特許第6982879号(P6982879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6982879電磁ピストン圧縮を用いた圧縮空気による発射体の発射装置、及び関連制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982879
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】電磁ピストン圧縮を用いた圧縮空気による発射体の発射装置、及び関連制御方法
(51)【国際特許分類】
   F41B 11/64 20130101AFI20211206BHJP
【FI】
   F41B11/64
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-525344(P2018-525344)
(86)(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公表番号】特表2018-535383(P2018-535383A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】EP2016078034
(87)【国際公開番号】WO2017085202
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年11月8日
(31)【優先権主張番号】1561055
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】592153584
【氏名又は名称】株式会社東京マルイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】特許業務法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】ルマコン ギー
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02568432(US,A)
【文献】 中国実用新案第204313712(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41B 11/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レプリカ武器に一体的に装着されることを目的とし、電気エネルギー源に繋がって、圧縮空気により発射体Bを発射する装置であって、
電磁手段(12)を受容するシース(10)を備え、前記電磁手段(12)は、発射管(50)を有する前記シース(10)の前部(10−1)をシールするスラストノーズ(14)と、前記シース(10)の後部(10−2)をシールする尾部(18)との間にて、前記シース(10)の内部でピストン(34)を移動させ、
前記ピストン(34)を移動させる前記電磁手段(12)は、前記尾部(18)と一体化している永久磁石(24)と、前記ピストン(34)上に配置され、前記電気エネルギー源と電気的に連結されている導線のコイル(38)とを備え、
前記シース(10)は、前記シースのシリンダ母線に沿って配置されており、貫通スリットである、少なくとも1つのスリット(16−1、16−2)を備え、前記ピストン(34)の後部から突き出されている前記コイル(38)を形成する前記導線の端部(38−1、38−2)は、それぞれ前記ピストン(34)の後部と一体化している剛性導電端子(40−1、40−2)に一体的に固定されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記シース(10)内の可動式ピストン(34)を移動させる前記電磁手段(12)が、前記永久磁石に関連付けられたフィールドコンセントレータを備えることを特徴とする、請求項1に記載の圧縮空気により発射体Bを発射する装置。
【請求項3】
前記尾部(18)、前記永久磁石(24)、及びフィールド板(28)が孔(20、26、30)を有することを特徴とする、請求項1または2記載の圧縮空気により発射体Bを発射する装置。
【請求項4】
前記フィールド板(28)の孔と、前記尾部(18)の裏面(22)の孔とは、通気孔を有することを特徴とする、請求項3に記載の圧縮空気により発射体Bを発射する装置。
【請求項5】
前記ピストン(34)は、前記シース(10)の内面に対してシールを確立する手段(46)を担持することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧縮空気により発射体Bを発射する装置。
【請求項6】
前記シース(10)の内面に対してシールを確立する手段(46)は、少なくとも1つの周辺溝(48)の形をしているシール動的シールであることを特徴とする、請求項5に記載の圧縮空気により発射体Bを発射する装置。
【請求項7】
前記スラストノーズ(14)は、前端(50−1)と後端(50−2)とを有する発射管(50)と、前記ピストン(34)の形状と一致する形状を有するキャップ(52)と、前記シース(10)の内壁とのシールを確立する手段(54)と、前記発射管(50)を元の位置に戻す復帰手段(64)とを備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧縮空気により発射体Bを発射する装置。
【請求項8】
前記復帰手段(64)は、前記発射管(50)に組み込まれて一部を成す前側止め具(66)と、前記発射管に取り付けられ、前記止め具を支承するリテーナ(68)と、2つの半殻(70−1、70−2)として形成され、周辺サークリップ(74)により固定されて前記発射管(50)の周りの封鎖を目的とする、円筒状ハウジング(70)と、前記ハウジング(70)の後端と前記リテーナ(68)との間に挟まれるバネ(72)とを備えることを特徴とする、請求項7に記載の圧縮空気により発射体Bを発射する装置。
【請求項9】
前記シース(10)及び前記尾部(18)は、炭素含有量が非常に低い軟鉄、或いは鉄/コバルト合金から選ばれる金属からなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧縮空気により発射体Bを発射する装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置を制御する方法であって、
前記シース(10)内の前記ピストン(34)の前記コイル(38)に+/−極性の電流を供給し、前記ピストンを前記止め具に達するまで後方に平行移動させるステップと、
前記コイル(38)に供給する電流の−/+極性を逆転させ、前記ピストン(34)を前記スラストノーズ(14)に当接するまで前方に平行移動させるステップとを実行することを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記ピストン(34)の前記コイル(38)に+/−極性の電流を供給し、前記ピストンを後方に移動させるステップと、
前記ピストン(34)が前記止め具に当接する前に前記コイル(38)に供給する電流の−/+極性を逆転させ、前記ピストンを減速するステップと、
前記ピストン(34)の前記コイル(38)に−/+極性の電流を供給し、前記ピストンを前方に移動させるステップと、
前記ピストン(34)が前記スラストノーズ(14)に当接する前に前記コイル(38)に供給する電流の+/−極性を逆転させ、前記ピストンを減速させるステップとを実行することを特徴とする、請求項10に記載の装置を制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁ピストンによって圧縮された圧縮空気を用いて発射体を発射する装置に関する。
【0002】
本発明は更に、電磁ピストンによる圧縮を用いて発射する装置を制御する方法を含む。
【背景技術】
【0003】
「Airsoft」と呼ばれるレクリエーションスポーツは、チームゲームにレプリカの武器や発射体を使用している。
【0004】
当該スポーツをレクリエーションやスポーツゲームの領域に留まらせるために、発射体のパワーは制限される。
【0005】
長年に渡り、様々な構成が提案されてきた。
【0006】
現存する構成として、圧縮ガスの貯蔵部を用い、必要に応じてガス貯蔵部から一定量の圧縮ガスを放出して発射体を押し出す方法がある。貯蔵部の大きさは多様であっても良いが、問題は容積である。容積は十分であるが圧縮容器が大きすぎるか、小容量のカートリッジを用いる代わりに可能発射回数を減らすか、二者択一を強いられてしまう。
【0007】
更に、圧縮容器を充填するかカートリッジを購入しなければならないが、何れもあまり満足の行く方策ではない。
【0008】
幅広く普及されているもう1つの一般的な構成といえば、電気機械手段に基づくものである。電気機械手段は、電気モータと、該モータによる駆動されるギア組、つまり所謂ギアボックスとを備える。ギア組は2つの機能を有する。スラストノーズに発射体を供給する機能、そして該発射体を圧縮空気を用いてスラストノーズから押し出す機能である。
【0009】
スラストノーズは中空のチューブであり、固定加圧室にシール状態で連結されている。当該アセンブリは、レプリカ武器に受容されることを目的とする。
【0010】
スラストノーズは、該スラストノーズの前方にペレットを挿入できる後方位置と、レプリカ武器のバレルに該スラストノーズが発射体を導入できる前方位置との2つに位置することができる。
【0011】
該発射体は、通常はペレットであり、貯蔵部からスラストノーズの前方にある位置に出てくる。
【0012】
固定加圧室は、該加圧室内で平行移動ができる可動式ピストンを備える。
【0013】
可動式ピストンの前部は、該ピストンが内部で平行移動する固定加圧室とシールを形成する手段を担持する。ピストンの後部は、該ピストンの後部に挟まれているバネの一端を支承しており、該バネの他端は、電磁手段を全て含むハウジングの底部を支承している。
【0014】
ギアとモータは、一般的にバネを圧縮するラックを用いて、固定加圧室内でピストンを該加圧室の後方に向かって移動させる。ピストンができるだけ遠く後方に平行移動すると、同時にバネは最大限に圧縮される。
【0015】
ピストンを駆動するギアは無歯パッドを有する。最大圧縮の直後に該パッドが回転すると、該ギアはピストンを解放し、ピストンはバネの緩みにより前方に押し出され、加圧室に入る。この変位により、加圧室内の空気が圧縮される。これにより、スラストノーズ内の空気が大いに加速され、加速された空気が発射体、つまりバレル内のパレットを押し出すことになる。該機構は、モータに電力を供給する電池やバッテリーに蓄電できる電気エネルギーを用いるため、非常に魅力的といえる。
【0016】
この類のエネルギーは、非常に実用的である上に、入手や再充電の容易性、自立性にも優れている。しかしながら、この場合、推力をバネに全的に依存しており、知られているように、バネの性質は、経時や温度により変化する。バネは、推力が最初に生じたときはパワーが大きくても、移動につれ最後には消失するため、推力が一定でないという大きな欠点を抱えている。
【0017】
最後に、電気機械手段は、特に摩擦のせいで、大量のエネルギーを消費してしまう。
【0018】
その代わりに、一定の解放出力、或いは漸増的解放出力を用いることで、慣性を相殺し、ペレットが動くと一気に加速して、言い換えれば、ペレットの加速を制御することでエネルギーの移動を最適化してパレットを射出する方法が考えられる。
【0019】
しかしながら、同様に、バネ/ピストンの解放と、移動後のバネ/ピストンの停止は、明らかに柔軟性の損失に繋がり、発射の精度に影響を及ぼすので、当然、射手の不快感を誘ってしまう。
【0020】
従って、当該分野は、電気エネルギーの利点をそのまま生かす、つまりできるだけ電力消費量を低減して発射回数やそれと類似のものを増やすことでレプリカ武器の重量を減らし、振動、衝撃、騒音をほぼ生じさせない機構を必要とする。
【0021】
電気機械手段は、ギアの噛み合いにより必ず何らかの騒音を発する上に、音響増幅器のように機能する閉鎖空間内ではその傾向がより顕著であるので、射手の隠蔽を妨害するため、機構の騒音を低減すると、実際に役立つはずである。
【0022】
当該分野は、同じエネルギー消費量で最適の出力を出す技術的性能を必要とするので、よって発射体の射出効率が向上する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明は、従来技術の問題を克服できる新しい特性を提供し、更には発射装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の装置、並びにその制御方法につき、特定の実施形態を以って詳細に説明するが、本発明は当該実施形態に限定される訳ではない。当該説明は、添付の図面を参照して行われる。各図は、以下のようになる。
図1】本発明による発射装置の斜視図。
図2図1の装置における様々な構成要素の分解図。
図3】可動式ピストン、コア、フィールドコンセントレータの分解詳細図。
図4】電磁発射手段の組立て後の詳細断面図。
図5】スラストノーズの分解斜視図。
図6】スラストノーズの組立て後の断面図
図7】本発明による電磁発射装置の動作を示す基本ブロック図。
図8】本発明による電磁発射装置の制御方法を説明する段階図。
図9】作動中の磁束の説明図。
図10】フィールド板と尾部における通気孔の第1実施形態。
図11】フィールド板と尾部における通気孔の第2実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を、図1及び図2を参照しながら説明し、本発明による電磁発射装置の構成部品を規定する。
【0026】
これらの構成要素は、レプリカ武器となるハウジングに組み込むことを目的として設計したものである。レプリカ武器は、本発明による発射装置により射出される発射体を誘導する少なくとも1つのバレルを備える。
【0027】
電気エネルギー源(図示せず)は、本発明の発射装置に作動可能に連結されていなければならないが、該エネルギー源は本発明の一部ではなく、当業者の裁量に任せる。
【0028】
図示のシース10は、可動電磁手段12とスラストノーズ14とを受容する。
【0029】
シース10は、直径D1の円筒形内側形状を有する。シースの材質としては、炭素含有量の非常に低い軟鉄、或いは鉄/コバルト合金が好ましい。
【0030】
シースの前端10−1の近傍には、環状溝10−3がシースの内壁に形成されている。
【0031】
一実施形態によると、シース10はそれぞれシースのシリンダ母線に沿って配置されている、つまり平行に並んでいる少なくとも1つのスリットを備える。この場合は、スリット16−1、16−2の2つである。これらのスリットは貫通スリットであり、シースの内部に位置し、該シースの外側と連通する。
【0032】
スリット16−1、16−2は、長さを有し、シース10の後端10−2から略延在する。
【0033】
シース10は、図3〜5に詳細に図示されているように、電磁発射手段12を受容する。電磁手段12は、シース10の後端10−2に、炭素含有量の非常に低い軟鉄、或いは鉄/コバルト合金からなる尾部18を備える。該尾部は、D1より大きい直径D2の旋削部分によりシース10の後端に固定され、シースを厚さ方向に受け止めるので、図1に示されているように、外径D1がシースの外径D1と同じになる。
【0034】
尾部18は、D2より大きい直径D3の第2旋削部分を備え、循環空間である空間を生成する。
【0035】
好ましい実施形態において、該尾部18は、直径の軸方向通過孔20を有するのが好ましい。該孔は、尾部の前側20−1と背側20−2との間に通じている。尾部の背面22は、装置の裏部を構成する。電磁手段12は更に、尾部18に取り付けられ一体的に固定されている永久磁石24を備える。該永久磁石は、D3と同じ直径を有する円筒形バーの形状を取っている。
【0036】
永久磁石24は、磁石24の前端が尾部18の背面22から距離L1だけ離れるほどの長さを有する。
【0037】
永久磁石24は軸方向に磁化されている。つまり、バーの前端はN極を、後端はS極を構成する。
【0038】
永久磁石24には、やはり直径の中央軸方向孔26が穿孔されている。
【0039】
フィールド板28は、永久磁石24に取り付けられている。フィールド板28は軟鉄からなり、外径D3を有する環状に形成されている。フィールド板28には、やはり直径を有する中央軸方向孔が穿孔されている。
【0040】
当該スタックは、例えばエラストマーからなる環状のダンパー32を備える。該ダンパーは、フィールド板28に取り付けられ、同じ外径を有する。この環にも中央孔がある。
【0041】
電磁発射手段12は、ピストン34により完成される。当該ピストンは円筒形の断面、並びにD2−eの外径とD3+eの内径を有する。ここでは、ギャップ、又はクリアランスである。よって、ピストン34の厚さは、クリアランスだけ離れている循環空間Eと略同じになる。
【0042】
ピストンは、シース10の内部に前方ガイド領域34−1と、後方ガイド領域34−2とを備える。
【0043】
前方ガイド領域34−1と後方ガイド領域34−2の間には、旋削部分36がピストン上に形成され、少なくとも1つの層において、例えば銅やアルミニウムの導線からなるコイル38を受容する。
【0044】
当該コイル38を形成する導線の端部38−1及び38−2は、ピストンの後部に突出し、例えば剛性導電端子40−1、40−2によって、それぞれ電気エネルギー源(図示せず)に接続する。該接続は例えば、電気エネルギー源と剛性導電端子とを接続する可撓性編組コネクタ42−1、42−2により成される。
【0045】
電気的接続に加えて、剛性端子40は、機械的ガイドや回転防止効果を提供するが、これは端子40がスリット16−1、16−2を通過するように設計されているためである。
【0046】
前方ガイド領域34−1の上流側、つまりピストン34の前方には、該ピストン34の一部として形成されているピストンヘッド44がある。
【0047】
該ヘッド44は、最大直径φの丸い端部を有するニップル状である。
【0048】
ニップル状は、優れた空気透過係数を有する。
【0049】
シース10の内面に対してシールを確立する手段46は、該ピストン34に担持されている。シール手段46は、少なくとも1つの区画シールであっても良く、この場合のように、動的シールであっても良い。
【0050】
動的シールでは、少なくとも1つの周辺溝48(本実施形態では前方ガイド領域34−1に沿う3つの溝)を、ピストンとシースの内面との空間が最小である領域に設ける。これらの溝は不規則的に離隔されており、異なる深度を持って漏れを除去する低圧領域を生成しても良い。これらの溝により、区画又はシールの機械的摩擦を回避することができる。
【0051】
スラストノーズ14は、図5及び図6に詳細に示されているように、前端50−1と後端50−2とを有する発射管50を備える。
【0052】
後端は、該発射管の一部を成すキャップ52を担持し、該キャップは、ピストン34の形状、特にピストン34のヘッド44の形状と一致する形状を有し、更に、前記ピストンを収容できるようにφより大きい直径Φを有する。
【0053】
該キャップ52は、シース10の内面と共にシールを確立する手段54を備える。当該手段54は、少なくとも1つの周辺溝の形を取り(本実施形態では溝54−1及び54−2)、それぞれは、Oリング型シールの56−1及び56−2であるシール56を受容することを目的とする。
【0054】
Oリングはシース10の内面と共にシールを確立する。キャップ52は、ピストンのヘッド44を受容し、補強材58は、特に図7に示される接触面に面して配置される。
【0055】
Oリング型シール60は、発射管50の後端50−2にて内壁に形成された溝62内に配置される。該領域は、図6に示されているように、補強材58により補強されていても良い。
【0056】
シール60の内径はピストンのヘッド44の前先端の内径より小さく、前先端とのシールがより確実なものとなる。
【0057】
スラストノーズ14は更に、スラストノーズ14を元の位置に戻す復帰手段64を備える。
【0058】
復帰手段64は、発射管に組み込まれて一部を成す前側止め具66と、発射管に取り付けられ、該止め具を支承するリテーナ68と、2つの半殻70−1、70−2として形成され、発射管50の周りの封鎖を目的とする円筒状ハウジング70と、ハウジング70の後端とリテーナ68との間に挟まれるバネ72とを備える。
【0059】
円筒状ハウジング70の半殻2つは、位置付けピンにより、更には溝76に収容された周辺サークリップ74により、適所に保持されている。
【0060】
該構成を、図7に示す。
【0061】
基本的な動作の概要は、これらの図面に示されている。
【0062】
図7Aにおいて、シースはスラストノーズ、より具体的にはキャップ52を受容する。ハウジング70は、シースに形成された溝10−3と係合するサークリップ74により、シース内で平行移動不能に保持される。
【0063】
ピストン34は前方にあり、ピストン34のヘッド44は、キャップ52の内側に嵌合している。ヘッド44の前先端は、発射管50の後部50−2の内部に担持されたシール60に挿入される。
【0064】
バネ72は発射管を前方に押し出す。
【0065】
ピストン34は、磁石24、コンセントレータ28、ダンパー32を部分的に取り囲む後部34−2を有する。
【0066】
図7Bにおいて、ピストンのコイル38に+/−極性の電流を供給すると、生成された場がピストン34を後方に移動させる後方出力を発生させる。
【0067】
ピストンが後退すると、ヘッド44の前方と発射管50内部の空気圧が低くなる一方、シール60上に摩擦が生じて、発射管50はバネ72の復帰力に抗って後退する。それによって、発射管50の前端の前方にパレットBが導入される。
【0068】
ピストン34が後退する際に、ピストンの後部における加圧室からの空気は、直径の一連の孔20、26,30を通り抜け(減衰リングも通り抜ける)排出される。
【0069】
図7Cにおいて、ピストン34はできるだけ後方に後退しており、ピストン34のヘッド44の内部は、ダンパー32に当接する。
【0070】
シール手段46は自らの役割を果たしており、ピストンは、後退段階において、ガイド領域34−1及び34−2によりヒース10内に完璧にガイドされている。
【0071】
当該段階にて、極短距離(ペレットの略直径)だけ後退した後、発射管50は、バネ72により前方に持ち出され、ペレットは発射管50の前端50−1の直前に位置決めされる。
【0072】
一般的に、バレル内のシールはペレットを定位置に保持するので、レプリカ武器のみの動きにより変位することはない。
【0073】
ペレットは、発射管の端部の前方にそのまま残る。
【0074】
図7Dにおいて、電流の極性が−/+に逆転されると、電力供給の際に、該ピストンのコイル38と永久磁石24がほぼ完全に重なることにより、ピストン34は大きな力で前方へ移動する。
【0075】
圧縮空気を受け止めたペレットは射出され、動きは加速する。
【0076】
ピストンの平行移動中に、ピストン34のシール手段46と、キャップ52のシール56−1、56−2により形成されたシールにより、空気が圧縮される。
【0077】
ピストンがピストンキャップに当接するまで前進するにつれ、図7Eに図示されるように、速度は増加し圧力が維持される。これによって、高速で射出されたペレットが押し出され、ピストンが能動的に変位する間に一定の加速度が得られる。
【0078】
これにより、ほぼ90%の優れたエネルギー効率を得る。図8は、前述した装置の制御方法の作動段階を示している。
【0079】
図8において、段階aは空気圧縮段階に相当する。ピストンは一定を維持する加速段階において前方に移動する。ピストンがピストンキャップに当接する直前に電流の極性を逆転する制動段階bが続く。次に、ピストンは段階cにおいて徐々に後退し、極小量のエネルギーのみを消耗する。段階dにて、ピストンの後退動作は、最初の位置の復帰する直前に制動される。
【0080】
ピストンの動作は完璧に管理制御され、ストロークの最後まで一定の加速度を維持するので、エネルギー消費量が低減する。
【0081】
またこれにより、武器や射撃後の反動硬化に著しい影響を及ぼさず、射撃と他の段階にて良好な感じを維持しながら、動きの柔軟性を確保することができる。
【0082】
磁力線や誘起力を図9にて図解し、現象をより視覚化した。
【0083】
効率の向上のために、特に図10及び図11に図示した通気孔の様々な変形例を以って、損失を低減する。
【0084】
当該通気孔は、コンセントレータ28の孔30の縁部と、尾部18の出口とに形成される。
【0085】
通気孔は、ピストンの後方平行移動中に生じる装置からの空気の排出と、同ピストンの前方平行移動中に生じる装置の外側からの空気の流入を促進する。一定ではない孔から出るときのように乱流は生じず、抗力も発生しないので、エネルギー損失や過剰なエネルギー消費も起きない。
【0086】
同様に、ピストンヘッドをニップル状にして移動中に空気の浸透を良好にすることもできるが、浸透を改善できるなら形状に制限はないので、空気力学研究の結論に基づき、当業者に既知のものであればどのようなものであっても良い。
【0087】
ピストンの材質は、重量の低減と磁界の干渉の制限を目的として、効率を最大まで高める複合材料から選んでも良い。
【0088】
別の構成によると、コイル38の導線の端部は尾部18を貫通して形成された通路を通り抜けても良く、シースに設けられるスリットを省略しても良い。
【0089】
前述した極性は、極性の逆転を示すために+/−や−/+と記載したが、方向は実施形態に適合に選ぶことができ、永久磁石の配向は、移動方向、特に極性の選択に合わせて選択すれば良い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11