(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6982916
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】水田の防草方法及び水田の防草材
(51)【国際特許分類】
A01M 21/00 20060101AFI20211206BHJP
A01N 65/00 20090101ALI20211206BHJP
【FI】
A01M21/00 Z
A01N65/00 Z
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2021-15975(P2021-15975)
(22)【出願日】2021年2月3日
【審査請求日】2021年3月10日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.公開の事実 ▲1▼試験日(防草材散布日) 令和2年5月20日 ▲2▼試験場所 静岡県掛川市葛ヶ丘2−10−21 ▲3▼試験を行った者 南榛原開発株式会社 ▲4▼試験内容 南榛原開発株式会社が、上記静岡県掛川市葛ヶ丘2−10−21にて、米倉正直、西川章一が発明した水田の防草方法及び水田の防草材について、防草材を散布する試験を行った。 2.特許を受ける権利の承継等の事実 ▲1▼公開された発明の発明者 米倉正直(静岡県掛川市葛ヶ丘2−10−21) 西川章一(静岡県牧之原市大沢1052番地の1 南榛原開発株式会社内) ▲2▼発明の公開の原因となる行為時の特許を受ける権利を有する者(行為時の権利者) 南榛原開発株式会社(静岡県牧之原市大沢1052番地の1) ▲3▼特許出願人(願書に記載された者) 南榛原開発株式会社 ▲4▼公開者 南榛原開発株式会社 ▲5▼特許を受ける権利の承継について 公開の事実に記載の公開行為により公開された発明は、米倉正直、西川章一によって発明されたものであり、令和2年5月1日にその発明に係る特許を受ける権利は米倉正直、西川章一から南榛原開発株式会社に譲渡された。公開時の令和2年5月20日において、南榛原開発株式会社はその発明についての特許を受ける権利を保有していた。 その後、令和3年2月3日に南榛原開発株式会社は特許出願を行った。 ▲6▼行為時の権利者と公開者との関係等について 行為時の権利者である南榛原開発株式会社自ら、水田の防草方法及び水田の防草材について、公開の事実に記載のとおり公開を行った。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596134079
【氏名又は名称】南榛原開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】米 倉 正 直
(72)【発明者】
【氏名】西 川 章 一
【審査官】
吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−155209(JP,A)
【文献】
特開2010−070444(JP,A)
【文献】
特開2003−063918(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第1406908(CN,A)
【文献】
千蔵裕香、石本弘治、原田ふみえ,茶カテキンを用いた雑草防除についての実験的検討,土木学会第73回年次学術講演会講演概要集,日本,公益社団法人土木学会,2018年08月01日,pp. 125 - 126
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 21/00
A01N 65/00
JSTPlus(JDreamIII)
JMEDPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米ぬかと粉砕した茶を泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させる
ことを特徴とする水田の防草方法。
【請求項2】
米ぬかを泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させる
ことを特徴とする水田の防草方法。
【請求項3】
粉砕した茶を泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させる
ことを特徴とする水田の防草方法。
【請求項4】
容積比で米ぬか1〜2、粉砕した茶1〜2、泥炭1を混合して粒状又はペレット状の
固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させる
ことを特徴とする水田の防草方法。
【請求項5】
粉砕した茶は、茶製造によって生じる残渣の茶又は、茶抽出後の茶葉である
ことを特徴とする請求項1又は請求項3又は請求項4記載の水田の防草方法。
【請求項6】
米ぬかと粉砕した茶を泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大とした
ことを特徴とする水田の防草材。
【請求項7】
米ぬかを泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大とした
ことを特徴とする水田の防草材。
【請求項8】
粉砕した茶を泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大と
したことを特徴とする水田の防草材。
【請求項9】
容積比で米ぬか1〜2、粉砕した茶1〜2、泥炭1を混合して粒状又はペレット状の
固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大とした
ことを特徴とする水田の防草材。
【請求項10】
粉砕した茶は、茶製造によって生じる残渣の茶又は、茶抽出後の茶葉である
ことを特徴とする請求項6又は請求項8又は請求項9記載の水田の防草材。
【請求項11】
請求項6又は請求項7又は請求項8又は請求項9記載の水田の防草材を水田の一年生
雑草、多年生雑草、アオミドロの藻類の上に散布する
ことを特徴とする水田の防草方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田の防草方法及び水田の防草材に係り、特に、防草効果を高めることができる水田の防草方法及び水田の防草材に関する。
【背景技術】
【0002】
稲の生長を妨げるような雑草の発生を防止するため、有機物からなる防草材として、例えば、米糠や米糠に大豆糠等を混ぜて作ったものがあり(例えば、特許文献参照)、田植え前の田圃の水取入口から防草材を水に乗せて流し込んだり、田植後手散布している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-125489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、米糠や米糠に大豆糠等を混ぜて作った防草材を田圃へ散布した場合、それなりの効果はあるが、前記防草材の比重が水より軽いため、水とともに流れたり、風による不均一散布となり、せっかくの防草効果を継続することができないという問題点が生じた。
【0005】
本発明は、上記問題点を除去するようにした水田の防草方法及び水田の防草材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の水田の防草方法は、米ぬかと粉砕した茶を
泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるものである。
【0007】
また、請求項2記載の水田の防草方法は、米ぬかを
泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるものである。
【0008】
また、請求項3記載の水田の防草方法は、粉砕した茶を
泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるものである。
【0009】
また、請求項4記載の水田の防草方法は、容積比で米ぬか1〜2、粉砕した茶1〜2、泥炭1を混合して粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるものである。
【0010】
また、請求項5記載の水田の防草方法は、請求項1又は請求項3又は請求項4記載の水田の防草方法において、粉砕した茶は、茶製造によって生じる残渣の茶又は、茶抽出後の茶葉である。
【0011】
また、請求項6記載の水田の防草材は、米ぬかと粉砕した茶を
泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大としたものである。
【0012】
また、請求項7記載の水田の防草材は、米ぬかを
泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大としたものである。
【0013】
また、請求項8記載の水田の防草材は、粉砕した茶を
泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大としたものである。
【0014】
また、請求項9記載の水田の防草材は、容積比で米ぬか1〜2、粉砕した茶1〜2、泥炭1を混合して粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大としたものである。
【0015】
また、請求項10記載の水田の防草材は、請求項
6又は請求項8又は請求項9記載の水田の防草材において、粉砕した茶は、茶製造によって生じる残渣の茶又は、茶抽出後の茶葉である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の水田の防草方法によれば、米ぬかと粉砕した茶を
泥炭で粒状又はペレッ状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるため、水田内に沈下した固形物は流れにくく沈下した場所に留まって、固形物の米ぬか、茶の成分が徐々に溶け出して、土壌表面と水面に膜を張り、光、外気等を遮断して、除草剤に頼らず、雑草の発芽生育を抑えることができ、しかも、米ぬか、粉砕した茶は、稲の栄養成分ともなる。
【0017】
また、請求項2記載の水田の防草方法によれば、米ぬかを
泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるため、水田内に沈下した固形物は流れにくく沈下した場所に留まって、固形物の米ぬかの成分が徐々に溶け出して、土壌表面と水面に膜を張り、光、外気等を遮断して、除草剤に頼らず、雑草の発芽生育を抑えることができ、しかも、米ぬかは、稲の栄養成分ともなる。
【0018】
また、請求項3記載の水田の防草方法によれば、粉砕した茶を
泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるため、水田内に沈下した固形物は流れにくく沈下した場所に留まって、固形物の粉砕した茶の成分が徐々に溶け出して、土壌表面と水面に膜を張り、光、外気等を遮断して、除草剤に頼らず、雑草の発芽生育を抑えることができ、しかも、粉砕した茶は、稲の栄養成分ともなる。
【0019】
また、請求項4記載の水田の防草方法によれば、容積比で米ぬか1〜2、粉砕した茶1〜2、泥炭1を混合して粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるため、水田内に沈下した固形物は流れにくく沈下した場所に留まって、固形物の米ぬか、茶の成分が徐々に溶け出して、土壌表面と水面に膜を張り、光、外気等を遮断して、除草剤に頼らず、雑草の発芽生育を抑えることができ、しかも、米ぬか、粉砕した茶、泥炭は、稲の栄養成分ともなる。
【0020】
また、請求項5記載の水田の防草方法によれば、上述した請求項1又は請求項3又は請求項4記載の発明の効果に加え、粉砕した茶は、茶製造によって生じる残渣の茶又は、茶抽出後の茶葉であるため、焼却処分していた厄介な「茶製造によって生じる残渣の茶又は、茶抽出後の茶葉」の有効利用を図ることができる。
【0021】
また、請求項6記載の水田の防草材によれば、米ぬかと粉砕した茶を
泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大としたため、固形物は、水田内に沈下し、沈下した固形物は流れにくく沈下した場所に留まって、固形物の米ぬか、茶の成分が徐々に溶け出して、土壌表面と水面に膜を張り、光、外気等を遮断して、除草剤に頼らず、雑草の発芽生育を抑えることができ、しかも、米ぬか、粉砕した茶は、稲の栄養成分ともなる。
【0022】
また、請求項7記載の水田の防草材によれば、米ぬかを
泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大としたため、固形物は、水田内に沈下し、沈下した固形物は流れにくく沈下した場所に留まって、固形物の米ぬかの成分が徐々に溶け出して、土壌表面と水面に膜を張り、光、外気等を遮断して、除草剤に頼らず、雑草の発芽生育を抑えることができ、しかも、米ぬかは、稲の栄養成分ともなる。
【0023】
また、請求項8記載の水田の防草材によれば、粉砕した茶を
泥炭で粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大としたため、固形物は、水田内に沈下し、沈下した固形物は流れにくく沈下した場所に留まって、固形物の茶の成分が徐々に溶け出して、土壌表面と水面に膜を張り、光、外気等を遮断して、除草剤に頼らず、雑草の発芽生育を抑えることができ、しかも、粉砕した茶は、稲の栄養成分ともなる。
【0024】
また、請求項9記載の水田の防草材によれば、容積比で米ぬか1〜2、粉砕した茶1〜2、泥炭1を混合して粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大としたため、固形物は、水田内に沈下し、沈下した固形物は流れにくく沈下した場所に留まって、固形物の米ぬか、茶の成分が徐々に溶け出して、土壌表面と水面に膜を張り、光、外気等を遮断して、除草剤に頼らず、雑草の発芽生育を抑えることができ、しかも、米ぬか、粉砕した茶、泥炭は、稲の栄養成分ともなる。
【0025】
また、請求項10記載の水田の防草材によれば、上述した請求項
6又は請求項8又は請求項9記載の発明の効果に加え、粉砕した茶は、茶製造によって生じる残渣の茶又は、茶抽出後の茶葉であるため、焼却処分していた厄介な「茶製造によって生じる残渣の茶又は、茶抽出後の茶葉」の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本願発明の一実施例の水田の防草方法及び水田の防草材の効果を確かめる試験に使用する箱ポット試験を田植翌日に撮影した写真である。
【
図2】
図2は、1区の田植後13日(2020年7月9日)の箱ポットを撮影した写真である。
【
図3】
図3は、2区の田植後13日(2020年7月9日)の箱ポットを撮影した写真である。
【
図4】
図4は、3区の田植後13日(2020年7月9日)の箱ポットを撮影した写真である。
【
図5】
図5は、4区の田植後13日(2020年7月9日)の箱ポットを撮影した写真である。
【
図6】
図6は、5区の田植後13日(2020年7月9日)の箱ポットを撮影した写真である。
【
図7】
図7は、6区の田植後13日(2020年7月9日)の箱ポットを撮影した写真である。
【
図8】
図8は、7区の田植後15日(2020年7月12日)の箱ポットを撮影した写真である。
【
図9】
図9は、8区の田植後15日(2020年7月12日)の箱ポットを撮影した写真である。
【
図10】
図10は、9区の田植後15日(2020年7月12日)の箱ポットを撮影した写真である。
【
図11】
図11は、本試験実施田植後38日目の全景写真である。
【
図12】
図12は、掛川市下大東の水稲有機栽培水田におけるアオミドロの多発生状態の写真である。
【
図13】
図13は、掛川市下大東の水稲有機栽培水田のアオミドロを手取りした状態の写真である。
【
図14】
図14は、上記の米ぬかと緑茶粉を泥炭で結着固形した防草材によるアオミドロの枯死状態の写真である。
【
図15】
図15は、上記の米ぬかと緑茶粉を泥炭で結着固形した防草材により回復した水稲(
図14の右側)の生育状態の写真である。
【
図16】
図16は、2020年6月8日田植え直後の無処理とペレットを用いた(施用)ものとを撮影した写真である。
【
図17】
図17は、防草材(ペレット)を施用した5日後のペレットを用いた(施用)と無処理のものとを撮影した写真である。
【
図18】
図18は、防草材(ペレット)を施用した5日後のペレットを用いた(施用)と無処理のものとを撮影した写真である。
【
図19】
図19は、防草材(ペレット)を施用した13日後のペレットを用いた(施用)と無処理のものとを撮影した写真である。
【
図20】
図20は、防草材(ペレット)を施用した47日後のペレットを用いた(施用)と無処理のものとを撮影した写真である。
【
図21】
図21は、防草材(ペレット)を施用した107日後のペレットを用いた(施用)と無処理のものとを撮影した写真である。
【
図22】
図22は、防草材(ペレット)を施用した141日後のペレットを用いた(施用)と無処理のものとを撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施例の水田の防草方法及び水田の防草材を図面(
図1乃至
図22)を参照して説明する。
【0028】
水田の防草方法は、水田の防草材を水を張った水田にまいて行うもので、水田の防草材は、米ぬかと粉砕した茶を結着材で粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大としたものである。なお、結着材は、例えば、泥炭であり、結着材で固形物が結着しない場合には、適宜の量の水を加える。泥炭以外の結着材としては、例えば、おから、屑米、粉砕したツルムラサキ、粉砕したイモズルの搾汁、ベントナイト及び含鉄資材等がある。
【0029】
具体的には、容積比で米ぬか1〜2、粉砕した茶1〜2、泥炭1を混合して粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大とした。
そのため、水を張った水田に前記固形物をまくと、前記固形物が沈下し、前記固形物中の米ぬか、茶の成分が溶け出し、防草効果を継続させることができる。
【0030】
上述した水田の防草方法によれば、米ぬかと粉砕した茶を結着材で粒状又はペレット状のして固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるため、水田内に沈下した固形物は流れにくく沈下した場所に留まって、固形物の米ぬか、茶の成分が徐々に溶け出して、土壌表面と水面に膜を張り、光、外気等を遮断して、除草剤に頼らず、雑草の発芽生育を抑えることができ、しかも、米ぬか、粉砕した茶は、稲の栄養成分ともなる。
【0031】
図1〜
図15の実験結果について、以下説明する。
栽培処理
縦23cm×横36cm 深さ25cmの発泡スチロール箱に雑草多発性水田の表土と畑土壌を均一に混和して入れ、更にこれにノビエ、コナギ、カヤツリグサ、ホタルイ等の混土種子を同一量ずつ入れる。
施肥:灌水前に有機肥料(龍王)10a当たりN成分8kgの相当量を混土した。
代掻き:2020年6月25日に徐々に入水荒代掻きをし、更に6月26日に植代掻 きを行い、雑草種子と土壌の混和を図り、以後水深5cmに保持した。
田植:6月26日の夕方に水稲品種きぬむすめ40日苗を均一に選抜して1株4本植 え、発泡スチロール箱当たり2株を移植した。
考察
(1)米ぬか区と緑茶区(5区と6区)では、除草効果と水稲生育への影響を検討した が、これら両資材は多量処理では水稲の生育中期の分ケツ期頃に若干の生育抑制影 響があると思われる。又、多量処理では除草効果は大きいと思われる。
(2)クサオサエペレットの、多量処理区(2,3,4区)では主として水稲への生育 影響を検討したが、肥料的過剰の影響はなく、許容力が大きいと思われた。
(3)クサオサエペレットの、通常処理区(7,8,9区)では水稲への影響はほとん どなく、抑草力は処理量に準じた値を示した。今回は発生雑草量が通常の水田より 桁違いに多い条件下にあったにもかかわらず高い効果を示した。特に主要雑草のノ ビエやホタルイ、コナギに対して高い除草効果を示し、アール当たり30kg処理 で大きな抑草力があると考えられる。
(4)今回は雑草の発生が異常に多い条件下でしかも田植後やや遅い散布処理という条 件で試験したが、次回はこれを改め、ペレット構成資材のそれぞれの有効組み合わ せについても検討したい。
「クサオサエペレット」によるアオミドロ防除試験
1、目的
田植時の低水温によって発生するアオミドロやアミミドロの藻類による水稲苗の被 覆枯死を防止するため、米ぬかと緑茶粉を主体にこれを結着材で固めたペレットを散 布して、藻類を枯死させ水稲苗の安定活着を図る。
2、ペレットの製造とその処理
米ぬか1〜2、緑茶1〜2、泥炭1の泥炭1の容積比で混合したペレットをアール 当たり30kgを発生したアオミドロの上に散布した。
3、ペレットの効果と考察
ペレット散布後1〜2日でアオミドロは黒褐色に変色し、4〜5日後には黒色溶解 し、1週間後には完全枯死した。水稲苗には全く影響なく、その効果が確認された。 水稲苗は散布後4〜5日後で立ち上がり始め、1週間後には正常な生育に回復した。
以上の結果より、水稲移植後に発生した藻類にはできるだけ早くアール当たり20 〜30kgのペレットを藻類上や水田に散布することが必要である。
つまり、「米ぬかと粉砕した茶を結着材で粒状又はペレット状の固形物」、「米ぬ かと粉砕した茶を結着材で粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重 を1より大としたもの」、後述する「米ぬかを結着材で粒状又はペレット状の固形物 」「粉砕した茶を結着材で粒状又はペレット状の固形物」の水田の防草材を水田の一 年生雑草、多年生雑草、アオミドロの藻類の上に散布して、藻類の発芽、生育抑制の 効果を有するものである。
米ぬか(5区)の上記実験より、「米ぬかを多量に、水を張った水田にまいて、沈下させる水田の防草方法」、水田内に沈下した米ぬかは流れにくく沈下した場所に留まって、米ぬかの成分が徐々に溶け出して、土壌表面と水面に膜を張り、除草剤に頼らず、雑草の発芽生育を抑えることができ、防草効果があることがわかる。
また、粉砕した茶(緑茶粉)(6区)の上記実験より、「粉砕した茶(緑茶粉)を多量に、水を張った水田にまいて、沈下させる水田の防草方法」、水田内に沈下した緑茶粉は流れにくく沈下した場所に留まって、粉砕した茶(緑茶粉)の成分が徐々に溶け出して、土壌表面と水面に膜を張り、光、外気等を遮断して、除草剤に頼らず、雑草の発芽生育を抑えることができ、防草効果があることがわかる。
なお、粉砕した茶(緑茶粉)は、製品としての茶でも良いが、望ましくは、茶製造によって生じる残渣の茶又は、茶抽出後の茶葉を利用することにより、従来、焼却処分していた厄介な「茶製造によって生じる残渣の茶又は、茶抽出後の茶葉」の有効利用を図ることができる。
【0032】
上記「ペレット」は、容積比で米ぬか2、粉砕した茶2、泥炭1を混合して粒状又はペレット状にして固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大としたが、容積比で米ぬか1、粉砕した茶1、泥炭1を混合して粒状又はペレット状の固形物を形成し、前記固形物の比重を1より大としたペレットにおいても、
図16乃至
図22に示すように、防草効果があった。この実験に使用したペレットの量は、1アールに対して25kgを用いた。
なお、上述した実施例にあっては、米ぬかと粉砕した茶を結着材で粒状又はペレット状の粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるようにしたが、本願発明にあっては、これに限らず、米ぬかを結着材で粒状又はペレット状のして固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるようにしても良い。上述した米ぬか(5区)の上記実験より、米ぬかは、イネの生育には支障はなかった。また、粉砕した茶を結着材で粒状又はペレット状のして固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるようにしても良い。上述した粉砕した茶(緑茶粉)(6区)の上記実験より、粉砕した茶(緑茶粉)は、イネの生育には支障はなかった。
また、「米ぬかと粉砕した茶を結着材(例えば、泥炭)で粒状又はペレット状の固形物(例えば、泥炭)」又は「米ぬかを結着材(例えば、泥炭)で粒状又はペレット状の固形物」又は「粉砕した茶を結着材で粒状又はペレット状の固形物」の水田の防草材を水田の一年生雑草、多年生雑草、アオミドロの藻類の上に散布して、水田の防草方法を行っても、水田の防草効果がある。
【要約】
【課題】
本発明の目的は、防草効果を高めることができる水田の防草方法及び水田の防草材を提供するものである。
【解決手段】
水田の防草方法は、米ぬかと粉砕した茶を結着材で粒状又はペレット状の固形物を形成し、水を張った水田に前記固形物をまいて、前記固形物を沈下させるものである。
【選択図】
図4