【実施例】
【0042】
実施例1
[0047]L−カルニチンが、激しい運動中に骨格筋破壊を軽減し、食物変換効率を改善し、酸化ストレスを軽減し、筋肉回復時間を短縮し、及び脂肪の燃料としての利用を増加させ得ることを示すために、評価用哺乳動物(performance mammal)、すなわちイヌを対象として、90日試験を実施した。
【0043】
[0048]下記の実施例では、評価用のイヌに、Lonza社から得た商標名CARNIKINGのL−カルニチンサプリメントを投与した。
[0049]ラブラドールレトリーバー40匹を、性別、体重(「BW」)、遺伝学、及び除脂肪量に基づき20匹(オス11匹、メス9匹)からなる2つの等しい群に分割し、そして90日飼育期間において、低L−カルニチン基礎飼料を与えた。試験開始前の10日間、実験用のイヌに低L−カルニチン基礎食を与えた。ラブラドール犬20匹が、250mg/日のL−カルニチン(バッチ番号D22312)及び3.75gの糖を、ラブラドール犬20匹が、4g/dの糖を服用した。試験開始直前に、イヌをGE Prodigy DEXAシステムでスキャンし、そして測定した除脂肪量を、コントロール群とL−カルニチン投与群の間でイヌを等しく選別するのに役立つように、重要な成分として利用した。筋肉損傷及び抗酸化状態を評価するのに用いられる血中バイオマーカーについて、そのベースライン値を測定するために、血清サンプルを各イヌから得た。L−カルニチン投与した、及びコントロールの評価用のイヌは、1週間に2回、集中度がより高い全力疾走型の短距離走行のランニング(10週間にわたり、1097メートル(1200ヤード)/セッションから2194メートル(2400ヤード)/セッションまで増加させる)、及び1週間に1回、走行距離がより長い耐久性の長距離走行のランニング(10週間にわたり、8.0キロメートル(5マイル)/セッションから16.1キロメートル(10マイル)/セッションまで増加させる)からなる、毎週行われるランニングプログラムを実施した。
【0044】
[0050]各試験用のイヌは、短距離のより集中度の高い走行において、Philips Respironics社製Actical活動度モニターを首輪に装着したが、また毎週行われたより長距離の耐久走行においてもActical活動度モニターを装着した。活動データは、各イヌの識別情報と共にスプレッドシートにダウンロードされた。13週間ランニングプログラム中、各長距離走行の24時間後に、イヌ飼育員により、苦痛又はあらゆる種類の跛行について各イヌをスコア化した。運動プログラムは、第11週目〜第12週目にかけて、漸減式プログラムにて運動プログラムを軽減し、第13週目に行われる最終的な長距離走行に備えてイヌを休ませた。最後の耐久走行の24時間前に、各試験用のイヌから走行前血清サンプルを採取した。最後の長距離耐久走行前に、心拍数及び基礎体温を、試験用のイヌそれぞれについて測定した。
【0045】
[0051]各評価用のイヌは、最後の耐久走行中にもActical活動度モニターを装着した。イヌは、ぬかるみ、水たまり、高茎草本、及び水泳を含む24.1キロメートル(15マイル)走行を完了した。イヌがコースを完了した時刻を記録した。イヌは、すべての耐久走行中、4輪全地形型車両に搭乗したイヌ飼育員により鼓舞された。イヌは自由であり、規定した距離よりも有意に長い距離を走行することができたが、すべてのイヌは少なくとも記載された距離を走行した。コースを完了しなかったイヌはデータセットから除かれた。24.1キロメートル(15マイル)の耐久走行後、速やかに、各イヌをイヌ小屋内に配置し、体温(15分毎に2時間)、及び心拍数(2分毎に14分間)について回復時間を評価した。試験用のイヌが最後の24.1キロメートル(15マイル)の耐久走行を行った24時間後に、走行後血清サンプルを採取して、筋肉損傷及び抗酸化状態に関するバイオマーカーを評価した。また、13週間試験コース期間中に生じた身体組成変化についても調べるために、GE Prodigy DEXAを用いて各試験用のイヌをスキャンした。
【0046】
[0052]L−カルニチンを服用したオス、メス両方のイヌは、試験終了時の24.1キロメートル(15マイル)時間計測走行において、コントロールのオスよりも平均6.56分速く走行し(p=0.0028)、L−カルニチン投与されたオスは8.69分速く走行した(p=0.0004)。L−カルニチンを与えられたイヌは、毎週行われた13回の長距離耐久走行を平均したとき、コントロール群の1557ユニット/キロメートル/kg BW(1135ユニット/マイル/ポンドBW)と比較して、有意に(p<0.05)高い、1806 Acticalユニット/キロメートル/kg BW(1317 Acticalユニット/マイル/ポンドBW)を生み出した。L−カルニチン投与したメスイヌは、コントロールのメス及びオスの両群の1723ユニット(1258ユニット)より有意に高い、2070ユニット(1509ユニット)の平均活動度を有した。
【0047】
[0053]長距離走行活動度ユニットに関する興味深い要素として、時間及び距離により影響を受けて、両処置群において、活動度/マイル/ポンドBWが有意に減少したことが挙げられた。また、L−カルニチン投与したイヌは、13週間の期間において、短距離走行について平均したActicalユニット/キロメートル/kg BW(Acticalユニット/マイル/ポンドBW)についても、コントロールのイヌの1721ユニット(1255ユニット)と比較して、1990ユニット(1451ユニット)とそれよりも有意に(p<0.05)高い活動度を有した。L−カルニチンを投与したメスイヌは、毎週行われた短距離走行について平均2088(1522)活動度ユニットを有し、またコントロールのオスの1591(1160ユニット)より有意に高い(p<0.05)活動度を有した。
【0048】
[0054]両群共に、試験期間において、脂肪割合(%)及び骨質量の増加と同時に、重量も増加した。L−カルニチン投与したイヌの脂肪量の割合(%)は、試験開始時から終了時にかけて、数値上小さめの増加(p=0.25)を示したが、またL−カルニチン投与したメスイヌの脂肪量の割合(%)は、コントロールのメスと比較して、それよりも数値上低めの増加を示した(8.9%に対して4.2%)(p=0.22)。いずれの群においても、除脂肪量の増加は検出されず、また総重量、脂肪割合(%)、及び骨質量の増加は、群間で有意に異なるとはみなされなかった。
【0049】
[0055]運動後のミオグロビン値の増加は有意とみなされ(p<0.0001))、L−カルニチン投与したイヌの19.67ng/mLと比較して、コントロール群の血清ミオグロビン値は30.97ng/mLであり、有意に上昇した。走行前と比較して、走行後のコントロールのイヌ間におけるミオグロビン変化は、24.92ng/mLであったが、これは、最後の走行期間中の有意な筋肉損傷を示唆する。
【0050】
[0056]血清の総合的な抗酸化能力は、トレーニングコース期間中に、両群において有意に向上したが、抗酸化能力値は、24.1キロメートル(15マイル)長距離走行後、両群において低下した(p<0.0001)。しかし、いずれの時点においても、群間で有意差は認められなかった。血清のチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)は、試験全体を通じて不変であった。個々のイヌについて認められた、走行前後の血液間におけるTBARSの差異から、コントロールのイヌの場合、TBARSは2.14ユニット増加した一方(P=0.155)、L−カルニチン投与したイヌでは、0.41ユニット増加したに過ぎないことが判明した。
【0051】
[0057]クレアチンキナーゼ値は、コントロールのイヌの場合、走行前と比較して長距離走行後では13.64ユニット増加し、L−カルニチン投与したイヌの場合、同一期間において9.3ユニット増加したに過ぎなかったが、その差異は有意に異ならなかった(p=0.155)。
【0052】
[0058]各長距離走行後の24時間、各イヌを観察して評価した。イヌを苦痛及び跛行についてスコア化した。いずれの処置群においても、跛行又は苦痛に対して、長距離走行の顕著な効果は認められなかった。各群は、試験期間全体を通じて、類似した量のエネルギー及び栄養分を消費した。処置群間で食物摂取量(g/kg BW、又はkcal ME/kg BW)に有意差は認められなかった。しかし、L−カルニチン投与群では、体重(BW)1kg当たりの食物消費量が、特に評価試験の初期及び後期において、低めの傾向を有した。試験が進行するに従い、主にイヌの適応力向上、及び環境温度の上昇を理由として、両群の体重(BW)1kg当たりの食物消費量は減少した。
【0053】
[0059]実験デザイン:年齢が1〜3.5歳の範囲のラブラドールレトリーバー(ラブラドール犬)40匹を、2つの食餌療法試験に組み込んだ。2つの食餌療法は、L−カルニチン投与群に1日当たり250mgのL−カルニチンを付加した以外、試験用のイヌへの同一の低L−カルニチン食による飼育に基づいた。L−カルニチン投与したイヌそれぞれには、追加の糖3.75gと混合したL−カルニチン250mgを投与した。コントロールのイヌは、4gの糖を毎日投与した。性別、年齢、興奮レベル、フレームサイズ、体重、及び遺伝的背景が等しいラブラドール犬20匹を、2つの処置群それぞれにおいて利用した。栄養試験に利用されたラブラドール犬は、最低6匹の異なるメスイヌに由来した。試験用のイヌ40匹の除脂肪体重を、DEXAを用いたスキャニングにより測定し、最終的な重要要素を、群が等しいことを保証するのに利用した。試験開始前に、ラブラドール犬を最低10日間、実験食に順応させた。ラブラドール犬を90日試験開始時に秤量し、また試験全体を通じて2週間毎に秤量した。食物消費量を、提供飼料及び残飼を毎日秤量することにより測定した。開始時における初期の最低体重が、試験全体を通じて維持されるように、各イヌに提供される1日当たりの食物の量を調整した。イヌ用の食物はLonza社より提供されたが、評価用のイヌが試験開始前に消費していたという、Gold N Pro(ミズーリ州のMFA)の最低限保証分析結果に等しかった(表1)。
【0054】
[0060]運動レジメン:2つの異なる種類の運動プログラムを、各群のイヌに毎週実行させた。運動レジメン、90日間において、全力疾走型(短距離走行)及び耐久型(長距離走行)労作の両方からなっていた。AKC Junior Hunt 試験(アメリカンケネルクラブ)に匹敵するであろう、模擬的な量の労作を、各群のイヌに実行させ、また1週間に1回、イヌに模擬的な耐久走行も行わせた。各群の試験用のイヌは、1週間に2回行われたAKC Hunt試験運動を、13週間の試験期間中に26回行った。各週において、各群は、走行と走行の間に1日の休息を設けながら試験を2回走行した。
【0055】
[0061]最初の1週間のAKC Hunt試験運動では、6回の連続した全力疾走型回収運動が2日間行われ、各方向最低91メートル(100ヤード)の、合計1日当たり1097メートル(1200ヤード)又は1週間当たり2195メートル(2400ヤード)に相当した。イヌは、運動期間中、バンパー(アヒル又はカモに類似)を調教師まで持ち運んだ。全力疾走型運動の回数及び長さは、試験用のイヌのアスレチック適応力及び労作効率の改善に適合するように、10週間にわたり、各方向110メートル(120ヤード)に相当した10回のマーク、すなわち合計2195メートル/日(2400ヤード/日)及び4389メートル/週(4800ヤード/週)まで徐々に増加させた。AKC Hunt試験を模倣した集中運動に関係する時間の長さは、短距離走行日毎に、イヌ1匹当たり約10〜15分であったが、両処置群で等しかった。模擬的な1週間AKC Hunt試験期間中、一連の回収運動(全力疾走)の間に設けられた休息時間は、すべてのイヌで等しかった。
【0056】
[0062]短距離走行(マーク)と関連する全力疾走の距離及び回数は、第11週目に減少させ、合計1097メートル/日(1200ヤード/日)又は2195メートル/週(2400ヤード/週)まで戻し、そして第12週目には、549メートル(600ヤード/日)又は 合計1097メートル/週(1200ヤード/週)まで再び減少させ、第13週目の最終長距離走行に備えて休息を設けた。1週間の耐久走行は、最初8.0キロメートル(5マイル)であったが、1週間毎に0.8キロメートル(1/2マイル)ずつ増やして、第10週目には、16.1キロメートル(10マイル)の距離まで増加した。イヌは、第13週の期間中に行われる最終的な長距離走行に備えて休息するために、第11週目に8.0キロメートル(5マイル)耐久走行のみを、そして第12週目には3.2キロメートル(2マイル)耐久走行のみを行った。イヌ40匹を対象に耐久(長距離)走行を、両処置群について各週の第5日目及び第6日目に実施した。半分のイヌが金曜日(第5日目)に走行し、半分のイヌが土曜日(第6日目に)に走行した。イヌを3日間休め、各群に由来するイヌの半分が月曜日に24.1キロメートル(15マイル)耐久走行を行い、そして残りのイヌ20匹が火曜日に24.1キロメートル(15マイル)耐久走行を行って、第13週中に運動レジメンは終了した。より長距離の耐久型の走行では、若干低速化して脂肪酸化を増強したが、これは、最大酸素消費量(VO2 max)の50%〜65%に等しい運動強度に相当する。
【0057】
[0063]身体スキャン:90日試験の開始前の一週間及び最後の耐久走行の後の最初の労作日において、各イヌをGE Prodigy Pro Fanビーム装置を用いて、身体組成についてスキャンした。イヌ毎に、除脂肪量の割合(%)、脂肪量の割合(%)、及び骨灰の割合(%)について、身体組成の数値を測定した。身体組成の差異を、試験用のイヌ毎に、開始時のスキャンと最後のスキャンを比較することにより測定した。最終スキャンを、走行の24時間後に完了した。
【0058】
[0064]血液解析:血清サンプルを、90日の期間中に各イヌから3回の異なる時期に採取した。血液サンプルを以下の通り収集した:1)試験開始時に身体組成について各イヌをスキャニングする直前、2)第13週目の長距離走行前、及び3)第13週目の長距離走行の後。運動プログラム中に、血清サンプルをホスホクレアチンキナーゼ及びイヌミオグロビンについて分析して、長距離走行後に生じた筋肉タンパク質の漏損量を調べ、またTBARS及び総合的な抗酸化能力(TAC)を測定して、試験用の各イヌの抗酸化状態を評価した。長距離走行の24時間後に最終的な血液サンプルを採取して、過去に実施されたヒトアスリートによる類似した種類の運動研究に基づき、最大タンパク質漏損量を得た。
【0059】
[0065]パフォーマンス及び回復時間:イヌ毎に運動量(測定された総運動量及び強度)を見積もって、処置群間の労作が等しいことを評価するために、また1日の回収運動を行った際の個々の労作強度についても評価するために、Acticalモニター(Philips Respironics社)を各イヌの頸部周辺、首輪上に装着し、これを利用した。各イヌは、長距離走行毎にActicalモニターを装着し、また最終的な24.1キロメートル(15マイル)走行においても、Acticalモニターを装着した。Acticalモニターデータをコンピューターにダウンロードして評価した。
【0060】
[0066]試験終了時の最後の24.1キロメートル(15マイル)走行において、イヌを時間計測した。イヌ毎の体温及び心拍数を、長距離24.1キロメートル(15マイル)走行直前に測定した。心拍数測定を手作業により実施し、また体温を直腸温度計を用いて測定した。各スタッフメンバーは、各セットに含まれる試験用のイヌの1匹について、完走するのに要した時間を測定する責任を有した。また各スタッフメンバーは、走行後戻り次第速やかに、担当する特定のイヌの心拍数及び体温を測定する責任も有した。最後の長距離走行後に、心拍数を2分毎に14分間測定し、また長距離走行完了後に、体温を15分毎に2時間測定した。適応力、並びに走行後、基礎的なHR及び体温に達するのに要する時間を評価するために、心拍数及び体温を、前後両方において測定した。
【0061】
[0067]主観的回復スコアを、1週間に1回、耐久走行の24時間後に、試験用のイヌ毎に判定した。主観的回復スコア(1〜5;苦痛又は四肢の硬直が認められない場合、スコア1、及びスコア5は、顕著な苦痛及び硬直を意味した)は、各イヌの運動の容易さ及び苦痛に基づいた。イヌの回復を評価するために、苦痛及び移動への欲求に関する限り、同一の主観的システムを、長距離24.1キロメートル(15マイル)走行の6時間後に用い、24及び48時間後に再度用いた。
【0062】
[0068]バイオマーカー及びアッセイ法:血清セパレーターチューブを用いて、90日間の3回の異なる時期に、血液を各イヌから採取した:1)試験開始時に、身体組成について、各イヌをスキャニングする直前に、2)第13週目の長距離走行前に、及び3)第13週目の長距離走行後。長距離走行の24時間後に最終的な血液サンプルを採取して、過去に実施されたヒトアスリートによる類似した種類の運動研究に基づき、最大タンパク質漏損量を得た。血液採取後、毎回放置して凝固させた後、2000g、4℃で15分間、遠心分離した。血清を、1.5mLの微量遠心チューブに定量分取し、試験終了後、アッセイが行われるまで−80℃で保管した。
【0063】
[0069]クレアチンキナーゼ(CK)及びイヌミオグロビンを測定して、長距離走行後に生じた筋肉タンパク質漏損の量を求めた。運動プログラム期間中に、チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)及び総合的な抗酸化能力(TAC)を測定して、各試験用のイヌの抗酸化状態を評価した。血清サンプルを、総合的な抗酸化能力(TAC)及びチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)について、Cayman Chemical Company社(Ann Arbor、MI)より供給された市販の比色分析キットを用い、製造業者の説明に従って分析した。血清イヌミオグロビンレベルを、Innovate Research社(Novi、MI)より供給された市販のELISAを用い、製造業者の説明に従い測定した。クレアチンキナーゼ活性を、BioVision社(San Francisco、CA)より供給された市販キットを用いて、比色分析により測定した。
【0064】
[0070]代謝可能エネルギーの測定:低L−カルニチン試験食のMEを、指示法2を用いて測定した(AAFCO、2007年)。収集前の5日間、各試験用のイヌに、低L−カルニチン試験食500gを毎日与え、また収集期間中の4日間、各イヌに同一量の試験食を与えた。収集期間において、試験食500gを提供するのと同時に、2gの二酸化チタンを、ゼラチンカプセルにより試験用のイヌそれぞれに与えた。チタンマーカーは、消費された試験食の0.4%であった。収集期間中の4日間、各試験用のイヌから得た糞便の一定分量を毎日収集し、そして4つの個々のサンプルとして維持した。糞便サンプルを収集直後に凍結した。各糞便サンプルを凍結乾燥し、そして未精製のタンパク質及び総エネルギーについて分析した(Parr Bomb熱量計)。排泄物中のチタンを、改変したMyersらの方法(2004年)を用いて測定した。
【0065】
[0071]統計的手法:独立t検定を用いて、走行時間、食物摂取量、体重、及び血液化学の変化について、群間の平均値を比較するのに、GraphPad Prism 6.0を用いた。結果は、p値として0.05を得た場合に有意とみなした。JMP 10.0.2を、長距離走行、短距離走行、身体組成、及び血液化学について、混合モデルを構築するのに用いた。
【0066】
【表1】
【0067】
[0072]結果:表1は、試験期間中にイヌに与えられた基礎飼料を示す。飼料のME及びDE(可消化エネルギー)が、ME3969kcal/kg及びDE4214kcal/kgとして測定された。10日間の試験前期間に、食物を与えて、試験開始時には、イヌが新しい食物に順応したであろうことを確認した。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
[0073]表2は、評価用のイヌが24.1キロメートル(15マイル)の最終的な走行を完了するのに要した時間を示す。走行時間は、オス、メス両方からなるコントロールのイヌについて102.4分であったが、これと比較して、L−カルニチン投与したイヌのオスとメスとの組み合わせでは95.84分であり、有意に短縮した(p=0.0028)。24.1キロメートル(15マイル)走行において、コントロールのオスと比較して、L−カルニチン投与したオスイヌの走行時間は有意に短かった(p=0.0004)。L−カルニチン投与したメスがコースを完了するのに要した時間は、コントロールのメスイヌと比較して短かったが、但し有意ではなかった(p=0.38)。
【0071】
【表4】
【0072】
[0074]最終的な長距離走行後の心拍数及び体温の回復は、2処置群で異ならなかった(表3)。
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
[0075]心拍数が基底レベルまで戻るのに要した時間は、約14分であり、両処置群共に、この時間を必要とした。長距離走行直後が、心拍数の差異が認められた最も近い箇所として挙げられる。L−カルニチン投与したイヌ(M&F)の平均心拍数は、コントロールのイヌの149回と比較して、それよりも数値的に高い159回/分であった(p=0.199)。L−カルニチン投与したイヌのオス、メス両方について、その走行直後の心拍数は数値的により高かったが、オス、メスのいずれも、その心拍数は、コントロールのイヌのオス、メスそれぞれと比較して有意に異なることはなかった。相違は4分以内に消散して回復したが、両群の心拍数は、14分間の回復期間中、継続的な低下が認められた。
【0077】
[0076]L−カルニチン投与したイヌでは、心拍数が数値上より高かったが、それは、24.1キロメートル(15マイル)走行期間中に、上記イヌが経験した労作がより過酷であったことを示唆する。コントロールのオスが有した走行後の体温は、L−カルニチン投与したオスと比較して、それよりも有意に高かった(p=0.05)。L−カルニチン投与したオスとコントロールのオス間の体温差は、15分以内に消散し、両群は、24.1キロメートル(15マイル)走行後、30〜45分において走行前コア温度まで戻った。コントロールのオスのコア体温は、24.1キロメートル(15マイル)走行期間中の燃料の使用が効率的でなかったので、L−カルニチン投与したオスの場合よりも上昇したと考えられる。L−カルニチン投与したオスは、コントロールのオスと比較して、それよりも効率的に筋肉脂質を、激しい運動中に利用することができたと考えられる。骨格筋内L−カルニチンの欠乏により、脂質利用が制限される場合、コントロールのオスでコア温度が1度上昇するが、その妥当な説明として、コントロールのオスは、グルコースを供給するために、燃料用としてタンパク質分解にシフトしなければならなかったという理由が挙げられる。タンパク質の異化及び尿素の生成は、すべての栄養素のうちでも最も多量の熱生成をもたらす。
【0078】
[0077]試験期間中に、各長距離走行の24時間後に、及び最終的な走行後の数回において、イヌの回復を評価するために各イヌを観察した。イヌを苦痛及び跛行及び移動への欲求の欠如について1〜5にスコア化した。いずれのイヌに対しても、跛行又は苦痛を引き起こすような長距離走行の顕著な効果は認められなかった。万人が気づくような観察所見として、長距離走行後のイヌの朝食量が低下し得ること、また長距離走行後の夜に、イヌをイヌ小屋に配置すると、速やかにおとなしくなり、横臥したことが挙げられる。
【0079】
[0078]下記の表4に示す通り、食物消費量は、13週間全体を通じて処置群間で有意に異ならなかった。
【0080】
【表8】
【0081】
[0079]試験の最初の4週間及び試験の最後の4週間において、L−カルニチン投与したイヌとコントロールのイヌの間の食物消費量の差異は、概ね有意に異なった(
図1)。最初の4週間の差異を表すp値は、0.03〜0.15の間の範囲であり、また最後の4週間の差異を表すp値は、0.04〜0.13の間の範囲であった。コントロールのイヌの677g/日と比較して、L−カルニチン投与したイヌの全体的な1日当たりの平均食物摂取量は626g/日であった(p=0.12)。90日試験期間中、コントロールのイヌの体重増加はわずかであったので(有意ではない)、g/日/ポンドBW、又はkcal ME/日/ポンドBWで報告された食物消費量は、L−カルニチン投与したイヌよりもその差は小さかった(p=0.19)。
【0082】
[0080]L−カルニチン投与したイヌは、その労作及びBWを維持するための食物エネルギーについて、その必要性がより低いことを明確に示している。L−カルニチン投与したイヌは、90日プログラム期間中に蓄積脂肪を活用することが可能であったが、またBWを持続するために、毎日必要とする食物エネルギーは少な目であった。イヌの体重は、試験期間中有意に異ならなかった(表5)。
【0083】
【表9】
【0084】
[0081]イヌはそれぞれ、BWを13週間にわたり増加させたが、処置群間の差異は有意ではなかった。長距離走行の際にActicalモニターにより測定された活動度を、表6及び
図2に報告する(報告書の裏側の2a,2b,2cは、週別の長距離走行、週別及び距離別の長距離走行、週別、距離別、及び性別の長距離走行を表す)。
【0085】
【表10-1】
【0086】
【表10-2】
【0087】
【表11】
【0088】
[0082]L−カルニチン投与したイヌは、13週間試験期間中に、有意に多くの活動量を生み出し(p=0.0094)、またメスイヌは、オスと比較してより多くの活動量を生み出した(p<0.0001)。また、データは、両処置群のイヌが生成した活動量は、試験期間中、何週間か経過し(p<0.0001)、また長距離走行の距離が延びる(p<0.0001)につれて低下したことも示唆する。性別と処置群の交互作用は有意ではなかったが(p=0.30)、活動量のデータは、L−カルニチン投与したメスイヌは、コントロールのメスイヌの1725(1258)、L−カルニチン投与したオスイヌの1542(1124)、及びコントロールのオスイヌの1387(1011)より有意に多くの活動量、2070(活動運動/キロメートル/kg BW)(1509(活動運動/マイル/ポンドBW))(p<0.05)を生み出したことを明らかにした。L−カルニチン投与したオスイヌは、試験終了時のタイムトライアルにおいて、コントロールのオスイヌ及び両処置群のメスイヌと比較してそれよりも速かったが、1週間の長距離走行期間中では、メスがより多くの全体的活動量を示した。メスイヌは、ランニングにより集中したと考えられる一方、オスイヌは、メスの臭跡により多く気を取られ、またトラックに沿ってテリトリーをマーキングすることに専心する傾向を有した。
【0089】
[0083]1週間の短距離走行(1週間当たり2セッション)においてActicalモニターにより測定された活動量を表7及び
図3に報告する(報告書の裏側の3a及び3bは、週別及び距離別の短距離走行、並びに週別、距離別、及び性別の短距離走行を表す)。
【0090】
【表12-1】
【0091】
【表12-2】
【0092】
【表13】
【0093】
[0084]両処置群のメスは、13週間試験全体を通じて、オスと比較してそれよりも多くの活動量(活動単位/マイル/ポンドBW)を生み出した(p=0.0369)。L−カルニチン投与したイヌは、コントロールのイヌと比較して、それよりも有意に多くの活動量(活動単位/マイル/ポンドBW)を生み出した(p=0.0195)。また短距離走行では、イヌの活動量は、距離が長くなり(p<0.0001)、そして試験の週間が継続する(p<0.0001)に従って減少したことも判明した。週と週が同一とはみなされず、距離が長くなる試験の唯一の部分は、イヌが、第11週目における距離の短縮とトレーニング漸減プログラムが行われる第12週目を経験し、従って、24.1キロメートル(15マイル)最終走行を完了するのに必要とされるエネルギーの蓄積が可能になるときである。13週間全体を通じて、L−カルニチン投与したイヌは、コントロールのイヌと比較して、明らかにこれよりも多くのエネルギーを短距離走行につぎ込んだ。
【0094】
[0085]トレーニング及び運動の異なる段階を表す各血清バイオマーカーの平均値(ベースライン、走行前、及び走行後)を表8に示す。
【0095】
【表14】
【0096】
表9において、ミオグロビン値を、異なる処置群について比較した。
【0097】
【表15-1】
【0098】
【表15-2】
【0099】
【表15-3】
【0100】
[0086]血清中のミオグロビン値は、走行前から走行後の期間において、ミオグロビンの有意な増加を示す(p<0.0001)。結果は、長距離24.1キロメートル(15マイル)最終走行期間中の筋肉損傷により、ミオグロビンが骨格筋から失われていることを明確に示す。L−カルニチン投与したイヌでは、走行後の血清中ミオグロビンの増加は、走行前の血清と比較して、それよりも有意に小さかったが(p=0.0218)、それはL−カルニチン投与したイヌにおける筋肉損傷及びミオグロビン喪失がより少ないことを示唆する。性別と時間(走行後−走行前)において、有意な交互作用が認められた(p=0.0264)。走行前コントロールのイヌでは4.68ng/mLに過ぎなかったが、これと比較してコントロールのメスイヌのミオグロビンでは、走行後の数値は40.59ng/mLであり、これは、時間と性別における交互作用を生み出した重要な変化である。
【0101】
[0087]ベースライン、走行前、及び走行後のイヌに関する血清中クレアチンキナーゼ(CK)を表10に報告する。
【0102】
【表16-1】
【0103】
【表16-2】
【0104】
【表16-3】
【0105】
[0088]CK値は、試験開始前のイヌに認められたCKと比較して、走行前のイヌではそれよりも低い(p<0.0001)。試験開始時のイヌの状態は、最終走行前のイヌの状態と比較して、同一ではなかった。試験開始前に行われた継続的トレーニングは、ベースライン初期値についてCK値を高めた可能性がある。走行前のCK値は、休息状態のイヌを表し、また漸減期間中に実施された運動のみが、第10週目に行われた運動レジメンと比較して、それよりも長さが有意に短縮した。走行後のCK値が、走行前のCK値と比較して、それよりも有意に増加したことが、すべてのイヌで認められた(p<0.0001)。ベースライン、走行前、及び走行後の数値を考慮すれば、全体的なCK値は、L−カルニチン投与したイヌはコントロールのイヌとは有意に異なることを示唆する(p=0.05)。L−カルニチン投与したイヌのベースラインCKは、コントロールのイヌと比較して、それよりも高く、数値に多大な影響が認められた。L−カルニチン投与したイヌのCKベースライン値が高めであったが、それは処置を反映したものではなく、むしろL−カルニチン投与したイヌにおけるL−カルニチン投与開始前及び90日試験開始前の筋肉損傷の現れであった。メスイヌでも、3時点において有意となる最高値を示したが(p=0.0019)、但しこの差異も、試験開始前に最高値を示したL−カルニチン投与したベースラインのメスイヌと関連する。コントロールのメスのベースライン値より高かったL−カルニチン投与したメスイヌにおいて、処置と性別との交互作用(p=0.0003)は、CKベースライン値の影響を顕著に受けた。
【0106】
[0089]表11は、試験用のイヌ毎に、3時点における総合的な抗酸化能力(TAC)を示す。
【0107】
【表17-1】
【0108】
【表17-2】
【0109】
【表17-3】
【0110】
[0090]13週間評価試験を完了したイヌでは、そのベースライン値から走行前のTACまで、TACが実際に増加した。13週間試験の実施過程で、試験開始時と比較してそれよりも向上したTACに、イヌは益々うまく適応するようになることを示す傾向を、TACデータ及びCK値の両方が有したが、そのような点において、両者は相関関係を有する。すべてのイヌについて、ベースライン値を走行前血清値と比較すると、試験用のイヌのCKも、同じことを示した。TACは、最終的な長距離走行の後、両群共に、走行前TAC値と比較してそれよりも減少したが(p<0.0001)、これは、24.1キロメートル(15マイル)最終走行のランニングに関わる酸化ストレスに対処するために、イヌは抗酸化能力を利用したはずであることを示している。メスの場合、イヌのベースライン血清値と走行前の数値間におけるTAC増加量は、オスイヌと比較してそれよりも小さかったが、それは、メスは13週間試験コース期間中により多くの労力を一貫して消費したためである。試験期間中、L−カルニチンは、試験用のイヌのTAC変化に対して有意な効果を有さなかった。
【0111】
[0091]試験用のイヌのTBARSを、ベースライン、走行前、及び走行後の期間において測定した(表12)。
【0112】
【表18-1】
【0113】
【表18-2】
【0114】
【表18-3】
【0115】
[0092]混合モデルより、3期間において、メスイヌは、オスイヌと比較してTBARSの数値的増加を示したが(p=0.09)、処置効果又は交互作用について何らかの有意性を示さなかったことが示唆される。また混合モデルより、走行後の数値は、すべての群のイヌについて、走行前の数値よりも数値的に高い(p=0.12)ことが明らかであり、最終的な長距離走行の酸化ストレス期間中に脂質の過酸化が進み、そして脂質生成物がマロンジアルデヒド(MDA)に分解してTBARSが増加したことが示唆される。メスではTBARSが増加するが、それは最終的な走行後に、膜の脂質がより多く分解したことを示唆し、またミオグロビンの有意な増加にもあてはまる。
【0116】
[0093]表13は、すでに議論した血中バイオマーカーの、走行前から走行後の個々の変化を示す。
【0117】
【表19】
【0118】
[0094]データは、これまでの表に記載した混合モデルデータにおいて評価されたベースライン情報について考慮しない。表13は、TBARS及びクレアチンキナーゼの数値は、個々のイヌにおいて、走行前と比較して走行後では増加することを主に示す。血中バイオマーカーの変化は、イヌについて個別の検討を可能にし、またL−カルニチンは、走行期間中の筋肉損傷を最低限に抑えるのに役立ち、また最終的な走行に関係したストレスに起因する膜の過酸化の抑制にも役立つことを裏付ける。
【0119】
[0095]性別の差異に関する平均値について、及び処置群と期間を比較するのに、混合モデルを用いたが、混合モデルは、異なる群における期間の間の実際の変化をイヌ毎に比較するのに用いることはできなかった。TBARSは、最終的な長距離走行後のコントロールのオス及びメスイヌについて、走行前の数値と比較して2.14増加するが、L−カルニチン投与したイヌは、同一の2期間において0.41の増加を示したにすぎない(p=0.155)。走行後の血清値を走行前CKと比較すると、CK値はコントロールのイヌで13.64増加する一方、CKは、L−カルニチン投与したイヌの場合、9.3酵素ユニット増加するにすぎない(p=0.145)。コントロールのオスイヌは、筋肉損傷を反映する走行後血清値において、5.54ユニットしか増加しないL−カルニチン投与したオスイヌと比較して、それよりもCKが増加する(12.94ユニット)ことを示す傾向を有する(p=0.052)。L−カルニチン投与したオスイヌは、コントロールのオスと比較して、それよりも少ないCK増加を、またメスの両処置群よりも低いCKを示した。
【0120】
[0096]筋肉損傷のバイオマーカーであるミオグロビンでは、長距離走行期間中、L−カルニチン投与したメスと比較して、コントロールのメスの筋肉損傷は、最も増加したことが示唆された(p=0.03)。上記バイオマーカーは、最終的な長距離走行期間におけるL−カルニチン投与したオス、メス両方のイヌの筋肉損傷がより少ないことを示す。ミオグロビン値は、L−カルニチンを消費するメスの筋肉損傷が小さいか、その大小を調べるのに最適である一方、CK値は、L−カルニチンを消費するオスイヌの筋肉損傷が小さいか、その大小を説明するのに最適である。
【0121】
[0097]評価用のイヌの身体組成を、表14に示す。
【0122】
【表20】
【0123】
総重量(ポンド)、除脂肪量(ポンド)、脂肪割合(%)、及びg身体ミネラル含量(BMC)を、性別、処置別、及び試験に要した時間別に報告する。
[0098]表15は、評価を目的として、試験用のイヌの総体重を、混合統計モデルを用いて示す。
【0124】
【表21-1】
【0125】
【表21-2】
【0126】
【表21-3】
【0127】
[0099]総体重の統計的差異が性別で認められ(p<0.0001)、メスの体重の方が低かった。すべてのイヌの総体重において、統計的に有意な増加が認められたが(p<0.0001)、処置群間で有意差は認められなかった。L−カルニチン投与したメスイヌの総体重増加量は、開始時から最終走行後にかけて、コントロールのメスイヌと比較して、それよりも数値上低値であった(p=0.123)。試験期間中、メスの全体的な総体重増加量は、オスイヌについて認められた増加量よりも数値的に大きかったが、その増加量は有意ではなかった(p=0.147)。メスの総体重増加量は、脂肪増加量に比例して高くなった。
【0128】
[00100]脂肪割合(%)の増加(p<0.0001)は、すべてのイヌで生じた(表16)。
【0129】
【表22-1】
【0130】
【表22-2】
【0131】
【表22-3】
【0132】
試験期間中、メスイヌの脂肪割合(%)は、オスイヌと比較して、それよりも有意に増加した(p=0.0125)。L−カルニチン投与したイヌのオス、メス両方は、脂肪割合(%)で数値上低値の増加を示し(p=0.255)、L−カルニチン投与したメスイヌが示した脂肪割合(%)の増加は、コントロールのメスイヌと比較して少なかった(p=0.22)。また、脂肪重量データは、試験開始時にすべてのイヌに含まれる脂肪量は、最終的な脂肪量と比較して、それよりも少なかったことを示唆する(表17)。
【0133】
【表23-1】
【0134】
【表23-2】
【0135】
【表23-3】
【0136】
試験開始時のすべてのメスイヌの脂肪量は、オスイヌに見出された脂肪重量よりも有意に低かった(p=0.03)。試験開始時、L−カルニチン投与したイヌのオス、メス両方は、コントロールのイヌと比較して、それよりも数値上高値の脂肪量(p=0.19)を有した。また、開始時において、L−カルニチン投与したメスイヌは、コントロールのメスイヌと比較してそれよりも数値上高い量の脂肪重量を含んだ(p=0.20)。
【0137】
[00101]表18より、除脂肪量(ポンド)は、オスよりもメスの方が有意に低いこと(p<0.0001)、及びメスが示した除脂肪量の増加量は、試験期間中、試験開始時から終了時にかけて、オスと比較してそれよりも数値上低値であった(p=0.1576)ことが明らかである。試験期間中、除脂肪量に対する処置の効果は認められなかった。
【0138】
【表24-1】
【0139】
【表24-2】
【0140】
【表24-3】
【0141】
[00102]試験コース期間中、メスイヌに含まれた身体ミネラル含量(BMC)は、オスイヌよりも有意に低かったが(p=0.0179)、オス、メス両方のBMC量は、有意に増加した(p=0.0085)(表19)。
【0142】
【表25-1】
【0143】
【表25-2】
【0144】
【表25-3】
【0145】
[00103]試験中、L−カルニチン投与したメスイヌに含まれたBMC濃度の平均値は、試験前スキャン及び走行後スキャンにおいて、コントロールのメスイヌと比較してそれよりも数値上高値であった(p=0.1029)。
【0146】
[00104]表20は、試験コース期間中の、処置群別の身体組成、及び初期の身体組成、最終的な身体組成について、各処置群内の性別の身体組成、並びに身体組成成分変化の統計的差異を独立t検定により比較する。また、表20は、身体組成について測定されたパラメーター毎に、開始時から終了時までの変化も比較する。90日試験コース期間中に、L−カルニチン投与したメスイヌの脂肪割合(%)は、コントロールのメスイヌと比較して、それよりも数値上低値の増加を示した(9%に対して5.8%)(p=0.30)。また、試験終了時、L−カルニチン投与したメスイヌの脂肪量は、コントロールのイヌと比較して、それよりも数値上低値を示した(5.0kg(11.1ポンド)に対して4.0kg(8.9ポンド))(p=0.29)。
【0147】
【表26】
【0148】
[0100]L−カルニチン投与したイヌは、L−カルニチンの供給増に迅速に反応した。L−カルニチン投与したイヌは、追加のL−カルニチンを供給した週内に、短距離走行及び長距離走行において、Acticalモニターにより測定を行うと、より多くの活動度ユニット(運動/マイル/ポンドBW)を生成した。L−カルニチン投与したイヌ(オス及びメス)は、13週間試験全体を通じて、短距離走行及び長距離走行の両方において、コントロールのイヌと比較してそれよりも多くの活動度を生成した。L−カルニチン投与したイヌ(オス及びメス)は、最終的な24.1キロメートル(15マイル)長距離走行を、コントロールのイヌより6.56分速く走行した。L−カルニチン投与したオスイヌは、24.1キロメートル(15マイル)走行を、コントロールのオスより8.69分速く、またやはりメスの処置群より速く走行したが、これはオス、メス両方が走行目的で調教を受けた場合に、オスの余分の除脂肪量が激しい全力レースにおいて有利であり得ることを示している。
【0149】
[0101]L−カルニチン投与したメスイヌは、試験全体を通じて、オス、メスの両方及び両処置群のうちで最高活動度を生成し、また90日間試験期間中、身体組成における脂肪割合(%)の増加も最低量であった。L−カルニチン投与したメスでは、身体内脂肪増加が少量認められたが、これが示唆することとして、これらのイヌでは、短距離走行及び長距離走行において、かなり激しいランニングを支援するのに役立つように、試験期間中、より多くの脂肪が燃料として利用されたことが挙げられる。また、血中バイオマーカーは、メスは、オスよりも多くの活動度/マイル/ポンドBWを生成し、その結果として、ミオグロビン、CK、及びTBARSの増加から明らかなように、より多くの筋肉損傷が生ずるという事実も裏付ける。
【0150】
[0102]バイオマーカーは、オス、メスの両方において、最終的な走行を原因とする筋肉損傷を示唆したが、ミオグロビン、TBARS、及びCKについては、メスが、オスと比較して最大の増加を示した。コントロールのメスイヌと比較して、ミオグロビン及びTBARSの増加は少なく、従ってL−カルニチン投与したメスイヌが示した筋肉損傷は少なかった。CK値も、すべてのイヌ(オス及びメス)において、走行前の数値と比較して、最終的な長距離走行期間において数値的に上昇したが、但しL−カルニチン投与したオスイヌでは、コントロールのオスイヌ又はメスイヌと比較して、それより多くの筋肉損傷に対する保護が認められた。
【0151】
[0103]L−カルニチン投与したイヌ及びコントロールのイヌにおいて、食物消費量への有意な全体的効果は認められなかったが、特に試験の最初の4週間、及びやはり試験の最後の4週間において、L−カルニチン投与したイヌが消費した食物はより少ないことが、データより明らかである。L−カルニチンは、短距離走行及び長距離走行に関係する激しい運動を行うために、身体燃料へのアクセスをより容易にしたものと考えられ、これは、食物エネルギーを消費するための全体的なニーズに影響を及ぼした可能性がある。栄養分を提供してイヌの重量を維持し、また短距離走行及び長距離走行に関係する余分な活動を賄うのにも役立つように、イヌには、正のエネルギー水準に調整された飼料が与えられた。試験が進行するに従い、両処置群の食物摂取量は低下したが、それは、イヌは労作により馴染んだことに起因し、また季節性の温度上昇が理由と考えられる。
【0152】
実施例2
[0104]評価用の哺乳動物、すなわちイヌを対象として、激しい運動中のタンパク質代謝回転及び除脂肪量の制御に、L−カルニチンが役立ち得ることを示すために、3パート交差試験を実施した。
【0153】
[0105]この試験期間中、実施例1でL−カルニチンが与えられたイヌを、コントロールのイヌとした;このイヌには、L−カルニチンを含まない低L−カルニチン基礎飼料を与えた。実施例1でコントロールのイヌとして扱われたイヌは、この試験ではL−カルニチンを投与するイヌとなった。統計的に比較した場合、実施例1及び2におけるL−カルニチン処置群は有意に異ならなかった。
【0154】
[0106]パート1:試験のパート1では、ラブラドールレトリーバー56匹を、性別、BW、遺伝学、年齢、興奮レベル、フレームサイズ、及び除脂肪体重に基づき、28匹からなる2つの等しい群に分割した(オス14匹、メス14匹)。イヌは、最低10匹の異なるメスイヌと、少なくともできるだけ多くのオスイヌの子孫であった。試験を開始する前に、実施例1の記載に従い、除脂肪量、筋肉損傷、及び抗酸化状態についてイヌを試験した。
【0155】
[0107]評価用のイヌを、試験開始時、及びパート1の終了時まで1週間毎に秤量した。食物消費量及び拒絶量を秤量により毎日測定し、また提供した量又は拒絶した量を記録した。各イヌに毎日提供された食物の量は、試験全体を通じてイヌの最低体重維持を目的として調整した。
【0156】
[0108]評価用のイヌに、低L−カルニチン基礎飼料を、試験開始前の13日間、次にこの試験のパート1の全14週間飼育期間において供給した。低L−カルニチン基礎飼料は、表1に示す通り、Lonza社により提供された。
【0157】
[0109]低カルニチン基礎飼料に付加して、ラブラドール犬28匹が、250mg/日のL−カルニチン(バッチ番号D23013)及び3.75g/日の糖を服用した一方、ラブラドール犬28匹は、4g/日の糖を服用した。
【0158】
[0110]評価用のL−カルニチン投与したイヌ及び同コントロールのイヌの両方が、2回の均等に振り分けられた耐久走行からなる毎週のランニングプログラムを完了した。6〜10匹のイヌの群が、各群の両処置群を含め、同時に走行した。耐久走行は、1週間に0.8キロメートル(0.5マイル)ずつ漸増させた(8キロメートル/セッション(5マイル/セッション)を、11週間かけて、16キロメートル/セッション(10マイル/セッション)でまで増加させた)。走行と走行の間で1日、またスケジュールに従い運動距離を増加させる前の3日間、イヌを休息させた。イヌは、第12週で2回、8キロメートル(5マイル)の、次に第13週で2回、3.2キロメートル(2マイル)のメンテナンス走行を完了した。すべてのイヌには、第14週の最終的な24.1キロメートル(15マイル)走行前に、少なくとも4日間の休息を設けた。
【0159】
[0111]週の第1の運動セッションは、耐久スタイルのランニングのみからなっていたが、毎週のレジメンに測定可能な無酸素運動を組み込むために、第2のセッションには、1マイルのインターバル毎に短距離100m全力疾走が含まれた。耐久走行は、脂肪酸化を強化するためにわずかに低速であったが、また最大酸素消費量の50%〜65%と同等の運動強度に該当した。
【0160】
[0112]各評価用のイヌは、最後の24.1キロメートル(15マイル)耐久走行期間中に、Actical活動度モニター及びGPS追跡用の首輪を装着した。最終的な走行を、実施例1の場合に類似した方式で実施した。GPS追跡用モニターを用いて、すべての活動度を、正確かつ精密に計算した。24.1キロメートル(15マイル)耐久走行の直後に、各イヌをイヌ小屋内に配置し、そして体温(15分毎に2時間)、及び心拍数(1分間当たりの基底心拍数(BPM)に達するまで、2分毎に最長20分)の回復時間について評価した。体温及び心拍数を、実施例1の記載に従い測定した。
【0161】
[0113]試験用のイヌが、最後の24.1キロメートル(15マイル)耐久走行を行った後の24時間において、血清サンプルを採取して、筋肉損傷及び抗酸化状態に関するバイオマーカーを評価した。血液サンプルを、1)試験開始直前;2)第14週目の最終的な24.1キロメートル(15マイル)走行を行う1日前;3)24.1キロメートル(15マイル)走行直後の1時間;及び4)最終的な24.1キロメートル(15マイル)走行の24時間後に採取した。血液サンプルを採取した後、これを25℃で30分間放置して凝固させ、その後2000g、4℃で15分間遠心分離した。血清を0.65mLの微量遠心チューブ内に定量分取し、そして試験終了時に、実施例1に記載の市販キットを用いて、クレアチンキナーゼ、イヌミオグロビン、チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)、及び総合的な抗酸化防止能力(TAC)についてアッセイが行われるまで、−80℃で保管した。
【0162】
[0114]また、各イヌを、試験開始直前及び最終的な耐久走行の24時間後に、実施例1の記載に従い、身体組成についてもスキャンした。
[0115]表21に示す通り、評価用のイヌが24.1キロメートル(15マイル)の最終的な耐久走行を完了するのに要した時間は、処置群の間でほぼ有意であった(コントロールのイヌについて72.23分、これに対してL−カルニチン投与したイヌの場合74.90分、p=0.060)。性別に関して、走行時間は処置群間で有意でなかった。
【0163】
【表27】
【0164】
[0116]全体として、最終的な長距離走行後の心拍数及び体温の回復は、処置群間で異ならなかった(表22)。長距離走行直後において、L−カルニチン投与したイヌの平均の1分間当たり心拍数(BPM)は、コントロールのイヌの178.93BPMと比較して、それよりも数値的に高い184.23であった(p=0.246)。最終的な走行後の回復から4分経過時点では、心拍数は、処置群間でほぼ有意に異なり、L−カルニチン投与したイヌで平均156.15BPM、及びコントロールのイヌで平均145.2BPMであった(p=0.063)。しかし、4分間の走行後インターバルにおいて、L−カルニチン投与したオスの心拍数は、コントロールのオスの心拍数(138.18BPM)と比較して、それより有意に高かった(160BPM)(p=0.014)。回復後の6分経過後には、この心拍数の差異は消散した。L−カルニチン投与したメスとコントロールのメスの間で、心拍数に有意差は認められなかった。
【0165】
[0117]両群共に、走行後のインターバルにおいて心拍数の継続的減少を示し、また回復には最長20分を必要とした。最終的な走行直後、L−カルニチン投与したイヌの心拍数は数値的に高めであるが、それは、24.1キロメートル(15マイル)走行期間中に、より過酷な労作を経験したことを示唆する。
【0166】
【表28】
【0167】
[0118]
図4A及び4Bより、回帰モデルに基づき、L−カルニチン投与した群全体、並びにL−カルニチン投与したオス及びメスは、コントロールのイヌよりも速く基底心拍数に達することが明らかである。
【0168】
[0119]24.1キロメートル(15マイル)長距離走行後のいずれのタイムインターバルでも、処置群別又は性別の体温に有意差は認められなかった(表23)。
【0169】
【表29】
【0170】
[0120]回帰モデルより、L−カルニチン投与したオスイヌ及びメスイヌは、コントロールのイヌよりも速く基底の温度に達することが明らかである(
図5A及び5B)。
[0121]14週間試験期間中、いずれのタイムインターバルも問わず、処置群別又は性別の体重に有意差は認められなかった(表24及び
図6)。
【0171】
【表30】
【0172】
[0122]表25は、試験コース期間中に、毎日提供された食物量(g/日)は、両処置群において数値的に減少したことを示す。
図7は、全体的な1日当たりの平均提供食物量は、L−カルニチン投与した群(677g/日)及びコントロール群(683g/日)について有意差無しと認められたことを示す。
【0173】
[0123]食物消費量は、第1週(コントロール群の554.32g/日に対してL−カルニチン投与群の618.25g/日;p=0.051)、第4週(コントロール群の572.93g/日に対してL−カルニチン投与群の629.43g/日;p=0.045)においてのみ、処置群間で有意に異なった。これら2つの週間において、L−カルニチン投与群の1日の食物摂取量は、コントロール群よりも有意に多かった(表25)。全体として、
図8に認められるように、L−カルニチン投与群の全体的な1日当たりの平均食物摂取量(574g/日)は、コントロールのイヌ(540g/日)よりも有意に多いことが実証された(p<0.0001)。
【0174】
[0124]表25及び
図9に認められるように、g/日/kg体重(BW)の差異は、第1週においてのみ、有意に近かった(コントロール群の19.49g/日/kg BWに対してL−カルニチン投与群の20.96;p=0.093)。イヌの適応性の向上及び環境温度の上昇を主な理由として、走行距離が延びるに従って、両群の体重(BW)1kg当たりの食物消費量は数値的に減少した。MEのkcal摂取量における処置群間の差異も、第1週においてのみ有意に近かった(コントロール群の77.94kcal/日/kg BWに対してL−カルニチン投与群の83.83;p=0.093)。
【0175】
【表31】
【0176】
【表32】
【0177】
[0125]最初の身体スキャン、次に最終的な身体スキャン時に、各群の平均除脂肪量で、その1日の平均食物消費値を割算することにより、除脂肪量1kg当たりの消費量を求めた。
図10A、B、及びCより、処置群間及び性別において、除脂肪量(LM)1kg当たりの消費量の全体的な変化は、有意に異なったことが明らかである。
【0178】
[0126]L−カルニチン投与したイヌにおいて、パート1の開始時から終了時までのLM1kg当たりの消費量の変化は減少を示したが、これは、試験が進行するに従い、LM1kg当たりの食物要求量が低下したことを示唆する;初期の消費量は26.24g/日/kg LMであったが、一方、最終的な消費量は24.02g/日/kg LMであった(p=0.0734)。コントロール群は、消費量の数値的な増加以外、有意な変化を示さなかった(25.00g/日/kg LMから25.53g/日/kg LM)(p=0.06569)(表26A及び
図11A)。
【0179】
【表33】
【0180】
[0127]14週間試験が終了するまでに、L−カルニチン投与したイヌのLM1kg当たりの食物摂取量は、コントロールのイヌ(0.53g/日/kg LM)との比較において有意に減少した(−2.22g/日/kg LM)(p<0.001)(表26B及び
図11B)。従って、L−カルニチン投与したイヌの場合、L−カルニチンの補給は、試験のパート1に関係する激しい運動のために、身体燃料へのアクセスをより容易にしたものと考えられ、これは、食物エネルギーを消費する全体的なニーズの減少を引き起こしたと考えられる。
【0181】
【表34】
【0182】
[0128]L−カルニチン投与群内のメス及びオスの両方は、LM1kg当たりの食物摂取量の有意な減少を示した;これとの比較において、コントロールのオスは、非常に小さい数値上の減少を示した一方、コントロールのメスは、数値的により多くの除脂肪量1kg当たりの食物を消費した(表26C及び
図11C及びD)。コントロールのメスイヌで食物消費量が増加したが、これは、激しい運動レジメン中に自らもたらした細胞傷害及びタンパク質分解の修復に役立つようにその身体を補強する努力に起因すると考えられる。
【0183】
【表35】
【0184】
[0129]全体として、コントロール群の活動度の数値は、14週間試験コース全体を通じて高めであった。
図12A及び13Aが示すように、コントロール群の活動度/マイル/kg BW(APM/kg)及び活動度/マイル(APM)は、L−カルニチン投与群よりも有意に高い数値であった。コントロールのメスイヌ又はL−カルニチン投与したイヌのAPM/kg又はAPMの間で有意差は認められなかったが、コントロールのオスイヌは、L−カルニチン投与したオスイヌより有意に高いAPM/kg及びAPMを示した(
図12B及びC及び13B及びC)。これらの結果は、
図14A、B、C、及びDの活動度のグラフ及び走行回帰モデルに反映されている。
【0185】
[0130]しかし、交差試験における活動度の差異に目を向けると、実施例1ではL−カルニチン投与したイヌであったコントロールのイヌ17匹と比較したとき、実施例1ではコントロールのイヌであったL−カルニチン投与したイヌ19匹の活動度の増加は、APM/kg及びAPMの両方において有意に高かった(
図15A及びB)。L−カルニチン投与したイヌ(実施例1のコントロールのイヌ)のAPMは27,697であり、またAPM/kgは975であった。これとの比較において、コントロールのイヌ(実施例1のL−カルニチン投与したイヌ)のAPMは18,867であり、またAPM/kgは689であった(それぞれ、p=0.04888及びp=0.0228)。
【0186】
[0131]両群の活動度の数値は、実施例1で収集したデータから有意な増加を示した。L−カルニチン投与したイヌは、1363から2274へのAPM/kgの増加(p<0.0001)を示したが、一方、コントロールのイヌは、1800から2400まで増加した(p<0.0001)。また、L−カルニチン投与したイヌでは、37,621から63,272へのAPMの増加を示したが(p<0.0001)、一方コントロールのイヌでは、51,861から67,456に増加した(p<0.001)。これらの結果は、
図16のAとB、及び
図17のAとBの活動度のグラフ及び走行回帰モデルに反映されている。
【0187】
[0132]交差試験でL−カルニチン投与したイヌのAPM及びAPM/kgは増加したが、それはコントロールのイヌと比較したときに、カルニチン投与したイヌが経験する交差試験上の増加において、L−カルニチンが重要な役割を演じていることを示す。更に、各処置群における活動度の増加の一部は、本試験において、1マイル当たりのイヌの活動度を測定する際に、各イヌが走行した実際の距離(マイル)をより正確に計算できるようにしたGPS追跡用の首輪の利用に起因し得る。
【0188】
[0133]表27には、トレーニング及び運動の異なる段階における血清バイオマーカー(クレアチンキナーゼ、ミオグロビン、TBARS、及びTAC)それぞれに関する処置別及び性別・処置別の平均値が含まれる(ベースライン、走行前、走行の1時間後、及び走行の24時間後)。血中バイオマーカーの変化は、イヌについて個別の検討を可能にし、またL−カルニチンが、走行期間中の筋肉損傷を最低限に抑えるだけでなく、最終的な走行と関係するストレスに起因する膜の過酸化の抑制にも役立つのことの更なる裏付けも提供する。全体として、バイオマーカーにより、L−カルニチン投与したオスイヌ及びメスイヌの両方において、最終的な長距離走行期間中の筋肉損傷がより少なかったことは明らかである。
【0189】
【表36】
【0190】
[0134]クレアチンキナーゼ(CK)値を、
図18に示す通り、各タイムインターバルにおいて、処置群間差について比較した。耐久走行後インターバルの1時間において、CK値は、L−カルニチン投与群及びコントロール群について、走行前の数値から10.81ユニット及び10.35ユニットそれぞれ上昇した。しかし、走行後インターバルの24時間において、L−カルニチン投与群のCK値は有意に減少した(26.39から23.06mU/mL)一方、コントロール群のレベルは、継続して増加した(26.63から28.37mU/mL)(p=0.0028)。コントロール群でのCK値の増加は、最終的な耐久走行後の24時間において筋肉が損傷したことによる継続的なタンパク質の漏損を示唆する(表27)。
【0191】
[0135]ミオグロビン値も、
図19に示す通り、処置群間差について比較した。両方の走行後タイムインターバルにおいて、運動後のミオグロビン値の増加が認められ、それは有意とみなされた(走行の1時間後:P<0.001、及び走行の24時間後:P=0.0004)。走行後の1時間タイムインターバルにおいて、L−カルニチン投与したイヌの23.83ng/mLと比較して、コントロール群の血清ミオグロビン値は37.91ng/mLであり、有意に上昇した(p=0.0157)。走行後の24時間タイムインターバルにおいて、コントロール群は、L−カルニチン投与群(9.25ng/mL)よりも有意に高いミオグロビンレベル(13.5ng/mL)をなおも維持したが、同コントロール群のミオグロビンレベルは走行前のレベルまで下落した。従って、両群は共に、筋肉傷害を受けたことを示すミオグロビンレベルの上昇を経験したが、L−カルニチン投与群では、走行の24時間後にミオグロビンレベルは有意に減少しており、それは、被った損傷がコントロールのイヌより少ないこと、またコントロールのイヌより速く回復したことを示唆した(表27)。特に、コントロールのメスのミオグロビン増加は最大であり、骨格筋破壊及びタンパク質分解に対する直接的な反応を示唆する。
【0192】
[0136]試験の進行に従い、血清中のチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)のレベルが、運動に伴う筋肉が被る自然な損傷に起因して両群において高まった(
図20)。24.1キロメートル(15マイル)耐久走行前に、L−カルニチン投与群は、マロンジアルデヒド(MDA)15.36μMの平均TBARSレベルを有したが、これは、コントロール群のMDA23.42μMより有意に低かった(p=0.0013)。耐久走行後、L−カルニチン投与群では、コントロール群よりも有意に低いレベルのMDAが、走行後の1時間インターバルにおいて見出された(MDA20.65μMに対して16.45μM;p=0.0561)(表27)。L−カルニチン投与群ではMDAレベルが低いが、それは、最終的な長距離走行における酸化ストレス期間中、L−カルニチン投与したイヌでは、脂質過酸化の進行速度がかなり低いことを示唆する。これと比較して、コントロール群ではMDAレベルが上昇したが、それは、コントロールのイヌでは、脂質生成物がかなり速い速度で分解されていることを示唆する。メスイヌではTBARSのレベルはより高いが、それは、膜の脂質分解がより多く生じたことを示唆し、最終走行後のメスでは、ミオグロビンが有意に増加することと整合する。
【0193】
[0137]基底レベルとの比較において、両群の総合的な抗酸化能力(TAC)は、14週間増加式トレーニングレジメンを通じて減少したが、抗酸化能力の数値は、走行後の24時間インターバルにおいて有意に増加した(
図21)。走行後の24時間インターバルにおいて、L−カルニチン投与群のTACレベルは、0.16(mMトロロックス当量)に達した一方、コントロール群のTACレベルは、0.13(mMトロロックス当量)まで低下した(p=0.0496)。コントロール群ではTACレベルが低下したが、それはコントロールのイヌは、24.1キロメートル(15マイル)の最終的な耐久走行の際に関係する酸化ストレスに対処するために、抗酸化能力を使用してフリーラジカルを中和しなければならなかったことを示唆する(表27)。
【0194】
[0138]投与群別及び性別のCK、ミオグロビン、TBARS、及びTAC値を
図22A及びBにまとめる。
[0139]表28は、評価用のイヌの身体組成を示す。脂肪割合(%)、総組織重量(kg)、除脂肪量(LM)(kg)、骨ミネラル含量(BMC)のグラム数、脂肪(kg)、及びg/cm
2を、性別、処置群別、及び時間別で報告した。
【0195】
【表37-1】
【0196】
【表37-2】
【0197】
[0140]除脂肪量を維持及び増加する能力に起因して、コントロール群の総組織重量の喪失(−0.12kg)との比較において、L−カルニチン投与群では、総組織重量の有意な増加(0.74kg)が認められた(p=0.0006)(
図23A及びB;
図24A)。L−カルニチン投与群のオス及びメス両方共に、統計的に有意な総組織重量の増加を経験した(それぞれ0.70kg;p=0.0268及び0.78kg;p=0.0117、)。コントロール群のメスは、0.22kgの総組織重量の喪失を経験した一方、コントロールのオスでは、パート1の終了時までに総組織重量の変化は本質的に生じなかった(0.01kg)(
図24B及びC)。オス、メス両方及び両処置群は、脂肪量(kg)及び脂肪割合(%)について、わずかな数値上の増加を経験した。L−カルニチン投与したメスイヌは、脂肪量割合(%)について、コントロールのメスと比較してこれより数値的に低い増加(3.01%に対して1.58%)を示したが(p=0.3893)、それは、L−カルニチン投与したメスは、燃料として脂肪を活用することが可能であった一方、コントロールのメスは、脂質の過酸化及びタンパク質分解の増加を経験したことを示す(表28)。全体として、総重量、脂肪割合(%)、骨ミネラル含量、及び骨ミネラル密度の増加は、両群間で統計的に有意とみなされなかった。
【0198】
[0141]試験期間を通じて、両処置群内のイヌ及びオス、メス両方のイヌでは、特定の処置群において、除脂肪量変化と同時期に総組織重量変化が生じた(
図23A及びB)。
図25Aに示す通り、L−カルニチン投与したイヌのLMは、平均0.68kg増加した一方、コントロールのイヌでは0.41kg減少した(p<0.0001)。L−カルニチン投与したメスイヌのLMは、0.45kg増加した一方、コントロールのメスイヌのLMは0.84kg減少した(p=0.0006)(
図25B)。
図25Cに示すように、試験コース期間中に、L−カルニチン投与したオスイヌのLMは、0.91kg増加した一方、コントロールのオスイヌのLMは、0.09kg増加したに過ぎない(p=0.0050)。これらの結果より、L−カルニチンは、除脂肪筋肉量の増加を引き起こし得るだけでなく、労作中のラブラドールレトリーバーにおける筋肉損傷を効果的に保護及び予防し得ることが明らかである。
【0199】
[0142]パート2:試験のパート2では、L−カルニチンは、骨格筋破壊速度を低下させることが明らかとなった。年齢が1.5〜4.5歳のラブラドールレトリーバー26匹を、試験のパート1から選択し、そして試験のパート1終了後、更に60日間飼育した。試験用のイヌは、前回の処置群にそのままとどまった。試験のパート1期間中に得られた、Actical運動/kg BW/マイル耐久走行に関する測定値を、コントロール群及びL−カルニチン投与群の両方が、潜在的なパフォーマンスについて等しいことを保証するのに利用した。群が等しいことを保証するための追加指標として、試験用のイヌの除脂肪体重を、DEXAを用いたスキャニングにより測定した。イヌ12匹(オス6匹及びメス6匹)を各処置群に割り振った。追加のイヌ2匹(オス1匹及びメス1匹)に、コントロール群の低カルニチン基礎飼料を与え、これを試験期間中に同位体濃縮されなかったコントロールとして用いた;これらのコントロールのイヌ2匹を、サンプル中の15N Pheの本来の量を測定するのに用いた。
【0200】
[0143]60日トライアル期間中、試験のパート1に類似した方式で、L−カルニチン補給有り又は無しで、低カルニチン基礎飼料を試験用のイヌに与えた。最終的な筋生検及び血液収集前の3日間、すべての試験用のイヌに、低カルニチン基礎飼料と同等の栄養分規格を有するPurina LabDiet社製「オール・ベジタリアン・プラス・エッグ(all vegetarian plus egg)」食を与えた。GC−MS解析より、「オール・ベジタリアン・プラス・エッグ」食は3−メチルヒスチジンを含まないことが明らかになった。
【0201】
[0144]各イヌの身体組成を、試験のパート1の第1日目に1度、及びパート2終了後に再度、実施例1の記載に従い測定した。試験用のイヌを、やはりパート1と同様に秤量した。
【0202】
[0145]各群のイヌは、全力疾走及び耐久型の運動の両方に対応する2つの異なる種類の運動プログラムを、毎週完了した。毎週2回実施された耐久走行は、1回の走行につき8キロメートル(5マイル)から開始し、1週毎に1.6キロメートル(1マイル)増加して、第6週目に1回の走行につき16キロメートル(10マイル)の距離に延長された。第7週目の期間中、第1回目の耐久走行は8キロメートル(5マイル)であったが、第2回目は、3.2キロメートル(2マイル)の漸減式の走行であった。60日の期間中、毎週、第1回目の耐久走行は有酸素能力を高める定常走行であったが、一方、第2回目の耐久走行は、ファルトレク走又はスピードプレイ走が混在する定常走行であった。毎週実施されたファルトレク走は、毎週実施された耐久走行のうちの1回の総距離の20%を占め、また全力疾走型ファルトレク走の総距離は、各耐久走行の距離が毎週延びるに従い増加した。パート1と同様に、毎週実施された定常耐久型走行は、最大酸素消費量の50%〜65%と同等のペースであった。
【0203】
[0146]各イヌは、各走行全体を通じて運動の評価及び追跡を行うために、Acticalモニター及びAstro 320レシーバーに接続したGarmin Astro DC50を装着した。各デバイスから得たデータをコンピューターにダウンロードして、各イヌについて実際のActical活動度/kg BW/マイルを計算した。
【0204】
[0147]イヌ12匹(オス3匹及びメス3匹のコントロールのイヌ及びオス3匹及びメス3匹のL−カルニチン投与したイヌ)が、最終的な24.1キロメートル(15マイル)時間計測耐久走行に参加した。24.1キロメートル(15マイル)走行後、実施例1と同様に、イヌの心拍数及び体温を測定した。
【0205】
[0148]コントロールのイヌ8匹(オス4匹及びメス4匹)及びL−カルニチン投与したイヌ6匹(オス3匹及びメス3匹)は、最終的な24.1キロメートル(15マイル)耐久走行に参加しなかった。これらのイヌが示した生理学的状態は、試験にとって熟練的及び休息的であった。
【0206】
[0149]60日トレーニングプログラムの終了時に、15N Pheを大量瞬時投与方式でイヌ24匹(休息中12匹及びランニング中12匹)に輸液した。最初に、休息中の試験用のイヌ12匹に、2%の15N Phe(105mL/イヌ)溶液(40APE)を10分間にわたり、70mg/kg BW(40MPE)の速度で輸液した。輸液後45分において、5mmのBergstrom筋生検針を、大腿二頭筋の生検を採取するのに用いた。液体窒素中で筋肉サンプルを速やかに凍結し、後の解析用として−80℃のフリーザー中に配置した。
【0207】
[0150]休息中のイヌに15N Pheを輸液した後、24時間において、残りのイヌ12匹(非カルニチン投与犬6匹;オス3匹及びメス3匹、並びにL−カルニチン投与犬6匹;オス3匹及びメス3匹)に、24.1キロメートル(15マイル)耐久走行を行わせた。生理学的な回復(心拍数及び体温)を30分間測定した後、24.1キロメートル(15マイル)走行を完了した試験用のイヌに上記したように2%の15N Phe溶液を輸液した;輸液の45分後に、筋肉生検を採取した。
【0208】
[0151]低カルニチン基礎飼料が与えられたコントロールのイヌのうちの2匹について、他の試験用のイヌと同様に生検採取されたが、これには、生検前に15N Pheが輸液されなかった。これらのイヌは、この試験では、トレーニングを受けたが、安定同位体の輸液を受けなかったコントロールに相当した。
【0209】
[0152]血液サンプルを、試験用のイヌの頸動脈から採取し、3MHについて分析した。血液中に見出された3MHが、骨格筋タンパク質破壊を相当することを保証するために、血液サンプルを採取する前の3日間、Purina LabDiet社製「オール・ベジタリアン・プラス・エッグ」非肉質食をイヌに与えた。
【0210】
[0153]サンプルを処理するために、2%(w/v)過塩素酸を添加して、遊離アミノ酸を含有する酸可溶性分画を除去した。ホモジナイゼーション後、サンプルを3,000×gで遠心分離し、遊離アミノ酸を含有する上清を除去した。タンパク質析出物を2%の過塩素酸で3回洗浄した後、6NのHCL中で加水分解した。上清及び析出物それぞれを、次にDowex 50WX8−200が充填されたイオン交換カラムに通した。フェニルアラニン及び3−メチルヒスチジン(3−MH)を4NのNH4OH、2mL、及びnanopure H
2O、1mLで、新規バイアル中に溶出し、次に真空下で乾燥した。800μLのC2CH3CN−MTBSTFA(1:1)を添加し、110℃で60分間インキュベーションして、tert−ブチルジメチルシリル(tBDMS)誘導体を形成した。
【0211】
[0154]筋肉サンプルのタンパク質析出物及び遊離アミノ酸の分析を、Agilent 6975C質量分析装置に連結したAgilent 7890A GCシステム上で実施した。ヘリウムを、1mL/分でキャリヤガスとして用いた。1μLの容量をスプリットレスモードのGC/MSに注入した。オーブン温度は、150℃より開始し、50℃/分で上昇させて200℃に達すると、以後、温度は20℃/分で上昇させて270℃に達するようにした。温度を270℃で5.5分間維持した。質量分析装置をEI及びSIMモードで稼働した。フェニルアラニンのM及びM+1フラグメントに該当する394及び395m/zフラグメントをモニタリングした。
【0212】
[0155]同一の質量分析装置を、3−MHを測定するのに用いた。ヘリウムを、1mL/分でキャリヤガスとして用い、そして1μLの容量を、スプリットレスモードのGC/MSに注入した。オーブン温度を110℃にて0.65分間維持し、次に250℃に達するまで30℃/分で上昇させた。温度を250℃で10分間維持した。3−MHの238m/zフラグメントをモニタリングした。
【0213】
[0156]筋肉サンプルをタンパク質分解率(FBR)について分析した。FBRは、kd=3−MHの1日排泄量/3−MHの筋肉プール量×100として計算した。表29は、性別及び運動状態について調整を行ったとき、イヌにL−カルニチンを与えるとFBRが3.70%から1.92%に低下したことを示す(p=0.042)。L−カルニチン投与した試験用のイヌではFBRは低下するが、それは、タンパク質分解の減少を示しており、L−カルニチンが存在すると筋肉破壊が阻止されることを示唆する。従って、走行期間中に分解した筋肉量がより少ないことから、L−カルニチン投与した試験用のイヌの除脂肪量は、試験のパート1期間中に増加した。
【0214】
【表38】
【0215】
全体として、メスのFBRはオスより有意に高かった(Mの1.93に対してFの3.70;p=0.044)(表30)。
【0216】
【表39】
【0217】
[0157]表31では、運動したメスイヌのFBRは、運動しなかったメスイヌ、又は運動の有無によらずオスイヌより有意に高かった(p=0.038)。
【0218】
【表40】
【0219】
[0158]表32は、運動を行ったL−カルニチン投与したメスのFBRは、運動を行ったコントロールのイヌより有意に低く;L−カルニチン投与したメスのFBRが3.26%であったのと比較して、耐久走行を行ったコントロールのメスイヌが有した骨格筋のFBRは7%であった(%タンパク質分解率/日)(p=0.046)ことを示す。
【0220】
【表41】
【0221】
[0159]L−カルニチンを与えた走行経験したオスのFBRが1.26%であったのと比較して、低L−カルニチン食を与えた走行経験したオスイヌが有した骨格タンパク質のFBRは5.04%であったが、それは、運動を行ったコントロールのイヌのFBRは、運動を行ったL−カルニチン投与したオスのFBRよりほぼ有意に高いことを示唆する(表33)。
【0222】
【表42】
【0223】
[0160]また、筋肉サンプルを、タンパク質合成率(FSR)についても分析した。FSRは、ks=APEb/APEf×1/t×100として計算したが、式中、APEb=タンパク質に含まれるフェニルアラニンの15N原子の過剰割合(%)(天然存在量と関連して);APEf=前駆物質プールと仮定した組織に含まれる遊離フェニルアラニンの15N原子の過剰割合(%);及びt=時間[日]である。コントロールのイヌとの比較において、骨格タンパク質の%FSRは、L−カルニチン投与したオス又はメスイヌでは増加しなかった。カルニチン投与群及びコントロール群の両処置群に由来する休息状態のイヌが示した骨格タンパク質の%FSRは、24.1キロメートル(15マイル)走行直後に評価したイヌと比較して数値上増加した(表6)。いずれの処置群においてもそれらの群間で%FSRに有意差が認められないのは、L−カルニチンは、タンパク質合成には関わらず、従って除脂肪筋肉量の形成において重要な役割を演じていないことを示す。
【0224】
【表43】
【0225】
[0161]パート3:試験のパート3では、L−カルニチンは、試験用のメスイヌの酸素消費量及びエネルギー消費量を増加させることが明らかとなった。年齢が1.5〜3歳のラブラドールレトリーバー16匹に、低カルニチン基礎飼料をL−カルニチン添加有り、無しで、試験のパート1及び2を含む37週間与えた。実験期間中、毎日、L−カルニチン投与した試験用のイヌ8匹(オス4匹及びメス4匹)それぞれに、糖3.75g及びL−カルニチン250mgを与えた一方、他のイヌ8匹(オス4匹及びメス4匹)には、糖4gのみを与えた。試験のパート1、2、及び3において、試験用のイヌ16匹に、同一の飼料を与えた。
【0226】
[0162]試験のパート2期間中に、試験用のイヌを、その体重、ランニング能力、遺伝学、及び身体組成に基づき選択した。等しい数のオスイヌ及びメスイヌを、各群について選択した。また、試験用のイヌを、ヒト用の(53cm×127cm(21インチ×50インチ))トレッドミル上でのランニングにおける初期の能力に応じて選択した。
【0227】
[0163]試験のパート1及び2の期間中に、試験用のイヌ16匹が、屋外を8〜24.1キロメートル(5〜15マイル)、各群の他のイヌと共に、1週間に2回走行した。
[0164]試験のパート2期間中、Oxymax熱量測定システムに接続した酸素/二酸化炭素マスクに耐えるようにイヌを慣れさせるために、試験用のイヌ16匹をトレッドミル、及びストラップを有するプラスチックコーンを備えた模擬的マスクに導入した。イヌは、特別仕様のNexfitイヌ用トレッドミル(0.9m×2.7m(36インチ×9フィート))上で走行するトレーニングも受けた。Oxymaxを装着してトレッドミル上で走行することを快適に感じるまで熟達するのにイヌが要した時間は異なったが、すべての試験用のイヌは、データ収集が開始したときには、マスク及びトレッドミルの両方に順応した。
【0228】
[0165]試験のパート3期間中、試験用のイヌ16匹は、業界サイズのイヌ用トレッドミル上でもっぱら運動した。最大酸素消費濃度を実現するのに必要とされる、トレッドミル上でのふさわしいスピードを決定するために、様々な時間及びスピードで、試験用のイヌそれぞれについて初期のOxymaxデータを取得した。イヌを10.5kmph(6.5mph)で15分間走行させて、最大酸素消費量を求めた。次に、試験用のイヌ16匹を、トレッドミル上で30分間、最大酸素消費量の50%(6.4kmph(4mph)と同等)で走行させて、全エネルギー消費量(熱産生量)を求めた。
【0229】
[0166]酸素消費容量及びエネルギー消費量に関する情報を取得するのに用いたシステムは、オープンサーキット型熱量計であったが、これは周辺環境に由来する空気を利用した。イヌ専用に設計されたマスクを、ガスサンプルの回収及びイヌの人工呼吸に用いた。少量のサンプルをガス分析用に採取し、これを乾燥して、チャンバーから排出された水蒸気の影響を受けなかったサンプルについて読み取りが行われたことを保証した。O
2及びCO
2センサーをソフトウェアと接続し、そしてO
2及びCO
2の値を直ちに測定した。
【0230】
[0167]試験用のイヌ16匹(L−カルニチン投与したイヌ8匹、オス4匹及びメス4匹、及びコントロールのイヌ8匹、オス4匹及びメス4匹)を、最大酸素消費量、10.5kmph(6.5mph)で15分間走行させる前に、3.2kmph(2mph)のウォームアップスピードで5分間運動させた。翌週、試験用のイヌは、3.2kmph(2mph)のウォームアップスピードで5分間再度走行し、次に最大酸素消費量の50%にて、6.4kmph(4mph)で30分間走行した。
【0231】
[0168]ガス交換に関する統計分析を、要因分析法2×2(2性別及び2食餌療法)、並びに2×2×2(2性別、2食餌、2スピード)により、p値<0.05で実施した。変数である、最大酸素消費量(Max VO
2)は、運動時間中の最高酸素消費量であった。平均酸素消費量(Mean VO
2)は、運動時間中の平均的な酸素消費量であった。酸素消費量は、L/kg BW/時として報告した。
【0232】
[0169]エネルギー消費量をイヌ用の式を用いて計算した(EE(kcal/日)=3.94VO
2+1.11VCO
2)(Weir、1990年)。最大及び平均エネルギー消費量も計算した。エネルギー消費量は、イヌに関する文献で通常表される、Kcal/代謝体重(Kg
0.75)/日にて報告した。
【0233】
[0170]表35は、L−カルニチン投与したメスイヌの酸素消費量及び最大酸素消費量におけるエネルギー消費量が、低L−カルニチン投与したメスイヌより高かったことを示す。L−カルニチン投与したメスイヌの最大酸素消費量は、10.5kmph(6.5mph)において最高値に達した(3.65L/Kg/時);10.5kmph(6.5mph)におけるその平均酸素消費量は3.11L/kg/時であった(p=0.06)。低−カルニチン投与したメスイヌの最大酸素消費量は、10.5kmph(6.5mph)において最低であり(2.61L/kg/時)(p=0.116)、また平均酸素消費量も最低であった(2.46L/kg/時)(p=0.06)。
【0234】
【表44】
【0235】
[0171]試験用のメスイヌについて、そのエネルギー消費量の最大値及び平均値は有意でなかった(それぞれp=0.197及び0.127)。L−カルニチン投与したメス及び低カルニチン投与したイヌの最大エネルギー消費量は、961及び693であり、並びに平均エネルギー消費量はそれぞれ815及び651kcal/kgBW
0.75/日であった(表35)。このように、10.5kmph(6.5mph)においてエネルギー消費量に有意差は認められなかったが、それは、酸素呼吸ではなく無酸素呼吸が生じたことに起因し得る。
【0236】
[0172]表36は、L−カルニチン投与したメスイヌの酸素消費量、及び最大酸素消費量の50%におけるエネルギー消費量もまた、低L−カルニチン投与したメスイヌよりも高かったことを示す。L−カルニチン投与したメスイヌは、最大酸素消費量の50%において、酸素消費量の最大値を有した(2.52L/Kg/時)。L−カルニチン投与したメスイヌは、最大酸素消費量の50%において、平均酸素消費量1.99L/Kg/時(p=0.105)を有した。これと比較して、低−カルニチン投与したメスイヌは、最大酸素消費量の50%において、最大酸素消費量の最低値を有し(2.08L/Kg/時)、また最大酸素消費量の50%において、平均酸素消費量の最低値を有した(1.75L/Kg/時)。
【0237】
【表45】
【0238】
[0173]L−カルニチン投与したメスイヌの最大及び平均エネルギー消費量は、最高値を示した(それぞれ794及び598kcal/Kg/時)一方、低カルニチン投与したメスイヌの最大及び平均エネルギー消費量は最低値を示した(523及び476kcal/Kg/時)。低カルニチン投与したメスと比較して、L−カルニチン投与したメスのエネルギー消費量のこのような有意な増加は、L−カルニチンは、延長された運動期間において、試験用のメスイヌに脂肪酸を燃料として提供したことを示す(表36)。試験のパート1及び2の延長期間中に広範なトレーニングが行われたが、おそらくはこれを理由として、試験用のメスイヌは、筋肉内の燃料不足を代謝的に感知し、運動の初期において脂肪動員を開始した。
【0239】
[0174]試験のパート2の平均的なメスイヌの重量は27.32kgであった。1日当たり250mgのL−カルニチンを消費し、最大酸素消費量の50%において走行したメスのラブラドールレトリーバーでは、非L−カルニチン食を消費したメスのラブラドールレトリーバーと比較して、122kcal/kg BW
0.75/日の追加の熱放出が生じた。本試験では、平均的なメスのラブラドール犬に関するL−カルニチンの余分なエネルギー値は、1458kcal/日又は60.745kcal/時と同等であった。低カルニチン基礎飼料の平均kcal ME/gは、4kcalである。最大酸素消費量の50%(6.4kmph(4mph))において1時間走行した労作中のメスの場合、セーブされた低カルニチン基礎飼料の量は、15.18gである。
【0240】
[0175]低カルニチン食を与えられたメスでは、走行を継続するために骨格筋のタンパク質分解率が増加する(2×)ことが、パート2のタンパク質代謝回転試験において明らかであるが、このようなOxymaxデータは、その裏付けとなる。L−カルニチンを与えられたメスは、L−カルニチンの形態で、自らの燃料を動態化した脂肪酸として得ていたので、L−カルニチンが与えられたメスは、筋肉タンパク質を分解する必要がなかった。
【0241】
[0176]最大酸素消費量の50%における飼料×性別のp値は0.088であった。最大酸素消費量の50%において、エネルギー消費量の数値は、食物×性別交互作用について極めて有意であった(p=0.026及び0.025)。オス、メス両方について、最大酸素消費量の50%における最大エネルギー消費量に対する飼料効果は、ほぼ有意であった(p=0.068)(表36)。
【0242】
[0177]表35及び36に示す通り、L−カルニチン投与及び低カルニチン投与のオスイヌは、最大及び平均エネルギー消費量について有意に異ならなかった。短時間の30分試験において、試験用のオスイヌは、燃料(グリコーゲン)に制限はないと考えられ、従って追加の脂肪酸を動態化する必要はない。更に、メスのラブラドール犬との比較において、オスのラブラドール犬は、労作期間中の燃料利用区分において、それほど効率的でない可能性がある。追加の脂肪が動態化されず、燃料に利用される場合には、酸素消費量及び熱放出量は低下する。従って、オスイヌの場合、L−カルニチンによる追加の熱放出を生み出すためには、最大酸素消費量の50%における追加の走行時間が必要とされ得る。
【0243】
[0178]両方のスピード(最大酸素消費量の50%の場合6.4kmph(4mph)、及び最大酸素消費量の場合10.5kmph(6.5mph))で走行する処置群のイヌの最大酸素消費量、平均酸素消費量、最大熱放出量、及び平均熱放出量について、これらを組み合わせた平均データより、スピードが各変数について有意差を生み出したことが明らかとなった(表37)。最大酸素消費量(p=0.04)及び平均酸素消費量(p=0.02)は、飼料と性別の交互作用についてスピードを組み合わせた場合、いずれも有意であった。スピード(最大酸素消費量の50%の場合6.4kmph(4mph)、及び最大酸素消費量の場合10.5kmph(6.5mph))を組み合わせた平均の場合、L−カルニチン投与したメスイヌの酸素消費量の最大値は3.02L/Kg/時であり、また酸素消費量の平均値は2.50L/kg/時であった。低カルニチン投与のメスイヌの場合、スピードを組み合わせた酸素消費量の最大値及び平均値は、それぞれ2.34及び2.10L/kg/時であった。最大酸素消費量の50%及び最大酸素消費量を組み合わせた労作におけるエネルギー消費量の最大値及び平均値は、飼料×性別の交互作用について、有意に近かった(それぞれp=0.107及び0.058)。
【0244】
【表46】
【0245】
本発明の態様
態様1
活動的な哺乳動物の身体活動中及び身体活動後に骨格筋損傷及び/又は酸化ストレスを軽減する方法であって、該哺乳動物に有効量のL−カルニチンサプリメントを投与すること含む方法。
態様2
態様1に記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが、アミノ酸サプリメントを投与せずに投与される方法。
態様3
態様1に記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが、少なくとも1〜3日毎に投与される方法。
態様4
態様1に記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが毎日投与される方法。
態様5
態様1〜4のいずれかに記載の方法であって、L−カルニチンが、該哺乳動物に1回当たり30ミリグラム〜5,000ミリグラムの量で投与される方法。
態様6
態様1〜5のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが経口投与される方法。
態様7
態様1〜6のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが、食物組成物と併用され、哺乳動物に投与される方法。
態様8
態様1〜7のいずれかに記載の方法であって、該哺乳動物がイヌである方法。
態様9
態様1〜8のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが投与される該活動的な哺乳動物が、その予想される寿命の約5%〜約80%の年齢を有する方法。
態様10
態様1〜9のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが固体を含む方法。
態様11
態様1〜10のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンが、該哺乳動物に1回当たり50ミリグラム〜1,000ミリグラムの量で投与される方法。
態様12
態様1〜11のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが投与される該活動的な哺乳動物が、その予想される寿命の約10%〜約70%の年齢を有する方法。
態様13
態様1〜12のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが、該哺乳動物に活動後の血中ミオグロビン量の増加を阻害するのに十分な量で投与される方法。
態様14
態様1〜13のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが、該哺乳動物に活動後の血中チオバルビツール酸反応性物質の増加を阻害するのに十分な量で投与される方法。
態様15
態様1〜14のいずれかに記載の方法であって、血中ミオグロビン量が、該L−カルニチンサプリメントを施さなかった同じ哺乳動物と比較して、活動後に50%より多く低下する方法。
態様16
態様1〜15のいずれかに記載の方法であって、血中チオバルビツール酸反応性物質の量が、該L−カルニチンサプリメントを施さなかった同じ哺乳動物と比較して、活動後に50%より多く低下する方法。
態様17
態様1〜16のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが、身体ストレスによる膜の過酸化を低減するのに十分な量で投与される方法。
態様18
態様1〜17のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが、身体活動中及び身体活動後に骨格筋損傷を低減しかつ酸化ストレスを低減するのに十分な量で投与される方法。
態様19
態様1〜18のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが、L−カルニチンから本質的になる方法。
態様20
態様1に記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントがL−カルニチン並びにその誘導体及び/又は塩を含有する方法。
態様21
態様1に記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが液体を含む方法。
態様22
態様1〜21のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンサプリメントが、食物摂取量を増加させることなく、哺乳動物が行う身体活動の量を増加させる方法。
態様23
態様1〜22のいずれかに記載の方法であって、該L−カルニチンが、該哺乳動物に1日当たり約1.5mg/kg体重より多い量で投与される方法。
[0179]本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、本発明に対するこれらの、及びその他の修正形態及び変形形態も当業者により実践可能であり、それを添付の特許請求の範囲においてより具体的に記載する。更に、様々な実施形態の側面は全部又は一部において交換可能である、と理解すべきである。更に、当業者は、上記説明は単なる例であり、また本発明を限定するものではなく、かかる添付の特許請求の範囲に更に記載される通りであると認識する。