(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、
掃除機から、掃除機の向いている方向または方向の変化に関する情報である掃除機方向情報を受信する通信部と、操作端末の向いている方向または方向の変化に関する情報である操作端末方向情報を検知する方向センサ部と、掃除機方向情報と操作端末方向情報を記憶する記憶部と、掃除機の画像を表示する表示部と、制御部と、を有し、通信部が、掃除機の向いている方向の変化に応じて掃除機方向情報を受信すると、記憶部は、通信部が受信した掃除機方向情報を記憶し、方向センサ部が操作端末方向情報を検知すると、記憶部は、方向センサ部が検知した操作端末方向情報を記憶し、表示部は、記憶部に記憶されている掃除機方向情報と操作端末方向情報に基づいて、掃除機の画像を表示し、制御部は、掃除機方向情報と操作端末方向情報から、操作端末と掃除機の基準となる方向である基準情報を記憶部に記憶し、掃除機と操作端末が基準情報の状態で、掃除機が第1の角度だけ回転すると、基準情報に掃除機方向情報を加え、操作端末に対して掃除機が第1の角度だけ回転した画像を表示部に表示し、掃除機と操作端末が基準情報の状態で、操作端末が第2の角度だけ回転すると、基準情報に操作端末方向情報を加え、操作端末の回転方向と反対の方向に第2の角度だけ回転するように掃除機を表示部に表示する、操作端末である。
【0016】
第2の発明は、掃除機と操作端末を有する、遠隔操作掃除システムであり、掃除機は、掃除機の向いている方向または方向の変化に関する情報である掃除機方向情報を検知する掃除機方向センサ部と、掃除機方向センサ部が検知した、掃除機方向情報を送信する通信部と、を有し、操作端末は、操作端末の向いている方向または方向の変化に関する情報である操作端末方向情報を検知する操作端末方向センサ部と、掃除機からの掃除機方向情報を受信する通信部と、通信部が受信した掃除機方向情報と、操作端末方向センサ部が検知した操作端末方向情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されている掃除機方向情報と操作端末方向情報に基づいて、掃除機の画像を表示する表示部と、掃除機方向情報と操作端末方向情報から、操作端末と掃除機の基準となる方向である基準情報を記憶部に記憶し、掃除機と操作端末が基準情報の状態で、掃除機が第1の角度だけ回転すると、基準情報に掃除機方向情報を加え、操作端末に対して掃除機が第1の角度だけ回転した画像を表示部に表示し、掃除機と操作端末が基準情報の状態で、操作端末が第2の角度だけ回転すると、基準情報に操作端末方向情報を加え、操作端末の回転方向と反対の方向に第2の角度だけ回転するように掃除機を表示部に表示するよう制御する制御部と、を有する。
【0017】
第3の発明は、操作端末が掃除機を遠隔操作するための、遠隔操作方法であって、操作端末の記憶部に、操作端末と掃除機の基準方向を記憶するステップと、操作端末の通信部
が、掃除機の向いている方向または方向の変化に関する情報である掃除機方向情報を受信するステップと、操作端末の記憶部が、通信部が受信した掃除機方向情報を記憶するステップと、操作端末の方向センサ部が、操作端末の向いている方向または方向の変化に関する情報である操作端末方向情報を検知するステップと、操作端末の記憶部が、操作端末の方向センサ部が検知した操作端末方向情報を記憶するステップと、操作端末の表示部が、操作端末の記憶部に記憶されている掃除機方向情報と操作端末方向情報に基づいて、掃除機の画像を表示するステップと、操作端末の制御部が、掃除機方向情報と操作端末方向情報から、操作端末と掃除機の基準となる方向である基準情報を操作端末の記憶部に記憶するステップと、操作端末の制御部が、掃除機と操作端末が基準情報の状態で、掃除機が第1の角度だけ回転すると、基準情報に掃除機方向情報を加え、操作端末に対して掃除機が第1の角度だけ回転した画像を操作端末の表示部に表示するよう制御するステップと、操作端末の制御部が、掃除機と操作端末が基準情報の状態で、操作端末が第2の角度だけ回転すると、基準情報に操作端末方向情報を加え、操作端末の回転方向と反対の方向に第2の角度だけ回転するように掃除機を表示部に表示するよう制御するステップと、を有する。
【0035】
本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。なお、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の遠隔操作方法に係る遠隔操作システム1000の全体構成を示す図である。
【0037】
遠隔操作システム1000は、掃除機100、及び操作端末200より構成している。掃除機100は、室内などを清掃する掃除機能を備えた機器であり、例えば、ロボット掃除機などのように、駆動部を備え自走可能な機器である。また、操作端末200は、例えば、携帯端末やスマートフォンやパソコンなど、表示部と操作部を備えた機器である。他にも操作端末200は、掃除機100を専用に操作するために設計された専用機器であっても構わない。
【0038】
図2は、本発明の実施の形態における掃除機100、及び操作端末200の構成を示すブロック図である。
【0039】
まず、掃除機100は、方向センサ部110、制御部120、移動部130、通信部140、清掃部150、及び障害物検出部160を有している。
【0040】
方向センサ部110は、掃除機100の向いている方向、もしくは方向の変化を、機器方向情報として、検出するセンサである。例えば、方向センサ部110を、ジャイロスコープを利用するセンサで構成する場合には、方向の変化量を検出することができるので、掃除機100が回転を伴う移動を行う際に、掃除機100の角度が何度変化したのかを検出することができる。また、方向センサ部110を、地磁気を利用するセンサで構成する場合には、地磁気の向きを検出することで、掃除機100の現在の向きを検出することができる。
【0041】
他にも、掃除機100が備える移動輪のそれぞれに、設けられたエンコーダによって、それぞれのエンコーダが検出するパルス数を利用して、掃除機100の自己位置推定としてオドメトリを算出し、算出した現在の方向を、方向センサ部110が検出した方向として利用することも可能である。
【0042】
また、これらのセンサを組み合わせて利用することで、方向の精度を高めることが可能である。他にも、光センサや超音波センサなど周囲の特徴を利用して方向を検出できる方式のものであれば、方向センサ部110として構成することが出来る。
【0043】
方向センサ部110は、後述の機器方向検出ステップを行う。
【0044】
制御部120は、方向センサ部110、移動部130、通信部140、清掃部150、及び障害物検出部160に対する制御を行う。また、方向センサ部110から取得した機器方向情報を、通信部140を介して、操作端末200へ送信する。さらに、通信部140から取得した操作情報に基づき、移動部130への操作の制御を行う。
【0045】
例えば、メモリに記録されたプログラムをマイクロコンピュータ(図示せず)により実行させることで、方向センサ部110の機器方法情報を、通信部140を介して、操作端末200へ送信し、また、通信部140から取得した操作情報に基づき、移動部130への制御を指示することで操作端末200からの遠隔操作を実現する。具体的には、制御部120は、移動部130に、移動部130が備える2つの移動輪のそれぞれに設けられたモータの回転数を指示する。
【0046】
制御部120は、後述の機器方向情報送信ステップと、操作情報取得ステップとを行う。
【0047】
移動部130は、掃除機100を移動させる装置である。移動部130は、例えば、2つのモータと2つの移動輪を、掃除機100の左右に水平に配置するように構成することで、実現できる。制御部120からの制御信号によって、左右のモータの回転数を変化させることにより、移動輪が動作して掃除機100を移動制御する。移動部130は、モータと移動輪の組み合わせ以外にも、複数のサーボモータを組み合わせた関節型のアクチュエータを組み合わせた2本足や4本足などの多足移動可能なものでもよい。また、利用するモータは、リニアモータなど物理的な動作が可能なものであれば構わない。
【0048】
移動部130は、後述の移動制御ステップを行う。
【0049】
通信部140は、操作端末200との通信手段であり、例えば赤外線通信、特定小電力無線、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)等の無線通信技術を用いて実現される。なお、通信部140は、扱うデータが、機器方向情報や操作情報などの、画像情報などと比べると少ないデータ量の情報になる。このため、通信部140は、通信経路の帯域が小さい無線通信技術での構成が可能である。このため、通信部140に係わる通信インフラも、より安価なものを選定し利用することができる。
【0050】
清掃部150は、清掃の目的と場所に応じた清掃が可能な構成の清掃装置である。例えば、掃除機100が一般的な家庭用の掃除機である場合には、清掃部150は、室内の床面に落ちているゴミを掻き揚げる回転ブラシと、ゴミを吸引するための吸引用モータと、吸引したゴミを保持しておくためのダストボックスと、それらをゴミが移動させるための通路から構成される。
【0051】
他にも、室内の床面をワックスなどで磨くための清掃装置であってもよい。清掃対象が室外であれば、泥汚れを洗い流すための清掃装置などであってもよい。
【0052】
なお、清掃部150の清掃性能を発揮するためには、掃除機100の移動方向や、移動速度などは、清掃装置ごとに制約される。掃除機100が一般的な家庭用の掃除機であれば、清掃部150は、掃除機100の一端に配置される。このため、清掃性能を発揮するための掃除機100の移動方向は、掃除機100の本体の進行方向(清掃部150が設けられた側を掃除機100の前方とすると前進方向)である。
【0053】
具体的には、掃除機100は、本体の一端に清掃部150を備えている。清掃部150は、水平方向に回転軸を備えた回転ブラシと、回転軸の一端に設けられ回転ブラシを回転させるための清掃用モータとを備えている。移動部130は、回転ブラシの回転軸方向における本体の両端に設けられた一対の移動輪と、それぞれの移動輪を駆動するための一対の移動用モータとを備えている。
【0054】
このように構成された掃除機100では、一対の移動用モータが、それぞれ同じ回転速
度で、清掃用モータと同じ回転方向に回転する場合、つまり、清掃部150が設けられた側を掃除機100の前方とすると掃除機100が前進する場合には、回転ブラシは、床面に落ちているゴミを効率よく掻き揚げることができる。
【0055】
一方、一対の移動用モータが、それぞれ同じ回転速度で、清掃用モータの回転方向と逆の方向に回転する場合、つまり、掃除機100が後進する場合には、回転ブラシは、床面に落ちているゴミを効率よく掻き揚げることができない。また、一対の移動用モータが、異なる回転速度で回転する場合、つまり、掃除機100が右旋回、または、左旋回する場合には、回転ブラシは、床面に落ちているゴミを効率よく掻き揚げることができない。
【0056】
清掃部150は、後述の清掃制御ステップを行う。
【0057】
障害物検出部160は、掃除機100の周囲にある移動の妨げとなる障害物の情報を取得する。例えば、障害物の検出方法として、超音波センサによる超音波の反射波を利用することや、LEDなどから発信した赤外線光の反射を利用することや、掃除機100の本体が備えるバンパに、スイッチを組み込み接触していることを検出することなどがある。他にも、3Dカメラによる距離計測によっても周囲の障害物の有無を検出することができる。また、これらのセンサを複数配置することで障害物の検出精度を高めることができる。
【0058】
障害物検出部160は、後述の周囲情報検出ステップを行う。
【0059】
次に、操作端末200は、方向センサ部210、制御部220、方向記憶部230、表示部240、操作部250、及び通信部260を有している。
【0060】
方向センサ部210は、操作端末200の向いている方向、もしくは方向の変化を、端末方向情報として、検出するセンサである。例えば、方向センサ部210を、ジャイロスコープを利用するセンサで構成する場合には、方向の変化量を検出することができるので、操作端末200が回転を伴う移動を行う際に、操作端末200の角度が何度変化したのかを検出することができる。また、方向センサ部210を、地磁気を利用するセンサで構成する場合には、地磁気の向きを検出することで、操作端末200の現在の向きを検出することができる。
【0061】
また、これらのセンサを組み合わせて利用することで、方向の精度を高めることが可能である。他にも、例えば、操作端末がスマートフォンなどであれば、スマートフォンに備えているカメラ画像による位置推定や、GPSによる位置検出などセンサを利用して方向を検出できる方式のものであれば、方向センサ部210として構成することが出来る。
【0062】
方向センサ部210は、後述の端末方向検出ステップを行う。
【0063】
制御部220は、例えば、メモリに記録されたプログラムをマイクロコンピュータ(図示せず)により実行させることで、方向センサ部210、方向記憶部230、表示部240、操作部250、及び通信部260に対する制御を行う。また、通信部260を介して、掃除機100から取得した機器方向情報、及び方向センサ部210から取得した端末方向情報に基づき、掃除機100と操作端末200との相対的な方向の基準方向を定めて、方向記憶部230に記憶させる。
【0064】
また、制御部220は、方向記憶部230に記憶している基準方向及び、通信部260を介して、掃除機100から取得した機器方向情報、及び方向センサ部210から取得した端末方向情報を用いて、表示部240に、掃除機100の相対方向を表示するように制
御を行う。また、操作部250により、ユーザからの操作指示である操作情報を、通信部260を介して、掃除機100へ送信することで、遠隔操作の指示を行う。
【0065】
制御部220は、後述する基準方向設定ステップと、機器方向情報取得ステップと、操作情報送信ステップとを行う、
方向記憶部230は、通信部260を介して、掃除機100から取得した機器方向情報及び、方向センサ部210から取得した端末方向情報に基づき、基準方向となる情報を記憶する。
【0066】
ここで、基準方向となる情報とは、操作端末200から見た掃除機100の方向を算出するための基準となる方向の情報である。具体的には、基準方向となる情報は、任意のタイミングで、方向記憶部230が記憶した、方向センサ部110の値、または、方向センサ部110の値および方向センサ部210の値である。操作端末200と掃除機100との基準となる方向を定める際の方向センサ部110の値、または、方向センサ部110の値及び方向センサ部210の値を記憶しておくことで、その後に方向センサ部110、方向センサ部210が変化した際に、変化分を算出することで基準となる方向からの角度を追従できるようになる。
【0067】
機器方向情報を基準方向として記憶するタイミングは、ユーザが任意に変更できる。基準方向として記憶するタイミングは、例えば、
図3に示すように、ユーザが操作部250で指示したタイミングである。この例では、まず、ユーザは、操作端末200の表示部240に表示される掃除機の方向と、実際にユーザから見える掃除機100の方向とが一致するように、掃除機100もしくは操作端末200の方向を調整する。そして、一致した場合に、ユーザが操作部250を操作することで、一致した状態での方向センサ部110の値、または、方向センサ部110の値および方向センサ部210の値が、基準方向として、方向記憶部230に記憶される。これによって、以降、操作端末200に表示される掃除機100の方向と、実際にユーザから見える掃除機100の方向を一致させることができる。
【0068】
なお、機器方向情報を基準方向として記憶するタイミングは、少なくとも、操作端末200による遠隔操作の開始時であることが望ましい。より具体的には、
図3に示すように、操作端末200による遠隔操作の開始時に、表示部240に「<基準方向確認>掃除機の方向が画面と一致しているのを確認しOKを押してください。」と表示し、ユーザに操作部250からの指示を促すことが望ましい。また、遠隔操作の開始後は、定期的に、機器方向情報を基準方向として記憶するタイミングがあることがさらに望ましい。たとえば、所定の時間間隔毎でもよいし、掃除機100の累積回転角度が所定値を越えたときなどが考えられる。
【0069】
基準方向を方向記憶部230に記憶した後は、掃除機100の方向が変化した場合に、基準方向として記憶しておいた値に、掃除機100の方向の変化分の方向、または、掃除機100及び操作端末200の方向の変化分の方向を加えることで、現在の操作端末200と掃除機100との相対方向を算出することができる。
【0070】
なお、方向センサ部110や方向センサ部210が絶対的な方向を検出することができるセンサの場合であっても、基準となる方向の値を記憶しておくことが望ましい。これによれば、センサ個々のばらつきなどによる誤差などを吸収することができる。
【0071】
表示部240は、ユーザが操作指示を入力するための情報を表示する、例えば、液晶パネルや有機ELなどのディスプレイ装置である。方向記憶部230に記憶している基準方向及び、通信部260を介して、掃除機100から取得した機器方向情報を用いて、操作
端末200と掃除機100との相対方向を表示する。ユーザは操作端末200の表示部240を見ることで、掃除機100の相対方向を把握することができるので、直感的に間違わずに操作の指示を入力することができる。
【0072】
表示部240は、後述の相対方向表示ステップを行う。
【0073】
表示部240に表示される掃除機100と、実際にユーザから見える掃除機100との関係について、
図4および
図5を用いて説明する。
【0074】
図4は、掃除機100が角度α回転した時の例である。掃除機100が角度α回転した場合には、表示部240には、基準方向Rに対して方向センサ部110で取得した回転角度α分を加えた方向に、掃除機100が向いているように、現在方向Cとして表示を行う。これにより、実際の掃除機100の方向と同期して表示を行うことができる。
【0075】
また、
図5は、操作端末200が角度β回転した時の例である。掃除機100が角度β回転した場合には、表示部240には、基準方向Rに対して方向センサ部210で取得した操作端末角度β分を加えた方向に、掃除機100が向いているように、現在方向Cとして表示を行う。これにより、実際の掃除機100の方向と同期して表示を行うことができる。
【0076】
また、方向センサ部110及び方向センサ部210で取得した掃除機100及び操作端末200の回転角度と、それぞれの基準方向とから、現在の方向を計算すれば、掃除機100及び操作端末200のどちらが回転しても実際の方向と同期して表示を行うことが出来る。
【0077】
操作部250は、掃除機100を遠隔操作するための、ユーザからの操作指示を受け付ける装置である。例えば、タッチパネルやキーボードやスイッチなどの入力装置である。他にも、音声を検出するマイクや、ジェスチャーや目線などを検出するカメラなどユーザからの操作意図を入力できる装置であれば、どのような構成でも構わない。操作部250は、表示部240と一体となったタッチパネルであることが望ましい。
【0078】
操作部250は、後述の操作入力ステップを行う。
【0079】
操作部250での、好ましいユーザの入力方法について、
図6を用いて説明する。
図6は、操作部250で、ユーザが掃除機100を遠隔操作する一例である。ユーザは、タッチパネル上に表示された掃除機100の方向を確認しながら、タッチパネル上で移動指示を行いたい方向の位置を押す。これによって、ユーザは、掃除機100の移動方向のベクトルを、制御部120に指示することができる。また、タッチパネル上に表示された掃除機100の中心から、タッチパネル上で指示された位置までの距離に応じて、制御部120は、移動部130に指示する、掃除機100の移動速度を変える。具体的には、制御部120は、タッチパネル上に表示された掃除機100の中心と指示された位置との距離が大きければ、距離が小さい場合より、移動部130が備えるモータの回転数が大きくなるように、移動部130に指示する。これによれば、ユーザは、方向制御に加えて、速度制御を直感的に行うことができる。
【0080】
また、表示部240での、好ましい表示方法について、
図7を用いて説明する。
図7は、操作部250で、ユーザが掃除機100を遠隔操作し、表示部240に表示される掃除機100の変化を説明するものである。
図7の(1)から(3)の順で、表示部240の表示が変化する。
【0081】
まず、
図7の(1)では、
図6の例で示したように、タッチパネル上で移動指示を行いたい方向の位置を押すことで、掃除機100の移動方向を制御部120に指示する。
図7の(2)では、掃除機100の実際の旋回に合わせて、表示部240に表示される掃除機100の表示方向が更新されつつある状態を示している。
図7の(3)では、実際の掃除機100が旋回を終えて、表示部240に表示される掃除機100の移動方向が、
図7の(1)でユーザが指示した位置の方向と一致した状態を示している。このように、表示部240に表示される、制御指示の旋回角度を更新していくことで、ユーザの指示に追従した形で表示を行うことが出来る。
【0082】
制御部120が行う好ましい移動部130の制御について、
図8および
図9を用いて説明する。
図8は、タッチパネル上に表示された掃除機100の中心とユーザにより指示された位置との距離が小さい場合の、掃除機100の動きを説明するものであり、
図9は、距離が大きい場合の、掃除機100の動きを説明するものである。
【0083】
図8に示すように、ユーザが指示する位置までの距離が近い場合には、制御部120は、掃除機100をその場で回転させてから、直進移動させるように、移動部130へ指示する。これにより、掃除機100は、指示された位置付近をくまなく清掃できる。これは、上述したように、掃除機100は、前進しているときに、効率よくゴミを掻き揚げて、吸引し、ダストボックスに保持できるためである。
【0084】
また、他にも、移動目標との距離が短い場合には、清掃を優先して、移動速度を低速にして移動制御を行うことで、目標位置の周辺をしっかりと清掃するように掃除機を構成することができる。
【0085】
一方、
図9に示すように、ユーザが指示する位置との距離が遠い場合には、制御部120は、移動速度を優先して、まず、掃除機100を旋回させながら移動させるように、移動部130へ指示する。このように、制御部120が、より速い移動制御を行うことで、掃除機100は、より短時間に目標位置まで到達できるようにできる。
【0086】
なお、本実施の形態においては、操作部250が、表示部240にタッチパネルとして組み込まれているものとして説明したが、表示部240と操作部250は別々に構成されていてもよい。
【0087】
通信部260は、掃除機100の通信部140との通信手段であり、通信部140の通信方式と対応する通信方式を用いて実現される。
【0088】
次に、本実施の形態における遠隔操作システム1000の動作について説明する。
【0089】
図10は、本発明の実施の形態における遠隔操作システム1000の基準となる方向を記憶する際のフローチャートである。
【0090】
まず、ステップS1001にて掃除機100の方向センサ部110より機器方向情報を取得し(機器方向検出ステップ)、通信部140によって機器方向情報を操作端末200へ送信する(機器方向情報送信ステップ)。
【0091】
操作端末200は、通信部260によって掃除機100からの機器方向情報を取得する(機器方向情報取得ステップ)。さらに操作端末200は方向センサ部210より端末方向情報を取得する(端末方向検出ステップ)。
【0092】
次に、ステップS1002では、基準方向を記憶する判断を行う。例えば、
図3に示す
ように、操作端末200から見える掃除機100との相対方向が一致するように掃除機100もしくは操作端末200の方向を調整してから、基準方向として記憶することで、操作端末200に表示する掃除機100の方向を一致させることができる。このため、実際の画面に表示されている掃除機100と一致するように、操作端末200や掃除機100を動かすことで直接的な調整ができるので、ユーザにとってわかりやすく設定することができる。
【0093】
また、他の例としては、基準となる方向を設定する際に、表示部240に表示している掃除機の方向を、操作部250を操作して、実際の掃除機100と同じ方向になるように、表示部240の掃除機を回転させて方向を調整するように構成することも可能である。このように、表示部240と操作部250とを使って基準となる方向を調整することは、操作端末200が固定されており、容易に動かせないような場合に有効である。
【0094】
基準方向を記憶する場合には、ステップS1003に移行する。また、基準方向を記憶しない場合には、ステップS1001に戻る。
【0095】
ステップS1003では、基準となる方向を記憶するタイミングで取得した、掃除機100の方向センサ部110の機器方向情報と、操作端末200の方向センサ部210の端末方向情報を方向記憶部230に基準方向として記憶する(基準方向設定ステップ)。
【0096】
このような処理の流れによって、基準となる方向を記憶することで、操作端末200で操作する際に、掃除機100の動きに合わせて、表示部240に掃除機100の方向を表示するために必要となる情報を取得することができる。
【0097】
次に、
図11を用いて、基準となる方向を記憶した後に、操作端末200にて、表示部240に掃除機100の方向を表示しながら、ユーザの操作による掃除機100を操作する情報を、掃除機100に送信する処理の流れを説明する。
【0098】
まず、ステップS1101にて掃除機100の方向センサ部110より機器方向情報を取得し(機器方向検出ステップ)、さらに操作端末200の方向センサ部210より端末方向情報を取得する(端末方向検出ステップ)。
【0099】
次に、ステップS1102にて取得した機器方向情報及び、端末方向情報及び、方向記憶部230に記憶している方向情報に基づき、表示部240に掃除機の方向を表示する(相対方向表示ステップ)。
【0100】
例えば、
図4は、掃除機100が角度α回転した時の、操作端末200の表示部240に掃除機100の方向表示している例である。基準方向Rに対して方向センサ部110で取得した回転角度α分を加えた方向に、掃除機100が向いているように、現在方向Cとして表示を行うことで、実際の掃除機100の方向と同期して表示を行うことができる。
【0101】
また、
図5は、操作端末200が角度β回転した時の、操作端末200の表示部240に掃除機100の方向表示している例である。基準方向Rに対して後述する方向センサ部210で取得した操作端末角度β分を加えた方向に、掃除機100が向いているように、現在方向Cとして表示を行うことで、実際の掃除機100の方向と同期して表示を行うことができる。
【0102】
ステップS1103では、操作部250によりユーザがどのような操作を行ったかの判断を行う(操作入力ステップ)。
【0103】
操作が行われている場合には、ステップS1104に移行する。操作が行われていない場合には、ステップS1101に戻る。
【0104】
ステップS1104では、操作部250により受け付けたユーザの操作情報を、通信部260を介して、掃除機100へ送信し(操作情報送信ステップ)、掃除機100は捜査情報を通信部140で受信して移動部130の移動制御を行う(移動制御ステップ)。
【0105】
例えば、
図6は、操作部250で、ユーザが掃除機100を遠隔操作する一例である。ユーザは、タッチパネル上に表示された掃除機100の方向を確認しながら、移動指示を行いたい方向の位置を押すことで、移動方向のベクトルを指示することができるようになる。また、表示している掃除機100の絵の中心から、指示する位置までの距離に応じて、掃除機100の移動速度を変えることで、方向制御に加えて、速度制御を直感的に行うことができるように構成することができる。
【0106】
このような処理の流れによって、操作端末200の表示部240に掃除機100の方向を表示しながら、操作部250によりユーザの操作を受け付けて、掃除機100を遠隔操作することができる。
【0107】
次に、本実施の形態における遠隔操作システム1000の全体の動作のステップの処理の流れについて説明する。
【0108】
図12は、本発明の実施の形態における遠隔操作システム1000の基準となる方向を記憶した後、操作端末200にて、表示部240に掃除機100の方向を表示しながら、ユーザの操作により掃除機100を操作する情報を掃除機100に送信して、掃除機100が移動制御を行う流れする際の掃除機100及び操作端末200の通信のやり取りを含むフローチャートである。
【0109】
ステップS1201では、掃除機100の方向センサ部110より機器方向情報を取得する(機器方向検出ステップ)。
【0110】
ステップS1202では、前記ステップS1201で取得した機器方向情報を、通信部140を介して、操作端末200へ送信する(機器方向情報送信ステップ)。
【0111】
ステップS1203では、操作端末200の方向センサ部210より端末方向情報を取得する(端末方向検出ステップ)。
【0112】
ステップS1204では、掃除機100の方向センサ部110の機器方向情報と、操作端末200の方向センサ部210の端末方向情報を方向記憶部230に基準方向として記憶する(基準方向設定ステップ)。なお、基準となる方向を記憶するタイミングとしては、
図10に示したように、ユーザから記憶の指示を待ってから記憶することや、予め決めておいた位置に掃除機100及び操作端末200を設置してから操作を行うことで、正しく基準となる方向を設定することができる。
【0113】
ステップS1205では、前記ステップS1201と同様に、掃除機100の方向センサ部110より現在の機器方向情報を取得する(機器方向情報取得ステップ)。掃除機100の方向センサ部110より現在の機器方向情報を取得するタイミングとしては、たとえば、所定の時間間隔毎でもよいし、掃除機100の累積回転角度が所定値を越えたときなどが考えられる。
【0114】
ステップS1206では、前記ステップS1203と同様に、操作端末200の方向セ
ンサ部210より現在の端末方向情報を取得する(端末方向検出ステップ)。
【0115】
ステップS1207では、前記ステップS1205で取得した機器方向情報、前記ステップS1206で取得した端末方向情報及び、前記ステップS1204で記憶した方向記憶部230に記憶している方向情報に基づき、表示部240に掃除機100の方向を表示する(相対方向表示ステップ)。
【0116】
ステップS1208では、操作部250によりユーザがどのような操作を行ったか判断を行う(操作入力ステップ)。
【0117】
操作が行われた場合には、ステップS1209に移行する。操作が行われていない場合には、ステップS1205に戻る。
【0118】
ステップS1209では、前記ステップS1208にてユーザが行った操作情報を、通信部260を介して、掃除機100に送信する(操作情報送信ステップ、及び操作情報取得ステップ)。
【0119】
ステップS1210では、前記ステップS1209にて送信し、掃除機100が取得した操作情報に基づき、制御部120によって移動部130の制御を行うことで移動制御を行う(移動制御ステップ)。
【0120】
このような処理の流れによって、掃除機100の方向センサ部110及び、操作端末200の方向センサ部210が取得した、基準となる方向を方向記憶部230に記憶し、操作端末200の表示部240に掃除機100の方向を表示しながら、操作部250によりユーザの操作を受け付ける。このため、ユーザは、掃除機100を遠隔操作ができる。
【0121】
次に、
図13を用いて、掃除機100が、掃除機100の周囲情報を取得する障害物検出部160により、表示部240に掃除機の方向と合わせて周囲情報を表示し、その周囲情報の表示に応じて操作入力の範囲を制限する場合の例について説明する。
【0122】
操作端末200の表示部240には、掃除機100の方向を表示した際に、障害物検出部160で検出した障害物の情報を、掃除機100の絶対的な方向と合わせて表示を行う。これによって、ユーザは周囲の障害物の影響を考慮しながら、掃除機100の操作を容易に指示することができる。つまり、表示部240は、障害物検出部160が検出した障害物の情報に応じて、障害物を表示する。
【0123】
図13に示すように、表示部240には、障害物と掃除機100との距離と、方向とに応じて、障害物が表示される。また、掃除機100からみて障害物の背後となる領域は、移動指示不可領域として、表示される。
【0124】
また、
図13の移動指示不可領域に対して、ユーザが操作指示を行った場合には、操作部250の操作入力を制限する。これによって、障害物と接触するような制御指示が制限できるので、掃除機100が障害物と接触することを自動的に防ぐことができる。
【0125】
なお、本実施の形態においては、操作端末200は方向センサ部210を備えた例として説明を行ったが、操作端末200が、例えば、机の上など固定して使用する、あるいはユーザが椅子に座って操作するなど、ユーザが操作する際には動かすことがないような場合には、
図2の方向センサ部210、
図10のステップS1001の端末方向情報の取得、
図11のステップS1101の端末方向情報の取得、および
図12のステップS1203の端末方向情報の取得を備えていなくても、同様の効果を得ることができる。
【0126】
以上説明したように構成することにより、ユーザの保持する操作端末との基準方向に対して、掃除機の向きを自動的に合わせながら、操作端末上に表示することができるようになるので、ユーザから見て、掃除機に対して直接的な操作指示で、遠隔操作することが可能となる。このため従来、操作ミスしやすかった方向操作の間違いを減らして快適に操作ができるようになる。
【0127】
さらに、操作端末上に表示されている掃除機の絶対的な方向に対して、ユーザは操作指示を行うことができるようになるので、細かな方向の指示が可能となる。また、表示されている掃除機の中心からの指示位置の距離に応じて、速度を変化させるように入力を受け付けるようにすることで、移動方向に対する速度の指示を入力しやすくなる。
【0128】
さらに、カメラ画像などのデータ容量の大きい情報を扱わずにすむので、安価な構成で実現することができる。また、例えば、掃除機の相対的な方向を取得するために、ジャイロセンサや地磁気センサや掃除機の車輪にエンコーダを備えるだけでよく、安価な構成で実現できる。
【0129】
次に、掃除機を操作端末によって遠隔操作を行う制御プログラムについて説明する。
【0130】
掃除機の現在の機器方向情報を検出する機器方向検出ステップと、機器方向情報を操作端末へ送信する機器方向情報送信ステップと、操作端末が掃除機から機器方向情報を取得する機器方向情報取得ステップと、掃除機と操作端末との相対的な方向の基準方向を定める基準方向設定ステップと、基準方向、及び、機器方向情報に応じて、操作端末の表示部に、操作端末との相対的な方向として掃除機の方向を表示する相対方向表示ステップと、相対方向表示ステップの表示に合わせて操作端末に入力される操作情報を受け付ける操作入力ステップと、操作情報を掃除機へ送信する操作情報送信ステップと、掃除機が操作端末からの操作情報を取得する操作情報取得ステップと、操作情報に応じて掃除機を移動制御する移動制御ステップとを実行させる。
【0131】
この制御プログラムを実行することで、ユーザの保持する操作端末との基準方向に対して、掃除機の向きを自動的に合わせながら、操作端末上に表示することができるようになる。このため、ユーザから見て、掃除機に対して直接的な操作指示で、遠隔操作することが可能となる。これによって、従来、操作ミスしやすかった方向操作の間違いを減らして快適に操作ができるようになる。
【0132】
なお、発明を実施するための形態に記載した、具体的な実施態様は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体形態にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求の範囲の記載事項内で、種々変更して実施することができるものである。