特許第6982810号(P6982810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982810
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】コンバインの脱穀装置
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/24 20060101AFI20211206BHJP
   A01F 12/22 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   A01F12/24
   A01F12/22 Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-28420(P2020-28420)
(22)【出願日】2020年2月21日
(65)【公開番号】特開2021-132529(P2021-132529A)
(43)【公開日】2021年9月13日
【審査請求日】2020年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】二神 伸
(72)【発明者】
【氏名】中井 正司
(72)【発明者】
【氏名】張 棟
(72)【発明者】
【氏名】澤村 亮
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
【審査官】 佐藤 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−226989(JP,A)
【文献】 特開昭54−040150(JP,A)
【文献】 特開2014−014327(JP,A)
【文献】 実開平04−065033(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0176484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/22−12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を脱穀する扱室(10)と、該扱室(10)の下側に脱穀された穀粒を選別する選別室(20)を備えたコンバインの脱穀装置において、
前記扱室(10)の前後壁に回転軸(30)を架設し、該回転軸(30)に扱胴(11)を支持して、該扱胴(11)の外周部に、周方向と前後方向にそれぞれ所定の間隔を隔てて扱歯(54)を設け、
前記扱胴(11)の下側に所定の間隔を隔てて受網(12)を設け、
前記扱胴(11)の上側に、前記扱胴(11)の上部を覆う扱胴カバー(13)を設け、
該扱胴カバー(13)の内周部に、前後方向に所定の間隔を隔てて複数の送塵板(14)を設け、
前記回転軸(30)の軸心視において、前記扱胴(11)を円形状に形成し、前記受網(12)を扱胴(11)の下部に沿って略半円形状に形成し、
左右方向において、前記扱歯(54)が上昇移動する側よりも、前記扱歯(54)側が下降移動する側での前記扱歯(54)の歯先と前記受網(12)の内側面の隙間が大きくなるように、前記回転軸(30)の軸心を、前記受網(12)の中心から左右方向の一側に水平にずらして位置させ
前記送塵板(14)を、前記扱胴(11)の回転方向の上手側に位置する第1送塵板(15)と、前記扱胴(11)の回転方向の下手側に位置する第2送塵板(16)で形成し、
前記第1送塵板(15)は、前記扱胴カバー(13)の内周部に固定して設けられ、前記第2送塵板(16)は、前記扱胴カバー(13)を貫通する上下方向に延在する支持軸(17)の下部に吊上げられて、該支持軸(17)と共に回動可能に設けられたことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの脱穀装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀装置の扱室に架設される扱胴を支持する回転軸の軸心を、扱胴の下側に設けられる受網の中心と一致させて設ける技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−100339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術においては、扱胴の回転方向の上手側に位置(時計方向の3時)する扱胴と受網の間で穀稈の詰まりが発生し、脱穀作業を中断して滞留した穀稈を取除くために脱穀作業の作業効率が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、扱胴の回転方向の上手側に位置する扱胴と受網の間での穀稈の詰まりを防止して、脱穀作業の作業効率が高いコンバインの脱穀装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、穀稈を脱穀する扱室(10)と、該扱室(10)の下側に脱穀された穀粒を選別する選別室(20)を備えたコンバインの脱穀装置において、
前記扱室(10)の前後壁に回転軸(30)を架設し、該回転軸(30)に扱胴(11)を支持して、該扱胴(11)の外周部に、周方向と前後方向にそれぞれ所定の間隔を隔てて扱歯(54)を設け、前記扱胴(11)の下側に所定の間隔を隔てて受網(12)を設け、前記扱胴(11)の上側に、前記扱胴(11)の上部を覆う扱胴カバー(13)を設け、該扱胴カバー(13)の内周部に、前後方向に所定の間隔を隔てて複数の送塵板(14)を設け、前記回転軸(30)の軸心視において、前記扱胴(11)を円形状に形成し、前記受網(12)を扱胴(11)の下部に沿って略半円形状に形成し、左右方向において、前記扱歯(54)が上昇移動する側よりも、前記扱歯(54)側が下降移動する側での前記扱歯(54)の歯先と前記受網(12)の内側面の隙間が大きくなるように、前記回転軸(30)の軸心を、前記受網(12)の中心から左右方向の一側に水平にずらして位置させ、前記送塵板(14)を、前記扱胴(11)の回転方向の上手側に位置する第1送塵板(15)と、前記扱胴(11)の回転方向の下手側に位置する第2送塵板(16)で形成し、前記第1送塵板(15)は、前記扱胴カバー(13)の内周部に固定して設けられ、前記第2送塵板(16)は、前記扱胴カバー(13)を貫通する上下方向に延在する支持軸(17)の下部に吊上げられて、該支持軸(17)と共に回動可能に設けられたことを特徴とするコンバインの脱穀装置である。
【0007】
【0008】
【0009】
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、扱室(10)の前後壁に回転軸(30)を架設し、回転軸(30)に扱胴(11)を支持して、扱胴(11)の外周部に、周方向と前後方向にそれぞれ所定の間隔を隔てて扱歯(54)を設け、扱胴(11)の下側に所定の間隔を隔てて受網(12)を設け、扱胴(11)の上側に、扱胴(11)の上部を覆う扱胴カバー(13)を設け、扱胴カバー(13)の内周部に、前後方向に所定の間隔を隔てて複数の送塵板(14)を設け、回転軸(30)の軸心視において、扱胴(11)を円形状に形成し、受網(12)を扱胴(11)の下部に沿って略半円形状に形成し、左右方向において、扱歯(54)が上昇移動する側よりも、扱歯(54)側が下降移動する側での扱歯(54)の歯先と受網(12)の内側面の隙間が大きくなるように、回転軸(30)の軸心を、受網(12)の中心から左右方向の一側に水平にずらして位置させ、送塵板(14)を、扱胴(11)の回転方向の上手側に位置する第1送塵板(15)と、扱胴(11)の回転方向の下手側に位置する第2送塵板(16)で形成し、第1送塵板(15)は、扱胴カバー(13)の内周部に固定して設けられ、第2送塵板(16)は、扱胴カバー(13)を貫通する上下方向に延在する支持軸(17)の下部に吊上げられて、支持軸(17)と共に回動可能に設けられたので、扱胴(11)の扱歯(54)が下降移動する側、すなわち、時計方向の3時から6時に位置する扱胴(11)の扱歯(54)の歯先と、これらの扱歯(54)に対向する受網(12)の内側面の間隔を広くして穀稈の詰まりを抑制して脱穀作業の作業効率を高めることができる。また、扱胴(11)の扱歯(54)が上昇移動する側、すなわち、時計方向の6時から9時に位置する扱胴(11)の扱歯(54)の歯先と、これらの扱歯(54)に対向する受網(12)における内側面の間隔を狭くして脱穀性能を高めることができる。さらに、穀稈の種類、穀稈の含水率の状態によって、第2送塵板(16)の傾斜角度を調整して、穀稈を扱室(10)の後部に搬送する高い搬送性能を維持することができる。
【0011】
【0012】
【0013】
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】コンバインの正面図である。
図2】コンバインの左側面図である。
図3】コンバインの平面図である。
図4】脱穀装置の前後方向の縦断面図である。
図5】扱胴の左側面図である。
図6】第1実施形態の扱胴の正面図である。
図7】第2実施形態の扱胴の正面図である。
図8】第3実施形態の扱胴の正面図である。
図9】送塵ガイドの正面図である。
図10】他の送塵ガイドの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜3に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0016】
操縦部5の下側にエンジンを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ8が設けられている。
【0017】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置3Aと、搬送装置3Aの後側下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、搬送装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
【0018】
図4に示すように、脱穀装置4は、穀稈を脱穀する扱室10と、脱穀された穀粒を選別する選別室20から形成されている。
【0019】
扱室10の前後壁には、フィーダハウス3Dから搬送されてくる穀稈を脱穀する扱胴11が架設され、扱胴11の下側には、扱胴11の外周下部に沿って半円弧形状に形成された受網12が設けられている。また、扱胴11の上部は、開閉可能な扱胴カバー13で覆われており、扱胴カバー13の内周部には、穀稈を扱室10の後部に案内する送塵板14が設けられている。
【0020】
選別室20の上部には、扱室10から漏下してくる穀粒を選別処理する揺動選別装置21が設けられている。揺動選別装置21の下部には、前側から順に、揺動選別装置21に選別風を送風する唐箕25と、唐箕25の後方に選別風の送風方向を変更する風割26と、揺動選別装置21から漏下してくる穀粒をグレンタンク7に搬送する1番螺旋27と、揺動選別装置21の後部から漏下してくる枝梗等が付着した穀粒を2番処理室に搬送する2番螺旋28が設けられている。
【0021】
図5に示すように、扱胴11は、扱室10の前後壁に回転自在に支持される回転軸30と、回転軸30の前端部に支持されるインペラ部40と、回転軸30におけるインペラ部40の後側に支持されるロータ部50から形成されている。
【0022】
インペラ部40は、円形状の前板41と、前板41よりも径が大きい円形状の後板42と、前板41と後板42の外周部を連結する側板43から形成されている。
【0023】
側板43の外周面には、インペラ部40の前部に搬送された穀稈をインペラ部40の後部に搬送する上下一対の搬送螺旋44が立設されている。これにより、インペラ部40に移送されてきた穀稈をロータ部50に効率良く移送することができる。
【0024】
搬送螺旋44の前面には、円周方向に所定角度を隔てて側板43と搬送螺旋44の前面下部を連結する略三角形状の補強リブ45が設けられている。これにより、搬送螺旋44の剛性を高めて、穀稈から搬送螺旋44に加わる負荷によって搬送螺旋44が変形するのを抑制することができる。
【0025】
ロータ部50は、円筒形状のドラム51と、ドラム51の外周部に周方向に所定の間隔を隔てて設けられた扱歯部材52から形成されている。扱歯部材52は、ドラム51の前後方向に沿って延在するパイプ形状の支持部53と、支持部53に前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた複数の丸棒形状の扱歯54から形成されている。
【0026】
<第1実施形態の扱胴>
図6に示すように、扱胴11の回転軸30の軸心を受網12の中心よりも右側に位置させており、扱胴11は、正面視で時計方向に回転(右回転)する。これにより、扱胴11における右側下部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の6時から9時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を狭くして脱穀性能を高めることができる。また、扱胴11における左側下部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の3時から6時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を広くして穀稈の詰まりを抑制する詰まり抑制性能を高めることができる。なお、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の3時から6時に位置する扱胴11と受網12の間は、扱歯54の扱ぎ力と穀稈の自重が下方に働くために穀稈が最も詰まり易い箇所である。また、図中の矢印は、扱胴11の回転方向を示している。
【0027】
回転軸30の軸心視において、扱歯54の歯先を基部よりも回転方向の上手側に位置させて支持部53に固定されている。これにより、インペラ部40からロータ部50に移送されてきた穀稈をドラム51の前部から後部に効率よく搬送することができる。また、扱歯54は、支持部53の径方向の内周部と外周部の2箇所で固定されている。これにより、扱歯54を支持部53に強固に固定することができ、扱歯54の脱落を防止することができる。
【0028】
<第2実施形態の扱胴>
図7に示すように、扱胴11の回転軸30の軸心を受網12の中心よりも下側に位置させている。これにより、扱胴11の下部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の3時から9時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を狭くして脱穀性能を高めることができる。また、扱胴11の上部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の9時から3時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と扱胴カバー13の送塵板14の下端部の間隔を広くして穀稈を扱室10の後部に搬送する搬送性能を高めることができる。なお、図中の矢印は、扱胴11の回転方向を示している。
【0029】
<第3実施形態の扱胴>
図8に示すように、扱胴11の回転軸30の軸心を受網12の中心よりも右下側、すなわち、回転軸30の軸心視において、扱胴11の回転軸30の軸心を受網12の中心よりも45度右下方向に延在する仮想線L上に位置させている。これにより、扱胴11における右側下部に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔をより狭くして脱穀性能をより高めることができる。また、扱胴11における左側下部に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を広くして穀稈の詰まりを抑制する詰まり抑制性能を高めることができる。さらに、扱胴11の上部に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と扱胴カバー13の送塵板14の下端部の間隔を広くして穀稈を扱室10の後部に搬送する搬送性能を高めることができる。なお、図中の矢印は、扱胴11の回転方向を示している。
【0030】
<送塵板>
次に、扱胴カバー13の内周部に前後方向に指定の間隔を隔てて設けられた送塵板14について説明する。図9に示すように、扱胴11の回転方向の上手側に位置する送塵板14の右部は、回転方向の下手側に位置する送塵板14の左部よりも前方に設けられている。
【0031】
回転軸30の軸心視において、送塵板14の内周部(下部)は、略円弧形状に形成され、送塵板14の右部と、これに対向する扱胴11のロータ部50の外周部の間隔Aは、送塵板14の左部と、これに対向する扱胴11のロータ部50の外周部の間隔Bよりも広く形成されている。これにより、扱胴11と扱胴カバー13の間における穀稈の詰まりを防止して、穀稈を扱室10の前方右側から後方左側に効率良く搬送することができる。なお、送塵板14の外周部は、扱胴カバー13の内周部に固定されている。また、図中の矢印は、扱胴11の回転方向を示している。
【0032】
図10に示すように、他の送塵板14は、扱胴11の回転方向の上手側に位置する第1送塵板15と、第1送塵板15よりも扱胴11の回転方向の下手側に位置する第2送塵板16から形成されている。
【0033】
第1送塵板15の外周部は、扱胴カバー13の内周部に固定されている。一方、第2送塵板16は、扱胴カバー13の天面部を貫通して設けられている上下方向に延在する支持軸17に吊上げられている。また、支持軸17は、操作レバー18によって支持軸17の軸心回りに回動させることができる。これにより、穀稈の種類、穀稈の含水率の状態によって、第2送塵板16の傾斜角度を調整して、穀稈を扱室10の後部に搬送する高い搬送性能を維持することができる。なお、図中の矢印は、扱胴11の回転方向を示している。
【符号の説明】
【0034】
10 扱室
11 扱胴
12 受網
13 扱胴カバー
14 送塵板
15 第1送塵板
16 第2送塵板
20 選別室
30 回転軸
54 扱歯
A 間隔
B 間隔
L 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10