熱交換を行うための熱交換素子を介して前記室内給気口に室外の空気を供給する熱交換風路と、給気風路は、熱交換素子を介さず室外の空気を室内に取り入れる換気風路と、室内吸込口より取り入れた室内の空気を、室内給気口より室内に供給する循環風路と、を備えた熱交換型換気装置において、熱交換風路と換気風路とを切り替える第一切替手段と、排気風路と循環風路とを切り替える第二切替手段と、さらに、第一切替手段、第二切替手段、給気流発生手段及び排気流発生手段を制御する制御手段とを備えたものである。
【0012】
これにより、制御手段は、第一微粒子濃度検出手段、第二微粒子濃度検出手段、二酸化炭素濃度検出手段、第一温度検出手段、第二温度検出手段より得られる情報に基づいて、第一切替手段及び第二切替手段を制御することで、室内二酸化炭素濃度、室内微粒子濃度、室外微粒子濃度、室内温度、室外温度を総合的に判断し、状況に応じて熱交換運転、換気運転、循環運転のいずれかを選択することにより省エネルギーで最適な換気運転を行うことができる。
【0013】
本発明の請求項2記載の熱交換型換気扇は、二酸化炭素濃度検出手段によって検出された二酸化炭素濃度が所定の値よりも高く、第二微粒子濃度検出手段によって検出された微粒子濃度が所定の値よりも低い場合に、制御手段は、切替え手段を制御して普通換気運転を行うことを特徴としたものである。
【0014】
これにより、室内の二酸化炭素濃度が高く、室外の微粒子濃度が低く、室内外の温度が外気導入に適する場合は、熱交換素子を通さずに外気を直接取り入れることにより、熱交換素子の圧力損失分による軸動力を低減し省エネを実現し、室内空気を排出し、室外空気を室内に取り入れることが可能である。
【0015】
本発明の請求項3記載の熱交換型換気扇は、二酸化炭素濃度検出手段による二酸化炭素濃度が所定の値より低く、室内温度と室外温度の温度差が所定の値よりも大きい場合、制御手段は、循環運転を行うことを特徴としたものである。
【0016】
これにより、室内の二酸化炭素が低い場合には熱交換運転を行わずに循環運転を行うことで室内の空調空気を排出せず省エネルギーで実現できる。
【0017】
本発明の請求項4記載の熱交換型換気扇は、換気運転時および循環運転時には、排気流発生手段を停止することを特徴としたものである。
【0018】
これにより、換気運転時および循環運転時には排気流発生手段の軸動力を削減し、省エネルギーを実現できる。
【0019】
未満、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1〜
図4を参照して本発明の実施の形態1の熱交換型換気扇について説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態1の熱交換型換気扇を平面視したものであり、熱交換型換気扇の主要部の構成を示すものである。
【0022】
熱交換型換気扇1は、建物内の天井裏または、側面壁内もしくは床下に設置されるものであり、以下、床下に設置した場合について説明する。
【0023】
熱交換型換気扇1は直方体の形状をしており、室外側側面19には室外の空気を吸い込む室外吸込口2と、室外に排気する室外排気口5を有していて(
図1における左側)、室内外側面20には室内に給気を行う室内給気口3と、室内の空気を吸い込む室内吸込口4を有している(
図1における右側)。
【0024】
室外吸込口2と室内給気口3は給気風路Aで連通していて、給気風路Aの室内給気口3の近傍には、給気流を発生させるための給気ファン6を備えている。
【0025】
また、室内吸込口4と室外排気口5は排気風路Bで連通していて、排気風路Bの室外排気口5の近傍には、排気流を発生させるための排気ファン7を備えている。
【0026】
給気ファン6により発生した給気流は、室外吸込口2から吸い込んだ外気を、給気風路Aを通じて室内給気口3より室内に送り込む。
【0027】
給気風路Aには、吸込んだ外気の微粒子により熱交換素子9が目詰まりすることを防ぐための微粒子除去フィルタ8が、熱交換素子9の熱交室外吸込口21と室外吸込口2と間に設けられている。
【0028】
微粒子除去フィルタ8は、熱交換素子9が目詰まりしなければよく、熱交換素子9の素子の目よりも大きい粒子を捕集できればよい。
【0029】
また、給気風路Aには、微粒子除去フィルタ8と熱交換素子9を通過した目の細かい微粒子を取り除くための微粒子除去フィルタ10を、熱交換素子9の熱交室内給気口22と室内給気口3との間に配置していて、微粒子除去フィルタ8,10によりPM2.5や花粉などの微粒子が除去された後に室内に清浄化された外気が給気される。
【0030】
給気流と同様、排気ファン7により発生した排気流は、室内吸込口4から吸い込んだ室内空気を、熱交換素子9を通して室外排気口5から外部に排気する。
【0031】
熱交換素子9は給気風路Aと排気風路Bの交差する位置に配置され、給気風路Aにおいて、室外空気を熱交室外吸込口21から吸い込み、熱交室内給気口22から給気し、排気風路Bにおいて、室内空気を熱交室内吸込口23から吸い込み、熱交室外排気口24から排気している。
【0032】
つまり、給気風路Aは、室外吸込口2〜微粒子除去フィルタ8〜熱交室外吸込口21〜熱交室内給気口22〜微粒子除去フィルタ10〜室内給気口3という直線状の風路を形成していて、排気風路Bは、室内吸込口4〜熱交室内吸込口23〜熱交室外排気口24〜室外排気口5という直線状の風路を形成している。
【0033】
この熱交換素子9は、排気流からの排気熱を回収して給気流に熱を与える機能を有していて、所定の間隔をあけて積層された複数の伝熱板により構成されている。
【0034】
この伝熱板は、気体遮蔽性と透湿性を有していて、室内の空気と室外の空気を伝熱板の間に交互に流すことで、換気を行いながら伝熱板を介して熱交換および水分の交換を行うことができる構成となっている。
【0035】
すなわち、熱交換素子9の内部では、給気風路Aと排気風路Bが伝熱板を挟んで交互に積層されて設けられている構成となっており、これにより、給気流と排気流が交わることなく熱交換を行うことができるものである。
【0036】
また、熱交換型換気扇1には、室内の二酸化炭素と微粒子濃度、および温度を検出するための二酸化炭素濃度検出センサ11、微粒子濃度検出センサ12、温度検出センサ13を備えていて、室内の二酸化炭素と微粒子、および温度を正確に測定するために排気風路Bの室内吸込口4近傍に配置している。室外の微粒子濃度および温度を検出するための微粒子濃度検出センサ14と温度検出センサ15を備えており、室外の微粒子濃度と温度を正確に検出するために給気風路Aの室外吸込口2近傍に配置している。
【0037】
なお、二酸化炭素濃度検出センサ11と微粒子濃度検出センサ12、および微粒子濃度検出センサ14については、センサ内部に光学レンズを使用している都合上ほこりでレンズが汚れることが予想されるため、風路には直接配置せず対流によって濃度検出が行える場所、例えば風路内でも気流の変化が小さい場所への配置が望ましい。
【0038】
また、熱交換型換気扇1の内部には、給気風路を切替えるための換気ダンパ16と循環ダンパ17を備えている。
【0039】
換気ダンパ16は、
図1に示すように、熱交換素子9の給気風路A側において、熱交室外吸込口21の端部に支点を有する開閉自在の隔壁であり、換気ダンパ16により熱交室外吸込口21を開閉することで熱交換素子9への外気の流入の有り無しを制御するものである。
【0040】
給気流と排気流の熱交換を行う熱交換運転においては、給気流を熱交換素子9に通す必要があるため、換気ダンパ16を熱交室外吸込口21が開放される側に可動する。
【0041】
これにより、熱交換素子9をバイパスする第一給気風路Cが塞がれ、給気流が熱交換素子9を通過する給気風路Aが形成される。
【0042】
従って、給気風路Aにおいて給気ファン6が動作することで、室外吸込口2から吸い込まれた外気を微粒子除去フィルタ8を通した後に熱交室外吸込口21から吸込み、熱交し熱交換素子9を通過させ、その後、微粒子除去フィルタ10を通して清浄化した空気を室内給気口3から給気を行うことができる。
【0043】
一方、熱交運転を行わない、外気を熱交換素子9に通さずに室内に導入する換気運転を行う時には、
図2に示すように、換気ダンパ16を、熱交室外吸込口21を塞ぐ側に可動する。
【0044】
これにより、熱交換素子9をバイパスする第一給気風路Cが開放されて、室外吸込口2から室内給気口3への直線状の風路、換気風路Dが形成される。
【0045】
換気風路Dが形成された状態で給気ファン6が動作することにより、室外吸込口2から吸い込まれた外気は熱交室外吸込口21に流入することなく第一給気風路Cを通り、微粒子除去フィルタ10を通じて室内給気口3から室内に給気されることとなる。
【0046】
すなわち、換気ダンパ16は、給気風路Aと排気風路Bで給排気を行う熱交換運転と、第一給気風路Cおよび換気風路Dを通じて外気を直接室内に給記する換気運転とを切替えるためのダンパである。
【0047】
循環ダンパ17は、
図1に示すように、熱交室内給気口22の端部に支点を有する開閉自在の隔壁であり、循環ダンパ17により熱交室内給気口22を開閉することで、熱交換素子9からの外気の流出の有り無しを調整するものである。
【0048】
熱交換運転時には、循環ダンパ17を、熱交換素子9をバイパスする第二給気風路Eを塞ぐ側に可動することで、給気風路Aと排気風路Bが独立し、熱交室内給気口22が開放される。
【0049】
これにより、給気流は排気流と交わることがなく、給気風路Aを通じて外気を室内に給気でき、排気ファン7により発生した排気流は、排気風路Bにおいて室内吸込口4から室内空気を吸込み、熱交室内吸込口23より吸い込んだ室内空気を熱交室外排気口24から排出し、室外排気口5より排気することができる。
【0050】
一方、熱交換素子9に室内空気を通さずに室内に再び給気する循環運転を行う時には、
図3に示すように、循環ダンパ17を、熱交給気吸込口26を塞ぐ側に可動することで、熱交換素子9をバイパスし給気風路Aと排気風路Bを連通する第二給気風路Eが開放され、循環風路Fが形成される。
【0051】
循環風路Fが形成された状態で給気ファン6が動作することにより、室内吸込口4から吸い込まれた室内空気は熱交室内吸込口23に流入することなく第二給気風路Eを通り、微粒子除去フィルタ10を通して清浄化したのちに室内給気口3から給気することができる。
【0052】
すなわち、循環ダンパ17は、給気風路Aと排気風路Bで給排気を行う熱交換運転と、第二給気風路Eおよび循環風路Fを通じて室内空気を再び室内に循環させるための循環運転とを切替えるためのダンパである。
【0053】
熱交換型換気扇1の側面に配置したコントローラ18は、これら換気ダンパ16や循環ダンパ17と給気ファン6および排気ファン7を、二酸化炭素濃度検出センサ11、微粒子濃度検出センサ12、温度検出センサ13、微粒子濃度検出センサ14、温度検出センサ15からの信号に基づき制御するものである。
【0055】
室内の二酸化炭素濃度が高い場合には、室内空気を排気することにより室内の二酸化炭素濃度を下げることができる。
【0056】
しかし、従来の熱交換型換気扇は熱交換素子を通しての排気となるため、通常の排気と比較して熱交換素子を通す分圧力損失が発生し、排気ファンの電力は損失となる。
【0057】
さらに、熱交換素子を通さずに直接外気を給気できる熱交換型換気扇も存在する。このような熱交換型換気扇では、外気吸込口にフィルタを設けており、フィルタを通して室内に直接外気を導入するものであるが、室内の二酸化炭素濃度や室外の微粒子濃度での換気判断は行わずに、室内外の温度差のみにより直接換気を行っているものである。
【0058】
室内の二酸化炭素濃度が低く外気の微粒子濃度が高いときには換気を行う必要はないが、従来の熱交換型換気扇では室内外の温度差が小さい場合に直接外気を取り入れてしまうため、微粒子除去フィルタ10の目詰まりが早くなる、という課題がある。
【0059】
本発明はこれら課題を解決するものであり、室内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度検出センサ11、室内の微粒子濃度を検出する微粒子濃度検出センサ12、室内温度を計測する温度検出センサ13、室外の微粒子濃度を検出する微粒子濃度検出センサ14、室外の温度を計測する温度検出センサ15の計測値を受信したコントローラ18が、給気ファン6、排気ファン7、換気ダンパ16、循環ダンパ17を制御することにより所期の目的を達成するものである。
【0060】
室内の二酸化炭素濃度が高く室外の微粒子濃度が低い場合には、室外の空気を熱交換素子を介さずに取り入れ、また、排気ファンを停止することにより、室内の二酸化炭素濃度を低下させると同時に、熱交換素子の圧力損失分の電力損失を削減し省エネルギーを図れる。
【0061】
また、室内の二酸化炭素濃度が低く室外の微粒子濃度が高い場合には、温度的に熱交運転に適した条件であっても、外気を取りいれずに循環運転を行うことにより、省エネルギーを図るとともに微粒子除去フィルタ10の寿命を延長することができるものである。
【0062】
以下に本発明の熱交換型換気扇の運転状態の決定について、
図4のフローチャートを用いて説明する。なお、
図4中のSはステップを意味する。
【0063】
まず、最初に熱交換型換気扇の運転状態において、コントローラ18は、二酸化炭素濃度検出センサ11、室内の微粒子濃度検出センサ12、室内の温度検出センサ13、室外の微粒子濃度検出センサ14、室外の温度検出センサ15の計測値を読み込む(S01)。
【0064】
次に、コントローラ18は読み込んだ二酸化炭素濃度検出センサ11の計測値を予め定められた閾値と比較する(S02)。
【0065】
なお、ここでは閾値として、人が眠気を感じ始め集中力が低下する1000ppmを設定するものとする。
【0066】
コントローラ18は室内の二酸化炭素濃度を閾値と比較した結果、室内の二酸化炭素濃度が閾値(1000ppm)以上であれば、室内の二酸化炭素濃度を下げる必要があると判断し、熱交運転の排気による室内の二酸化炭素濃度の低減を行うか、換気運転の外気導入による室内の二酸化炭素濃度の低減を行うかいずれかを決定するために、室内と室外の温度差による判定を行う次のステップ(S03)に進む。
【0067】
一方、室内の二酸化炭素濃度が閾値未満であれば、室内の二酸化炭素濃度を下げる必要がないと判断し、熱交運転か、換気運転か、循環運転かのいずれかを決定するために、室内と室外の温度差による判定を行う次のステップ(S04)に進む。
【0068】
室内の二酸化炭素濃度を下げる必要があると判断したステップ(S03)では、コントローラ18は、読み込んだ室内温度と室外温度の温度差を計算し、予め定められた閾値と比較する。
【0069】
ここでは、室内外の温度差が小さい場合に行える外気を熱交換せずに直接室内に導入する運転=換気運転を行えるかどうかを判断するために、室内外の温度差の閾値として4℃を設定する。
【0070】
室内と室外の温度差が4℃未満であれば、換気運転を行えると判断し、換気運転優先として次のステップ(S05)に進み、4℃以上であれば、換気運転は行えず熱交運転を行う必要があると判断し、熱交運転を優先して次のステップ(S06)に進む。
【0071】
同様に、室内の二酸化炭素濃度を下げる必要がないと判断したステップ(S04)では、ステップ(S03)と同じ室内外の温度差による換気運転の有無の判定を行い、室内と室外の温度差が4℃未満であれば換気運転を行えると判断し、換気運転優先として次のステップ(S07)に進み、4℃以上であれば換気運転は行えず熱交運転を行う必要があると判断し、熱交運転を優先として次のステップ(S08)に進む。
【0072】
ステップ(S05)では、コントローラ18は、読み込んだ室外の微粒子濃度を予め定められた閾値と比較する。
【0073】
なお、ここでは閾値として、人体に影響のないレベルとされる20μg/m3を設定するものとする。
【0074】
室外の微粒子濃度が20μg/m3より低ければ、室外の空気を直接室内に取り入れることができるため換気運転ができると判断し、換気運転優先として次のステップ(S09)に進み、室外の微粒子濃度が20μg/m3より高ければ、室外の空気を取り入れることができないため換気運転はできないと判断し、次のステップ(S10)に進む。
【0075】
なお、ステップ(S06)、ステップ(S07)、ステップ(S08)でも、ステップ(S05)と同様の判定を行う。
【0076】
ステップ(S06)、ステップ(S07)、ステップ(S08)において、室外の微粒子濃度が20μg/m3より低ければ、室外の空気を取り入れることができるため換気運転ができると判断し、換気運転優先としてそれぞれステップ(S10)、ステップ(S11)、ステップ(S13)、ステップ(S15)に進み、室外の微粒子濃度が20μg/m3より高ければ、室外の空気を室内に直接取り入れることができないため換気運転ができないと判断し、それぞれステップ(S12)、ステップ(S14)、ステップ(S16)に進む。
【0077】
次に、ステップ(S09)では、コントローラ18は、読み込んだ室内の微粒子濃度を予め定められた閾値と比較する。
【0078】
なお、ここでは閾値として、室外と同様、人体に影響のないレベルとされる20μg/m3を設定するものとする。
【0079】
室内の微粒子濃度が20μg/m3より低ければ、室内の微粒子濃度を下げる必要がないと判断し、室内の微粒子濃度が20μg/m3より高ければ、室内の微粒子濃度を下げる必要があると判断する。
【0080】
ステップ(S09)の状態は、室内の二酸化炭素濃度が高いので室内の二酸化炭素濃度を下げる必要があり、熱交運転か換気運転のいずれかの選択、室内外の温度差は4℃未満なので換気運転を優先、室外の微粒子濃度が低いために室外の空気を直接取り入れられる換気運転を優先、すなわち、ステップ(S02)、ステップ(S03)、ステップ(S05)を通じての運転判断は換気運転を行う、という判断となる。
【0081】
そして、ステップ(S09)においては、室内の微粒子濃度が低い場合は換気運転が可能、また、室内の微粒子濃度が高い場合でも換気運転による室内の微粒子濃度を低減できることから、最終の運転状態は換気運転に決定されることとなる。
【0082】
換気運転を決定したコントローラ18は、換気ダンパ16を可動して熱交外気吸込口25を塞ぎ、熱交換素子9をバイパスする第一給気風路Cを形成し、給気ファン6を運転し換気運転を行う。
【0083】
これにより、室外吸込口2から吸い込まれた外気は、熱交室外吸込口21より熱交素子に流入することがなく、第一給気風路Cを通じて微粒子除去フィルタ10を通り、清浄化された後に室内給気口3から給気される。
【0084】
このように、熱交換型換気扇の運転状態を換気運転と決定することにより、室内の二酸化炭素濃度を下げ、室内の微粒子濃度を維持しつつ、熱交換素子9を通じることにより生じる排気ファン7の電力損失を削減することができる。
【0085】
もう一例、循環運転を選択する例を以下に説明する。
【0086】
室内の二酸化炭素濃度が高い場合は、室内の空気を室外に排気する熱交運転か、外気を取り入れる換気運転のいずれかでしか室内の二酸化炭素濃度を下げることができないため、室内の空気を再度室内に給気する循環運転を選ぶことができない。
【0087】
すなわち、循環運転は室内の二酸化炭素濃度が低い場合のみ選択が可能となる。
【0088】
ステップ(S02)で、室内の二酸化炭素濃度が予め定められた閾値より低い場合は、前述したようにステップ(S04)に進む。
【0089】
ステップ(S04)では、室内外の温度差により熱交運転か換気運転かの判断を行っていて、室内外の温度差が予め定められた閾値より低い場合は、換気運転優先としてステップ(S07)に進み、室内外の温度差が予め定められた閾値より高い場合は、熱交運転優先としてステップ(S08)に進む。
【0090】
そして、熱交運転が選択されたステップ(S08)では、室外の微粒子濃度が予め定められた閾値より高いか低いかを判断し、予め定められた閾値より低ければステップ(S15)へ、予め定められた閾値より高ければステップ(S16)に進む。
【0091】
ステップ(S16)では、室内の微粒子濃度が予め定められた閾値より高いか低いかを判断する。
【0092】
ステップ(S16)の状態は、室内の二酸化炭素濃度は濃度が低いため熱交運転、換気運転、循環運転のいずれも選択可能、室内外の温度差は4℃以上のため熱交運転優先、室外の微粒子濃度は、濃度が高いため外気を取り入れる換気運転は行えない状況、すなわち、運転状態は熱交運転か循環運転のいずれかの選択に絞られた状態にある。
【0093】
室内の微粒子濃度の低減については、熱交運転時には排気を行うため室内の微粒子濃度の低減が可能、また、循環運転時にも微粒子除去フィルタ10により微粒子を除去できるため、熱交運転、循環運転いずれを選択しても室内の微粒子濃度の低減は可能である。
【0094】
そこで、ステップ(S16)においては、排気を行わないため室内空調エネルギーを捨てることがなく、省エネルギー性の高い循環運転を選択することとする。
【0095】
循環運転選択時に、コントローラ18は、循環ダンパ17を可動して熱交室内給気口22を塞ぎ、給気風路Aと排気風路Bを連通して熱交換素子9をバイパスする第二給気風路Eおよび循環風路Fを形成し、給気ファン6を運転する。
【0096】
また、このとき、室内吸込口4から吸い込まれた室内空気が室外排気口5から排気されることがないよう、排気ファン7を停止する。
【0097】
これにより、室内吸込口4から吸い込まれた室内空気は、熱交室内吸込口23に流入することなく、第二給気風路Eを通じて微粒子除去フィルタ10を通り、清浄化された後に室内給気口3より給気される。
【0098】
このように、熱交換型換気扇の運転状態を循環運転と決定することで、室内の二酸化炭素濃度を維持しつつ、室内の微粒子濃度を低減し、室内空調空気を外部に排出せずに省エネルギー化を図ることができる。
【0099】
その他のステップについても同様に、
図4に示すフローに従い、熱交運転、換気運転、循環運転の選択を進め、最終の運転状態を決定する。
【0100】
なお、各ステップの上位と下位で判断が異なる場合は、上位の判断を優先し運転状態を決定するものとする。
【0101】
上述のように熱交換型換気扇の運転状態を決定することで、室内の二酸化炭素濃度と微粒子濃度を閾値未満に維持しつつ、微粒子除去フィルタ8および微粒子除去フィルタ10の長寿命化を図りながら、省エネルギーを図ることができる。
【0102】
また、本発明の
図1、
図2および
図3では、天井または床下に設置する横置きタイプの熱交換型換気扇の構成を表しているが、熱交換型換気扇本体は床に設置する縦置き型のものでもかまわない。
【0103】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0104】
また、上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。