特許第6982856号(P6982856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6982856ベルト蛇行防止装置及びベルト蛇行防止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982856
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ベルト蛇行防止装置及びベルト蛇行防止方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/64 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   B65G15/64
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-186279(P2017-186279)
(22)【出願日】2017年9月27日
(65)【公開番号】特開2019-59597(P2019-59597A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】593074215
【氏名又は名称】中村物産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 弌大
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−022806(JP,A)
【文献】 特開2001−010709(JP,A)
【文献】 特開平11−184309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 13/00−15/28,15/60−15/64,39/00−39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベヤのプリー軸に対してそれぞれ回転自在に設けられる複数のベルト車と、
前記ベルトコンベヤのベルトの側部と対向して設けられ前記側部の片寄りを検知する検出部と、
前記複数のベルト車及び前記検出部に亘ってベルト幅方向へ移動自在に設けられる連係機構と、を備え、
前記プリー軸は、前記複数のベルト車とそれぞれ対向して形成される複数の支点部を有し、
前記複数のベルト車は、前記複数の支点部と係合して前記プリー軸に対しベルト進行方向へ傾動自在に支持され、
前記連係機構は、前記ベルトの片寄りに伴い前記検出部が前記ベルト幅方向へ連動した状態で前記複数のベルト車の全てを同角度に傾動させる従動部を有することを特徴とするベルト蛇行防止装置。
【請求項2】
前記複数のベルト車が、前記複数の支点部と係合して傾動自在に支持される複数の傾動部と、前記複数の傾動部に対して回転自在に取り付けられる複数の転動部と、を有し、
前記従動部が、前記複数の傾動部に接続される複数のアーム部を有することを特徴とする請求項1記載のベルト蛇行防止装置。
【請求項3】
ベルトコンベヤのベルトの片寄りを検出部が検出して、連係機構をベルト幅方向へ移動することにより、前記ベルトコンベヤのプリー軸に対して前記ベルト幅方向へ所定間隔毎に設けられる複数のベルト車を傾動させるベルト蛇行防止方法であって
前記複数のベルト車は、前記プリー軸に配置された複数の支点部と係合して前記プリー軸に対しベルト進行方向へ傾動自在に支持され、前記ベルトの片寄りに伴う前記連係機構の移動により、前記複数の支点部を中心として前記プリー軸に対し、それぞれ同時に且つ同角度で前記ベルト進行方向へ傾動することを特徴とするベルト蛇行防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベヤにおけるベルトの位置ズレや蛇行などの片寄りを自動的に修正するために用いられる自動調心(調芯)式のベルト蛇行防止装置、及び、それを用いたベルト蛇行防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のベルト蛇行防止装置として、ベルトコンベヤ装置のテールプーリがテールプーリ軸を介して軸承され、テールプーリ軸の左右両端がテールプーリ軸受を介して支持フレームに固定され、支持フレームの中央部には、水平方向へ回転可能な回転軸を設け、回転軸をベルトコンベヤ装置に軸承させて立設したものがある(例えば、特許文献1参照)。
テールプーリは、その幅寸法がテールプーリ軸の幅寸法よりも若干短く、ベルトの幅寸法よりも若干長く形成されている。支持フレームには、ベルトの左右側部と対向する一対のガイドローラが回転自在に設けられる。
通常の輸送状態では、ベルト進行方向と直交するベルト幅方向における張力ほぼ等しいため、ベルトがテールプーリの左右中央位置に左右幅方向へ対称となるように張架される。
ベルト上の載置物の偏在により載置状態がアンバランスとなって、ベルトが左右いずれか一方へ偏った(片寄った)場合には、ガイドローラがストッパーとして機能を果たす。これと同時に、ベルトの片寄りで発生した側のベルトの張力を緩和させる方向に、支持フレームが水平回転してベルト進行方向へテールプーリを傾動させ、ベルトの張力が幅方向で平準化するように働き、ベルトを元に復元する手助けをしている。
すなわち、ベルトの片寄りによるベルト幅方向に発生した張力の変化で、テールプーリが中央を中心としてベルト進行方向へ傾動し、ベルト幅方向の張力がほぼ等しくなったところで傾動は停止する。その後、ベルト上の載置物の偏在がなくなった場合には、テールプーリが逆向きに傾動し、ベルトを元の状態に復元させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平01−083713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし乍ら、このような従来のベルト蛇行防止装置では、ベルトよりも幅広い長尺な一体型のテールプーリを用い、テールプーリの左右両端部がベルトの両側部にそれぞれ当接している。このため、テールプーリの傾動に伴って左右両端部がベルト進行方向へ移動すると、幅広くなればなるほど、両端部の移動距離の差が大きくなる。これにより、テールプーリの傾動時における両端部の回転数に明らかな差が生じる。
ベルトコンベヤの作動時においてベルトとテールプーリの関係は、テールプーリにおいてベルトとの摩擦抵抗の大きい側の端部が優先され、摩擦抵抗の小さい側の端部とはベルトがスリップしてしまう。このため、ベルトの片寄りに伴ってテールプーリが傾動しても、スリップする側ではベルトを確実に修正誘導できず、作動が不安定で自動修正を行えないという問題があった。
さらに、長尺な一体型のテールプーリは、傾動に伴ってベルトとの間にスリップが生じるため、テールプーリやベルトに対する作動負荷が増大し、テールプーリの摩耗又はベルトの劣化や損傷が発生し易くて寿命が短く、頻繁にメンテナンスや部品交換が必要で稼働率を低下させるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために本発明に係るベルト蛇行防止装置は、ベルトコンベヤのプリー軸に対してそれぞれ回転自在に設けられる複数のベルト車と、前記ベルトコンベヤのベルトの側部と対向して設けられ前記側部の片寄りを検知する検出部と、前記複数のベルト車及び前記検出部に亘ってベルト幅方向へ移動自在に設けられる連係機構と、を備え、前記プリー軸は、前記複数のベルト車とそれぞれ対向して形成される複数の支点部を有し、前記複数のベルト車は、前記複数の支点部と係合して前記プリー軸に対しベルト進行方向へ傾動自在に支持され、前記連係機構は、前記ベルトの片寄りに伴い前記検出部が前記ベルト幅方向へ連動した状態で前記複数のベルト車の全てを同角度に傾動させる従動部を有することを特徴とする。
また、このような課題を解決するために本発明に係るベルト蛇行防止方法は、ベルトコンベヤのベルトの片寄りを検出部が検出して、連係機構をベルト幅方向へ移動することにより、前記ベルトコンベヤのプリー軸に対して前記ベルト幅方向へ所定間隔毎に設けられる複数のベルト車を傾動させるベルト蛇行防止方法であって前記複数のベルト車は、前記プリー軸に配置された複数の支点部と係合して前記プリー軸に対しベルト進行方向へ傾動自在に支持され、前記ベルトの片寄りに伴う前記連係機構の移動により、前記複数の支点部を中心として前記プリー軸に対し、それぞれ同時に且つ同角度で前記ベルト進行方向へ傾動することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態に係るベルト蛇行防止装置の全体構成を示す説明図であり、(a)が要部を一部切欠した平面図、(b)が要部を一部切欠した正面図である。
図2】ベルト車の詳細構造を示す説明図であり、(a)がベルト車の拡大縦断側面図、(b)(c)がベルト車の傾動時の拡大横断平面図、(d)が斜視図である。
図3】ベルト車の傾動時の一部切欠拡大平面図である。
図4】本発明の実施形態に係るベルト蛇行防止装置の変形例を示す説明図であり、ベルト車の傾動時の一部切欠平面図である。
図5】本発明の実施形態に係るベルト蛇行防止装置の変形例を示す説明図であり、ベルト車の傾動時の一部切欠平面図である。
図6】本発明の実施形態に係るベルト蛇行防止装置の変形例を示す説明図であり、要部を一部切欠した正面図である。
図7】本発明の実施形態に係るベルト蛇行防止装置の変形例を示す説明図であり、要部を一部切欠した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るベルト蛇行防止装置Aは、図1図7に示すように、原動プーリB1と従動プーリB2に亘って無端環状のベルトB3を架け渡したベルトコンベヤBに設けられる。ベルトB3がベルト幅方向へ位置ズレや蛇行などの片寄りを生じた時には、テールプーリB21やリターンプーリB22などからなる従動プーリB2がベルト進行方向へ傾動することにより、ベルトB3の片寄りを自動修正する自動調心(調芯)式のベルト蛇行防止装置Aである。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係るベルト蛇行防止装置Aは、ベルトコンベヤBのプリー軸1に対してそれぞれ回転自在に設けられる複数のベルト車2と、ベルトコンベヤBのベルトB3の側部B31と対向して設けられる検出部3と、複数のベルト車2及び検出部31に亘ってベルト幅方向へ移動自在に設けられる連係機構4と、を主要な構成要素として備えている。
なお、ベルトコンベヤBは、図1図7に示すように、通常ベルトB3の載置面B3aがほぼ水平となるように設置され、ベルト幅方向を以下「幅方向W」といい、「ベルト進行方向」を以下「進行方向L」といい、ベルトB3の厚み方向を以下「高さ方向H」という。
【0008】
プリー軸1は、複数のベルト車2を回転自在に支持するためのロッドである。プリー軸1の軸方向(幅方向W)の両端部は、軸受部1aによりベルトコンベヤBの本体フレームBaに対して回転不能に固定される。
さらにプリー軸1は、複数のベルト車2とそれぞれ対向して形成される複数の支点部11を有する。
複数の支点部11は、プリー軸1に沿って幅方向Wへそれぞれ所定間隔毎に設けられる。各支点部11は、各ベルト車2とプリー軸1の径方向へ係合する外面11aを有し、プリー軸1に対して各ベルト車2が進行方向Lへ傾動自在に支持される。
さらに、各支点部11には、プリー軸1から高さ方向Hへ突出する支軸11bが設けられる。
【0009】
複数のベルト車2は、ベルトコンベヤBにおいて従動プーリB2となるテールプーリB21やリターンプーリB22などに相当し、従動プーリB2のプリー軸1に対して幅方向Wへ所定間隔毎に設けられる。このため、各ベルト車2は、プリー軸1やベルトB3の幅寸法よりも遥かに短くなる。
複数のベルト車2は、複数の支点部11と係合してプリー軸1に対し進行方向Lへ傾動自在に支持される。
詳しく説明すると、複数のベルト車2は、複数の支点部11と係合して傾動自在に支持される複数の傾動部21と、複数の傾動部21に対して進行方向Lへ回転自在に取り付けられる複数の転動部22と、を有する。
各傾動部21は、各ベルト車2の内側部位で円筒状に形成され、その内面21aを各支点部11の外面11aと凹凸係合などで傾動可能に対向させる。
各支点部11と各傾動部21の対向面は、少なくともいずれか一方が太鼓(クラウン)形状や球形状などの凸状に形成されるとともに他方が平滑状又は凹状に形成されるか、若しくは両者間に球体を挟み込むことが好ましい。これにより、各支点部11の外面11aに沿って各傾動部21の内面21aが移動可能となる。
さらに、各傾動部21は、各支点部11の支軸11bと回転自在に連結される。これにより、各傾動部21が各支軸11bを中心として進行方向Lへ傾動可能に組み付けられる。
各転動部22は、各ベルト車2の外側部位で円筒状に形成され、各傾動部21及び各転動部22の間には転がり軸受などの軸受23を挟み込むことで、内側の各傾動部21と外側の各転動部22が一体的に組み付けられる。
【0010】
複数の支点部11及び複数のベルト車2の具体例として図1(a)(b)〜図3に示される場合には、従動プーリB2としてテールプーリB21に相当する複数のベルト車2を、相互の間隔が狭い密状態で配置している。各支点部11の外面11aが太鼓形状に突出する凸状に形成され、各傾動部21の内面21aが平滑に形成することにより、各転動部22が進行方向Lへ傾動自在に支持されている。
図2(a)〜(d)に示される例では、プリー軸1を挟んで支軸11bが一対配置され、一対の支軸11bの先端を各傾動部21を挿通させて回転自在に連結している。
また、その他の変形例として図4及び図5に示されるように、複数のベルト車2を相互の間隔が広い疎状態で配置することや、図6又は図7に示されるように、従動プーリB2としてリターンプーリB22に相当する複数のベルト車2を配置することが可能である。
図4及び図5に示される場合には、ベルト車2の数が図1(a)(b)〜図3に示されるものの半分に減らされている。
図6に示される場合には、ベルトB3のリターン側において進行方向Lのほぼ中央位置に複数のベルト車2を設け、ベルトB3のリターン側部B3bが載置面B3aから離れる方向へテンションをかけるように配置されている。
図7に示される場合には、ベルトB3のリターン側において進行方向LのテールプーリB21側に複数のベルト車2を設け、ベルトB3のリターン側部B3bが載置面B3aに向け接近する方向へテンションをかけるように配置されている。
なお、その他の例として図示しないが、プリー軸1に各支軸11bを貫通して一体化させるなど、図示例以外の構造に変更することも可能である。
【0011】
検出部3は、ベルトコンベヤBのベルトB3が幅方向Wのいずれか一方へ片寄った時に、この位置ズレを検知して連係機構4に伝達するものである。
検出部3としては、図1(a)(b)〜図4図6及び図7に示されるようなベルトB3の幅方向Wへの片寄りを機械的に検知する方法と、図5に示されるようなベルトB3の幅方向Wへの片寄りを電気的に検知する方法がある。
機械的な検出部3は、ベルトB3の幅方向Wの両側部B31と幅方向Wへそれぞれ対向するか又は接する一対の第一位置検出部位31を有する。
一対の第一位置検出部位31の両方又はいずれか一方は、ベルトB3における幅方向Wへ片寄った側の側部B31と連動して同方向へ移動するように支持されている。
電気的な検出部3は、ベルトB3の幅方向Wの少なくともいずれか一方の側部B31と接近して設けられる第二位置検出部位32を有する。
第二位置検出部位32は、ベルトB3における幅方向Wへ片寄った側部B31か、又は逆に離隔した側部B31を非接触で検知するように支持されている。
【0012】
連係機構4は、ベルトB3の側部B31の片寄りに伴い検出部3と連係して複数のベルト車2を傾動させるものである。
連係機構4は、ベルトB3の片寄りに伴い検出部3が幅方向Wへ連動した状態で複数のベルト車2の全てを同角度に傾動させる従動部41を有する。
従動部41は、幅方向Wへ延びる棒状に形成され、その末端に機械的な検出部3となる一対の第一位置検出部位31を軸着するか、又は電気的な検出部3となる第二位置検出部位32を連係させている。
さらに従動部41は、複数のベルト車2の傾動部21にそれぞれ接続される複数のアーム部42を有し、複数のアーム部42を含む従動部41で検出部3と複数の傾動部21をそれぞれ連係させている。
各アーム部42は、進行方向Lへ延びる棒状に形成され、その一端42aを従動部41に枢着し、他端42bを各傾動部21において幅方向Wへ露出する側面に連結している。このため、機械的な検出部3となる一対の第一位置検出部位31や、電気的な検出部3となる第二位置検出部位32の作動に基づいて、従動部41が幅方向Wへ移動することにより、複数のアーム部42を同時に連動して複数のベルト車2の傾動部21を傾動させるように構成される。
【0013】
検出部3及び連係機構4の具体例として図1(a)(b)〜図4図6及び図7に示される場合には、機械的な検出部3となる一対の第一位置検出部位31が、ベルトB3の幅方向Wの両側部B31、詳しくは両側縁とそれぞれ常時接するように配置される。
ベルトB3の片寄りによる側部(側縁)B31からの押圧で、一対の第一位置検出部位31のいずれか一方が幅方向Wへ移動することにより、従動部41を介して一対の第一位置検出部位31の他方も連動する。
従動部41における各アーム部42は、他端42bが二つに分岐され、各傾動部21の両側面にそれぞれ連結している。
【0014】
図1(a)(b)〜図3図6及び図7に示される例では、従動部41の幅方向Wの両側に一対の第一位置検出部位31として一対のガイドローラが軸着される。
図4に示される例では、従動部41となる軸において幅方向Wの両側に一対のレバー部43が接続されている。一対のレバー部43は、それぞれの先端に一対の第一位置検出部位31として一対のガイドローラを軸着し、それぞれの末端をプリー軸1に連係させている。このため、従動部41とレバー部43が接続される位置(支点)から、一対のガイドローラが配置されるレバー部43の先端(作用点)までを長く確保することが可能になる。これにより、ベルトB3の側部(側縁)B31に対する作動負荷が軽減され、ベルトB3の側部(側縁)B31の損傷防止になるという利点がある。
また、その他の例として図示しないが、機械的な検出部3となる一対の第一位置検出部位31が、ベルトB3の幅方向Wの両側部B31から所定間隔をおいてそれぞれ離れるように配置され、ベルトB3の側部B31のいずれか一方がある程度片寄った時のみ、接するように配置することや、各アーム部42の他端42bを二つに分岐せず、各傾動部21の両側面21のいずれか一方のみに連結することなど、図示例以外の構造に変更することも可能である。
【0015】
図5に示される場合には、電気的な検出部3となる第二位置検出部位32が、ベルトB3の幅方向Wのいずれか一方の側部B31と高さ方向Hへ対向して配置される。
図5に示される例では、従動部41の幅方向Wの一方側に第二位置検出部位32として感知センサーが配設される。第二位置検出部位32の感知センサーは、一対の感知部32aを有し、モーターなどのアクチュエーター44と電気的に接続される。アクチュエーター44の出力部は、従動部41となる軸において幅方向Wの一端に接続されるレバー部45と連係している。アクチュエーター44は、感知部32aから出力される片寄り信号に基づいてレバー部45を幅方向Wへ移動させることにより、従動部41と複数のアーム部42が連動する。
また、その他の例として図示しないが、電気的な検出部3となる第二位置検出部位32として感知センサー以外のものを用いることや、アクチュエーター44及びレバー部45を図示例以外の構造に変更することも可能である。
【0016】
そして、本発明の実施形態に係るベルト蛇行防止装置Aを用いたベルト蛇行防止方法は、ベルトB3の側部B31の片寄りを検出部3が検出して、連係機構4をベルト幅方向Wへ移動することにより、ベルトコンベヤBの従動プーリB2のプリー軸1に対して幅方向Wへ所定間隔毎に設けられる複数のベルト車2を、プリー軸1に配置された複数の支点部11に沿ってそれぞれ同時に且つ同角度で進行方向Lへ傾動させる。
【0017】
このような本発明の実施形態に係るベルト蛇行防止装置A及びベルト蛇行防止方法によると、図1(a),図3図4及び図5に示されるように、各ベルト車2は、プリー軸1やベルトB3の幅よりも幅狭くなる。
図3図4図5に示されるように、ベルトB3が幅方向Wへ位置ズレや蛇行などの片寄りを生じて、ベルトB3の側部(側縁)B31のいずれか一方が幅方向Wへ移動した時には、検出部3がベルトB3の片寄りを検知し、連係機構4を介して複数のベルト車2が、複数の支点部11を中心としてそれぞれプリー軸1に対し同角度で傾動する。
このため、これら傾動に伴って各ベルト車2(転動部22)における表面のベルト幅方向Wの両端22aがベルト進行方向Lへ移動しても、幅狭い各ベルト車2の両端22aの移動距離の差は小さく、両端22aの回転数の差も小さくなる。
これにより、傾動した各ベルト車2の両端22aとベルトB3との間に生じる張力差が小さくなる。しかし、プリー軸1に対し複数のベルト車2が同時に且つ同角度で傾動することで、幅広なプリーと同様にベルトB3は、片寄った方向と逆向きに戻され、張力差が無くなった時点で、安定した状態に保たれる。
したがって、複数のベルト車2を幅狭くして両端22aの回転数の差を減少させることができる。
その結果、ベルトよりも幅広い長尺な一体型のテールプーリを用いる従来のものに比べ、ベルトB3の片寄りに対して瞬時に反応してベルトB3を確実に修正誘導でき、作動が安定化して常時正確な自動修正を行える。
さらに、ベルトよりも幅広い長尺な一体型のテールプーリを用いる従来のものに比べ、複数のベルト車2に傾動に伴ってベルトB3との間にスリップが生じない。このため、複数のベルト車2やベルトB3の作動負荷が軽減され、各ベルト車2の摩耗又はベルトB3の劣化や損傷が発生し難くなって寿命が延長され、頻繁なメンテナンスや部品交換が必要ないから稼働率の向上が図れる。
【0018】
特に、複数のベルト車2が、複数の支点部11と係合して傾動自在に支持される複数の傾動部21と、複数の傾動部21に対して回転自在に取り付けられる複数の転動部22と、を有し、従動部41が、複数の傾動部21に接続される複数のアーム部42を有することが好ましい。
この場合には、従動部41の複数のアーム部42により、複数のベルト車2の転動部22が、複数の転動部22を介してそれぞれの回転に影響することなく傾動可能となる。
したがって、幅狭い複数のベルト車2を確実に傾動して回転させることができる。
その結果、簡単な構造で作動性に優れる。
【0019】
なお、前示の実施形態では、原動プーリB1と従動プーリB2に亘ってベルトB3が掛け渡された形式のベルトコンベヤBの場合を示したが、これに限定されず、例えば両端に配置された二つのテールプーリとは別個にベルトB3のリターン側部B3bに接する原動プーリを設けるなどの図示しない形式のベルトコンベヤであっても良い。
この場合でも前示の実施形態と同様な作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0020】
A ベルト蛇行防止装置 B ベルトコンベヤ
B3 ベルト B31 側部
1 プリー軸 11 支点部
2 ベルト車 21 傾動部
22 転動部 3 検出部
4 連係機構 41 従動部
42 アーム部 L ベルト進行方向(進行方向)
W ベルト幅方向(幅方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7