(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
特許文献3の波長変換部材において、マトリクスに含まれたZnOは、空気中の腐食性ガスと反応することがある。ZnOと腐食性ガスとの反応は、経時的に進行する。上記の反応が経時的に進行することによって、波長変換部材から放射された光の色度が経時変化することがある。
【0011】
本開示の第1態様にかかる波長変換部材は、
ZnOを含むマトリクスと、マトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子とを有する蛍光体層と、ZnCl
2、ZnS及びZnSO
4からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、かつ蛍光体層を被覆している第1保護層と、を備えたものである。
【0012】
第1態様によれば、第1保護層は、空気中の腐食性ガスの透過を抑制する。そのため、蛍光体層のマトリクスに含まれたZnOは、腐食性ガスとほとんど反応しない。すなわち、ZnOと腐食性ガスとの反応が経時的に進行することを抑制できる。これにより、波長変換部材から放射された光の色度の経時変化が十分に抑制される。すなわち、波長変換部材は、高い信頼性を有する。
【0013】
本開示の第2態様において、例えば、第1態様にかかる波長変換部材の前記第1保護層が蛍光体層に接している。第2態様によれば、波長変換部材から放射された光の色度の経時変化を十分に抑制することができる。
【0014】
本開示の第3態様において、例えば、第1又は第2態様にかかる波長変換部材のZnOは、c軸に配向したZnO多結晶である。第3態様によれば、蛍光体層内における光散乱がより抑制される。そのため、波長変換部材において、高い光出力を達成できる。
【0015】
本開示の第4態様において、例えば、第1〜第3態様のいずれか1つにかかる波長変換部材の蛍光体層は、フィラー粒子をさらに有する。第4態様によれば、波長変換部材は、必要とする色度を有する光を放射する。
【0016】
本開示の第5態様において、例えば、第1〜第4態様のいずれか1つにかかる波長変換部材の第1保護層の厚さは、0.5〜20μmの範囲にある。第5態様によれば、第1保護層が十分に薄いため、高い発光効率を達成できる。
【0017】
本開示の第6態様において、例えば、第1〜第5態様のいずれか1つにかかる波長変換部材は、シリコーン樹脂、有機無機ハイブリット材料及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、蛍光体層を被覆している第2保護層をさらに備える。第6態様によれば、第2保護層によって、波長変換部材の強度が向上する。第2保護層によって、腐食性ガスの透過をさらに抑制することもできる。
【0018】
本開示の第7態様にかかる光源は、発光素子と、発光素子から照射された励起光を受けて蛍光を放射する第1〜第6態様のいずれか1つにかかる波長変換部材と、を備えたものである。
【0019】
第7態様によれば、光の色度の経時変化が十分に抑制された光源を提供できる。すなわち、光源は、高い信頼性を有する。
【0020】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
【0021】
(実施形態1)
図1に示すように、本実施形態1にかかる波長変換部材100は、基板10、蛍光体層20及び第1保護層30を備えている。基板10は、蛍光体層20及び第1保護層30を支持している。蛍光体層20は、基板10の上に配置されている。蛍光体層20は、基板10の表面全体を被覆している。蛍光体層20は、基板10の表面を部分的に被覆しているだけでもよい。蛍光体層20の下面は、基板10の上面に接している。
【0022】
第1保護層30は、蛍光体層20の上に配置されている。基板10と第1保護層30との間に蛍光体層20が配置されている。すなわち、波長変換部材100の厚さ方向において、基板10、蛍光体層20及び第1保護層30がこの順番で並んでいる。第1保護層30は、蛍光体層20の表面全体を被覆している。第1保護層30は、蛍光体層20の表面を部分的に被覆しているだけでもよい。第1保護層30の下面は、蛍光体層20の上面に接している。
【0023】
蛍光体層20は、マトリクス21及び蛍光体粒子22を有する。蛍光体層20は、さらに、フィラー粒子23を有していてもよい。マトリクス21は、各粒子間に存在している。各粒子は、マトリクス21に埋め込まれている。言い換えれば、各粒子は、マトリクス21に分散されている。
【0024】
第1の波長帯域を有する励起光が波長変換部材100に照射されたとき、波長変換部材100は、励起光の一部を第2の波長帯域を有する光に変換して放射する。波長変換部材100は、励起光の波長よりも長い波長の光を放射する。第2の波長帯域は、第1の波長帯域と異なる帯域である。ただし、第2の波長帯域の一部が第1の波長帯域に重なっていてもよい。波長変換部材100から放射された光には、蛍光体粒子22から放射された光だけでなく、励起光そのものが含まれていてもよい。
【0025】
基板10は、基板本体11及び薄膜12を有する。基板10の厚さは、例えば、蛍光体層20の厚さよりも大きい。基板本体11は、サファイア(Al
2O
3)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、シリコン、アルミニウム、ガラス、石英(SiO
2)、炭化ケイ素(SiC)及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。基板本体11は、例えば、励起光及び蛍光体粒子22から放射された光に対して透光性を有していてもよいし、有していなくてもよい。基板本体11は、鏡面研磨された表面を有していてもよい。
【0026】
基板本体11の表面は、反射防止膜、ダイクロイックミラー、金属反射膜、増反射膜、保護膜などに被覆されていてもよい。反射防止膜は、励起光の反射を防止するための膜である。ダイクロックミラーは、誘電体多層膜によって構成されうる。金属反射膜は、光を反射させるための膜であり、銀、アルミなどの金属材料で作られている。増反射膜は、誘電体多層膜によって構成されうる。保護膜は、これらの膜を物理的又は化学的に保護するための膜でありうる。
【0027】
薄膜12は、蛍光体層20を形成するための下地層として機能する。蛍光体層20のマトリクス21が結晶質であるとき、薄膜12は、マトリクス21の結晶成長過程における種結晶として機能する。つまり、薄膜12は、単結晶薄膜又は多結晶薄膜である。マトリクス21がZnO単結晶又はZnO多結晶によって構成されているとき、薄膜12は、ZnO単結晶薄膜又はZnO多結晶薄膜でありうる。ただし、基板本体11が種結晶の機能を発揮できる場合、薄膜12は省略されていてもよい。例えば、基板本体11が結晶質のGaN又は結晶質のZnOによって構成されているとき、結晶質のZnOによって構成されたマトリクス21を基板本体11の上に直接形成することができる。
【0028】
蛍光体層20において、蛍光体粒子22は、マトリクス21に分散されている。
図1において、蛍光体粒子22は、互いに離れている。フィラー粒子23も蛍光体粒子22から離れている。ただし、蛍光体粒子22が互いに接していてもよいし、フィラー粒子23が蛍光体粒子22に接していてもよい。蛍光体粒子22に複数のフィラー粒子23が接していてもよい。蛍光体粒子22及びフィラー粒子23は、石垣のように積まれていてもよい。
【0029】
蛍光体粒子22は、励起光を受けて蛍光を放射する。蛍光体粒子22の材料は、特に限定されない。種々の蛍光物質が蛍光体粒子22の材料として使用されうる。具体的には、Y
3Al
5O
12:Ce(YAG)、Y
3(Al,Ga)
5O
12:Ce(GYAG)、Lu
3Al
5O
12:Ce(LuAG)、(Si,Al)
6(O,N)
8:Eu(β−SiAlON)、(La,Y)
3Si
6N
11:Ce(LYSN)、La
3Si
6N
11:Ce(LSN)、Lu
2CaMg
2Si
3O
12:Ce(LCMS)、Sr
2SiO
4:Eu、(Ba,Sr)Si
2O
2N
2:Eu、Ca
3Sc
2Si
3O
12:Ce、CaSi
2O
2N
2:Euなどの蛍光物質が使用されうる。蛍光体粒子22は、互いに異なる組成を有する複数の種類の蛍光体粒子を含んでいてもよい。蛍光体粒子22の材料は、波長変換部材100から放射されるべき光の色度に応じて選択される。
【0030】
蛍光体粒子22の平均粒径は、例えば、0.1〜50μmの範囲にある。蛍光体粒子22の平均粒径は、例えば、次の方法によって特定することができる。まず、波長変換部材100の断面を走査電子顕微鏡で観察する。得られた電子顕微鏡像において、特定の蛍光体粒子22の面積を画像処理によって算出する。算出された面積と同じ面積を有する円の直径をその特定の蛍光体粒子22の粒径(粒子の直径)とみなす。任意の個数(例えば50個)の蛍光体粒子22の粒径をそれぞれ算出し、算出値の平均値を蛍光体粒子22の平均粒径とみなす。本開示において、蛍光体粒子22の形状は限定されない。蛍光体粒子22の形状は、球状であってもよく、鱗片状であってもよく、繊維状であってもよい。本開示において、平均粒径の測定方法は上記の方法に限定されない。
【0031】
マトリクス21は、ZnOを含む。ZnOは、透明性及び熱伝導性の観点から、マトリクス21の材料に適している。ZnOは、高い熱伝導性を有する。そのため、ZnOがマトリクス21の材料として使用されているとき、蛍光体層20の熱を外部(主に基板10)に容易に逃がすことができる。マトリクス21は、ZnOを主成分として含んでいてもよい。「主成分」とは、マトリクス21に重量比で最も多く含まれた成分を意味する。マトリクス21は、実質的にZnOからなっていてもよい。「実質的に〜からなる」は、言及された化合物の本質的特徴を変更する他の成分を排除することを意味する。ただし、マトリクス21は、ZnOの他に不純物を含んでいてもよい。
【0032】
マトリクス21の材料としてのZnOは、詳細には、ZnO単結晶又はc軸に配向したZnO多結晶である。ZnOは、ウルツ鉱型の結晶構造を有する。「c軸に配向したZnO」とは、基板10の主面(最も広い面積を有する面)に平行な面がc面であることを意味する。マトリクス21がc軸に配向したZnO多結晶を含むとき、蛍光体層20の内部において光散乱が抑制され、高い光出力を達成できる。
【0033】
c軸に配向したZnO多結晶は、c軸に配向した複数の柱状の結晶粒を含む。c軸に配向したZnO多結晶において、c軸方向の結晶粒界が少ない。「柱状の結晶粒がc軸に配向している」とは、c軸方向のZnOの成長がa軸方向のZnOの成長よりも速く、基板10の上に縦長のZnO結晶粒が形成されていることを意味する。ZnO結晶粒のc軸は、基板10の法線方向に平行である。あるいは、基板10の法線方向に対するZnO結晶粒のc軸の傾きが4°以下である。ここで、「c軸の傾きが4°以下」とは、c軸の傾きの分布が4°以下という意味であって、全ての結晶粒のc軸の傾きが4°以下であることを必ずしも意味しない。「c軸の傾き」は、c軸のX線ロッキングカーブ法による半値幅で評価できる。詳細には、c軸のX線ロッキングカーブ法による半値幅が4°以下である。特許文献3(国際公開第2013/172025号)は、c軸に配向したZnO多結晶によって構成されたマトリクスを詳しく開示している。
【0034】
蛍光体層20において、フィラー粒子23は、マトリクス21に分散されている。フィラー粒子23に励起光が照射されたとき、フィラー粒子23は、蛍光の光を放射しないか、無視できる強度の蛍光の光のみを放射する。フィラー粒子23の材料、形状及び添加量は、必要とする色度に応じて適宜調節される。
【0035】
フィラー粒子23は、例えば無機粒子であり、典型的には金属酸化物を含む。フィラー粒子23は、実質的に金属酸化物からなっていてもよい。金属酸化物の多くは、化学的に安定であり、蛍光を殆ど放射しないので、フィラー粒子23の材料として適している。一例において、フィラー粒子23は、Al
2O
3粒子、SiO
2粒子及びTiO
2粒子から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0036】
フィラー粒子23の平均粒径は、例えば、0.1〜20μmの範囲にある。フィラー粒子23の平均粒径は、例えば、蛍光体粒子22の平均粒径よりも小さい。蛍光体粒子22の平均粒径D1に対するフィラー粒子23の平均粒径D2の比率(D2/D1)は、例えば、0.01〜0.90の範囲にある。フィラー粒子23の平均粒径は、蛍光体粒子22の平均粒径と同じ方法によって測定されうる。フィラー粒子23の形状は、球状であってもよく、鱗片状であってもよく、繊維状であってもよい。蛍光体粒子22の体積をV1と定義する。フィラー粒子23の体積をV2と定義する。このとき、V2/(V1+V2)の値は、例えば、0.1〜0.9の範囲にある。
【0037】
第1保護層30は、ZnCl
2、ZnS及びZnSO
4からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。これらの化合物は、空気中の腐食性ガスとほとんど反応しない。腐食性ガスとは、例えば、H
2S、Cl
2、NO
2及びSO
2からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むガスである。第1保護層30は、腐食性ガスとほとんど反応しない。第1保護層30は、腐食性ガスの透過を抑制する。そのため、マトリクス21に含まれたZnOは、腐食性ガスとほとんど反応しない。すなわち、ZnOと腐食性ガスとの反応が経時的に進行することを抑制できる。これにより、波長変換部材100から放射された光の色度の経時変化が十分に抑制される。すなわち、波長変換部材100は、高い信頼性を有する。
【0038】
第1保護層30は、ZnCl
2、ZnS及びZnSO
4からなる群より選ばれる少なくとも1つを主成分として含んでいてもよい。第1保護層30は、ZnCl
2、ZnS及びZnSO
4からなる群より選ばれるいずれか1つを主成分として含んでいてもよい。第1保護層30は、実質的にZnCl
2、ZnS及びZnSO
4からなる群より選ばれる少なくとも1つからなっていてもよい。ただし、第1保護層30は、これらの化合物の他に不純物を含んでいてもよい。
【0039】
第1保護層30の厚さは、例えば、蛍光体層20の厚さよりも小さい。第1保護層30の厚さは、例えば、0.5〜20μmの範囲にある。第1保護層30が薄ければ薄いほど、高い発光効率を達成できる。第1保護層30の厚さは、2.0μm以下であってもよく、1.3μm以下であってもよい。
【0040】
波長変換部材100が第1保護層30を備えていることは、波長変換部材100の表面について元素分析を行うことによって確認できる。元素分析は、例えば、電子線マイクロアナライザによって実施できる。波長変換部材100が第1保護層30を備えていることは、波長変換部材100の表面をレーザー顕微鏡で観察することによって確認できることがある。第1保護層30の厚さは、例えば、電子線マイクロアナライザによって測定できる。
【0041】
次に、波長変換部材100の製造方法を説明する。
【0042】
まず、亜鉛アルコキシドなどの前駆体、蛍光体粒子22及びフィラー粒子23を含む混合ゾルを調製する。基板10の上に塗膜が形成されるように、基板10に混合ゾルを塗布する。塗膜の形成方法としては、印刷法が挙げられる。塗膜をゲル化させ、焼成することによって、蛍光体層20が得られる。
【0043】
マトリクス21がZnO単結晶又はc軸に配向したZnO多結晶である場合、溶液成長法によって基板10の上にマトリクス21を形成することができる。まず、基板10を準備する。基板本体11の上に薄膜12として結晶性のZnO薄膜を形成する。ZnO薄膜を形成する方法としては、電子ビーム蒸着法、反応性プラズマ蒸着法、スパッタリング法、パルスレーザ蓄積法などの真空成膜法が用いられる。薄膜12は、ZnO単結晶薄膜又はZnO多結晶薄膜でありうる。次に、基板10の上(薄膜12の上)に蛍光体粒子22及びフィラー粒子23を含む層を形成する。例えば、蛍光体粒子22及びフィラー粒子23を含む分散液を調製する。基板10を分散液中に配置し、電気泳動法を用いて蛍光体粒子22及びフィラー粒子23を基板10の上に堆積させる。これにより、蛍光体粒子22及びフィラー粒子23を含む層を基板10の上に形成することができる。基板10を分散液中に配置し、蛍光体粒子22及びフィラー粒子23を沈降させることによって基板10の上に蛍光体粒子22及びフィラー粒子23を含む層を形成することもできる。蛍光体粒子22及びフィラー粒子23を含む塗布液を用い、印刷法などの薄膜形成方法によって蛍光体粒子22及びフィラー粒子23を含む層を基板10の上に形成することもできる。
【0044】
次に、Znを含有する溶液を使用した溶液成長法によって、粒子間にマトリクス21を形成する。これにより、蛍光体層20が得られる。溶液成長法には、大気圧下で行われる化学溶液析出法(chemical bath deposition)、大気圧以上の圧力下で行う水熱合成法(hydrothermal synthesis)、電圧又は電流を印加する電解析出法(electrochemical deposition)などが用いられる。結晶成長用の溶液として、例えば、ヘキサメチレンテトラミンを含有する硝酸亜鉛の水溶液が用いられる。結晶質のマトリクス21は、薄膜12の上にエピタキシャル成長する。これによって、蛍光体層20が得られる。
【0045】
次に、蛍光体層20を試料ガスの雰囲気下に置く。試料ガスは、H
2S、Cl
2及びSO
2からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。蛍光体層20の表面付近において、マトリクス21に含まれたZnOが試料ガスと反応する。これにより、第1保護層30が形成される。このとき、形成された第1保護層30は、蛍光体層20の表面と密着している。言い換えると、第1保護層30と蛍光体層20との間に、隙間がほとんど形成されない。これにより、第1保護層30と蛍光体層20との界面において、光の反射が抑制される。第1保護層30は、例えば、透明であり、可視光をほとんど吸収しない。すなわち、上記の方法によって作製された波長変換部材100によれば、高い光出力が達成される。第1保護層30は、試料ガスの透過を抑制する。そのため、第1保護層30が形成されたあとに、マトリクス21に含まれたZnOは、試料ガスとほとんど反応しない。
【0046】
試料ガスにおけるH
2S、Cl
2及びSO
2のそれぞれの濃度は、0.005〜10vol ppmの範囲にあってもよい。蛍光体層20と試料ガスとを接触させるべき期間は、1〜50日間の範囲にあってもよい。試料ガスと蛍光体層20とを接触させるときの試料ガスの温度は、1〜50℃の範囲にあってもよい。
【0047】
第1保護層30は、ZnCl
2、ZnS及びZnSO
4からなる群より選ばれる少なくとも1つを蛍光体層20に堆積させることによって作製されてもよい。これらの化合物を堆積させる方法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、化学蒸着法、化学的気相法などが挙げられる。
【0048】
(実施形態2)
図2に示すように、本実施形態2にかかる波長変換部材110は、第2保護層40を備えている。第2保護層40を除き、波長変換部材110の構造は、実施形態1の波長変換部材100の構造と同じである。したがって、実施形態1の波長変換部材100と本実施形態の波長変換部材110とで共通する要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略することがある。すなわち、以下の各実施形態に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、相互に適用されうる。さらに、技術的に矛盾しない限り、各実施形態は、相互に組み合わされてもよい。
【0049】
第2保護層40は、蛍光体層20及び第1保護層30の上に配置されている。詳細には、波長変換部材110の厚さ方向において、基板10、蛍光体層20、第1保護層30及び第2保護層40がこの順番で並んでいる。第2保護層40は、蛍光体層20の表面全体を被覆している。第2保護層40は、蛍光体層20の表面を部分的に被覆しているだけでもよい。波長変換部材110において、第1保護層30の上面が第2保護層40の下面に接している。第2保護層40は、第1保護層30の上に配置されていなくてもよい。第2保護層40は、蛍光体層20と第1保護層30との間に配置されていてもよい。
【0050】
第2保護層40は、シリコーン樹脂、有機無機ハイブリット材料及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。第2保護層40によって、波長変換部材110の強度が向上する。第2保護層40によって、腐食性ガスの透過をさらに抑制することもできる。第2保護層40は、シリコーン樹脂、有機無機ハイブリット材料及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも1つを主成分として含んでいてもよい。有機無機ハイブリッド材料は、例えばシロキサン結合を有するポリシルセスキオキサンであってもよい。第2保護層40は、実質的にガラスからなっていてもよい。第2保護層40の厚さは、例えば、蛍光体層20の厚さよりも小さい。第2保護層40の厚さは、例えば、0.5〜20μmの範囲にある。
【0051】
第2保護層40を作製する方法は、特に限定されない。例えば、第2保護層40がシリコーン樹脂を含む場合、次の方法によって、第2保護層40を作製できる。まず、シリコーン樹脂を含む分散液を調製する。第1保護層30の上に塗膜が形成されるように、第1保護層30に分散液を塗布する。塗膜を乾燥させることによって、第2保護層40が形成される。
【0052】
第2保護層40が有機無機ハイブリッド材料を含む場合、次の方法によって、第2保護層40を作製できる。まず、ベンジルアルコールにポリシルセスキオキサンを溶解させ、これらを含む分散液を調製する。第1保護層30の上に塗膜が形成されるように、第1保護層30に分散液を塗布する。塗膜を熱硬化させることによって、第2保護層40が得られる。
【0053】
第2保護層40がガラスを含む場合、次の方法によって、第2保護層40を作製できる。まず、シリコンアルコキシドなどの前駆体を含むゾルを調製する。第1保護層30の上に塗膜が形成されるように、第1保護層30にゾルを塗布する。塗膜をゲル化させ、焼成することによって、第2保護層40が得られる。
【0054】
第2保護層40が蛍光体層20と第1保護層30との間に配置されているとき、第1保護層30の作製は、例えば、ZnCl
2、ZnS及びZnSO
4からなる群より選ばれる少なくとも1つを第2保護層40の上に堆積させることによって行われる。
【0055】
(実施形態3)
図3に示すように、本実施形態にかかる波長変換部材120は、蛍光体層20、第1保護層31及び第2保護層41を備えている。第1保護層31の材料は、先の実施形態で説明した第1保護層30と同じである。第2保護層41の材料は、先の実施形態で説明した第2保護層40と同じである。第2保護層41は、複数のピンホール45を有する。ピンホール45は、第2保護層41をその厚さ方向に貫通している貫通孔である。複数のピンホール45が蛍光体層20の上面に重なっている。複数のピンホール45内において、複数の第1保護層31が蛍光体層20の上に配置されている。言い換えると、複数のピンホール45を通じて、複数の第1保護層31が蛍光体層20に接している。第2保護層41及び複数の第1保護層31のそれぞれの下面が蛍光体層20の上面と接している。波長変換部材120において、複数の第1保護層31のそれぞれの厚さは、第2保護層41の厚さに比べて小さい。
【0056】
平面視での複数のピンホール45の直径は、それぞれ、1.0nm〜1.0μmの範囲にあってもよい。複数のピンホール45の直径は、例えば、第2保護層41の表面を電子顕微鏡で観察することによって測定できる。
【0057】
波長変換部材120において、第2保護層41及び複数の第1保護層31のそれぞれは、次のようにして作製できる。まず、蛍光体層20の上に第2保護層41を配置する。第2保護層41の作製には、上述した方法を利用できる。上述した方法によって作製された第2保護層41は、通常、複数のピンホール45を有している。第2保護層41に対して、イオンビームを照射することによって、複数のピンホール45を形成してもよい。複数のピンホール45を通じて、蛍光体層20が外部に露出している。
【0058】
次に、第2保護層41が配置された蛍光体層20を試料ガスの雰囲気下に置く。外部に露出している蛍光体層20の表面付近において、マトリクス21に含まれたZnOが試料ガスと反応する。これにより、第2保護層41の複数のピンホール45内において、複数の第1保護層31が形成される。
【0059】
(光源の実施形態)
図4に示すように、本実施形態の光源200は、波長変換部材100及び発光素子51を備えている。発光素子51と波長変換部材100の基板10との間に波長変換部材100の蛍光体層20が位置している。光源200は、反射型光源である。波長変換部材100に代えて、
図2を参照して説明した波長変換部材110及び
図3を参照して説明した波長変換部材120も使用可能である。これらの波長変換部材100,110及び120の組み合わせを光源200に使用することも可能である。
【0060】
発光素子51は、励起光を放射する。発光素子51は、典型的には、半導体発光素子である。半導体発光素子は、例えば、発光ダイオード(LED)、スーパールミネッセントダイオード(SLD)又はレーザーダイオード(LD)である。
【0061】
発光素子51は、1つのLDによって構成されていてもよく、複数のLDによって構成されていてもよい。複数のLDは、光学的に結合されていてもよい。発光素子51は、例えば、青紫光を放射する。本開示において、青紫光は、380〜420nmの範囲のピーク波長を有する光である。
【0062】
光源200は、光学系50をさらに備えている。発光素子51から放射された励起光の光路上に光学系50が位置していてもよい。光学系50は、レンズ、ミラー、光ファイバーなどの光学部品を含む。
【0063】
(照明装置の実施形態)
図5に示すように、本実施形態の照明装置300は、光源200及び光学部品55を備えている。光学部品55は、光源200から放射された光を前方に導くための部品であり、具体的には、リフレクタである。光学部品55は、例えば、Al、Agなどの金属膜又は表面に保護膜が形成されたAl膜を有する。光源200の前方には、フィルタ56が設けられていてもよい。フィルタ56は、光源200の発光素子からのコヒーレントな青色光が直接外部に出ないように、青色光を吸収又は散乱させる。照明装置300は、いわゆるリフレクタータイプであってもよく、プロジェクタータイプであってもよい。照明装置300は、例えば、車両用ヘッドランプである。
【実施例】
【0064】
本開示を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0065】
(サンプル1)
まず、基板本体の上に、結晶性のZnO薄膜を形成した。基板本体としては、保護膜付きAgミラー(京浜光膜工業社製)を用いた。保護膜は、SiO
2であった。ZnO薄膜の上に、蛍光体粒子を配置した。蛍光体粒子の材料は、YAG(根本特殊化学社製)であった。
【0066】
次に、溶液成長法によって、ZnO薄膜の上に結晶質のZnOマトリクスを作製した。これにより、ZnOマトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子を含む蛍光体層が形成された。結晶成長用の溶液としては、ヘキサメチレンテトラミンを含有する硝酸亜鉛の水溶液を用いた。水溶液におけるヘキサメチレンテトラミンの濃度は、0.10mol/Lであった。水溶液における硝酸亜鉛の濃度は、0.10mol/Lであった。このようにして、サンプル1の波長変換部材を得た。
【0067】
(サンプル2)
サンプル1と同じ方法によって、基板の上に蛍光体層を作製した。次に、蛍光体層を試料ガスの雰囲気下に置いた。試料ガスは、H
2S、Cl
2及びSO
2を含んでいた。試料ガスにおけるH
2Sの濃度は、0.01vol ppmであった。試料ガスにおけるCl
2の濃度は、0.01vol ppmであった。試料ガスにおけるSO
2の濃度は、0.2vol ppmであった。試料ガスの温度は、25℃であった。試料ガスの湿度は、75%RHであった。蛍光体層と試料ガスとを10日間接触させた。このようにして、サンプル2の波長変換部材を得た。
【0068】
(レーザー顕微鏡による観察)
サンプル1及び2のそれぞれの波長変換部材の表面をレーザー顕微鏡によって観察した。レーザー顕微鏡としては、LEXT OLS4100(オリンパス社製)を用いた。得られたレーザー顕微鏡画像を
図6及び7に示す。
図6及び7からわかるとおり、サンプル2の波長変換部材の表面は、サンプル1の波長変換部材の表面と異なっていた。このことから、サンプル2の波長変換部材は、第1保護層を備えていることが推察される。
【0069】
(電子線マイクロアナライザによる分析)
サンプル2の波長変換部材を電子線マイクロアナライザによって分析した。電子線マイクロアナライザとしては、JXA−8900R(日本電子社製)を用いた。分析結果を
図8に示す。
図8では、S原子の検出結果を示すグラフと、Cl原子の検出結果を示すグラフとを並べて表示している。グラフの横軸は、波長変換部材の厚さ方向における電子線マイクロアナライザの検出部からの距離を示している。グラフの縦軸は、検出信号の強度を示している。
図8からわかるとおり、破線で囲まれた範囲において、S原子及びCl原子が検出された。破線で囲まれた範囲は、1.3μmであった。すなわち、サンプル2の波長変換部材の第1保護層は、1.3μmの厚さを有していた。
【0070】
(サンプル3)
蛍光体層の組成を変更したことを除き、サンプル2と同じ方法によって、サンプル3の波長変換部材を得た。詳細には、フィラー粒子としてAl
2O
3粒子を蛍光体層に添加した。必要とする光の色度が得られるように、蛍光体粒子とフィラー粒子との体積比を調節した。蛍光体粒子の体積とフィラー粒子の体積との合計値に対する蛍光体粒子の体積の比率は、65vol%であった。蛍光体粒子の体積とフィラー粒子の体積との合計値に対するフィラー粒子の体積の比率は、35vol%であった。次に、得られた波長変換部材に励起光を照射した。励起光源としては、LDを用いた。励起光の波長は、447nmであった。励起光のエネルギー密度は、13.9kW/mm
2であった。このとき、波長変換部材から放射された光の発光強度及び光のCIE色度座標を輝度計によって測定した。輝度計としては、イメージング色彩輝度計LumiCam1300(Instrument Systems社製)を用いた。得られたCIE色度座標に基づいて、光の色温度を算出した。さらに、波長変換部材に含まれた蛍光体層の表面の温度を赤外線サーモグラフィによって測定した。赤外線サーモグラフィとしては、FLIR T640(フリアーシステムズジャパン社製)を用いた。得られた結果を表1に示す。
【0071】
(サンプル4)
蛍光体層の組成を変更したことを除き、サンプル3と同じ方法によって、蛍光体層の上に第1保護層を作製した。詳細には、必要とする光の色度が得られるように、蛍光体粒子とフィラー粒子との体積比を調節した。蛍光体粒子の体積とフィラー粒子の体積との合計値に対する蛍光体粒子の体積の比率は、50vol%であった。蛍光体粒子の体積とフィラー粒子の体積との合計値に対するフィラー粒子の体積の比率は、50vol%であった。次に、オルトケイ酸テトラエチルを含むゾルを調製した。第1保護層の上に塗膜が形成されるように、第1保護層にゾルを塗布した。塗膜をゲル化させ、焼成することによって塗膜を硬化させ、第1保護層の上に第2保護層を作製した。焼成は、160℃で3時間実施した。第2保護層は、ガラスでできていた。このようにして、サンプル4の波長変換部材を得た。サンプル3と同じ方法によって、サンプル4の波長変換部材に励起光を照射した。このとき、波長変換部材から放射された光の発光強度、光のCIE色度座標、光の色温度、及び、波長変換部材に含まれた蛍光体粒子の表面の温度を測定又は算出した。得られた結果を表1に示す。
【0072】
(サンプル5)
蛍光体層の組成を変更したことを除き、サンプル1と同じ方法によって、基板の上に蛍光体層を作製した。詳細には、フィラー粒子としてAl
2O
3粒子を蛍光体層に添加した。必要とする光の色度が得られるように、蛍光体粒子とフィラー粒子との体積比を調節した。蛍光体粒子の体積とフィラー粒子の体積との合計値に対する蛍光体粒子の体積の比率は、50vol%であった。蛍光体粒子の体積とフィラー粒子の体積との合計値に対するフィラー粒子の体積の比率は、50vol%であった。次に、蛍光体層の上に第2保護層を作製した。第2保護層の作製は、サンプル4と同じ方法によって行った。次に、蛍光体層を試料ガスの雰囲気下に置いた。試料ガスの組成、試料ガスの温度、試料ガスの湿度及び試料ガスと接触させた期間は、サンプル2と同じであった。これにより、第2保護層の複数のピンホール内において、複数の第1保護層が蛍光体層の上に形成された。このようにして、サンプル5の波長変換部材を得た。サンプル3と同じ方法によって、サンプル5の波長変換部材に励起光を照射した。このとき、波長変換部材から放射された光の発光強度、光のCIE色度座標、光の色温度、及び、波長変換部材に含まれた蛍光体粒子の表面の温度を測定又は算出した。得られた結果を表1に示す。
【0073】
(サンプル6)
蛍光体層の組成を変更したことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル6の波長変換部材を得た。詳細には、フィラー粒子としてAl
2O
3粒子を蛍光体層に添加した。必要とする光の色度が得られるように、蛍光体粒子とフィラー粒子との体積比を調節した。蛍光体粒子の体積とフィラー粒子の体積との合計値に対する蛍光体粒子の体積の比率は、65vol%であった。蛍光体粒子の体積とフィラー粒子の体積との合計値に対するフィラー粒子の体積の比率は、35vol%であった。サンプル3と同じ方法によって、サンプル6の波長変換部材に励起光を照射した。このとき、波長変換部材から放射された光の発光強度、光のCIE色度座標、光の色温度、及び、波長変換部材に含まれた蛍光体粒子の表面の温度を測定又は算出した。得られた結果を表1に示す。
【0074】
(サンプル7)
まず、オルトケイ酸テトラエチル、蛍光体粒子及びフィラー粒子を含む混合ゾルを調製した。蛍光体粒子の材料は、YAG(根本特殊化学社製)であった。フィラー粒子は、Al
2O
3粒子であった。次に、基板の上に塗膜が形成されるように、基板に混合ゾルを塗布した。基板としては、保護膜付きAgミラー(京浜光膜工業社製)を用いた。次に、塗膜を乾燥及び焼成することによって、蛍光体層を形成した。これにより、サンプル7の波長変換部材を得た。サンプル7の波長変換部材の蛍光体層は、ZnOマトリクスではなく、ガラスマトリクスを有していた。ガラスマトリクスは、シリコーンを主成分として含んでいた。蛍光体粒子の体積とフィラー粒子の体積との合計値に対する蛍光体粒子の体積の比率は、50vol%であった。蛍光体粒子の体積とフィラー粒子の体積との合計値に対するフィラー粒子の体積の比率は、50vol%であった。サンプル3と同じ方法によって、サンプル7の波長変換部材に励起光を照射した。このとき、波長変換部材から放射された光の発光強度、光のCIE色度座標、光の色温度、及び、波長変換部材に含まれた蛍光体粒子の表面の温度を測定又は算出した。得られた結果を表1に示す。
【0075】
(色温度の経時変化)
サンプル3〜7のそれぞれの波長変換部材を腐食性ガスの雰囲気下に置いた。腐食性ガスは、H
2S、Cl
2、NO
2及びSO
2を含んでいた。腐食性ガスにおけるH
2Sの濃度は、0.01vol ppmであった。腐食性ガスにおけるCl
2の濃度は、0.01vol ppmであった。腐食性ガスにおけるNO
2の濃度は、0.2vol ppmであった。腐食性ガスにおけるSO
2の濃度は、0.2vol ppmであった。腐食性ガスの温度は、25℃であった。腐食性ガスの湿度は、75%RHであった。波長変換部材と腐食性ガスとを10日間接触させた。
【0076】
腐食性ガスと接触させたあとに、サンプル3〜7のそれぞれの波長変換部材に励起光を照射した。このとき、波長変換部材から放射された光のCIE色度座標を輝度計によって測定した。得られたCIE色度座標に基づいて、光の色温度を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
表1において、蛍光体の表面の温度が100℃以下であり、かつ、腐食性ガスと接触する前後における光の色温度の変化が1000Kの範囲内である場合、波長変換部材の特性が実用上十分(○)であると判断した。蛍光体の表面の温度、又は、光の色温度の変化が上記の条件を満たさない場合、波長変換部材の特性が不十分(×)であると判断した。
【0079】
図9〜11は、それぞれ、サンプル3、5及び6の波長変換部材から放射された光のCIE色度座標の変化を示している。
図9〜11のそれぞれのグラフにおいて、四角の印は、腐食性ガスと接触する前の波長変換部材から放射された光のCIE色度座標を示している。丸印は、腐食性ガスと接触した後の波長変換部材から放射された光のCIE色度座標を示している。4500〜6500Kの色温度の範囲が枠線によって囲まれている。点線は、黒体から放射された光の色度と色温度との関係を示している。
【0080】
図9からわかるとおり、サンプル3の波長変換部材から放射された光の色度は、腐食性ガスとの接触の前後で、ほとんど変化しなかった。すなわち、サンプル3の波長変換部材は、高い信頼性を有していた。サンプル3と同じように、サンプル4の波長変換部材も、高い信頼性を有していた。
【0081】
図10からわかるとおり、サンプル5の波長変換部材において、腐食性ガスと接触する前後における光の色温度の変化は、1000Kの範囲内であった。すなわち、サンプル5の波長変換部材は、実用上十分な信頼性を有していた。
【0082】
図11からわかるとおり、サンプル6の波長変換部材から放射された光の色度は、腐食性ガスとの接触の前後で、大きく変化した。サンプル6の波長変換部材の信頼性は、サンプル3〜5の波長変換部材に比べて劣っていた。
【0083】
表1の結果からわかるとおり、サンプル7の波長変換部材に含まれた蛍光体の表面の温度(150℃)は、サンプル3〜6と比べて高かった。蛍光体の表面の温度が高い場合、波長変換部材から放射された光の発光強度が低下する。サンプル7の波長変換部材から放射された光の発光強度は、サンプル3〜6と比べて低かった。