(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記交通環境の情報は、前記車両において用いられるナビゲーション装置、前記車両が走行する道路に備えられた交通環境認識装置、および、前記センサのうち少なくとも1つから、前記入力部により受け取られる、請求項1に記載の物体検出装置。
前記車載機器は、前記車両の走行を制御する機器、および、前記車両において用いられる表示装置の表示内容を制御する機器のうち少なくとも一方である、請求項1に記載の物体検出装置。
前記制御部は、前記一部の対象物のうち第一グループに属する対象物の情報と、前記第一グループよりも前記優先順位が低い第二グループに属する対象物の情報とを前記車載機器に繰り返し出力し、前記第二グループに属する対象物の情報の出力頻度は、前記第一グループに属する対象物の情報の出力頻度よりも低い、請求項1に記載の物体検出装置。
前記制御部は、前記入力部により時系列で受け取られた前記複数の対象物の情報に基づき、前記対象物の全てに対し物標追従処理を行い、前記複数の対象物の情報と、前記交通環境の情報と、前記物標追従処理の結果とに基づいて、前記複数の対象物のそれぞれに対して前記複数の対象物のうちでの優先順位であって、前記交通環境において前記車両の走行に影響する順位を示す優先順位を決定する、請求項1に記載の物体検出装置。
前記制御部は、前記一部の対象物のうち第一グループに属する対象物の情報と、前記第一グループよりも前記優先順位が低い第二グループに属する対象物の情報とを前記車載機器に出力し、
前記物標追従処理が成功しかつ前記第二グループに属する対象物に関しては、今回の物標情報Tにおいて、過去の物標情報Tと比較して変化した項目を、前記車両を制御する車載機器へ出力する、請求項8に記載の物体検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、上記図面を参照して、本開示の物体検出装置1,1A,1B、プログラム137,137A,137Bおよびプログラム137,137A,137Bを格納した記録媒体を詳説する。
【0013】
<1.実施形態>
まず、本開示の一実施形態に係る物体検出装置1について詳説する。
【0014】
<1−1.物体検出装置1の構成および周辺構成>
図1において、自車両Vには、上記物体検出装置1に加え、センサ3と、交通環境送信装置5と、他の車載機器7と、が搭載される。また、本開示では、所定のデータ転送方式に基づくデータ伝送路9により、少なくとも、物体検出装置1が、センサ3、交通環境送信装置5および他の車載機器7のそれぞれのデータ伝送可能になっている。所定のデータ転送方式は、例えば、CAN(Controller Area Network)またはイーサネット(登録商標)である。
【0015】
まず、センサ3および交通環境送信装置5について説明する。
センサ3は、例えばミリ波レーダであり、例えば自車両Vの先端近傍に取り付けられる。センサ3は、例えば、自身の測定可能範囲内(換言すると、視野内)にレーダ信号(例えばミリ波帯の電波)を送信アンテナから周期的に出射する。センサ3は、出射レーダ信号に対するリターン信号を受信アンテナにて受信した後、周知の物標認識アルゴリズムを実行する。その結果、自車両Vの周囲に存在する各対象物(典型的には、移動物体)の方位、距離、相対速度およびリターン信号の強度等が時系列で検出される。センサ3は、自車両Vの周囲に存在する対象物毎に、対象物に関する物標情報Tを、データ伝送路9を通じて物体検出装置1に時系列に送信する。本開示では、物標情報Tは、方位、距離および相対速度等を項目として含む。
【0016】
交通環境送信装置5は、例えばナビゲーション装置である。この場合、交通環境送信装置5は、自車両V(具体的には、センサ3)の現在位置を特定可能であると共に、典型的にはリンクおよびノードを用いて道路の分布を表すネットワークデータを、ローカルの記憶装置(図示せず)またはリモートのサーバから取得可能である。ノードは、道路における特徴点(交差点または屈曲点)を表す。リンクは二個のノード間の道路を表す。また、このリンクには、対象となる道路に関する様々な情報が割り当てられるが、本開示で興味があるのは、道路の種別である。道路の種別は、例えば、高速道路、一般道路または交差点に近い道路である。
【0017】
交通環境送信装置5は、物体検出装置1からの要求に応答して、自車両Vが現在走行している道路を特定すると、ネットワークデータから、特定した道路の種別を含む交通環境情報Eとして取得して、物体検出装置1にデータ伝送路9を介して送信する。
【0018】
物体検出装置1は、例えばECU(Electronic Control Unit)の筐体内に収容され、入力部11と、制御部13と、出力部15と、を備えている。
【0019】
入力部11は、前述のデータ転送方式に準拠した入力インタフェイスであって、センサ3からの物標情報Tおよび交通環境送信装置5からの交通環境情報Eを受け取る。入力部11はさらに、制御部13の制御下で、受信情報T,Eを制御部13のメインメモリ133に転送する。
【0020】
制御部13は、例えば、プログラムメモリ131と、メインメモリ133と、マイコン135と、を含む。
【0021】
プログラムメモリ131は、例えばEEPROMのような不揮発性メモリである。プログラムメモリ131には、後述の処理手順(
図3を参照)を記述したプログラム137が予め格納される。
【0022】
メインメモリ133は、例えばSRAMのような半導体メモリである。
【0023】
マイコン135は、メインメモリ133等を作業領域として用いてプログラム137を実行する。マイコン135は、基本的には、受信物標情報T全てをデータ伝送路9を介して他の車載機器7に送信する。しかし、受信物標情報T全てを送信できない場合、マイコン135は、受信物標情報Tのうち優先度の高いものをデータ伝送路9を介して他の車載機器7に送信する。
【0024】
出力部15は、前述のデータ転送方式に準拠した出力インタフェイスであって、マイコン135で送信すべき物標情報Tが決定されるたびに、データ伝送路9を介して他の車載機器7に送信する。
【0025】
他の車載機器7は、自車両Vに搭載された表示装置および自動ブレーキ装置等であって、出力部15から受信した検出結果Rに基づき所定の処理を行う。
【0026】
<1−2.制御部13の処理>
上述のように、制御部13において、マイコン135は、プログラム137を実行することにより、
図2に示すように、物標取得部171、判断部173、優先度割当部175、交通環境取得部177および物標出力部179として機能する。以下、
図1〜
図3を参照して、物体検出装置1の動作、即ち、プログラム137に定義されたマイコン135の処理手順を詳説する。
【0027】
センサ3から時系列で送信されてくる物標情報Tは、入力部11により受信される。マイコン135は、まず、物標取得部171として機能し、入力部11の受信物標情報Tをメインメモリ133に転送する。これによって、制御部13は物標情報Tを取得する(
図3のステップS001)。
【0028】
マイコン135は、ステップS001の次に、判断部173として機能し、ステップS001で取得された全ての物標情報Tを出力部15から他の車載機器7に送信可能か否かを判断する(ステップS003)。具体的には、物体検出装置1が他の車載機器7へのデータ伝送に利用可能な伝送帯域幅は決まっている。また、物標情報Tは他の車載機器7へと概ねリアルタイムに送信される必要がある。ステップS003では、利用可能な伝送帯域幅で、物体検出装置1が受信物標情報Tの全ての所定時間内に他の車載機器7に出力可能か否かが判断される。換言すると、出力部15のデータ出力速度(伝送帯域幅)[bit/sec] ×出力時間(所定時間)[sec] が、取得された物標情報Tの総データ量[bit] を超過しているか否かが判断される。
【0029】
ステップS003(即ち判断部173)でYESと判断されると、マイコン135は、物標出力部179として機能して、ステップS001で取得した全ての物標情報Tを他の車載機器7に送信する(ステップS027)。ステップS027が終わると、マイコン135は、ステップS001に戻り、入力部11がセンサ3からデータ伝送路9を介して新たに受信した物標情報Tに対し、
図3に示す処理を行う。
【0030】
それに対し、ステップS003(即ち判断部173)でNOと判断されると、マイコン135は、優先度割当部175として機能して、ステップS001で取得した全ての物標情報Tに対し、初期的な優先順位を決定した後、現在の優先順位が高い順に並び替える(ステップS005)。ステップS005では、例えば、距離が小さな物標情報Tである程、高い優先順位が割り当てられる。
【0031】
次に、マイコン135は、交通環境取得部177として機能し、交通環境送信装置5から交通環境情報Eを取得する。本開示では、交通環境情報Eは、自車両Vの周辺の交通環境を示し、より具体的には、自車両Vが現在走行中の道路の種別を示す情報(以下、道路種別という)を含むとする。道路種別は、例えば、高速道路、一般道路および交差点に近い道路から選ばれた一つである。交通環境情報Eは入力部11により受信される。マイコン135は、入力部11の交通環境情報Eをメインメモリ133に転送する。これによって、制御部13は交通環境情報Eを取得する(ステップS007)。
【0032】
次に、マイコン135は、優先度割当部175として機能して、今回の交通環境情報に含まれる道路種別が高速道路か、交差点に近い道路か、一般道路かを判断する(ステップS009,S011,S013)。
【0033】
今回の道路種別が高速道路であれば、マイコン135は、ステップS009からステップS015に遷移して、メインメモリ133に現在保持される物標情報Tにおいて、対向車を示す物標情報Tに割り当てられた優先順位を第一所定数下げる(ステップS015)。このように処理するのは、高速道路には中央分離帯が存在するため、自車両Vの走行または運転に、対向車はさほど影響を与えないからである。なお、対向車の物標情報Tは、それぞれに含まれる相対速度および方位に基づき特定可能である。また、第一所定数は、本物体検出装置1の設計開発時に適宜適切に定められる。
【0034】
今回の道路種別が交差点に近い道路であれば、マイコン135は、ステップS011からステップS017に遷移して、メインメモリ133に現在保持される物標情報Tにおいて、対向車を示す物標情報Tに割り当てられた優先順位を第二所定数上げる(ステップS017)。このように処理するのは、交差点に近い道路では、自車両Vの走行および運転に、対向車は大きな影響を与えるからである。具体的には、自車両Vが交差点で直進/右折する場合、自車両Vの走行または運転は、右折/直進する対向車に影響を受ける可能性がある。なお、対向車の物標情報Tの特定および第二所定数の設定については上述と同様である。
【0035】
今回の道路種別が一般道路であれば、マイコン135は、ステップS013からステップS019に遷移して、メインメモリ133に現在保持される物標情報Tにおいて、自車両Vに高速で接近する車両の物標情報Tの優先順位を第三所定数上げる(ステップS019)。このように処理するのは、多くの場合、自車両Vの走行および運転は、自車両Vに近くかつ高速に近づいてくる移動物体(主として車両)の影響を受ける。本開示では、ステップS005にて、物標情報Tは、対象物の距離により優先順位が定められるため、本ステップS019では、自車両Vに高速で接近する車両の優先順位が上げられる。なお、高速で接近する車両の物標情報Tは、それぞれに含まれる相対速度および方位に基づき特定可能である。また、第三所定数の設定については上述と同様である。
【0036】
以上のステップS015、S017およびS019の次に、マイコン135は、物標出力部179として機能して、メインメモリ133に現在保持される物標情報Tを、現在の優先順位が高い順に並び替える(ステップS021)。
【0037】
ステップS021の次、または、ステップS013でNOと判断した場合、マイコン135は、物標出力部179として機能し、メインメモリ133に現在保持される物標情報Tの中から、優先順位に従って、物体検出装置1が前述の所定時間内に他の車載機器7に出力可能な分を、一部の物標情報Tとして選択する(ステップS023)。
【0038】
次に、マイコン135は、引き続き物標出力部179として機能し、ステップS023で選択された物標情報Tを、好ましくは優先順位の高い順に、出力部15を介してデータ伝送路9に送り出す(ステップS025)。こうして送り出された物標情報Tは、データ伝送路9を介して他の車載機器7により受信される。他の車載機器7が表示装置であれば、受信物標情報Tに基づき、自車両Vの周囲に存在する対象物を表示して、自車両Vの運転者に注意喚起する。また、自動ブレーキ装置であれば、受信物標情報Tに基づき、必要に応じて、自車両Vのブレーキを制御して、自車両Vの減速または停止させる。
【0039】
ステップS025が終わると、マイコン135は、ステップS001に戻り、入力部11がセンサ3からデータ伝送路9を介して新たに受信した物標情報Tに対し、
図3に示す処理を行う。
【0040】
<1−3.物体検出装置1の作用・効果>
上述の通り、本物体検出装置1において、入力部11が、自車両Vの周辺に存在する複数の対象物のそれぞれに関する物標情報Tをセンサ3から受け取り、自車両Vの周辺の交通環境を示す交通環境情報Eを交通環境送信装置5から受け取る。制御部13において、物標取得部171は、入力部11が受信した物標情報Tをメインメモリ133に格納する。また、交通環境取得部177は、入力部11が受信した交通環境情報Eをメインメモリ133に格納する。
【0041】
優先度割当部175は、物標情報Tおよび交通環境情報Eに基づき、複数の対象物のうちでの優先順位であって、現在の交通環境において自車両Vの走行に影響する順位を示す優先順位を決定する。また、物標出力部179は、メインメモリ133内の物標情報Tの総データ量が所定値を超える場合には、優先度割当部175が決定した優先順位に基づき、メインメモリ133内の一部の対象物の物標情報Tを、他の車載機器7に送信すべく出力部15からデータ伝送路9に送出される。なお、優先度割当部175は、残りの対象物の物標情報Tをメインメモリ133に保持したままにしておく。
【0042】
これにより、交通環境に応じて、対象物の物標情報Tを制限して出力可能な物体検出装置1およびプログラム137を提供することが可能となる。特に、本開示の物体検出装置1は、現在の交通環境において自車両Vの走行に影響を与える可能性の高い対象物の物標情報Tを限定的にデータ伝送路9に送出する。これにより、現在の交通環境において安全運転に必要な物標情報Tを欠落させることなく、物標情報Tを他の車載機器7に送信することが可能となる。
【0043】
また、本物体検出装置1では、ステップS025において、優先順位の高い物標情報Tからデータ伝送路9に送出されるので、他の車載機器7は、自車両Vの走行に大きな影響を与える対象物の物標情報Tを早期に受信する。それ故、本物体検出装置1は、自車両Vの安全な走行により大きく寄与出来る。
【0044】
<1−4.付記>
なお、上記実施形態では、説明の便宜のため、交通環境情報Eは道路種別を含むとして説明した。しかし、これに限らず、交通環境情報Eは、自車両Vの走行や対象物の優先順位に影響を与えるものであれば、どのような情報でも構わない。この種の情報の具体例を挙げると、道路幅員、線形、勾配、横断カント、路面舗装、歩車道分離または中央分離、もしくはこれらの中の二個以上の組み合わせがある。また、自車両Vの走行や対象物の優先順位は、基本的には、上記の道路特性に支配されるが、周辺の建造物の有無や天候にも影響を受ける。よって、交通環境情報Eは、自車両Vが現在走行している道路周辺の建造物の有無や、現在の天候条件の情報を含んでいても構わない。
【0045】
また、
図3には、交通環境情報Eが高速道路、交差点に近い道路および一般道路のようなあ道路種別を含む場合における処理手順が示されていた。しかし、
図3の処理手順は、交通環境情報Eがどのような情報を含むかに応じて、適宜適切に定められる。
【0046】
また、上記実施形態では、ステップS005において、自車両Vからの距離が近い対象物ほど、高い優先順位が割り当てられていた。しかし、これに限らず、初期的な優先順位は、他の基準で割り当てられても構わない。例えば、高速移動する対象物ほど、高い優先順位が割り当てられても構わない。
【0047】
また、上記実施形態では、交通環境送信装置5はナビゲーション装置であるとして説明した。しかし、これに限らず、交通環境送信装置5は、自車両Vが走行する道路の側に設けられた路側機と路車間通信を行って、上記のような交通環境情報Eを取得可能な車載機であっても良い。また、センサ3によっても一部の交通環境情報Eを取得可能であるため、交通環境送信装置5はセンサ3であっても良い。
【0048】
また、上記実施形態では、センサ3はミリ波レーダであるとして説明した。しかし、これに限らず、レーザレーダやカメラであっても構わないし、ミリ波レーダ、レーザレーダおよびカメラから選ばれた二個以上であっても構わない。
【0049】
また、上記実施形態では、データ伝送路9の伝送帯域幅に着目し、ステップS003において、データ出力速度×出力時間が物標情報Tの総データ量を超過しているか否かが判断されていた。しかし、これに限らず、他にも、他の車載機器7としての表示装置の見易さに着目しても構わない。この場合、ステップS003において、物標情報Tの総数が所定値を超える場合に、ステップS005〜S025が行われても構わない。この処理によれば、表示装置に同時に表示される対象物の個数が制限されるため、運転者は自車両Vの周囲に存在する複数の対象物を理解しやすくなる。
【0050】
上記では、プログラム137は、プログラムメモリ131に格納されるとして説明した。しかし、これに限らず、プログラム137は、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体(例えばDVD等)に格納されて提供されても構わない。他にも、各種端末装置(据置型パーソナルコンピュータ,スマートフォンまたはタブレット端末等)がダウンロードできるように、プログラム137はサーバ装置に格納されていても良い。この点に関しては、後述のプログラム137A,137Bに関しても同様に当てはまる。
【0051】
<2.第一変形例>
次に、上記物体検出装置1の第一変形例について詳説する。
【0052】
<2−1.第一変形例(物体検出装置1A)の構成・処理>
まず、上記実施形態の第一変形例に係る物体検出装置1Aについて説明する。
図1において、物体検出装置1Aは、物体検出装置1と比較すると、プログラムメモリ131にプログラム137では無くプログラム137Aが格納される点で相違する。それ以外に、両物体検出装置1,1Aの間に相違点は無い。それ故、物体検出装置1Aにおいて、物体検出装置1の構成に相当するものには同一参照符号を付け、それぞれの説明を控える。
【0053】
制御部13において、マイコン135は、プログラム137Aを実行することにより、
図4に示すように、既に説明した機能ブロック171〜179に加え、物標追従部191として機能する。
次に、
図5を参照して、プログラム137Aに定義されたマイコン135の処理手順を詳説する。
図5のフロー図は、
図3のフロー図と比較すると、ステップS101,S102をさらに含む点で相違する。それ以外に、両フロー図に相違点は無いので、
図5において、
図3のステップに相当するものには同一ステップ番号を付し、それぞれの説明を省略・簡素化する。
【0054】
マイコン135は、ステップS001を実行し、S003でNOと判断した後に、物標追従部191として機能して、ステップS101において、周知の物標追従処理を行う。物標追従処理において、物標追従部191は、今回および過去(例えば前回)の物標情報Tを用いて、時系列の物標情報Tにおける同じ対象物を時間軸上で追従させる。もし、時系列の物標情報Tにおいて同じ対象物を追従できれば、追従できた対象物に関する物標情報Tの信頼性が高くなる。換言すると、その対象物が自車両Vの周囲に現実に存在する可能性が高くなる。また、物標追従部191はさらに、追従処理の結果に基づき、各対象物について存在確率や追従できた回数等、物標情報Tの信頼性を示す情報(以下、信頼度という)を優先度割当部175に渡す。以上でステップS101の処理が終了する。
【0055】
本変形例では、ステップS101が終了すると、マイコン135は、前述のステップS005〜S019を実行する。その後、マイコン135は、優先度割当部175として機能して、ステップS101で受け取った対象物毎の信頼度に基づき、対応する物標情報Tの優先順位を変更する(ステップS103)。ステップS103では、例えば、信頼度がある基準値よりも高い物標情報Tに関しては、優先順位を第四所定数だけ上げたり、信頼度がある基準値以下の物標情報Tに関しては、優先順位を第五所定数だけ下げたりする。なお、第四所定数および第五所定数は、前述の各所定数と同様にして設定される。その後、マイコン135は、前述のステップS021〜S027を実行する。
【0056】
<2−2.物体検出装置1Aの作用・効果>
本変形例によれば、現在の交通環境において安全運転に必要な物標情報Tであって、現実に存在する可能性の高い物標情報Tを欠落させることなく、物標情報Tを他の車載機器7に送信することが可能となる。
【0057】
<2−3.第一変形例の付記>
上記変形例では、ステップS101はステップS003の直後に実行されていた。しかし、これに限らず、ステップS101は、ステップS001の直後でステップS102よりも先であれば、いつ行われても構わない。
【0058】
<3.第二変形例>
次に、上記物体検出装置1の第二変形例について詳説する。
<3−1.第二変形例(物体検出装置1B)の構成・処理>
次に、上記実施形態の第二変形例に係る物体検出装置1Bについて説明する。
図1において、物体検出装置1Bは、物体検出装置1と比較すると、プログラムメモリ131にプログラム137では無くプログラム137Bが格納される点で相違する。それ以外に、両物体検出装置1,1Bの間に相違点は無い。それ故、物体検出装置1Bにおいて、物体検出装置1の構成に相当するものには同一参照符号を付け、それぞれの説明を控える。
【0059】
制御部13において、マイコン135は、プログラム137Bを実行することにより、
図6に示すように、既に説明した機能ブロック171〜179に加え、情報削減部193として機能する。
次に、
図7を参照して、プログラム137Bに定義されたマイコン135の処理手順を詳説する。
図7のフロー図は、
図3のフロー図と比較すると、ステップS201をさらに含む点で相違する。それ以外に、両フロー図に相違点は無いので、
図7において、
図3のステップに相当するものには同一ステップ番号を付し、それぞれの説明を省略・簡素化する。
【0060】
マイコン135は、前述のステップS001〜023を実行した後、情報削減部193として機能する(ステップS201)。本変形例において、情報削減部193は、まず、ステップS023で選択された一部の物標情報Tのうち、優先順位が上位のものを第一グループに分類する。なお、第一グループに分類される物標情報Tの数は、本物体検出装置1Bの設計開発時に適宜適切に定められる。また、情報削減部193は、ステップS023で選択された一部の物標情報Tのうち、第一グループに分類されなかったものと、ステップS023で選択されなかった残りの物標情報Tと、を第二グループに分類する。
【0061】
引き続き、マイコン135は、情報削減部193として機能し、第二グループに分類された物標情報Tから予め定められた項目を削減する。例えば、対象物の位置を特定する観点では、物標情報Tにおいて距離と方位とは重要であるが、相対速度および信号強度はさほど重要ではない。よって、マイコン135は、第二グループに分類された物標情報Tから相対速度および信号強度を削減する。これによって、第一グループに分類された物標情報Tに含まれる項目の数が、第二グループに属する物標情報Tに含まれる項目の数よりも多くなる。
【0062】
次に、マイコン135は、物標出力部179として機能し、ステップS023で選択された物標情報Tを、好ましくは優先順位の高い順に、出力部15を介してデータ伝送路9に送り出す(ステップS025)。この時、第一グループに分類された物標情報Tに関しては、全項目が送り出される。しかし、マイコン135は、データ出力速度および出力時間が許容する範囲で、第二グループの物標情報T(即ち、距離と方位)を送り出す。
【0063】
<3−2.物体検出装置1Bの作用・効果>
本変形例によれば、第二グループの物標情報Tから予め定められた項目が削減されるため、物体検出装置1Bは、他の車載機器7に、項目数は少なくなるが、より多くの対象物の物標情報Tを送信することが出来る。これにより、センサ3で検出された対象物の欠落を抑制出来る。
【0064】
<3−3.他の分類方法>
上記では、物体検出装置1Bは、第二グループに分類された物標情報Tから相対速度および信号強度を削除していた。しかし、情報削減部193が削除する項目はこれに限られない。例えば、情報削減部193は、ステップS007で得られた交通環境情報Eに応じて、第二グループに分類された物標情報Tから削除される項目を変更しても良い。具体的には、高速道路では、自車両Vの周囲の対象物は車両と想定される。よって、ステップS009でYESと判断された場合、ステップS201では、第二グループに属する物標情報Tからは信号強度だけが削減される。また、ステップS011またはS013でYESと判断された場合、第二グループに分類された物標情報Tから、信号強度および相対速度が削減される。
【0065】
他にも、情報削減部193は、第二グループに属する物標情報Tをn個のサブグループ(即ち、第一サブグループ乃至第nサブグループ)に分けて、各サブグループに属する物標情報Tを他の車載機器7に低頻度で出力しても構わない。より具体的には、一回目乃至n回目のステップS025で、第一サブグループ乃至第nサブグループに属する物標情報Tが出力される。この処理によっても、センサ3で検出された物標情報Tが常時欠落することを抑制出来る。
【0066】
さらに他にも、物体検出装置1Bに
図4に示す物標追従部191が実装される場合には、物標追従部191が時系列の物標情報Tにおいて同じ対象物を追従できれば、情報削減部193は、第一グループおよび第二グループに関わらず、追従できた対象物に関する今回の物標情報Tにおいて、過去の物標情報Tと比較して変化した項目のみを選択し、変化していない項目を削減しても良いし、第二グループに限って、追従できた対象物に関する今回の物標情報Tにおいて、過去の物標情報Tと比較して変化していない項目を削減しても良い。
【0067】
<3−4.第二変形例の付記>
本変形例の説明では、センサ3で検出された対象物の欠落抑制の観点で、情報削減部193は、ステップS023で選択された一部の物標情報Tのうち、優先順位が上位のものを第一グループに分類し、ステップS023で選択された一部の物標情報Tのうち、第一グループに分類されなかったものと、ステップS023で選択されなかった残りの物標情報Tと、を第二グループに分類していた。しかし、これに限らず、情報削減部193は、ステップS023で選択された一部の物標情報Tのうち、優先順位が上位のものを第一グループに分類し、ステップS023で選択された一部の物標情報Tのうち、第一グループに分類されなかったものを第二グループに分類しても構わない。この場合、物体検出装置1Bが使用するデータ伝送路9の伝送帯域幅を小さくすることが出来る。
【0068】
<4.注釈>
その他、上記実施形態および各変形例は、何れも本発明の実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。