特許第6982824号(P6982824)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982824
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 23/14 20060101AFI20211206BHJP
   H01H 3/02 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   H01H23/14
   H01H3/02 C
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2021-1210(P2021-1210)
(22)【出願日】2021年1月7日
(62)【分割の表示】特願2018-25288(P2018-25288)の分割
【原出願日】2018年2月15日
(65)【公開番号】特開2021-64614(P2021-64614A)
(43)【公開日】2021年4月22日
【審査請求日】2021年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 彩乃
(72)【発明者】
【氏名】中村 信也
(72)【発明者】
【氏名】紙谷 知宏
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−018600(JP,A)
【文献】 実開昭63−116946(JP,U)
【文献】 実開昭55−022907(JP,U)
【文献】 実開昭48−000156(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第03174081(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 23/00−23/30
H01H 3/02− 7/16
H01H 9/00− 9/28
H01H 25/00−25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸線周りに往復自在に傾動することにより、配線回路のスイッチをオン/オフ操作するベース部と、
前記ベース部から突出するように前記ベース部に固定されて操作者により操作される操作部と、を備え、
前記ベース部には、前記操作部に向けて延びる少なくとも第1のボス部と第2のボス部が設けられると共に、前記操作部には、前記第1のボス部が所定の取付方向に沿って挿入される第1の挿入部が設けられ、
前記第1のボス部の外周面及び前記第1の挿入部の内周面のうち少なくとも一方には、複数の第1の突出部が設けられ、
前記第1の突出部が前記第1のボス部の外周面及び前記第1の挿入部の内周面の両方に接触した状態で前記第1のボス部が前記第1の挿入部に圧入されることにより、前記操作部が前記ベース部に固定されており、
前記取付方向から見て、前記第1のボス部と前記第2のボス部の形状は異なる、スイッチ装置。
【請求項2】
前記第2のボス部は、前記第1のボス部から前記ベース部の軸線方向に所定の間隔を隔てて設けられている、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記第2のボス部の前記第1のボス部と対向する面は、前記ベース部の傾動方向と平行な平面である、請求項1又は2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記複数の第1の突出部は、前記第1のボス部の外周面に設けられ、
前記第2のボス部の外周面に、複数の第2の突出部が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記第2のボス部の外周面に設けられる前記第2の突出部の数は、前記第1のボス部の外周面に設けられる前記第1の突出部の数よりも少ない、請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記複数の第2の突出部は、前記取付方向から見て、前記ベース部の傾動方向に沿って、前記第2のボス部の外周面から突出する一対の突出部である、請求項4又は5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記複数の第1の突出部、及び、前記複数の第2の突出部は、前記取付方向に延びている、請求項〜6のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記操作部には、前記第2のボス部が前記取付方向に沿って挿入される第2の挿入部が設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記操作部には、前記ベース部に向けて延びる一対の第1のツメ部が設けられている、請求項1〜のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
前記ベース部には、前記第1のツメ部が挿入される第1の挿通孔と、前記第1の挿通孔における前記第1のツメ部の挿入方向奥側で前記第1のツメ部に係合する第1の係合部とが設けられている、請求項9に記載のスイッチ装置。
【請求項11】
前記第1のツメ部は、前記第1の挿入部の近傍位置から前記ベース部に向けて延びるように設けられている、請求項9又は10に記載のスイッチ装置。
【請求項12】
前記第1のツメ部の先端には、先細りとなるテーパー面が形成されている、請求項9〜11のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項13】
前記操作部は、前記ベース部の軸線方向に延びる長尺状に形成され、
前記取付方向から見て、前記一対の第1のツメ部は、前記第1のボス部の中心を挟んで前記ベース部の傾動方向に並設され、前記テーパー面は、各々の前記第1のツメ部の前記傾動方向の外側に配置されている、請求項12に記載のスイッチ装置。
【請求項14】
前記操作部には、前記ベース部に向けて延びる一対の第2のツメ部が設けられている、請求項9〜13のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項15】
前記ベース部には、前記第2のツメ部が挿入される第2の挿通孔と、前記第2の挿通孔における前記第2のツメ部の挿入方向奥側で前記第2のツメ部に係合する第2の係合部とが設けられている、請求項14に記載のスイッチ装置。
【請求項16】
前記操作部には、前記第2のボス部が前記取付方向に沿って挿入される第2の挿入部が設けられ、
前記第2のツメ部は、前記第2の挿入部の近傍位置から前記ベース部に向けて延びるように設けられている、請求項14又は15に記載のスイッチ装置。
【請求項17】
前記第2のツメ部の先端には、先細りとなるテーパー面が形成されている、請求項14〜16のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項18】
前記操作部は、前記ベース部の軸線方向に延びる長尺状に形成され、
前記取付方向から見て、前記一対の第2のツメ部は、前記第2のボス部の中心を挟んで前記ベース部の傾動方向に並設され、前記テーパー面は、各々の前記第2のツメ部の前記傾動方向の外側に配置されている、請求項17に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関し、特にその操作部の耐久性を向上させると共に操作感を安定させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ装置として、例えば特許文献1に開示されるように、所定の軸線周りに往復自在に傾動するベース部と、ベース部から突出する操作部とを備えるものがある。操作者は、指先で操作部を押してベース部を前記軸線周りに傾動させることで、スイッチ装置をオン/オフ操作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−165416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成を有するスイッチ装置は、例えば、操作部の表面のみを金属蒸着加工する等して、ベース部と操作部とが個別に作製される場合がある。この場合、ベース部に操作部が確実に固定されなかったり、ベース部に対する操作部の固定部分が次第に緩くなったりすると、ベース部と操作部との相対位置が変化し、スイッチ装置の操作部の耐久性が低下したり、操作感が損なわれるおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、所定の軸線周りに往復自在に傾動するベース部と、ベース部から突出するようにベース部に固定された操作部とを備えるスイッチ装置において、その操作部の耐久性の低下を防止すると共に、操作部の操作感が損なわれるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るスイッチ装置は、所定の軸線周りに往復自在に傾動することにより、配線回路のスイッチをオン/オフ操作するベース部と、前記ベース部から突出するように前記ベース部に固定されて操作者により操作される操作部と、を備え、前記ベース部には、前記操作部に向けて延びる少なくとも第1のボス部と第2のボス部が設けられると共に、前記操作部には、前記第1のボス部が所定の取付方向に沿って挿入される第1の挿入部が設けられ、前記第1のボス部の外周面及び前記第1の挿入部の内周面のうち少なくとも一方には、複数の第1の突出部が設けられ、前記第1の突出部が前記第1のボス部の外周面及び前記第1の挿入部の内周面の両方に接触した状態で前記第1のボス部が前記第1の挿入部に圧入されることにより、前記操作部が前記ベース部に固定されており前記取付方向から見て、前記第1のボス部と前記第2のボス部の形状は異なる
【0007】
前記第2のボス部は、前記第1のボス部から前記ベース部の軸線方向に所定の間隔を隔てて設けられていてもよい
【0008】
前記第2のボス部の前記第1のボス部と対向する面は、前記ベース部の傾動方向と平行な平面であってもよい
【0009】
前記複数の第1の突出部は、前記第1のボス部の外周面に設けられ、前記第2のボス部の外周面に、複数の第2の突出部が設けられていてもよい。前記第2のボス部の外周面に設けられる前記第2の突出部の数は、前記第1のボス部の外周面に設けられる前記第1の突出部の数よりも少なくてもよい。
【0010】
前記複数の第2の突出部は、前記取付方向から見て、前記ベース部の傾動方向に沿って、前記第2のボス部の外周面から突出する一対の突出部であってもよい。前記複数の第1の突出部、及び、前記複数の第2の突出部は、前記取付方向に延びていてもよい
【0011】
前記操作部には、前記第2のボス部が前記取付方向に沿って挿入される第2の挿入部が設けられていてもよい。前記操作部には、前記ベース部に向けて延びる一対の第1のツメ部が設けられていてもよい
【0012】
前記ベース部には、前記第1のツメ部が挿入される第1の挿通孔と、前記第1の挿通孔における前記第1のツメ部の挿入方向奥側で前記第1のツメ部に係合する第1の係合部とが設けられていてもよい
【0013】
前記第1のツメ部は、前記第1の挿入部の近傍位置から前記ベース部に向けて延びるように設けられていてもよい
【0014】
前記第1のツメ部の先端には、先細りとなるテーパー面が形成されていてもよい
【0015】
前記操作部は、前記ベース部の軸線方向に延びる長尺状に形成され、前記取付方向から見て、前記一対の第1のツメ部は、前記第1のボス部の中心を挟んで前記ベース部の傾動方向に並設され、前記テーパー面は、各々の前記第1のツメ部の前記傾動方向の外側に配置されていてもよい
【0016】
前記操作部には、前記ベース部に向けて延びる一対の第2のツメ部が設けられていてもよい
【0017】
前記ベース部には、前記第2のツメ部が挿入される第2の挿通孔と、前記第2の挿通孔における前記第2のツメ部の挿入方向奥側で前記第2のツメ部に係合する第2の係合部とが設けられていてもよい。
【0018】
前記操作部には、前記第2のボス部が前記取付方向に沿って挿入される第2の挿入部が設けられ、前記第2のツメ部は、前記第2の挿入部の近傍位置から前記ベース部に向けて延びるように設けられていてもよい
【0019】
前記第2のツメ部の先端には、先細りとなるテーパー面が形成されていてもよい。
【0020】
前記操作部は、前記ベース部の軸線方向に延びる長尺状に形成され、
前記取付方向から見て、前記一対の第2のツメ部は、前記第2のボス部の中心を挟んで前記ベース部の傾動方向に並設され、前記テーパー面は、各々の前記第2のツメ部の前記傾動方向の外側に配置されていてもよい
【発明の効果】
【0021】
本発明の各態様によれば、所定の軸線周りに往復自在に傾動するベース部と、ベース部の表面から突出するようにベース部に取り付けられた操作部とを備えるスイッチ装置において、その耐久性が低下するのを防止できると共に、操作部の操作感が損なわれるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係るスイッチ装置の断面図である。
図2図1の操作体の外観図である。
図3図1の操作体の分解図である。
図4図1の操作部の下方から見た断面図である。
図5図1のベース部に対する係合前の操作部の断面図である。
図6図1のベース部に対する係合後の操作部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0024】
図1は、実施形態に係るスイッチ装置1の断面図である。図2は、図1の操作体4の外観図である。図3は、図1の操作体4の分解図である。図1は、操作体4を傾動させるための後述する傾動軸10の軸線X方向に垂直なスイッチ装置1の断面を示している。
【0025】
図1に示すように、スイッチ装置1は、ハウジング2、基板3、及び操作体4を備える。ハウジング2は、基板3と、操作体4の一部とを覆っている。ハウジング2は、一対の軸支部2aを有する。一対の軸支部2aは、傾動軸10の軸線X方向両端を軸支する。ハウジング2の上部には、開口2bが設けられている。
【0026】
基板3は、ハウジング2の内部に収容され、基板3の上面には、配線回路に接続された一対のプッシュスイッチ7やLED等の発光部8が、操作体4側に向けて配置されている。軸線X方向から見て、一対のプッシュスイッチ7は、傾動軸10の両側に配置され、ハウジング2の軸支部2aは、一対のプッシュスイッチ7よりも上方に配置されている。
【0027】
操作体4は、ベース部5と操作部6とを有する。ベース部5と操作部6とは、樹脂成形品である。一例として、ベース部5は、光透過性樹脂からなる樹脂成形品の外表面の一部以外の領域に塗膜が形成されることで構成されている。また操作部6は、光透過性樹脂からなる樹脂成形品の外表面の表示部6a以外の領域に金属が蒸着されることで構成されている。ベース部5の上面と操作部6とは、ハウジング2の開口2bから露出している。
【0028】
図1図3に示すように、ベース部5は、所定の軸線(ここでは軸線X)周りに往復自在に傾動することにより、基板3における配線回路のスイッチをオン/オフ操作する。ベース部5は、幅寸法及び長さ寸法が、高さ寸法よりも大きい形状、例えば略直方体状に形成されている。
【0029】
ベース部5の上面中央には、操作部6が嵌め込まれる窪み部5aが形成されている。窪み部5aの内部には、窓部5bと、一対の挿通孔5cとが形成されている。窓部5bは、ベース部5側から操作部6側へ導光される光の光路を確保するために形成されている。本実施形態のベース部5が有する窓部5bは、後述する取付方向に貫通した開口として形成されている。一対の挿通孔5cは、後述するツメ部6dを挿通させるために形成されている。一対の挿通孔5cは、窓部5bの軸線X方向両側に配置されている。
【0030】
ベース部5の側面には、傾動軸10が挿通される挿通孔5kが形成されている。一例として、ベース部5は、ハウジング2の内部において、傾動軸10が挿通された状態で、傾動軸10を介してハウジング2の一対の軸支部2aに軸支される。これによりベース部5は、軸線X周りに一定範囲内で往復自在に傾動する。
【0031】
ベース部5には、その上面から下方に向けて延びる一対の押圧部5jを有する。押圧部5jは、プッシュスイッチ7を押下可能に配置されている。具体的に押圧部5jの長手方向先端は、プッシュスイッチ7と対向している。
【0032】
ベース部5が軸線X方向に直交する一方側に傾動すると、一方の押圧部5jが一方のプッシュスイッチ7を押下すると共に、他方の押圧部5jが他方のプッシュスイッチ7から離隔する。また、ベース部5が軸線X方向に直交する他方側に傾動すると、一方の押圧部5jが一方のプッシュスイッチ7から離隔すると共に、他方の押圧部5jが他方のプッシュスイッチ7を押下する。
【0033】
このように、ベース部5が傾動軸10周りに往復して傾動することで、一対のプッシュスイッチ7が交互に押下されて、一対のプッシュスイッチ7がオン/オフ操作される。
【0034】
なお、傾動軸10は省略してもよい。この場合、ベース部5の外表面から一方向に突出する一対の傾動軸部を設けると共に、この一対の傾動軸部を軸支可能な一対の軸支部2aをハウジング2に設けることで、ベース部5を傾動軸部の軸周りに往復自在に傾動可能に配置してもよい。この場合、傾動軸部の軸線方向が、軸線X方向となる。
【0035】
操作部6は、ベース部5から突出するようにベース部5に固定されて操作者により操作される。図2及び図3に示すように、操作部6は、軸線X方向に延びる長尺状に形成されている。一例として、操作部6は、直方体状に形成され、その一側面を上面とした状態で、ベース部5に固定されている。
【0036】
操作部6は、基板3側に向けて開放された内部空間を有する。操作部6の上面には、一例として、操作者に所定情報を示すための表示部6aが形成されている。表示部6aは、ベース部5の窓部5bから導光された下方の発光部8の光を透過させることで、操作者に所定情報を表示する。このようにスイッチ装置1は、照光機能を備えている。なお、スイッチ装置1が照光機能を備えなくてもよい場合、ベース部5の窓部5bと、基板3の発光部8とは省略できる。
【0037】
操作部6とベース部5とは、ボス部と、ボス部が挿入される挿入部とを用いて互いに組み合わされる。即ち、ベース部5には、操作部6に向けて延びる少なくとも1つのボス部が設けられると共に、操作部6には、ボス部が所定の取付方向に沿って挿入される挿入部が設けられている。本実施形態のボス部は、窓部5bの軸線X方向の外側に配置されている。
【0038】
また、ボス部の外周面及び挿入部の内周面のうち少なくとも一方(一例としてボス部)には、取付方向から見て、ベース部5の傾動(Z)方向及び軸線X方向の両方向に交差する交差方向へ突出する複数の突出部が設けられている。スイッチ装置1では、突出部がボス部の外周面及び挿入部の内周面の両方に接触した状態でボス部が挿入部に圧入されることにより、操作部6がベース部5に固定されている。
【0039】
具体的に図4は、図1の操作部6の下方から見た断面図である。図4では、表示部6aと、ツメ部6dの根元部分の各位置を破線で示すと共に、第1ボス部5d及び第2ボス部5eの長手方向に垂直な各断面を示している。図3及び図4に示すように、本実施形態では、ベース部5は、第1ボス部5dと第2ボス部5eとを有する。また操作部6は、第1挿入部6bと第2挿入部6cとを有する。ボス部5d,5eは、操作部6に向けて延びている。ボス部5d,5eは、ベース部5の軸線X方向に間隔をおいて配置されている。
【0040】
挿入部6b,6cは、操作部6の長手(軸線X)方向に間隔をおいて配置されている。挿入部6b,6cは、ボス部5d、5eに向けて延びている。挿入部6b,6cの挿入方向奥側は、閉塞されている。第2挿入部6cは、操作部6の内部空間と連通している。第1ボス部5dは、第1挿入部6bに挿入され、第2ボス部5eは、第2挿入部6cに挿入される。
【0041】
第1ボス部5dは、全体としては略円柱状に形成されている。第1ボス部5dは、取付(長手)方向から見て、ベース部5の傾動方向と軸線X方向とに交差しながら第1ボス部5dの周面から突出する複数の突出部(第1突出部5f)を有する。複数の第1突出部5fは、取付方向に延びている。
【0042】
取付方向から見て、複数の第1突出部5fのうち少なくとも1つ(一例として全て)の第1突出部5fは、外方向に向かうに従い先細りする輪郭(例えば、楕円又は真円の円弧状、放物線状、或いは、略三角形状等の輪郭)を有する。第1突出部5fは、この輪郭の先端部分において、第1挿入部6bの内周面と接触する。
【0043】
取付方向から見て、第1ボス部5dの第1突出部5fを除いた輪郭は、真円状である。また第1挿入部6bの深さ方向から見て、第1挿入部6bの内周面の輪郭は、真円状である。
【0044】
取付方向から見て、複数の第1突出部5fのうち、一対の第1突出部5fは、第1ボス部5dの中心Q1を通る仮想線Y上又は仮想線Yに対し±15°以内の範囲の角度で傾斜する線上(ここでは一例として仮想線Y上)に各々配置されている。また仮想線Yは、傾動方向に対して所定範囲の角度θで傾斜して、上記した交差方向に向けられている。
【0045】
これにより、スイッチ装置1の操作時において、第1挿入部6bの内周面から第1ボス部5dに傾動方向に外力が加わった場合でも、第1突出部5fの突出方向においては、当該外力の分力のみが第1突出部5fに伝わる。よって、第1突出部5fに突出方向に作用する力が低減される。その結果、スイッチ装置1の操作により第1突出部5fが圧潰されるのが防止される。
【0046】
本実施形態では、上記した所定範囲は、30°以上60°以下の範囲である。この所定範囲の値としては、例えば、35°以上55°以下の範囲の値がより好ましく、40°以上50°以下の範囲の値が一層好ましい。
【0047】
第2ボス部5eは、全体としては略円柱状に形成されている。第2ボス部5eは、取付(長手)方向から見て、第2ボス部5eの傾動(Z)方向に沿って、第2ボス部5eの周面から突出する一対の突出部(第2突出部5g)を有する。複数の第2突出部5gは、取付方向に延びている。
【0048】
取付方向から見て、一対の第2突出部5gのうち少なくとも一方(ここでは両方)の第2突出部5gは、外方向に向かうに従い先細りする輪郭(例えば、楕円又は真円の円弧状、放物線状、或いは、略三角形状等の輪郭)を有する。第2突出部5gは、この輪郭の先端部分において、第2挿入部6cの内周面と接触する。
【0049】
取付方向から見て、第2ボス部5eの第2突出部5gを除いた輪郭は、全体としては円形であるが、第2ボス部5eと窓部5bとの干渉を防ぐため、第2ボス部5eの窓部5bと重なる部分が切り欠かれている。また第2挿入部6cの深さ方向から見て、第2挿入部6cの内周面の輪郭は、傾動方向を短軸方向とし、軸線X方向を長軸方向とする略楕円状である。このように第2挿入部6cは、長穴として形成されている。
【0050】
第2ボス部5eにおける第2突出部5gの数は、第1ボス部5dにおける第1突出部5fの数よりも少ない。このため第2ボス部5eは、第1ボス部5dを第1挿入部6bへ挿入するときよりも第2挿入部6cへ挿入し易くなっている。
【0051】
また第2突出部5gは、取付方向から見て、第2挿入部6cの短軸方向に沿って配置されている。このため、第2挿入部6cの長軸方向に沿って、第2ボス部5eと第2挿入部6cとの相対位置を若干調整することが可能となっている。
【0052】
操作体4では、第1突出部5fが第1挿入部6bの内周面と接触した状態で第1ボス部5dが第1挿入部6bに圧入され、第2突出部5gが第2挿入部6cの内周面に接触した状態で第2ボス部5eが第2挿入部6cに圧入されることにより、操作部6がベース部5に固定されている。
【0053】
取付方向に垂直な方向から見て、取付方向における第1ボス部5dと第1挿入部6bとの重なり長さ寸法Waは、第1ボス部5dの長さ寸法Lnの1/2よりも大きい値に設定されている(図5及び図6参照)。同様に、取付方向に垂直な方向から見て、取付方向における第2ボス部5eと第2挿入部6cとの重なり長さ寸法Waは、第2ボス部5eの長さ寸法Lnの1/2よりも大きい値に設定されている。
【0054】
このように、各ボス部5d,5eとこれに対応する各挿入部6b,6cとの重なり長さ寸法Waを長く確保することで、スイッチ装置1の使用時におけるベース部5と操作部6との相対位置の変化が抑制され、ベース部5と操作部6との間でがたつきが発生するのが防止されている。
【0055】
また図1図3及び図4に示すように、操作部6には、一対のツメ部が設けられ、ベース部5には、一対の係合部が設けられている。本実施形態では、操作部6の長手方向一端側と他端側との各々に、一対のツメ部6dが設けられ、ベース部5の軸線X方向一方側と他方側との各々に、一対の係合部5hが設けられている。
【0056】
一対のツメ部6dにおける各々のツメ部6dは、操作部6において傾動方向に並設されている。また、一対の係合部5hにおける各々の係合部5hは、ベース部5において傾動方向に並設されている。スイッチ装置1では、ボス部5d,5eが挿入部6b,6cに圧入された状態で、ツメ部6dと係合部5hとが係合することにより、操作部6がベース部5に対してより確実に固定されている。
【0057】
一対のツメ部6dは、ベース部5に向けて延びている。本実施形態では、一対のツメ部6dは、操作部6の本体からベース部5に向けて延びた後、傾動方向外側に向けて突出している。一対のツメ部6dは、操作部6の傾動(幅)方向内側に向けて撓むことができる。軸線X方向から見て、一対のツメ部6dは、軸線Xの中心を通り且つ一対のツメ部6dの長手方向に沿って延びる線に対して対称的な形状を有する。ツメ部6dの先端側には、ツメ部6dの根元側から先端側に向けてツメ部6dの幅寸法を急激に増大させることで返し(楔)部分6eが形成されている。また、ツメ部6dの先端側には、先細りとなるテーパー面6fが形成されている。
【0058】
係合部5hは、一対のツメ部6dと係合する。ベース部5には、案内面5iが設けられている。案内面5iは、ボス部5d,5eが先端側から挿入部6b,6cに部分的に挿入された状態(言い換えると、ボス部5d,5eが、先端側からの長さ寸法Wbの部分において挿入部6b,6cに部分的に挿入された状態)で、一対のツメ部6dのテーパー面6fと接触しながら相対移動することにより、ボス部5d,5eを挿入部6b,6cの内部に案内する。挿通孔5cにおけるツメ部6dの挿入方向奥側には、ツメ部6dの返し部分が係合する係合部5hが形成されている(図5及び図6参照)。
【0059】
一例として、取付方向から見て、一対のツメ部6dは、ボス部5d,5eの中心を挟んで傾動方向に並設されている。またテーパー面6fは、各々のツメ部6dの傾動方向外側に配置されている。
【0060】
ここで、本実施形態の操作部6に設けられた一対のツメ部6dは、挿入部6b,6cの近傍位置からベース部5に向けて延びている。本実施形態では、操作部6における挿入部6b,6cの近傍部分は、挿入部6b,6cにボス部5d,5eが挿入されることにより、比較的変形が少ない。このため、取付方向から見て、二対のツメ部6dのうち、一対のツメ部6dは、第1挿入部6bの近傍位置に配置され、残余の一対のツメ部6dは、第2挿入部6cの近傍位置に配置されている。
【0061】
これにより、操作体4の組立時やスイッチ装置1の使用時において、ツメ部6dの根元部分に外力が加わることで当該部分が変形するのを抑制して、ツメ部6dの破損が防止されている。
【0062】
なお「近傍位置」とは、例えば、挿入部6b,6cの内周面と各内周面に近接するツメ部6dとの間の最短距離が0.5mm以上0.7mm以内の範囲の値となる位置であるが、これに限定されない。
【0063】
図5は、図1のベース部5に対する係合前の操作部6の断面図である。図6は、図1のベース部5に対する係合後の操作部6の断面図である。図5に示すように、操作体4の組立時には、作業者は、まずベース部5の第1ボス部5dの先端を第1挿入部6bに挿入すると共に、第2ボス部5eの先端を第2挿入部6cに挿入する。このとき作業者は、各ボス部5d,5eの長手方向を、各挿入部6b,6cの深さ方向と一致させながら作業を行う。
【0064】
ここで、第1ボス部5dの周面に形成された第1突出部5fが、第1挿入部6bの内周面と接触することで、第1ボス部5dが第1挿入部6bに圧入され始める。また、第2ボス部5eの周面に形成された第2突出部5gが、第2挿入部6cの内周面と接触することで、第2ボス部5eが第2挿入部6cに圧入され始める。
【0065】
また作業者は、ボス部5d,5eを対応する挿入部6b,6cに先端側から部分的に挿入した状態で、一対のツメ部6dを挿通孔5cに挿入し、テーパー面6fを案内面5iと当接させる。このとき、ボス部5d,5eは、先端側からの長さ寸法Wbの部分において挿入部6b,6cに部分的に挿入される。長さ寸法Wbは、一例として、0.5mm以上の値に設定される。
【0066】
これにより、ボス部5d,5eが挿入部6b,6cに対して挿入部6b,6cの内周面により位置決めされ、且つ、一対のツメ部6dが係合部5hに対してテーパー面6fと案内面5iとにより位置決めされる。
【0067】
作業者は、第1ボス部5dの第1挿入部6bへの挿入を進行させると共に、第2ボス部5eの第2挿入部6cへの挿入を進行させる。これにより図6に示すように、ベース部5に対する操作部6の姿勢が安定して保たれた状態で、ボス部5d,5eが対応する挿入部6b,6cに適切な方向から挿入される。また、テーパー面6fを案内面5iにより案内しながらツメ部6dを撓ませる際に、ツメ部6dの不要な変形が抑制されてツメ部6dの破損が防止される。
【0068】
また、第1ボス部5dと第1挿入部6bとにおいて、重なり長さ寸法Waが、第1ボス部5dの長さ寸法Lnの1/2よりも大きい値に設定されると共に、第2ボス部5eと第1挿入部6bとにおいて、重なり長さ寸法Waが、第2ボス部5eの長さ寸法Lnの1/2よりも大きい値に設定されていることで、ツメ部6dが安定した姿勢で係合部5hに向けて案内され、ツメ部6dが適切に撓んで係合部5hに係合させられる。
【0069】
また図4に示すように、本実施形態では、第2挿入部6cの深さ方向から見て、第2挿入部6cの周面が、軸線X方向を長軸方向とし、傾動方向を短軸方向とする長穴状に形成されている。これにより第2ボス部5eと第2挿入部6cとは、軸線X方向に若干相対移動させることができる。
【0070】
よって例えば、第1ボス部5dの先端の一部を第1挿入部6bに挿入してベース部5と操作部6との相対位置をある程度決定した後、第2ボス部5eの先端を第2挿入部6cに適切に挿入できる。
【0071】
第1ボス部5dが第1挿入部6bに完全に挿入され、第2ボス部5eが第2挿入部6cに完全に挿入されると共に、二対のツメ部6dの各々が係合部5hと係合されることで、ベース部5に対する操作部6の固定が完了する。
【0072】
以上説明したように、スイッチ装置1によれば、第1突出部5fが第1ボス部5dの外周面及び第1挿入部6bの内周面の両方に接触した状態で第1ボス部5dが第1挿入部6bに圧入されることで、操作部6がベース部5に固定されるため、操作部6をベース部5に確実に固定できる。よって、操作部6の操作感が損なわれるのを防止できる。
【0073】
また複数の第1突出部5fが、取付方向から見て、ベース部5の傾動方向及び軸線X方向の両方向に交差する交差方向へ突出しているため、操作者が操作部6を操作してベース部5を傾動させる際に第1突出部5fに作用する圧縮応力を軽減できる。これにより、第1突出部5fの圧潰を抑制し、ベース部5に操作部6を長期にわたり安定して固定できる。従って、スイッチ装置1の耐久性を向上できる。
【0074】
また、取付方向から見て、複数の第1突出部5fのうち、少なくとも一対の第1突出部5fが、第1ボス部5dの中心を通る仮想線Y上又は仮想線Yに対し±15°以内の範囲の角度で傾斜する線上に各々配置され、仮想線Yは、ベース部5の傾動方向に対して所定範囲の角度で傾斜して、上記した交差方向に向けられている。このように一対の第1突出部5fが配置されていることにより、操作部6を操作してベース部5を傾動させる際に一対の第1突出部5fに作用する圧縮応力を軽減しながら、特定の第1突出部5fに圧縮応力が集中するのを防止できる。
【0075】
また、上記した所定範囲は、30°以上60°以下の範囲であるため、操作部6を操作してベース部5を傾動させる際に一対の第1突出部5fに作用する圧縮応力を更に良好に軽減できる。
【0076】
また複数の突出部5f,5gは、取付方向に延びているので、ボス部5d,5eの取付方向における広い範囲にわたって、ボス部5d,5eを挿入部6b,6cに固定し易くすることができる。
【0077】
また、取付方向に垂直な方向から見て、取付方向におけるボス部5d,5eと挿入部6b,6cとの重なり長さ寸法が、ボス部5d,5eの長さ寸法の1/2よりも大きい値に設定されているので、ボス部5d,5eの取付方向における広い範囲にわたって、ボス部5d,5eを挿入部6b,6cの内周面により安定して支持し易くすることができる。
【0078】
また取付方向から見て、複数の突出部5f,5gのうち少なくとも1つ(ここでは全て)の突出部5f,5gが、外方向に向うに従い先細りする輪郭(例えば、楕円又は真円の円弧状、放物線状、或いは、略三角状等の輪郭)を有しているので、スイッチ装置1の製造時において、突出部5f,5gをその輪郭における先端部分においてボス部5d,5eの外周面又は挿入部6b,6cの内周面(ここでは挿入部6b,6cの内周面)に接触させることで、ボス部5d,5eを挿入部6b,6cに圧入し易くすることができる。
【0079】
またベース部5は、取付方向に貫通した開口である窓部5bを有し、窓部5bの軸線X方向の外側にボス部5d,5eが配置されているので、例えば、ベース部5の窓部5bを通じて取付方向に照光を行うタイプの操作体4においても、ボス部5d,5eにより、操作部6をベース部5に安定的に固定することができる。
【0080】
また操作部6には、挿入部6b,6cの近傍位置からベース部5に向けて延びる一対のツメ部6dが設けられると共に、ベース部5には、ツメ部6dが挿入される挿通孔5cと、挿通孔5cにおけるツメ部6dの挿入方向奥側でツメ部6dに係合する係合部5hとが設けられているので、ツメ部6dと係合部5hとの係合により、操作部6をベース部5により確実に固定することができる。
【0081】
また、スイッチ装置1の製造時において、ボス部5d,5eを挿入部6b,6cの内周面により支持しながら、テーパー面6fと案内面5iとを接触させて相対移動させることができ、ベース部5に対して操作部6を正確且つ安定した姿勢で組み合わせることができる。
【0082】
また操作部6は、軸線X方向に延びる長尺状に形成され、取付方向から見て、一対のツメ部6dは、ボス部5d,5eの中心を挟んで傾動方向(言い換えると軸線X方向に直交する方向)に並設され、テーパー面6fは、各々のツメ部6dの傾動方向外側に配置されているので、操作部6が軸線X方向に延びる長尺状に形成されている場合でも、操作部6の傾動方向(幅方向)におけるベース部5と操作部6との相対位置を適切に保ちながら、操作部6をベース部5に固定し易くすることができる。
【0083】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その構成を変更、追加、又は削除できる。スイッチ装置1において、第1ボス部5dが第1挿入部6b内へ圧入されることにより、操作部6がベース部5に対して十分な強度で固定される場合には、一対のツメ部6dと係合部5hとは省略してもよい。
【0084】
また本実施形態では、操作体4の長手方向において、一対のツメ部6dと挿入部6b,6cとが交互に配置されているが、一対の挿入部6b,6cの間に、二対のツメ部6dが配置されていてもよいし、二対のツメ部6dの間に、一対の挿入部6b,6cが配置されていてもよい。またスイッチ装置1は、第1ボス部5dと第1挿入部6bとを二組以上備えていてもよい。
【0085】
また一対の第2突出部5gは、傾動方向に沿って配置されていなくてもよく、例えば、第2ボス部5eの周面における傾動方向とはずれた位置に配置されていてもよい。また、第2ボス部5e及び第2挿入部6cは必須ではないため、例えば、操作体4の組立効率がそれほど低下しない場合には、第2ボス部5eを第1ボス部5dに変更し、第2挿入部6cを第1挿入部6bに変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように本発明は、所定の軸線周りに往復自在に傾動するベース部と、ベース部の表面から突出するようにベース部に取り付けられた操作部とを備えるスイッチ装置において、その耐久性が低下するのを防止できると共に、操作部の操作感が損なわれるのを防止できる優れた効果を有する。従って、この効果の意義を発揮できるスイッチ装置に本発明を広く適用すると有益である。
【符号の説明】
【0087】
X 軸線
Y 仮想線
Z 傾動方向
1 スイッチ装置
5 ベース部
5d 第1ボス部(ボス部)
5f 第1突出部(突出部)
5h 係合部
5i 案内面
6 操作部
6b 第1挿入部(挿入部)
6d ツメ部
6f テーパー面
7 プッシュスイッチ(スイッチ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6