(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1.1 概要
本実施形態に係る画像表示装置110を備える虚像表示装置10は、
図1に示すように、例えば、移動体としての自動車100に用いられるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)である。
【0011】
この虚像表示装置10は、自動車100のウインドシールド101に下方から画像を投影するように、自動車100の車室内に設置されている。
図1の例では、ウインドシールド101の下方のダッシュボード102内に、虚像表示装置10が配置されている。虚像表示装置10からウインドシールド101に画像が投影されると、反射部材としてのウインドシールド101で反射された画像がユーザ200(運転者)に視認される。
【0012】
虚像表示装置10によれば、ユーザ200は、自動車100の前方(車外)に設定された対象空間400に投影された虚像300を、ウインドシールド101越しに視認する。ここでいう「虚像」は、虚像表示装置10から出射される光がウインドシールド101等の反射物にて発散するとき、その発散光線によって、実際に物体があるように結ばれる像を意味する。そのため、自動車100を運転しているユーザ200は、
図2に示すように、自動車100の前方に広がる実空間に重ねて、虚像表示装置10にて投影される虚像300を見ることができる。したがって、虚像表示装置10によれば、例えば、車速情報、ナビゲーション情報、歩行者情報、前方車両情報、車線逸脱情報、及び車両コンディション情報等の、種々の運転支援情報を、虚像300として表示し、ユーザ200に視認させることができる。
図2では、虚像300は、車速情報であり、一例として「53km/h」という情報を表示している。これにより、ユーザ200は、ウインドシールド101の前方に視線を向けた状態から僅かな視線移動だけで、運転支援情報を視覚的に取得することができる。
【0013】
虚像表示装置10では、対象空間400に形成される虚像300は、虚像表示装置10の光軸500に交差する仮想面501上に形成される。本実施形態では、光軸500は、自動車100の前方の対象空間400において、自動車100の前方の路面600に沿っている。そして、虚像300が形成される仮想面501は、路面600に対して略垂直である。例えば、路面600が水平面である場合には、虚像300は鉛直面に沿って表示されることになる。
【0014】
1.2 構成
虚像表示装置10は、
図3に示すように、画像表示装置110と、投影部120と、制御部130と、を備える。
【0015】
画像表示装置110は、対象空間400に虚像300として投影される画像を表示するために用いられる。画像表示装置110は、
図4に示すように、光源装置20と、液晶パネル30と、光学系40と、偏光素子50と、拡散部材60と、を備える。画像表示装置110において、各部材の方向は、必要に応じて、
図4に示すx、y、z方向に関連付けて説明する。
【0016】
図5は、液晶パネル30から投影部120及びウインドシールド101を介してユーザ200が虚像300を欠けることなく視認可能な領域であるアイボックス800までの光路を幾何学的に示す模式図である。ヘッドアップディスプレイである虚像表示装置10により虚像300を表示するには、幾何学上、液晶パネル30が出射する光は、中央に比べて端部の出射角が大きいことが好ましい(β1>β2)。換言すれば、液晶パネル30の表示面に対する光の進行方向の角度が端部に比べて中央で大きくなることが好ましい(β1>β2)。このような出射光の配向とするために、フレネルレンズ41を用いて、液晶パネル30に入射させる光を中央に比べて端部の出射角が大きくなるように偏向している。ただし、液晶パネル30に入射する光が中央に比べて端部の出射角が大きくなるように偏向させる部材としては、フレネルレンズに限定されず、バルク形状のレンズを用いることもできる。
【0017】
光源装置20は、液晶パネル30のバックライトとして用いられる面光源である。光源装置20は、サイドライト方式の光源装置である。光源装置20は、
図4に示すように、光源部21と、導光板22と、反射板23と、を備える。光源部21は、所定方向に並ぶ複数の光源を有する。光源としては、発光ダイオードやレーザダイオード等の固体発光素子が用いられる。導光板22は、光源部21からの光を液晶パネル30に導くために用いられる。導光板22は、長方形の板状であり、光透過性を有する材料(例えば、ガラスや樹脂)で形成されている。導光板22の長さ方向(x方向)の一面(側面)は、平坦であり、光源部21からの光が入射する受光面221となる。導光板22の厚み方向(z方向)の一面(前面)は、平坦であり、受光面221と交差し受光面221からの光を液晶パネル30に向けて出射させる発光面222となる。本実施形態において、受光面221と発光面222とは互いに直交している。導光板22の厚み方向(z方向)の他面(後面)は、導光板22が長さ方向の一面(受光面221)から他面に向かって薄くなるように傾斜した傾斜面223となっている。反射板23は、導光板22の傾斜面223上に形成される。反射板23は、導光板22内を進行する光を発光面222側へ反射するために設けられる。なお、反射板23は、少なくとも、傾斜面223において、光源部21からの光を反射させる必要がある領域を覆っていればよい。反射板23は、光源部21からの光の利用効率を高めるために設けられる。光源装置20において、受光面221から導光板22内に入射した光は、発光面222での全反射と反射板23での反射とを繰り返し、発光面222での全反射の条件が成立しなくなった際に、導光板22の発光面222から外方へ出射される。このようにして、光源装置20は、導光板22の発光面222から光を放射する。
【0018】
液晶パネル30は、全体として矩形の板状である。特に、液晶パネル30は、前面に、表示面31を有する。表示面31は、互いに直交する第1方向(y方向)と第2方向(x方向)とを含む。表示面31は、第1方向(y方向)の寸法が第2方向(x方向)の寸法より小さい長方形である。つまり、第1方向は、表示面31の横方向であり、第2方向は、表示面31の縦方向である。液晶パネル30は、液晶パネル30の後側に配置される光源装置20からの光を選択的に透過させることで、表示面31に画像を形成する。本実施形態において、液晶パネル30は、光源装置20からの光のうち第1方向(y方向)の成分を透過させて表示面31に画像を形成するように構成される。光源装置20からの光のうちの第1方向(y方向)の成分は、表示面31に直交し第2方向(x方向)に平行する入射面(
図4のxz平面、以下、必要に応じて「基準入射面」という)においてs成分である。つまり、液晶パネル30は、基準入射面においては、s成分の光のみを透過させる。このような液晶パネル30は、一般に、液晶層、液晶層を挟む一対の配向膜、液晶層に電圧を印加するための一対の透明電極、各画素の色を規定するカラーフィルタ、及び、基準入射面におけるs成分のみを透過させる偏光板などを備える。このような液晶パネル30の構造は周知のものでよいから、詳細な説明は省略する。
【0019】
光学系40と、偏光素子50と、拡散部材60とは、
図4に示すように、光源装置20と液晶パネル30との間に配置される。ここで、光学系40は、光源装置20と液晶パネル30との間に配置される。偏光素子50は、光学系40と液晶パネル30との間に配置される。拡散部材60は、光学系40と偏光素子50との間に配置される。つまり、光学系40は、光学系40と偏光素子50と拡散部材60とのうち、光源装置20に最も近く、偏光素子50は、光学系40と偏光素子50と拡散部材60とのうち、液晶パネル30に最も近い。
【0020】
光学系40は、液晶パネル30の表示面31に平行し第1方向(y方向)と交差する第3方向において光源装置20からの光を発散させるために用いられる。本実施形態において、第3方向は、光源装置20の導光板22の長さ方向と平行な方向(x方向)である。したがって、第3方向は、第2方向と平行し、第1方向とは直交する。そのため、光の第1方向(y方向)の成分は、表示面31に直交し、第3方向に平行する入射面(xz平面)においてs成分である。
【0021】
光学系40は、フレネルレンズ41と、プリズムシート42と、を備える。
【0022】
フレネルレンズ41は、長方形の板状であり、光透過性を有する樹脂(例えば、ガラスや樹脂)で形成されている。フレネルレンズ41は、光源装置20の発光面222に対向するように配置される。フレネルレンズ41は、第3方向(x方向)において光源装置20からの光を発散させるための発散レンズとして機能する。フレネルレンズ41の厚み方向(z方向)の第1面は、フレネルレンズ面411である。フレネルレンズ面411は、所定間隔で並ぶ溝4111を有し、凹レンズとして作用するフレネルレンズ(凹フレネルレンズ)を構成する。フレネルレンズ面411は、少なくとも、フレネルレンズ41の幅方向(y方向)に直交する断面において、凹レンズとして作用すればよい。なお、フレネルレンズとしては、中心を共有する複数の円形状の溝を有するフレネルレンズ(サーキュラーフレネルレンズ)と、平行に並ぶ複数の直線状の溝を有するフレネルレンズ(リニアフレネルレンズ)とが挙げられる。フレネルレンズ41の厚み方向(z方向)の第2面は、フレネルレンズ面411とは反対側にある、非フレネルレンズ面412である。非フレネルレンズ面412は、フレネルレンズとして作用する条件を満たしてない面である。例えば、非フレネルレンズ面412は、平面及び曲面(凸面及び凹面)等の溝のない面(周期的な構造を有していない面)である。本実施形態では、非フレネルレンズ面412は、平面である。このように、フレネルレンズ41は、片面だけが、鋸刃形状となっている。フレネルレンズ41では、フレネルレンズ面411は、光源装置20に向けられ、非フレネルレンズ面412は、液晶パネル30に向けられる。したがって、フレネルレンズ41は、フレネルレンズ41の長さ方向(x方向)において、光源装置20からの光を発散させる。つまり、フレネルレンズ41では、フレネルレンズ41の光軸から離れるにつれて、フレネルレンズ41を透過する光の方向とフレネルレンズ41の光軸との角度が大きくなるように、光源装置20からの光を発散させる。これによって、フレネルレンズ41は、液晶パネル30の中央から端に向かうにつれて、液晶パネル30への光の入射角が大きくなるように、光源装置20からの光を発散させる。本実施形態のフレネルレンズ41は、光源装置20の複数の光源それぞれに対応する複数のフレネルレンズを備えるレンズアレイではなく、複数の光源を備える光源装置20を一つの光源として、この光源装置20からの光を発散させる単一のレンズである。
【0023】
プリズムシート42は、長方形の板状であり、光透過性を有する材料(例えば、ガラスや樹脂)で形成されている。プリズムシート42は、フレネルレンズ41と光源装置20の発光面222との間に配置される。プリズムシート42は、光源装置20の発光面222からの光をフレネルレンズ41に向けるための偏向機能を有する光学素子として機能する。プリズムシート42の厚み方向(z方向)の第1面421は、プリズム面であり、第2面422は、平坦な面である。第1面421は、光源装置20に向けられ、第2面422は、フレネルレンズ41に向けられる。第1面421では、プリズムシート42の幅方向(y方向)に延びる複数のプリズムがプリズムシート42の長さ方向(x方向)に並んでいる。複数のプリズムそれぞれは、三角柱状であり、その先端角度は例えば50°〜70°である。なお、本実施形態では、先端角度は60°としている。
【0024】
拡散部材60は、光学系40からの光を拡散させる。拡散部材60は、長方形の板状(シート状)である。拡散部材60は、表示面31の明るさを均一にするために用いられる。つまり、拡散部材60によれば、液晶パネル30の表示面31での光の均斉度を改善できる。
【0025】
偏光素子50は、液晶パネル30に入射する光が光学系40からの光の第3方向(x方向)の成分をその第1方向(y方向)の成分として有するように、光学系40からの光の偏光方向を回転させる。ここで、基準入射面(xz平面)において、第3方向(x方向)の成分はp成分(p偏光)であり、第1方向(y方向)の成分はs成分(偏光)である。したがって、偏光素子50は、光の偏光方向を90°回転させる。例えば、偏光素子50は、λ/2波長板である。ただし、偏光方向の回転角度は厳密な意味で90°である必要はなく、実質的に90°とみなせる範囲であればよい。なお、拡散部材60における複屈折により、光源装置20からの光の偏光方向が拡散部材60によって回転する場合がある。このような場合、拡散部材60での偏光方向の回転を考慮して、偏光素子50での偏光方向の回転角度が選択される。つまり、偏光素子50は、必ずしも、p成分をs成分とするために、光の偏光方向を90°回転させるとは限らない。
【0026】
投影部120は、画像表示装置110の液晶パネル30を透過した光により、対象空間400(
図1参照)に画像(液晶パネル30の表示面31に形成される画像)に対応する虚像300(
図1参照)を投影する。投影部120は、
図3に示すように、第1ミラー121と、第2ミラー122と、を備える。第1ミラー121は、画像表示装置110の液晶パネル30を透過した光を第2ミラー122に向けて反射する。第2ミラー122は、第1ミラー121からの光を、ウインドシールド101(
図1参照)に向けて反射する。すなわち、投影部120は、画像表示装置110の液晶パネル30の表示面31に形成される画像を、ウインドシールド101に投影することで、対象空間400に虚像300を投影する。
【0027】
制御部130は、画像表示装置110の光源装置20及び液晶パネル30を制御するように構成される。制御部130は、与えられた画像信号に基づいて、液晶パネル30及び光源装置20を制御することで、液晶パネル30の表示面31に画像を形成する。制御部130は、従来周知の液晶ディスプレイの制御回路により構成され得る。
【0028】
1.3 効果
次に、画像表示装置110での光の挙動について、
図6A、
図6B、及び
図7を参照して説明する。なお、
図7では、光源装置20、液晶パネル30、光学系40、及び偏光素子50を簡略化して図示している。また、拡散部材60は、図示を省略している。また、
図7では、図示を簡略化するために、光源装置20、液晶パネル30、光学系40、及び偏光素子50への光の入射角が0°であるように図示している。
【0029】
光は、入射面に対する振動方向によって、透過率が異なる。
図6Aは、空気から樹脂製の光学部材に光が向かう場合の、光の入射角と透過率との関係を示す。
図6Bは、樹脂製の光学部材から空気に光が向かう場合の、光の入射角と透過率との関係を示す。
図6A及び
図6Bにおいて、Pは、光のp成分(p偏光)の透過率を示し、Sは、光のs成分(s偏光)の透過率を示し、aveは、p成分とs成分との透過率の平均値を示す。
図6Aから明らかなように、入射角度が大きくなるにつれて、p成分のほうがs成分よりも透過率が高くなる。また、
図6Bから明らかなように、入射角が臨界角θcになり全反射が起きるまでにおいて、p成分のほうがs成分よりも透過率が全体的に高くなる。このような関係は、ガラス製の光学部材においても同様である。
【0030】
光源装置20では、受光面221は、第3方向(x方向)において、発光面222の一端(
図4の右端)にある。つまり、光源装置20は、サイドライト方式である。そのため、基準入射面(xz平面)に関しては、光源部21からの光の発光面222への入射角が大きくなりやすい。つまり、基準入射面に関しては、p成分がs成分よりも大きくなる。したがって、光源部21から放射される光は無偏光であるが、光源装置20から放射される光700は、
図7に示すように、基準入射面において、p成分701がs成分702より大きい偏光となる。
【0031】
この後、光700は、光学系40(フレネルレンズ41及びプリズムシート42)に入射する。光学系40において、光700は、プリズムシート42により集光された後に、フレネルレンズ41で、第3方向(x方向)に発散される。これによって、光学系40を通過した光710は、第3方向(x方向)に広がっている。また、
図6A及び
図6Bから明らかなように、樹脂製の光学部品については、p成分のほうがs成分よりも全体的に透過率が高い。そのため、光学系40を通過した光710は、
図7に示すように、基準入射面において、p成分711がs成分712より大きくなっている。
【0032】
この後、光710は、拡散部材60で拡散された後に、偏光素子50に入射する。偏光素子50は、λ/2波長板であり、光710の偏光方向を90°回転させる。その結果、偏光素子50によって、p成分とs成分との大きさが入れ替わる。したがって、偏光素子50を通過した光720は、
図7に示すように、s成分722のほうがp成分721よりも大きい。このように、偏光素子50は、液晶パネル30に入射する光720が光学系40からの光710の第3方向(x方向)の成分(p成分711)をその第1方向(y方向)の成分(s成分722)として有するように光学系40からの光710の偏光方向を回転させる。
【0033】
この後、光720は、液晶パネル30に入射する。液晶パネル30は、上述したように、基準入射面においては、s成分の光のみを透過させる。したがって、液晶パネル30から出射する光730は、
図7に示すように、s成分(s偏光)であり、液晶パネル30に入射する光720のs成分722に対応している。
【0034】
このように、画像表示装置110では、偏光素子50によって、光720が光710のp成分711をそのs成分722として有するように、光710の偏光方向を回転させる。光学系40からの光710は、第1方向の成分(s成分712)よりも第3方向の成分(p成分711)が大きいから、偏光素子50がない場合に比べれば、液晶パネル30を透過する光730の量が増える。さらに、画像表示装置110では、光学系40が光源装置20からの光700を第3方向に発散させている。そのため、液晶パネル30の表示面31の第2方向(x方向)において光730が広がる。したがって、画像表示装置110によれば、光学系40で液晶パネル30の表示面31において第3方向に対応する方向(第2方向)に光を広げた上で、偏光素子50で液晶パネル30を透過する光の量を増やす。したがって、画像表示装置110によれば、液晶パネル30の構成を変更しなくても、液晶パネル30の所望の方向の端部における減光を低減できる。そのため、画像表示装置110によれば、輝度の低下を低減できる。
【0035】
また、画像表示装置110では、第1方向の成分は、表示面31に直交し第3方向に平行する入射面(基準入射面)においてs成分である。そのため、光学部材に対する透過率がs成分よりも高い光の成分を第3方向の成分として利用できるから、画像表示装置110の輝度の低下をより低減できる。特に、第1方向と第3方向とは直交し、偏光素子50は、光学系40からの光の偏光方向を90°回転させる。このように、光学素子に対する透過率がs成分よりも高いp成分を第3方向の成分として利用する。したがって、画像表示装置110の輝度の低下をより低減できる。
【0036】
また、画像表示装置110では、光源装置20は、導光板22を有する。導光板22は、光源部21からの光が入射する受光面221と、受光面221と交差し受光面221からの光を液晶パネル30に向けて出射させる発光面222と、を有する。この場合には、光源装置20を薄型化でき、画像表示装置110全体として、薄型化を図ることができる。この光源装置20では、光源装置20から放射される光が偏光となる。そのため、第3方向の成分を増やすことができて、液晶パネル30の所望の方向の端部における減光をより低減できる。特に、受光面221は、第3方向において、発光面222の一端にある。したがって、光源装置20から放射される光の第3方向の成分を増やすことができ、液晶パネル30の所望の方向(第3方向)の端部における減光をさらに低減できる。よって、画像表示装置110の輝度の低下をより低減できる。
【0037】
また、画像表示装置110では、表示面31は、第1方向の寸法が第2方向の寸法より小さい長方形である。表示面31においては、寸法が大きい方向ほど、その方向での端部での減光の影響が大きい。画像表示装置110では、第1方向に交差する第3方向において、その端部の減光が低減される。つまり、画像表示装置110によれば、液晶パネル30において、減光の影響が大きくなりやすい方向(第1方向に交差する方向)の端部における減光を低減できる。そのため、画像表示装置110の輝度の低下をより低減できる。
【0038】
また、虚像表示装置10は、
図3に示すように、画像表示装置110と、画像表示装置110の液晶パネル30を透過した光により対象空間400に画像に対応する虚像300を投影する投影部120と、を備える。この虚像表示装置10によれば、画像表示装置110の輝度の低下を低減できる。これによって、虚像300をより明確に表示できる。
【0039】
また、自動車(移動体)100は、
図1に示すように、虚像表示装置10と、虚像表示装置10の投影部120からの光を反射する反射部材101と、を備える。この移動体100によれば、画像表示装置110の輝度の低下を低減できる。
【0040】
2.変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。
【0041】
図8は、変形例の画像表示装置110Aを示す。画像表示装置110Aは、光源装置20Aと、液晶パネル30と、光学系40と、偏光素子50と、拡散部材60と、を備える。光源装置20Aは、光源部21Aと、レンズ24と、を備える。光源部21Aは、マトリクス状に並ぶ複数の光源210を有する面光源である。光源210としては、発光ダイオードやレーザダイオード等の固体発光素子が用いられる。レンズ24は、光源部21Aの光軸上に配置され、光源部21Aからの光を液晶パネル30に集光するために用いられる。このような光源装置20Aでは、光源装置20とは異なり、光源装置20Aからの光は無偏光となる。このような場合でも、光学系40で液晶パネル30の表示面31において第3方向に対応する方向(第2方向)に光730を広げた上で、偏光素子50で液晶パネル30を透過する光730の量を増やす。したがって、画像表示装置110Aにおいても、画像表示装置110と同様に、輝度の低下をより低減できる。
【0042】
また、液晶パネル30において、必ずしも、第1方向の成分は、表示面31に直交し第3方向に平行する入射面においてs成分でなくてもよい。第1方向の成分は、光学系40における透過率が第3方向の成分よりも低ければ、表示面31の第3方向における端部の減光を低減する効果が期待できる。また、液晶パネル30は、第1方向の寸法が第2方向の寸法よりも大きい長方形であってよく、正方形であってもよい。
【0043】
また、光学系40は、光源装置20からフレネルレンズ41への光の入射量が許容範囲であれば、プリズムシート42を備えている必要はない。また、光学系40は、必ずしも、フレネルレンズ41を有している必要はなく、フレネルレンズ41と同じ機能を有する発散レンズ(例えば、平凹レンズ)を備えていてもよい。ただし、画像表示装置110の薄型化を考慮すれば、フレネルレンズ41を用いることが好ましい。
【0044】
また、偏光素子50は、λ/2波長板のような偏光方向を90°回転させるものに限定されない。偏光素子50の構成は、第3方向と第1方向との関係によって決定される。上記実施形態では、第3方向と第1方向とが直交していることから、偏光素子50は、偏光方向を90°回転させる。例えば、第3方向が第1方向に対して45°の角度で交差していれば、偏光素子50は、偏光方向を45°回転させればよい。このように、第3方向は、液晶パネル30の表示面31の第2方向と必ずしも平行又は一致している必要はないが、第1方向の成分よりも、光学系40に対する透過率が高い成分に対応する方向であることが好ましい。特に、p成分(p偏光)とs成分(s偏光)との透過率の特性を効果的に利用することを考慮すれば、第3方向は第1方向と直交していることがより好ましい。
【0045】
また、拡散部材60の構成は特に限定されず、表示面31の光の均斉度が改善できるような構成であればよい。また、拡散部材60は、液晶パネル30と偏光素子50との間にあってもよいが、偏光方向への影響を考慮すれば、偏光素子50に対して液晶パネル30とは反対側にあることが好ましい。また、拡散部材60は、必須ではない。例えば、表示面31の光の均斉度が許容範囲であれば、画像表示装置110は、拡散部材60を備えていなくてもよい。
【0046】
また、投影部120及び制御部130の構成は、特に限定されず、従来周知の構成を採用できる。
【0047】
また、虚像表示装置10は、自動車100の進行方向の前方に設定された対象空間400に虚像300を投影する構成に限らず、例えば、自動車100の進行方向の側方、後方、又は上方等に虚像300を投影してもよい。また、投影部120は、中間像を形成するためのリレー光学系を含んでいてもよいし、リレー光学系を含んでいなくてもよい。
【0048】
また、虚像表示装置10は、自動車100に用いられるヘッドアップディスプレイに限らず、例えば、二輪車、電車、航空機、建設機械、及び船舶等、自動車100以外の移動体にも適用可能である。さらに、虚像表示装置10は、移動体に限らず、例えば、アミューズメント施設で用いられてもよい。また、虚像表示装置10は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)等のウェアラブル端末、医療設備、据置型の装置、又は、カメラの電子ファインダとして用いられてもよい。
【0049】
3.態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の画像表示装置(110)は、光を放射する光源装置(20)と、液晶パネル(30)と、光学系(40)と、偏光素子(50)と、を備える。前記液晶パネル(30)は、互いに直交する第1方向と第2方向とを含む表示面(31)を有し、前記光源装置(20)からの光のうち前記第1方向の成分を透過させて前記表示面(31)に画像を形成するように構成される。前記光学系(40)は、前記光源装置(20)と前記液晶パネル(30)との間にあり、前記表示面(31)に平行し前記第1方向と交差する第3方向において前記光源装置(20)からの光を発散させる。前記偏光素子(50)は、前記光学系(40)と前記液晶パネル(30)との間にある。前記偏光素子(50)は、前記液晶パネル(30)に入射する光が前記光学系(40)からの光の前記第3方向の成分をその前記第1方向の成分として有するように前記光学系(40)からの光の偏光方向を回転させる。第1の態様によれば、輝度の低下をより低減できる。
【0050】
第2の態様の画像表示装置(110)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、前記第1方向の成分は、前記表示面(31)に直交し前記第3方向に平行する入射面においてs成分である。第2の態様によれば、光学部材に対する透過率がs成分よりも高い光の成分を第3方向の成分として利用できるから、輝度の低下をより低減できる。
【0051】
第3の態様の画像表示装置(110)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、前記第1方向と前記第3方向とは直交する。前記偏光素子(50)は、前記光学系(40)からの光の偏光方向を90°回転させる。第3の態様によれば、光学素子に対する透過率がs成分よりも高いp成分を第3方向の成分として利用するから、輝度の低下をより低減できる。
【0052】
第4の態様の画像表示装置(110)は、第1〜第3の態様のいずれか一つとの組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、前記光源装置(20)は、導光板(22)を有する。前記導光板(22)は、光源部(21)からの光が入射する受光面(221)と、前記受光面(221)と交差し前記受光面(221)からの光を前記液晶パネル(30)に向けて出射させる発光面(222)と、を有する。第4の態様によれば、画像表示装置(110)全体の薄型化を図ることができる。
【0053】
第5の態様の画像表示装置(110)は、第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、前記受光面(221)は、前記第3方向において、前記発光面(222)の一端にある。第5の態様によれば、光源装置(20)から放射される光の第3方向の成分を増やすことができ、輝度の低下をより低減できる。
【0054】
第6の態様の画像表示装置(110)は、第1〜第5の態様のいずれか一つとの組み合わせにより実現され得る。第6の態様では、前記表示面(31)は、前記第1方向の寸法が前記第2方向の寸法より小さい長方形である。第6の態様によれば、特に、液晶パネル(30)において、減光の影響が大きくなりやすい方向の端部における減光を低減できる。よって、画像表示装置110の輝度の低下をより低減できる。
【0055】
第7の態様の画像表示装置(110)は、第1〜第6の態様のいずれか一つとの組み合わせにより実現され得る。第7の態様では、前記光学系(40)と前記偏光素子(50)との間にあり、前記光学系(40)からの光を拡散させる拡散部材(60)をさらに備える。第7の態様によれば、液晶パネル(30)の表示面(31)での光の均斉度を改善できる。
【0056】
第8の態様の虚像表示装置(10)は、第1〜第7の態様のいずれか一つの画像表示装置(110)と、投影部(120)と、を備える。前記投影部(120)は、前記画像表示装置(110)の前記液晶パネル(30)を透過した光により対象空間(400)に前記画像に対応する虚像(300)を投影するように構成される。第8の態様によれば、輝度の低下をより低減できる。
【0057】
第9の態様の移動体(100)は、第8の態様の虚像表示装置(10)と、前記虚像表示装置(10)の前記投影部(120)からの光を反射する反射部材(101)と、を備える。第9の態様によれば、輝度の低下をより低減できる。