特許第6982893号(P6982893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6982893縦型充填包装機および被包装物の充填包装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982893
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】縦型充填包装機および被包装物の充填包装方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/087 20120101AFI20211206BHJP
   B65B 9/02 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B65B9/087
   B65B9/02
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-164768(P2019-164768)
(22)【出願日】2019年9月10日
(65)【公開番号】特開2021-41963(P2021-41963A)
(43)【公開日】2021年3月18日
【審査請求日】2021年5月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307028493
【氏名又は名称】株式会社悠心
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二瀬 克規
【審査官】 ▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/001528(WO,A1)
【文献】 実開平04−115104(JP,U)
【文献】 特開2000−109127(JP,A)
【文献】 特開2011−251759(JP,A)
【文献】 特開平04−142205(JP,A)
【文献】 特開平04−173509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00−9/24
B65B 47/00−47/10
B65B 51/00−51/32
B65B 57/00−57/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルム製包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を連続して製造する縦型充填包装機であって、
幅方向に折り返して使用される連続的に繰り出される1枚の長尺プラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部どうし、または、連続的に繰り出される2枚の長尺プラスチックフィルムの両側端部どうしをそれぞれ、長手方向に連続的に繰り出しながら順次に縦シールすることにより、1の筒状体を連続的に形成する一対の縦シールロールと、
前記筒状体に対し、被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋する横シールロールと、を備え、
前記縦シールロールの上流位置には、幅方向に折り返してなる1枚の前記プラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部および折返し部、または重なり合う2枚の前記プラスチックフィルムの少なくとも両側端部の位置で、該プラスチックフィルムを挟持して長手方向に連続的に送り出す1以上のインフィードロール対を配設すると共に、前記縦シールロールの下流位置には、少なくとも前記筒状体の両側端部の位置で該筒状体を長手方向に連続的に引き出す一以上のアウトフィードロール対を配設してなり、
前記インフィードロール対と前記アウトフィードロール対は、これらのロール対間を走行する前記縦シールロールよりも上流側のプラスチックフィルムと、下流側の筒状体にかかるテンションが一定となるように制御されるものであることを特徴とする縦型充填包装機。
【請求項2】
プラスチックフィルム製包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を連続して製造する方法であって、
幅方向に折り返して使用される連続的に繰り出される1枚の長尺プラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部どうし、または、連続して繰り出される2枚の長尺プラスチックフィルムの両側端部どうしをそれぞれ、一対の縦シールロールによって長手方向に連続的に繰り出しながら順次に縦シールすることにより、筒状体を形成する筒状体形成工程と、
前記筒状体に対し、横シールロールによって被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋していく製袋工程と、を有し、
幅方向に折り返してなる1枚の前記プラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部および折返し部、または重なり合う2枚の記プラスチックフィルムの少なくとも両側端部をそれぞれ、前記縦シールロールの上流位置に配設したインフィードロール対によって挟持し、該インフィードロール対の回転によって該プラスチックフィルムを長手方向に連続的に送り出すと共に、
前記筒状体の少なくとも両側端部を、前記縦シールロールの下流位置に設けた一以上のアウトフィードロール対によって挟持し、該アウトフィードロール対の回転によって該筒状体を長手方向に連続的に引き出し
前記インフィードロール対と前記アウトフィードロール対を、これらのロール対間を走行する前記縦シールロールよりも上流側の前記プラスチックフィルムおよび下流側の前記筒状体にかかるテンションが一定になるように制御することを特徴とする被包装物の充填包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長尺のプラスチックフィルムを製袋し、液状や粘稠状、粉粒状等の被包装物を充填包装して包装体を製造する充填包装機および充填包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食物や調味液、医薬品、化学品等の液状物、粘稠物もしくは粉・粒状物からなる被包装物を、軟質のプラスチックフィルムを袋状に成形しながら自動的に充填包装することのできる包装機については、特許文献1に記載されたようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2991104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、連続移送される長尺のプラスチックフィルムを長手方向に沿って二つ折りにし、その折返し端部同士を縦ヒートシールロールでヒートシールして筒状体とした後、該筒状体内に内容物を充填すると共に、一対の横ヒートシールロールで包装袋の底部および袋口部となる横シール部を形成することで包装袋を連続的に形成する包装機が開示されている。この充填包装機では、連続移送される長尺のフィルムの繰り出し機構として縦シール機構が用いられ、フィルムに設けたレジマークをレジマーク検出装置によって検出し、該レジマークの検出時間に基づいて、プラスチックフィルムの送り速度が一定になるように前記縦シール機構のモータを加減速制御することが提案されている。
【0005】
従来の充填包装機では、上記したように長尺のプラスチックフィルムの連続的な送り出しを、縦シール機構に頼っているため、該縦シール機構は、プラスチックフィルムの繰り出しと、プラスチックフィルム側縁部への縦シール部の連続的な形成のための2つの役割を果たしている。つまり、前記縦シール機構では、一対の縦ヒートシールロールによって、プラスチックフィルムを加熱および加圧して溶融すると共に、その溶融したプラスチックフィルムを挟持しながら送り出しているため、例えばプラスチックフィルムが過剰に溶融されると、該プラスチックフィルムを所期したとおりに送り出すことができず蛇行して、プラスチックフィルムに皺や依れ等が発生し、反対にプラスチックフィルムの溶融が不足するとシール部が剥離等するおそれがあることから、シール条件を両者(プラスチックフィルムの送り出しと融着接合)のバランスを取りながら決定する必要があり、縦ヒートシールロールのシール条件の許容幅が狭く(厳しく)なってしまう点に問題があった。
【0006】
また、大容量の包装体や複数列で包装体を形成する際に使用される広幅のプラスチックフィルムは、偏肉(厚みの違い)の影響を受けやすく、フィルムの左右の長さに0.1〜1.0%程度の差が生じてしまう場合がある。このような広幅フィルムを上記従来の充填包装機を用いて製袋すると、左右の長さの違いによってフィルムが蛇行し、例えば幅方向中央位置で二つに折り畳んだ際に、側縁部どうしを正確に重ね合わせることができず、その端面にずれ(耳ずれ)が発生してしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明では、縦ヒートシールロールのヒートシール条件を緩和することができると共に、プラスチックフィルムの蛇行を抑制して、包装体に皺や依れが生じることがなく、また縦シール位置となるフィルム側縁部での耳ずれの発生を抑制することのできる縦型充填包装機および充填包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、プラスチックフィルム製包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を連続して製造する縦型充填包装機であって、
幅方向に折り返して使用される連続的に繰り出される1枚の長尺プラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部どうし、または、連続的に繰り出される2枚の長尺プラスチックフィルムの両側端部どうしをそれぞれ、長手方向に連続的に繰り出しながら順次に縦シールすることにより、1の筒状体を連続的に形成する一対の縦シールロールと、
前記筒状体に対し、被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋する横シールロールと、を備え、
前記縦シールロールの上流位置には、幅方向に折り返してなる1枚の前記プラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部および折返し部、または重なり合う2枚の前記プラスチックフィルムの少なくとも両側端部の位置で、該プラスチックフィルムを挟持して長手方向に連続的に送り出す1以上のインフィードロール対を配設すると共に、前記縦シールロールの下流位置には、少なくとも前記筒状体の両側端部の位置で該筒状体を長手方向に連続的に引き出す一以上のアウトフィードロール対を配設してなり、
前記インフィードロール対と前記アウトフィードロール対は、これらのロール対間を走行する前記縦シールロールよりも上流側のプラスチックフィルムと、下流側の筒状体にかかるテンションが一定となるように制御されるものであることを特徴とする縦型充填包装機である。
【0009】
また本発明は、プラスチックフィルム製包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を連続して製造する方法であって、
幅方向に折り返して使用される連続的に繰り出される1枚の長尺プラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部どうし、または、連続して繰り出される2枚の長尺プラスチックフィルムの両側端部どうしをそれぞれ、一対の縦シールロールによって長手方向に連続的に繰り出しながら順次に縦シールすることにより、筒状体を形成する筒状体形成工程と、
前記筒状体に対し、横シールロールによって被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋していく製袋工程とを有し、
幅方向に折り返してなる1枚の前記プラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部および折返し部、または重なり合う2枚の記プラスチックフィルムの少なくとも両側端部をそれぞれ、前記縦シールロールの上流位置に配設したインフィードロール対によって挟持し、該インフィードロール対の回転によって該プラスチックフィルムを長手方向に連続的に送り出すと共に、
前記筒状体の少なくとも両側端部を、前記縦シールロールの下流位置に設けた一以上のアウトフィードロール対によって挟持し、該アウトフィードロール対の回転によって該筒状体を長手方向に連続的に引き出し
前記インフィードロール対と前記アウトフィードロール対を、これらのロール対間を走行する前記縦シールロールよりも上流側の前記プラスチックフィルムおよび下流側の前記筒状体にかかるテンションが一定になるように制御することを特徴とする被包装物の充填包装方法である。
ることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る縦型充填包装機および被包装物の充填包装方法によれば、縦シールロールの上流位置は、インフィードロール対を設けると共に、縦シールロールの下流位置にはアウトフィードロール対を設けて、これらのロール対によってプラスチックフィルムの連続的な送り出しを行うことにより、従来、フィードロールの役割を有していた縦ヒートシールロールは、ヒートシールのみを行えばよくなり、縦シール条件(温度、圧力等)の設定が緩和されて柔軟になり、各種のプラスチックフィルムにおいてシール不良を発生することなく縦ヒートシールを行うことができるようになる。
【0012】
また、本発明によれば、前記インフィードロール対によって、プラスチックフィルムが巻回されてなるフィルムロールから、該プラスチックフィルムを送り出す一方、送り出された該プラスチックフィルムを、アウトフィードロール対によって引き出すことで、プラスチックフィルムを蛇行することなく安定して走行させることができる。
【0013】
また、本発明では、インフィードロール対とアウトフィードロール対を、該ロール対間を走行するプラスチックフィルム(筒状体)のテンションが一定になるように制御することで、プラスチックフィルム(筒状体)に弛みが生じることがなく、皺や依れの発生を抑制することができ、またプラスチックフィルムの偏肉の影響を受けることなく、プラスチックフィルムをぴったりと重ね合わせることができ、側縁部での耳ずれの発生や、縦シール位置がずれる等のおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の縦型充填包装機の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、この発明に係る縦型充填包装機の一実施形態を示す模式図であり、図面に示すところに基づいて、この発明について説明する。
【0016】
図1に示す縦型充填包装機では、例えば、一軸もしくは二軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム層やナイロン樹脂フィルム層等からなるベースフィルム層と、無延伸のポリエチレン層やポリプロピレン層等からなるシーラント層とを積層してなるプラスチックフィルムFが巻回されているフィルムロールRから、該プラスチックフィルムFが、上方から下方に向かって連続的に繰り出され、その繰り出し走行中にガイドロッド1で案内しつつ、プラスチックフィルムFを、シーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返し、その両側端部同士を重ね合わせる。
【0017】
次に、前後で一対のインフィードロール8(水平面内で、図の前後方向で平行に延在する。図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)によって上記のように折り返して重ね合わせたプラスチックフィルムFの側端部6および折返し部7を挟持しつつ、該インフィードロール8の回転に基づいて該プラスチックフィルムFを図の下方側へ連続的に送り出す。
【0018】
続いて、前後で一対の縦シールロール2(水平面内で、図の前後方向で平行に延在する。図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)の回転下で、プラスチックフィルムFの側端部を加熱、加圧することで、対面するシーラント層どうしを長手方向(縦方向)に連続して融着接合させて縦シール部4を形成し、これによって筒状体5を形成する。
【0019】
このような一対の縦シールロール2は外周面に円形フランジ状のシールバー3を有するとともに、該シールバー3の加熱に寄与するヒータを内蔵している。
一対の前記縦シールロール2は、図示しない一対のシリンダによって前方側の縦シールロール2を後方側の縦シールロール2に向けて押圧することで、プラスチックフィルムFの重ね合わせ側端部6をシールバー3間に挟持し、加熱、加圧して合掌状に融着させて縦シール部4を形成し、筒状体5を形成する。
【0020】
なお、他の実施形態として、縦シールロール2の、ガイドロッド1において折返されたプラスチックフィルムFの折返し部7に相当する位置にさらにシールバー3を設け、縦シールロール2によって、プラスチックフィルムFの重ね合わせ側端部6および折返し部7にそれぞれ縦シール部4を形成してもよい。
また、筒状体5は、上記のように1枚の長尺のプラスチックフィルムFを幅方向に折り返して形成する他、2つのフィルムロールRを使ってそれぞれ繰り出された2枚のプラスチックフィルムFを重ね合わせ、その両側端部を長手方向に加熱および加圧して縦シール部4を形成し、これにより筒状体5を形成してもよい。この場合は、ガイドロッド1は存在せず、また縦シールロール2は、プラスチックフィルムFの両側端部にシールバー3が必要となる。
【0021】
上記のように形成された筒状体5は、前後で一対のアウトフィードロール9(水平面内で、図の前後方向で平行に延在する。図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)によって両側端部がそれぞれ挟持され、該アウトフィードロール9の回転に基づいて図の下方側へ引き出される。
【0022】
なお、インフィードロール8とアウトフィードロール9は、歯車組を介してモータで互いに逆向きにかつ等速で回転駆動するもの等とすることが好ましく、例えば、縦型充填包装機の制御部からの指令によってプラスチックフィルムF(筒状体5)を挟持しながら所定の速さで回転駆動することで、該プラスチックフィルムF(筒状体5)を連続的に引き出すことができる。
【0023】
上記のようにして形成された筒状体5の内側へは、それぞれ図示しないタンクから図示しないポンプおよび供給路を介して供給された被包装物Mが、充填ノズル11から連続的に充填される。
【0024】
1対の横シールロール10では、走行する筒状体5を挟持し、該筒状体5の長手方向に所定の間隔をおいて、充填された被包装物を絞り出しながら、その絞り出し位置を加熱および加圧して横シール部12を形成することで、上下端部が横シール部12によって、両側端部が縦シール部4(図では左側)と折返し部7によって包囲された包装体Wを、プラスチックフィルムFの長手方向へ繋がった状態で製袋することができる。
【0025】
なお、1対の横シールロール10は、図の前後方向に平行に延在させてあり(図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)、歯車組を介してモータで互いに逆向きにかつ等速で回転駆動するものである。例えば、該横シールロール10については、その外周面上に等間隔に位置し、軸線方向へ延在する複数本のヒートシールバー13を有し、対向するヒートシールバー13同士によって筒状体5を挟持し、加熱することで、筒状体5の走行方向と直交する方向に、その全幅にわたって横シール部12を形成することができる。
【0026】
横シール手段としては、1対の横シールロールを2段で設けてもよく、その場合には、1段目で筒状体5を加熱、加圧して横シール部12を形成し、2段目で該横シール部12部分を冷却されたシールバーによって押さえ付けることで、横シール部12を定着させて安定化させることができる。
【0027】
横シールロール10において連続して製袋された包装体Wは、ロータリーカッター等による切り離し手段15によって横シール部12の略中間部を幅方向にカットして一体ずつ、もしくは所要の複数体ずつに切り離したり、横シール部12の略中間部にミシン目を入れて複数体を繋げた状態で搬出される。
【0028】
本発明では、上記したように縦シールロール2の上流位置および下流位置にそれぞれフィードロール(インフィードロール8およびアウトフィードロール9)を設け、該フィードロールによってプラスチックフィルムF(筒状体5)を連続的に繰り出す点に特徴がある。これによれば、プラスチックフィルムFの蛇行が抑制され、ガイドロッド1の案内によって幅方向に折り返されたプラスチックフィルムFの側端部どうしをぴったりと重ね合わせることができ、耳ずれの発生や縦シールロール2による縦シール位置のずれ等を効果的に抑制することができる。
【0029】
なお、インフィードロール8は、少なくとも重ね合わせたプラスチックフィルムFの両側端部を挟持するように設け、例えば、プラスチックフィルムFが広幅な場合には、インフィードロール8を、さらにプラスチックフィルムFの中央部や折返し端部等に複数設けることで、プラスチックフィルムFの蛇行を効果的に抑制することができる。
【0030】
アウトフィードロール9では、縦シールロール2による縦ヒートシールによって形成された筒状体5を連続的に引き出すことで、該筒状体5を蛇行させることなく、横シールロール10へと送り出すことができ、横シール部12内への縦シワの発生を効果的に抑制することができる。アウトフィードロール9は、縦シールロール2の下流位置に、筒状体5の少なくとも両側端部を挟持するように設け、例えば、プラスチックフィルムFが広幅からなる場合には、筒状体5の中央部等の複数個所に設けてもよい。
【0031】
インフィードロール8とアウトフィードロール9は、その間を走行するプラスチックフィルムF(筒状体5)のテンションが一定となるように制御するこれによれば、インフィードロール8とアウトフィードロール9との間を走行するプラスチックフィルムF(筒状体5)に弛みが生じることがなく、またプラスチックフィルムFの偏肉(厚みの違い)による左右の長さの違いの影響を受けることなく、該プラスチックフィルムFの側縁部6をぴったりと重ね合わせることができ、端面がずれる(耳ずれ)のを抑制することができる
【0032】
また、本発明によれば、インフィードロール8およびアウトフィードロール9を設けたことで、従来、フィードロールとして機能していた縦シールロール2はヒートシールのみを行えば良く、縦シール条件(温度、圧力等)が緩和されて柔軟になり、各種のプラスチックフィルムを、シール不良を発生することなく確実にヒートシールすることができる。
【0033】
また、本発明によれば、インフィードロール8を設けることで、縦シールロール2の入口側においてプラスチックフィルムFがカールすることがなくなり、フィルムロールRの交換時など縦シールロール2へのプラスチックフィルムFのセットが容易になり、運転開始時におけるプラスチックフィルムFのロスを減らすことができる。さらに、運転停止から再スタートする場合にも、プラスチックフィルムFがインフィードロール8によって挟持されているため、縦シールロール2における縦シール位置を素早く安定させることができ、再スタート時のプラスチックフィルムFのロスを減らす効果も期待できる。
【0034】
(実施例)
本発明の充填包装機により、下記に示す2種類のプラスチックフィルムを用いて筒状体(プラスチックフィルムを幅方向中央位置において二つに折り畳み、重なり合う側縁部どうしを縦ヒートシールロールによって縦方向に連続的にヒートシールして筒状体としたもの)を形成し、該筒状体について、側端部における端面のずれ(耳ずれ幅)を測定した。なお、比較例は、インフィードロールとアウトフィードロールを有していない従来の充填包装機を用いて製造した筒状体である。その結果を表1に示す。
<フィルム1>フィルム構成:PET16μm/PP50μm フィルム幅:270mm フィルム長さ:100m
<フィルム2>フィルム構成:NY15μm/PE60μm フィルム幅:298mm フィルム長さ:100m
【0035】
【表1】
【0036】
表1の結果より、本発明例の充填包装機によれば、耳ずれ幅は1.0mm以下となり、比較例(フィルム1:最大1.5mm、フィルム2:最大2.5mm)よりも耳ずれ幅を小さくすることができ、プラスチックフィルムの蛇行を効果的に抑制できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の縦型充填包装機および充填包装方法は、飲食物や調味液、医薬品、化学品等の液状物、粘稠物もしくは粉・粒状物からなる被包装物を充填してなる包装体を製造する際に好適に利用することができ、とくに広幅なプラスチックフィルムを用いて包装体を複数列で同時に連続して形成する際に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 ガイドロッド
2 縦シールロール
3 シールバー
4 縦シール部
5 筒状体
6 側端部
7 折返し部
8 インフィードロール
9 アウトフィードロール
10 横シールロール
11 充填ノズル
12 横シール部
13 ヒートシールバー
15 切り離し手段
R フィルムロール
F プラスチックフィルム
W 包装体
M 被包装物
図1