(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記鍋内の圧力を前記第3の圧力に昇圧させた後、前記鍋内の圧力を大気圧以上かつ前記第2の圧力以下である第4の圧力に減圧させるように前記加熱部および前記圧力調整部を制御する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、接続形態、ステップおよびステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態1)
本実施の形態では、炊飯器1として、加熱コイルに高周波電流を供給することにより鍋を加熱して炊飯を行う誘導加熱式の炊飯器を例に挙げて説明する。なお、炊飯器1は、誘導加熱式の炊飯器でなくてもよく、例えば電熱ヒータで鍋を加熱するヒータ式の炊飯器であってもよい。
【0013】
[1−1.炊飯器の構成]
図1Aは、本実施の形態に係る炊飯器1の外観斜視図である。
図1Bは、本実施の形態に係る炊飯器1の分解斜視図である。
図1Bにおいて、(a)は蒸気放出部4、(b)は外蓋3、(c)は内蓋6、(d)は鍋5、(e)は炊飯器本体2を示している。
【0014】
炊飯器1は、
図1Aおよび
図1Bの(a)〜(e)に示すように、炊飯器本体2と、外蓋3とを備えている。外蓋3は、炊飯器本体2の上方に、開閉自在に取り付けられている。外蓋3が閉じられた状態では、
図1Aに示すように、炊飯器1は、炊飯器本体2の筐体2aと外蓋3を外観できる。また、炊飯器本体2には、炊飯器1を持ち運びするための取っ手2bが取り付けられている。
【0015】
炊飯器本体2は、
図1Bの(e)に示すように、筐体2aと、後述する鍋5を収容する鍋収容部10を有している。鍋収容部10は、鍋5の形状に沿った窪んだ形状をしている。鍋収容部10において、鍋5の底面と接触する収容部底面および鍋5の側面と接触する収容部側面は、例えば耐熱性の高い樹脂材料で形成されている。鍋収容部10の炊飯器本体2の内部側には、後述する加熱コイル11が配置されている。本実施の形態において、加熱コイル11は加熱部である。
【0016】
外蓋3は、
図1Aおよび
図1Bの(b)に示すように、炊飯器本体2の上方に配置されている。外蓋3は、炊飯器本体2に設けられた外蓋取り付け部2cにより、炊飯器本体2に開閉自在に取り付けられている。また、外蓋3には、
図1Aに示すように、操作部3aと、開閉ボタン3bとが設けられている。
【0017】
操作部3aは、例えば、炊飯開始、炊飯コースの選択等の操作および表示を行う部分である。操作部3aには、表示部15および複数の操作ボタン16が設けられている。表示部15には、操作内容、炊飯状態等が表示される。操作ボタン16は、表示部15の表示を変更したり、表示部15に表示された表示内容を選択および決定したりすることで炊飯器1の操作を行うためのボタンである。例えば、ユーザは、表示部15を見ながら操作部3aの操作ボタン16を操作することにより、かたさ、ねばりおよびハリ感等の食感ならびに食味等、所望の被炊飯物の状態に応じた炊飯コースを選択することができる。なお、操作部3aは表示部15を兼ねたタッチパネル式の操作部3aであってもよい。
【0018】
開閉ボタン3bは、外蓋3を開くためのボタンである。開閉ボタン3bを押すことにより、外蓋3は、外蓋取り付け部2cを中心に回転し、炊飯器本体2から開く。なお、外蓋3を閉じるときには、外蓋3を炊飯器本体2の方に押圧することで閉じることができる。
【0019】
また、外蓋3の一部には、
図1Aおよび
図1Bの(a)に示すように、蒸気放出部4が設けられている。蒸気放出部4には圧力弁として機能する蒸気口4aが設けられており、炊飯時に蒸気口4aから鍋5内の気体(水蒸気)が放出される。また、蒸気放出部4は、外蓋3から取り外すことが可能である。
【0020】
さらに、炊飯器1は、炊飯器本体2と外蓋3とで囲まれる炊飯器内部に、鍋5と、内蓋6とを備えている。
【0021】
鍋5は、米および水を含む被炊飯物を収容し、加熱することにより炊飯を行う容器である。鍋5は、例えば、金属、金属コーティングされたセラミクス等により構成されている。鍋5の内側の側面には、ユーザに鍋5内の水量を報知する水位線が設けられている。水量線は、例えば炊飯コースごとに設けられており、各炊飯コースに適した水量が米の容量ごとに目盛りで示されている。鍋5は、炊飯器本体2に設けられている鍋収容部10に収容される。
【0022】
内蓋6は、外蓋3の炊飯器本体2側の面に配置されており、鍋収容部10に収容された鍋5の上部を覆うことにより鍋5を密閉する。内蓋6には、鍋5の内部の圧力を調整する圧力調整部13が設けられている。圧力調整部13は、蒸気放出部4の蒸気口4aを開閉することにより、圧力を調整する。なお、上述した蒸気放出部4は、圧力調整部13の一部である。
【0023】
図2は、本実施の形態に係る炊飯器1の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、炊飯器1は、炊飯器本体2の内部に、加熱コイル11、インバータ回路12、電源基板(図示せず)、電源コード(図示せず)等、誘導加熱式の炊飯器として必要な電子部品等を有している。また、炊飯器1は、炊飯器本体2の内部に、炊飯の制御を行うための制御部20、鍋温度検知部21、圧力検知部22、電源電圧検知部23、時間計測部24を有している。
【0024】
制御部20は、インバータ回路12を介して、加熱コイル11により鍋5への火力を調整し、鍋5内の温度の制御を行う。また、制御部20は、鍋温度検知部21、圧力検知部22、電源電圧検知部23、時間計測部24から伝達された鍋5内の温度、鍋5内の圧力、電源電圧、時間に基づいて、圧力調整部13、スチームユニット14、表示部15の動作の制御を行う。例えば、制御部20は、鍋温度検知部21、圧力検知部22、電源電圧検知部23で検知された温度、圧力、電源電圧が、所定の温度、圧力、電源電圧となるように、制御する。また、制御部20は、時間計測部24で計測された時間が所定の時間に達したときに、上述した所定の温度、圧力、電源電圧を変更する。これにより、制御部20は、炊飯器1で行われる炊飯の工程(炊飯工程)における複数の工程を管理する。なお、炊飯工程には、後述するように、吸水工程、沸騰工程、沸騰維持工程、蒸らし工程等が含まれている。
【0025】
制御部20は、記憶部としてメモリ20aを有しており、メモリ20aに記憶された制御パターンに基づいて制御を行う。また、制御部20は、操作部3aにより外部から入力された操作に基づいて制御を行ってもよい。なお、メモリ20aは、制御部20に設けられていなくてもよく、制御部20の外部に設けられていてもよい。
【0026】
メモリ20aは、炊飯時の制御パターンおよびその他の制御パラメータが記憶された記憶部である。メモリ20aには、炊飯コース、各炊飯コースに対応した制御パターン、各工程における加熱温度および時間、加熱コイル11に供給する電力(例えば、通電率)、加圧および減圧時の圧力および時間等の調整パラメータ、各炊飯コースに対応した、被炊飯物の含水率等が記憶されている。なお、含水率とは、炊飯後の被炊飯物に含まれる水分の割合(水分率)をいう。また、炊飯コースには、炊飯後の被炊飯物の硬さ、米の種類、炊飯時間等に応じた複数の炊飯コースが含まれている。制御部20は、各コースに対応する複数の炊飯工程を実行する。
【0027】
加熱コイル11は、鍋5を加熱するための電磁コイルであり、電源から供給された高周波電流により電磁誘導を生じさせる。これにより、鍋5は加熱コイル11によって誘導加熱され、鍋5が加熱される。なお、鍋5への加熱は、誘導加熱式でなくヒータ式の加熱で行ってもよい。
【0028】
加熱コイル11は、鍋5の底面を加熱する底面加熱コイル11aと、鍋5の側面を加熱する側面加熱コイル11bとを有している。底面加熱コイル11aは、円環状に巻き回されており、鍋収容部10の収容部底面に配置されている。側面加熱コイル11bは、鍋収容部10の収容部側面の一部に巻き回されている。例えば、側面加熱コイル11bは、収容部底面に近い位置の収容部側面に巻き回されている。底面加熱コイル11aにより鍋5を加熱することで、鍋5の内部では、熱が鍋5の中心から上昇して外側に向かって対流する、内対流が生じる。また、側面加熱コイル11bにより鍋5を加熱することで、鍋5の内部では、熱が鍋5の外側から上昇し中心に向かって対流する、外対流が生じる。制御部20により底面加熱コイル11aと側面加熱コイル11bとを高速で切り替え、内対流と外対流を繰り返すことにより、鍋5の内部の被炊飯物を対流させるとともに、鍋5の全体に熱を均一に伝導することができる。
【0029】
なお、加熱コイル11は、底面加熱コイル11aと側面加熱コイル11bに限らず、例えば内蓋6等、他の部分にコイルを備えていてもよい。
【0030】
インバータ回路12は、底面加熱コイル11aと側面加熱コイル11bに供給する高周波電流を制御し、底面加熱コイル11aと側面加熱コイル11bとを高速で切り替える。インバータ回路12は、制御部20の制御により底面加熱コイル11aと側面加熱コイル11bの通電率を変更することで、鍋5の火力を調整する。底面加熱コイル11aと側面加熱コイル11bに印加される電流は、商用電源から所定の電力を得て高周波電流を生成する電源基板から底面加熱コイル11aと側面加熱コイル11bに供給される。また、インバータ回路12は、圧力調整部13の蒸気放出部4の蒸気口4aの開閉を切り替える。なお、インバータ回路12は、電源基板に配置されていてもよい。
【0031】
圧力調整部13は、鍋5の内部の水蒸気量を調整することにより鍋5の内部の圧力の調整を行う。圧力調整部13は、上述したように、蒸気放出部4を有している。圧力調整部13は、制御部20からの制御信号に基づいて、蒸気放出部4の開閉を行う。鍋5内で内対流と外対流が繰り返される際に鍋5内の圧力を調整することにより、鍋5内では突沸現象が発生する。これにより、鍋5内では、被炊飯物が攪拌される。蒸気口4aは、圧力弁である。蒸気口4aは、例えば、機械的に開状態または閉状態にされ、開状態のときに一定の放出量で水蒸気の放出が行われる弁であってもよいし、バネ等の弾性体が取り付けられており、弾性体の応力を変更することで開口の大きさが調整され、これにより水蒸気の放出量が調整される弁であってもよい。
【0032】
詳細には、圧力調整部13は、蒸気放出部4の蒸気口4aを閉じた状態にし、鍋5内を例えば1.2気圧に加圧することにより、鍋5内の温度を例えば105℃まで上昇させる。これにより、被炊飯物の芯まで熱と水とを浸透させることができる。また、その後、圧力調整部13は、蒸気放出部4の蒸気口4aを開放し、水蒸気を炊飯器1の外部へ放出する。これにより、鍋5内は例えば1.0気圧まで一気に減圧されるため、鍋5内の水の沸点は例えば100℃まで低下する。これにより、鍋5内には突沸が生じ、被炊飯物は攪拌されムラなく加熱される。
【0033】
スチームユニット14は、後述する蒸らし工程において、鍋5内に水蒸気を供給する部分である。スチームユニット14は、例えば水容器(図示せず)とヒータ(図示せず)とを備えている。スチームユニット14は、水容器にあらかじめ収容されている水をヒータで加熱して、例えば220℃の水蒸気にし、鍋5内に高速で噴射する。これにより、鍋5内の被炊飯物を水蒸気によりコーティングし、被炊飯物のハリ感を向上することができる。
【0034】
鍋温度検知部21は、鍋5の底に配置された温度センサであり、鍋5内の被炊飯物の温度を検知し、制御部20へ伝達する。
【0035】
圧力検知部22は、内蓋6の鍋5側に配置された圧力センサであり、鍋5内の圧力を検知し、制御部20へ伝達する。なお、炊飯器1は、圧力検知部22を備えず、メモリ20aに記憶された圧力が鍋5内に与えられるのみの構成であってもよい。
【0036】
電源電圧検知部23は、電源基板から加熱コイル11に印加される電源電圧を検知する電圧計であり、検知した電圧を制御部20へ伝達する。
【0037】
時間計測部24は、炊飯時の各工程における時間を計測するタイマーである。時間計測部24は、例えば、加圧時間、減圧時間、加熱時間等を計測する。時間計測部24は、計測した時間を制御部20に伝達する。
【0038】
[1−2.炊飯器の炊飯動作]
以下、炊飯器1の炊飯動作について説明する。
図3は、本実施の形態に係る炊飯器1の炊飯工程を示すフローチャートである。
【0039】
図3に示すように、炊飯動作は、吸水工程(ステップS10)、沸騰工程(ステップS20)、沸騰維持工程(ステップS30)、蒸らし工程(ステップS40)の順に行われる。
【0040】
吸水工程は、被炊飯物に十分に水を浸透させるために、あらかじめ定められた時間、鍋5内を所定の温度で維持する工程である。このとき、蒸気口4aは解放状態となっている。したがって、鍋5内の圧力は大気圧(1.0気圧)である。鍋5内の温度は、例えば室温であってもよいし、室温より高く被炊飯物の沸点よりも低い予熱温度(例えば40〜60℃)であってもよい。
【0041】
沸騰工程は、鍋5内の被炊飯物が沸騰するまで鍋5内の温度および圧力を上昇させる工程である。加熱コイル11により鍋5を加熱することで、鍋5内の温度は上昇し、被炊飯物の沸騰温度に達する。被炊飯物の沸騰温度は、例えば100℃である。このとき蒸気口4aは開いていても閉じていてもどちらでも構わない。また、加熱コイル11により鍋5を加熱することで、鍋5内の水は徐々に蒸発する。
【0042】
沸騰維持工程は、鍋5内の被炊飯物を加圧または減圧しながら加熱することで、所定期間沸騰状態を維持し、その後ドライアップ温度まで鍋5内の被炊飯物を加熱する工程である。ドライアップ温度とは、鍋5内の余分な水がなくなる温度である。ドライアップ温度は、例えば117℃である。沸騰維持工程での鍋5内の圧力は、例えば1.0気圧〜1.2気圧である。
【0043】
蒸らし工程は、鍋5内の温度を、ドライアップ温度から被炊飯物の沸騰温度以下の温度まで低下させ、所定の時間維持する工程である。鍋5内の温度は、例えば、被炊飯物の沸騰温度(例えば100℃)よりも低く、炊飯後の被炊飯物を保温するときの保温温度(例えば72〜76℃)よりも高い蒸らし温度(例えば90〜95℃)としてもよい。蒸らし工程では、後述するように、鍋5内を圧力をかけながら鍋5内の温度を低下させてもよい。また、被炊飯物の炊飯が十分に行われていない場合には、蒸らし工程において被炊飯物の追い炊きを行ってもよい。
【0044】
ここで、沸騰維持工程および蒸らし工程における鍋5内の圧力制御について説明する。
図4は、本実施の形態に係る炊飯器1の沸騰維持工程および蒸らし工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0045】
図4に示すように、沸騰維持工程では、制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを閉じる制御を行い、鍋5内の圧力を大気圧(1.0気圧)である圧力P10から圧力P11に昇圧させる。本実施の形態において、圧力P11は第1の圧力である。圧力P11は、例えば1.5気圧である。鍋5内の圧力を圧力P11に昇圧させることにより、被炊飯物の沸騰温度を高くすることができる。これにより、炊飯器1では、被炊飯物の芯まで熱と水とを浸透させ、やわらかく短時間で炊飯することができる。なお、圧力P11の大きさは1.5気圧に限らず、1.5気圧より高くてもよいし低くてもよい。圧力P11は、例えば2.0気圧としてもよい。
【0046】
次に、制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを開放する制御を行い、鍋5内の圧力を、大気圧よりも高く圧力P11よりも低い圧力P12に減圧させる(第1の圧力調整工程)。本実施の形態において、圧力P12は第2の圧力である。圧力P12は、例えば1.2気圧である。制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを開放する時間および蒸気口4aの開口の大きさを調整してもよい。これにより、上述したように、鍋5内では突沸現象が発生し、鍋5内の被炊飯物を攪拌することができる。
【0047】
制御部20は、鍋5内の圧力を、所定期間圧力P11と圧力P12とに複数回交互に調整してもよい。すなわち、上述した第1の圧力調整工程を複数回繰り返してもよい。
【0048】
その後、制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを制御して、鍋5内の圧力を圧力P13に昇圧させる。本実施の形態において、圧力P13は第3の圧力である。圧力P13は、圧力P11よりも低い圧力である。また、圧力P13は、圧力P12よりも高い圧力である。圧力P13は、例えば1.3気圧である。さらに、制御部20は、鍋5内の圧力を所定期間圧力P13で維持する。これにより、炊飯中の被炊飯物の表面形状が崩れるのを抑制しつつ、短時間での炊飯を図ることができる。
【0049】
なお、鍋5内を圧力P13で維持する時間は、圧力P11と圧力P12とを繰り返す時間よりも長くてもよいし短くてもよい。鍋5内の圧力を圧力P13で維持する時間を長くすることにより、被炊飯物を粘りが多く弾力のある食感となるように炊飯することができる。
【0050】
さらに、鍋5内の圧力を圧力P13に維持した後、制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを開放する制御を行い、鍋5内の圧力を圧力P14に減圧させる(第2の圧力調整工程)。本実施の形態において、圧力P14は第4の圧力である。圧力P14は、例えば大気圧である1.0気圧である。これにより、鍋5内において被炊飯物に加えられる圧力が低減されるので、鍋5内において被炊飯物が持ち上がり、被炊飯物をふっくらと炊飯することができる。なお、圧力P14は、大気圧に限らず、大気圧以上であって圧力P12以下の圧力であればよい。
【0051】
続けて、制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを閉じる制御を行い、鍋5内の圧力を圧力P14から圧力P15に昇圧させる(第3の圧力調整工程)。本実施の形態において、圧力P15は第5の圧力である。圧力P15は、圧力P12よりも大きく、圧力P11または圧力P13よりも低い圧力である。圧力P15は、例えば1.3気圧である。第3の圧力調整工程では、鍋5内の水分はほとんど蒸発しており、鍋5内に残っている水の量は少ないため、圧力P15を圧力P11および圧力P13よりも低い圧力としても、鍋5内の温度はほとんど下降しない。したがって、鍋5内を減圧させても被炊飯物へ与えるダメージを小さく抑えることができる。
【0052】
制御部20は、所定期間鍋5内の圧力を圧力P15で維持した後、再び圧力調整部13の蒸気口4aを開放する制御を行い、鍋5内の圧力を大気圧まで減圧させる。その後、鍋5内の温度がドライアップ温度に達すると、沸騰維持工程は終了する。なお、圧力P15を維持する時間は、圧力P13を維持する時間よりも長くてもよいし短くてもよい。
【0053】
続けて、蒸らし工程において、制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを閉じる制御を行い、鍋5内の圧力を圧力P16に昇圧させる。本実施の形態において、圧力P16は第6の圧力である。圧力P16は、圧力P15と同様、圧力P12よりも高く、圧力P11または圧力P13よりも低い圧力である。圧力P16は、例えば1.3気圧である。また、制御部20は、所定期間、鍋5内の圧力を圧力P16で維持する。このとき、制御部20は、加熱コイル11に再び鍋5を加熱させてもよい。蒸らし工程において鍋5内の圧力を圧力P16で維持することにより、被炊飯物の甘味を増加させることができる。
【0054】
その後、制御部20は、再び圧力調整部13の蒸気口4aを開放する制御を行い、鍋5内の圧力を大気圧まで減圧させる。
【0055】
このように、本実施の形態に係る炊飯器1の構成および炊飯動作によれば、炊飯動作を精度よく制御し、被炊飯物の食味を向上することができ、かつ短時間で炊飯することができる。
【0056】
また、第2の圧力調整工程では、一定時間鍋5内の圧力を圧力P11よりも低い圧力P13で維持するので、炊飯動作により米の表面状態が崩れるのを抑制し、良好な食感の被炊飯物を短時間で得ることができる。
【0057】
なお、上述した炊飯器1では、鍋5内の圧力が圧力P11まで昇圧された後すぐに圧力P12に減圧させているが、鍋5内の圧力が圧力P11に達した後所定期間、圧力P11を維持することとしてもよい。
【0058】
また、上述した炊飯器1では、制御部20は、圧力P11と圧力P12とを2回繰り返した後、鍋5内の圧力を圧力P13に昇圧させているが、圧力P11と圧力P12との繰り返しは2回に限らず、3回以上であってもよいし、1回のみであってもよい。
【0059】
また、上述した炊飯器1では、制御部20は、鍋5内の圧力を圧力P13まで昇圧させた後、所定期間圧力P13を維持しているが、これに限らず、鍋5内の圧力を圧力P13まで昇圧させた後、圧力P13を維持することなく、鍋5内の圧力を圧力P14まで減圧させてもよい。
【0060】
また、上述した炊飯器1では、制御部20は、鍋5内の圧力を圧力P14まで減圧させた後、他の圧力値に調整することなく圧力P15まで昇圧させているが、これに限らず、鍋5内の圧力を圧力P14まで減圧させた後、圧力P15まで昇圧させる前に他の圧力値に調整してもよい。
【0061】
[1−3.実施例]
以下、本実施の形態に係る炊飯器1の沸騰維持工程における鍋5内の圧力制御の実施例について、
図5〜
図9を用いて説明する。なお、
図5〜
図9では、沸騰維持工程の開始時間を時間0分として示している。
【0062】
[1−3−1.実施例1]
図5は、実施例1に係る沸騰維持工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0063】
図5に示すように、時間0分に沸騰維持工程が開始され、第1の圧力調整工程において、時間1分に鍋5内の昇圧が開始され、時間2分に鍋5内の圧力が圧力P11=1.5気圧に達する。その後、時間3分まで圧力P11=1.5気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間4分に鍋5内の圧力が圧力P12=1.2気圧に達する。そして、再び鍋5内の昇圧が開始され、時間5分に鍋5内の圧力が圧力P11=1.5気圧に達する。その後、時間6分まで圧力P11=1.5気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間7分に鍋5内の圧力は圧力P12=1.2気圧に達する。
【0064】
次に、第2の圧力調整工程において、時間7分に鍋5内の昇圧が開始され、時間8分に鍋5内の圧力が圧力P13=1.4気圧に達する。その後、時間9分まで圧力P13=1.4気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間10分に鍋5内の圧力が圧力P14=1.0気圧(大気圧)に達する。その後、鍋5内の圧力は、圧力P14=1.0気圧で維持される。
【0065】
このように、沸騰維持工程における圧力制御では、第1の圧力調整工程において、鍋5内の圧力を所定期間圧力P11で維持してもよい。
【0066】
なお、鍋5内の圧力が圧力P14=1.0気圧に達した後、鍋5内の圧力を圧力P15まで昇圧させて維持する第3の圧力調整工程を行ってもよい。
【0067】
[1−3−2.実施例2]
図6は、実施例2に係る沸騰維持工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0068】
図6に示すように、時間0分に沸騰維持工程が開始され、第1の圧力調整工程において、時間1分に鍋5内の昇圧が開始され、時間2分に鍋5内の圧力が圧力P11=1.5気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間3分に鍋5内の圧力が圧力P12=1.2気圧に達する。
【0069】
次に、鍋5内の昇圧が開始され、第2の圧力調整工程において、時間4分に鍋5内の圧力が圧力P13=1.4気圧に達する。その後、時間8分まで圧力P13=1.4気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間9分に鍋5内の圧力が圧力P14=1.0気圧に達する。その後、鍋5内の圧力は、圧力P14=1.0気圧で維持される。
【0070】
このように、沸騰維持工程における圧力制御では、第1の圧力調整工程において、鍋5内の圧力を所定期間圧力P11に昇圧する回数を1回としてもよい。
【0071】
なお、鍋5内の圧力が圧力P14=1.0気圧に達した後、鍋5内の圧力を圧力P15まで昇圧させて維持する第3の圧力調整工程を行ってもよい。
【0072】
[1−3−3.実施例3]
図7は、実施例3に係る沸騰維持工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0073】
図7に示すように、時間0分に沸騰維持工程が開始され、第1の圧力調整工程において、時間1分に鍋5内の昇圧が開始され、時間2分に鍋5内の圧力が圧力P11=1.5気圧に達する。
【0074】
その後、第2の圧力調整工程において、鍋5内の減圧が開始され、時間3分に鍋5内の圧力が圧力P12=1.2気圧に達する。そして、再び鍋5内の昇圧が開始され、時間4分に鍋5内の圧力が圧力P13=1.4気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間5分に鍋5内の圧力は圧力P14=1.2気圧に達する。
【0075】
その後、第3の圧力調整工程の前に、鍋5内の昇圧が開始され、時間6分に鍋5内の圧力が1.5気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間7分に鍋5内の圧力が1.0気圧に達する。さらに、鍋5内の昇圧が開始され、時間8分に鍋5内の圧力が再び1.5気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間9分に鍋5内の圧力が1.0気圧に達する。
【0076】
続けて、第3の圧力調整工程において、鍋5内の昇圧が開始され、時間10分に鍋5内の圧力が圧力P15=1.3気圧に達する。その後、時間11分まで圧力P15=1.3気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間12分に鍋5内の圧力が1.0気圧に達しする。その後、鍋5内の圧力は、1.0気圧で維持される。
【0077】
このように、沸騰維持工程における圧力制御では、第2の圧力調整工程の後第3の圧力調整工程を行う前に、他の圧力値に調整する工程を設けてもよい。
【0078】
[1−3−4.実施例4]
図8は、実施例4に係る沸騰維持工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0079】
図8に示すように、時間0分に沸騰維持工程が開始され、第1の圧力調整工程において、時間1分に鍋5内の昇圧が開始され、時間2分に鍋5内の圧力が圧力P11=1.5気圧に達する。その後、時間3分まで圧力P11=1.5気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間4分に鍋5内の圧力が圧力P12=1.2気圧に達する。
【0080】
その後、第2の圧力調整工程において、鍋5内の昇圧が開始され、時間5分に鍋5内の圧力が圧力P13=1.4気圧に達する。その後、時間6分まで圧力P13=1.4気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間7分に鍋5内の圧力は圧力P14=1.2気圧に達する。
【0081】
続けて、第3の圧力調整工程の前に、鍋5内の昇圧が開始され、時間8分に鍋5内の圧力が1.5気圧に達する。その後、時間9分まで1.5気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間10分に鍋5内の圧力が1.0気圧に達する。
【0082】
さらに、第3の圧力調整工程において、鍋5内の昇圧が開始され、時間11分に鍋5内の圧力が圧力P15=1.3気圧に達する。その後、時間12分まで圧力P15=1.3気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間13分に鍋5内の圧力が1.0気圧に達しする。その後、鍋5内の圧力は、1.0気圧で維持される。
【0083】
このように、沸騰維持工程における圧力制御では、第1の圧力調整工程において、鍋5内の圧力を所定期間圧力P11で維持してもよい。沸騰維持工程における圧力制御では、第2の圧力調整工程の後第3の圧力調整工程を行う前に、他の圧力値まで昇圧し維持する工程を設けてもよい。また、圧力P14は、大気圧とする必要はなく、圧力P11および圧力P13よりも低い値であればよい。例えば、圧力P14は、上述のようにP12と同一の値としてもよい。
【0084】
[1−3−5.実施例5]
図9は、実施例5に係る沸騰維持工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0085】
図9に示すように、時間0分に沸騰維持工程が開始され、第1の圧力調整工程において、時間1分に鍋5内の昇圧が開始され、時間2分に鍋5内の圧力が圧力P11=2.0気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間3分に鍋5内の圧力が圧力P12=1.2気圧に達する。
【0086】
その後、第2の圧力調整工程において、鍋5内の昇圧が開始され、時間4分に鍋5内の圧力が圧力P13=1.5気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間5分に鍋5内の圧力は圧力P14=1.2気圧に達する。
【0087】
その後、鍋5内の圧力は大気圧まで減圧されることなく、昇圧が開始され、時間6分に鍋5内の圧力が1.3気圧に達する。その後、鍋5内の圧力は、1.0気圧で維持される。
【0088】
このように、沸騰維持工程における圧力制御では、圧力P11および圧力P13の値は、圧力P11のほうが圧力P13よりも高ければ、どのように変更してもよい。また、圧力P11および圧力P13の圧力値を高くすることにより、炊飯時間を短縮することができる。また、圧力P14は、大気圧とする必要はなく、圧力P11および圧力P13よりも低い値であればよい。例えば、圧力P14は、上述のようにP12と同一の値としてもよい。圧力P14から鍋5内の圧力を1.3気圧に昇圧させた後、その圧力を維持し、第3の圧力調整工程を行わないとしてもよい。
【0089】
[1−4.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る炊飯器1によると、沸騰維持工程において、第1の圧力調整工程における圧力P11を第2の圧力調整工程における圧力P13よりも高い温度とすることにより、沸騰維持工程の中でも早い時間において被炊飯物を芯まで加熱し、その後の圧力P13の期間に被炊飯物の甘味を増加させることができる。これにより、被炊飯物の食味を向上することができる。
【0090】
また、圧力P13を、圧力P11よりも低い圧力とするので、炊飯動作において米の表面状態が崩れるのを抑制し、良好な食感の被炊飯物を得ることができる。
【0091】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る炊飯器1について説明する。
【0092】
本実施の形態に係る炊飯器1が実施の形態1に係る炊飯器1と異なる点は、沸騰維持工程において、第2の圧力調整工程における第3の圧力のほうが、第1の圧力調整工程における第1の圧力よりも圧力値が高い点である。以下、本実施の形態に係る炊飯器1の炊飯動作について、実施の形態1に係る炊飯器1と異なる点について説明する。
【0093】
なお、本実施の形態に係る炊飯器1の構成は、実施の形態1に係る炊飯器1の構成と同様である。
【0094】
[2−1.炊飯器の炊飯動作]
図10は、本実施の形態に係る炊飯器1の沸騰維持工程および蒸らし工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0095】
図10に示すように、沸騰維持工程では、制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを閉じる制御を行い、鍋5内の圧力を大気圧(1.0気圧)である圧力P20から圧力P21に昇圧させる。本実施の形態において、圧力P21は第1の圧力である。圧力P21は、例えば1.4気圧である。鍋5内の圧力を圧力P21に昇圧させることにより、被炊飯物の沸騰温度を高くすることができる。これにより、炊飯器1では、被炊飯物の芯まで熱と水とを浸透させ、やわらかく炊飯することができる。なお、圧力P21の大きさは1.4気圧に限らず、後述する圧力P23よりも低い値であれば、1.4気圧より高くてもよいし低くてもよい。
【0096】
次に、制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを開放する制御を行い、鍋5内の圧力を、大気圧よりも高く圧力P21よりも低い圧力P22に減圧させる(第1の圧力調整工程)。本実施の形態において、圧力P22は第2の圧力である。圧力P22は、例えば1.2気圧である。これにより、上述したように、鍋5内では突沸現象が発生し、鍋5内の被炊飯物を攪拌することができる。また、制御部20は、鍋5内の圧力を、所定期間圧力P21と圧力P22とに複数回交互に調整してもよい。すなわち、上述した第1の圧力調整工程を複数回繰り返してもよい。
【0097】
その後、制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを制御して、鍋5内の圧力を圧力P23に昇圧させる。本実施の形態において、圧力P23は第3の圧力である。圧力P23は、圧力P21よりも高い圧力である。また、圧力P23は、圧力P22よりも高い圧力である。圧力P23は、例えば1.5気圧である。さらに、制御部20は、鍋5内の圧力を所定期間圧力P23で維持する。これにより、炊飯時間を短縮することができる。
【0098】
さらに、鍋5内の圧力を圧力P23に維持した後、制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを開放する制御を行い、鍋5内の圧力を圧力P24に減圧させる(第2の圧力調整工程)。本実施の形態において、圧力P24は第4の圧力である。圧力P24は、例えば大気圧である1.0気圧である。なお、圧力P24は、大気圧に限らず、大気圧以上であって圧力P22以下の圧力であればよい。
【0099】
続けて、制御部20は、圧力調整部13の蒸気口4aを閉じる制御を行い、鍋5内の圧力を圧力P24から圧力P25に昇圧させる(第3の圧力調整工程)。本実施の形態において、圧力P25は第5の圧力である。なお、第3の圧力調整工程は、実施の形態1に示した第3の圧力調整工程と同様であるため、説明を省略する。
【0100】
また、第3の圧力調整工程の後、鍋5内の温度がドライアップ温度に達すると、沸騰維持工程は終了する。続けて、
図10に示すように、制御部20は、蒸らし工程を開始する。蒸らし工程は、実施の形態1に示した蒸らし工程と同様であるため、説明を省略する。なお、本実施の形態において、蒸らし工程における圧力P26は、第6の圧力であり、実施の形態1に示した圧力P16と同様である。
【0101】
このように、本実施の形態に係る炊飯器1によれば、第2の圧力調整工程において、鍋5内の圧力を圧力P21よりも高い圧力P23で維持するので、実施の形態1に係る炊飯器1と比べて、炊飯時間を短縮することができる。
【0102】
[2−2.実施例]
以下、本実施の形態に係る炊飯器1の沸騰維持工程における鍋5内の圧力制御の実施例について、
図11〜
図15を用いて説明する。
【0103】
実施例6〜10における沸騰維持工程の圧力制御は、それぞれ上述した実施例1〜5における圧力制御とほぼ同様であるが、第2の圧力調整工程における圧力P23が第1の圧力調整工程における圧力P21よりも高い点が、実施例1〜5に示した第1の圧力調整工程における圧力P11および第2の圧力調整工程における圧力P13と異なっている。
【0104】
[2−2−1.実施例6]
図11は、実施例6に係る沸騰維持工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0105】
図11に示すように、時間0分に沸騰維持工程が開始され、第1の圧力調整工程において、時間1分に鍋5内の昇圧が開始され、時間2分に鍋5内の圧力が圧力P21=1.4気圧に達する。その後、時間3分まで圧力P21=1.4気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間4分に鍋5内の圧力が圧力P22=1.2気圧に達する。そして、再び鍋5内の昇圧が開始され、時間5分に鍋5内の圧力が圧力P21=1.4気圧に達する。その後、時間6分まで圧力P21=1.4気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間7分に鍋5内の圧力は圧力P22=1.2気圧に達する。
【0106】
次に、第2の圧力調整工程において、時間7分に鍋5内の昇圧が開始され、時間8分に鍋5内の圧力が圧力P23=1.5気圧に達する。その後、時間9分まで圧力P23=1.5気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間10分に鍋5内の圧力が圧力P24=1.0気圧(大気圧)に達する。その後、鍋5内の圧力は、圧力P24=1.0気圧で維持される。
【0107】
このように、沸騰維持工程における圧力制御では、第1の圧力調整工程において、鍋5内の圧力を所定期間圧力P21で維持してもよい。
【0108】
なお、鍋5内の圧力が圧力P24=1.0気圧に達した後、鍋5内の圧力を昇圧させて維持する第3の圧力調整工程を行ってもよい。
【0109】
[2−2−2.実施例7]
図12は、実施例7に係る沸騰維持工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0110】
図12に示すように、時間0分に沸騰維持工程が開始され、第1の圧力調整工程において、時間1分に鍋5内の昇圧が開始され、時間2分に鍋5内の圧力が圧力P21=1.3気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間3分に鍋5内の圧力が圧力P22=1.2気圧に達する。
【0111】
次に、鍋5内の昇圧が開始され、第2の圧力調整工程において、時間4分に鍋5内の圧力が圧力P23=1.4気圧に達する。その後、時間8分まで圧力P23=1.4気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間9分に鍋5内の圧力が圧力P24=1.0気圧に達する。その後、鍋5内の圧力は、圧力P24=1.0気圧で維持される。
【0112】
このように、沸騰維持工程における圧力制御では、第1の圧力調整工程において、鍋5内の圧力を所定期間圧力P21に昇圧する回数を1回としてもよい。
【0113】
なお、鍋5内の圧力が圧力P24=1.0気圧に達した後、鍋5内の圧力を昇圧させて維持する第3の圧力調整工程を行ってもよい。
【0114】
[2−2−3.実施例8]
図13は、実施例8に係る沸騰維持工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0115】
図13に示すように、時間0分に沸騰維持工程が開始され、第1の圧力調整工程において、時間1分に鍋5内の昇圧が開始され、時間2分に鍋5内の圧力が圧力P21=1.4気圧に達する。
【0116】
その後、第2の圧力調整工程において、鍋5内の減圧が開始され、時間3分に鍋5内の圧力が圧力P22=1.2気圧に達する。そして、再び鍋5内の昇圧が開始され、時間4分に鍋5内の圧力が圧力P23=1.5気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間5分に鍋5内の圧力は圧力P24=1.2気圧に達する。
【0117】
その後、第3の圧力調整工程の前に、鍋5内の昇圧が開始され、時間6分に鍋5内の圧力が1.5気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間7分に鍋5内の圧力が1.0気圧に達する。さらに、鍋5内の昇圧が開始され、時間8分に鍋5内の圧力が再び1.5気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間9分に鍋5内の圧力が1.0気圧に達する。
【0118】
続けて、第3の圧力調整工程において、鍋5内の昇圧が開始され、時間10分に鍋5内の圧力が圧力P25=1.3気圧に達する。その後、時間11分まで圧力P25=1.3気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間12分に鍋5内の圧力が1.0気圧に達しする。その後、鍋5内の圧力は、1.0気圧で維持される。
【0119】
このように、沸騰維持工程における圧力制御では、第2の圧力調整工程の後第3の圧力調整工程を行う前に、他の圧力値に調整する工程を設けてもよい。
【0120】
[2−2−4.実施例9]
図14は、実施例9に係る沸騰維持工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0121】
図14に示すように、時間0分に沸騰維持工程が開始され、第1の圧力調整工程において、時間1分に鍋5内の昇圧が開始され、時間2分に鍋5内の圧力が圧力P21=1.4気圧に達する。その後、時間3分まで圧力P21=1.4気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間4分に鍋5内の圧力が圧力P22=1.2気圧に達する。
【0122】
その後、第2の圧力調整工程において、鍋5内の昇圧が開始され、時間5分に鍋5内の圧力が圧力P23=1.5気圧に達する。その後、時間6分まで圧力P23=1.5気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間7分に鍋5内の圧力は圧力P24=1.2気圧に達する。
【0123】
続けて、第3の圧力調整工程の前に、鍋5内の昇圧が開始され、時間8分に鍋5内の圧力が1.5気圧に達する。その後、時間9分まで1.5気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間10分に鍋5内の圧力が1.0気圧に達する。
【0124】
さらに、第3の圧力調整工程において、鍋5内の昇圧が開始され、時間11分に鍋5内の圧力が圧力P25=1.3気圧に達する。その後、時間12分まで圧力P25=1.3気圧が維持された後、鍋5内の減圧が開始され、時間13分に鍋5内の圧力が1.0気圧に達しする。その後、鍋5内の圧力は、1.0気圧で維持される。
【0125】
このように、沸騰維持工程における圧力制御では、第1の圧力調整工程において、鍋5内の圧力を所定期間圧力P21で維持してもよい。沸騰維持工程における圧力制御では、第2の圧力調整工程の後第3の圧力調整工程を行う前に、他の圧力値まで昇圧し維持する工程を設けてもよい。また、圧力P24は、大気圧とする必要はなく、圧力P21および圧力P23よりも低い値であればよい。例えば、圧力P24は、上述のようにP22と同一の値としてもよい。
【0126】
[2−2−5.実施例10]
図15は、実施例10に係る沸騰維持工程における圧力制御パターンを示すタイムチャートである。
【0127】
図15に示すように、時間0分に沸騰維持工程が開始され、第1の圧力調整工程において、時間1分に鍋5内の昇圧が開始され、時間2分に鍋5内の圧力が圧力P21=1.5気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間3分に鍋5内の圧力が圧力P22=1.3気圧に達する。
【0128】
その後、第2の圧力調整工程において、鍋5内の昇圧が開始され、時間4分に鍋5内の圧力が圧力P23=2.0気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間5分に鍋5内の圧力は圧力P24=1.2気圧に達する。
【0129】
さらに、鍋5内の昇圧が開始され、時間6分に鍋5内の圧力が1.5気圧に達する。その後、鍋5内の減圧が開始され、時間7分に鍋5内の圧力は1.3気圧に達する。その後、鍋5内の圧力は、1.3気圧で維持される。
【0130】
このように、沸騰維持工程における圧力制御では、圧力P21および圧力P23の値は、圧力P21のほうが圧力P23よりも高ければ、どのように変更してもよい。また、圧力P21および圧力P23の圧力値を高くすることにより、炊飯時間を短縮することができる。また、圧力P24は、大気圧とする必要はなく、圧力P21および圧力P23よりも低い値であればよい。例えば、圧力P24は、P22と同一の値としてもよい。圧力P24から鍋5内の圧力を1.3気圧に昇圧させた後、その圧力を維持し、第3の圧力調整工程を行わないとしてもよい。
【0131】
[2−3.効果等]
このように、本実施の形態に係る炊飯器1によれば、第2の圧力調整工程において、鍋5内の圧力を圧力P21よりも高い圧力P23とするので、被炊飯物の食味を向上するとともに、実施の形態1に係る炊飯器1と比べて、炊飯時間を短縮することができる。
【0132】
(その他の実施の形態等)
以上、本発明の実施の形態に係る炊飯器について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。
【0133】
例えば、沸騰維持工程における第1の圧力および第3の圧力は、被炊飯物の食味および炊飯時間に応じて、いずれを高くしてもよい。
【0134】
また、上述した実施の形態では、鍋内の圧力が第1の圧力まで昇圧された後すぐに第2の圧力に減圧させているが、鍋内の圧力が第1の圧力に達した後所定期間、第1の圧力を維持することとしてもよい。
【0135】
また、上述した炊飯器1では、制御部は、第1の圧力と第2の圧力とを2回繰り返した後、鍋内の圧力を第3の圧力に昇圧させているが、第1の圧力と第2の圧力との繰り返しは2回に限らず、3回以上であってもよいし、1回のみであってもよい。
【0136】
また、上述した炊飯器1では、制御部は、鍋内の圧力を第3の圧力まで昇圧させた後、所定期間第3の圧力を維持しているが、これに限らず、鍋内の圧力を第3の圧力まで昇圧させた後、第3の圧力を維持することなく、鍋内の圧力を第4の圧力まで減圧させてもよい。
【0137】
また、上述した炊飯器1では、制御部は、鍋内の圧力を第4の圧力まで減圧させた後、他の圧力値に調整することなく第5の圧力まで昇圧させているが、これに限らず、鍋内の圧力を第4の圧力まで減圧させた後、第5の圧力まで昇圧させる前に他の圧力値に調整してもよい。
【0138】
また、上述した実施の形態で示した圧力、温度および時間等の値は、一例であり、適宜変更してもよい。
【0139】
また、圧力調整部に設けられた蒸気口は、機械的に開状態または閉状態にされ、開状態のときに一定の放出量で水蒸気の放出が行われる弁であってもよいし、バネ等の弾性体が取り付けられており、弾性体の応力を変更することで開口の大きさが調整され、これにより水蒸気の放出量が調整される弁であってもよい。
【0140】
また、上述した実施の形態に係る炊飯器は、圧力検知部を備え、検知された圧力をフィードバック制御する構成であってもよいし、圧力検知部を備えず、メモリに記憶された圧力が鍋内に与えられるのみの構成であってもよい。
【0141】
また、表示部は、炊飯コース、米の容量、実行中の工程、炊飯終了時刻等の表示を行ってもよい。
【0142】
また、上述した実施の形態では、炊飯器本体には加熱コイルとして底面加熱コイルと側面加熱コイルの2つを備える構成としたが、加熱コイルは1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、加熱コイルを配置する位置は、鍋の底面側であってもよいし、側面側のいずれの位置であってもよい。
【0143】
また、炊飯器は、上述したように加熱コイルに高周波電流を印加することにより加熱を行う誘導加熱式の炊飯器であってもよいし、電熱ヒータで加熱を行うヒータ式の炊飯器およびその他の方式の炊飯器であってもよい。
【0144】
また、上述した実施の形態で用いた数値、形状、材料は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数値、形状、材料に制限されない。
【0145】
以上、実施の形態について、当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。