(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982857
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】リリーフ弁
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20211206BHJP
F16K 17/04 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
F16K37/00 D
F16K17/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-191295(P2017-191295)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-65948(P2019-65948A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】樋口 孝行
【審査官】
西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−166083(JP,A)
【文献】
独国実用新案第202009015142(DE,U1)
【文献】
特開平10−169833(JP,A)
【文献】
特開平06−066614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
F16K 17/00 − 17/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹所および前記凹所と連通する流体流入通路が設けられたボディと、前記ボディに設けられた環状の弁座と、前記ボディに収容され付勢部材により前記弁座に付勢された弁体とを備え、前記弁体は、前記流体流入通路内の流体圧力により移動させられることで前記流体流入通路を遮断開放可能であるリリーフ弁において、
前記流体流入通路が開放されたことを検出する作動検出装置をさらに備えており、
前記弁体は、前記付勢部材を受け止める受け部材を介して付勢され、前記作動検出装置は、前記受け部材の位置を検出する位置センサを有しているリリーフ弁。
【請求項2】
前記作動検出装置は、検出した情報を発信する発信部を有している請求項1のリリーフ弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の圧力を所定値以下にするために用いるリリーフ弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流体が用いられる装置において、安全等を目的として、流体圧力を所定値以下にすることが求められることがあり、流体圧力を所定値以下にするための手段の一つとして装置にリリーフ弁が設けられる。
【0003】
リリーフ弁としては、凹所および凹所と連通する流体流入通路が設けられたボディと、ボディに設けられた環状の弁座と、ボディに収容され付勢部材により弁座に付勢された弁体とを備え、弁体は、流体流入通路内の流体圧力により移動させられることで流体流入通路を遮断開放可能であるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−154874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のリリーフ弁によると、流体圧力が所定値を超えた場合に、弁体が移動し流体流入通路が開放されることで、自動的に流体圧力が所定値以下に戻り、リリーフ弁が設けられた装置の安全性が確保される。
【0006】
ここで、リリーフ弁は、動作後、自動で弁体が流体流入通路を閉鎖する位置に移動する。そのため、異常が発生しリリーフ弁が動作したとしても、リリーフ弁の動作の有無を把握できず、異常への対応が遅れる懸念がある。なお、異常であると判断する基準はリリーフ弁が設けられた装置により異なり、流体圧力が所定値を超えリリーフ弁が動作した場合に異常と判断する場合もあれば、動作しただけでは異常と判断せず、一定期間内に連続してリリーフ弁が動作した場合を異常と判断する場合もあり、リリーフ弁の動作情報を把握することが望ましい。
【0007】
この発明の目的は、リリーフ弁の動作情報を把握することで、適切に異常への対応を行うことができ、より信頼性に優れたリリーフ弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によるリリーフ弁は、凹所および前記凹所と連通する流体流入通路が設けられたボディと、前記ボディに設けられた環状の弁座と、前記ボディに収容され付勢部材により前記弁座に付勢された弁体とを備え、前記弁体は、前記流体流入通路内の流体圧力により移動させられることで前記流体流入通路を遮断開放可能であるリリーフ弁において、前記流体流入通路が開放されたことを検出する作動検出装置をさらに備えて
おり、前記弁体は、前記付勢部材を受け止める受け部材を介して付勢され、前記作動検出装置は、前記受け部材の位置を検出する位置センサを有しているものである。
【0009】
リリーフ弁は、流体圧力が所定値を超えた場合に、流体流入通路が開放され、これにより、リリーフ弁を設置した装置の安全性が確保される。リリーフ弁は、動作後、自動で弁体が流体流入通路を閉鎖する位置に移動するため、異常が発生しリリーフ弁が動作したとしても、リリーフ弁の動作の有無を把握できない。
【0010】
この発明のリリーフ弁によると、流体流入通路が開放されたことを検出する作動検出装置を備えていることで、管理者または担当者は、作動検出装置からの情報によって異常が発生したことをリアルタイムに認識でき、必要な対応を実施することができる。
【0011】
前記弁体は、前記付勢部材を受け止める受け部材を介して付勢され、前記作動検出装置は、前記受け部材の位置を検出する位置センサを有していることが好ましい。
【0012】
作動検出装置で使用されるセンサとしては、種々のものを使用可能であるが、付勢部材を受け止めている受け部材がリリーフ弁の動作時に移動することから、この受け部材の位置を検出する位置センサを使用することで、リリーフ弁の動作を簡単にかつ確実に検出することができる。
【0013】
前記作動検出装置は、検出した情報を発信する発信部を有していることが好ましい。
【0014】
リリーフ弁は、パソコンなどを備えた監視装置と組み合わせてバルブ監視システムとすることが好ましく、この場合、監視装置は、前記各センサからの信号を受信する通信部と、前記各センサから受信した信号より合否を判定する判定部と、前記判定部で判定された結果を記憶する記憶部とを有するものとされる。
【発明の効果】
【0015】
この発明のリリーフ弁によると、流体流入通路が開放されたことを検出する作動検出装置を備えていることで、管理者または担当者は、作動検出装置からの情報によってリリーフ弁の動作情報ををリアルタイムに認識できる。したがって、適切に異常への対応を行うことができ、リリーフ弁がより信頼性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、この発明によるリリーフ弁の1実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、この発明によるリリーフ弁を使用したバルブの監視システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、上下・左右は、
図1の上下・左右をいうものとする。
【0018】
図1は、この発明のリリーフ弁の1実施形態の全体を示している。
【0019】
リリーフ弁1は、流体流入通路2a内の流体の圧力が所定値を超えた場合に、流体の一部を流出させることで、流体の圧力を所定値以下に維持するためのもので、
図1に示すように、流体流入通路2a、流体流出通路2bおよび凹所2cを有しているボディ2と、流体流入通路2aの上向き開口の周縁に設けられた環状の弁座3と、弁座3に押圧(閉方向に移動)または弁座3から離間(開方向に移動)させられて流体流入通路2aを開閉する棒状の弁体4と、ボディ2の凹所2cの上部に下部が挿入されて上方にのびる円筒状のボンネット5と、ボンネット5上端部に下端部が固定された円筒状のキャップ6と、弁体4を下向きに付勢する圧縮コイルばね(付勢部材)7と、弁座3に嵌められたOリング8と、ボディ2に固定されてOリング8を上方から押さえる円筒状のOリング押さえ9と、流体流入通路2aが開放されたことを検出して送信する作動検出装置21とを備えている。
【0020】
作動検出装置21は、位置センサ22と、電池23と、アンテナ24と、位置センサ22、電池23およびアンテナ24を収容している円筒状ケーシング25とを有している。
【0021】
流体流入通路2aは下方に開口して上下にのびており、その上端は、ボディ2の凹所2cの底面に開口している。流体流出通路2bは、ボディ2の右方に開口して左右にのびており、その左端は、凹所2cの右側面に開口している。
【0022】
弁座3は、ボディ2と別部材とされて、ボディ2の凹所2cに着脱可能に嵌め入れられて、凹所2cの底面で受けられている。弁座3の内径は、流体流入通路2aの径よりも若干小さくなされている。
【0023】
弁座3は、ボディ2の凹所2cの底面に下面が当接する当接部11と、当接部11の上側に一体に設けられてOリング8を支持する支持部12とを備えている。
【0024】
弁体4は、大径部13と、大径部13の上側にあって大径部13よりも外径が小さい小径部14とからなる。大径部13の外径は、弁座3の内径よりも若干大きくなされている。
【0025】
ボンネット5は、その下部に設けられた雄ねじ部がボディ2の凹所2cの上部に設けられた雌ねじ部にねじ合わされることで、ボディ2の上部に固定されている。ボンネット5の内周には、弁体4の小径部14を摺動可能に案内する小径内周部16と、弁体4の大径部13の上部を摺動可能に案内する大径内周部17とが設けられている。
【0026】
ボンネット5の大径内周部17の下端部には、環状の凹所17aが設けられており、この凹所17aに、リテーナ18に支持されたXリング19が配置されている。
【0027】
キャップ6は、その内周に設けられた雌ねじ部の下端部がボンネット5の上部に設けられた雄ねじ部の上端部にねじ合わされることで、ボンネット5の上端部に固定されている。ボンネット5の雄ねじ部の中程には、キャップ6とボンネット5とのねじ合わせの緩みを防止するロックナット20がねじ合わされている。
【0028】
圧縮コイルばね7は、キャップ6の頂壁6a下面とボンネット5内に配置されたばね受け(受け部材)15上面との間に挟持されている。ばね受け15下面は、弁体4の小径部14の上端部で受け止められている。
【0029】
キャップ6とボディ2とは、ワイヤ10によって連結されており、これにより、キャップ6がボンネット5だけに対して固定されているのではなく、ボディ2に対しても固定されている。
【0030】
Oリング押さえ9は、その上部に設けられた雄ねじ部がボディ2の凹所2cの下部に設けられた雌ねじ部にねじ合わされることで、ボディ2の下部に固定されている。
【0031】
作動検出装置21のケーシング25の外周には、おねじが形成されており、これがキャップ6の頂壁6aに設けられたねじ孔にねじ合わされることで、ケーシング25がキャップ6に固定されている。ケーシング25の頂部には、位置センサ22、電池23およびアンテナ24を保護する合成樹脂製のキャップ26が被せられている。
【0032】
位置センサ22、電池23およびアンテナ24は、この順でケーシング25の底壁25a上に支持されている。ケーシング25の軸線は、弁体4、ばね受け15および圧縮コイルばね7の軸線の延長上にあり、これにより、位置センサ22は、ケーシング25の底壁25aの中央に設けられた孔からばね受け15の上面を臨むようになされている。
【0033】
このリリーフ弁1によると、流体流入通路2a内の流体の圧力が上昇して、弁体4を付勢している圧縮コイルばね7の弾性力を超えると、弁体4が上方に移動し、これにより、流体流入通路2aが開放され、流体の一部(または全部)がボディ2の凹所2c内を経て流体流出通路2bから外部に排出される。これにより、流体流入通路2a内の流体の圧力は低下し、圧縮コイルばね7の弾性力が流体の圧力を超えることによって、流体流入通路2aが閉鎖されている状態に復帰する。キャップ6とボンネット5とのねじ合わせ量は、調整可能であり、キャップ6をボンネット5に対してより多く締め付けることで、圧縮コイルばね7の弾性力を大きくすることができる。したがって、この圧縮コイルばね7の弾性力を調整することにより、流体流入通路2aが開放される流体の圧力の設定値を任意に設定することができる。
【0034】
ばね受け15は、流体の圧力の上昇に伴って、圧縮コイルばね7の弾性力に抗して上方に移動し、このばね受け15の移動量が位置センサ22によって検出される。すなわち、リリーフ弁1が動作する際には、ばね受け15が上昇するため、ばね受け15の位置を検知することで、リリーフ弁1が動作したかどうかを検出することができる。位置センサ22としては、ばね受け15の移動の有無を検出できるものであれば、種々のセンサを使用することができる。
【0035】
図2は、上記の位置センサ22を内蔵するリリーフ弁1と監視装置40とを備えた監視システムの1実施例を示す模式図である。
【0036】
図には、設備やプラントに備え付けられるリリーフ弁1のうちの1つを示している。
【0037】
リリーフ弁1に設けられた位置センサ22は、無線で監視装置40に向けてリリーフ弁1の識別番号を送り、その識別番号は受信部42の受信アンテナ41で受信され、判定部43に一旦格納される。
【0038】
次に、位置センサ22からの信号が信号線(符号なし)を経由して監視装置40の受信部42に入って、判定部43に送られる。有線の信号線を経由する信号伝達以外に、無線による信号伝達方法によっても良い。
【0039】
判定部43では、リリーフ弁1からの信号が、動作による信号なのかを判定し、その判定結果と識別番号が記憶部44に保存される。この対となった情報は、監視装置40の表示部(図示せず)に表示させて確認することができる。判定部43は、リリーフ弁1に内蔵することもでき、リリーフ弁1から直接担当者の携帯電話またはパソコンに判定結果を送るようにしてもよい。
【0040】
さらに、監視システムは、この対となった情報を発信部45に送り、発信アンテナ46からインターネットネットワーク47に電波発信して、集中管理サーバ48に送ることができる。
【0041】
リリーフ弁1が動作した場合には、例えば担当者の携帯電話またはパソコンにリリーフ弁1が動作したことがメールで送信され、これにより、担当者は、リリーフ弁1が設けられている装置の異常状況をリアルタイムに知ることができ、必要な対応を行うことができる。
【0042】
なお、上記位置センサ以外に、圧力計や温度計などを装置またはリリーフ弁に設けておいて、これらの圧力計や温度計などにも通信機能を持たせておくことにより、リリーフ弁1の異常連絡と同時に、異常発生時の圧力や温度を送信することができ、担当者が現場確認する前に異常に対する対応が可能となる。
【0043】
なお、リリーフ弁1は、
図1に示したものに限られるものではなく、弁体が流体圧力によって移動させられることで、流体流入通路が開放されるようになされているリリーフ弁であれば、上記の作動検出装置21を設けることで、リリーフ弁の動作情報を把握することができ、適切に異常への対応を行うことができる。
【符号の説明】
【0044】
1 :リリーフ弁
2 :ボディ
2a:流体流入通路
2b:流体流出通路
2c:凹所
3 :弁座
4 :弁体
7 :圧縮コイルばね(付勢部材)
15:ばね受け(受け部材)
21:作動検出装置
22:位置センサ