特許第6982733号(P6982733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982733
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】食器洗い機の小物入れ
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/50 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   A47L15/50
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-28426(P2018-28426)
(22)【出願日】2018年2月21日
(65)【公開番号】特開2019-141320(P2019-141320A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2020年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 惇
(72)【発明者】
【氏名】松浦 直紀
【審査官】 大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−000341(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3132268(JP,U)
【文献】 特開2012−045184(JP,A)
【文献】 特開平08−168461(JP,A)
【文献】 特開平08−024203(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3024819(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0155280(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2008−0078123(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00〜15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプーンを含む小物食器類を収容する収容部と、
前記収容部に収容された小物食器類を支持する底面部と、
前記底面部に設けられた底孔とを備え、
前記底孔は、前記小物食器類を支持可能な円弧部で構成されるウェーブ形状のスリットで形成された、
食器洗い機の小物入れ。
【請求項2】
前記底面部は、少なくとも、上面側および下面側のいずれかに、ウェーブ形状の前記底孔に沿うようにリブが設けられた、
請求項1に記載の食器洗い機の小物入れ。
【請求項3】
前記底面部は、中央部が山形に高く形成された、
請求項1または2に記載の食器洗い機の小物入れ。
【請求項4】
前記底面部は、中央部が谷形に低く形成された、
請求項1〜のいずれか1項に記載の食器洗い機の小物入れ。
【請求項5】
前記底孔は、ウェーブ形状の長手方向を、前記底面部の傾斜方向に設けられた、
請求項またはに記載の食器洗い機の小物入れ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の小物入れを備えた食器洗い機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水を用いて食器などを洗浄する食器洗い機の小物入れに関する。
【背景技術】
【0002】
食器などを洗浄する食器洗い機は、洗浄ポンプによって加圧された洗浄水が洗浄ノズルの噴射口から食器に向けて噴射され、食器に付着した汚れを洗い流して洗浄するのが一般的である。皿や碗などの食器類は、食器かごに載置され、箸やスプーンなどの小物食器類は、小物入れに収容される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載された食器洗浄機は、図10に示すように、箸やスプーンなどの小物食器類31を収容する小物入れ32は、皿や碗などの食器類33を載置する食器かご34に設けられ、洗浄槽35内に設置される。小物入れ32は、合成樹脂製で矩形箱状に形成され、小物食器類31を出し入れする上面は開放されている。小物入れ32の側面は、食器かご34の下方に設けられた洗浄ノズル36から噴射される洗浄水が入る格子状の孔37が多数形成される。さらに、小物入れ32の底面は、小物食器類31が落ち込まないように、小さな孔が多数形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−180607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、箸やスプーンなどの小物食器類は、小物入れに立て掛けるようにして収容されるため、小物入れの底面は、小物食器類が落ち込まないように洗浄水が入る孔が小さく形成される。その結果、孔の面積が小さくなり、洗浄ノズルから噴射される洗浄水が小物入れの中に入り難いという問題があった。一方、洗浄水が入り易くするために孔の面積を大きくする方法として、長孔にすることが考えられる。この場合は、柄の部分が薄くて小さいスプーンなどが落ち込むおそれがある。したがって、小物食器類の落ち込み防止と、洗浄水を入り易くして洗浄効果を高めることができる小物入れを実現することが課題であった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、小物食器類の落ち込みを防止するとともに、底面の孔から洗浄水が入り易くして、洗浄効果を高めることができる食器洗い機の小物入れを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の食器洗い機の小物入れは、スプーンを含む
小物食器類を収容する収容部と、前記収容部に収容された小物食器類を支持する底面部と、前記底面部に設けられた底孔とを備え、前記底孔は、前記小物食器類を支持可能な円弧部で構成されるウェーブ形状のスリットで形成されたものである。
【0008】
この構成によって、箸やスプーンなどの小物食器類の落ち込みを防止して底孔の面積を大きくすることができ、小物入れに収容された小物食器類の洗浄効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の食器洗い機の小物入れは、収容される小物食器類が底孔に落ち込むことなく、洗浄効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1における小物入れを備えた食器洗い機の要部断面図
図2】本実施の形態における食器洗い機の小物入れの斜視図
図3】本実施の形態における食器洗い機の小物入れの底面部の平面図
図4】本実施の形態における食器洗い機の小物入れの底孔の拡大図
図5】本実施の形態における食器洗い機の小物入れの図3のX−X断面図
図6】本実施の形態における食器洗い機の小物入れの要部断面図
図7】本実施の形態における食器洗い機の小物入れの下方から見た斜視図
図8】本実施の形態における食器洗い機の小物入れの下方から見た要部拡大図
図9】本実施の形態における食器洗い機の小物入れの他の例の底孔の平面図
図10】従来の食器洗浄機の要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明の食器洗い機の小物入れは、小物食器類を収容する収容部と、前記収容部に収容された小物食器類を支持する底面部と、前記底面部に設けられた底孔とを備え、前記底孔は、前記小物食器類を支持可能なウェーブ形状のスリットで形成されたものである。
【0012】
この構成によって、柄の部分が薄くて小さいスプーンなどの落ち込みを防止して、底孔の面積を大きくすることができる。したがって、洗浄ノズルから噴射される洗浄水が底面部に設けられた底孔から入り易くなり、小物入れに収容された小物食器類の洗浄効果を高めることができる。また、底孔の面積が大きくなることによって、水の膜が張り難くなり、乾燥性能が向上する。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記底孔は、円弧部を含んでウェーブ形状に形成されたものである。この構成によって、柄の部分が薄くて小さいスプーンなどが円弧部によって落ち込みが防止でき、かつ、底孔の面積を大きくすることができる。したがって、洗浄ノズルから噴射される洗浄水が底面部に設けられた底孔から入り易くなり、小物入れに収容された小物食器類の洗浄効果を高めることができる。また、底孔の面積が大きくなることによって、水の膜が張り難くなり、乾燥性能が向上する。
【0014】
第3の発明は、特に、第1の発明において、前記底孔は、屈曲部を含んでウェーブ形状に形成されたものである。この構成によって、柄の部分が薄くて小さいスプーンなどが屈曲部によって落ち込みが防止でき、かつ、底孔の面積を大きくすることができる。したがって、洗浄ノズルから噴射される洗浄水が底面部に設けられた底孔から入り易くなり、小物入れに収容された小物食器類の洗浄効果を高めることができる。また、底孔の面積が大きくなることによって、水の膜が張り難くなり、乾燥性能が向上する。
【0015】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記底面部は、少なくとも、上面側および下面側のいずれかに、ウェーブ形状の前記底孔に沿うようにリブが設けられたものである。この構成によって、リブが底面部の上面側に設けられた場合は、小物入れに収容されたスプーンなどの小物食器類の倒れを防止できる。また、リブが底面部の下面側に設けられた場合は、底孔に水の膜が張り難く、水はけをよくすることができ、小物入れに入った洗浄水の底孔からの排出が促進されて、洗浄性能と乾燥性能が向上する。
【0016】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記底面部は、中央部が山形に高く形成されたものである。この構成によって、小物入れに入った洗浄水と、
小物食器類から洗い落とされた汚れ物質が、底面部の傾斜によって排出が促進されて水はけをよくすることができ、洗浄性能と乾燥性能が向上する。
【0017】
第6の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記底面部は、中央部が谷形に低く形成されたものである。この構成によって、小物入れに入った洗浄水と、小物食器類から洗い落とされた汚れ物質が、底面部の傾斜によって排出が促進されて水はけをよくすることができ、洗浄性能と乾燥性能が向上する。
【0018】
第7の発明は、特に、第5または第6の発明において、前記底孔は、ウェーブ形状の長手方向を、前記底面部の傾斜方向に設けられたものである。この構成によって、小物食器類から洗い落とされた汚れ物質の排出が促進され、小物入れ内での残留が抑制される。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における小物入れを備えた食器洗い機の要部断面図であり、食器洗い機がシステムキッチンSKにビルトインされた状態を示す。図2は、本実施の形態における食器洗い機の小物入れの斜視図である。図3は、本実施の形態における食器洗い機の小物入れの底面部の平面図である。図4は、本実施の形態における食器洗い機の小物入れの底孔の拡大図である。図5は、本実施の形態における食器洗い機の小物入れの図3のX−X断面図である。図6は、本実施の形態における食器洗い機の小物入れの要部断面図である。図7は、本実施の形態における食器洗い機の小物入れの下方から見た斜視図である。図8は、本実施の形態における食器洗い機の小物入れの下方から見た要部拡大図である。
【0021】
図1図8において、本実施の形態の小物入れを備えた食器洗い機は、筐体1と、洗浄槽2と、洗浄ポンプ3と、給水弁4と、扉体5などを含む。筐体1は、前面に前面開口部1aを有する。洗浄槽2は、内部に食器かご6と、洗浄ノズル7と、排水口8と、残さいフィルタ9などを含む。洗浄槽2は、筐体1の内部に前後方向に出し入れ可能に設けられる。洗浄槽2は、上面に上面開口部2aを有する。上面開口部2aは、洗浄槽2が筐体1内に収容されたときに、筐体1内に配設された内蓋10で閉塞される。内蓋10は、洗浄槽2の出し入れと連動してリンク機構11により上下動する。上面開口部2aの周縁部に変形可能な中空状のゴムチューブで形成されたシール部12が設けられる。シール部12は、洗浄槽2が筐体1内に収容された際に、下降する内蓋10により圧縮されて上面開口部2aが密閉される。
【0022】
扉体5は、洗浄槽2の前部に設けられ、収納時に筐体1の前面を覆う。洗浄槽2の出し入れは、扉体5に設けられたハンドル5aを把持して行われる。給水弁4は、筐体1内部の後部に設けられる。給水弁4は、開放により、洗浄水となる、例えば水道水を洗浄槽2に供給する。洗浄ポンプ3は、筐体1内の底面に設けられる。洗浄ノズル7は、洗浄槽2内の底面側に設けられる。
【0023】
洗浄ポンプ3は、洗浄水を洗浄ノズル7に圧送する。洗浄ノズル7は、圧送された洗浄水により回転しながら、食器かご6に載置された被洗浄物に向けて洗浄水を噴射する。つまり、洗浄ポンプ3は、洗浄槽2内に溜められた洗浄水を加圧して洗浄ノズル7に供給する。洗浄ノズル7から噴射された洗浄水は、被洗浄物に衝突して汚れを落とし、洗浄を行う。なお、洗浄水は、洗剤を含んで被洗浄物に噴射される洗浄液と、被洗浄物をすすぐためのすすぎ水とを含む。
【0024】
排水口8は、洗浄槽2内の底部に設けられる。残さいフィルタ9は、排水口8に着脱自在に設けられ、被洗浄物から洗浄、除去された残さいを捕集する。ヒータ13は、洗浄槽2内の底部に溜められる洗浄水中に没するように配設される。ヒータ13は、洗い工程において、洗浄槽2内に溜められた洗浄水を加熱する。ヒータ13は、乾燥工程において、洗浄槽2内の乾燥用空気を加熱する。洗浄槽2の底面外側に配設されたサーミスタ等の温度センサ14は、洗浄槽2の温度を検知する。
【0025】
洗浄ポンプ3は、吸い込み側が排水口8に連通され、残さいフィルタ9で残さいが除去された洗浄水を循環させる。さらに、洗浄ポンプ3は、循環時のモータの回転方向を反転させることにより、残さいが除去された洗浄水を排水可能に構成される。
【0026】
洗浄運転を制御する制御部15は、扉体5の内側に設けられている。制御部15は、被洗浄物を洗う洗い工程、被洗浄物に付着した洗剤および残さいを流す、すすぎ工程、および、被洗浄物を乾燥させる乾燥工程を逐次制御し、洗浄運転を実行する。
【0027】
食器かご6は、被洗浄物である皿や碗などの食器類16が載置され、洗浄槽2内に設置される。食器かご6は、小物入れ17が取り外し可能に設けられる。小物入れ17は、被洗浄物である箸やスプーンなどの小物食器類18が収容される。小物入れ17は、合成樹脂製で矩形箱状に形成され、小物食器類18を出し入れする上面は開放されている。小物入れ17は、大きさや形の異なる様々な小物食器類18が最適に収容されるように、深さや大きさの異なる複数の収容部19(19a、19b、19c)が設けられる。小物入れ17の側面部20は、食器かご6の下方に設けられた洗浄ノズル7から噴射される洗浄水が入る格子状の孔21が多数形成される。小物入れ17の底面部22は、ウェーブ形状のスリットで形成された底孔23が設けられる。
【0028】
底孔23は、小物入れ17に設けられた収容部19a、19b、19cの底面部22の全域に亘って形成される。小物入れ17に立て掛けて収容された小物食器類18は、小物入れ17の底面部22に形成された底孔23(23a、23b、23c)に落ち込むことなく支持される。底孔23は、複数の円弧部24を有するスリットであり、円弧部24が反対側へ膨らむことでウェーブ形状に形成されている。底孔23aと底孔23bの間に、底孔23cが長手方向にずれて配設される。互いに隣接する底孔23a、底孔23b、底孔23cの間隔は、底孔23の幅Aと略同等である。
【0029】
底孔23の寸法の一例は、次の通りである。
底孔23の幅A=1.9mm〜2.4mm
底孔23の長さB=8mm〜20mm
底孔23の円弧部24の半径R=5mm〜12mm
ウェーブ形状のスリットで形成された底孔23は、小物食器類18が箸などの場合、スリットの幅Aは箸などより小さく設定され、箸などが底孔23に落ち込むことがない。そして、小物食器類18が柄の部分が薄くて小さいスプーンなどの場合、円弧部24によってスプーンなどの柄が底孔23に落ち込むことがない。したがって、小物食器類18が収容部19a、19b、19cのいずれに入れられても、底面部22で支持される。底孔23は、連結部22aによって長手方向に繋がっている。連結部22aは、長手方向にずれた隣接する底孔23の中央部分と対向するように配設されており、これによって、底面部22の強度が確保される。
【0030】
小物入れ17の底面部22は、ウェーブ形状に形成された底孔23に沿うようにリブ25が設けられている。リブ25は、底面部22の上面側と下面側に設けられる。上面側に設けられたリブ25aは、小物入れ17に収容されたスプーンなどの倒れを防止する。リブ25aは、所定の間隔を有して設けられ、例えば、リブ25a間に、5列の底孔23を
隔てて形成される。リブ25aの幅は、底孔23の幅Aと略同等で、高さは、底孔23の幅Aより大に形成される。底面部22の下面側に設けられたリブ25bは、底孔23に水の膜が張り難くし、小物入れ17に入った洗浄水の水はけをよくする。リブ25bは、所定の間隔を有して設けられ、例えば、リブ25b間に、2列の底孔23を隔てて形成される。リブ25bの幅は、底孔23の幅Aと略同等で、高さは、底孔23の幅Aより大に形成される。
【0031】
また、小物入れ17の底面部22は、中央部が高い山形に傾斜している。中央部より低い両端部は、側面部20に設けられた孔21aと対向している。小物入れ17に入った洗浄水や、小物食器類18から洗い落とされた汚れ物質は、底面部22の傾斜を孔21aに向かって流れ、小物入れ17から迅速に排出される。底面部22の傾斜角度は、例えば、水平に対して15度〜20度程度が好ましい。
【0032】
なお、図示しないが、底面部22の傾斜は、中央部が低い谷形に形成されてもよい。この場合の底面部22の傾斜角度は、山形に形成された場合と同様である。底孔23は、ウェーブ形状に形成されたスリットの長手方向を、底面部22の傾斜方向に設けられている。
【0033】
図9は、小物入れ17の他の例の底孔23の平面図である。底面部22に形成される底孔23は、複数の屈曲部26を連結して形成されたものである。屈曲部26は、凸部26aと凹部26bを有し、これらを交互に設けることによってウェーブ形状のスリットが形成される。この構成により、底孔23は、円弧部24を有するウェーブ形状のスリットと同様の作用効果を奏する。
【0034】
小物入れ17の底面部22にウェーブ形状に形成された底孔23は、これらの形状により、スリットを中断する連結部を少なくすることができ、下方から噴射される洗浄水が多く通過して、効率よく洗浄できるものである。ウェーブ形状は、円弧部24および屈曲部26などの様々な組み合わせにより、スプーンの柄などが落ち込まないように形成されればよく、記載された形状に限定されるものではない。
【0035】
次に、上記小物入れ17を備える食器洗い機の動作について説明する。まず、使用者は、扉体5のハンドル5aを把持して食器洗い機の筐体1から洗浄槽2を引き出す。開放された洗浄槽2の上面開口部2aから、被洗浄物である皿や碗などの食器類16を食器かご6にセットし、被洗浄物である箸やスプーンなどの小物食器類18を小物入れ17に立て掛けて収容した後、洗浄槽2を筐体1内に押し込んで扉体5を閉じる。そして、使用者は、制御部15に接続された操作部(図示せず)で、運転コースを設定し、例えば、開始ボタン(図示せず)を操作して、洗浄運転を開始する。これにより、制御部15は、運転コースに基づいて、洗浄運転を実行する。
【0036】
洗い工程は、制御部15により給水弁4を動作させて、所定量の洗浄水を洗浄槽2に供給する。給水が完了すると、洗浄ポンプ3を駆動して洗浄水を圧送し、洗浄槽2の底部近傍に配設された洗浄ノズル7から被洗浄物に向けて洗浄水を噴射する。洗浄ノズル7から噴射された洗浄水は、食器かご6に載置された食器類16の汚れを洗い落とす。また、小物入れ17の側面部20に設けられた孔21、および、小物入れ17の底面部22に設けられた底孔23を通過し、収容されている小物食器類18の汚れを洗い落とす。小物食器類18から洗い落とされて、小物入れ17の中に落下した洗浄水と汚れ物質は、孔21aに向かって下り傾斜の底面部22を流れて、迅速に小物入れ17の外へ排出される。
【0037】
次に、噴射された洗浄水は、被洗浄物である食器類16および小物食器類18の汚れを洗浄し、残さいフィルタ9と排水口8を通過して、再度、洗浄ポンプ3に吸い込まれる。
洗浄ポンプ3は、吸い込んだ洗浄水を圧送し、洗浄ノズル7に洗浄水を供給して循環して洗浄を行う。制御部15は、洗い工程を所定時間(例えば、30分)実行した後、洗浄ポンプ3のモータの回転方向を反転させ、洗浄槽2内の汚れを含む洗浄水を排水口8から筐体1外へ排水する。
【0038】
次に、洗い工程に続いてすすぎ工程が実行される。すすぎ工程は、洗い工程と同様に、洗浄ポンプ3が駆動され、洗浄ノズル7から新しい洗浄水を噴射する。これにより、食器類16および小物食器類18に残留する洗剤および残さいなどを、洗浄水で洗い流す。このとき、洗浄水の排出、すすぎ、洗浄水の供給などのすすぎ動作を複数回(例えば、2回〜3回)繰り返す。そして、すすぎ工程が終了すると、続いて、ヒータ13で洗浄槽2内の空気を加熱し、ファン(図示せず)により送風する。これにより、食器類16および小物食器類18を乾燥させる、制御部15は、乾燥工程を所定時間(例えば、30分)行い、洗浄運転が終了する。
【0039】
以上のように、本実施の形態の食器洗い機の小物入れは、小物食器類18を収容する収容部19と、収容部19に収容された小物食器類18を支持する底面部22と、底面部22に設けられた底孔23とを備え、底孔23は、小物食器類18を支持可能なウェーブ形状のスリットで形成されたものである。この構成によって、柄の部分が薄くて小さいスプーンなどの落ち込みを防止して、底孔23の面積を大きくすることができる。したがって、洗浄ノズル7から噴射される洗浄水が、底面部22に設けられた底孔23から小物入れ17の中に入り易くなり、小物入れ17に収容された小物食器類18の洗浄効果を高めることができる。また、底孔23の面積が大きくなることによって、水の膜が張り難くなり、乾燥性能が向上する。
【0040】
また、底孔23は、円弧部24を含んでウェーブ形状に形成されたものである。この構成によって、柄の部分が薄くて小さいスプーンなどが円弧部24によって落ち込みが防止でき、かつ、底孔23の面積を大きくすることができる。したがって、洗浄ノズル7から噴射される洗浄水が、底面部22に設けられた底孔23から小物入れ17の中に入り易くなり、小物入れ17に収容された小物食器類18の洗浄効果を高めることができる。また、底孔23の面積が大きくなることによって、水の膜が張り難くなり、乾燥性能が向上する。
【0041】
また、底孔23は、屈曲部26を含んでウェーブ形状に形成されたものである。この構成によって、柄の部分が薄くて小さいスプーンなどが屈曲部26によって落ち込みが防止でき、かつ、底孔23の面積を大きくすることができる。したがって、洗浄ノズル7から噴射される洗浄水が、底面部22に設けられた底孔23から小物入れ17の中に入り易くなり、小物入れ17に収容された小物食器類18の洗浄効果を高めることができる。また、底孔23の面積が大きくなることによって、水の膜が張り難くなり、乾燥性能が向上する。
【0042】
また、底面部22は、ウェーブ形状の底孔23に沿うようにリブ25が設けられたものである。この構成によって、リブ25が底面部22の上面側に設けられた場合は、小物入れ17に収容されたスプーンなどの小物食器類18の倒れを防止できる。また、リブ25が底面部22の下面側に設けられた場合は、底孔23に水の膜が張り難く、水はけをよくすることができ、小物入れ17に入った洗浄水の底孔23からの排出が促進されて、洗浄性能と乾燥性能が向上する。
【0043】
また、底面部22は、中央部が山形に高く形成されたものである。この構成によって、小物入れ17に入った洗浄水と、小物食器類18から洗い落とされた汚れ物質が、底面部22の傾斜により、排出が促進されて水はけをよくすることができ、洗浄性能と乾燥性能
が向上する。
【0044】
また、底面部22は、中央部が谷形に低く形成されたものである。この構成によって、小物入れ17に入った洗浄水と、小物食器類18から洗い落とされた汚れ物質が、底面部22の傾斜により、排出が促進されて水はけをよくすることができ、洗浄性能と乾燥性能が向上する。
【0045】
また、底孔23は、ウェーブ形状の長手方向を、底面部22の傾斜方向に設けられたものである。この構成によって、小物食器類18から洗い落とされた汚れ物質の排出が促進され、小物入れ17内での残留が抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明にかかる食器洗い機の小物入れは、収容される小物食器類が底孔に落ち込むことなく、洗浄効果を高めることができるので、食器洗い機の小物入れとして有用である。
【符号の説明】
【0047】
17 小物入れ
18 小物食器類
19(19a、19b、19c) 収容部
22 底面部
23(23a、23b、23c) 底孔
25(25a、25b) リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10