特許第6982822号(P6982822)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982822
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ユニットルームの接続構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20211206BHJP
   E04B 1/684 20060101ALI20211206BHJP
   E04F 15/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   E04H1/12 301
   E04B1/684 A
   E04F15/00 S
   E04F15/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-13118(P2018-13118)
(22)【出願日】2018年1月29日
(65)【公開番号】特開2019-131986(P2019-131986A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2020年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大城 創太
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−080759(JP,A)
【文献】 特開平10−196232(JP,A)
【文献】 特開2001−241198(JP,A)
【文献】 特開2002−168065(JP,A)
【文献】 特開2008−025107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00−1/14
E04B 1/684
E04F 15/00
E06B 1/00−1/70
E06B 7/00−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う一対のユニットルームと、
前記一対のユニットルームの各々に形成されて互いに対向する一対の開口部と、
前記一対のユニットルームの間に配置され、前記一対の開口部の周縁同士を接続する接続枠と
を備え、
前記接続枠は前記一対の開口部の下縁部同士を接続する下枠を有し、
前記下縁部は前記下枠の端面に対向する縦面を有し、
前記縦面と前記下枠の端面との間の少なくとも一部にくさび部材が配置されており、
前記一対のユニットルームの各々は、前記下枠が載せられる載置片を有し、
前記載置片と前記下枠とは、固着具により固定されていない
ユニットルームの接続構造。
【請求項2】
前記くさび部材は、
本体部と、
前記本体部における前記縦面又は前記下枠の端面に対向する面に形成され、前記本体部よりも柔軟な変形可能部と
を有している
請求項1記載のユニットルームの接続構造。
【請求項3】
前記くさび部材は、前記縦面と前記下枠の端面との間の隙間を上方から覆う化粧部を有する
請求項1又は請求項2記載のユニットルームの接続構造。
【請求項4】
前記くさび部材は、前記下縁部の全長にわたって形成されている
請求項1〜3のいずれか1項に記載のユニットルームの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットルームの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のユニットルームの接続構造が開示されている。特許文献1に記載のユニットシステムは、2つ以上の浴室ユニットを隣接して配置し、隣り合う浴室ユニット同士が連通口で通じている。
【0003】
連通口は、矩形枠状の枠体により構成される。枠体の下枠部は、各浴室ユニットの開口部の下端部同士に跨って設置される。この開口部の下端部には、下枠部が載置され、この状態で、下枠部が、開口部の下端部に対してねじ留めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−80759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の下枠部は、開口部の下端部に対してねじ留めされている。しかし、下枠部の長手方向の全長にわたって、例えば、反り、がたつき又は浮き上がり等(以下、変形等という)を防ぐためには、開口部の下端部に対して、複数箇所でねじ留めを行う必要があり、作業性に改善の余地がある。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされ、接続枠の下枠について、作業性を向上しながら、変形等を抑えることができるユニットルームの接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る一態様のユニットルームの接続構造は、隣り合う一対のユニットルームと、一対の開口部と、接続枠とを備える。一対の開口部は、前記一対のユニットルームの各々に形成されて互いに対向する。接続枠は、前記一対のユニットルームの間に配置され、前記一対の開口部の周縁同士を接続する。前記接続枠は前記一対の開口部の下縁部同士を接続する下枠を有する。前記下縁部は前記下枠の端面に対向する縦面を有する。前記縦面と前記下枠の端面との間の少なくとも一部にくさび部材が配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示のユニットルームの接続構造は、接続枠の下枠について、作業性を向上しながら、変形等を抑えることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一実施形態のユニットルームの接続構造の斜視図である。
図2図2は、同上の水平断面図である。
図3図3は、図2におけるA−A線断面図である。
図4図4は、同上のくさび部材の斜視図である。
図5図5Aは、変形例1に係るくさび部材の正面図である。図5Bは、変形例2に係るくさび部材の正面図である。図5Cは、変形例3に係るくさび部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係るユニットルーム2の接続構造は、図1に示すように、少なくとも一対のユニットルーム2と、一対のユニットルーム2の各々に形成された開口部412と、開口部412の周縁同士を接続する接続枠6とを備えている。
【0011】
接続枠6は、開口部412の周縁のうちの下縁部を接続する下枠61を有する。下枠61は、図3に示すように幅方向の端面を有している。下枠61は、端面が、各ユニットルーム2に形成された縦面331に対向した状態で設置されている。ここで、本開示でいう「下枠61の端面」とは、下枠6の幅方向のうちの一方の端面を意味する。
【0012】
本実施形態では、下枠61と縦面331との間の少なくとも一部に、くさび部材7が配置されている。くさび部材7は、本実施形態では、縦面331と下枠61の端面との間に打ち込まれることで、下枠61に対して、ユニットルーム2から下枠61に向かう方向の外力を与える。外力が与えられた下枠61は、くさび部材7とは反対側の端面が、縦面331に対して押し付けられる(ここでは、別のくさび部材7を介して押し付けられる)。これにより、下枠61は縦面331に対して上下方向の位置が保持される。この結果、下枠61の反り、がたつき又は浮き上がり等を抑えることができる。
【0013】
(2)詳細
以下、本実施形態に係るユニットルーム2の接続構造の詳細を説明する。ここで、本開示では、複数のユニットルーム2を、図1に示すように、順番に、第1のユニットルーム20,第2のユニットルーム21として定義する。また、第1のユニットルーム20から第2のユニットルーム21に向かう水平方向を第1の方向D1とし、第1の方向D1とは反対方向を第2の方向D2として定義する。また、第1の方向D1及び第2の方向D2に直交しかつ水平面に沿う方向を第3の方向D3(双方向)として定義する。
【0014】
なお、本開示でいう水平面は、ユニットルーム2を設置する面(設置面)に平行な面をいい、水平方向は、設置面に平行な方向を意味する。したがって、本開示でいう水平面は、必ずしも地球の重力に対して直交していなくてもよい。
【0015】
本実施形態に係るユニットルーム2の接続構造は、一対のユニットルーム2と、接続枠6と、くさび部材7(図3)とを備えている。
【0016】
(2.1)ユニットルーム
ユニットルーム2は、所定の設備を有する部屋であり、本実施形態では、ユニットバスルームである。所定の設備は、本実施形態では、浴槽22、シャワー装置23及び手すり421である。ただし、本開示では、所定の設備はシャワー装置23のみであってもよいし、洗面台,便器又はサウナ装置等であってもよい。また、本開示では、複数のユニットルーム2のうちの一のユニットルーム2を、浴槽22及びシャワー装置23を有する部屋とし、他の一のユニットルーム2を、シャワーのみを有するユニットルーム2等としてもよい。すなわち、すべてのユニットルーム2が共通した設備を備えていなくてもよい。
【0017】
一対のユニットルーム2は、隣り合っており、第1の方向D1に並んでいる。ここで、本実施形態に係る第1のユニットルーム20及び第2のユニットルーム21は、互いに対称に形成されている。各ユニットルーム2は、床パン3と、床パン3の周囲に立ち上げられた複数の壁パネル4と、複数の壁パネル4の上端部に設置された天井パネル5とを備えている。
【0018】
床パン3は、ユニットルーム2の床面を構成する防水パンである。床パン3の上面は、ユニットルーム2の床面である。床パン3は、本実施形態では、上方から見て(平面視)矩形状に形成されており、例えば、合成樹脂製である。床パン3は、本実施形態では、洗い場を構成する洗い場部35と、浴槽22を設置する浴槽設置部36とに区画されており、床パン3の外周部には、床パン3の上面から立ち上げられた立上部31が形成されている。ただし、立上部31は、接続枠6に対応する部分と、出入口に対応する部分には設けられていない。
【0019】
なお、床パン3の下面には、複数のアジャスターフット(図視せず)が取り付けられており、床パン3は、設置面に対して、複数のアジャスターフットを介して設置されている。
【0020】
壁パネル4は、ユニットルーム2の壁面を構成する。壁パネル4は、立上部31の上端部に載った状態で、立上部31に取り付けられている。本実施形態では、図2に示すように、複数の壁パネル4として、第1壁41と、第2壁42と、第3壁43と、第4壁44とを備えている。
【0021】
第1壁41は、ユニットルーム2の壁パネル4のうち、隣接する他のユニットルーム2に対向する壁パネルである。第1壁41は、本実施形態では、第3の方向D3に離れた2つの小壁411と、2つの小壁411の間に形成された開口部412とを備えている。
【0022】
開口部は、ユニットルーム2の出入口とは別に形成された開口部であり、隣接する他のユニットルーム2への連絡口となる。開口部412は、第1壁41を第1の方向D1に貫通する。開口部412は、本実施形態では、2つの小壁411の対向する端面、天井パネル5の下面及び床パン3の上面で囲まれる部分であり、矩形状に形成されている。開口部412は、浴室内に面する浴室内側開口面と、隣接するユニットルーム2に面する浴室外側開口面とを備えている。なお、本開示では、開口部は、第1壁41に形成された貫通部の周縁及び床パン3の上面で囲まれた部分により構成されてもよい。この場合、貫通部は、第1壁41において、下方向,第1の方向D1及び第2の方向D2に開放する。
【0023】
開口部412は、隣接するユニットルーム2の開口部412に対向する。すなわち、本実施形態では、浴室外側開口面同士が互いに平行となり、開口部412の周縁部が互いに平行に形成される。
【0024】
第2壁42は、第1壁41に対向する。第2壁42は、本実施形態では、浴槽22が隣接する。また、第2壁42には、浴槽22よりも上方に手すり421が固定されている。第2壁42は、第3の方向D3及び上下方向に平行である。
【0025】
第3壁43は、第1壁41及び第2壁42に直交する。第3壁43は、本実施形態では、シャワー装置23が取り付けられている。第3壁43は、第1の方向D1(第2の方向D2)及び上下方向に平行である。
【0026】
第4壁44は、第3壁43に対し、第3の方向D3に離れて対向する。第4壁44は、出入口用の開口部441を有している。出入口用の開口部441には、複数の開閉扉が取り付けられる。本実施形態では、開閉扉は、引き戸442である。
【0027】
(2.2)接続枠
接続枠6は、第1の方向D1に隣り合う一対のユニットルーム2の間に配置され、開口部412同士を接続する。本実施形態に係る接続枠6は、図1に示すように、下枠61と、一対の縦枠62と、上枠63とを備え、矩形枠状に形成されている。接続枠6は、例えば、アルミニウム等の金属、合成樹脂又はカーボン等により構成される。
【0028】
下枠61は、開口部412の下縁部同士を接続する。下枠61は、第1の方向D1(第2の方向D2)に幅を有し、第3の方向D3に延びている。下枠61は、一対の縦枠62の間に配置されて、一対の縦枠62にねじ留めされる。
【0029】
本開示でいう、下枠61で一対の開口部412の下縁部同士を接続するとは、互いに離れている開口部412の下縁部同士を、下枠61で続け合わせることを意味し、開口部412の下縁部に対して下枠61が固定されているかどうかは問わない。また、本実施形態では、下枠61と床パン3の上面とが面一の状態で、開口部412の下縁部同士が接続されるが、本開示では、下枠61と床パン3の上面とは面一でなくてもよい。
【0030】
図3に示すように、下枠61は、本実施形態では、下枠本体610と、下枠本体610に取り付けられるカバー611とを備えている。下枠本体610は、下枠61の主体を構成する部分である。下枠本体610は、第1の方向D1(第2の方向D2)に幅を有し、第3の方向D3に延びている。下枠本体610は、一対の縦枠62の間に配置されて、一対の縦枠62にねじ留めされる。下枠本体610は、上面が開口した複数の凹部612を有している。
【0031】
カバー611は、平板状に形成されており、下枠本体610に対して着脱可能である。カバー611は、複数の凹部612を覆うようにして配置される。
【0032】
本実施形態では、縦枠62及び上枠63でも、一対の開口部412同士を接続している。本実施形態では、縦枠62及び上枠63が、各開口部412の対応する縁に対して、固定されている。なお、本開示では、接続枠6は、縦枠62及び上枠63は、一対の開口部412に対して固定されていなくてもよい。
【0033】
(2.3)接続構造の詳細
本実施形態に係るユニットルーム2の接続構造は、図3に示すように、床パン3に設けられた支持部32を有している。支持部32は、床パン3に設けられて下枠61を支持する部分である。支持部32は、開口部412の下縁部を構成する。支持部32は、縦片33と、載置片34とを備えている。
【0034】
縦片33は、床パン3の外周端部のうちの開口部412側の端部から下方に突出する。縦片33の厚み方向の両側の面のうち、接続枠6側の面を縦面331とする。縦面331は、下枠61の端面に対向する。
【0035】
載置片34は、下枠61が載せられる部分である。第1のユニットルーム20に対応する載置片34は、縦片33の下端部から第1の方向D1に突出する。また、第2のユニットルーム21に対応する載置片34は、縦片33の下端部から第2の方向D2に突出する。第1のユニットルーム20の床パン3の載置片34と、第2のユニットルーム21の床パン3の載置片34とは、同一平面上に位置し、かつ互いに離れている。本実施形態では、載置片34は、下枠61に対し、固着具により固定されない。なお、ここでいう固着具には、例えば、ねじ、ボルト又はリベット等が挙げられる。
【0036】
第1のユニットルーム20の支持部32、及び第2のユニットルーム21の支持部32の上方には、下枠61が配置される。2つの支持部32の上方に下枠61が配置されると、下枠61の上面は、床パン3の上面に対して面一となる。
【0037】
ここで、本開示でいう「下枠61の上面が床パン3の上面に対して面一である」とは、下枠61の上面と床パン3の上面とが、同一平面上に位置する場合だけでなく、僅かに高さの差がある場合も含むものとする。すなわち、本開示において、「下枠61の上面が床パン3の上面に対して面一である」とは、厳密な意味での面一を意味するのではなく、バリアフリー構造として、段差がない効果が得られる範囲であれば、「面一」の範疇であるとする。
【0038】
本実施形態に係るユニットルーム2は、第1のユニットルーム20の縦面331と下枠61の第2の方向D2の端面との間、及び第2のユニットルーム21の縦面331と下枠61の第1の方向D1の端面との間のそれぞれに、くさび部材7が配置されている。
【0039】
(2.4)くさび部材
くさび部材7は、第1のユニットルーム20又は第2のユニットルーム21の縦面331と下枠61との間に挟まれる部材である。くさび部材7が縦面331と下枠61との間に挟まれることで、縦面331に対する下枠61の移動又は変形を抑え、下枠61の反り、がたつき又は浮き上がり等を抑えることができる。くさび部材7は、本実施形態では、合成樹脂により構成されるが、本開示では、金属製、カーボン製等であってもよい。くさび部材7は、図4に示すように、本体部71と、変形可能部72と、化粧部73とを備えている。
【0040】
ここで、本開示でいう「くさび部材7」とは、一端から他端にいくに従って薄くしたような、断面三角形状のいわゆる「くさび」形状の部材を意味するのではなく、単に「縦面331と下枠61との間に挟まれる部材」であることを意味するに過ぎない。したがって、本開示では、くさび部材7の形状は特に限られない。
【0041】
本体部71は、くさび部材7において、縦面331と下枠61の端面との間に挟まれる部分であって、主体をなす部分である。本体部71は、本実施形態では、上下方向に延びた平板状に形成されている。本体部71の下端部は、下方向にいくほど厚みが小さくなっている。本体部71は、開口部412の下縁部の全長にわたる長さを有しており、すなわち、くさび部材は、開口部412の下縁部の全長にわたる。本体部71は、硬質樹脂、金属又はカーボン等により構成される。
【0042】
変形可能部72は、本体部71の厚さ方向の少なくとも一方の面に形成されて、本体部71よりも柔軟に形成されている。変形可能部72は、くさび部材7が縦面331と下枠61の端面との間に差し入れられるときに、一定以上の力で差し入れることができるように、厚み等が設定されている。言い換えると、本開示では、変形可能部72は、くさび部材7が縦面331と下枠61の端面との間に圧入可能となるように設定されている。
【0043】
変形可能部72は、本実施形態では、複数のヒレ721により構成されており、本体部71の厚さ方向の両側に設けられている。各ヒレ721は、本体部71から離れるほど上方に位置するように傾斜している。各ヒレ721は、軟質樹脂やゴム等により構成されており、弾性変形可能である。複数のヒレ721は、くさび部材7が、縦面331と下枠61の端面との間に圧入されると、本体部71の移動に伴い、弾性変形する。このとき、くさび部材7は、下枠61の端面に対して、くさび部材7から下枠61の端面に向かう方向の外力を与える。
【0044】
化粧部73は、縦面331と下枠61の端面との間の隙間を上方から覆う部分である。化粧部73は、本体部71の上端部に設けられている。化粧部73は、本実施形態では、本体部71と同じ材料で構成されている。化粧部73の下面は、本体部71を差し入れる方向(上下方向)に対して直交しており、化粧部73の上面は、化粧部73の下面に対して傾いている。化粧部73の先端は、本体部71が縦面331と下枠61の端面との間に配置された状態において、本体部71から床パン3側に突出しており、床パン3の上面に接触する。
【0045】
図3に示すように、第1のユニットルーム20の縦面331と下枠61の端面との間にくさび部材7が差し入れられると、下枠61は第1の方向D1に移動し、下枠61の第1の方向D1の端面が、第2のユニットルーム21の縦面331に押し付けられる。また、本実施形態では、第2のユニットルーム21の縦面331と、下枠61の端面との間にも、別のくさび部材7が差し入れられる。すなわち、下枠61は、各端面が、くさび部材7を介して、対応する縦面331に押し付けられるため、第2のユニットルーム21の縦面331及び第1のユニットルーム20の縦面331に対して、位置保持される。このとき、縦面331と下枠61の端面との間は、上方から化粧部73によって覆われる。このため、縦面331と下枠61の端面との間の隙間が目立つのを抑えることができる。
【0046】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上記実施形態の変形例を説明する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0047】
(3.1)くさび部材の変形例1
図5Aには、変形例1に係るくさび部材7を示す。変形例1に係るくさび部材7は、上記実施形態1に係るくさび部材7とは、変形可能部72が、本体部71の一方の面にのみ形成されている点で異なっている。変形例1に係るくさび部材7は、実施形態に係るくさび部材7と同様に、複数のヒレ721により構成される。
【0048】
なお、変形可能部72は、本体部71の縦面331に対向する面に形成されてもよいし、本体部71の下枠61の端面に対向する面に形成されてもよい。
【0049】
これによっても、上記実施形態に係るくさび部材7と同様、縦面331と下枠61の端面との間に、適切な圧力で、くさび部材7を配置することができ、下枠61の反り、がたつき又は浮き上がり等を抑えることができる。
【0050】
(3.2)くさび部材の変形例2
図5Bには、変形例2に係るくさび部材7を示す。変形例2に係るくさび部材7は、化粧部73を有していない点で、上記実施形態1に係るくさび部材7とは異なっている。変形例2に係るくさび部材7は、縦面331と下枠61の端面との間に差し入れられるときに、上記実施形態と同様に、適切な力で圧入される。したがって、下枠61に適切な外力を与えることができ、下枠61の反り、がたつき又は浮き上がり等を抑えることができる。
【0051】
もちろん、本変形例に係るくさび部材7は、化粧部73を有していないため、縦面331と下枠61の端面との間の隙間を覆うことができず、当該隙間が見えてしまう。このため、くさび部材7を差し入れた後に、例えば、シリコーンコーキング等で、縦面331と下枠61の端面との間の隙間を埋めることが好ましい。
【0052】
(3.3)くさび部材の変形例3
図5Cには、変形例3に係るくさび部材7を示す。変形例3に係るくさび部材7は、変形可能部72が、ヒレ721ではなく、低反発フォーム等の柔軟体で構成されている点で、上記実施形態1に係るくさび部材7とは異なっている。
【0053】
本変形例のくさび部材7は、本体部71の厚み方向の両面に対して、変形可能部72が形成されている。
【0054】
くさび部材7が縦面331と下枠61の端面との間に差し入れられると、変形可能部72が変形しながら追従する。このとき、くさび部材7は圧入されることで、下枠61に適切な外力を与えることができ、下枠61の反り、がたつき又は浮き上がり等を抑えることができる。
【0055】
(3.4)その他の変形例
その他、上記実施形態の変形例を列挙する。
【0056】
本開示において、開口部412の開口面は、開口部412を開閉可能なカーテン又は引き戸等が設けられてもよい。引き戸が設置される場合、下枠61の上面にレールが形成されてもよい。
【0057】
上記実施形態に係るくさび部材7は、変形可能部72を有していたが、本開示では、変形可能部72はなくてもよい。変形可能部72が設けられない場合、本体部71の厚さを調整することで、くさび部材7の圧入の程度を調整してもよい。
【0058】
上記実施形態に係るくさび部材7は、開口部412の下縁部の全長にわたって形成されたが、本開示では、開口部412の下縁部に断続的に形成されたり、下縁部の長手方向の一部にのみ形成されたりしてもよい。すなわち、本開示では、くさび部材7は、縦面331と下枠61の端面との間の少なくとも一部に配置されていればよい。また、上記実施形態では、くさび部材7は、第1のユニットルーム20の縦面331と下枠61の端面、及び第2のユニットルーム21の縦面331と下枠61の端面の2か所に配置されたが、いずれか一方の箇所のみに配置されてもよい。
【0059】
上記実施形態では、2つのユニットルーム2を接続する構造であったが、本開示では、3つ以上のユニットルーム2を接続してもよい。
【0060】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係るユニットルーム(2)の接続構造は、隣り合う一対のユニットルーム(2)と、一対の開口部(412)と、接続枠(6)とを備える。一対の開口部(412)は、一対のユニットルーム(2)の各々に形成されて互いに対向する。接続枠(6)は、一対のユニットルーム(2)の間に配置され、一対の開口部(412)の周縁同士を接続する。接続枠(6)は一対の開口部(412)の下縁部同士を接続する下枠(61)を有する。下縁部は下枠(61)の端面に対向する縦面(331)を有する。縦面(331)と下枠(61)の端面との間の少なくとも一部にくさび部材(7)が配置されている。
【0061】
この態様によれば、くさび部材(7)によって、下枠(61)の端面に対して、縦面(331)から下枠(61)の端面に向かう外力を与えることができる。これにより、下枠(61)の変形(例えば、反り、がたつき又は浮き上がり等)を抑えることができる。
【0062】
第2の態様に係るユニットルーム(2)の接続構造は、第1の態様において、くさび部材(7)は、本体部(71)と、本体部(71)において縦面(331)又は下枠(61)の端面に対向する面に形成され、本体部(71)よりも柔軟な変形可能部(72)とを有している。
【0063】
この構成によれば、縦面(331)と下枠(61)の端面との間の寸法に応じて、くさび部材(7)を縦面(331)と下枠(61)の端面との間に差し入れる力の程度(圧入の程度)を設定しやすい。
【0064】
第3の態様に係るユニットルーム(2)の接続構造は、第1又は第2の態様において、くさび部材(7)は、縦面(331)と下枠(61)の端面との間の隙間を上方から覆う化粧部(73)を有する。
【0065】
この構成によれば、くさび部材(7)を縦面(331)と下枠(61)の端面との間に差し入れるだけで、縦面(331)と下枠(61)の端面との間の隙間を覆うことができる。このため、縦面(331)と下枠(61)の端面との間の隙間をコーキング等で覆う処理の手間を省くことができる。
【0066】
第4の態様に係るユニットルーム(2)の接続構造は、第1〜第3のいずれかの態様において、くさび部材(7)は、下縁部の全長にわたって形成されている。
【0067】
この構成によれば、下縁部の全長にわたって、くさび部材(7)による保持力を及ぼすことができ、一層、下枠(61)の変形を抑えることができる。
【0068】
第5の態様に係るユニットルーム(2)の接続構造は、第1〜4のいずれかの態様において、一対のユニットルーム(2)の各々は、下枠(61)が載せられる載置片(34)を有する。載置片(34)と下枠(61)とは、固着具により固定されていない。
【0069】
この構成によれば、載置片(34)と下枠(61)とを固着具で固定する作業の手間を省くことができ、作業時間の短縮を図ることができる。
【0070】
第2〜第5の態様に係る構成については、本開示に係るユニットルーム(2)の接続構造に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0071】
2 ユニットルーム
331 縦面
412 開口部
6 接続枠
61 下枠
7 くさび部材
71 本体部
72 変形可能部
73 化粧部
図1
図2
図3
図4
図5