(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における投影装置の構成図である。
【0013】
図1において、投影装置は、二流体ノズル11と、投影装置側気体流路12と、投影装置側液体流路13と、液体圧力調整器14と、気体用弁15と、液体用弁16と、気体供給源17、液体供給源18と、制御部30と、ミスト濃度測定部20と、投影部21と、スクリーン22とで、ミスト91を噴霧するための主要部を構成している。投影部21から画像又は映像がスクリーン22に投影される。
【0014】
室内空間90に複数個の二流体ノズル11が配置されている。一例として、室内空間90内で、高さを異ならせて二流体ノズル11が配置されている。
図1では、人が居る床面を最も低い高さとして、3つの異なる高さのそれぞれで、複数の二流体ノズル11が配置されている。
【0015】
1つの気体供給源17は、投影装置側気体流路12を通じて、各二流体ノズル11に気体を供給する。気体の一例としては空気である。
【0016】
1つの液体供給源18は、投影装置側液体流路13を通じて、各二流体ノズル11に液体を供給する。液体の一例としては水である。
【0017】
各二流体ノズル11に供給された液体と気体とは、各二流体ノズル11で混合され、液体が微粒化される。微粒化されたミストは、各二流体ノズル11から室内空間90内に噴霧される。
【0018】
各二流体ノズル11としては、圧縮気体と加圧した液体をノズル11に供給し、ノズル11の内部で混合して、液体を微粒化する内部混合型のノズルを用いることができる。
【0019】
複数の二流体ノズル11は、高さを変えて室内空間90に設置されており、短時間で室内空間90内のミスト濃度分布を均一な状態にすることができる。
【0020】
この二流体ノズル11の具体例については後述する。
【0021】
投影装置側気体流路12と投影装置側液体流路13としては、それぞれ、鋼管又はステンレス管などの金属配管又は樹脂チューブなどを用いることができる。
【0022】
液体圧力調整器14は、設置高さが同一にある二流体ノズル11のグループ毎に、供給する液体の圧力を設定することができる。
【0023】
液体圧力調整器14としては、レギュレータ又はニードル弁を用いることができ、各二流体ノズル11から噴霧されるミスト91の噴霧量を設定できる。
【0024】
気体供給源17としては、例えば0.1〜1MPaの圧力の圧縮気体を供給できるコンプレッサ又はポンプ、又は、ブロワなどを用いることができ、レギュレータなどを介して所定の圧力で気体を投影装置側気体流路12に供給できるものが良い。
【0025】
液体供給源18としては、例えば0.1〜1MPaの圧力で液体を供給できるポンプを用いることができ、レギュレータなどを介して所定の圧力で液体を投影装置側液体流路13に供給できるものが良い。また、液体供給源18としては、圧力容器内の液体を、圧縮気体を用いて所定の圧力で加圧して、液体を供給できる加圧タンクを用いても良い。
【0026】
気体供給源17と、気体供給源17に投影装置側気体流路12上で最も近い二流体ノズル11との間の投影装置側気体流路12に、気体用弁15は設置されている。
【0027】
気体用弁15は、制御部30と制御配線31で接続され、制御部30からの通電及び非通電で開閉し、気体供給源17から投影装置側気体流路12を介して各二流体ノズル11への気体の供給を開始及び停止する。
【0028】
液体供給源18と、液体供給源18に投影装置側液体流路13上で最も近い二流体ノズル11との間の投影装置側液体流路13に、液体用弁16は設置されている。
【0029】
液体用弁16は、制御部30と制御配線31で接続され、制御部30からの通電及び非通電で開閉し、液体供給源18から投影装置側液体流路13を介して各二流体ノズル11への液体の供給を開始及び停止する。
【0030】
気体用弁15、液体用弁16としては、それぞれ、二方向電磁弁を用いることができ、非通電時に弁が閉じ、かつ、通電時に弁が開くノーマルクローズのものが良い。
【0031】
ミスト濃度測定部20は、室内空間90内に配置されている。例えば、ミスト濃度測定部20は、室内空間90の排気及び給気の影響を避けるため、室内空間90の排気口及び給気口から離れた位置に配置する。一例として、ミスト濃度測定部20は、人が位置する床面の近傍空間に配置する。ミスト濃度測定部20は、投光部と受光部とを備えている。投光部から光をミスト91が噴霧された空間に照射すると、ミスト91で光が散乱され、その散乱光を受光部で検出する。受光部で検出される散乱光の強度は、ミスト濃度に依存するため、ミスト濃度測定部20はミスト濃度を測定することができる。ミスト濃度は、人が肉眼で視認可能である見通しの距離(すなわち、視程)として、表すことができる。
【0032】
投光部から照射される光は、人の目で感知できない近赤外光を用いることが好ましい。ミスト濃度測定部20は、投影部21から投影される画像又は映像の光の影響を受けず、かつ室内空間90内のミスト濃度を測定可能な位置に設置することが好ましい。ミスト濃度測定部20は、信号配線32で制御部30と接続され、ミスト濃度の信号を制御部30へ送信する。
【0033】
投影部21としては、DLP(Digital Light Processing)方式プロジェクタ又は液晶プロジェクタ、又はスポットライト型プロジェクタなどを用いることができる。
【0034】
スクリーン22としては、塗料が塗布された艶消し仕上げの布地又は樹脂シートを用いることができる。また、室内空間90を構成する壁面を、スクリーン22として用いても良い。
【0035】
各二流体ノズル11の噴霧の開始は、気体用弁15を開けて気体を各二流体ノズル11に供給した後に、液体用弁16を開けることにより行う。各二流体ノズル11の噴霧の停止は、液体用弁16を閉じた後に、気体用弁15を閉じることにより行う。
【0036】
各二流体ノズル11の噴霧の開始の応答性を高め、かつ噴霧の停止の際に各二流体ノズル11からの液だれを防止するために、二流体ノズル11毎の近傍の投影装置側液体流路13に逆止弁を設置し、かつ投影装置側液体流路13の液体用弁16の下流側近傍に投影装置側液体流路13内の液体圧を大気圧に開放するための液体排出弁と液体排出流路とを設置しても良い。また、同様の目的で、二流体ノズル11毎の近傍の液体流路に電磁弁又はエアオペレート弁を設置しても良い。
【0037】
制御部30は、投影部21へ、投影される画像又は映像の投影開始又は停止などの情報を出力する。制御部30は、投影部21からスクリーン22に投影される画像又は映像の情報に基づいて、気体用弁15及び液体用弁16を開閉制御してミスト91の噴霧の開始及び停止を行う。例えば、制御部30は、画像又は映像の投影開始又は停止に対して事前に設定された噴霧開始時間又は噴霧停止時間で、気体用弁15及び液体用弁16を開閉制御してミスト91の噴霧の開始及び停止を行う。又は、別の例としては、制御部30は、画像又は映像の投影開始又は停止と共に気体用弁15及び液体用弁16を開閉制御してミスト91の噴霧の開始及び停止を行う。また、制御部30は、ミスト濃度測定部20からのミスト濃度の信号を受信し、受信した信号を基に気体用弁15及び液体用弁16を開閉制御してミスト91の噴霧の開始及び停止を行うことによりミスト濃度を制御する。具体的な制御動作の一例としては、制御部30は、投影される画像又は映像の情報に基づき、ミスト濃度を濃くしたり、薄くしたり、又は所定のミスト濃度を維持したりするように気体用弁15及び液体用弁16を開閉制御する、又は、特定の画像又は映像が投影される情報又はタイミングに基づき、気体用弁15及び液体用弁16を開閉制御する、などが考えられる。ミスト濃度の制御は、例えば、所定の範囲、視程が20m〜50mとなるように、ミスト濃度を制御することができる。
【0038】
図8は、制御部30の制御の下での、画像又は映像の投影とミストの噴霧の開始及び停止に伴う、気体用弁15と液体用弁16との開閉制御の具体的な一例を示すフローチャートである。
【0039】
まず、ステップS1で、制御部30の制御の下に、投影部21からスクリーン22に画像又は映像の投影を開始する。
【0040】
次いで、ステップS2で、制御部30で、予め設定した噴霧開始時刻になったか否かを判定する。噴霧開始時刻になるまで待機し、噴霧開始時刻になったのち、ステップS3に進む。
【0041】
次いで、ステップS3で、制御部30の制御により気体用弁15を開く。
【0042】
次いで、ステップS4で、制御部30の制御により液体用弁16を開く。
【0043】
次いで、ステップS5で、制御部30は、ミスト濃度測定部20からのミスト濃度の信号を受信し、受信した信号を基に、ある程度の時間だけ、幻想的で心地良い室内空間90を維持できる目安として、視程が、第1視程閾値の一例としての20m以下であるか否かを判定する。ステップS5で視程が20m以下となるまで待機し、視程が20m以下になったのち、ステップS6に進む。
【0044】
次いで、ステップS6で、制御部30の制御により液体用弁16を閉じる。
【0045】
次いで、ステップS7で、制御部30の制御により気体用弁15を閉じる。
【0046】
次いで、ステップS8で、制御部30は、ミスト濃度測定部20からのミスト濃度の信号を受信し、受信した信号を基に、幻想的で心地良い室内空間90を維持し続ける目安として、視程が、第2視程閾値の一例としての50m以下であるか否かを判定する。視程が50m以下であれば、幻想的で心地良い室内空間90を維持し続けていると判定して、ステップS9に進む。もし、視程が50m以下でなければ、幻想的で心地良い室内空間90を維持できるようにミスト濃度を増加させるため、ステップS3に戻る。
【0047】
次いで、ステップS9では、制御部30で、予め設定した噴霧停止時刻になったか否かを判定する。噴霧停止時刻でなければ、ステップS8に戻る。ステップS9で、噴霧停止時刻になると、ステップS10に進む。
【0048】
次いで、ステップS10で、制御部30の制御の下に、投影部21からのスクリーン22に対する画像又は映像の投影を停止する。
【0049】
ここで、視程20m及び視程50mは、制御動作のための判定基準としての、第1視程閾値の例及び第2視程閾値の例であって、これらに限定されるものではない。
【0050】
室内空間90内のミスト濃度分布を均一な状態にするための具体的な配置構成の例を
図9に変形例1として示す。
図9においては、複数の二流体ノズル11を、3種類の異なる設置高さにそれぞれ設置する場合を示している。ミスト濃度測定部20も3種類の異なる設置高さにそれぞれ設置されている。液体供給源18から見て、液体圧力調整器14の下流側の3種類の異なる設置高さの投影装置側液体流路13毎に液体用弁16−1、16−2、16−3を配置している。3種類の異なる設置高さの投影装置側気体流路12毎に気体用弁15−1、15−2、15−3を配置している。
【0051】
また、
図9の変形例1とは少し異なる変形例2では、ミスト濃度測定部20を、設置高さが同一にある二流体ノズル11のグループ毎のスクリーン22の近傍の複数個所に高さを変えて設置し、それぞれのグループ毎の気体流路12に気体用弁15を、液体流路13に液体用弁16を、設置しても良い。このように、各ミスト濃度測定部20は、スクリーン22の近傍又は離れた位置、室内空間90の中央などに設置することができる。
【0052】
変形例1又は変形例2のそれぞれのミスト濃度測定部20が検出するミスト濃度に応じて、それぞれの二流体ノズル11のグループ毎に気体用弁15と液体用弁16とを制御部30で開閉制御することで、室内空間90内のミスト濃度分布を均一な状態にすることができる。
【0053】
図2Aは、本発明の実施の形態1における二流体ノズル11を示す断面図である。以下、この二流体ノズル11の構成について
図2Aを参照しながら説明する。
【0054】
二流体ノズル11は、二流体ノズル本体部120と、液体導入部130と、気体導入部140と気液噴出部150を少なくとも備えている。液体導入部130と気体導入部140と気液噴出部150とで、気液混合部160を構成している。二流体ノズル11は、さらに、気液噴出部固定部170を備えている。
【0055】
二流体ノズル本体部120は、投影装置側液体流路13に接続されかつ円柱状部材の中心軸124の方向沿いに配置されたノズル側液体流路121と、投影装置側気体流路12に接続されかつノズル側液体流路121の周囲に間隔をおいて軸方向沿いに配置された円筒状のノズル側気体流路122とが、それぞれ形成されている。ノズル側液体流路121とノズル側気体流路122とは、二流体ノズル本体部120の一部として中央部に位置する円筒部123で区切られている。ノズル側液体流路121は、先端部のみを図示しており、後端部の図示しない液体供給口は、投影装置側液体流路13に接続されている。ノズル側気体流路122も、先端側のみを図示しており、後端の図示しない気体供給口は、投影装置側気体流路12に接続されている。円筒部123の先端は、円筒部123以外の二流体ノズル本体部120より先端側に少し突出し、その先端に液体導入部130が固定されている。
【0056】
液体導入部130は、二流体ノズル本体部120の先端に配置され、投影装置側液体流路13に接続されるノズル側液体流路121の開口を覆っている。液体導入部130は、円筒部123の端面と接する面に溝状の液体流路が形成されている。液体導入部130の中心軸124から半径方向にずれた少なくとも1箇所には、中心軸124方向に貫通する液体流入口131が形成されている。すなわち、液体流入口131は、液体導入部130の中心軸124から半径方向にずれた少なくとも1箇所に貫通して設けられる。液体流入口131は、例えば、気液混合部160の上流側で、円環状の気体導入部140の内周面近傍に位置しており、ノズル側液体流路121と気液混合部160とを連通させて、ノズル側液体流路121を流れる液体流を気液混合部160に流入させている。液体導入部130の先端面には、気液混合部160に突出した先細りの形状で、例えば、円錐状の凸部132が設けられている。円錐状の凸部132の中心軸は中心軸124に一致するように、円錐状の凸部132は中心軸124沿いに突出している。
【0057】
気液噴出部150は、二流体ノズル本体部120の先端に配置され、液体導入部130と気体導入部140を覆うとともに、ノズル側気体流路122の開口を覆いかつ軸方向断面略Ω形状をなしている。気液噴出部150は、液体導入部130との間に所定間隔の円筒状の外形の隙間133をあけて覆っている。気液噴出部150の先端部には、気液混合流体を流出させる管状流路151と、管状流路151と連通して気液混合流体を噴出させる噴出口152とが形成されている。気液噴出部150の先端部側の内面には、管状流路151と連通したテーパーを有する円錐状の流路153が形成されている。テーパーを有する流路153には、凹凸形状の開口を有する整流部154が設けられている。
【0058】
液体導入部130に設けられた円錐状の凸部132の先端は、整流部154の凹凸形状の開口との間で整流流出口155を形成している。円錐状の凸部132の先端部の先端は、整流部154の凹凸形状の開口に入り込んだ状態で整流流出口155を形成している。
【0059】
気液噴出部固定部170は、気液噴出部150を二流体ノズル本体部120の端面との間に挟持して固定している。なお、気液噴出部固定部170を無くして、気液噴出部150が、直接、二流体ノズル本体部120の端面に固定されるようにしてもよい。
【0060】
図2Bは、二流体ノズル11の
図2Aの2B−2B線での断面図を示している。
図2Bに示すように、円環状の気体導入部140の内周の接線方向沿いに、気体導入部140の少なくとも1箇所に切り欠きもしくは隙間が設けられて、気体流入口141が形成されている。気体流入口141は、ノズル側気体流路122と連通し、気体導入部の内側に気体流を流入させる。
【0061】
気体流入口141は、液体流入口131の近傍に配置され、かつ、液体流入口131から流入する液体流の流入方向に対して、前記気体流入口141から流入する前記気体流の流入方向が交差する(例えば、直交する)ように配置されている。気体流入口141から流入した気体流は、液体流入口131から流入した液体流に衝突し、円環状の気体導入部140の内周面に沿って周回して液体を微粒化する。
【0062】
図2Cは、二流体ノズル11の
図2Aの2C−2C線での断面図を示している。
図2Cに示すように、整流部154は、凹凸形状の開口を有し、凹凸形状の開口と円錐状の凸部132との間で整流流出口155を形成している。整流部154の凹凸形状の開口は、円筒又は円錐筒の内側の周面に三角形などの歯を円筒又は円錐筒の軸周りに所定間隔毎に又は均等に内歯歯車のように刻んで、三角形などの歯を所定間隔又は均等に突出させて、隣接する歯と歯との間に整流流出口155を形成するような形状となっている。
【0063】
ここで、整流流出口155は、円錐状の凸部132の先端部が整流部154の凹凸形状の開口に入り込んだ状態で、凹凸形状を外周に有する、円環状に形成されている。整流部154の凹凸形状は、凸部132の軸周りに複数個、所定間隔毎に又は均等に、配置された同じ形状又は類似する形状で形成され、かつ、軸周りに対称、例えば回転対称に配置されている。
【0064】
整流流出口155の一例としては、
図2A及び
図2Cに示すように、整流部154の凹凸形状の開口の内縁が円錐状の凸部132の先端部に接触して互いに仕切られた複数個の三角形の整流流出口155として形成することができる。
【0065】
このような構成において、二流体ノズル11に供給された液体は、二流体ノズル本体部120に対して、図示しない液体供給口から二流体ノズル先端側にノズル側液体流路121を流れて液体流となる。その液体流は、ノズル側液体流路121と液体流入口131とを通って、気液混合部160に供給される。また、二流体ノズル11に供給された気体は、二流体ノズル本体部120に対して、図示しない気体供給口から二流体ノズル先端側にノズル側気体流路122を流れて気体流となる。その気体流は、隙間133と気体流入口141とを通って、気液混合部160に供給される。
【0066】
気液混合部160に対して気体流と液体流とが供給されると、気液混合部160で互いに混合されて、液体が微粒化される。その後に、整流部154の凹凸形状の開口と円錐状の凸部132とで形成される整流流出口155を通って整流され、気液噴出部150に設けられた管状流路151を通って噴出口152から、混合されて微粒化された液体を外側に噴出する。
【0067】
ここで、以下に、気液混合部160での微粒化の機構について説明する。ノズル側液体流路121を流れてきた液体流は、液体導入部130に設けられた液体流入口131を通り、気液混合部160の円環状の気体導入部140の内面近傍より、液体流が気液噴出部150の方向へ供給される。
【0068】
一方、液体流入口131から気液混合部160に供給された液体流に対して、気体流入口141を通って気液混合部160に供給された気体流が、液体流に衝突して円環状の気体導入部140の内周面に沿って周回する。このように衝突することで、液体は、円環状の気体導入部140の内周面に押し広げられ、薄い膜状になる。さらに、液体は、この状態から、円環状の気体導入部140の内周面沿いの周方向に流れることにより、薄い膜状から、さらに細かな液滴へと変化する。さらに、この液滴を含む気液混合流体が、気液混合部160内で攪拌されることで、液滴をさらに微粒化することができ、平均粒径のより小さな液体を噴出口152から噴霧することが可能である。
【0069】
具体的には、気液混合部160を形成する円環状の気体導入部140は、内径6.0mm、高さ1.9mmである。整流部154の凹凸形状の開口の内接円156は、直径1.9mm、開口の外接円157は直径2.8mm、開口の面積は4.52mm
2である。気液噴出部150の管状流路151は直径1.0mmで、流路断面積は0.79mm
2である。液体流入口131は直径0.6mmである。気体流入口141の軸直交方向の流路断面は矩形であり、幅2.0mm、高さ1.0mmである。円錐状の凸部132の底面の直径は6mm、凸部132の高さは2.8mmである。整流流出口155の開口面積は1.6mm
2である。
【0070】
二流体ノズル11の気体供給口へ、気体の例として圧縮空気を0.5MPa(ゲージ圧)の圧力で供給し、二流体ノズル11の液体供給口へ、液体の例として水を0.509MPa(ゲージ圧)の圧力で供給した。この条件で微粒化した液体のザウター平均粒径をレーザー回折法にて評価を行った。レーザー回折法の測定距離は、二流体ノズル11の先端から300mmの位置であり、ザウター平均粒径は6.0μmとなった。
【0071】
二流体ノズル11は、供給する圧縮空気の圧力と供給する水の圧力とを変えることにより、ミスト91の噴霧量を変えることができる。
図3に二流体ノズル11の気体供給口へ0.5MPaの圧縮空気を供給した場合の、二流体ノズル11の液体供給口での水の圧力とミスト91の噴霧量の関係を示す。水の圧力の増加とともに、ミスト91の噴霧量が増加している。
【0072】
一方で、二流体ノズル11の設置高さが変わると、供給される水の位置エネルギーが変化する。そのため、高さの異なる二流体ノズル11のミスト91の噴霧量を同量とするためには、高さの異なる二流体ノズル11のグループ毎に、液体圧力調整器14の設定圧力を設定する必要がある。
【0073】
図4に、二流体ノズル11の気体供給口に0.5MPaの圧縮空気を供給し、噴霧量を50ml/minとする場合の、二流体ノズル11の設置高さと液体圧力調整器14の設定圧力との関係を示す。高さの異なる二流体ノズル11のグループ毎に、液体圧力調整器14の設定圧力を設定することにより、二流体ノズル11の液体供給口での水の圧力は0.509MPaとなり、均一なミスト91の噴霧量が得られる。ここで、二流体ノズル11の設置高さとは、ノズル11の先端の高さを意味する。
【0074】
かかる構成によれば、制御部30により気体用弁15及び液体用弁16を開閉制御して、二流体ノズル11を用いて液体を微粒化したミスト91を室内空間90に噴霧することにより、室内空間90のミスト濃度を制御することができる。その結果、例えば、室内空間90内のミスト濃度分布を均一な状態にして、その室内空間90を通して画像又は映像をスクリーン22に投影して、ミスト91に画像又は映像の光を散乱させることにより、幻想的で心地良い室内空間90を実現することができる。
【0075】
(実施の形態2)
図5Aは、本発明の実施の形態2における二流体ノズル11bを示す切断端面図である。
図5A内の斜線塗りされた太矢印281は二流体ノズル11b内の液体の流れの方向を、白塗り太矢印282は二流体ノズル11b内の気体の流れの方向を示している。
【0076】
二流体ノズル11bは、二流体ノズル本体部220と、液体導入部230と、気体導入部240と、気液噴出部250とを少なくとも備えている。液体導入部230と気体導入部240と気液噴出部250とで、気液混合部260を構成している。二流体ノズル11bは、さらに、気体流入路241と、液体流入路232と、噴出口252と、突起部233とを備えている。二流体ノズル11bは、さらに、気液噴出部固定部270を備えている。
【0077】
二流体ノズル本体部220は、投影装置側液体流路13に接続されかつ円柱状部材の中心部に中心軸211の方向沿いに配置されたノズル側液体流路221と、投影装置側気体流路12に接続されかつノズル側液体流路221の周囲に間隔をおいて中心軸211の方向沿いに配置された円筒状のノズル側気体流路222とがそれぞれ形成されている。ノズル側液体流路221とノズル側気体流路222とは、二流体ノズル本体部220の一部として中央部に位置する円筒部223で区切られている。ノズル側液体流路221は、先端側のみを図示しており、後端の図示しない液体供給口は、投影装置側液体流路13に接続されている。ノズル側気体流路222も、先端側のみを図示しており、後端の図示しない気体供給口は、投影装置側気体流路12に接続されている。
【0078】
円筒部223の先端は、円筒部223以外の二流体ノズル本体部220より先端側に少し突出し、その先端に液体導入部230が固定されている。
【0079】
液体導入部230は、二流体ノズル本体部220の先端に配置され、ノズル側液体流路221の開口を覆いかつ平らな内側端面(すなわち、下流側端面)230aを有する断面略C字形状をなしている。液体導入部230は、円筒部223の端面と、液体導入部230の内側端面230aとは軸方向の反対側の上流側の内面との間には、円板状の外形の第1隙間322が形成されている。
【0080】
また、液体導入部230の下流側端面すなわち内側端面230aの1か所には、後述する所定の突出高さで下流側に向けて内側端面230aから突出して隆起した突起部233が形成されている。突起部233は、一例として、外形が湾曲して下流側に向けて先すぼまりとなるような半円球形状の外形となっている。
【0081】
また、液体導入部230と突起部233とを軸方向に貫通し、ノズル側液体流路221と気液混合部260とを連通する液体流入路232が形成されている。液体流入路232は、中心軸211から外れた位置、すなわち、ノズル側液体流路221の軸方向沿いの領域から外側に外れた位置、例えば、第1隙間322の外周側に配置されている。
【0082】
さらに、液体導入部230の下流側端面には、気液混合部260に突出し、中心軸211と同軸に配置された凸部231が設けられている。
【0083】
気体導入部240は、液体導入部230と気液噴出部250との間に位置し、液体導入部230と気液噴出部250とに面接触する円環状の部材である。気体導入部240は、円環状部材の側部の一部を軸方向と交差する方向(例えば軸直交方向)に切り欠いて、ノズル側気体流路222と気液混合部260とを連通する、気体流入路241が形成されている。気体流入路241は、円環状の気体導入部240の少なくとも1箇所に、ノズル側気体流路222と気液混合部260とを連通して設けられている。気体流入路241は、液体流入路232から気液混合部260に流入する液体流の流入方向に対して、ノズル側気体流路222から気液混合部260に流入する気体流の流入方向が気液混合部260で交差するように配置されている。このように気体と液体とを交差させて気液混合部260に流入させることにより、液体を微粒化させている。気体流入路241は、二流体ノズル本体部220の中心(中心軸211)に対して液体流入路232の位置と同じ位相ではないが、液体流入路232の近傍の位置で、かつ、中心軸211と交差する方向(例えば直交する方向)沿いの気体流入路241の中心軸(気体流入路241の軸線上)300が、液体流入路232の中心軸211と平行な中心軸と交差する位置となっている。このため、液体流入路232からの液体流と気体流入路241からの気体とが確実に混合することができる。
【0084】
気液噴出部250は断面略Ω形状で、二流体ノズル本体部220の先端に配置され、液体導入部230と気体導入部240を覆うとともに、ノズル側気体流路222の開口を覆うことにより、円筒状の外形の第2隙間323を形成している。気液噴出部250は、液体導入部230の内側端面230aに対向する平らな外側端面を持つ外側端部250aと、円筒側面に相当する気液噴出部側面250cとを有する。気液噴出部250は、液体導入部230との間の側部では、所定間隔の円筒状の外形の第2隙間323をあけて覆うとともに、液体導入部230との間の端部では、所定間隔の円板状の外形の空間の気液混合部260を隙間として形成しつつ液体導入部230を覆うように、噴霧装置本体部220の端面と噴霧装置蓋固定部270との間に挟持されて固定されている。なお、噴霧装置蓋固定部270を無くして、気液噴出部250が、直接、二流体ノズル本体部220の端面に固定されるようにしてもよい。
【0085】
さらに、気液噴出部250の先端部251の中央部の突出した噴出筒部250fには、気液混合部260の気液混合流体(すなわち、微粒化された液体)を流出させる管状流路253と、管状流路253と連通して、気液混合流体を噴出させる噴出口252が形成されている。先端部251の内面には、管状流路253と連通した外形が円錐台形状の筒状の整流路254が形成されている。中心軸211上で整流路254は、凸部231に対向している。すなわち、噴出口252と管状流路253とは、いずれもノズル側液体流路221と同一中心軸211上に配置されている。これに対して、液体流入路232は、この中心軸211から外れた位置に位置している。
【0086】
図5Bは、
図5Aに示す二流体ノズル11bの気液混合部260を拡大した5B矢視断面図、
図5Cは、
図5Bに示す気液混合部260の5C矢視断面図をそれぞれ示している。
【0087】
気体流入路241は、円環状の気体導入部240の少なくとも1箇所を溝幅243、溝高さ244の矩形断面形状に切り欠いて形成されており、円環状の気体導入部240の内周の接線方向に沿うように配置されている。
【0088】
液体流入路232は、円環状の気体導入部240の内周面近傍で、気体流入路241を流れる気体流262に対し、液体流入路232を流れる液体流261が交差するように配置されている。
【0089】
突起部233は、液体流入路近傍に配置され、液体導入部230の下流側端面230aから所定の突出高さだけ隆起している。ここで、突起部233の先端と液体導入部230の端面230aとの距離を「突起高さ」234と呼称する。
【0090】
このような構成において、投影装置側液体流路13から二流体ノズル11bに供給された液体は、二流体ノズル本体部220に対して、図示しない液体供給口から二流体ノズル先端側にノズル側液体流路221を流れて液体流261となり、その液体流261は、液体導入部230内の液体流入路232を通って、気液混合部260に供給される。また、投影装置側気体流路12から二流体ノズル11bに供給された気体は、二流体ノズル本体部220に対して、図示しない気体供給口から二流体ノズル先端側にノズル側気体流路222を通って気体流262となり、その気体流262は、気体流入路241を通って、気液混合部260に供給される。
【0091】
気液混合部260に対して気体流262が供給されると、気液混合部260内に配置された突起部233と気体流262とが衝突し、突起部233の表面を沿うように気体の流れが変化する。突起部233の表面を流れる気体は、突起部233の表面との摩擦により減速し、ある点で速度がゼロとなる。この点を剥離点と呼び、剥離点より下流部には、気流のよどみが生じ、気液混合部260内の剥離点より下流部での空間の圧力が降下する。本実施の形態2では、突起部233の頂点近傍に剥離点を生じさせ、空間の圧力を降下させることで、突起部233の近傍付近に配置された液体流入路232において、より低い送液圧で液体を供給することができる。さらに、気体流262と液体流261とが気液混合部260内に供給されると、互いに混合され、液体が微粒化される。
【0092】
これにより、本実施の形態2にかかる二流体ノズル11bは、気体により液体を、例えば平均粒径(すなわち、後述するザウター平均粒径)10μm以下程度まで小さく、効率良く微細化し、また液体流入路232近傍の空間の圧力を降下させることで、噴霧時の供給液圧を低減することができる。よって、昇圧のための増圧ポンプ及び加圧タンクが不要となり、利用場所又は用途が限定されない二流体ノズル11bを提供することができる。
【0093】
本実施の形態2の1つの実施例における二流体ノズル11bは、具体的には、一例として、以下のような構成とすることができるが、これに限定されるものではない。例えば、気液混合部260が内径6.0mm、高さ1.9mmの円筒形状である。噴出部の噴出口252は直径1.0mmであり、管状流路253は直径1.0mm、長さ1.0mmであり、円錐台形状の整流路254は広い方の面が直径3.0mm、狭い方の面が直径1.0mm、長さが2.0mmである。突起部233は半径0.4mmの半円球形状で突起高さ234が0.4mmであり、液体流入路232は直径0.6mmの円形断面形状であり、気体流入路241の軸線上に1箇所形成されている。気体流入路241は溝幅243が1.0mm、溝高さ244が0.5mmの矩形断面形状で気体導入部240の内周の接線方向に沿うように1箇所形成されている。
【0094】
この二流体ノズル11bの気体供給口へ、気体の例として圧縮空気を0.5MPa(ゲージ圧)の圧力で供給し、液体の例として水を50ml/minの流量になるよう供給した。この条件で微粒化した水のザウター平均粒径をレーザー回折法にて、二流体ノズル11bの液体供給口での水の圧力を圧力計にて評価を行った。レーザー回折法の測定距離は二流体ノズル11bの先端から300mmの位置で、ザウター平均粒径は5.4μm、二流体ノズル11bの液体供給口での水の圧力は0.286MPa(ゲージ圧)であった。
【0095】
なお、ザウター平均粒径とは、全粒子の全表面積に対する全粒子の全体積と同じ表面積対体積率を有する粒子径を指す。直径d
iの粒子がn
i個ある場合、ザウター平均粒径(D
32と表記される場合が多い)は、次式で与えられる。
【0096】
D
32=Σn
id
i3/Σn
id
i2
図6に、二流体ノズル11bの気体供給口に0.5MPaの圧縮空気を供給した場合の、二流体ノズル11bの液体供給口での水の圧力とミストの噴霧量との関係を示す。これによれば、
図3の二流体ノズル11と比較して、二流体ノズル11bは、同じミスト噴霧量を低い水の圧力で噴霧でき、水の圧力の差によるミスト噴霧量の変動が小さい。
【0097】
例えば、
図7に、二流体ノズル11と二流体ノズル11bとにおいて、それぞれの気体供給口での空気の圧力を0.5MPa、液体圧力調整器の設定圧力をそれぞれ0.524MPa、0.301MPaとしたときの、二流体ノズルの設置高さに対する二流体ノズルの液体供給口での水の圧力とミスト噴霧量との関係を示す。
【0098】
設置高さ0.5〜3.5mで、二流体ノズル11は、ミスト噴霧量が0〜78ml/minで変動するが、二流体ノズル11bは、ミスト噴霧量が41〜58ml/minと変動幅が小さい。
【0099】
このように、本実施の形態2の二流体ノズル11bのミスト噴霧量は、二流体ノズル11bの液体供給口での水の圧力差による影響が小さいため、液体供給源18近傍の液体流路13に設置される液体圧力調整器14で、高さが異なる二流体ノズル11bのグループ全体の設定圧力を一括で設定することができ、高さの異なる二流体ノズル11bからのミストの噴霧量を均一にすることができる。
【0100】
かかる構成によれば、制御部30により気体用弁15及び液体用弁16を開閉制御して、二流体ノズル11bを用いて液体を微粒化したミスト91を室内空間90に噴霧することにより、室内空間90のミスト濃度を制御することができる。その結果、例えば、室内空間90内のミスト濃度分布を均一な状態にして、その室内空間90を通して画像又は映像をスクリーン22に投影して、ミスト91に画像又は映像の光を散乱させることにより、幻想的で心地良い室内空間90を実現することができる。
【0101】
なお、前記様々な実施の形態又は変形例のうちの任意の実施の形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施の形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施の形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施の形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。