特許第6982861号(P6982861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6982861-タイルカーペット及びその製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982861
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】タイルカーペット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 27/02 20060101AFI20211206BHJP
   D06N 7/00 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/22 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   A47G27/02 102
   D06N7/00
   B32B27/12
   B32B27/22
   B32B27/30 101
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-210102(P2017-210102)
(22)【出願日】2017年10月31日
(65)【公開番号】特開2019-80772(P2019-80772A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2020年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】米村 尭紘
(72)【発明者】
【氏名】松田 章太
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−326152(JP,A)
【文献】 特開2017−042374(JP,A)
【文献】 特表2013−540036(JP,A)
【文献】 特開2006−037274(JP,A)
【文献】 特開平06−007241(JP,A)
【文献】 特開平06−286096(JP,A)
【文献】 特開平11−011202(JP,A)
【文献】 特開平07−144567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 27/02
D06N 7/00
B32B 27/12
B32B 27/22
B32B 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、該パイル布帛層の下面に積層された目止め樹脂層と、該目止め樹脂層の下面に積層された裏打ち層と、を備えたタイルカーペットであって、
前記目止め樹脂層は、可塑剤と、ポリ塩化ビニル樹脂とを含有し、
前記ポリ塩化ビニル樹脂は、ペースト塩化ビニル樹脂を50%〜80%含有し、
平均粒径が50μm〜140μmであるポリ塩化ビニル樹脂を20%〜50%含有し、
前記平均粒径が50μm〜140μmであるポリ塩化ビニル樹脂の重合度が700〜 2000であり、
前記目止め樹脂層の形成量が300g/m〜500g/mであることを特徴とするタイルカーペット。
【請求項2】
基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、該パイル布帛層の下面に積層された目止め樹脂層と、該目止め樹脂層の下面に積層された裏打ち層と、を備えたタイルカーペットの製造方法であって、
前記目止め樹脂層を形成するポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルは、可塑剤と、ポリ塩化ビニル樹脂とを含有し、
前記ポリ塩化ビニル樹脂は、ペースト塩化ビニル樹脂を50%〜80%含有し、
平均粒径が50μm〜140μmであるポリ塩化ビニル樹脂を20%〜50%含有し、
前記平均粒径が50μm〜140μmであるポリ塩化ビニル樹脂の重合度が700〜2 000であり、
前記ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルの塗布量が300g/m〜500g/mであることを特徴とするタイルカーペットの製造方法。
【請求項3】
前記ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルの粘度が2000mPa・S〜5000mPa・Sである請求項2に記載のタイルカーペットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層の下面に裏打ち層が積層一体化されたタイルカーペットに関する。
【0002】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「ペースト塩化ビニル樹脂」の語は、平均粒径が0.1μm〜2μm、粒子形態が非多孔質かつ球状、外観が白色微粉末である塩化ビニル樹脂を意味する。
【0003】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、「粘度」の語は、25℃で2時間放置した後、BM型粘度計(4号ローター、6rpm、1分後に測定)を用いて測定した粘度(mPa・S)を意味する。
【背景技術】
【0004】
従来から、タイルカーペットは、ロールカーペットに比べて施工し易く、持ち運びが容易、かつ、部分的な貼り替えが可能などの利点から、オフィスや商業施設の床材として使用されている。タイルカーペットは、表面パイル層の目止めのためにその裏面に各種材料を塗布することが行われている。この目止めは、カーペットの毛羽立ちを防止させるという効果を目的としている。
【0005】
特許文献1においては、タイルカーペットの断面の層構造において、敷設状態における下層から上層順に、ガラス繊維集合体布を境にして基材部下層の塩化ビニル混和物中シートの層、次層のガラス繊維集合体布の層、次いで基材部上層の塩化ビニル混和物軟質層、次いで基布部を含むカーペット部の層、の順で積層するタイルカーペットが開示されている。
【0006】
なお、出願人は特許文献2を出願しており、上から表面パイル層、目止め層、裏打ち層の順に積層されたタイルカーペットにおいて、目止め層が低粘度ポリ塩化ビニル樹脂で形成され、粘度が5000CPS以下及び無機成分がポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して200重量以下であるタイルカーペットを開示している。
【特許文献1】特開2005−2541号公報
【特許文献2】特開2011−245067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、基材部上層の低粘度塩化ビニルプラスチゾルの25℃のときの粘度が900mPa・S以下と低いため、カーペット部の基布へ樹脂が浸透しすぎてしまい、パイルを保持するために必要な樹脂が少なくなり、パイルの抜糸強度、剥離強度を維持することができない恐れがある。
【0008】
上記特許文献2に記載の技術は、優れた耐ファズ性を発揮するが、さらにパイルの抜糸強度、剥離強度に優れたタイルカーペットが求められている。
【0009】
本発明は、かかる技術的背景を鑑みてなされたものであって、耐ファズ性に優れると共に、パイルの抜糸強度、剥離強度に優れたタイルカーペット及びその製造方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
[1] 基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、該パイル布帛層の下面に積層された目止め樹脂層と、該目止め樹脂層の下面に積層された裏打ち層と、を備えたタイルカーペットであって、
前記目止め樹脂層は、可塑剤と、ポリ塩化ビニル樹脂とを含有し、
前記ポリ塩化ビニル樹脂は、ペースト塩化ビニル樹脂を50%〜80%含有し、
平均粒径が50μm〜140μmであるポリ塩化ビニル樹脂を20%〜50%含有し、
前記平均粒径が50μm〜140μmであるポリ塩化ビニル樹脂の重合度が700〜 2000であり、
前記目止め樹脂層の形成量が300g/m〜500g/mであることを特徴とするタイルカーペット。
【0012】
[2] 基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、該パイル布帛層の下面に積層された目止め樹脂層と、該目止め樹脂層の下面に積層された裏打ち層と、を備えたタイルカーペットの製造方法であって、
前記目止め樹脂層を形成するポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルは、可塑剤と、ポリ塩化ビニル樹脂とを含有し、
前記ポリ塩化ビニル樹脂は、ペースト塩化ビニル樹脂を50%〜80%含有し、
平均粒径が50μm〜140μmであるポリ塩化ビニル樹脂を20%〜50%含有し、
前記平均粒径が50μm〜140μmであるポリ塩化ビニル樹脂の重合度が700〜2 000であり、
前記ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルの塗布量が300g/m〜500g/mであることを特徴とするタイルカーペットの製造方法。
【0013】
[3] 前記ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルの粘度が2000mPa・S〜5000mPa・Sである前項2に記載のタイルカーペットの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
[1]の発明では、基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、パイル布帛層の下面に積層された目止め樹脂層と、目止め樹脂層の下面に積層された裏打ち層と、を備えたタイルカーペットであって、目止め樹脂層は、可塑剤と、ポリ塩化ビニル樹脂とを含有し、ポリ塩化ビニル樹脂は、ペースト塩化ビニル樹脂を50%〜80%含有するから、パイル布帛層の基布にまでペースト塩化ビニル樹脂が浸透して耐ファズ性及びパイルの抜糸強度に優れたタイルカーペットを得ることができる。また、平均粒径が50μm〜140μmであるポリ塩化ビニル樹脂を20%〜50%含有し、平均粒径が50μm〜140μmであるポリ塩化ビニル樹脂の重合度が700〜2 000であるから、パイル布帛層の基布にまで浸透せず、パイル布帛層のバックステッチ部分にポリ塩化ビニル樹脂が残るため、剥離強度に優れたタイルカーペットを得ることができる。さらに、目止め樹脂層の形成量が300g/m〜500g/mであるから、耐ファズ性、パイルの抜糸強度、剥離強度を向上させることができる。
【0015】
[2]の発明では、基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、パイル布帛層の下面に積層された目止め樹脂層と、目止め樹脂層の下面に積層された裏打ち層と、を備えたタイルカーペットの製造方法であって、目止め樹脂層を形成するポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルは、可塑剤と、ポリ塩化ビニル樹脂とを含有し、ポリ塩化ビニル樹脂は、ペースト塩化ビニル樹脂を50%〜80%含有するから、パイル布帛層の基布にペースト塩化ビニル樹脂が浸透して耐ファズ性及びパイルの抜糸強度に優れたタイルカーペットを得ることができる。さらに、平均粒径が50μm〜140μmであるポリ塩化ビニル樹脂を20%〜50%含有し、平均粒径が50μm〜140μm であるポリ塩化ビニル樹脂の重合度が700〜2000であるから、パイル布帛層の基布にまで浸透せず、ポリ塩化ビニル樹脂が残るため、剥離強度に優れたタイルカーペットの製造方法とすることができる。さらに、ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルの塗布量が300g/m〜500g/mであるから、耐ファズ性、パイルの抜糸強度、剥離強度を向上させることができる。
【0016】
[3]の発明では、ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルの粘度が2000mPa・S 〜5000mPa・Sであるから、パイル布帛層の裏面側の基布、バックステッチ共に均一に塗布することができるので、耐ファズ性、パイルの抜糸強度及び剥離強度をより一層向上させることができる。

【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るタイルカーペットの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係るタイルカーペットの一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のタイルカーペット1は、基布3の上面にパイル2が植設されてなるパイル布帛層7と、該パイル布帛層7の下面に積層された目止め樹脂層5と、該目止め樹脂層5の下面に積層された裏打ち層6と、を備えたタイルカーペットであって、前記目止め樹脂層5は、可塑剤と、ポリ塩化ビニル樹脂とを含有し、前記ポリ塩化ビニル樹脂は、ペースト塩化ビニル樹脂を40%〜90%含有し、平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂を10%〜60%含有し、前記平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂の重合度が700〜2000であり、前記目止め樹脂層5の形成量が200g/m〜1000g/mであることを特徴とする。
【0019】
前記パイル布帛層7は、基布3の上面にパイル2が植設されてなる。前記パイル布帛層7の裏面側にはバックステッチ4がある。
【0020】
前記基布3としては、特に限定されるものではないが、例えば、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、織布等が挙げられる。
【0021】
前記基布3の素材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維等の熱可塑性繊維、またこれら各繊維の複合化繊維、或いはアセテート等の半合成繊維、レーヨン等の再生繊維、麻、綿などの天然繊維、或いはまたこれら繊維を混綿したもの等が挙げられる。
【0022】
前記パイル2の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維等の繊維からなるもの等が好適に用いられ、その他、麻、綿、羊毛等の天然繊維からなるもの等が挙げられる。
【0023】
前記パイル2の形態は、特に限定されるものではないが、例えば、カットパイル、ループパイル等が挙げられる。
【0024】
前記目止め樹脂層5は、可塑剤と、ポリ塩化ビニル樹脂とを含有する必要がある。
【0025】
前記可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えばジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート等が挙げられる。これらの中でも、DOPを用いるのが、ポリ塩化ビニル樹脂の粒子界面をより均一に膨潤ゲル化せしめ得る点で、好ましい。
【0026】
前記ポリ塩化ビニル樹脂は、ペースト塩化ビニル樹脂を40%〜90%含有し、平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂を10%〜60%含有する必要がある。ペースト塩化ビニル樹脂を40%〜90%含有しているから、パイル布帛層7の裏面側の基布3までペースト塩化ビニル樹脂が浸透して、耐ファズ性及びパイルの抜糸強度を向上させることができると共に、平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂を10%〜60%含有しているから、パイル布帛層7のバックステッチ4に平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂が残るため、剥離強度を向上させることができる。ペースト塩化ビニル樹脂が40%未満で、かつ平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂が60%を超えると、耐ファズ性、パイルの抜糸強度が悪くなり、ペースト塩化ビニル樹脂が90%を超え、かつ平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂が10%未満であると、剥離強度が悪くなるため、好ましくない。中でも、ペースト塩化ビニル樹脂を60%〜80%含有し、かつ、平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂を20%〜40%含有していることがより好ましい。なお、平均粒径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した平均粒子径のことである。
【0027】
前記ポリ塩化ビニル樹脂は、平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂を10%〜60%含有する必要があり、中でも、平均粒径が100μm〜130μmであるポリ塩化ビニル樹脂を20%〜40%含有していることがより好ましい。平均粒径が50μm未満であると剥離強度が悪くなり、平均粒径が150μmを超えても生産性が悪くなるため好ましくない。
【0028】
前記ペースト塩化ビニル樹脂とは、平均粒径が0.1μm〜2μm、粒子形態が非多孔質かつ真球状、外観が白色微粉末である塩化ビニル樹脂のことである。
【0029】
前記平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂の重合度は700〜2000であることが必要である。700未満では剥離強度が悪くなり、2000を超えても、パイルの抜糸強度が悪くなるため、好ましくない。中でも1200〜1400であることが好ましい。
【0030】
前記目止め樹脂層5の形成量が200g/m〜1000g/mであることが必要である。200g/m未満では、耐ファズ性、パイルの抜糸強度、剥離強度が悪くなり、1000g/mを超えても、コストが上昇するだけでなく、重量が重くなり、目止め樹脂層5を固化させる時間が長くなるため、生産効率が悪くなり、好ましくない。中でも、400g/m〜600g/mがより好ましい。
【0031】
前記裏打ち層6は、特に限定されるものではないが、1ないし複数層のバッキング樹脂層と、ガラス繊維及びポリエステル繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維で構成された不織布又は織布からなる補強層とを含んでいることが好ましい。
【0032】
前記1ないし複数層のバッキング樹脂層は、塩化ビニル樹脂を含有してなるカーペット廃材を粉砕して得られたリサイクルシートであることが好ましい。
【0033】
裏打ち層6は、目止め樹脂層5の下面に積層された第1バッキング樹脂層と、該第1バッキング樹脂層の下面に積層された補強層であってガラス繊維及びポリエステル繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維で構成された不織布又は織布からなる補強層と、該補強層の下面に積層された第2バッキング樹脂層とからなることが好ましい。前記補強層には樹脂が含浸されている。この含浸樹脂により補強層と第1バッキング樹脂層とが接着されると共に補強層と第2バッキング樹脂層とが接着されている。
【0034】
本発明に係るタイルカーペットの製造方法の一実施形態を説明する。基布3の上面にパイル2が植設されてなるパイル布帛層7と、該パイル布帛層7の下面に積層された目止め樹脂層5と、該目止め樹脂層5の下面に積層された裏打ち層6と、を備えたタイルカーペットの製造方法であって、前記目止め樹脂層5を形成するポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルは、可塑剤と、ポリ塩化ビニル樹脂とを含有し、前記ポリ塩化ビニル樹脂は、ペースト塩化ビニル樹脂を40%〜90%含有し、平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂を10%〜60%含有し、前記平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂の重合度が700〜2000であり、ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルの塗布量が200g/m〜1000g/mであることを特徴とする。
【0035】
この発明に係るタイルカーペット1の製造方法について工程別に説明する。まず、可塑剤及びポリ塩化ビニル樹脂を混合してポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルを得る(混合工程)。前記ポリ塩化ビニル樹脂は、ペースト塩化ビニル樹脂を40%〜90%含有し、平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂を10%〜60%含有することが必要である。
【0036】
次いで、基布3の上面にパイル2が植設されてなるパイル布帛層7の裏面にポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルを塗布し(塗布工程)、パイル布帛層7の裏面に塗布されたポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルを加熱し、この加熱状態で加圧ロールを用いて加圧することによって、裏打ち層6をパイル布帛層7の裏面に積層一体化させる(積層一体化工程)。
【0037】
次に、本発明に係るタイルカーペット1の製造方法の一例を示す。まず、基布3の上面にパイル2が植設されてなるパイル布帛層7の裏面にロールコーターを用いて可塑剤、ポリ塩化ビニル樹脂を混合したポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルを塗布し、パイル布帛層7の裏面に塗布されたポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルの未硬化表面を加熱装置で加熱し、目止め樹脂層5を形成し、上下一対の加圧ロールの間に挿通して圧着させ、連続走行する無端離型性ベルト(ベルトの表面にポリテトラフロエチレン層がコートされたもの)上に供給された裏打ち層6をパイル布帛層7の裏面に積層一体化させる。得られた積層体を所定形状、例えば500mm角の正方形に裁断すれば、最終製品としてのタイルカーペット1が得られる。
【0038】
前記ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルの塗布量が200g/m〜1000g/mである必要がある。200g/m未満では、ファズ性、パイルの抜糸強度、剥離強度が悪くなり、1000g/mを超えても、コストが上昇するだけでなく、重量が重くなり、目止め樹脂層5を固化させる時間が長くなるため、生産効率が悪くなり、好ましくない。中でも、400g/m〜600g/mがより好ましい。前記目止め樹脂層5の形成量と前記ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルの塗布量は同じである。
【0039】
前記ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルの粘度が1000mPa・S〜10000mPa・Sであることが好ましい。このような粘度範囲のポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルを使用することにより、パイル布帛層7の基布3、バックステッチ4共に均一に塗布することができ、耐ファズ性、パイルの抜糸強度、剥離強度をより一層向上させることができる。中でも2000mPa・S〜6000mPa・Sがより好ましい。
【0040】
前記加熱装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガスバーナーまたは遠赤外線ヒーター等が挙げられる。
【0041】
前記加熱装置で加熱する温度としては、120℃〜180℃であることが好ましい。このような温度範囲の加熱温度にすることにより、ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルを加熱溶融させて目止め樹脂層5を形成しながら、パイル布帛層7と裏打ち層6を接着することができる。中でも130℃〜160℃であることがより好ましい。
【0042】
前記ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルは、無機充填剤を含有しない樹脂組成物であることが好ましい。無機充填剤を含有させないことにより、ペースト塩化ビニル樹脂がパイル布帛層7の基布3まで浸透することができ、耐ファズ性及びパイルの抜糸強度を向上させることができる。さらに、平均粒径が50μm〜150μmであり、かつ重合度が700〜2000であるポリ塩化ビニル樹脂がパイル布帛層7のバックステッチ4に残り、剥離強度を向上させることができる。
【0043】
前記ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルには、着色剤、熱安定剤、吸湿剤などの各種添加剤を適宜含有せしめてもよい。
【実施例】
【0044】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0045】
<使用材料>
(パイル布帛層)
目付90g/mのポリエステル繊維製不織布(基布)に、ナイロン繊維からなるパイル糸がループパイルとしてタフティングされたもの(パイル目付520g/m)。
(裏打ち層)
ガラス基布層付きポリ塩化ビニル樹脂を含有してなるカーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂パウダーを加熱加圧することにより形成されたポリ塩化ビニル樹脂シート(ガラス基布の目付35g/m、シートの厚み1.2mm)
【0046】
<実施例1>
ポリ塩化ビニル樹脂100質量部(ペースト塩化ビニル樹脂を70%、平均粒径が100μmであり、かつ重合度が1000であるポリ塩化ビニル樹脂を30%)に対してDOP80質量部配合して十分に攪拌混合することによって、ポリ塩化ビニルペーストゾルを得た。得られたポリ塩化ビニルペーストゾルの粘度は、3000mPa・Sであった。次に、パイル布帛層7の裏面にポリ塩化ビニルペーストゾルを塗布量500g/mで塗布し、パイル布帛層7の裏面に塗布されたポリ塩化ビニルペーストゾルの未硬化表面を加熱装置で180℃に加熱し、目止め樹脂層5を形成しながら、上下一対の加圧ロールの間に挿通して圧着させ、連続走行する無端離型性ベルト(ベルトの表面にポリテトラフロエチレン層がコートされたもの)上に供給された裏打ち層6をパイル布帛層7の裏面に積層一体化させた。得られた積層体を500mm角の正方形に裁断し、図1に示すタイルカーペット1を得た。
【0047】
<実施例2>
ペースト塩化ビニル樹脂を50%、平均粒径が100μmであり、かつ重合度が1000であるポリ塩化ビニル樹脂を50%に設定した以外は、実施例1と同様にして、図1に示すタイルカーペット1を得た。
【0048】
<実施例3>
ペースト塩化ビニル樹脂を80%、平均粒径が100μmであり、かつ重合度が1000であるポリ塩化ビニル樹脂を20%に設定し、ポリ塩化ビニルペーストゾルの塗布量を300g/mに設定した以外は、実施例1と同様にして、図1に示すタイルカーペット1を得た。
【0049】
<実施例4>
ペースト塩化ビニル樹脂を70%、平均粒径が50μmであり、かつ重合度が700であるポリ塩化ビニル樹脂を30%に設定した以外は、実施例1と同様にして、図1に示すタイルカーペット1を得た。
【0050】
<実施例5>
ペースト塩化ビニル樹脂を70%、平均粒径が140μmであり、かつ重合度が1000であるポリ塩化ビニル樹脂を30%に設定した以外は、実施例1と同様にして、図1に示すタイルカーペット1を得た。
【0051】
<実施例6>
ペースト塩化ビニル樹脂を70%、平均粒径が130μmであり、かつ重合度が2000であるポリ塩化ビニル樹脂を30%に設定した以外は、実施例1と同様にして、図1に示すタイルカーペット1を得た。
【0052】
<比較例1>
ペースト塩化ビニル樹脂を含有しない設定にした以外は、実施例1と同様にして、タイルカーペットを得た。
【0053】
<比較例2>
平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂を含有しない設定にした以外は、実施例1と同様にして、タイルカーペットを得た。
【0054】
<比較例3>
ペースト塩化ビニル樹脂を30%、平均粒径が100μmであり、かつ重合度が1000であるポリ塩化ビニル樹脂を70%に設定した以外は、実施例1と同様にして、タイルカーペットを得た。
【0055】
<比較例4>
ペースト塩化ビニル樹脂を95%、平均粒径が100μmであり、かつ重合度が1000であるポリ塩化ビニル樹脂を5%、ポリ塩化ビニルペーストゾルの塗布量を400g/mに設定した以外は、実施例1と同様にして、タイルカーペットを得た。
【0056】
<比較例5>
ペースト塩化ビニル樹脂を70%、平均粒径が40μmであり、かつ重合度が800であるポリ塩化ビニル樹脂を30%に設定した以外は、実施例1と同様にして、タイルカーペットを得た。
【0057】
<比較例6>
ペースト塩化ビニル樹脂を70%、平均粒径が160μmであり、かつ重合度が1000であるポリ塩化ビニル樹脂を30%、ポリ塩化ビニルペーストゾルの塗布量を400g/mに設定した以外は、実施例1と同様にして、タイルカーペットを得た。
【0058】
<比較例7>
ペースト塩化ビニル樹脂を80%、平均粒径が50μmであり、かつ重合度が600であるポリ塩化ビニル樹脂を20%に設定した以外は、実施例1と同様にして、タイルカーペットを得た。
【0059】
<比較例8>
ペースト塩化ビニル樹脂を70%、平均粒径が140μmであり、かつ重合度が2500であるポリ塩化ビニル樹脂を30%に設定した以外は、実施例1と同様にして、タイルカーペットを得た。
【0060】
なお、表中の粘度の測定は、25℃で2時間放置した後、BM型粘度計(4号ローター、6rpm、1分後に測定)を用いて行った。
【0061】
【表1】
【0062】
上記のようにして得られた各タイルカーペットに対して、下記評価方法に基づいて評価を行った。これらの評価結果を表1に示す。
【0063】
<耐ファズ性評価法>
テーバー型摩耗試験機(JIS L 1096−8.19.3:2010に規定)に、針布状摩耗輪を使用し、それぞれの摩耗輪に片輪300gの荷重をかけ、試験台を20回回転して試験片を引き剥がし、そのパイル糸の毛羽立ち状態を目視観察し、毛羽立ちが非常に少ないものを「◎」、毛羽立ちの少ないものを「○」、毛羽立ちがある程度あるものを「△」、毛羽立ちが多いものを「×」とし、「○」以上を合格とした。
【0064】
<パイルの抜糸強度評価法>
JIS L 1021−8:2007に準拠して、パイル糸の抜糸強度(N)を測定し、パイル糸の抜糸強度が30N以上を「◎」とし、24.5N以上30N未満を「○」として、24.5未満を「×」として、「○」以上を合格とした。
【0065】
<剥離強度評価方法>
JIS L 1021−9:2007に準拠して、剥離強度(N)を測定した。剥離強度が40N以上を「◎」、剥離強度が30N以上40N未満であるものを「○」、剥離強度が30N未満を「×」とし、「○」以上を合格とした。
【0066】
<生産性評価法>
実施例1〜6、比較例1〜8で得られたポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルを500mLのカップに4分の3程度の量を投入した。投入後、ポリ塩化ビニル樹脂ぺ―ストゾルの高さをパイルゲージで測定した。25℃で7日間放置した後、ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル中の底面に平均粒径が50μm〜150μmであるポリ塩化ビニル樹脂がどれだけ沈殿しているかをパイルゲージで測定し、下記算出式に基づき、沈殿率が1%未満を「○」、1%以上を「×」とし、「○」以上を合格とした。
沈殿率(%)=(放置前のポリ塩化ビニル樹脂ぺ―ストゾルの高さ(mm)−放置後のポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル中にパイルゲージがささるまでの高さ(mm))/放置前のポリ塩化ビニル樹脂ぺ―ストゾルの高さ(mm)×100
【0067】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜6のタイルカーペットは、耐ファズ性に優れると共に、パイルの抜糸強度、剥離強度、生産性にも優れていた。
【0068】
これに対して、比較例1のタイルカーペットは、耐ファズ性、パイルの抜糸強度、生産性が劣っていた。比較例2のタイルカーペットは、剥離強度が劣っていた。比較例3のタイルカーペットは、耐ファズ性、パイルの抜糸強度、生産性が劣っていた。比較例4のタイルカーペットは、剥離強度が劣っていた。比較例5のタイルカーペットは、剥離強度が劣っていた。比較例6のタイルカーペットは、生産性が劣っていた。比較例7のタイルカーペットは、剥離強度が劣っていた。比較例8のタイルカーペットは、パイルの抜糸強度が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係るタイルカーペットは、例えば、一般家庭、オフィス等の床面などに敷設して使用される。
【符号の説明】
【0070】
1・・・タイルカーペット
2・・・パイル
3・・・基布
4・・・バックステッチ
5・・・目止め樹脂層
6・・・裏打ち層
7・・・パイル布帛層
図1