【実施例1】
【0029】
図8は、実施例1に係るコージェネレーションシステムを示している。
図8に示す構成は本発明の一側面を示したものであり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
図8において、
図1と同一部分には同一
符号を付してある。
このコージェネレーションシステム20は既述の給湯システム2の適用例であり、このコージェネレーションシステム20には給湯ユニット4−1、4−2に加え、排熱源として燃料電池ユニット22が備えられる。つまり、このコージェネレーションシステム20は燃料電池ユニット22を含む給湯システムの一例でもある。
この燃料電池ユニット22には熱源ユニットの一例として、燃料電池24が備えられ、燃料電池24の排気HM3が排気路8−9を通じて第4の熱交換部の一例である、熱交換器12−4に流れる。この排気HM3の熱が熱交換器12−4に循環する熱媒HM1に熱交換され、熱媒HM1が燃料電池24の排熱により熱媒HM1を加熱する。熱媒HM1は循環ポンプ14−3の駆動により熱媒循環路8−1に循環する。熱媒HM1を循環させる熱交換器12−4の入側温度は温度センサー10−7により検出され、その出側温度が温度センサー10−8により検出される。
【0030】
給湯ユニット4−1の熱媒タンク6の熱媒HM1は、給湯ユニット4−1の下層側から熱媒循環路8−1に循環し、熱交換器12−4で排熱との熱交換後、熱媒タンク6の上層側に戻される。これにより、熱媒HM1の階層蓄熱が行われる。熱媒タンク6では熱媒HM1の上層温度が温度センサー10−1で検出され、その中層温度が温度センサー10−9、10−10で検出され、その下層温度が温度センサー10−11で検出される。
給湯ユニット4−1の熱媒HM1と給水Wの熱交換時、給水路8−2に流れる給水Wの流量は、流量センサー26−1により検出される。給湯ユニット4−1から出湯する温水HWの出湯温度は温度センサー10−12で検出される。
【0031】
給湯時、給湯ユニット4−1から給湯路8−6に流れる温水HWの流量は流量センサー26−2で検出される。熱媒循環路8−8にはアキュームレータ28が備えられ、熱媒HM2の圧力は制御されている。熱媒HM2が循環する熱交換器12−3の出口側温度は温度センサー10−13で検出され、熱媒HM2を循環させる循環ポンプ14−2の入側温度は温度センサー10−14で検出される。熱媒HM2を熱交換器12−3により加熱する補助熱源18にはガス燃料の燃焼により燃焼熱を生じるバーナー19が備えられる。
【0032】
<熱媒タンク6の温度センサー10−1>
図9は、
図8のIX部を拡大して示している。この
図9に示すように、熱媒タンク6の温度センサー10−1は熱媒タンク6の上層に設置されている。この温度センサー10−1の位置は、バーナー19の補助熱源18の加熱能力や加熱速度より決めればよい。温度センサー10−1の位置は少なくとも、熱媒HM1の熱量が給湯に使用される前にバーナー19の立ち上げを完了する時間を確保可能な容積レベルの位置で熱媒HM1の温度を検出する位置であればよい。たとえば、規制流量24〔リットル/min〕を10〔秒〕で加熱可能である場合は、熱媒量が4〔リットル〕以上に相当する容積レベルの位置に設定し、その位置の熱媒温度を検出する。図中、破線34は上層側の熱媒HM1と、下層側の低温の熱媒LHM1の分水嶺の仮想線を示している。
【0033】
<コージェネレーションシステム20の制御部>
図10は、コージェネレーションシステム20の制御部の一例を示している。この制御部32には通信機能を備えるコンピュータで構成される給湯ユニット制御部36−1、36−2、燃料電池ユニット制御部36−3およびリモコン制御部36−4が含まれる。
給湯ユニット制御部36−1は、給湯ユニット4−1の制御手段であり、プロセッサ38−1、メモリ部40−1、システム通信部42−1、入出力部(I/O)44−1を備え、給湯ユニット4−1の給湯制御を行う。プロセッサ38−1は、メモリ部40−1にあるOS(Operating System)や給湯制御プログラムを実行し、システム通信部42−1を介して給湯ユニット制御部36−2、燃料電池ユニット制御部36−3およびリモコン制御部36−4と連携し、給湯制御に必要な情報処理を実行する。メモリ部40−1にはROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)が含まれる。このメモリ部40−1にはデータを格納するハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶素子が用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。システム通信部42−1は、給湯ユニット制御部36−2、燃料電池ユニット制御部36−3、リモコン制御部36−4側のシステム通信部と有線または無線で通信を行い、制御に必要な情報の送受を行う。I/O44−1には給湯ユニット4−1にある温度センサー10−1などの各種温度センサー、流量センサー26−1から検出信号を受け、混合弁16−1や循環ポンプ14−1の制御信号を出力する。
【0034】
給湯ユニット制御部36−2は、給湯ユニット4−2の制御手段であり、プロセッサ38−2、メモリ部40−2、システム通信部42−2、I/O44−2を備え、給湯ユニット4−2の給湯制御を行う。プロセッサ38−2は、メモリ部40−2にあるOSや給湯制御プログラムを実行し、システム通信部42−2を介して給湯ユニット制御部36−1、燃料電池ユニット制御部36−3およびリモコン制御部36−4と連携し、給湯制御に必要な情報処理を実行する。メモリ部40−2にはROMやRAMが含まれる。このメモリ部40−2にはデータを格納するハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶素子が用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。システム通信部42−2は、給湯ユニット制御部36−1、燃料電池ユニット制御部36−3、リモコン制御部36−4側のシステム通信部と有線または無線で通信を行い、制御に必要な情報の送受を行う。I/O44−2には給湯ユニット4−2にある温度センサー10−4などの各種温度センサー、流量センサー26−2から検出信号を受け、混合弁16−2、循環ポンプ14−2、バーナー19の燃焼制御部46の制御信号を出力する。
【0035】
燃料電池ユニット制御部36−3は、燃料電池ユニット22の制御手段であり、プロセッサ38−3、メモリ部40−3、システム通信部42−3、I/O44−3を備え、燃料電池ユニット22の駆動制御を行う。プロセッサ38−3は、メモリ部40−3にあるOSや給湯制御プログラムを実行し、システム通信部42−3を介して給湯ユニット制御部36−1、36−2およびリモコン制御部36−4と連携し、給湯制御に必要な情報処理を実行する。メモリ部40−3にはROMやRAMが含まれる。このメモリ部40−3にはデータを格納するハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶素子が用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。システム通信部42−3は、給湯ユニット制御部36−1、36−2、リモコン制御部36−4側のシステム通信部と有線または無線で通信を行い、制御に必要な情報の送受を行う。I/O44−3は燃料電池ユニット22にある温度センサー10−7、10−8から検出信号を受け、循環ポンプ14−3、燃料電池制御部48の制御信号を出力する。
【0036】
リモコン制御部36−4は給湯ユニット4−1、4−2、燃料電池ユニット22と独立したリモコン装置50に備えられ、給湯ユニット制御部36−1、36−2、燃料電池ユニット制御部36−3とコンピュータ通信により連携する。
【0037】
<連携制御の処理手順>
図11は、制御部32の給湯制御を含む連携制御のメインフローを示している。この処理手順では、リモコン装置50では起動時、イニシャライズを実行し(S41)、入力受付処理(S42)、表示出力処理(S43)を実行する。入力受付処理ではユーザーにより初期設定が行われる。この初期設定には、給湯ユニット4−1、4−2に給湯の設定温度Tの入力、燃料電池ユニット22に対する運転のON/OFFの切替えが含まれる。表示出力処理ではリモコン装置50の表示部に入力情報や出力情報が提示される。
【0038】
燃料電池ユニット22では、イニシャライズを実行し(S51)、熱回収処理(S52)、その他の管理処理(S53)を実行する。熱回収処理は、リモコン装置50からの運転ON/OFFの切替えにより、その処理の開始または終了が指示される。管理処理にはメンテナンスなどの処理が含まれる。
【0039】
給湯ユニット4−1では、イニシャライズを実行し(S61)、給湯処理(S62)、その他の管理処理(S63)を実行する。給湯処理は、リモコン装置50からの給湯の設定温度Tを受け、温水HWの温度を設定温度Tに制御する。そして、この給湯処理には、給湯ユニット4−2に対して熱媒タンク6の蓄熱状態として、「蓄熱あり」または「蓄熱なし」を通報する。その他の管理にはメンテナンスなどの処理が含まれる。
【0040】
給湯ユニット4−2では、イニシャライズを実行し(S71)、給湯処理(S72)、その他の管理処理(S73)を実行する。この給湯処理では、リモコン装置50からの給湯の設定温度Tを受け、温水HWの温度を設定温度Tに制御するとともに、給湯ユニット4−1からの「蓄熱あり」または「蓄熱なし」の通報を受け、バーナー19の燃焼制御による温水HWの加熱制御を含む温度調整を行う。その他の管理には給湯ユニット4−1と同様にメンテナンスなどの処理が低まれる。
【0041】
<熱回収処理>
図12は、燃料電池ユニット22の熱回収処理の処理手順を示している。
燃料電池ユニット22の制御では運転がONであるかを判定し(S81)、運転ONであれば(S81のYES)、燃料電池24を駆動する(S82)。燃料電池24の駆動では温度センサー10−8の検出温度T8が一定温度たとえば、75〔℃〕になるように循環ポンプ14−3の回転を制御する(S83)。
運転ONでなければ(S81のNO)、燃料電池24の駆動を停止する(S84)。燃料電池24の駆動停止では循環ポンプ14−3の回転を停止させる(S85)。
【0042】
<給湯処理〔1−1〕>
図13は、給湯ユニット4−1の給湯処理〔1−1〕の処理手順を示している。
給湯の使用かを判断し(S91)、給湯でなければ(S91のNO)、循環ポンプ14−1を停止し(S92)、この給湯処理を終了する。
給湯使用であれば(S91のYES)、T1>T2であるかを判断し(S93)、T1>T2であれば(S93のYES)、検出温度T3が設定温度Tよりα〔℃〕高い温度(T+α)になるように(もしくは近づくように)循環ポンプ14−1の回転数を制御する(S94)。T1>T2でなければ(S93のNO)、循環ポンプ14−1を停止させる(S95)。
S94またはS95の後、T1<T+βであるかを判断し(S96)、T1<T+βであれば(S96のYES)、給湯ユニット制御部36−1から給湯ユニット制御部36−2に「蓄熱なし」を送信し(S97)、T1<T+βでなければ(S96のNO)、「蓄熱あり」を送信する(S98)。これらの送信の後、給湯ユニット4−1では、出湯する温水HWの温度を設定温度Tに(もしくはTに近づくように)制御し、出湯する(S99)。
【0043】
<給湯処理〔1−2〕>
図14は、給湯ユニット4−1の給湯処理〔1−2〕の処理手順を示している。
給湯の使用かを判断し(S101)、給湯でなければ(S101のNO)、循環ポンプ14−1を停止し(S102)、この給湯処理を終了する。
給湯使用であれば(S101のYES)、T1>T2であるかを判断し(S103)、T1>T2であれば(S103のYES)、検出温度T3が設定温度Tよりα〔℃〕高い温度(T+α)になるように(もしくは近づくように)循環ポンプ14−1の回転数を制御する(S104)。T1>T2でなければ(S103のNO)、循環ポンプ14−1を停止する(S105)。
S104またはS105の後、T1<T+βであるかを判断し(S106)、T1<T+βであれば(S106のYES)、給湯ユニット制御部36−1から給湯ユニット制御部36−2に「蓄熱なし」を送信し(S107)、T1<T+βでなければ(S106のNO)、「蓄熱あり」を送信する(S108)。
【0044】
そして、この制御では、T3<Tかを判断し(S109)、T3<Tであれば(S109のYES)、混合弁16−1は給湯路8−4側を全開状態に制御し(S110)、T3<Tでなければ(S109のNO)、検出温度T12に基づき、温水HWが設定温度Tになるように混合弁16−1の開度比率を制御する(S111)。
【0045】
<給湯処理〔2−1〕>
図15は、給湯ユニット4−2の給湯処理〔2−1〕の処理手順を示している。
給湯の使用かを判断し(S121)、給湯でなければ(S121のNO)、熱媒HM2の循環を停止し、この給湯処理を終了する。
給湯使用であれば(S121のYES)、「蓄熱なし」を受信したかを判断する(S123)。「蓄熱なし」を受信していれば(S123のYES)、熱媒HM2の循環を行う(S124)。「蓄熱なし」を受信していなければ(S123のNO)、T4<Tであるかを判断する(S125)。T4<Tであれば(S125のYES)、S124に移行させる。T4<Tでなければ(S125のNO)、熱媒HM2の循環を停止する(S126)。
S124で熱媒HM2の循環駆動に移行すると、T4<Tであるかを判断し(S127)、T4<Tであれば(S127のYES)、混合弁16−2により混合水mHWの温度を設定温度Tに制御する(S128)。T4<Tでなければ(S127のNO)、混合弁16−2をバイパス回路8−7側に全開状態とし、給湯ユニット4−1からの温水HWのみを出湯させる(S129)。
【0046】
<給湯処理〔2−2〕>
図16は、給湯ユニット4−2の給湯処理〔2−2〕の処理手順を示している。
給湯の使用かを判断し(S131)、給湯使用であれば(S131のYES)、「蓄熱なし」を受信したかを判断する(S132)。「蓄熱なし」を受信していれば(S132のYES)、循環ポンプ14−2を駆動し(S133)、熱媒HM2の循環を行う。温度センサー10−13の検出温度T13に基づき熱媒HM2の温度が一定温度になるようにバーナー19の燃焼量を制御する。この制御は、バーナー19の燃焼制御部46によって実行する。「蓄熱なし」を受信していなければ(S132のNO)、循環ポンプ14−2を停止し(S136)、バーナー19の燃焼を停止する(S137)。
S134、S137の後、T4<Tかを判断し(S138)、T4<Tであれば(S138のYES)、温度センサー10−4の検出温度T4に基づき、混合水mHWが設定温度Tになるように混合弁16−2の開度比率を制御する(S139)。T4<Tでなければ(S138のNO)、給湯路8−6には給湯ユニット4−1から設定温度Tに制御された温水HWが供給されているので、バイパス路8−7側を全開状態に混合弁16−2を制御し、設定温度Tの温水HWの出湯を行う(S140)。
S131で、給湯使用でなければ(S131のNO)、循環ポンプ14−2の停止により、熱媒HM2の循環を停止し(S141)、バーナー19の燃焼を停止し(S142)、混合弁16−2はバイパス路8−7を全閉状態に制御し(S143)、この制御を終了する。なお、「蓄熱あり」では、バイパス路8−7を全開状態に制御してもよい。
【0047】
<連携通信処理>
図17は、給湯ユニット4−1、4−2、燃料電池ユニット22およびリモコン装置50の連携通信処理のシーケンスを示している。
発電関係の処理F1について、リモコン装置50には燃料電池ON指示(S201)、燃料電池24の運転表示(S202)、燃料電池24のOFF指示(S203)、燃料電池24のOFF表示(S204)などの処理が含まれる。
【0048】
発電関係の処理F1について、燃料電池ユニット22では、燃料電池ON指示(S201)による循環ポンプ14−3の駆動(S211)、燃料電池24の運転表示(S202)に対する燃料電池24の起動の通知(S212)、目標出湯温度:75〔℃〕のための循環ポンプ14−3の制御(S213)、燃料電池24のOFF指示(S203)による燃料電池24の停止動作(S214)、熱量低下まで循環ポンプ14−3による排熱回収(S215)、燃料電池24の駆動停止(S216)などの処理が含まれる。
【0049】
発電関係の処理F1として、給湯ユニット4−1では、排熱回収(制御も通信もなし)(S221)が含まれ、給湯関係で「蓄熱あり」の場合の処理F2として、給湯流量のON(S222)、「蓄熱あり」送信(S223)、蓄熱給湯開始(S224)、蓄熱減少(暖機指示)(S225)、給湯流量のOFF(S226)、蓄熱給湯停止(S227)が含まれる。また、給湯関係で「蓄熱なし」の処理F3として、「蓄熱なし」送信(S228)、給湯流量のON(S229)、熱量がある場合、与熱給湯開始(S230)、給湯流量のOFF(S231)、与熱給湯停止(S232)などの処理が含まれる。
【0050】
給湯関係で「蓄熱あり」の処理F2として、給湯ユニット4−2では、給湯流量のON(S241)、給湯モード判断(蓄熱給湯)(S242)、暖機運転(S243)、出湯温度によるミキシング制御(S244)、給湯流量OFF(S245)が含まれる。また、給湯関係で「蓄熱なし」の場合の処理F3として、給湯ユニット4−1からの「蓄熱なし」の送信を受けて給湯モード判断(給水与熱ガス給湯orガス給湯)(S246)、給湯流量ON(S247)、給湯使用の送信(S248)、ガス燃焼の給湯(S249)、給湯流量OFF(S250)、給湯ユニット4−1の与熱給湯停止(S232)に対する給湯停止送信(S251)などの処理が含まれる。
【0051】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、次のような効果が得られる。
(1) 熱媒タンク6に貯湯された温水HWの有効利用を図ることができ、給湯能力を向上させることができる。
(2) ガスエンジンや燃料電池から得られた排熱を熱媒タンク6の熱媒HM1に熱交換し、熱媒HM1の熱を温水HWに熱交換して貯湯し、その温水HWを給湯に利用できる。
(3) 給湯ユニット4−1では給水Wを設定温度Tよりたとえば、α=5〔℃〕だけ高い温度(T+α)になるように熱交換を行い、給湯路8−4から出湯する温水HWは混合弁16−1により熱交換後の温水HW(温度=T+α)と熱交換前の給水Wを混ぜて設定温度Tに調整して給湯することができる。
(4) 熱媒タンク6にある温度センサー10−1の検出温度T1が温度(T+β)未満になると、熱交換後の温水HWの温度が既述の温度(T+α)を下回ることが予想されるので、検出温度T1が温度(T+β)未満に移行した時点で補助熱源18のバーナー19の燃焼を開始し、温水HWの出湯温度の低下を未然に防止できる。
(5) 熱媒タンク6内の熱媒HM1の温度が低くなっても、給水Wの検出温度T2より高ければ、熱媒HM1の熱を給水Wに熱交換して利用するので、熱媒タンク6の蓄熱量を有効的に利用できる。
(6) 熱媒タンク6の熱媒HM1の熱交換に利用して直接給湯をしないので、熱媒タンク6の熱媒HM1の水質確保(レジオネラ菌対策)が不要となり、熱媒タンク6の加熱殺菌などの処理が不要であり、経済的である。
(7) 熱媒タンク6は大気開放型でよく、熱媒タンク6の耐圧機能を考慮する必要がなく、給水W側の減圧弁が不要になるなど、給水路8−2や熱媒循環路8−3の構成を簡略化できる。
(8) 補助熱源18のバーナー19の燃焼熱を利用し、この燃焼熱を熱媒HM2に熱交換し、この熱媒HM2の熱を温水hHWの加熱に用いており、温水HWは間接加熱によって昇温される。
(9) 給湯ユニット4−1の混合弁16−1を利用し、熱交換器12−1 からの温水HWの温度が設定温度T以上であれば、その温水HWと給水Wとを混合し、温水HWの温度を設定温度Tに調整する。この場合、給湯ユニット4−1が設定温度Tでの出湯可能な場合には給湯ユニット4−2の混合弁16−2はバイパス路8−7側を全開状態とし、バーナー19による熱媒HM2の加熱は行わない。
(10) 熱媒タンク6の上層側の熱媒温度が設定温度T+β未満になれば、バーナー19の駆動を開始する。バーナー19では、熱媒循環路8−8および熱交換器12−2が備えられ、熱媒HM2の熱を温水HWに熱交換する。つまり、温水HWがバーナー19により間接加熱され、温水hHWが得られる。
(11) 給湯中、熱媒タンク6の上層の温度が設定温度T+β未満に降下した場合には、バーナー19を先行的に駆動して熱媒HM2を加熱し、給湯ユニット4−1の熱媒HM1の熱量不足による湯切れに備える。
(12) 給湯ユニット4−1の湯切れにより検出温度T4が設定温度T未満となると、バーナー19の燃焼熱を熱媒HM2に熱交換し、熱媒HM2の熱を温水HWに熱交換し、高温化した温水HWと、熱交換前の温水HWとを用いて混合弁16−2により、出湯する混合水mHWを設定温度Tに調整する。
(13) 給湯ユニット4−1の混合弁16−1から得られる温水HWの温度が急激に降下しても、バーナー19側の熱媒HM2が先行加熱されているので、混合弁16−2による温水HWと加熱温水HWとの混合比率により混合水mHWを設定温度Tに制御でき、出湯温を安定化できる。
(14) 熱媒タンク6の熱量不足の際、混合弁16−1は温水HW側を全開とし、温水HWを出湯する際、熱媒タンク6の熱媒HM1の熱量を全面的に利用できる。
(15) 給湯ユニット4−1、4−2は一体、または別体のいずれでもよい。このような給湯ユニット4−1、4−2を分離可能とすれば、設置の自由度やメンテナンスの容易化を図ることができる。
(16) 出湯しない場合には、温度センサー10−5の検出温度T5が設定温度T未満(T5<T)の条件下、混合弁16−2を熱交換器12−2側に全開とし、つまり、バイパス路8−7側を全閉にするので、出湯開始時、バイパス路8−7側を全開にする場合でも切替えには相応の時間を必要としており、混合弁16−2には熱交換器12−2側の加熱温水HWが流れ出るので、温水HWの滞留を防止できる。
(17) 給水流量としてたとえば、最大流量24〔リットル/min〕を通水させた場合、温度センサー10−1の熱媒HM1と熱交換した温水HWが流れ出るまで10〔秒〕程度の猶予時間があり、温度センサー10−1の検出温度T1が設定温度T+β未満(T1<T+β)になっても、このような猶予時間の間に熱交換器12−2内の熱媒HM2を十分に加熱できるので、熱媒HM1の循環遅れが生じても出湯する温水温度を安定化させることができる。
【実施例4】
【0054】
図20は、実施例4に係る給湯システムを示している。
図20において、
図1または
図8と同一部分には同一符号を付してある。
この給湯システム52は、給湯ユニット4−1から分離した給湯ユニット4−2の一例を示し、給湯ユニット4−1と管路により連結し、給湯ユニット4−1との連携制御によって設定温度Tに制御される温水HWを出湯させることができる。
この給湯システム52は給湯機能、暖房機能および浴槽水追焚き機能を備えている。給湯路8−6に給湯ユニット4−1側から温水HWが供給され、温水HWまたは混合水mHWを出湯する。この実施の形態では、バーナー19の燃焼熱を熱交換する熱交換器12−31、12−32、12−33が備えられる。熱交換器12−31は、燃焼熱の主として顕熱を熱媒HM2に熱交換し、熱交換器12−32は燃焼熱の主として潜熱を熱媒HM2に熱交換し、熱交換器12−33は燃焼熱の主として潜熱を給湯路8−6の温水HWに熱交換する。したがって、この実施の形態では、温水HWには、熱交換器12−2により熱媒HM2の熱が熱交換されるとともに、熱交換器12−33により燃焼熱の主として潜熱が熱交換される。
【0055】
バーナー19は燃焼制御部46によりガスの燃焼量が制御され、この燃焼制御部46の制御にはファンによる給気制御、燃料ガスGの給湯要求に対する比例弁制御、バーナー19の燃焼切替制御が含まれる。
制御部32には通信線56を介してリモコン装置50が接続され、このリモコン装置50には既述のリモコン制御部36−4が備えられている。通信線56は給湯システム52に接続し、温度センサー10−1の検出温度T1情報の取得や、給湯設定温度Tの通知などを行えばよい。
熱媒HM2は、暖房時、熱媒循環路8−8から分岐した暖房回路8−10により、暖房パネル58−1やコンベクタ58−2などの放熱機器に循環させている。
熱媒循環路8−8には浴槽水BWに熱媒HM2の熱を熱交換する熱交換器12−5が設置されている。この熱交換器12−5には追焚循環路8−11を介して浴槽60が接続されている。したがって、浴槽水BWの追焚時、循環ポンプ14−4の駆動により、浴槽水BWが追焚循環路8−11により熱交換器12−5に循環し、浴槽水BWに熱媒HM2の熱が熱交換される。
【0056】
この給湯システム52には既述の制御部32(
図10)を用いればよい。この実施例4は、制御部32での残湯無し判断に基づき、混合弁16−2の制御やバーナー19の燃焼制御が行われる。残湯無し判断は、温度センサー10−1の検出温度T1と設定温度Tとの対比で行えばよく、たとえば、T1<Tに移行した時点で、温水HWのみつまり、補助加熱を用いないで設定温度Tでの給湯不能の際に残湯無しとすればよい。
このような給湯システム52によれば、給湯ユニット4−2と同様の温水調整機能により熱媒HM2による温水HWの加熱およびその制御を行うことができる。
【0057】
<実施例1〜4の効果>
この実施例1〜4によれば、次のような効果が得られる。
(1) 斯かる構成によれば、給湯システム52の給湯機能を給湯ユニット4−2の温度調整機能に活用することができる。したがって、給湯ユニット4−2を設置する際に既存の給湯装置を利用できる。
(2) このようなシステムを用いれば、既述したように、熱媒タンク6の熱媒HM1を先行的に使用するので、熱媒タンク6の熱媒HM1の利用効率を高めることができ、しかも、温水HWの設定温度Tでの安定出湯が行える。
(3) 熱媒HM2は上記実施例では事前に燃焼動作を行ない、75〔℃〕以上に加熱されるので、熱交換器12−2を通過した温水HWは75〔℃〕以上に加熱され、加熱された温水HWが得られ、極めて衛生的である。
【0058】
〔他の実施の形態〕
a)上記実施例では、給湯システム52に貯湯タンクを備えていないが、貯湯タンクを備える構成としてもよい。
b) 実施例1では、熱媒循環路8−8にアキュームレータ28を備えているが、アキュームレータ28を省略した構成としてもよい。
【0059】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。