特許第6982764号(P6982764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982764
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】濾過された圧延油および濾過剤の処理法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/34 20060101AFI20211206BHJP
   B01D 3/10 20060101ALI20211206BHJP
   B01D 37/02 20060101ALI20211206BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B01J20/34 H
   B01D3/10
   B01D37/02 B
   B01D37/02 E
   C02F1/28 A
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-521358(P2020-521358)
(86)(22)【出願日】2018年10月12日
(65)【公表番号】特表2020-536730(P2020-536730A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(86)【国際出願番号】EP2018077917
(87)【国際公開番号】WO2019076762
(87)【国際公開日】20190425
【審査請求日】2020年6月8日
(31)【優先権主張番号】17196872.0
(32)【優先日】2017年10月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513100910
【氏名又は名称】スペイラ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Speira GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】オラフ グェスゲン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ドラーゼ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー ザイフェルト
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第04200670(DE,A1)
【文献】 中国特許出願公開第107723098(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0001062(US,A1)
【文献】 特開昭56−127683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00−20/28、20/30−20/34
B01B 1/00−1/08
B01D 1/00−8/00、23/00−35/04、35/08−37/08
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み圧延油と使用済み圧延油で汚染された濾過助剤とを含有する混合物からの濾過助剤および圧延油の回収のための方法であって、圧延油と濾過助剤とを含有する前記混合物は、真空蒸留であって、撹拌機および蒸気フィルタを備える反応器中で撹拌することを含み、前記真空蒸留で行われる真空は、蒸留時に不活性ガスの気流によって制御され、前記圧延油は、凝縮し、収集され、リサイクル可能な圧延油および粉砕されたリサイクル可能な濾過助剤が得られる真空蒸留を受け、前記真空蒸留の後に前記圧延油から分離された前記濾過助剤は、アルカリ性水溶液または鉱酸水溶液で洗浄されることを特徴とする方法。
【請求項2】
使用済み圧延油と使用済み濾過助剤との前記混合物からの前記圧延油の前記真空蒸留または蒸発は、前記反応器中で60℃から200℃の温度において負圧で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用済み圧延油と使用済み濾過助剤との前記混合物からの前記圧延油の前記真空蒸留または蒸発は、前記反応器中で60℃から150℃の温度において負圧で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記真空蒸留は、0mbarから20mbarの負圧で行われることを特徴とする、請求項1からの何れか一項以上に記載の方法。
【請求項5】
前記真空蒸留は、10mbarから16mbarの負圧で行われることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記蒸気フィルタは、真空蒸留時に、例えば濾過土およびアルミニウムまたは金属粒子などの塵埃成分を凝縮液から遠ざけ、塵埃成分を蒸発器部分に保持することを特徴とする、請求項1からの何れか一項以上に記載の方法。
【請求項7】
前記反応器は、圧延油および濾過助剤を含有する前記混合物が前記反応器に供給される間、不活性ガス下にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
圧延油を浄化するために用いられ、請求項1からの何れか一項に記載の圧延油を分離するための真空蒸留を受けた濾過助剤の工業廃水または都市下水を処理するための吸着剤または濾過助剤としての利用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延油の濾過のために用いられた濾過助剤から圧延油および濾過助剤を回収するための方法に関する。こうして回収された濾過助剤は、任意選択の洗浄後、圧延油を浄化するために、またはそのまま吸着剤およびプレコート用堆積物として、再使用することができる。回収された油は、圧延プロセスにおいて再使用することができる。
【背景技術】
【0002】
金属ワークピースのための冷間圧延工場において、還元冷間圧延パス、再圧延パス時、ならびにプレス加工パスおよびテクスチャリングパス時にも、多くの場合にいわゆる圧延油が冷却潤滑油として用いられる。これらの圧延油は、添加物との複雑な炭化水素混合物であり、圧延プロセスにおいて潤滑、冷却および清掃のために用いられる。従って、圧延油は、製造の経済的効率および圧延によって製造される製品の品質に大きな影響を及ぼす。
【0003】
圧延油は、通常、冷間圧延工場において、純油タンク、供給ポンプ、油分配システム、油溜まり、廃油タンク、濾過システム、冷却および純油タンクからなる循環システム中で用いられる。圧延油は、変形ゾーンまたはプレス加工ゾーンに連続供給される。濾過によって不純物が連続的に除去され、冷却システムにおいて熱が連続的に抜き出される。問題になる不純物は、主に摩耗屑および金属せっけんである。
【0004】
圧延油の濾過は、その連続性および機能がプロセスの生産性および製品の品質に決定的な影響を及ぼすので特に重要である。圧延油の濾過は、例えば、水平プレート圧力濾過機によるかまたはバックフラッシュフィルタを用いる、いわゆるプレコート濾過プロセスによって行われる。このプロセスにおいて用いられる濾過助剤は、例えば、パーライト、珪藻土(キーゼルグール)、漂白土またはそれらの混合物を含む。濾過時、圧延摩耗屑は、濾過助剤から形成された濾過ケーキ中に機械的に堆積し、金属せっけんは、化学的に活性な成分によって除去される。しかし、同時に、より多量の圧延油も濾過ケーキ中に閉じ込められている。水平プレート圧力濾過機からの典型的な濾過ケーキ廃棄物は、大体1%の金属摩耗屑および大体40%の圧延油を含有する。
【0005】
処分に関する限り、圧延油を含有する濾過土は、今までのところ廃棄物として扱われ、熱リサイクル向けに送られてきた。この形の処分を好む選択は、圧延油を含有する濾過ケーキが高い発熱量を有し、非常に良好に燃えるので明らかである。その上、圧延油を含有する濾過ケーキの燃焼から生じる廃ガスは、浄化するのが容易である。これらの理由から、この廃材の熱利用は、論理的な選択であった。
【0006】
この一般的に実施されている手順の不利な点は、大量の油または冷却潤滑油が濾過助剤によって放出され、油と濾過助剤との両方が最終的には燃焼によって失われることである。その上、使用済み濾過助剤も、全体として大量の廃棄物を発生させる原因となる。このことは、バックフラッシュフィルタを用いる汚染された油の濾過または浄化にもあてはまる。この一般的に実施されている焼却の手順は、従って、高いCO排出とも関係している。圧延油の一次資源は減少して行くばかりであり、圧延油は、ますます貴重になりつつあり、圧延油価格は、近年顕著に上がった。
【0007】
仮定の問題としては、この油を固体から分離するためにだけ蒸留技法を実行することも考えられる。しかし、これには、高い投資コストおよび高いエネルギー消費を伴う。蒸留時の圧延油の熱応力は、油の中に熱分解生成物が生成し得るので、品質の低下につながる可能性がある。適当なシステムが運転されたことはこれまでなかった。遠心分離プロセスは、小さな粒径の場合には不十分な粒子分離速度を有し、従って、汚染している固体を圧延油から分離するために適しているように見えない。
【0008】
特許文献1は、油を含有し、圧延油の機械的な濾過から生じる濾過ケーキの処分のためのプロセスを記載し、圧延油を蒸発させ、濃縮する濾過ケーキの真空乾燥を推奨している。濾過ケーキは、非鉄金属を含有しなければならない。どの非鉄金属が含まれるかは、特定されていない。しかし、記載されている手順は、アルミニウムまたはマグネシウムを含有する濾過ケーキに適さない。両金属は、可燃性であり、記載されている手順を、特に140度以上の温度で実行すると爆発が自発的に起こるからである。
【0009】
商業的な理由と生態学的な理由との両方で、圧延油で汚染された濾過助剤の処理のためのプロセスを提供することが強く求められている。プロセスは、ただちに再使用するのに適した品質で圧延油を提供するだけでなく、使用済み濾過助剤を再使用することも可能にしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第42 00 670(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明の目的は、圧延油で汚染された濾過助剤から油および濾過助剤を回収するためのプロセスを提供することである。本プロセスの製品は、再使用可能な圧延油および再使用可能な濾過助剤でなければならない。
【0012】
この目的は、油含有出発材料(独:Ausgangsmaterial,英:source material)を真空下で蒸発させるためのプロセスによって実現される。その結果として、圧延油の濾過のために用いられた濾過助剤からの圧延油の回収は、圧延油を含有する使用済み濾過助剤が、圧延油と濾過助剤とを分離するために、撹拌機および蒸気フィルタを備えた反応器中で撹拌され、不活性ガス流が蒸留時の真空度を制御し、蒸留によって濾過助剤およびアルミニウム粒子から分離された圧延油は、圧延プロセスにおける使用に向けてリサイクル可能であり、粉砕されたリサイクル可能な濾過助剤が得られる、真空蒸留(真空蒸発)によって実現される。
【0013】
本発明による方法は、絶対的に安全であり、圧延工場の新規油の必要量の顕著な削減、従って工業的な工場生産のための運転コストの削減にもつながる。得られた、油を除去した濾過助剤および圧延油のリサイクルは、天然資源を保護することも助ける。熱分解生成物に起因するいかなる汚染の懸念の理由もない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による方法は、使用済み圧延油で汚染された濾過助剤(濾過土)からの濾過助剤および圧延油の真空熱回収である。本発明による方法は、廃材としての使用済み濾過助剤からさらなる工業プロセスにおける使用に適する供給材料への変換を可能にする。全体として、その結果、はるかに少ない廃棄物が発生する。
【0015】
油を除去した濾過助剤は、従って、吸着剤としてまたは濾過助剤として、例えば、工業廃水処理において用いることができ、あるいは、本発明によるプロセスにおいて再使用することができる。本発明による方法は、金属フォイルおよび金属ストリップ製造工業における新規の圧延油の購買の顕著な削減につながり、同時に天然資源の使用における著しい削減も暗に意味する。最後に、本発明による方法は、使用済み圧延油がもはや焼却向けに処分されないため、工業的な圧延工場における二酸化炭素の排出の顕著な削減につながる。言い換えると、本発明による方法は、持続可能なプロセスと呼ぶことができる。
【0016】
驚くべきことに、真空乾燥または真空蒸留は、濾過ケーキから圧延油の最大99重量%がリサイクルされることを可能にし、圧延油としての直接の再使用に適した品質で製品を提供することが見いだされた。本発明を記載する目的で、真空乾燥という用語と真空蒸留という用語は、同じ意味を有する。圧延油の除去後、濾過助剤は、リサイクル可能な品質で得られ、アルカリまたは鉱酸洗浄および後続の乾燥後、その最初の目的に再使用することができることも驚くべきことである。
【0017】
蒸留による濾過助剤からの圧延油の分離のための出発材料は、濾過助剤、金属摩耗屑および圧延油を含有するペースト状および/または緻密な物質である。この物質は、濾過ユニットのフィルタフリース材から分離された。出発材料の圧延油含有率は、それぞれの場合に出発材料の重量に対して、30重量%から70重量%、35重量%から60重量%または35重量%から45重量%の範囲内であり得る。本発明の方法による出発材料中の濾過助剤含有率は、それぞれの場合に出発材料の重量に対して、30重量%から70重量%、40重量%から65重量%または55重量%から65重量%の範囲内であり得る。真空蒸留の出発材料は、その重量に対して0.2重量%または0.8重量%から5重量%の金属摩耗屑をさらに含有し得る。元素と電気化学列におけるその分類に依存して、蒸留による圧延油の分離後に得られるこの材料は、可燃物とみなされるべきである。従って、それは、大気酸素、空気中の水分または他の化合物と自発的かつ高度に発熱性の反応を行うことができる。
【0018】
圧延油を浄化するための濾過設備において、従来の濾過土が濾過助剤として用いられる。これらの濾過助剤または濾過土は、例えば、パーライト、漂白土、珪藻土(キーゼルグール)、セルロース、石炭、当業者に公知の他の無機濾過助剤、ならびにこれらの濾過助剤の混合物を含む。
【0019】
例えば、10から50の炭素原子を有する潤滑油に加えて、圧延油は、潤滑性脂肪酸、脂肪酸およびジカルボン酸と潤滑性脂肪族アルコールとの潤滑性エステルを含有し得る。潤滑油は、例えば、鉱油、植物油または合成法によって製造された油である。圧延油は、界面活性剤、腐食防止剤、極圧添加剤および非鉄金属腐食抑制剤などのさまざまな添加剤も含有し得る。
【0020】
蒸留プロセス全体にわたって反応器に不活性ガスを送入しながら、汚染された油を含有する濾過助剤を供給するようにして蒸留が行われる。好ましくは、窒素が不活性ガスとして用いられる。これら要件および反応器の大きさに応じてヘリウム、アルゴンまたはパーフルオロカーボン(PFC)などの他の適当な不活性ガスも用い得る。好ましくは、負圧を設定するためにも不活性ガスが用いられる。本発明による方法において設定されるべき負圧は、0mbarから20mbar、好ましくは10mbarから16mbar、特に好ましくは大体14mbarであってよい。従って、本発明によって設定されるべき負圧を調節するために不活性ガスが用いられる。反応器中、特に反応器の油溜まり中の温度は、60℃から300℃の範囲であってよい。好ましくは、反応器中、特に反応器の油溜まり中の温度は、60℃から200℃または60℃から150℃である。選択された反応器中の温度は、圧延油の成分の沸点によって決まる。上記条件の下で、圧延油は、気相状態に変換される。圧延油は、コンデンサにおいて凝縮した後に収集される。圧延油から分離され、粉体の形である濾過助剤は、反応器中に残り、続いて取り出される。
【0021】
本発明による方法を実行するための反応器は、ペースト状の物質を撹拌するのに適した撹拌機を備える。濾過助剤、金属摩耗屑および圧延油からなるペースト状物質の部分的な過熱を避けるために、反応器壁および反応器底の区域にあるペースト状物質も集め、ペースト状物質を反応器中で動かし続ける撹拌機が必要である。この撹拌機は、好ましくは、内容物を切断するためのスリッティングブレード設計または鎌状ブレード設計を有する。撹拌機ブレードは、好ましくは、加熱可能である。撹拌機は、アンカーの形状を有してよい。好ましくは、撹拌機設計は、反応器中のスタッフィングボックスおよび蒸気配管などの停滞空間(独:Totvolumen,英:dead volume)の加熱も促進しなければならない。反応器中の停滞空間は、できるだけ小さく保たなければならない。濾過助剤から圧延油を蒸発させるために、例えば、真空撹拌機ドライヤーを用いることができる。ペースト状の出発材料を絶えず混合するために、アンカー型撹拌機またはパドル型撹拌機を用いることができる。従って、蒸留反応器は、蒸留時の熱分解生成物の生成を最小にするために、ペースト状の物質が均一に、かつ熱の蓄積も部分的な過熱もなく、加熱されることを確実にするように設計される。蒸気フィルタは、好ましくは、空気または水を吹き込むことによって清掃しなければならない。
【0022】
本発明による方法を実行するための設備は、供給タンク、撹拌機駆動部、壁加熱用コイルおよび加熱可能二重底、乾燥された濾過助剤のための放出可能なフラップ、コンデンサおよび本発明による方法の回収されたプロセス生成物のための収集タンクを備え得る。反応器は、真空を適用するためのシステムを有する。反応器は、凝縮ユニットに接続されるか、または凝縮ユニットを含み、液体で冷却することができる。
【0023】
圧延油は、反応器の頂部で凝縮する。凝縮液および蒸発装置を塵埃粒子による汚染から保護する蒸気フィルタがあると、特に良好な結果が実現される。得られる蒸留物の品質は、圧延油としてのさらなる使用に適し、制約はまったくない。あるいは、ダブルドラム真空乾燥機を用いることができる。蒸留は、蒸留時の酸素の存在の結果として起こる発熱型の化学反応を防ぐために、酸素を大部分排除して行わなければならない。この要件を満たさないあらゆる装置は、安全ではなく、従って、本発明による方法を実行するのに適さない。
【0024】
油を除去した、金属研磨屑が少しでも存在する濾過助剤は、反応器油溜まりから取り出される。それは、組成に応じて空気および水と反応する微微粒子粉体の形である。反応性を低下させ、品質および有用性を改善するために、得られた粉体は、直ちにアルカリ水溶液によるアルカリ洗浄または鉱酸水溶液による酸洗浄を受けなければならない。それによって、反応性粒子の制御された化学反応が起こり、従って、さらなる利用に用いるための安全かつ安価である無害な原料(独:Rohstoff,英:raw material)が再度濾過土から得られる。
【0025】
濾過助剤からの圧延油の回収は、油の除去後に得られる濾過助剤(乾燥された濾過助剤)は、もはや焼却向けに処分されなくてよいので、大量の廃棄物を予防するのを助ける。再処理した濾過助剤のための利用の分野は、例えば、工業廃水および都市下水の処理および調整である。
【0026】
本発明による方法の実施形態の例を以下に記載する。圧延油で汚染された使用済み濾材が、コンベヤシステムによって貯蔵タンクから反応器の上部開口に供給される。反応器は、反応器の充填レベルを決定するためにロードセル上にある。反応器は、5mの実容積を有する。本発明による方法の出発材料である、湿った充填材(独:Fuellgut,英:feedstock)は、大体0.5kg/lのかさ密度を有する。反応器に使用済み濾材が供給される間、軽い窒素気流が微調整弁(独:Feinventil,英:fine valve)を通って反応器に恒久的に導入される。反応器に供給が行われる間、反応器中の撹拌機は、均一な混合物を実現し、充填材が反応器中に納まることができるように低速で動かされる。反応器の充填量が大体2500kgに達したら、供給を停止する。次に、反応器を閉める。真空ポンプのスイッチを入れ、軽い窒素気流を反応器中に流し続ける。冷却加熱システムのスイッチも入れる。反応器を20mbarの内部圧まで排気する。50mbarの内部圧に達した後、窒素気流を減らすかまたは停止してよい。撹拌機の速度を上げ、それによって、反応器内容物が加熱される。
【0027】
蒸留の途中で、反応器内容物の温度は、反応器中の頂部温度(蒸気温度)が増加するにつれて増加する。最初は、供給ライン中で水が蒸発する。この水は、濾材の結晶水および濾材中の不純物として存在する水である。水の蒸留時に、油が部分的に伴出される。凝縮した流れは、弁スイッチを用いてヘッドタンク中に収集される。
【0028】
反応器中の充填材が脱水されたら、反応器の内部温度は上昇し続ける。蒸気管中の頂部温度は、反応器中のどの成分もその沸点に達しない限り、断続的に再び下がることがある。反応器中の温度が上昇すると、圧延油は沸騰し始め、蒸留し始める。凝縮し回収された油は、貯蔵タンクに導かれる。蒸留は、予め設定された反応器および/または頂部温度まで続行され、次いで停止される。反応器の温度制御は、冷却に切り替わり、微調整弁は、窒素を導入し、反応器中の負圧を少しずつ緩めるために開かれる。真空ポンプは、反応器の内部圧力と外部圧力とが等しくなるまで、出力を低下させるように調節される。等圧弁と窒素ラインからの小出しの量とによって、周囲から反応器中に酸素が引き込まれ得ないことを確実にする。設備システム全体を50℃未満の残渣温度に冷却してから開き、油からの分離の後に得られ、反応器の底に存在する濾材を反応器から取り出す。