【実施例】
【0055】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価した。
【0056】
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて10点厚みを測定して平均値を求め、フィルム厚みとした。
【0057】
(2)ヤング率
得られたフィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。
【0058】
(3)温度膨張係数(αt)
得られたフィルムを、フィルムの製膜方向および幅方向がそれぞれ測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、60℃で30分間前処理し、その後室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L
60−L
40)}/(L
40×△T)}+0.5
ここで、上記式中のL
40は40℃のときのサンプル長(mm)、L
60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5は石英ガラスの温度膨張係数(×10
−6/℃)である。
【0059】
(4)湿度膨張係数(αh)
得られたフィルムを、フィルムの製膜方向および幅方向がそれぞれ測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度30%RHと湿度70%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαhとした。
αh=(L
70−L
30)/(L
30×△H)
ここで、上記式中のL
30は30%RHのときのサンプル長(mm)、L
70は70%RHのときのサンプル長(mm)、△H:40(=70−30)%RHである。
【0060】
(5)ダイマー酸の特定
試料20mgを重トリフルオロ酢酸:重クロロホルム=1:1(容積比)の混合溶媒0.6mLに室温で溶解し、500MHzで
1H−NMRでポリマーチップおよびフィルム中のダイマー酸の量を算出した。
【0061】
(6)表面粗さ(Ra)
非接触式三次元表面粗さ計(ZYGO社製:New View5022)を用いて、測定倍率10倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm
2)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトMetroProにより中心面平均粗さ(Ra)を求めた。
【0062】
(7)厚み比(dA/dB)
未延伸フィルムの場合は、その製膜方向に直交する方向の断面をミクロトーム(ULTRACUT−S)で切り出した後、光学顕微鏡を用いて層AおよびBのそれぞれの厚みを算出し、厚み比dA/dBを求めた。また、配向積層ポリエステルフィルム場合は、同様にして切り出した後、透過型電子顕微鏡を用いて層AおよびBのそれぞれの厚みを算出した。
【0063】
(8)固有粘度(IV)
得られたポリエステルおよびフィルムの固有粘度は、P−クロロフェノール/テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
【0064】
(9)ガラス転移点(Tg)および融点(Tm)
ガラス転移点(補外開始温度)、融点はDSC(TAインスツルメンツ株式会社製、商品名:Thermal Analyst2100)により、試料量10mgで昇温速度20℃/minで測定した。
【0065】
(10)カール
積層ポリエステルフィルムをフィルムの製膜方向(MD)に長さ170mm、幅方向(TD)に幅15.7mmとなるように短冊状に切りだした。ロール間距離が約6cmあるフリーロールに表面粗さが小さい面をロールに接触させるように静置する。両端にそれぞれ0.07MPaの加重を加え、フィルムの端がロール方向もしくはロールと反対方向にカールするかを見る。ロールと同じ方向にカールする場合をマイナスの値にカール、ロールと逆方向にカールする場合をプラスの値にカールすると定義する。両端のカールの大きさをキーエンス製LK−G30を用いて読み取る。その平均値をカールの大きさと定義する。
【0066】
(11)110℃時のフィルム伸び率
得られたフィルムを、フィルムの製膜方向が測定方向となるように長さ20mm、幅4mmに切り出し、SII製EXSTAR6000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、30℃で保持した後、製膜方向に20MPaの応力をかけた状態で2℃/minで150℃まで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、30℃で保持した後の昇温する前のフィルム長(L30)に対し、110℃におけるフィルム長(L110)から、以下の式にて、どの程度長さ方向に伸長したかを計算した。
フィルム伸び率(%)=(L110−L30)/L30×100
【0067】
(12)磁気テープの作成
各実施例及び比較例で得られた幅1000mm、長さ1000mの積層二軸配向ポリエステルフィルムの粗面層側表面に、下記組成のバックコート層塗料をダイコータ(加工時の張力:20MPa、温度:120℃、速度:200m/分)で、塗布し、乾燥させた後、フィルムの平坦層側表面に下記組成の非磁性塗料、磁性塗料をダイコータで同時に膜厚を変えて塗布し、磁気配向させて乾燥させる。さらに、小型テストカレンダ−装置(スチ−ルロール/ナイロンロール、5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレンダ−処理した後、70℃、48時間キュアリングする。上記テ−プを12.65mmにスリットし、カセットに組み込み磁気記録テープとした。なお、乾燥後のバックコート層、非磁性層および磁性層の厚みは、それぞれ0.5μm、1.2μmおよび0.1μmとなるように塗布量を調整した。
【0068】
<非磁性塗料の組成>
・二酸化チタン微粒子 :100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 :10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン 製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン : 1重量部
・メチルエチルケトン :75重量部
・メチルイソブチルケトン :75重量部
・トルエン :75重量部
・カーボンブラック : 2重量部
・ラウリン酸 :1.5重量部
<磁性塗料の組成>
・鉄(長軸:0.037μm、針状比:3.5、2350エルステッド):100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 :10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン 製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン : 1重量部
・メチルエチルケトン :75重量部
・メチルイソブチルケトン :75重量部
・トルエン :75重量部
・カーボンブラック : 2重量部
・ラウリン酸 :1.5重量部
<バックコート層塗料の組成:>
カーボンブラック :100重量部
熱可塑性ポリウレタン樹脂 :60重量部
イソシアネート化合物 :18重量部
(日本ポリウレタン工業社製コロネートL)
シリコーンオイル :0.5重量部
メチルエチルケトン :250重量部
トルエン :50重量部
【0069】
(13)電磁変換特性
電磁変換特性測定には、ヘッドを固定した1/2インチリニアシステムを用いた。記録は、電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ0.1μm)を用い、再生はMRヘッド(8μm)を用いた。ヘッド/テープの相対速度は10m/秒とし、記録波長0.2μmの信号を記録し、再生信号をスペクトラムアナライザーで周波数分析し、キャリア信号(波長0.2μm)の出力Cと、スペクトル全域の積分ノイズNの比をC/N比とし、上記12の方法で作成した実施例1を0dBとした相対値を求め、以下の基準で、評価した。
◎ : +1dB以上
○ : −1dB以上、+1dB未満
× : −1dB未満
【0070】
(14)エラーレート
上記(12)で作製したテープ原反を12.65mm(1/2インチ)幅にスリットし、それをLTO用のケースに組み込み、磁気記録テープの長さが850mのデータストレージカートリッジを作成した。このデータストレージを、IBM社製LTO5ドライブを用いて23℃50%RHの環境で記録し(記録波長0.55μm)、次に、カートリッジを50℃、80%RH環境下に7日間保存した。カートリッジを1日常温に保存した後、全長の再生を行い、再生時の信号のエラーレートを測定した。エラーレートはドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)から次式にて算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。
エラーレート=(エラービット数)/(書き込みビット数)
◎:エラーレートが1.0×10
−6未満
○:エラーレートが1.0×10
−6以上、1.0×10
−4未満
×:エラーレートが1.0×10
−4以上
【0071】
(15)ドロップアウト(DO)
上記(14)でエラーレートを測定したデータストレージカートリッジを、IBM社製LTO5ドライブに装填してデータ信号を14GB記録し、それを再生した。平均信号振幅に対して50%以下の振幅(P−P値)の信号をミッシングパルスとし、4個以上連続したミッシングパルスをドロップアウトとして検出した。なお、ドロップアウトは850m長1巻を評価し、1m当たりの個数に換算して、下記の基準で判定する。
◎:ドロップアウト 3個/m未満
○:ドロップアウト 3個/m以上、9個/m未満
×:ドロップアウト 9個/m以上
【0072】
[実施例1]
ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、ジオール成分としてエチレングリコールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、ポリエチレンナフタレートペレットA1を用意した(IV=0.58dl/g、Tg=115℃、Tm=263℃)。
【0073】
ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、Priplast 1838、ジオール成分としてエチレングリコールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、ダイマー酸を共重合せしめた共重合ポリエチレンナフタレートペレットB1を用意した(IV=0.60dl/g、Tg=58℃、Tm=232℃)。なお、ジカルボン酸成分としてのダイマー酸の含有量はNMRによる解析によって10.6mol%であることが分かった。
【0074】
ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で97:3の割合でブレンドし、樹脂C1とした。この樹脂C1に含有されるダイマー酸の組成比は0.3mol%である。ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で90:10の割合でブレンドし、樹脂C2とした。この樹脂C2に含有されるダイマー酸の組成比は0.9mol%である。樹脂C1をフィルム層Aとして300℃で押し出し、樹脂C2をフィルム層Bとして280℃で押し出した。その後、300℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0075】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。
【0076】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が130℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、130℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ4.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0077】
[実施例2]
ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で94:6の割合でブレンドし、樹脂C3とした。この樹脂C3に含有されるダイマー酸の組成比は0.5mol%である。ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で84:16の割合でブレンドし、樹脂C4とした。この樹脂C4に含有されるダイマー酸の組成比は1.5mol%である。
【0078】
樹脂C3をフィルム層Aとして300℃で押し出し、樹脂C4をフィルム層Bとして280℃で押し出した。その後、300℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0079】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。
【0080】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が130℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、130℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0081】
[実施例3]
実施例2で得られた未延伸フィルムを製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が130℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.7倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、130℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0082】
[実施例4]
実施例2で得られた未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が130℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、130℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.0倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0083】
[実施例5]
ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で69:31の割合でブレンドし、樹脂C5とした。この樹脂C5に含有されるダイマー酸の組成比は1.5mol%である。ペレットA1およびB2をそれぞれ質量比で47:53の割合でブレンドし、樹脂C6とした。この樹脂C6に含有されるダイマー酸の組成比は3.7mol%である。
【0084】
樹脂C5をフィルム層Aとして280℃で押し出し、樹脂C6をフィルム層Bとして280℃で押し出した。その後、280℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0085】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。
【0086】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が120℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、120℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0087】
[実施例6]
実施例2と同様の方法で未延伸を得る際にフィルム層Aに平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させ、フィルム層Bに平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させた。その後、実施例2と同様の方法で、二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0088】
[実施例7]
ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で96:4の割合でブレンドし、樹脂C7とした。この樹脂C7に含有されるダイマー酸の組成比は0.4mol%である。ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で67:33の割合でブレンドし、樹脂C8とした。この樹脂C8に含有されるダイマー酸の組成比は3.1mol%である。
【0089】
樹脂C7をフィルム層Aとして300℃で押し出し、樹脂C8をフィルム層Bとして280℃で押し出した。その後、300℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=2.3となるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0090】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。
【0091】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が130℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、130℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0092】
[実施例8]
実施例7と同様の方法で未延伸を得る際にフィルム層Aに平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させ、フィルム層Bに平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させた。その後、実施例7と同様の方法で、二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0093】
[実施例9]
ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で93:7の割合でブレンドし、樹脂C9とした。この樹脂C9に含有されるダイマー酸の組成比は0.6mol%である。ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で30:70の割合でブレンドし、樹脂C10とした。この樹脂C10に含有されるダイマー酸の組成比は7.0mol%である。
【0094】
樹脂C9をフィルム層Aとして300℃で押し出し、樹脂C10をフィルム層Bとして270℃で押し出した。その後、280℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=9.0となるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0095】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。
【0096】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が120℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、120℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0097】
[実施例10]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチル、ジオール成分としてエチレングリコールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、ポリエチレンテレフタレートペレットA2を用意した(IV=0.58dl/g、Tg=76℃、Tm=254℃)。
【0098】
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチル、ジオール成分としてエチレングリコールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、ダイマー酸を共重合せしめた共重合ポリエチレンテレフタレートペレットB2を用意した(IV=0.58dl/g、Tg=47℃、Tm=244℃)。なお、ジカルボン酸成分としてのダイマー酸の含有量は10.6mol%となるように調製した。
【0099】
ペレットA2およびB2をそれぞれ質量比で98:2の割合でブレンドし、樹脂C11とした。この樹脂C11に含有されるダイマー酸の組成比は0.2mol%である。ペレットA2およびB2をそれぞれ質量比で81:19の割合でブレンドし、樹脂C12とした。この樹脂C12に含有されるダイマー酸の組成比は1.7mol%である。
【0100】
樹脂C11をフィルム層Aとして280℃で押し出し、樹脂C12をフィルム層Bとして280℃で押し出した。その後、280℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度25℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0101】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.40質量%、平均粒径0.2μmの架橋ポリスチレン粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.01質量%となるように含有させた。
【0102】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が90℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、90℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.5倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0103】
[実施例11]
フィルム層A、Bの両方に不活性粒子を添加せず、実施例11と同様の方法で未延伸フィルムを得た。その後、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が90℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。その後、滑り性付与のため、フィルム層Aに塗布層Aを乾燥後に得られる被膜層Aの厚みが8nmとなるように、フィルム層Bに塗布層Bを乾燥後に得られる被膜層Bの厚みが8nmとなるようにコーターを用いて塗布層を設けた。なお、塗布層Aおよび塗布層Bの形成に用いた水溶性塗液中の固形分組成を以下に示す。
【0104】
塗布層Aの形成に用いた水溶性塗液:固形分濃度1.0質量%
固形分組成
・バインダー樹脂 アクリル変性ポリエステル 67質量%
・不活性粒子 架橋アクリル樹脂粒子(平均粒径15nm) 6質量%
・界面活性剤 日本油脂株式会社 ノニオンNS−208.5 1質量%
・界面活性剤 日本油脂株式会社 ノニオンNS−240 26質量%
塗布層Bの形成に用いた水溶性塗液:固形分濃度1.9質量%
固形分組成
・バインダー樹脂 アクリル変性ポリエステル 58質量%
・バインダー樹脂 メチルセルロース 20質量%
・バインダー樹脂 シロキサン共重合アクリル樹脂 3質量%
・不活性粒子 架橋アクリル粒子(平均粒径40nm) 9質量%
・界面活性剤 三洋化成株式会社 ナロアクティーN85 10質量%
【0105】
この塗布層が設けられた一軸延伸フィルムをステンターに導き、90℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.5倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0106】
[実施例12]
実施例10と同様の方法で未延伸フィルムを得た。フィルム層Aには平均粒径0.1μmの架橋ポリスチレン粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの架橋ポリスチレン粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.40質量%、平均粒径0.2μmの架橋ポリスチレン粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.01質量%となるように含有させた。その後、実施例11と同様の方法で延伸を行い、二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0107】
[実施例13]
ポリエーテルイミドとしてSABICイノベーティブプラスチック社製の“Ultem1010”を用意した。
【0108】
ポリエーテルイミドとペレットA2、B2を質量比で5:87:8の割合でブレンドし、樹脂C13とした。樹脂C13のダイマー酸の組成比は0.7mol%である。ポリエーテルイミドとペレットA2、B2をそれぞれ質量比で5:43:52の割合でブレンドし、樹脂C14とした。樹脂C14のダイマー酸の組成比は5.3mol%である。
【0109】
樹脂C13、樹脂C14をそれぞれ280℃で押し出し、フィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=5.7となるように2層に積層せしめた。その後、回転中の温度25℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0110】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.40質量%、平均粒径0.2μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.01質量%となるように含有させた。
【0111】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が100℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.6倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、100℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.6倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0112】
[実施例14]
ポリエーテルイミドとペレットA2、B2を質量比で20:70:10の割合でブレンドし、樹脂C15とした。樹脂C15のダイマー酸の組成比は1.0mol%である。ポリエーテルイミドとペレットA2、ペレットB2をそれぞれ質量比で20:251:55の割合でブレンドし、樹脂16とした。樹脂16のダイマー酸の組成比は5.7mol%である。
【0113】
樹脂C15、樹脂C16とそれぞれ280℃で押し出し、フィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=5.7となるように2層に積層せしめた。その後、回転中の温度25℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0114】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.40質量%、平均粒径0.2μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.01質量%となるように含有させた。
【0115】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が100℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.6倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、100℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.8倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0116】
[実施例15]
ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸、Pripol1004、ジオール成分としてエチレングリコールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、ダイマー酸を共重合せしめた共重合ポリエチレンナフタレートペレットB3を用意した(IV=0.58dl/g)。なお、酸成分としてのダイマー酸の含有量は10.6mol%となるように調製した。
【0117】
ペレットA1およびB3をそれぞれ質量比で94:6の割合でブレンドし、樹脂C17とした。この樹脂C17に含有されるダイマー酸の組成比は0.5mol%である。ペレットA1およびB3をそれぞれ質量比で83:17の割合でブレンドし、樹脂C18とした。この樹脂C18に含有されるダイマー酸の組成比は1.5mol%である。樹脂C17をフィルム層Aとして300℃で押し出し、樹脂C18をフィルム層Bとして280℃で押し出した。その後、300℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0118】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。
【0119】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が130℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、130℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0120】
[実施例16]
ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で97:3の割合でブレンドし、樹脂C19とした。この樹脂C19に含有されるダイマー酸の組成比は0.3mol%である。樹脂A1をフィルム層Aとして300℃で押し出し、樹脂C19をフィルム層Bとして280℃で押し出した。その後、300℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0121】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。
【0122】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が130℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、130℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ4.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0123】
[実施例17]
ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で74:26の割合でブレンドし、樹脂C20とした。この樹脂C20に含有されるダイマー酸の組成比は2.4mol%である。樹脂A1をフィルム層Aとして300℃で押し出し、樹脂C20をフィルム層Bとして280℃で押し出した。その後、300℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0124】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。
【0125】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が120℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、120℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ4.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0126】
[実施例18]
ペレットA2とペレットB2をそれぞれ質量比で80:20の割合でブレンドし、樹脂C21とした。この樹脂C21に含有されるダイマー酸の組成比は1.8mol%である。樹脂A2をフィルム層Aとして、280℃で押出し、樹脂C21をフィルム層Bとして280℃で押出した。その後、280℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度25℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0127】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。
【0128】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が90℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、90℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.5倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0129】
[比較例1]
フィルム層A、フィルム層BともにペレットA2を用いて、ダイマー酸が含有しないようにした。280℃で押し出し、フィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度25℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.40質量%、平均粒径0.2μmの架橋ポリスチレン粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.01質量%となるように含有させた。
【0130】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が100℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、120℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.5倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0131】
[比較例2]
フィルム層A、フィルム層BともにペレットA1を用いて、ダイマー酸が含有しないようにした。300℃で押し出し、フィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。
【0132】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が130℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、130℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0133】
[比較例3]
ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で41:59の割合でブレンドし、樹脂C22とした。この樹脂C21に含有されるダイマー酸の組成比は5.9mol%である。ペレットA1をフィルム層Aとして310℃で押し出し、樹脂C22をフィルム層Bとして270℃で押し出した。その後、290℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。
【0134】
なお、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。
【0135】
そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が110℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、110℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムはカールが強く、塗料を塗ることが困難であった。また、乾燥時のフィルム伸びも大きく、磁気テープの作成が困難であるため、特性評価は行わなかった。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0136】
[比較例4]
フィルム層Aとフィルム層Bでダイマー酸の組成比が4.0mol%となるようにするため、ペレットA1およびB1をそれぞれ質量比で59:41の割合でブレンドした。また、フィルム層Aには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.08質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.12質量%、平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.13質量%となるように含有させた。その後、フィルム層A、Bともに280℃で押し出し、280℃でフィードブロックを用いて、フィルム層A、フィルム層Bの厚み比dA/dB=0.4となるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が110℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、110℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ5.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
【0137】
得られたポリエステルフィルムは、前記(12)磁気テープの作成における乾燥時のフィルム伸びが大きく、磁気テープの作成が困難であるため、特性評価は行わなかった。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの結果を表1に示す。
【0138】
【表1】
【0139】
なお、表1中のNDCは2,6−ナフタレンジカルボン酸成分ン、TAはテレフタル酸成分、PEIはポリエーテルイミド、WABは積層ポリエステルフィルム全体における脂肪族ダイマー酸の含有量、WAはフィルム層Aにおける脂肪族ダイマー酸の含有量、WBはフィルム層Bにおける脂肪族ダイマー酸の含有量(WB)、MDは製膜方向、TDは幅方向を意味する。