(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、指向性の高い光を照射する光学系を用いて透明フィルムに含まれる透明性の欠陥を検出するための欠陥検査装置が知られている(特許文献1参照)。この種の欠陥検査装置は、ラインセンサとライン状照明装置を備える。検査対象は、ラインセンサとライン状照明装置との間を、ラインセンサとライン状照明装置とのそれぞれの長辺方向に対して直交する方向に搬送装置によって搬送される。また、検査対象とライン状照明装置との間にスリット板が設けられている。スリット板には、ラインセンサ及びライン状照明装置の長辺方向に対して平行となるようにスリットが設けられている。ライン状照明装置の照明光は、スリット板のスリット幅に応じた範囲に規制された上で通過し、検査対象を透過した後、ラインセンサによって受光される。
【0003】
ここで、ライン状照明装置の照明光は、スリット板のスリット部と遮光部との境界部分を読取位置として設定される。より具体的には、スリットの幅方向(短手方向)における中央部分を読み取り位置として受光したときの出力値を「1」とした場合、1/Nエッジ透過光学系では、出力値がN分の1となる位置(幅方向の位置)をラインセンサの読取位置として設定される。通常、エッジ量Nは、2、4、8等の値に設定される。
【0004】
ライン状照明装置の照明光は、スリット板によりスリット光に加工されて検査対象に照射される。検査対象は、スリット板のスリット部の長辺方向と直交する方向に走行する。
検査対象を透過した光はラインセンサで受光される。ラインセンサの出力値は画像処理され、この画像処理により検査対象に存在する透明欠陥の画像が生成される。透明欠陥の検出感度は、エッジ量、分解能等により、設定することができる。
【0005】
1/Nエッジ透過光学系について、後述する
図3(C)を使用して説明する。
図3(C)において、横軸は、スリット板のスリット部の長辺方向と直交する方向(検査対象の搬送方向)におけるラインセンサの位置を表し、縦軸は、ラインセンサの出力値を表している。また、位置PAは、スリット板の遮光部とスリット部との境界付近(スリット部の縁付近)の位置を表し、PBは、スリット部の幅方向(スリットの長辺方向とは直交する方向)における中央付近の位置を表している。
【0006】
図3(C)から理解されるように、ラインセンサの出力値は、ラインセンサがスリット部の中央付近の位置PBに合わせて配置されたときに最大となり、ラインセンサの位置がスリット部の縁に向かって移動するに従って減少する傾向を示す。
【0007】
ここで、ラインセンサがスリット部の中央付近の位置PBに合わせて配置されたときの出力値を「1」とした場合、1/Nエッジ透過光学系では、出力値がN分の1となる位置にラインセンサが配置される。
図3(C)の例では、Nが2に設定された場合が示されており、ラインセンサは、その出力値が1/2である位置PAとなるように、スリット板とライン状照明装置とに対する相対位置に配置されている。
【0008】
検査対象に透明欠陥が存在する場合、ラインセンサが上記の位置PAに合わせて配置されたときの出力値の変化量は、ラインセンサが上記の位置PBに合わせて配置されたときの出力値の変化量よりも大きくなる。このため、1/Nエッジ透過光学系を用いれば、透明欠陥の検出感度を向上させることができる。このような1/Nエッジ透過光学系において、Nの値はエッジ量と称される。エッジ量Nは、ラインセンサがスリット部の中央付近の位置PBに合わせて配置されたときの出力値を、ラインセンサがスリット部と遮光部との境界付近の位置PAに合わせて配置されたときの出力値で除算した値によって表される。
【0009】
一方、特許文献2は、検査対象に対して、反射方式での三角測量を行うことで欠陥検査を行う欠陥検査装置が示されている(特許文献2参照)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態による欠陥検査装置の構成例を示すブロック図である。欠陥検査装置は、検査対象1を照明するライン状照明装置3、走行中の検査対象1の画像を読み取るラインセンサ2、ラインセンサ2の画像を入力して欠陥検出を行う画像処理装置6、画像処理装置6を制御する画像処理PC11、画像処理PC11の情報を入力して検査結果を表示する操作PC12、操作PC12の出力を行う出力装置13からなる。ロータリエンコーダ14は、ラインセンサ2の画像を入力するタイミングを調整する。
【0019】
検査対象1は、フィルムや樹脂板など、シート状(またはフィルム状)の透光性を有する素材である。検査対象1は、図示しない搬送機構により一方向に一定速度で搬送される。ライン状照明装置3は、検査対象1の一面を照明するためのものであり、例えば、LED照明、石英ロッド照明装置、蛍光灯、光ファイバ照明装置など、ライン状の発光領域を有する照明装置である。本実施形態では、ライン状照明装置3として、LED照明装置を用いた。
【0020】
ラインセンサ2は、検査対象1を透過した光を受光して撮像データを出力する。ラインセンサ2は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の8K素子ラインセンサである。ラインセンサ2は、焦点距離fが90mmのレンズを使用している。ラインセンサ2は、1画素あたり予め設定された分解能で検査対象1の画像を読み取ることができる。ただし、この例に限定されず、ラインセンサ2として、例えば、各種の素子数のものを用いることができ、検査対象1と検出欠陥の種類に応じて適正な素子数のものを選択すればよい。
【0021】
ロータリエンコーダ14は、検査対象1の搬送量に応じたパルスを出力する。ロータリエンコーダ14は、分解能パルスを出力し、検査対象1の搬送速度が変化しても、流れ分解能を一定にしている。
【0022】
画像処理装置6は、ロータリエンコーダ14から出力されるパルスに応じて、ラインセンサ2から出力される撮像データを読み取り、所定のライン単位でリアルタイムに欠陥検出処理を実施する。画像処理装置6として、例えばメック(登録商標)社製の画像処理装置(型名:LSC600)を用いることができる。
【0023】
画像処理装置6は、前処理部7、2値化部8、ランレングス符号化部9、連結性処理部10を備える。前処理部7は、ラインセンサ2から得られる撮像データの補正、強調などを行う。前処理部7は、例えば、検査対象1の搬送速度の変動を補正する速度補正等を実施する。
【0024】
2値化部8は、前処理部7から出力された画像データを、予め指定された閾値で2値化する。2値化部8は、例えば、明暗に応じて画像を2値化する。ランレングス符号化部9は、2値化データをライン単位で圧縮する。連結性処理部10は、圧縮された2値化データの連結性処理を行い、これにより、欠陥の位置、サイズ等の特徴量を抽出する。
【0025】
画像処理PC11は、リアルタイムOS(Operating System)で制御され、ライン状照明装置3、ラインセンサ2などを高速で制御する。また、画像処理PC11は、画像処理装置6から入力された画像データから、欠陥の座標、欠陥のサイズ、欠陥の分類名などを含む欠陥詳細データを生成して操作PC12に出力する。
【0026】
操作PC12は、検査条件の設定、検査中の画面表示、過去の検査結果の確認等を行うためのものであり、例えばWindows(登録商標)OSを搭載したコンピュータである。操作PC12は、検査中の画面表示として、画像処理PC11から出力された欠陥詳細データ、リストやマップ、画像などを出力装置13に表示させる。
出力装置13は、操作PC12の処理結果を表示する表示部として機能するものである。また、出力装置13は、欠陥を検出した場合、シーケンサ(図示せず)により警報、パトライト(登録商標)表示などにより報知する。但し、この例に限定されず、出力装置13による情報の表示形態は任意である。
【0027】
図2は、本発明の実施形態による欠陥検査装置の光学配置例を示す図であり、
図2Aは検査対象1の搬送方向と直交する水平方向から見たときの図である。
図2Bは、
図2Aに示す光学配置例を示す斜視図である。
図2では、検査対象1、ラインセンサ2、ライン状照明装置3、スリット板4、移動機構5の配置関係が示され、他の構成要素についての図示は省略されている。同図に示すように、スリット板4が、ラインセンサ2とライン状照明装置3との間に配置される。検査対象1は、ラインセンサ2とスリット板4との間に配置される。検査対象1は、ラインセンサ2とライン状照明装置3とのそれぞれの長辺方向に対して直交する方向に搬送装置によって搬送される。
スリット板4は、ライン状照明装置3の照明光をスリット状に加工する。スリット板4には、ラインセンサ2及びライン状照明装置3の長辺方向に対して平行となるようにスリット部4aが設けられている。スリット部4aの短手方向の幅は、例えば3〜10mmである。スリット板4は、検査対象1から例えば100〜400mmの距離をあけて配置されている。また、片側のみのスリット板を使用してもよい。
ライン状照明装置3の照明光3aは、スリット板4のスリット幅に応じた範囲に規制された上でスリット部4aを通過し、検査対象1を透過した後、ラインセンサ2によって受光される。
【0028】
ラインセンサ2は、検査対象1を挟んでライン状照明装置3と対向するように配置され、スリット板4のスリット部4aを通過して検査対象1を透過した光を受光する。これにより、ラインセンサ2は、検査対象1の上方から検査対象1を撮像して撮像データを出力する。1/Nエッジ透過光学系を用いた欠陥検出では、ラインセンサ2の位置を、スリット板4の遮光部4bとスリット部4aとの境界位置に精度よく調整することが必要となる。このため、ライン状照明装置3の位置をスリット部4aの短手方向に移動させるための移動機構5が備えられている。この移動機構5によって、ライン状照明装置3の位置を微調整することで、ライン状照明装置3から出射されたライン状の光が、遮光部4bとスリット部4aとの境界部分に位置するように調整される。また、ラインセンサ2にも、ライン状照明装置3の位置に合わせて、マイクロメータでラインセンサ2のあおりと回転角度を微調整するための機構が取り付けられている。
【0029】
移動機構5は、ライン状照明装置3の流れ方向位置を調整するためのものである。移動機構5は、マイクロメータを備え、マイクロメータにより検査対象1の搬送方向におけるライン状照明装置3の位置を微調整することが可能なように構成されている。
【0030】
図3は、ラインセンサ2の出力波形の一例を示す波形図である。ここで、
図3Aは、ラインセンサ2がスリット板4のスリット部4aの短手方向における中央付近に合わせて配置された場合のラインセンサの出力波形を示す図である。
図3Aにおいて、横軸は、スリット板の長手方向における位置を示し、縦軸は、横軸の各位置に対応するラインセンサ2の出力値を示している。以下では、説明の便宜上、ラインセンサ2がスリット板4のスリット部の中央付近に合わせて配置された状態でラインセンサ2に受光される光が検査対象1を透過する形態を「正透過」と称す。
【0031】
図3Bは、ラインセンサ2がスリット板4のスリット部4aと遮光部4bとの境界付近に合わせて配置された場合のラインセンサ2の出力値の波形を示す図である。
図3Bにおいて、横軸は、スリット板の長手方向における位置を示し、縦軸は、横軸の各位置に対応するラインセンサ2の出力値を示している。以下では、説明の便宜上、ライン状照明装置3から出射された光を、ラインセンサ2がスリット板4のスリット部4aと遮光部4bとの境界付近に合わせて配置された状態で受光するように配置されており、ラインセンサ2に受光される光が検査対象1を透過する形態を「1/Nエッジ透過」と称す。またエッジ量Nが2のときのエッジ透過を1/2エッジ透過と称す。
【0032】
すなわち、スリット板4に形成されたスリット部4aの検査対象1を搬送する方向に対して直交する方向である幅方向における中央領域を通過する光に合わせてラインセンサ2の位置を設定したときの当該ラインセンサ2の出力値である第1出力値と、スリット部4aの中央領域の外方を通過する光に合わせてラインセンサ2の位置を設定したときの当該ラインセンサ2の出力値である第2出力値との比(エッジ量)が目標の比となるように設定されればよい。ここでは、第1出力値と第2出力値の比をエッジ量として表され、エッジ量Nが2の場合(目標値が1/Nであり、Nが2の場合)には、第1出力値が1のとき、第2出力値が1/2となるように設定される。
ここで、
図3Aと
図3Bとにおいて、ライン状照明装置3から出射された光の強度が同じであっても、ラインセンサ2の出力値は、正透過の場合(
図3A)よりも1/2エッジ透過の場合(
図3B)の方が小さい。
【0033】
図3Cは、スリット板4におけるスリット部4aの長手方向と直交する方向(検査対象1の搬送方向)における各位置でのラインセンサ2の出力値の波形を示す図である。
図3Cにおいて、横軸は、スリット部4aの長手方向と直交する方向における位置を示し、縦軸は、ラインセンサ2の位置をスリット部4aの長手方向と直交する方向における各位置に合わせた場合にラインセンサ2から得られる出力値を示している。上述の
図3Aの波形は、
図3Cにおける位置PBでのラインセンサ2の出力値を表し、上述の
図3Bの波形は、
図3Cにおける位置PAでのラインセンサ2の出力値を表している。
ここでは、
図3Cの位置PAにおける出力値は、位置PBにおける出力値の1/2となる位置であり、1/2エッジ透過に対応している。
この
図3Cに示すグラフは、
図2Bに示す光学系の配置において、ライン状照明装置の長手方向とラインセンサ2の長手方向が直交するように、ライン状照明装置3の向きをラインセンサ2に対して相対的に90°回転させた位置において、ラインセンサの出力値を、ラインセンサ2の幅方向に並べることで、
図3Cのグラフを得ることができる。例えば、横軸をラインセンサ2の幅方向とし、縦軸をラインセンサの出力とする。これにより、スリット部の幅方向における位置とラインセンサ2の出力値との関係を得ることができる。
【0034】
図4は、透明欠陥の凹凸形状と屈折光が進む方向を説明するための図である。
図4のケースAからケースEは、検査対象1が搬送されている際に、検査対象1の欠陥部の凹凸によって光が屈折することにより、透明欠陥の凹凸形状に応じてラインセンサの出力値が変化することを図示している。矢印の位置が、ラインセンサの読取位置である。また、検査対象1は、紙面に向かって左から右方向に搬送される場合には、ケースA、ケースB,ケースC、ケースD、ケースEの順で検査状態が遷移する。
【0035】
ケースAは、正常部(ここでは欠陥部の右側に位置する正常部)に光が入射する場合である。この場合、光は、検査対象1に対してほぼ垂直に入射し、ほぼ屈折せず垂直のまま出射するため、光は屈折せず透過する。そのため、ライン状照明装置3から出射された光は、検査対象1を透過したとしても、そのまま直進してラインセンサ2に到達する。そのため、カメラ読取位置は変化しない。
【0036】
ケースBは、欠陥部に光が入射する場合である。凹欠陥の内周側のうち、外縁部に光が入射した場合、光は、凹欠陥の傾斜面(図に向かって右側の傾斜面)に入射するため、この場合、欠陥部の外縁側よりも外側(図に向かって右側)に屈折する。このため、ラインセンサ出力値は低くなる。
一方、凸欠陥における外縁側(凸欠陥の中央部ではなく図に向かって右側)に光が入射した場合、光は、凸欠陥の傾斜面に入射するため、凸欠陥の中央側(図に向かって左側)に屈折する。そのため、ラインセンサ出力値は高くなる。
このように、凹欠陥及び凸欠陥のいずれの場合であっても、光が傾斜面に入射すると、光が屈折するため、カメラ読取位置は光の出射位置から鉛直方向ではなく、いずれかの方向に変化する。
【0037】
ケースCは、欠陥部に光が入射する場合である。凹欠陥の中央部に光が入射した場合、光は、凹欠陥のうち、ほぼ傾斜していない部位に入射するため、この場合、検査対象1に対してほぼ垂直に入射し、ほぼ屈折せず垂直のまま出射するため、光は屈折しない。一方、凸欠陥の中央部に光が入射した場合、光は、凸欠陥のうちほぼ傾斜していない部位に入射するため、ほぼ屈折せず垂直のまま出射するため、光は屈折しない。
【0038】
ケースDは、欠陥部に光が入射する場合である。凹欠陥の内周側のうち、外縁部に光が入射した場合、光は、凹欠陥の傾斜面(図に向かって左側の傾斜面)に入射するため、この場合、欠陥部の外縁側よりも外側(図に向かって左側)に屈折する。このため、ラインセンサ出力値は高くなる。
一方、凸欠陥における外縁部(凸欠陥の中央部ではなく図に向かって左側)に光が入射した場合、光は、凸欠陥の傾斜面に入射するため、凸欠陥の中央側(図に向かって右側)に屈折する。そのため、ラインセンサ出力値は低くなる。
このように、上述したケースBと同様に、凹欠陥及び凸欠陥のいずれの場合であっても、光が傾斜面に入射すると、光が屈折するため、カメラ読取位置は光の出射位置から鉛直方向ではなく、いずれかの方向に変化する。
【0039】
ケースEは、正常部(ここでは欠陥部の左側に位置する正常部)に光が入射する場合である。この場合、光は、検査対象1に対してほぼ垂直に入射し、ほぼ屈折せず垂直のまま出射するため、光は屈折せず透過する。そのため、ライン状照明装置3から出射された光は、検査対象1を透過したとしても、そのまま直進してラインセンサ2に到達する。そのため、カメラ読取位置は変化しない。
【0040】
ここで、検査対象1が搬送されてラインセンサ2とライン状照明装置3とを間をケースA、ケースB、ケースC、ケースD、ケースEの順に移動する場合を考える。
ラインセンサの読取位置が、
図3Cにおける位置PAとなるように設定されている場合におけるラインセンサ2の出力値は、凹欠陥の場合には「暗」から「明」に変化し、凸欠陥の場合には「明」から「暗」の順序で変化する。そのため、ラインセンサ2の出力値の変化の履歴に基づくことで、欠陥の形状が凹欠陥であるか凸欠陥であるかを区別することができる。また、ラインセンサ2の出力値の変化から欠陥の傾き(検査対象1の表面の傾き)がわかるので、スキャン数毎に傾きの値を搬送方向に順に合計することで、凹欠陥の場合にはその深さ、凸欠陥の場合にはその高さがわかる。
【0041】
ここで、上述の説明は、ラインセンサ2が下流側のスリット板4の左側を読取位置(
図3Cの位置PA)とした場合について説明したが、ラインセンサ2が上流側のスリット板4の右側を読取位置(
図3Cの位置PC)とした場合は、明暗の順序は逆となり、ラインセンサ2の出力値は、凹欠陥の場合には「明」から「暗」に変化し、凸欠陥の場合には「暗」から「明」の順序で変化する。
【0042】
図5は、欠陥の傾きとラインセンサ2の読取位置ズレの関係を説明するための図である。1/Nエッジ透過光学系の各部の配置関係は、
図2と同様の配置である。このような光学系の配置において、凹欠陥や凸欠陥など検査対象1の表面に傾斜を有する欠陥があると、上述の
図4のケースBやケースDのように、光の屈折によるラインセンサ2の読取位置のズレが発生する。
検査対象1が無い場合、ラインセンサ2から出射された光は、スリット板4のスリット部4aの境界位置を近傍を通過し、ライン状照明装置3に到達する。このときの読取位置は位置Dである。
【0043】
傾斜を有する欠陥があると、出射された光は、位置A、位置Bのそれぞれの位置で屈折し、ラインセンサ2の読取位置は位置Cとなる。すなわち、カメラ2aから見て撮影可能な位置は、検査対象1において光が屈折しない場合には位置Dを撮像することができるが、検査対象1において凹欠陥または凸欠陥があり光が屈折すると、屈折したことにより位置Dではなく、そのときの屈折状態に応じて読み取り位置が変わり、この図の場合では、位置Cを読むことになる。
【0044】
カメラ2aと位置Dとの間において検査対象1の表面(カメラ2aに向く面)と交差する位置を位置Aとし、位置Aにおいて検査対象1の表面にける鉛直方向に対する、カメラ2aと位置Dとを結ぶ直線の傾き(欠陥の傾き)を傾きαとすると、入射後の角度を角度βとして表すことができる。ここで、スネルの法則では、
n
1sinα=n
2sinβ
であるので、角度βは、次式(1)で求めることができる。
β= sin
-1(n
1sinα/n
2) …(1)
ここで、
空気の屈折率:n
1
検査対象の屈折率:n
2(PET(polyethylene terephthalate)の場合:1.6)
欠陥による傾き:α
検査対象に入射後の屈折角度:β
【0045】
さらに、検査対象1の内部を通過した光が検査対象1の外部に出射される位置を位置Bとし、位置Bにおいて検査対象1の表面における鉛直方向に対する、位置Bから光が出射する方向の角度である出射後の角度γとして表すことができる。
出射後の角度γは、次式(2)で求めることができる。
γ= sin
-1(n
2sin(α-β)/n
1) …(2)
【0046】
また、欠陥部(欠陥部においてスリット板4に対向する面)からスリット板4までの距離L
2としたとき、読取位置ズレSは、次式(3)で求めることができる。ここで読み取り位置ズレSは、検査対象1のうち正常部を撮像した際に撮像される位置Dと、欠陥部を介して撮像した際に光が屈折することで位置Bを通る光が撮像される場合の読み取り位置である位置Cとの距離を表す。
S=L
2tanγ …(3)
【0047】
上述の式に基づいて、読み取り位置ズレSを算出した場合の例を説明する。
例えば、下記の条件の場合、読取位置ズレSは1.8mmとして求めることができた。
欠陥の傾斜:長さ100μmで高さ1μm
n
1:1
n
2:1.6
α:0.573度
β:sin
-1(n
1sinα/n
2)⇒0.358度
γ:0.344度
L
2:300mm
s:L
2tanγ=300×tan(0.344)=1.8
このように、欠陥の傾斜について、長さ100μmに対する高さを1μm毎に一定範囲(例えば、-5μmから+5μmまで)における読み取り位置ズレSをそれぞれ求め、その結果をグラフに示すと、
図6のように示すことが出来る。
【0048】
図6は、欠陥の傾きとラインセンサの読取位置ズレの関係の一例を説明する図である。
図6は、
図5の説明に基づいて、グラフとして表した図である。
横軸は欠陥の傾き(長さ100μm当たりにおける、検査対象1のカメラ2aに対向する面における高さの差(μm))であり、縦軸は、読取位置ズレSである。
図5において、欠陥の傾きが負の場合、読み取り位置ズレSは、位置Dに対して図に向かって左側に位置することを示し、欠陥の傾きが正の場合、読み取り位置ズレSは、位置Dに対して図に向かって右側に位置することを示す。また、傾きの絶対値が大きいほど、読み取り位置ズレSは、位置Dからの距離が大きくなる。
【0049】
図7は、ラインセンサ2の読取位置ズレSとラインセンサ出力の関係の一例を示す図である。
この
図7は、
図3Cの波形を元にグラフで表した図である。横軸は読取位置ズレS(mm)、縦軸はラインセンサ出力(%)である。より具体的に、
図7は、
図3Cにおける1/2エッジ透過において、出力が1/2となる位置(位置PA)で、検査対象1の正常部を透過した際に受光したときのラインセンサ出力を100%とした場合に、ラインセンサの出力が200%(位置PB)近傍の読み取り位置(
図3Cの横軸方向における位置)からラインセンサの出力が0%近傍の読み取り位置(
図3Cの横軸方向における位置)までの範囲において、ラインセンサの出力(%)と読み取り位置(読み取り位置ズレとして用いる)との関係を求めることで、
図7の結果を得た。
【0050】
図7は、ラインセンサ2の読取位置ズレSとラインセンサ出力の関係の一例を示す図である。この
図7では、下記の条件(a)から(g)において測定した測定結果を表す。
(a)ラインセンサ:8192素子(1素子のサイズ7μm)
(b)レンズ:f90mmレンズ(絞り:F5.6)
(c)ラインセンサ距離:820mm(カメラ2aから検査対象1のカメラ2aに対向する面までの距離)
(d)エッジ量:N=2(1/Nエッジ透過光学系におけるNの値)
(e)分解能:50μm/素子
(f)ライン状照明装置:LED照明
(g)照明距離:300mm(ライン状照明装置3から検査対象1のライン状照明装置3に対向する面までの距離)
【0051】
読取位置ズレSとラインセンサ出力の関係は、下記の条件により変化する。
(h)光学系:エッジ量
(i)ラインセンサ:素子サイズ、分解能、レンズの焦点距離、絞り
(j)照明:照明距離
【0052】
図8は、ラインセンサ出力と欠陥の傾きの関係の一例を示す図である。
図8は、
図6に示す欠陥の傾きとラインセンサの読み取り位置ズレの関係と、
図7に示すラインセンサの読み取り位置ズレとラインセンサ出力の関係を元に、ラインセンサ出力と欠陥の傾きの関係を求めたものである。例えば、
図6と
図7とを参照することで、読み取り位置ズレSが同じ値である、欠陥の傾きと、ラインセンサの出力値との対応関係から、
図8のグラフを得ることができる。
図8において、横軸はラインセンサ出力(%)、縦軸は欠陥の傾き(長さ100μm当たりにおける、検査対象1のカメラ2aに対向する面における高さの差(μm))である。
このような、ラインセンサの出力値と検査対象における欠陥部の傾きとの関係を示す傾きデータを例えば、画像処理PC11内に設けられた記憶部に予め記憶しておく。また、画像処理PC11は、この記憶部を参照することで、傾きデータに基づいて、ラインセンサの出力値に対応する欠陥の傾きを読み出す取得部が設けられる。その上で、画像処理PC11は、傾き取得部によって得られた欠陥の傾きの、搬送方向における履歴に基づいて、検査対象物の検査対象部位の高さを求める計算部を有する。計算部は、検査対象1の搬送方向における1つ前の検査対象位置の高さに対し、検査対象位置において求められた欠陥の傾きを加えることで、当該検査対象位置における高さを求める(詳細は後述する)。
これにより、画像処理PC11は、検査を行った画素における欠陥の傾きを求めることが可能となる。そして、このような欠陥の傾きを、検査対象1の搬送方向にそれぞれの画素毎に求めることで、搬送方向における欠陥の傾き(高さ)の変化を把握することができるため、欠陥の凹凸形状を把握することが可能となる。
【0053】
なお、この実施形態において、記憶部、取得部、計算部は、画像処理PC11に設けられる場合について説明するが、操作PC12に設けるようにしてもよい。また、記憶部は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成されてもよい。この記憶部は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
また、取得部、計算部は、CPU(中央処理装置)等の処理装置若しくは専用の電子回路で構成されてよい。
【0054】
図9は、透明の凹凸欠陥画像(a)と、ラインセンサ出力と欠陥の高さの変化との関係(b)と、の一例を示す図である。
図9A〜
図9Cにおいてそれぞれの図(a)では、横軸(X)軸が検査対象1の幅方向、縦軸(Y軸)が検査対象1の搬送方向を表している。また、
図9A〜
図9Cにおいてそれぞれの図(b)では、横軸は、検査対象1の搬送方向(流れ方向)の位置(mm)、縦軸は、高さ(μm)と、ラインセンサ出力(%)とを表すグラフである。このグラフは、
図9のそれぞれの図(a)に示す画像領域のうちX方向における中心位置において、Y軸方向に沿った各画素における検査結果を、図(b)における横軸に並べている。
【0055】
ここでは、
図9A、
図9B、
図9Cにおいて、それぞれ異なる3つの欠陥画像について、欠陥画像と、欠陥部の中心の流れ方向のラインセンサ出力(%)及び高さ(μm)をグラフ化した図と、を示している。
ここでは、
図8に示したラインセンサ出力と欠陥の傾きの関係より、1スキャン当りの傾きは、次の式(4)で求めた。ここで1スキャンとは、検査対象1の搬送方向におけるある位置において、幅方向の1ラインを測定対象として測定することをいう。1スキャン当たりの傾きは、検査対象1の搬送方向におけるある測定位置における傾きをいう。
G=-0.016579×E/F×100+1.6579 …(4)
E:ラインセンサ出力
F:ラインセンサ出力(正常部)
E/F×100:ラインセンサ出力(%)
G:1スキャン当りの傾き
なお、式(4)において「-0.0167」に示す傾き及び「1.6579」に示す切片の値は、式(3)、
図7において説明した各条件において測定を行った結果に基づいて、ラインセンサ出力値と欠陥の傾きとの関係を一次曲線で近似することで求まる値であり、これら条件(検査対象、各種距離、エッジ量等)が変われば、これらの値も変わり得る。例えば、欠陥部(欠陥部においてスリット板4に対向する面)からスリット板4までの距離L
2が300mmである場合を例示したが、距離L
2が300mmよりも長い距離に設定された場合には、読み取り位置ズレSの値は大きくなり、距離L
2が300mmよりも短い距離に設定された場合には、読み取り位置ズレSの値は小さくなる。そのため、上述した式(4)における傾きや切片の値も変わり得る。
これらの値は、
図6に示すような読み取り位置ズレと欠陥の傾きの関係、および
図7に示すようなラインセンサ出力値と読み取り位置ズレとの関係、に基づいて、欠陥の傾きとラインセンサ出力値と関係を一次曲線で近似した式を求めることで決めることができる。
【0056】
欠陥部の高さは、次式(5)で求めた。
H
n=H
n-1+G
n …(5)
H
n:nスキャン目の欠陥部の高さ
H
n-1:n-1スキャン目の欠陥部の高さ
G
n:nスキャン目の欠陥部の傾き
【0057】
図9Aの図(a)において、符号900に示す図は、欠陥画像の幅方向におけるある1ライン(符号900a)における測定結果を表す図である。この符号900に示す図において、横軸は検査対象1の幅方向における位置を表し、縦軸は、ラインセンサの出力値を表す。
【0058】
図9Aの図(a)において、符号901に示す図は、欠陥画像の搬送方向におけるある1ライン(符号900b)における測定結果を表す図である。この符号901に示す図において、横軸はラインセンサの出力値を表し、縦軸は、検査対象1の搬送方向の位置を表す。検査対象1の搬送開始位置側から搬送終了位置側に向かって、ラインセンサ出力値が負の方向にピークがあり、その後、正の方向にピークが生じている結果が示されている。これは、搬送方向に沿うように、欠陥の形状が凹状となった後に凸状となったことを示している。
【0059】
図9Aの図(b)は、欠陥画像における符号900bに示す1ラインにおける、搬送方向における位置とラインセンサ出力値(%)との関係、及び搬送方向における位置と高さ(μm)との関係を示す図である。
図9Aの図(b)において、搬送方向における位置とラインセンサ出力値(%)との関係については、
図9Aの図(a)における符号901の図における波形と同様の結果が示されている。また、搬送方向における高さは、低い方へのピークが表れており、形状が凹状である欠陥があることが検出された。
【0060】
図9Bの図(a)において、符号910に示す図は、欠陥画像の幅方向におけるある1ライン(符号910a)における測定結果を表す図である。この符号910に示す図において、横軸は検査対象1の幅方向における位置を表し、縦軸は、ラインセンサの出力値を表す。
【0061】
図9Bの図(a)において、符号911に示す図は、欠陥画像の搬送方向におけるある1ライン(符号910b)における測定結果を表す図である。この符号911に示す図において、横軸はラインセンサの出力値を表し、縦軸は、検査対象1の搬送方向の位置を表す。検査対象1の搬送開始位置側から搬送終了位置側に向かって、ラインセンサ出力値が負の方向にピークがあり、その後、正の方向にピークが生じ、さらにその後、負の方向にピークがある。これは、搬送方向に沿うように、欠陥の形状が凹状となった後に凸状となり、その後凹となるような欠陥が存在することを示している。
【0062】
図9Bの図(b)は、欠陥画像における符号910bに示す1ラインにおける、搬送方向における位置とラインセンサ出力値(%)との関係、及び搬送方向における位置と高さ(μm)との関係を示す図である。
図9Bの図(b)において、搬送方向における位置とラインセンサ出力値(%)との関係については、
図9Bの図(a)における符号911の図における波形と同様の結果が示されている。また、搬送方向における高さは、低い方へのピークが表れた後、高い方へのピークが表れ、その後、低い方へのピークが表れている。この1ラインを含む幅方向のいくつかのラインの測定結果を参照すると、凸状と凹状が2つ連続して並んだ形状の欠陥があることが検出された。
【0063】
図9Cの図(a)において、符号920に示す図は、欠陥画像の幅方向におけるある1ライン(符号920a)における測定結果を表す図である。この符号920に示す図において、横軸は検査対象1の幅方向における位置を表し、縦軸は、ラインセンサの出力値を表す。
【0064】
図9Cの図(a)において、符号921に示す図は、欠陥画像の搬送方向におけるある1ライン(符号920b)における測定結果を表す図である。この符号921に示す図において、横軸はラインセンサの出力値を表し、縦軸は、検査対象1の搬送方向の位置を表す。検査対象1の搬送開始位置側から搬送終了位置側に向かって、ラインセンサ出力値が負の方向にやや低下し、その後、正の方向にやや増加している。これは、搬送方向に沿うように、欠陥の形状が凹状と凸状の欠陥があることを示しているが、高さ方向の変化は、
図9Aや
図9Bに比べて小さい。
【0065】
図9Cの図(b)は、欠陥画像における符号920bに示す1ラインにおける、搬送方向における位置とラインセンサ出力値(%)との関係、及び搬送方向における位置と高さ(μm)との関係を示す図である。
図9Cの図(b)において、搬送方向における位置とラインセンサ出力値(%)との関係については、
図9Cの図(a)における符号921の図における波形と同様の結果が示されている。また、搬送方向における高さは、低い方へのピークがあるが、
図9Aの測定結果に比べると凹状の結果の高さ(深さ)は浅い。
【0066】
上述の
図9Aから
図9Cにおいて、画像処理PC11は、検査対象位置における欠陥部の高さ(あるいは正常部の高さ)を、検査対象の搬送方向及び検査対象の幅方向について求められた値から欠陥部の形状を求めることができる。求められた形状を図示した場合には、例えば、
図9Aの図(a)、
図9Bの図(a)、
図9Cの図(a)のように示すことができる。これらの図において、黒色に近いほど高さが低い(深い)ことを表し、白色に近いほど高さが高いことを表す。
【0067】
なお、上述した実施形態において、1/Nエッジ透過光学系において、Nが2である場合について説明したが、測定対象の欠陥部の高さ方向のサイズに応じて、Nが他の値(例えばN=4、N=8等)であってもよい。
【0068】
上述した実施形態における画像処理PC11をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0069】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。