(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982976
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】半導体デバイスの製造方法および半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20211206BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20211206BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
H01L21/88 B
【請求項の数】21
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-83039(P2017-83039)
(22)【出願日】2017年4月19日
(65)【公開番号】特開2018-180416(P2018-180416A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 伸明
【審査官】
植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−098095(JP,A)
【文献】
特開2006−148003(JP,A)
【文献】
特開2006−128543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの製造方法であって、
基板の上に絶縁膜を配する工程と、
前記絶縁膜に孔を形成する工程と、
前記絶縁膜の上に配されたフォトレジストの第1の部分を露光する第1の露光工程と、
第1の露光工程の後、前記フォトレジストの第2の部分を露光する第2の露光工程と、
前記第1の露光工程および前記第2の露光工程の後、前記フォトレジストを現像することによってレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして用いて前記絶縁膜をエッチングすることによって、前記絶縁膜に溝を形成する工程と、
前記孔および前記溝に導電体を埋め込む工程と、含み、
前記溝は、前記レジストパターンのうち前記第1の部分の前記露光によって形成された第1のパターンに対応した第1の溝と、前記レジストパターンのうち前記第2の部分の前記露光によって形成された第2のパターンに対応した第2の溝と、を含み、
前記導電体を埋め込む工程において、前記第1の溝および前記第2の溝の両方は前記孔に連通しており、前記孔が前記第1の溝および前記第2の溝よりも深い部分を含み、かつ、前記導電体が前記孔の前記深い部分に配される部分を含み、
前記孔のうち前記深い部分の内側縁が、前記導電体のうち前記孔の前記深い部分に配される部分を取り囲み、かつ、絶縁体を取り囲まないことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記レジストパターンにおいて、前記第1の溝を形成するための開口部と前記第2の溝を形成するための開口部とが、連続して開口していることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記レジストパターンにおいて、前記第1の溝を形成するための開口部と前記第2の溝を形成するための開口部とが、それぞれ離間していることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記製造方法は、前記埋め込む工程の後、前記導電体に研磨処理を施す工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記孔を形成する工程の後、前記第1の露光工程を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1の溝が延在する方向および前記第2の溝が延在する方向に交差する方向における前記孔の幅が、前記第1の溝の幅と前記第2の溝の幅の和よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
半導体デバイスの製造方法であって、
基板の上に絶縁膜を配する工程と、
前記絶縁膜に孔を形成する工程と、
前記絶縁膜の上に配されたフォトレジストの第1の部分を露光する第1の露光工程と、
第1の露光工程の後、前記フォトレジストの第2の部分を露光する第2の露光工程と、
前記第1の露光工程および前記第2の露光工程の後、前記フォトレジストを現像することによってレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして用いて前記絶縁膜をエッチングすることによって、前記絶縁膜に溝を形成する工程と、
前記孔および前記溝に導電体を埋め込む工程と、含み、
前記溝は、前記レジストパターンのうち前記第1の部分の前記露光によって形成された第1のパターンに対応した第1の溝と、前記レジストパターンのうち前記第2の部分の前記露光によって形成された第2のパターンに対応した第2の溝と、を含み、
前記導電体を埋め込む工程において、前記第1の溝および前記第2の溝の両方は前記孔に連通しており、前記孔が前記第1の溝および前記第2の溝よりも深い部分を含み、かつ、前記孔の前記深い部分の底が絶縁体で構成されていることを特徴とする製造方法。
【請求項8】
前記導電体が、銅を含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記半導体デバイスが、撮像デバイスまたは表示デバイスであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記半導体デバイスは、前記第1の露光工程によって露光される領域および前記第2の露光工程によって露光される領域にわたって、複数の画素が配置された画素領域を有し、
前記画素領域の大きさが、33mm×22mm以上であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記孔および前記溝に前記導電体を埋め込む前記工程は、前記孔および前記溝を形成した後に行われることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
互いに隣接する第1の領域および第2の領域を含むデバイス領域を備える半導体デバイスであって、
前記半導体デバイスは、基板と前記基板の上に配された配線パターンを有し、
前記配線パターンは、前記第1の領域および前記第2の領域にまたがって第1の方向に沿って延在し、前記第1の領域に配された回路と前記第2の領域に配された回路とを接続し、かつ、前記基板の上の絶縁膜に埋め込まれ、
前記配線パターンは、前記第1の領域と前記第2の領域とにまたがる境界部に配された第1の部分および第2の部分と、前記境界部から前記第1の領域の側に延在する第3の部分と、前記境界部から前記第2の領域の側に延在する第4の部分と、を含み、
前記第2の部分は、前記第3の部分と前記第4の部分との間に配され、前記第1の部分は、前記第2の部分と前記基板との間に配され、かつ、前記第2の部分は、前記第1の部分、前記第3の部分および前記第4の部分と連続しており、
前記第1の部分と前記基板と間の距離は、前記第3の部分と前記基板との間の距離よりも小さく、かつ、前記第4の部分と前記基板との距離よりも小さく、
前記第2の部分は、
前記第3の部分に接続される第1の端部において、前記第3の部分の幅よりも大きい第1の幅を有し、
前記第4の部分に接続される第2の端部において、前記第4の部分の幅よりも大きい第2の幅を有し、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の位置において、前記第1の幅および前記第2の幅の何れよりも大きい第3の幅を有することを特徴とする半導体デバイス。
【請求項13】
前記半導体デバイスが、撮像デバイスまたは表示デバイスであることを特徴とする請求項12に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記半導体デバイスは、前記第1の領域および前記第2の領域にわたって、複数の画素が配置された画素領域を有し、
前記画素領域の大きさが、33mm×22mm以上であることを特徴とする請求項12または13に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記第1の部分の底が、前記絶縁膜に接していることを特徴とする請求項12乃至14の何れか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項16】
前記第1の部分が、前記配線パターンの前記境界部において、他の配線パターンと接続しないダミービアであることを特徴とする請求項12乃至15の何れか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項17】
平面視において、前記配線パターンは、前記境界部において2つの段差を有することを特徴とする請求項12乃至16の何れか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項18】
前記配線パターンが、前記第1の領域に配された前記回路のトランジスタと前記第2の領域に配された前記回路のトランジスタとを接続することを特徴とする請求項12乃至17の何れか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項19】
前記第1の部分の側壁が、前記絶縁膜によって取り囲まれていることを特徴とする請求項12乃至18の何れか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項20】
前記デバイス領域に対する正射影において、前記第3の部分のうち前記第1の方向に沿った一方の外縁の延長線と、前記第4の部分のうち前記第1の方向に沿った一方の外縁の延長線と、のうち少なくとも一方が、前記第1の部分と重なるように配されていることを特徴とする請求項12乃至19の何れか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項21】
前記デバイス領域に対する正射影において、前記第1の部分が、前記第3の部分のうち前記第1の方向に沿った一方の外縁の延長線と、前記第4の部分のうち前記第1の方向に沿った一方の外縁の延長線と、の間に配されていることを特徴とする請求項12乃至20の何れか1項に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの製造方法および半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造する露光工程において使用される露光装置の最大露光領域は、使用する投影レンズの大きさによって制限される。そこで、大面積の半導体デバイスを製造するために、分割露光が使用される。分割露光は、基板上の半導体デバイスを形成すべきデバイス領域を複数の領域に分割し、それぞれの領域を個別に露光することによってデバイス領域を露光する技術である。分割露光において、隣接する領域間で連続するパターンが、アライメントずれによって不連続とならないよう、補助パターンを配することが知られている。特許文献1には、隣接する領域の境界を通過する配線パターンを形成する際、隣接する配線パターンを交互に異なる配線層に形成することによって、補助パターンのレイアウトを行う領域を確保することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−136020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、接続すべき分割パターン間の距離(ズレ量)が大きくなると、分割パターン間の抵抗が増大し、配線の信頼性や歩留まりが低下する可能性がある。これに対して補助パターンの幅を大きくすると、配線パターンの微細化を達成することが困難になる。つまり、引用文献1の技術は、配線の微細化と、信頼性および/または歩留まりの向上とを両立する上で不十分である。
【0005】
本発明は、配線の微細化と、信頼性および/または歩留まりの向上とを両立する上で有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は、半導体デバイスの製造方法であって、基板の上に絶縁膜を配する工程と、絶縁膜に孔を形成する工程と、絶縁膜の上に配されたフォトレジストの第1の部分を露光する第1の露光工程と、第1の露光工程の後、フォトレジストの第2の部分を露光する第2の露光工程と、第1の露光工程および第2の露光工程の後、フォトレジストを現像することによってレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとして用いて絶縁膜をエッチングすることによって、絶縁膜に溝を形成する工程と、孔および溝に導電体を埋め込む工程と、含み、溝は、レジストパターンのうち第1の部分の露光によって形成された第1のパターンに対応した第1の溝と、レジストパターンのうち第2の部分の露光によって形成された第2のパターンに対応した第2の溝と、を含み、導電体を埋め込む工程において、第1の溝および第2の溝の両方は孔に連通しており、孔が第1の溝および第2の溝よりも深い部分を含み、かつ、導電体が孔の深い部分に配される部分を含み
、孔のうち深い部分の内
側縁が、導電体のうち孔の深い部分に配される部分を取り囲み、かつ、絶縁体を取り囲まないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配線の微細化と、信頼性および/または歩留まりの向上と、を両立する上で有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る半導体デバイスのデバイス領域の配置概念図。
【
図2】
図1の半導体デバイスの製造方法を示す断面図および平面図。
【
図3】
図1の半導体デバイスの製造方法を示す断面図および平面図。
【
図4】
図1の半導体デバイスの製造方法を示す断面図および平面図。
【
図5】
図1の半導体デバイスの製造方法を示す断面図および平面図。
【
図6】
図1の半導体デバイスの製造方法を示す断面図および平面図。
【
図8】本発明の実施形態に係る半導体デバイスのデバイス領域の配置概念図。
【
図9】
図2の半導体デバイスの製造方法を示す断面図および平面図。
【
図10】
図2の半導体デバイスの製造方法を示す断面図および平面図。
【
図11】本発明の半導体デバイスの撮像デバイスへの適応例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る半導体デバイスの具体的な実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
【0010】
第1の実施形態
図1〜7を参照して、本発明の実施形態による半導体デバイスの構成およびその製造方法について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における半導体デバイスのデバイス領域DRの配置を概念的に示す平面図である。1つのデバイス領域DRは、1つの半導体チップとなる領域でありうる。本実施形態において、デバイス領域DRは、デバイス領域DRを複数の領域に分割し、それぞれ個別に露光する分割露光によって形成される。具体的には、デバイス領域DRは、領域SLと領域SRとの2つの領域とに分けて露光される。本実施形態では、デバイス領域DRは、2つの領域SL、SRに分けて露光が行われるが、3つ以上の領域に分けて分割露光が行われてもよい。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態において、デバイス領域DRを分割露光する領域SLと領域SRとは、重複する領域を含む。デバイス領域DRは、A−A’線で2つの領域に分割される。また、A−A’線を基準として、B−B’線およびC−C’線が定義される。
図1において、デバイス領域DRの左端からB−B’線までが、1つのフォトマスクを用いて露光される部分である領域SL、C−C’線からデバイス領域DRの右端までが、1つのフォトマスクを用いて露光される部部である領域SRである。
【0012】
次いで、
図2〜6を用いて、本実施形態の半導体デバイスの製造方法について説明する。
図2(a)、2(b)は、領域SLおよび領域SRにまたがって、図中の矢印の方向120に沿って配される配線パターンを形成する前の断面図と平面図とをそれぞれ示す。
図2(a)は、
図2(b)に示すデバイス領域DRの平面図のD−D’線での断面図である。
図2(a)には、基板100に形成された素子分離領域101、基板100の上に形成された層間絶縁膜102、104、基板100と配線パターン105を繋ぐコンタクト103を図示している。これらの構成は、本実施形態を限定するものではなく、例示的に示しているにすぎない。
【0013】
さらに、
図2(a)において、基板100上に配された層間絶縁膜102、104および配線パターン105の上に絶縁膜106を配する工程によって、絶縁膜106が配される。ここで、絶縁膜106はエッチングストップ層として機能する絶縁膜106a、絶縁膜106aの上に配される絶縁膜106b、および、反射防止膜として機能し、絶縁膜106bの上に形成される絶縁膜106cを含む。本実施形態において、絶縁膜106は、上述のような3層構造を有するが、これに限定されることはなく、半導体デバイスの製造工程に応じて、適宜設定すればよい。
【0014】
次に、領域SLおよび領域SRにまたがって、方向120に沿って配される配線パターンの形成について説明する。まず、絶縁膜106に孔301を形成する工程がなされる。
図2(c)に示すように、絶縁膜106の上にフォトレジスト107を形成する。次いで、フォトレジスト107に対して露光および現像することによって、領域SLおよび領域SRにまたがる境界部(E−F間)に開口部201を有するレジストパターン107’が形成される。本明細書において、開口部201の配されるE−E’線とF−F’線との間の領域を領域SLおよび領域SRにまたがる境界部(E−F間)と呼ぶ。開口部201は、
図2(d)に示すように、領域SLおよび領域SRをまたぎ、A−A’線、B−B’線およびC−C’線を横断するように形成される。
【0015】
次いで、レジストパターン107’に形成された開口部201を介して絶縁膜106をエッチングする。このとき、絶縁膜106のうち絶縁膜106aをエッチングストップ層として機能させ、絶縁膜106b、106cをエッチングする。この工程によって、絶縁膜106に、配線パターンのうち境界部(E−F間)に配される部分を形成するための孔301が形成される。絶縁膜106に孔301が形成された際の断面図および平面図を
図3(a)、3(b)にそれぞれ示す。その後、
図3(c)、3(d)に示すように、孔301の上に平坦化膜108およびハードマスク層109を形成する。平坦化膜108は、例えばスピンコーティングなどを用いて塗布された膜でありうる。
【0016】
次に、ハードマスク層109の上にフォトレジスト110を形成する。このフォトレジスト110に対して、領域SLの絶縁膜106をパターニングするマスクパターンを形成するためのフォトマスク111を用いて、絶縁膜106上に配されたフォトレジスト110の領域SLの部分を露光する露光工程を行う。このとき、
図4(a)、4(b)に示されるように、領域SLおよび領域SRにまたがって方向120に沿って配される配線パターンのうち、境界部(E−F間)のB−B’線から領域SLの側に延在する部分の露光がなされる。次いで、フォトレジスト110に対して、領域SRの絶縁膜106をパターニングするマスクパターンを形成するためのフォトマスク112を用いて、絶縁膜106上に配されたフォトレジスト110の領域SRの部分を露光する露光工程を行う。このとき、
図4(c)、4(d)に示されるように、領域SLおよび領域SRにまたがって方向120に沿って配される配線パターンのうち、境界部(E−F間)のC−C’線から領域SRの側に延在する部分の露光がなされる。本実施形態において、フォトレジスト110の領域SLの部分の露光を行った後、領域SRの部分の露光を行ったが、先に領域SRの部分の露光を行った後、領域SLの部分の露光を行ってもよい。
【0017】
フォトレジスト110に対して、領域SLおよび領域SRの露光を行った後、フォトレジスト110の現像処理が行なわれる。この現像の工程によって、
図5(a)、5(b)に示すように、A−A’線、B−B’線及びC−C’線を横断し、境界部(E−F間)を介して領域SLから領域SRに延在する開口部501を含むレジストパターン110’が形成される。開口部501は、配線パターンのうち、境界部(E−F間)から領域SLの側に延在する部分(溝502)を形成するための開口部と、境界部(E−F間)から領域SRの側に延在する部分(溝503)を形成するための開口部とが、連続して開口している。
【0018】
次いで、フォトレジスト110に形成された開口部501を含むレジストパターン110’をマスクとして用いて絶縁膜106をエッチングすることによって、絶縁膜106に溝502、503を形成する工程を行う。この工程によって、配線パターンのうち、境界部(E−F間)から領域SLの側に延在する部分を形成するための溝502、および、境界部(E−F間)から領域SRの側に延在する部分を形成するための溝503を含む溝が形成される。換言すると、このとき形成される溝は、レジストパターン110’のうち領域SLの部分の露光によって形成されたパターンに対応した溝502と、レジストパターン110’のうち領域SRの部分の露光によって形成されたパターンに対応した溝503とを含む。このとき、溝502、503は、先に形成された孔301よりも浅い。換言すると孔301は、溝502、503を含む溝よりも深い。また、溝502および溝503のそれぞれは、孔301に連通している。
図5(c)、5(d)は、溝502、503を含む溝を形成した後の断面図および平面図である。
【0019】
孔301および孔301に連通した溝502、503の形成後、孔301、溝502、503に導電体を埋め込む工程を実施し、領域SLと領域SRとにまたがって方向120に沿って延在する配線パターン113を形成する。配線パターン113は、まず、例えばメッキ法を用いて、孔301、溝502、503に同じ工程で同時に導電体を埋め込む。次いで、孔301および溝502、503の周囲の絶縁膜106上にメッキされた不要な導電体を、例えば化学機械研磨(CMP)法などを用いた研磨処理を施す工程を実施することによって研磨し、配線パターン113を形成してもよい。メッキ法を用いて形成された配線パターン113は、例えば、銅や銅を含む金属の配線パターンでありうる。この工程によって、溝502、503よりも深い孔301も、溝502、503と同様に銅により埋め戻され、配線パターン113に溝502、503の部分よりも深い部分114が形成される。配線パターン113は、領域SLと領域SRとにまたがる境界部(E−F間)に配された部分114を含む。また、配線パターン113は、部分114の上に配され境界部(E−F間)から領域SLに延在する溝502、および、部分114の上に配され境界部(E−F間)から領域SRに延在する溝503にそれぞれ配された部分を含む。ここで、配線パターン113の部分114は、デュアルダマシン構造の配線パターンを形成する際のビアでありうる。つまり、部分114は、デュアルダマシン構造を有する配線パターン113において、境界部(E−F間)において他の配線パターンと接続しないダミービアでありうる。換言すると、孔301および溝502、503に導電体を埋め込む工程において、孔301の底が、
図5(a)、
図6(a)に示すように絶縁体である層間絶縁膜104で構成されている。孔301の底が、層間絶縁膜104と同様に絶縁体である絶縁膜106で構成されていてもよい。配線パターン113を形成した際の断面図および平面図を、
図6(a)、6(b)にそれぞれ示す。本実施形態では、銅を主成分とし、デュアルダマシン構造を有する配線を用いているために、配線の微細化や配線抵抗の低減を実現することができる。
【0020】
ここで、本実施形態の効果について
図7を用いて説明する。
図7(a)、7(b)は、本実施形態に対する比較例の分割露光によって形成された配線パターン、
図7(c)、7(d)は、本実施形態の分割露光によって形成された配線パターンの、それぞれ平面図および断面図を示す。
【0021】
図7(a)には、分割露光によって、領域SLと領域SRとの間でアライメントの不整合(アライメントのずれ)が発生した場合に形成される配線パターンの平面図が示される。
図7(b)は、
図7(a)のA−A’線での断面図を示している。領域SLを露光する工程によって形成される配線パターン113aと、領域SRを露光する工程によって形成される配線パターン113bとが、アライメントの不整合によって分割されている。このため、領域SLおよび領域SRにまたがって方向120に沿って配される配線パターン113は、領域SLと領域SRと間で断線し、導通が取れないことを示している。
【0022】
一方、
図7(c)には、上述の本実施形態において形成された配線パターン113の平面図が示される。ここで、アライメントの不整合は、
図7(a)に示される場合と同等の値を想定している。
図7(d)は、
図7(c)のA−A’線での断面図を示している。本実施形態において、領域SLを露光する工程によって形成される配線パターン113aと、領域SRを露光する工程によって形成される配線パターン113bとは、比較例と同様に、アライメントの不整合によって、分割されて形成される。しかしながら、領域SLと領域SRとにまたがる境界部(E−F間)に、孔301を形成することによって配される配線パターン113のうち部分114が存在するため、配線パターン113は、領域SLと領域SRとの間の導通が確保される。
【0023】
ここで、デバイス領域DRに対する正射影における配線パターン113の形状について説明する。
図7(c)に示すように、溝502が延在する方向120および溝503が延在する方向120に交差する方向における孔301の幅が、溝502の幅と溝503の幅の和よりも小くてもよい。また、溝502、503が延在する方向120に交差する方向における孔301のうち部分114の幅が、溝502の幅と溝503の幅の和よりも小くてもよい。また例えば、
図7(c)に示すように、配線パターン113のうち部分114と、配線パターン113の溝502に形成される部分123aのうち部分114よりも領域SRと反対側に配される部分115との、方向120と交差する方向の幅が略同じであってもよい。同様に、配線パターン113のうち他の部分よりも深い部分114と、配線パターン113の溝503に形成される部分123bのうち部分114よりも領域SLと反対側に配される部分116との、方向120と交差する方向の幅が略同じであってもよい。このため、アライメントの不整合がない場合、
図6(b)に示すように、配線パターン113は、境界部(E−F間)において、方向120に沿った直線状の配線パターンとなりうる。一方、アライメントに不整合がある場合、
図7(c)に示すように、デバイス領域DRに対する正射影において、溝502に形成される部分123aのうち方向120に沿った外縁の一部が、部分114と重なるように配される。同様に、溝503に形成される部分123bのうち方向120に沿った外縁の一部が、部分114と重なるように配される。アライメントの不整合に応じて、部分123aの外縁の一部または部分123bの外縁の一部の一方のが、部分114と重なるように配されてもよいし、両方が重なるように配されてもよい。また、部分114、部分115、部分116が、それぞれ同じ幅を有する。このため、孔301を形成するためのフォトマスクのパターン、溝502を形成するためのフォトマスク111のパターン、溝503を形成するためのフォトマスク112のパターンは、それぞれ同じ幅を有していてもよい。
【0024】
本実施形態において、部分114を形成するための孔301は、領域SLのパターンを形成するためのフォトマスク111、領域SRのパターンを形成するためのフォトマスク112とは別のフォトマスクによって形成される。また、配線パターン113の部分114は、配線パターン113の領域SL、SRに延在する溝502、503に形成される部分と同等の幅を有する。このため、配線パターン113に対して、領域SL、SRの継ぎ目部分に補助パターンを付加するために、隣接する配線パターン間の短絡等の懸念から、配線間隔を広げざるを得なくなるような問題を生じることがない。また、特許文献1に示されるように、複数の配線層を必要とすることもない。つまり、分割露光において、パターンレイアウトの自由度の低下を抑制することが可能となる。
【0025】
また、部分114を含む配線パターン113は、例えばメッキ法などを用いて同時に形成される。このため、配線パターン113のうち部分114と部分114以外の部分とで、材料的な差異や、界面構造が形成されない。結果として、配線パターン113の抵抗値の上昇が抑制され、配線パターン113の信頼性が向上しうる。つまり、分割露光において、互いに隣接する領域間の境界を通過する配線パターンの微細化と、信頼性および/または歩留まりの向上と、を両立することが可能となる。
【0026】
第2の実施形態
図8〜10を参照して、本発明の実施形態による半導体デバイスの構成およびその製造方法について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態における半導体デバイスのデバイス領域DRの配置を概念的に示す平面図である。1つのデバイス領域DRは、1つの半導体チップとなる領域でありうる。本実施形態においても、上述の第1の実施形態と同様に、デバイス領域DRは、領域SLと領域SRとの2つの領域とに分けて露光される。一方、
図8に示されるように、デバイス領域DRを分割露光する領域SLと領域SRとは、第1の実施形態と異なり重複する領域を含まない。
図8において、デバイス領域DRの左端からB−B’線までが、1つのフォトマスクを用いて露光される領域SL、C−C’線からデバイス領域DRの右端までが、1つのフォトマスクを用いて露光される領域SRである。
【0027】
次いで、
図9、10を用いて、本実施形態の半導体デバイスの製造方法について説明する。絶縁膜106に孔301を形成し、孔301の上に平坦化膜108およびハードマスク層109を形成するまでの工程は、上述の
図2、3に示す工程と同様であってもよいため、ここでは説明を省略する。
【0028】
ハードマスク層109を形成した後、ハードマスク層109の上にフォトレジスト110を形成する。このフォトレジスト110に対して、領域SLの絶縁膜106をパターニングするマスクパターンを形成するためのフォトマスク111を用いて、絶縁膜106上に配されたフォトレジスト110の領域SLの部分を露光する露光工程を行う。このとき、
図9(a)、9(b)に示されるように、領域SLおよび領域SRにまたがって方向120に沿って配される配線パターンのうち、境界部(E−F間)のB−B’線から領域SLの側に延在する部分の露光がなされる。次いで、フォトレジスト110に対して、領域SRの絶縁膜106をパターニングするマスクパターンを形成するためのフォトマスク112を用いて、絶縁膜106上に配されたフォトレジスト110の領域SRの部分を露光する露光工程を行う。このとき、
図9(c)、9(d)に示されるように、領域SLおよび領域SRにまたがって方向120に沿って配される配線パターンのうち、境界部(E−F間)のC−C’線から領域SRの側に延在する部分の露光がなされる。本実施形態において、領域SLの露光を行った後、領域SRの露光を行ったが、先に領域SRの露光を行った後、領域SLの露光を行ってもよい。
【0029】
フォトレジスト110に対して、領域SLおよび領域SRの露光を行った後、現像処理が行なわれる。この現像処理の工程によって、
図10(a)、10(b)に示すように、B−B’線から領域SLに延在する開口部501aおよびC−C’線から領域SRに延在する開口部501bを含むレジストパターン110’が形成される。開口部501a、bは、配線パターンの、境界部(E−F間)から領域SLの側に延在する部分(溝502)を形成するための開口部と、境界部(E−F間)から領域SRの側に延在する部分(溝503)を形成するための開口部とが互いに離間している。本実施形態において、第1の実施形態と比較して、フォトレジスト110のうちB−B’線とC−C’線との間が、領域SLの露光と領域SRの露光との両方の露光に曝されないため、2重露光によるパターン崩れの発生を抑制することが可能となる。
【0030】
次いで、レジストパターン110’に形成された開口部501a、bを介して絶縁膜106をエッチングする。これにより、上述の第1の実施形態と同様に、配線パターン113のうち、境界部(E−F間)から領域SLの側に延在する部分を形成するための溝502および境界部(E−F間)から領域SRの側に延在する部分を形成するための溝503を含む溝が形成される。このとき、溝502、503は、先に形成された孔301よりも浅い。この後の工程は、上述の第1の実施形態と同様であってもよいため、ここでは説明を省略する。
【0031】
本実施形態においても、分割露光において、互いに隣接する領域間をまたいで延在する配線パターンの不導通を抑制し、信頼性および/または歩留まりの向上と、配線パターンの微細化と、を両立することが可能となる。
【0032】
以上、本発明に係る実施形態を2形態示したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態は適宜変更、組み合わせが可能である。
【0033】
本実施形態を用いて製造される半導体デバイスとして、
図11に撮像デバイス1001の例を示す。撮像デバイス1001のデバイス領域DRは、入射した光に応じた信号を生成するための変換素子を含む複数の画素1003がアレイ状に配された画素領域1002と、画素領域1002の画素1003を動作させるための回路領域1004と、を含む。ここで、画素1003は、例えばCMOS回路などを用いて構成されうる。画素1003は、トランジスタが基板100の表面に設けられ、当該表面が受光面となる表面照射型の撮像デバイスであってもよい。あるいは、トランジスタが基板100の表面に設けられ、当該表面とは反対の裏面が受光面となる裏面照射型の撮像デバイスであってもよい。半導体デバイスが33mm×22mm以上のサイズの画素領域1002を有する場合、デバイス領域DRを分割して露光する要求が高まる。例えば、所謂フルサイズと呼ばれる36mm×24mm(小数点以下四捨五入)や、それよりも大きい画素領域1002を有する撮像デバイス1001を製造する場合である。このとき、上述のように領域SLと領域SRとに分割し露光を行うことによって、露光される領域をまたがり延在する配線パターンがある場合においても、配線パターンの不導通を抑制し、信頼性の高い撮像デバイス1001を製造することが可能となる。また、撮像デバイス1001のデバイス領域DRが分割露光によって形成されたことは、例えば、デバイス領域DRに露光のために配されるアライメントマークAMの配置や、それぞれ分割露光される領域SL、SRのディストーションなどから確認されうる。なお、半導体デバイスが、有機EL表示デバイスや透過型あるいは反射型の液晶表示デバイスなどの表示デバイスであっても、撮像デバイスと同様の効果を得ることができ、大面積で高精細化した画素領域を有する表示デバイスを実現できる。
【符号の説明】
【0034】
100:基板、106:絶縁膜、110:フォトレジスト、110’:レジストパターン、301:孔、501,502:第1の溝、第2の溝