特許第6982873号(P6982873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982873
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 13/00 20060101AFI20211206BHJP
   A01D 17/02 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   A01D13/00
   A01D17/02
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-24267(P2018-24267)
(22)【出願日】2018年2月14日
(65)【公開番号】特開2019-136004(P2019-136004A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】湯原 光治
【審査官】 佐藤 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−242568(JP,A)
【文献】 特開2011−026089(JP,A)
【文献】 特開平07−089509(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01133909(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00
A01D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を搬送する第1搬送手段と、
この第1搬送手段からの農作物を搬送するとともに、土を落下隙間から落下させる第2搬送手段と、
この第2搬送手段の前記落下隙間を通り抜けて落下した農作物を前記第1搬送手段に戻して再度搬送させる第3搬送手段と
を備えることを特徴とする収穫機。
【請求項2】
前記第1搬送手段は、回行しながら農作物を搬送する無端状の搬送体を有し、
前記搬送体は、前記第3搬送手段によって戻された農作物を掬い上げて再度搬送する
ことを特徴とする請求項1記載の収穫機。
【請求項3】
前記第1搬送手段は、土を圃場に排出するための土排出口が形成された弾性体を有し、
前記第1搬送手段の前記搬送体は、前記第3搬送手段によって戻されて前記弾性体上に載置された農作物を掬い上げて再度搬送する
ことを特徴とする請求項2記載の収穫機。
【請求項4】
前記弾性体は、脱着可能な弾性板によって構成されている
ことを特徴とする請求項3記載の収穫機。
【請求項5】
前記第2搬送手段の前記落下隙間は、調整可能である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の収穫機。
【請求項6】
前記第2搬送手段は、駆動源からの動力に基づいて回転しながら農作物を搬送方向に搬送する複数の搬送回転体を有し、
前記搬送方向に隣接する前記搬送回転体間には、前記第3搬送手段上に土を落下させるための前記落下隙間が存在する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の収穫機。
【請求項7】
前記第3搬送手段は、前記第2搬送手段の前記落下隙間から落下した土及び農作物を搬送して前記第1搬送手段内に供給する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の収穫機。
【請求項8】
前記第3搬送手段の搬送終端部は、前記第1搬送手段の後カバー体の上端部の近傍に位置する
ことを特徴とする請求項7記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物を収穫する収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された収穫機が知られている。
【0003】
この従来の収穫機は、農作物を搬送する第1搬送手段と、この第1搬送手段からの農作物を搬送するとともに土を落下隙間から落下させる第2搬送手段と、落下隙間から落下した土を第1搬送手段側へ搬送して搬送終端部から圃場に排出する第3搬送手段とを備えている。
【0004】
また、第2搬送手段は、前高後低の傾斜状の分離レーキからなり、この分離レーキは複数本の棒状部材を有し、これら複数本の棒状部材のうち左右方向に隣接する棒状部材間に落下隙間が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−191211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の収穫機では、例えば比較的大きな土の塊も分離レーキの落下隙間から落下するように、その落下隙間を大きくすると、収穫すべき農作物まで落下してしまい、その落下した農作物は分離レーキの搬送終端部から圃場に排出されることになる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、収穫すべき農作物が圃場に排出されるのを防止できる収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る収穫機は、農作物を搬送する第1搬送手段と、この第1搬送手段からの農作物を搬送するとともに、土を落下隙間から落下させる第2搬送手段と、この第2搬送手段の前記落下隙間を通り抜けて落下した農作物を前記第1搬送手段に戻して再度搬送させる第3搬送手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、収穫すべき農作物が圃場に排出されるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る収穫機の全体側面図である。
図2】同上収穫機の要部側面図である。
図3】同上収穫機の要部平面図である。
図4図3におけるA矢視図である。
図5図3におけるB矢視図である。
図6】同上収穫機の第1搬送手段の下端部の斜視図である。
図7】同上収穫機の第1搬送手段の下端部の側面図である。
図8】同上収穫機の第2搬送手段の落下隙間の大きさを調整した後の要部平面図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係る収穫機の要部側面図である。
図10】同上収穫機の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図8を参照して説明する。
【0012】
図中の1は収穫機で、この収穫機1は、走行手段であるクローラ2の駆動によって圃場を前方(進行方向)に移動しながら、圃場の農作物WをコンテナK内に収穫する自走式収穫機である。なお、収穫物である農作物Wは、例えば圃場の畝に生育したサツマイモ(根菜類)である。
【0013】
収穫機1は、図1に示すように、圃場の農作物Wを土中から掘り取って搬送する掘取搬送手段3を備え、この掘取搬送手段3には、左右1対のゲージ輪4がゲージ輪支持体5を介して取り付けられている。
【0014】
また、収穫機1は、掘取搬送手段3からの農作物Wを斜め後上方に持上搬送する第1搬送手段(持上搬送手段)6と、この第1搬送手段6からの農作物Wを後方に搬送するとともに、第1搬送手段6からの土(土塊を含む)を落下隙間10から落下させる土分離用の第2搬送手段(土分離搬送手段)7とを備えている。
【0015】
そして、第2搬送手段7の下方には、落下隙間10から落下した土を第1搬送手段側(前方)に搬送するとともに、落下隙間10を通り抜けて落下してしまった農作物W、すなわち例えば比較的小さな農作物W(W1)を第1搬送手段6内に戻してその第1搬送手段6に再度持上搬送させる第3搬送手段(土搬送手段)8が設けられている。
【0016】
さらに、収穫機1は、第2搬送手段7からの農作物Wを後方に搬送する選別搬送手段11と、この選別搬送手段11からの農作物Wが収納されるコンテナKを脱着可能に支持するコンテナ支持手段12とを備えている。
【0017】
なお、収穫機1の機体13にはステップ14が設けられ、このステップ14上に乗った作業者が選別作業(収穫すべき農作物WのみがコンテナK内に収納されるように、例えば落下隙間10から落下しなかった大きな土塊や、傷付いた不要な農作物等を取り除く作業)を行う。また、機体13にはクローラ2等を駆動するためのエンジン15や、作業者が操作する操作手段等も設けられている。
【0018】
掘取搬送手段3は、圃場の農作物Wを掘り取る掘取刃16と、この掘取刃16で掘り取られた農作物Wを搬送しながらその搬送途中で土を圃場に落下させて除去する無端状の搬送体17とを有している。搬送体17は、エンジン15からの動力に基づいて所定方向に回行しながら農作物Wを搬送する。
【0019】
第1搬送手段6は、図2等にも示されるように、エンジン15からの動力に基づいて所定方向に回行しながら農作物Wを持上搬送する無端状の搬送体21を有している。
【0020】
搬送体21は、回転部材22に掛け渡された左右1対の無端部材23と、これら両無端部材23に架設された左右方向長手状の複数本の長手部材24と、これら複数本の長手部材24のうち互いに間隔をおいた所定の長手部材24に設けられた複数の爪部材25とを有している。複数の爪部材25は、左右方向に間隔をおいて並設され、これら複数の爪部材25によって農作物Wが持上搬送される。
【0021】
また、第1搬送手段6は、搬送体21の側方を覆う左右の側カバー体である側カバー板26と、搬送体21の後方を覆う後カバー体である後カバー板27と、搬送体21の下方を覆う下カバー体である下カバー板28とを有している。なお、これら側カバー板26、後カバー板27及び下カバー板28によって、前方に開口した略箱状の搬送体カバー部29が構成されている。
【0022】
後カバー板27は、後方側に折れ曲がった屈曲部30を上端部に有し、この屈曲部30が第3搬送手段8の搬送終端部に近接して位置している(図4参照)。つまり、第3搬送手段8の搬送終端部は、第1搬送手段6の後カバー板27の上端部(屈曲部30)の近傍に位置している。
【0023】
下カバー板28は、下側の回転部材22の回転中心を中心とする円弧状の円弧板部31と、この円弧板部31の左右の側端部に立設された取付板部32と、円弧板部31の前端部に斜め前上方に向かって一体に突設された傾斜板部33とを有している。
【0024】
下カバー板28の円弧板部31には、この円弧板部31の略全体にわたる大きな開口部35が形成されている。そして、この土排出用の開口部35のうち、前半部35aの全体及び後半部35bの一部は、土を圃場に排出するための長孔状の土排出口36が左右方向に間隔をおいて複数形成された弾性変形可能な湾曲状の弾性体である弾性板(例えばゴム板)37によって閉鎖されている。
【0025】
弾性板37は、取付手段41,42,43によって後カバー板27及び下カバー板28に対して脱着可能に取り付けられている。つまり、弾性板37は、取付手段41で後カバー板27の外面に取り付けられ、かつ、取付手段42,43で下カバー板28の円弧板部31の内面(上面)に取り付けられている。
【0026】
そして、下カバー板28の円弧板部31の上面は、この上面に沿って変形して円弧状となった弾性板27によって覆い隠されている。また、後カバー板27の下端部と下カバー板28の円弧板部31の後端部との間に位置する開口部40に弾性板37が挿通され、この弾性板37によって当該開口部40が閉鎖されている。
【0027】
また、下カバー板28の傾斜板部33にはクッション板44及び押え板45が取付手段46で脱着可能に取り付けられ、この押え板45と下カバー板28とで弾性板37の前端部37aが挟持されている。また、例えばゴム製のクッション板44は、掘取搬送手段3からの農作物Wを受け取って搬送体21の爪部材25の表面上に案内する傾斜状の案内体である。
【0028】
さらに、第1搬送手段6は、搬送体21と後カバー板27との間に位置する第1内部空間部48と、搬送体21と弾性板37との間に位置する第2内部空間部49とを有している。そして、これら互いに連通した両内部空間部48,49によって、第3搬送手段8の搬送終端部から搬出された農作物W(W1)及び土(土塊を含む)が通る戻し空間50が構成されている。
【0029】
弾性板37の各土排出口36は、その戻し空間50を通ってきた農作物W(W1)が通過不可能な大きさに形成されている(図6参照)。また、第3搬送手段8によって第1搬送手段6内の戻し空間50に投入された農作物W(W1)や土塊は、搬送体21の爪部材25の裏面上に載って下方搬送されることもあるが、爪部材25の裏面上に載らなかった場合には傾斜状の後カバー板27に沿って弾性板37上まで滑落する。
【0030】
第2搬送手段7は、図3ないし図5等にも示されるように、駆動源であるモータ20からの動力に基づいて所定方向に回転しながら農作物Wを搬送方向に搬送する複数(例えば3本)の搬送回転体51を有している。そして、当該搬送方向に互いに隣接する前後の搬送回転体51間には落下隙間10が存在しており、この落下隙間10の大きさは、圃場の土質等に対応できるように調整可能となっている。
【0031】
なお、落下隙間10は、第3搬送手段8上に土等の夾雑物を落下させるためのものであるが、農作物Wの姿勢や形状等によっては、本来収穫すべき農作物(例えば通常よりも小さな農作物W1)Wもその落下隙間10から落下してしまうことがある。
【0032】
ここで、各搬送回転体51は、左右の側板52に回転可能に架設された左右方向長手状の回転軸53を有し、この回転軸53には、ローラ部材(選別ローラ)55、第1スペーサ部材(大スペーサ)56及び第2スペーサ部材(小スペーサ)57が脱着可能に取り付けられている。両スペーサ部材56,57は大きさが異なるものであり、第1スペーサ部材56の幅寸法は例えば12mmで、第2スペーサ部材57の幅寸法は例えば4mmである。ローラ部材55は、農作物Wを搬送する円形の径大部55aを有している。
【0033】
そして、回転軸53に対するローラ部材55、第1スペーサ部材56及び第2スペーサ部材57の位置変更や、ローラ部材55の向き変更等によって、落下隙間10の大きさを調整することが可能である(図8参照)。
【0034】
例えば圃場の土が固まり易い場合には、土塊が大きくなるので、ステップ14上の作業者(選別作業者)の負担が軽減されるよう大きな土塊も落下させるために、落下隙間10の大きさを比較的大きくすることが好ましい。他方、例えば圃場の土が砂に近く固まり難い場合には、農作物Wは落下せず、細かな土だけを落下させるために、落下隙間10の大きさを比較的小さくすることが好ましい。
【0035】
また、図5に示すように、モータ20は右側の側板52に取り付けられ、このモータ20の出力軸20aには駆動スプロケット61が固着されている。各搬送回転体51の回転軸53の端部には、従動スプロケット62がそれぞれ固着されている。
【0036】
そして、これら複数のスプロケット61,62には第1チェーン63が掛け渡され、この第1チェーン63にはガイドローラ64及び分岐スプロケット65が係合している。また、この分岐スプロケット65と第3搬送手段8の駆動回転体82に固着されたスプロケット66とには、第2チェーン67が掛け渡されている。
【0037】
こうして、第2搬送手段7及び第3搬送手段8は、共通の1つの駆動源であるモータ20からの動力に基づいて駆動する構成となっている。なお、例えば図示しないが、両搬送手段7,8がエンジン15からの動力に基づいて駆動する構成でもよく、両搬送手段7,8がそれぞれ個別の駆動源からの動力に基づいて駆動する構成等でもよい。
【0038】
また、図4に示すように、第2搬送手段7は、搬送回転体51の各ローラ部材55に付着した土を掻き取る複数のスクレーパ68を有している。各スクレーパ68は、両側板52に架設された左右方向長手状の取付板69に取り付けられている。
【0039】
さらに、第2搬送手段7は、第1搬送手段6からの農作物Wを受け取って搬送回転体51のローラ部材55上に案内する複数の案内爪71を有している。各案内爪71は、両側板52に架設された左右方向長手状の爪取付板72に取り付けられている。そして、搬送体21の爪部材25は、互いに隣接する案内爪71間の空間部73を通過する(図3参照)。
【0040】
第3搬送手段8は、モータ20からの動力に基づいて所定方向に回行しながら、落下隙間10から落下した土(土塊を含む)及び農作物W(W1)を前方に搬送して第1搬送手段6の戻し空間50に投入(供給)する無端状の搬送体である搬送ベルト81を有している。
【0041】
搬送ベルト81は、前後の駆動回転体82及び従動回転体83に掛け渡され、この駆動回転体82の軸部82aの端部にはスプロケット66が固着されている。そして、搬送ベルト81は、モータ20からの動力による駆動回転体82の回転に基づいて所定方向に回行する。なお、駆動回転体82は、後カバー板27の屈曲部30の上方近傍位置に配置されている。
【0042】
選別搬送手段11は、図1に示されるように、前後方向に並ぶ2つのベルトコンベヤ部86,87によって構成されている。そして、両ベルトコンベヤ部86,87間には、土排出用の隙間88が存在している。
【0043】
また、コンテナ支持手段12は、容器であるコンテナKが載置される載置台89と、コンテナKの紐が引っ掛けられる引掛受け部90とを有している。
【0044】
次に、上記収穫機1の作用等を説明する。
【0045】
収穫機1が進行方向に向かって走行移動すると、圃場の農作物Wは、掘取搬送手段3によって掘り取られて搬送された後、第1搬送手段6の搬送体21によって持上搬送される。
【0046】
その後、農作物Wは、ローラコンベヤ式の第2搬送手段7の搬送回転体51によって搬送された後、選別搬送手段11によって搬送され、この選別搬送手段11の搬送終端部から搬出されてコンテナK内に収納される。
【0047】
ここで、第2搬送手段7では、隣接する搬送回転体51間の落下隙間10から土(土塊を含む)が落下するが、比較的小さな農作物W(W1)までもが落下隙間10を通り抜けて落下してしまう場合がある。
【0048】
そして、落下隙間10から落下した農作物W(W1)は、第3搬送手段8の搬送ベルト81によって搬送され、第1搬送手段6内の戻し空間50内に投入される。
【0049】
この投入された農作物W(W1)は、戻し空間50内を通って下方へ移動して弾性板(第1搬送手段6の下端部に位置する載置部)37上に一時的に載置される。次いで、その弾性板37上の農作物W(W1)は、第1搬送手段6の搬送体21の爪部材25によって掬い上げられて再度持上搬送される。
【0050】
そして、その農作物W(W1)は、再び第2搬送手段7上まで送られるが、当該第2搬送手段7上における姿勢や向きによっては落下隙間10から落下せず、第2搬送手段7から選別搬送手段11へ乗り移り、コンテナK内に収納される。
【0051】
一方、落下隙間10から落下した土は、第3搬送手段8の搬送ベルト81で搬送されてこの搬送ベルト81の搬送終端部から戻し空間50内に投入されると、その戻し空間50内を通って弾性板37上まで落下した後、この弾性板37の土排出口36から圃場に排出される。
【0052】
また、落下隙間10から落下した土が土塊であれば、その土塊は、搬送ベルト81上や弾性板37上において落下の衝撃等によって崩れるため、崩れて細かくなった土が土排出口36から圃場に排出される。
【0053】
なお、例えば崩れ難い硬い土塊であっても、第3搬送手段8によって第1搬送手段6へ繰り返し戻されることで徐々に小さくなり、最終的には土排出口36から圃場に排出される。
【0054】
そして、収穫機1によれば、第2搬送手段7の落下隙間10を通り抜けて落下した農作物Wを、第1搬送手段6に戻して再度搬送させる農作物戻し用の第3搬送手段8を備えるため、収穫すべき農作物Wが土とともに圃場に排出されるのを防止できる。
【0055】
また、比較的大きな土塊も落下隙間10から落下させて分離できるので、選別搬送手段11上に送られる土塊を少なくでき、ステップ14上に乗った作業者のの負担軽減を図ることができる。
【0056】
さらに、第1搬送手段6は、土排出口36が形成されたゴム板等の弾性板37を有するため、落下する農作物Wの損傷を防止できるばかりでなく、石等が弾性板37の土排出口36に挟まって爪部材25を破損する不具合を防止できる。
【0057】
また、弾性板37は、搬送体カバー部29に脱着可能に取り付けられているため、弾性板37を容易に交換でき、メンテナンスも容易である。
【0058】
さらに、第2搬送手段7の落下隙間10の大きさが調整可能であるため、圃場の土質等に適切に対応することができる。
【0059】
次に、本発明の第2の実施の形態について図9及び図10を参照して説明する。
【0060】
この第2の実施の形態では、第2搬送手段7は、前高後低の傾斜状の分離レーキ91によって構成されている。この分離レーキ91は、左右方向に間隔をおいて並ぶ前後方向長手状の複数本の棒状部材92を有し、これら複数本の棒状部材92は、両側板52に架設された左右方向長手状の取付部材である取付バー93に取り付けられている。そして、互いに隣接する棒状部材92間には落下隙間10が存在し、この落下隙間10から土(土塊を含む)及び小さな農作物W(W1)が落下する。
【0061】
また、第3搬送手段8は、前低後高の傾斜状のシュート95によって構成され、この板状のシュート95は両側板52に架設されている。このシュート95の搬送終端部は、第1搬送手段6の後カバー板27の上端部(屈曲部30)の近傍に位置している。そして、分離レーキ91の落下隙間10から落下した土及び農作物W(W1)は、シュート95によって搬送され、第1搬送手段6内の戻し空間50内に投入される。
【0062】
そして、この第2の実施の形態でも、収穫すべき農作物Wが圃場に排出されるのを防止できる等、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、例えば取付バー93に対する棒状部材92の移動によって落下隙間10の大きさを調整可能な構成としてもよい。
【0063】
なお、上記いずれの実施の形態においても、農作物Wは、サツマイモには限定されず、例えばジャガイモ等でもよい。
【0064】
また、収穫機1は、圃場の農作物Wを土中から掘り取って収穫するものには限定されず、例えば圃場上の農作物Wを拾い上げて収穫するものでもよく、また自走式ではなく走行車に連結する牽引式でもよい。
【0065】
さらに、第2搬送手段7は、3本の搬送回転体51を有するものには限定されず、例えば搬送回転体の本数を増やすことより、第2搬送手段を前後方向に長くして選別搬送手段を兼ねた構成としてもよい。
【0066】
また、例えば弾性体の土排出口の大きさが調整可能な構成でもよく、また例えば弾性体を設けずに下カバー体に土排出口を形成した構成等でもよい。さらに、例えば第3搬送手段をローラコンベヤ等で構成してもよい。
【0067】
なお、本発明のいくつかの実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記各実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0068】
W 農作物
1 収穫機
6 第1搬送手段
7 第2搬送手段
8 第3搬送手段
10 落下隙間
20 駆動源であるモータ
21 搬送体
27 後カバー体である後カバー板
36 土排出口
37 弾性体である弾性板
51 搬送回転体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10