(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記新設備コスト算出工程において、前記新設備コスト算出部は、前記変更コストとして前記現在の設備構成から前記新たな設備構成に変更する場合の設備停止時間を考慮し、前記コスト総計を算出する、請求項7に記載の設備構成作成支援方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、設備構成を変更する前提で目標値を満たす新たな設備構成を決定しており、現状の設備構成で生産を継続した場合と比較して、設備構成を変更した後のコストが実際に削減されるかどうかが不明確であるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、現状の部品実装ラインよりコストが削減可能な設備構成の作成を支援することができる設備構成作成支援システムおよび設備構成作成支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の設備構成作成支援システムは、部品実装装置を含む部品実装ラインの設備構成の作成を支援する設備構成作成支援システムであって、現在の設備構成を記憶する現設備構成情報記憶部と、前記現設備構成情報記憶部に記憶された前記現在の設備構成で生産をする際に発生する現設備
生産コストを算出する現設備コスト算出部と、前記現在の設備構成から変更された新たな設備構成を作成する設備構成変更部と、前記設備構成変更部によって作成された前記新たな設備構成を記憶する新設備構成情報記憶部と、
前記新設備構成情報記憶部に記憶された前記新たな設備構
成で生産をする際に発生する
新設備生産コストと前記現在の設備構成から前記新たな設備構成に変更することにより発生する変更コストとを含むコスト総計を算出する新設備コスト算出部と、前記新設備コスト算出部によって算出された前記
コスト総計が前記現設備コスト算出部によって算出された前記現設備
生産コストより削減されるか否かを判断し、削減される場合には前記現在の設備構成を前記新たな設備構成に変更するよう決定するコスト判断部と、を備え、前記設備構成変更部は、他に新たな設備構成が変更可能な限り新たな設備構成を作成することによって複数の新たな設備構成を作成し、前記コスト判断部は
、前記現在の設備構成を前記設備構成変更部によって作成された前記複数の新たな設備構成のうち
最もコスト削減可能な新たな設備構成に変更するよう決定する。
【0008】
本発明の設備構成作成支援方法は、部品実装装置を含む部品実装ラインの設備構成の作成を支援する設備構成作成支援方法であって、現設備構成情報記憶部が、現在の設備構成を記憶する現設備構成情報記憶工程と、現設備コスト算出部が、前記現設備構成情報記憶工程で前記現設備構成情報記憶部に記憶された前記現在の設備構成で生産をする際に発生する現設備
生産コストを算出する現設備コスト算出工程と、設備構成変更部が、前記現在の設備構成から変更された新たな設備構成を作成する設備構成変更工程と、新設備構成情報記憶部が、前記設備構成変更工程で前記設備構成変更部によって作成された前記新たな設備構成を記憶する新設備構成情報記憶工程と、新設備コスト算出部が
、前記新設備構成情報記憶工程で前記新設備構成情報記憶部に記憶された前記新たな設備構
成で生産をする際に発生する
新設備生産コストと前記現在の設備構成から前記新たな設備構成に変更することにより発生する変更コストとを含むコスト総計を算出する新設備コスト算出工程と、コスト判断部が、前記新設備コスト算出工程で前記新設備コスト算出部によって算出された前記
コスト総計が前記現設備コスト算出工程で前記現設備コスト算出部によって算出された前記現設備
生産コストより削減されるか否かを判断するコスト判断工程と、前記コスト判断工程で前記現設備生産コストより削減されると判断された場合には、前記コスト判断部が、前記現在の設備構成を前記新たな設備構成に変更するよう決定する新設備構成決定工程と、を含み、前記設備構成変更工程では、他に新たな設備構成が変更可能な限り新たな設備構成が作成されることによって複数の新たな設備構成が作成され、前記新設備構成決定工程では
、前記現在の設備構成を前記設備構成変更工程で作成された前記複数の新たな設備構成のうち
最もコスト削減可能な新たな設備構成に変更するよう決定される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現状の部品実装ラインよりコストが削減可能な設備構成の作成を支援することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装ライン、部品実装装置、管理コンピュータの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図2では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(
図2における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(
図2における上下方向)が示される。
【0012】
まず
図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、部品実装ラインLを通信ネットワーク2によって接続し、管理コンピュータ3によって管理する構成となっている。部品実装ラインLは、基板搬送方向の上流側(紙面左側)から下流側(紙面右側)に向けて、はんだ印刷装置M1、印刷検査装置M2、部品実装装置M3〜M6、実装検査装置M7、リフロー装置M8などの部品実装用装置を直列に連結して構成されている。
【0013】
はんだ印刷装置M1、印刷検査装置M2、部品実装装置M3〜M6、実装検査装置M7、リフロー装置M8は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。はんだ印刷装置M1は、はんだ印刷作業部によって上流側から搬入された基板Bにマスクを介してはんだを印刷するはんだ印刷作業を実行する。印刷検査装置M2は、はんだ検査カメラを含む印刷検査作業部によって基板Bに印刷されたはんだの状態を検査する印刷検査作業を実行する。
【0014】
部品実装装置M3〜M6は、部品実装作業部によって基板Bに部品Dを実装する部品実装作業を実行する。なお、部品実装ラインLは、部品実装装置M3〜M6が4台の構成に限定されることなく、部品実装装置M3〜M6が1〜3台であっても5台以上であってもよい。すなわち、部品実装ラインLは、部品実装装置M3〜M6を含んでいる。実装検査装置M7は、部品検査カメラを含む実装検査作業部によって基板Bに搭載された部品Dの状態を検査する実装検査作業を実行する。リフロー装置M8は、装置内に搬入された基板Bを基板加熱部によって加熱して、基板B上のはんだを硬化させ、基板Bの電極部と部品Dとを接合する基板加熱作業を実行する。
【0015】
次に
図2を参照して、部品実装装置M3〜M6の構成を説明する。部品実装装置M3〜M6は同様の構成であり、ここでは部品実装装置M3について説明する。部品実装装置M3は、部品Dを基板Bに実装する機能を有している。
【0016】
図2において、基台4の中央にはX方向に基板搬送機構5が配設されている。基板搬送機構5は上流側から搬入された基板Bを搬送し、部品実装作業を実行するための位置に位置決めする。基板搬送機構5の両側方には、部品供給部6が配置されている。それぞれの部品供給部6には複数のテープフィーダ7がX方向に並列に配置されている。テープフィーダ7は、部品Dを収納したキャリヤテープをテープ送り方向にピッチ送りすることにより、以下に説明する部品実装機構の実装ヘッドによる部品取り出し位置に部品Dを供給する。
【0017】
部品供給部6には、テープフィーダ7に替わり、もしくは、テープフィーダ7と共存する構成で、複数の部品Dを収納したトレイを部品取り出し位置に供給するトレイフィーダ(図示省略)を配置することもできる。テープフィーダ7およびトレイフィーダは、部品取り出し位置に部品Dを供給する部品供給装置である。部品供給部6に部品供給装置としてテープフィーダ7を配置するかトレイフィーダを配置するかは、供給する部品Dの種類、サイズなどに応じて自在に変更される。
【0018】
基台4上面においてX方向の一方側の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム8がY方向に沿って配設されている。Y軸ビーム8には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸ビーム9が、Y方向に移動自在に結合されている。X軸ビーム9はX方向に沿って配設されている。2基のX軸ビーム9には、それぞれ実装ヘッド10がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド10は、部品Dを吸着保持して昇降可能な複数の吸着ユニット10aを備える。吸着ユニット10aのそれぞれの先端には、吸着ノズル(図示省略)が装着されている。
【0019】
実装ヘッド10は、備える吸着ユニット10aの個数や吸着ユニット10aの形状・サイズが異なる種類が用意されており、自在に交換してX軸ビーム9に装着することができる。備える吸着ユニット10aの個数が多いと、実装ヘッド10に同時吸着できる部品Dの個数が増えるため、部品実装時間が短縮できる。大きな部品Dを吸着する場合は、吸着ユニット10aが少ないが、吸着ユニット10aのサイズが大きい実装ヘッド10が使用される。このように、部品実装装置M3に装着される実装ヘッド10の種類は、吸着する部品Dの種類、サイズなどに応じて自在に選択される。
【0020】
図2において、Y軸ビーム8、X軸ビーム9を駆動することにより、実装ヘッド10はX方向、Y方向に移動する。これにより2つの実装ヘッド10は、それぞれ対応した部品供給部6に配置されたテープフィーダ7の部品取り出し位置から部品Dを吸着ノズルによって吸着して取り出して、基板搬送機構5に位置決めされた基板Bの実装点に実装する。Y軸ビーム8、X軸ビーム9および実装ヘッド10は、部品Dを保持した実装ヘッド10を移動させることにより、部品Dを基板Bに実装する部品実装機構を構成する。
【0021】
部品供給部6と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ11が配設されている。部品供給部6から部品を取り出した実装ヘッド10が部品認識カメラ11の上方を移動する際に、部品認識カメラ11は実装ヘッド10に保持された状態の部品Dを撮像して部品Dの保持姿勢を認識する。実装ヘッド10が取り付けられたプレート9aには基板認識カメラ12が取り付けられている。基板認識カメラ12は、実装ヘッド10と一体的に移動する。
【0022】
実装ヘッド10が移動することにより、基板認識カメラ12は基板搬送機構5に位置決めされた基板Bの上方に移動し、基板Bに設けられた基板マーク(図示省略)を撮像して基板Bの位置を認識する。実装ヘッド10による基板Bへの部品実装動作においては、部品認識カメラ11による部品Dの認識結果と、基板認識カメラ12による基板位置の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0023】
このように、部品実装装置M3において、基板搬送機構5、部品実装機構(Y軸ビーム8、X軸ビーム9、実装ヘッド10)、部品認識カメラ11、基板認識カメラ12は、基板Bを搬送して部品供給部6が供給する部品Dを搬送された基板Bに実装する部品実装作業部13(
図3参照)を構成する。
【0024】
次に
図3を参照して、部品実装システム1の制御系の構成について説明する。部品実装ラインLが備える部品実装装置M3〜M6は同様の構成をしており、以下、部品実装装置M3について説明する。
【0025】
部品実装装置M3は、実装制御部21、実装記憶部22、部品供給部6、部品実装作業部13、通信部23を備えている。通信部23は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して他の部品実装装置M4〜M6、管理コンピュータ3との間で信号、データの授受を行う。実装制御部21は、実装記憶部22が記憶する部品実装データに基づいて部品供給部6に装着されたテープフィーダ7、部品実装作業部13を制御することにより、部品実装装置M3による部品実装作業を実行させる。
【0026】
管理コンピュータ3は、管理制御部31、管理記憶部32、入力部33、表示部34、通信部35を備えている。入力部33は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部34は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部33による操作のための操作画面などの各種情報を表示する。通信部35は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して部品実装ラインLの部品実装装置M3〜M6との間で信号、データの授受を行う。
【0027】
管理制御部31はCPUなどの演算装置であり、管理記憶部32が記憶する情報に基づいて部品実装システム1を管理する。管理制御部31は、内部処理機能として生産時間予測部31a、設備稼働率予測部31b、作業人数予測部31c、設備構成変更部31d、コスト算出部31e、コスト判断部31fを備えている。管理記憶部32は記憶装置であり、実装データ32a、生産計画情報32b、現設備構成情報32c、新設備構成情報32d、生産時間情報32e、設備稼働率情報32f、作業人数情報32g、コスト削減目標情報32h、コスト単価情報32i、設備停止時間情報32j、算出コスト情報32kなどを記憶する。
【0028】
図3において、実装データ32aは、実装される部品Dの部品種や基板Bにおける実装点などのデータであり、生産対象の基板種(実装基板)ごとに記憶される。生産計画情報32b(生産計画に関する情報)には、部品実装システム1において所定の期間(例えば、6ヶ月)に計画されている、部品実装ラインLにおいて生産される実装基板の種類、枚数などを含む生産計画が記憶されている。
【0029】
現設備構成情報32c(現状の設備構成に関する情報)には、現状の部品実装ラインLを構成する、部品実装装置M3〜M6を含む部品実装用装置の設備構成(現設備構成)が記憶されている。新設備構成情報32dには、設備構成変更部31dによって現状の部品実装ラインLから変更された部品実装用装置の設備構成(新設備構成)が記憶されている。現設備構成情報32cおよび新設備構成情報32dが記憶する設備構成には、部品実装装置M3〜M6に装着される実装ヘッド10の種類や部品供給部6に装着されるテープフィーダ7、トレイフィーダなどの部品供給装置の種類が含まれる。そして、設備構成変更部31dによる設備構成の変更には、部品実装装置M3〜M6の実装ヘッド10の種類の変更、部品供給装置の変更が含まれる。
【0030】
図3において、生産時間予測部31aは、実装データ32a、生産計画情報32b、現設備構成情報32c、新設備構成情報32dに基づいて、所定の設備構成の部品実装ラインLによって計画された枚数の実装基板を生産するのに必要な生産時間Tpを実装基板毎に算出(予測)する。算出された生産時間Tpは、生産時間情報32eとして管理記憶部32に記憶される。
【0031】
設備稼働率予測部31bは、部品実装ラインLが実装基板を生産している稼働時間の、部品実装ラインLに電力が供給されている時間に対する比率である設備稼働率Roを算出する。部品実装ラインLに電力が供給されているが実装基板を生産していない時間(非稼働時間)には、生産基板種を変更する段取り替えに必要な段取り替え時間Tc、メンテナンス時間などが含まれる。設備稼働率予測部31bは、実装データ32a、生産計画情報32b、現設備構成情報32c、新設備構成情報32dに基づいて、所定の設備構成の部品実装ラインLにおいて発生する段取り替え時間Tcを段取り替え毎に算出(予測)する。メンテナンス時間は、過去の生産記録(生産ログ)などに基づいて予測される。算出された設備稼働率Roは、設備稼働率情報32fとして管理記憶部32に記憶される。
【0032】
作業人数予測部31cは、実装データ32a、生産計画情報32b、現設備構成情報32c、新設備構成情報32dに基づいて、生産時間予測部31a、設備稼働率予測部31bと連携しながら、部品実装ラインLおいて発生する段取り作業、部品補給作業、メンテナンス作業などに必要な作業者の一日当たりの平均人数(以下、作業人数Noと称す)を算出(予測)する。算出された作業人数Noは、作業者人数情報32gとして管理記憶部32に記憶される。
【0033】
図3において、コスト削減目標情報32h(コスト削減目標に関する情報)には、部品実装ラインLの設備構成を現設備構成から新設備構成へ変更する際のコスト削減目標が、入力部33より入力されて記憶されている。コスト単価情報32iには、所定の設備構成の部品実装ラインLにおいて実装基板を生産する際の単位時間当たりの装置稼働コスト、作業者の人件費、部品実装用装置、実装ヘッド10、部品供給装置の各購入コスト、設備構成を変更するのに必要な移設コスト、設置コスト、フロアの工事費用などが記憶されている。
【0034】
設備停止時間情報32jには、部品実装ラインLの設備構成を現設備構成から新設備構成に変更する際に必要な時間、すなわち、設備を停止させて設備構成を変更する場合の設備停止時間Tsが記憶されている。設備停止時間Tsは、設備構成変更部31dによって設備構成が変更される際に算出される。
【0035】
図3において、コスト算出部31eは、現設備構成情報32c、新設備構成情報32d、生産時間情報32e、設備稼働率情報32f、作業人数情報32g、コスト単価情報32i、設備停止時間情報32jに基づいて、生産コストCp、変更コストCc、および生産コストCpと変更コストCcとを含むコスト総計Csを算出する。生産コストCpは、所定の設備構成(現設備構成、新設備構成)の部品実装ラインLで特定期間内に実装基板を生産する際に発生するコストである。変更コストCcは、設備構成を現状の設備構成(現設備構成)から新たな設備構成(新設備構成)へ変更することにより発生するコストである。
【0036】
コスト算出部31eは、生産コストCpとして、所定の設備構成による生産時間予測部31aが算出する生産時間Tp、設備稼働率予測部31bが算出する設備稼働率Ro、作業人数予測部31cが算出する作業人数Noの少なくともいずれかを考慮し、コスト総計Csを算出する。コスト算出部31eは、変更コストCcとして設備構成を変更する場合の設備停止時間Tsを考慮し、コスト総計Csを算出する。算出された生産コストCp、変更コストCc、コスト総計Csは、算出コスト情報32kとして管理記憶部32に記憶される。
【0037】
なお、コスト算出部31eは、コスト総計Csを算出する際に、上記生産時間Tp、設備稼働率Ro、作業人数No、設備停止時間Tsの全てを可変値としてコストを算出しても、いずれかの項目を固定値としてコストを算出しても良い。たとえば、作業者の数(作業人数No)は変更前後で変えず、それ以外の項目についてのみ変更してコスト総計Csを算出するようにしても良い。作業者は、固定値として扱う項目、及びその固定値を管理コンピュータ3の入力部33を用いて設定することができる。
【0038】
コスト判断部31fは、コスト削減目標情報32h、算出コスト情報32kに基づいて、部品実装ラインLの設備構成を現設備構成から新設備構成へ変更することによるコスト総計Csの削減額がコスト削減目標を満たすか否かを判断する。すなわち、コスト判断部31fは、新たな設備構成(新設備構成)が現状の設備構成(現設備構成)よりもコスト総計Csがコスト削減目標以上に削減されるか否かを判断する。なお、コスト判断部31fは、コスト削減目標が設定されない場合は、新たな設備構成が現状の設備構成よりもコスト総計Csが削減されるか否かを判断する。
【0039】
ここで、
図4を参照して、コスト算出部31eが算出する生産コストCp、変更コストCc、コスト総計Csと、コスト判断部31fによるコスト総計Csの削減判断について説明する。
図4には、現設備構成と、設備構成変更部31dによって現設備構成から変更された3つの新設備構成(1)〜(3)の部品実装ラインLで、特定期間6ヶ月内の生産をするにあたって発生するコストの例が示されている。
【0040】
図4において、現設備構成でのコスト総計Csには変更コストCcが含まれず、コスト総計Csは全て生産コストCpである。現設備構成の生産コストCpの算出で考慮される、6ヶ月間に計画されている実装基板の生産に必要な生産時間Tpは生産時間予測部31aにより3600時間と予測され、設備稼働率Roは設備稼働率予測部31bによって85%と予測され、作業人数Noは作業人数予測部31cによって15人/日と予測されている。コスト算出部31eは、これらの予測に基づいて生産コストCp(コスト総計Cs)を算出している。
【0041】
同様に、現設備構成で6ヶ月間に計画されている実装基板を新設備構成(1)、新設備構成(2)、新設備構成(3)で生産するのに必要な生産時間Tpは3600時間、3400時間、3500時間、設備稼働率Roは90%、95%、90%、作業人数Noは13人/日、12人/日、14人/日と予測されている。新設備構成(1)、新設備構成(2)、新設備構成(3)での生産コストCpは、これらの予測に基づいて算出される。
【0042】
新設備構成(1)〜(3)では、コスト算出部31eによって変更コストCcも算出される。変更コストCcには、装置導入コストと機会損失コストが含まれる。コスト算出部31eは、コスト単価情報32iに基づいて、現設備構成から新設備構成(1)〜(3)に変更する際に購入される装置の費用、装置の移設、設置費用の総額を装置導入コストとして算出する。
【0043】
また、コスト算出部31eは、設備停止時間Tsに基づいて、現設備構成から新設備構成(1)〜(3)に変更する際に設備が停止して生産することができずに逸脱した利益を機会損失コストとして算出する。すなわち、機会損失コストは、現設備構成から設備構成を変更せずに、設備停止時間Tsだけ生産を行った場合に生産可能な実装基板による仮想的な利益となる。コスト算出部31eは、装置導入コストと機会損失コストを含む変更コストCcを算出し、生産コストCpと合算してコスト総計Csを算出する。
【0044】
図4において、新設備構成(1)では、現設備構成よりも作業の自動化が進んで作業人数Noが削減される分だけ生産コストCpが削減され、コスト総計Csも現設備構成より削減できると予測されている。しかながら、コスト削減目標は満たしていない。新設備構成(2)では、現設備構成よりも作業速度と作業の自動化が向上して生産時間Tpと作業人数Noが削減される分だけ生産コストCpが削減されると予測されている。しかしながら、設備導入コストと機会損失コストが多くて変更コストCcが大きく、特定期間6ヶ月のコスト総計Csでは現設備構成よりも増加すると予測されている。
【0045】
新設備構成(3)では、現設備構成よりも作業速度と作業の自動化が向上して生産時間Tpと作業人数Noが削減される分だけ生産コストCpが削減されると予測されている。しかも、この改善に必要な変更コストCcが新設備構成(2)よりも少ないため、コスト総計Csが現設備構成よりも削減され、かつ、コスト削減目標も満たすと予測されている。コスト判断部31fは、現設備構成のコスト総計Csと新設備構成(1)〜(3)のコスト総計Csを比較して、コスト総計Csの削減がコスト削減目標を満足するか否かを判断する。この例では、新設備構成(3)がコスト削減目標を満足しており、新設備構成(3)が新たな設備構成に決定される。
【0046】
このように、設備構成変更部31d、コスト算出部31e、コスト判断部31fは、部品実装ラインLにおいて特定期間内の生産をするにあたって、現状の設備構成で生産を継続するよりもコスト総計Csが削減される新たな設備構成を作成する設備構成作成部となる。そして、設備構成作成部を備える管理コンピュータ3は、部品実装装置M3〜M6を含む部品実装ラインLの設備構成の作成を支援する設備構成作成支援システムとなる。
【0047】
なお、設備構成作成支援システムは、部品実装ラインLと通信ネットワーク2に接続される管理コンピュータ3に限定されることはない。設備構成作成支援システムは、設備構成作成部を備えるコンピュータであればよく、部品実装ラインLと接続されていなくてもよい。
【0048】
次に、
図5のフローに沿って、部品実装装置M3〜M6を含む部品実装ラインLの設備構成の作成を支援する設備構成作成支援方法について説明する。まず、現在の設備構成(現設備構成)が設定(入力)される(ST1:現設備構成設定工程)。設定された現設備構成は、現設備構成情報32cとして記憶される。次いで、変更前後の設備構成の評価をするための実装基板の生産計画が設定される(ST2:生産計画設定工程)。具体的には、生産計画情報32bに含まれる評価対象の生産計画と評価対象の期間(特定期間)が指定される。次いで、コスト削減目標が設定される(ST3:目標設定工程)。コスト削減目標は、入力部33より入力されてコスト削減目標情報32hとして記憶される。
【0049】
次いでコスト算出部31eは、現設備構成での部品実装ラインLの生産コストCp、コスト総計Csを算出し、算出コスト情報32kとして記憶する(ST4:現コスト算出工程)。次いで設備構成変更部31dは、現設備構成から新たな設備構成(新設備構成)に設備構成を変更する(ST5:設備構成変更工程)。設備構成の変更には、部品実装装置M3〜M6の実装ヘッド10の種類の変更、部品供給装置の変更が含まれる。これによって、部品実装ラインLを構成する部品実装装置M3〜M6の追加、更新だけでなく、実装ヘッド10や部品供給装置(テープフィーダ7、トレイフィーダ)の更新によるコスト削減の効果を予測することができる。作成された新設備構成は、新設備構成情報32dとして記憶される。
【0050】
次いでコスト算出部31eは、新設備構成での生産コストCp、変更コストCc、コスト総計Csを算出する(ST6:新コスト算出工程)。新コスト算出工程(ST6)では、変更コストCcとして設備構成を変更する場合の設備停止時間Tsが考慮される。これによって、機会損失コストを考慮することができる。
【0051】
また、現コスト算出工程(ST4)、新コスト算出工程(ST6)では、生産コストCpとして設備構成による生産時間Tp、設備稼働率Ro、作業人数Noの少なくともいずれかが考慮される。その際、生産時間Tpは生産時間予測部31aによって、設備稼働率Roは設備稼働率予測部31bによって、作業人数Noは作業人数予測部31cによって、それぞれ設備構成に基づく算出(予測)が行われる。これによって、生産コストCpをより正確に予測することができる。
【0052】
図5において、次いでコスト判断部31fは、新たな設備構成が現状の設備構成よりもコスト総計Csがコスト削減目標以上に削減されるか否かを判断する(ST7:コスト判断工程)。なお、コスト削減目標が設定されない場合は、コスト判断工程(ST7)において、新たな設備構成が現状の設備構成よりもコスト総計Csが削減されるか否かが判断される。コスト総計Csがコスト削減目標以上に削減された場合(ST7においてYes)、算出された生産コストCp、変更コストCc、コスト総計Csが新たな設備構成に紐付けられて算出コスト情報32kとして記憶される(ST8:新コスト記憶工程)。
【0053】
次いで設備構成変更部31dは、他に設備構成は変更可能か判断する(ST9:変更可能判断工程)。コスト総計Csがコスト削減目標以上に削減されない場合(ST7においてNo)、新コスト記憶工程(ST8)が実行されずに変更可能判断工程(ST9)が実行される。他に設備構成が変更可能な場合(ST9においてYes)、設備構成変更工程(ST5)に戻って、他の新設備構成が作成される。他に設備構成が変更不可能な場合(ST9においてNo)、すなわち、全ての新設備構成でのコスト削減が検討された後、コスト判断部31fは、記憶された算出コスト情報32kを基に、コスト総計Csが一番削減可能な設備構成を新たな設備構成として決定する(ST10:新設備構成決定工程)。
【0054】
このように、現コスト算出工程(ST4)から新設備構成決定工程(ST10)は、部品実装ラインLにおいて特定期間内の生産をするにあたって、現状の設備構成で生産を継続するよりもコスト総計Csが削減される新たな設備構成を作成する設備構成作成工程となる。すなわち、設備構成作成支援方法は、設備構成作成工程を含んでおり、現設備構成(現状の設備構成に関する情報)、評価対象の生産計画(生産計画に関する情報)、コスト削減目標(コスト削減目標に関する情報)が設定されると(ST1〜ST3)、設備構成作成工程において(ST4〜ST10)、新たな設備構成が作成される。これによって、現状の部品実装ラインLよりコストが削減可能な設備構成の作成を支援することができる。
【0055】
上記説明したように、本実施の形態の管理コンピュータ3は、部品実装装置M3〜M6を含む部品実装ラインLの設備構成の作成を支援する設備構成作成支援システムであって、部品実装ラインLにおいて特定期間内の生産をするにあたって、現状の設備構成で生産を継続するよりもコスト総計Csが削減される新たな設備構成を作成する設備構成作成部を備えている。これによって、現状の部品実装ラインLよりコストが削減可能な設備構成の作成を支援することができる。