特許第6982980号(P6982980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982980
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】廃水処理システム及び船舶
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20060101AFI20211206BHJP
   B63H 21/32 20060101ALI20211206BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20211206BHJP
   F02M 26/35 20160101ALI20211206BHJP
   F02M 26/05 20160101ALI20211206BHJP
【FI】
   C02F1/00 M
   B63H21/32 Z
   F01N3/08 Z
   C02F1/00 L
   C02F1/00 W
   F02M26/35 Z
   F02M26/05
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-96972(P2017-96972)
(22)【出願日】2017年5月16日
(65)【公開番号】特開2018-192406(P2018-192406A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細野 隆道
(72)【発明者】
【氏名】西山 藍
(72)【発明者】
【氏名】東田 正憲
(72)【発明者】
【氏名】仲尾 進士
(72)【発明者】
【氏名】大西 郁美
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−168510(JP,A)
【文献】 特開2015−116529(JP,A)
【文献】 特開2017−047858(JP,A)
【文献】 特開2014−233991(JP,A)
【文献】 特表2013−527788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
B01D 21/02
C02F 1/20 − 1/26
C02F 1/30 − 1/38
B01D 36/04
B01D 47/00 − 47/18
B01D 53/14 − 53/18
B63H 21/32
B63J 4/00
F01N 3/021
F02M 26/05
F02M 26/36
F01N 3/08
F02M 26/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクラバから排出された洗浄液を浄化処理する廃水処理システムであって、
前記スクラバから排出された洗浄液を一時的に保留するタンク本体を有する保留タンクと、
前記スクラバから前記保留タンクに排出された洗浄液の全てを浄化処理する廃水処理部と、を備え、
前記スクラバから排出される洗浄液の単位時間あたりの排出量は、所定期間において最大排出量となり、
前記保留タンクから前記廃水処理部へ供給される洗浄液の単位時間あたりの供給量は、全期間にわたって前記スクラバの前記最大排出量よりも少なくなるように制御されている、廃水処理システム。
【請求項2】
前記保留タンクは、洗浄液を一時的に保留することにより当該洗浄液内で生じる汚染粒子の濃度が高い部分と汚染粒子の濃度が低い部分のうち、汚染粒子の濃度が低い部分に相当する洗浄液を優先的に前記廃水処理部に供給するように構成されている、請求項1に記載の廃水処理システム。
【請求項3】
前記タンク本体は、前記廃水処理部に供給する洗浄液が流出する流出口を有し、
前記流出口は、前記タンク本体の下方部分に位置している、請求項2に記載の廃水処理システム。
【請求項4】
前記保留タンクは、
前記タンク本体が保留する洗浄液の液面に浮上する浮上部材と、
前記タンク本体が保留する洗浄液を吸引する吸引口を有し、前記吸引口から吸引した洗浄液を前記廃水処理部に供給する吸引管と、を備え、
前記吸引管は前記浮上部材に取り付けられており、前記吸引口は前記浮上部材の変位に伴って変位する、請求項2に記載の廃水処理システム。
【請求項5】
前記吸引口は前記浮上部材の下面に対応する位置に位置している、請求項4に記載の廃水処理システム。
【請求項6】
前記吸引口は前記浮上部材から下方へ所定距離離れた位置に位置している、請求項4に記載の廃水処理システム。
【請求項7】
前記浮上部材は、前記タンク本体が保留する洗浄液の液面を覆う板状の部材であって、前記タンク本体に対する角度が維持されるように構成されている、請求項4乃至6のうちいずれか一の項に記載の廃水処理システム。
【請求項8】
前記保留タンクは、
前記タンク本体の内部を仕切る第1仕切板を有し、
前記第1仕切板は、前記スクラバから排出された洗浄液が流入する流入口が設けられた流入エリアと、前記廃水処理部へ供給される洗浄液が流出する流出口が設けられた流出エリアと、を区画し、
前記流入エリアと前記流出エリアとの間は洗浄液が流通可能であり、
前記浮上部材は前記流出エリアに設けられている、請求項7に記載の廃水処理システム。
【請求項9】
前記保留タンクは、前記タンク本体の内部を仕切り、各エリアを区画する複数の第2仕切板を有し、前記各エリアの間は洗浄液が流通可能である、請求項1乃至6のうちいずれか一の項に記載の廃水処理システム。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか一の項に記載の廃水処理システムを備えた船舶。
【請求項11】
前記タンク本体の一部は船体の一部によって構成されている、請求項10に記載の船舶。
【請求項12】
前記保留タンクは船底に位置している、請求項11に記載の船舶。
【請求項13】
前記保留タンクは、操舵機室内又はデッキに設けられている、請求項10に記載の船舶。
【請求項14】
前記スクラバで洗浄する排気ガスはエンジンに還流するEGRガスであり、
前記スクラバから排出される洗浄液の単位時間あたりの排出量が最大排出量となる前記所定期間は、EGR率が所定値以上となる期間である、請求項10乃至13のうちいずれか一の項に記載の船舶。
【請求項15】
当該船舶がECA内を航行するとき前記EGR率を所定値以上となるように制御する、請求項14に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃水処理システム及び船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶が、国際海事機関(IMO;International Maritime Organization)で定められた大気汚染物質放出規制海域(ECA;Emission Control Area)を航行するには、エンジンから排出される窒素酸化物(NOx)の量を規定値以下にまで低減する必要がある。NOxを低減させる技術として、排気ガスをエンジンに還流させる排気再循環(EGR; Exhaust Gas Recirculation)技術がある。ただし、大型船舶用のエンジンは、燃料として重油等を使用していることから、エンジンに還流する排気ガス(EGRガス)にはカーボンなどエンジンに悪影響を及ぼす浮遊粒子状物質が多量に含まれている。そのため、大型船舶用のエンジンシステムのEGRユニットには、EGRガスを洗浄液で洗浄するスクラバが設けられている。
【0003】
スクラバで使用した洗浄液は海に放流されるが、洗浄液にはばいじん(すすなどの固体粒子)などの粒子(以下、「汚染粒子」と称す)が多く含まれているため、そのままでは海に放流することはできない。そのため、スクラバで使用された洗浄液は、廃水処理システムに送られ、遠心分離機等によって構成された廃水処理部で汚染粒子を分離除去する浄化処理が行われた後、海に放流される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−255876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、廃水処理システムの廃水処理部には、スクラバから排出される洗浄液を連続的に浄化処理できるだけの能力が求められるため、廃水処理部は大型化及び複雑化する傾向にある。そこで、本発明では、廃水処理部の小型化又は簡略化が可能な廃水処理システム及び船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る廃水処理システムは、スクラバから排出された洗浄液を浄化処理する廃水処理システムであって、前記スクラバから排出された洗浄液を一時的に保留するタンク本体を有する保留タンクと、前記保留タンクから供給された洗浄液を浄化処理する廃水処理部と、を備え、前記スクラバから排出される洗浄液の単位時間あたりの排出量は、所定期間において最大排出量となり、前記保留タンクから前記廃水処理部へ供給される洗浄液の単位時間あたりの供給量は、全期間にわたって前記スクラバの前記最大排出量よりも少なくなるように制御されている。
【0007】
この構成によれば、保留タンクがバッファとして機能し、廃水処理部に供給する洗浄液の供給量を平準化できるため、廃水処理部はスクラバの最大排出量に対応できるだけの処理能力は不要となる。その結果、廃水処理部の小型化又は簡略化が可能となる。
【0008】
上記の廃水処理システムにおいて、前記保留タンクは、洗浄液を一時的に保留することにより当該洗浄液内で生じる汚染粒子の濃度が高い部分と汚染粒子の濃度が低い部分のうち、汚染粒子の濃度が低い部分に相当する洗浄液を優先的に前記廃水処理部に供給するように構成されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、汚染粒子の濃度が低い洗浄液が優先的に廃水処理部に供給されるため、廃水処理部における浄化処理の負荷を軽減することができる。
【0010】
上記の廃水処理システムにおいて、前記タンク本体は、前記廃水処理部に供給する洗浄液が流出する流出口を有し、前記流出口は、前記タンク本体の下方部分に位置していてもよい。
【0011】
汚染粒子には、洗浄液内で沈降する沈降粒子の他、洗浄液内で浮上する浮上粒子が含まれる。また、これら沈降粒子と浮上粒子の割合は、使用燃料などによって異なる。そうすると、洗浄液に含まれる汚染粒子のほとんどが浮上粒子である場合、保留タンクで洗浄液を一時的に保留することで、洗浄液の液面付近は汚染粒子の濃度が高くなり、それ以外の部分は汚染粒子の濃度が低くなる。この場合、上記のように流出口がタンク本体の下方部分に位置していれば、汚染粒子の濃度が低い部分に相当する洗浄液を優先的に廃水処理部に供給することができる。その結果、廃水処理部における浄化処理の負荷を軽減することができる。
【0012】
上記の廃水処理システムにおいて、前記保留タンクは、前記タンク本体が保留する洗浄液の液面に浮上する浮上部材と、前記タンク本体が保留する洗浄液を吸引する吸引口を有し、前記吸引口から吸引した洗浄液を前記廃水処理部に供給する吸引管と、を備え、前記吸引管は前記浮上部材に取り付けられており、前記吸引口は前記浮上部材の変位に伴って変位するようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、吸引管の吸引口が洗浄液の水位に追従して変位するため、保留タンク内の洗浄液の水位が変化しても、洗浄液を廃水処理部に供給し続けることができる。
【0014】
上記の廃水処理システムにおいて、前記吸引口は前記浮上部材の下面に対応する位置に位置していてもよい。
【0015】
この構成によれば、吸引口は洗浄液の液面付近から洗浄液を吸引するため、洗浄液に含まれる汚染粒子のほとんどが沈降粒子である場合には、汚染粒子の濃度が低い部分に相当する洗浄液を優先的に廃水処理部に供給することができる。
【0016】
上記の廃水処理システムにおいて、前記吸引口は前記浮上部材から下方へ所定距離離れた位置に位置するようにしてもよい。
【0017】
この構成によれば、洗浄液に多くの沈降粒子及び浮上粒子が含まれる場合であっても、吸引口が沈降粒子及び浮上粒子を避けて洗浄液を吸引することができる。つまり、洗浄液に多くの沈降粒子及び浮上粒子が含まれる場合であっても、汚染粒子の濃度が低い部分に相当する洗浄液を優先的に廃水処理部に供給することができる。
【0018】
上記の廃水処理システムにおいて、前記浮上部材は、前記タンク本体が保留する洗浄液の液面を覆う板状の部材であって、前記タンク本体に対する角度が維持されるように構成されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、例えば保留タンク全体が揺動するような場合であっても、タンク本体に対して洗浄液が揺動するのを抑制することができ、洗浄液の内部流動を抑制することができる。そのため、一旦洗浄液から分離した汚染粒子が保留タンクの揺動によって再び洗浄液に分散するのを抑制することができる。その結果、廃水処理部へ供給する洗浄液に含まれる汚染粒子の量が抑えられ、廃水処理部における浄化処理の負荷を軽減することができる。
【0020】
上記の廃水処理システムにおいて、前記保留タンクは、前記タンク本体の内部を仕切る第1仕切板を有し、前記第1仕切板は、前記スクラバから排出された洗浄液が流入する流入口が設けられた流入エリアと、前記廃水処理部へ供給される洗浄液が流出する流出口が設けられた流出エリアと、を区画し、前記流入エリアと前記流出エリアとの間は洗浄液が流通可能であり、前記浮上部材を前記流出エリアに設けてもよい。
【0021】
スクラバから排出された洗浄液が保留タンクに流入すると、減圧によって洗浄液から溶存ガスが発生し、また洗浄液に含まれる気泡が膨張してしまう。これに対し、上記の構成によれば、浮上部材が設けられた流出エリアには溶存ガス及び気泡を構成する空気が入り込まない。そのため、浮上部材と洗浄液の間に気層が形成されるのを防ぐことができる結果、浮上部材による洗浄液の内部流動の抑制効果を維持することができる。
【0022】
上記の廃水処理システムにおいて、前記保留タンクは、前記タンク本体の内部を仕切り、各エリアを区画する複数の第2仕切板を有し、前記各エリアの間を洗浄液が流通可能としてもよい。
【0023】
この構成によれば、タンク本体の内部が複数の小さなエリアに仕切られるため、保留タンク全体が揺動するような場合であっても、洗浄液の内部流動を抑制することができる。これにより、廃水処理部に供給する洗浄液に含まれる汚染粒子の量が抑えられ、廃水処理部における浄化処理の負荷を軽減することができる。
【0024】
本発明の一態様に係る船舶は、上記の廃水処理システムを備えている。
【0025】
この構成によれば、上記の廃水処理システムを備えているため、廃水処理部の小型化又は簡略化が可能となる。
【0026】
上記の船舶において、前記タンク本体の一部は船体の一部によって形成されていてもよい。
【0027】
この構成によれば、タンク本体の一部が船体の一部によって形成されているため、タンク本体の製造コストを抑えることができるとともに、船体の内部スペースを有効に利用することができる。
【0028】
上記の船舶において、前記保留タンクは船底に位置していてもよい。
【0029】
この構成によれば、湾曲した船底によって区画された船底付近の利用しにくいスペースを有効に利用することができる。
【0030】
上記の船舶において、前記保留タンクは、操舵機室内又はデッキに設けられていてもよい。
【0031】
ここで、操舵機室は舵の上方に位置しているため十分な空間を確保できないことから、有効に利用できない場合が多い。そのため、形状の自由度が高い保留タンクを操舵機室に設けることにより、デッドスペースを有効に利用することができる。また、保留タンクをデッキに設けることにより、保留タンク内に残った汚染粒子を陸揚げする作業を容易に行うことができる。
【0032】
上記の船舶において、前記スクラバで洗浄する排気ガスはエンジンに還流するEGRガスであり、前記スクラバから排出される洗浄液の単位時間あたりの排出量が最大排出量となる前記所定期間は、EGR率が所定値以上となる期間であってもよい。
【0033】
この構成によれば、EGR率が所定値以上となる期間にスクラバから排出される洗浄液の単位時間あたりの排出量が最大排出量となる一方、これ以外の期間ではスクラバから排出される洗浄液の単位時間あたりの排出量が少なくなる。そのため、廃水処理部に供給する洗浄液の供給量を平準化でき、ひいては廃水処理部の小型化又は簡略化が可能となる。
【0034】
上記の船舶において、当該船舶がECA内を航行するとき前記EGR率を所定値以上となるように制御してもよい。
【0035】
船舶がECA内外を航行する場合、船舶がECA外を航行するときに浄化処理を行うことで、船舶がECA内を航行したときに溜まった保留タンク内の洗浄液を減らすことができる。よって、上記の構成によれば、廃水処理部の小型化又は簡略化を実行することができる。
【発明の効果】
【0036】
前述したとおり、上記の廃水処理システム及び船舶によれば、廃水処理部の小型化又は簡略化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、第1実施形態に係る船舶の概略図である。
図2図2は、第1実施形態に係る廃水処理システムの概略図である。
図3図3は、第2実施形態に係る廃水処理システムの概略図である。
図4図4は、第3実施形態に係る廃水処理システムの概略図である。
図5図5は、第4実施形態に係る廃水処理システムの概略図である。
図6図6は、第5実施形態に係る廃水処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る廃水処理システム100について説明する。なお、以下では、同一又は対応する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0039】
<船舶>
はじめに、廃水処理システム100が搭載されている船舶101について説明する。図1は、船舶101の概略図である。図1に示すように、船舶101は、エンジンシステム110と、廃水処理システム100と、を備えている。
【0040】
エンジンシステム110は、2ストロークディーゼルエンジンであって船体102に設けられたスクリュ103を回転させるエンジン111と、エンジン111に掃気ガスを供給する掃気流路112と、エンジン111から排出された排気ガスを船外に放出する排気流路113と、排気ガスのエネルギにより駆動し船外から取り込んだ新気を昇圧する過給機114と、排気流路113から排気ガスを抽出してEGRガスとして掃気流路112に供給するEGRユニット115と、を備えている。
【0041】
本実施形態のエンジンシステム110では、上記のEGRユニット115によって新気とEGRガスを混合して掃気ガスとすることで、エンジン111に供給する掃気ガスの酸素濃度を低下させている。これにより、エンジン111における燃焼温度が低下し、エンジン111から発生するNOxの発生量を抑制することができる。なお、掃気ガス全体に対するEGRガスの割合(EGR率)は、船舶101が航行する領域によって変更する。
【0042】
EGRユニット115は、排気通路113と掃気流路112を接続するEGR流路116と、EGR流路116に設けられEGRガスを洗浄液を用いて洗浄するスクラバ117と、EGRガスを冷却するEGRガスクーラ118と、EGRガスクーラ118で発生した凝縮水を捕集するEGRウォータミストキャッチャ119と、EGRガスを昇圧するとともに掃気流路112に供給するEGRブロワ120と、を備えている。なお、掃気ガスのEGR率は、EGRブロワ120によって制御することができる。
【0043】
上記のとおり、EGRユニット115のスクラバ117は、EGRガス(すなわち排気ガス)を洗浄する。スクラバ117で使用した洗浄液は海に放流されるが、洗浄液にはばいじんなどの粒子(汚染粒子)が多く含まれているため、そのままでは海に放流することはできない。そのため、スクラバ117から排出された洗浄液は、廃水処理システム100で汚染粒子を分離除去する浄化処理をした後に海に放流される。以下、廃水処理システム100について説明する。
【0044】
<廃水処理システム>
続いて、廃水処理システム100について説明する。廃水処理システム100は、スクラバ117から排出された洗浄液を一時的に保留する保留タンク10と、洗浄液を浄化処理する廃水処理部20と、保留タンク10から廃水処理部20へ洗浄液を供給する供給ポンプ30と、を備えている。
【0045】
ここで、スクラバ117から排出される洗浄液の単位時間あたりの排出量(以下、単に「排出量」と称す)は、スクラバ117の稼働状況に応じて変動する。具体的には、EGR率が最大のときEGRガスの流量が最大となるため、このときスクラバ117における排出量は最大排出量となる。
【0046】
一方、保留タンク10から廃水処理部20へ供給される洗浄液の単位時間あたりの供給量(以下、単に「供給量」と称す)は、全期間にわたってスクラバ117の最大排出量よりも少なくなるように制御されている。この制御は供給ポンプ30によって行われる。ただし、保留タンク10と廃水処理部20の間に制御バルブを設け、当該制御バルブによって上記の制御を行ってもよい。なお、浄化処理を行うことで廃水処理部20で発生したスラッジ(汚染粒子が集まって形成されたもの)は、図外の配管を通って保留タンク10に排出される。
【0047】
上記のように、廃水処理部20へ供給する洗浄液の供給量をスクラバ117の最大排出量よりも少なくすることができるのは、保留タンク10がバッファの役割を果たすからである。これにより、廃水処理部20へ供給する洗浄液の供給量を平準化することができるため、廃水処理部20はスクラバ117の最大排出量に対応できるような処理能力を備える必要はない。さらに、本実施形態では、保留タンク10で洗浄液を一時的に保留するため、その間に比重の異なる洗浄液と汚染粒子は分離する。そのため、廃水処理部20へ供給される洗浄液に含まれる汚染粒子を減らすことができ、廃水処理部20における浄化処理の負荷を軽減することができる。その結果、廃水処理部20を小型化又は簡略化することができる。
【0048】
なお、廃水処理部20として従来は遠心分離機を採用していたところ、本実施形態では遠心分離機に代えて動力源が不要な膜処理装置(フィルタ)を採用している。つまり、本実施形態では廃水処理部20の簡略化に成功している。また、廃水処理部20として遠心分離機を採用してもよいが、この場合でも従来の遠心分離機に比べて処理能力が低いものを採用することで、廃水処理部20を小型化することができる。
【0049】
<保留タンク>
続いて、保留タンク10の構成について詳しく説明する。図2は、廃水処理システム100の概略図である。図2に示すように、本実施形態の保留タンク10は、タンク本体11と、浮上部材12と、吸引管13とを有している。
【0050】
タンク本体11は、洗浄液を保留する部分である。タンク本体11の一部は船体102の一部によって形成されている。具体的には、タンク本体11の底部が船体102の船底で形成されている。船体102の船底は、前後方向に対して垂直な断面視において、下方に凸の湾曲形状を有している。タンク本体11は、このような形状の船底を用いて形成されている。そのため、本実施形態によれば、いびつな形状を有する船底付近の空間を有効に活用することができる。
【0051】
また、タンク本体11は、側壁部に形成されスクラバ117から排出された洗浄液が流入する流入口14と、同じく側壁部に形成され廃水処理部20に供給される洗浄液が流出する流出口15と、天部に形成され船外に通じる空気口16と、を有している。また、スクラバ117内は高圧であるため、スクラバ117の洗浄液がタンク本体11に流入して圧力が低下すると、洗浄液から溶存ガスが発生し、洗浄液に含まれる気泡が膨張する。発生した溶存ガス及び気泡を構成する空気は空気口16を介して船外に放出される。
【0052】
浮上部材12は、洗浄液よりも比重が小さく、タンク本体11が保留する洗浄液の液面に浮上する部材である。浮上部材12は、洗浄液の液面に浮上するため、洗浄液の量が変化して液面が上下に変位しても、それに追従して上下に変位する。
【0053】
吸引管13は、可撓性を有しており、基端部分がタンク本体11の流出口15に取り付けられており、先端部分が浮上部材12に取り付けられている。吸引管13は先端部分に吸引口17を有しており、吸引口17はタンク本体11が保留する洗浄液を吸引する。吸引口17で吸引された洗浄液は、流出口15及び供給ポンプ30を介して廃水処理部20に供給される。
【0054】
また、本実施形態では、吸引口17は浮上部材12の下面に対応する位置に位置している。そのため、吸引口17は常に洗浄液の液面付近に位置している。これにより、洗浄液の水位にかかわらず、吸引口17は常に洗浄液を吸引することができ、吸引した洗浄液を廃水処理部20に供給することができる。
【0055】
ここで、洗浄液に含まれる汚染粒子は、洗浄液よりも比重が大きい沈降粒子151と、洗浄液よりも比重が小さい浮上粒子152(図3等参照)とに分けられる。沈降粒子151は洗浄液内で沈降し、浮上粒子152は洗浄液内で浮上する。つまり、保留タンク10は洗浄液を一時的に保留することにより、洗浄液内は汚染粒子の濃度が高い部分と汚染粒子の濃度が低い部分に分かれる。なお、沈降粒子151と浮上粒子152の割合は、エンジン111で使用する使用燃料などによって異なる。
【0056】
本実施形態では、洗浄液に含まれる汚染粒子のほとんどが沈降粒子151である場合を想定している。つまり、本実施形態では、保留タンク10が保留する洗浄液の下方部分が汚染粒子の濃度が高い部分となり、洗浄液の下方部分以外の部分が汚染粒子の濃度が低い部分となる。そうすると、本実施形態では、吸引口17が常に洗浄液の液面付近に位置しているため、汚染粒子の濃度が低い部分に相当する洗浄液が優先的に廃水処理部20へ供給されることになる。そのため、廃水処理部20へ供給する洗浄液に含まれる汚染粒子を減らすことができ、廃水処理部20による浄化処理の負荷を軽減することができる。
【0057】
<運用例>
続いて、本実施形態に係る廃水処理システム100及び船舶101の運用例について説明する。ここでは、船舶101がECA(大気汚染物質放出規制海域)内の第1の港から出航して、ECA外の海洋を通過し、ECA内の第2の港に入港するものとする。また、船舶101が第1の港を出港する際には、保留タンク10は空であるものとする。なお、このECAは、陸地に近い沿岸付近に設定されており、NOxを含む汚染物質の排出規制が厳しい海域である。
【0058】
まず、第1の港を出港してからしばらくの間は、船舶101はECA内を航行するため、エンジン111から排出されるNOxを低減すべくEGRを行う。そのため、スクラバ117から排出される洗浄液の排出量は多く、このとき排出量は最大排出量となる。
【0059】
そして、スクラバ117から排出された洗浄液は保留タンク10に流入し、保留タンク10は洗浄液を保留する。一方、廃水処理部20には、保留タンク10を介して洗浄液が供給されて浄化処理を行うが、廃水処理部20への供給量は上記のスクラバ117の最大排出量よりも少ない。そのため、船舶101がECA内を航行している期間は、保留タンク10が保留する洗浄液の量は次第に増えてゆく。
【0060】
その後、船舶101は、ECAを出てECA外を航行する。ECA外では、NOxの排出規制が比較的緩やかであるため、船舶101がECA外を航行する際にはEGRを停止する(このとき、EGR率は0%)。そのため、スクラバ117からは洗浄液は排出されない。一方、廃水処理部20には継続して洗浄液が供給される。その結果、保留タンク10が保留する洗浄液の量は次第に減ってゆく。そして、保留タンク10が保留する洗浄液が一定量以下になると、廃水処理部20への洗浄液の供給を停止する。このとき、保留タンク10内には、汚染粒子(沈降粒子151)及び廃水処理部20から排出されたスラッジが残っている。
【0061】
その後、船舶101が再びECA内に入り第2の港に向かう。この時、EGRを再開して、NOxの排出量を抑制する。そのため、スクラバ117から排出される洗浄液の排出量は再び最大排出量となる。一方、廃水処理部20は、保留タンク10から洗浄液が供給されて浄化処理を再開する。ただし、廃水処理部20への洗浄液の供給量は、スクラバ117の最大排出量よりも少ない。そのため、保留タンク10が保留する洗浄液の量が再び増加してゆくことになる。
【0062】
その後、船舶101が第2の港に入港する。船舶101が第2の港に入港した後も、保留タンク10から廃水処理部20へ洗浄液が供給され、洗浄処理がなされた洗浄液が海へ放流される。そして、保留タンク10が保留する洗浄液の量が一定量以下になった後は、保留タンク10に残った沈降粒子151及びスラッジをホースで吸引するなどして陸揚げし、保留タンク10を空にする。
【0063】
以上が、本実施形態に係る廃水処理システム100及び船舶101の運用例である。ただし、廃水処理システム100及び船舶101は、これ以外の運用を行ってもよい。例えば、上記の運用例では、船舶101が第1の港を出港してからECA内を航行する間にも廃水処理部20に洗浄液を供給していたが、船舶101がECA内を航行する間は廃水処理部20に洗浄液を供給せず、船舶101がECAを出た後に廃水処理部20に洗浄液を供給してもよい。この場合、洗浄液が保留タンク10に保留される期間が長くなるため、より多くの汚染粒子を洗浄液から分離させることができる。これにより、廃水処理部20に供給する洗浄液に含まれる汚染粒子の量を減らすことができ、廃水処理部20による浄化処理の負荷を軽減することができる。
【0064】
また、上記の運用例では、船舶101がECA外を航行する際にはEGRを停止したが、船舶101がECA外を航行する際には船舶101がECA内を航行するときよりも低いEGR率でEGRを行ってもよい。この場合であっても、船舶101がECA外を航行する期間において保留タンク10が保留する洗浄液を減らすことは可能である。
【0065】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る廃水処理システム200について説明する。図3は、第2実施形態に係る廃水処理システム200の概略図である。図3に示すように、第2実施形態に係る廃水処理システム200は、保留タンク10が浮上部材12及び吸引管13(図2参照)を有していない点で、第1実施形態に係る廃水処理システム100と構成が異なる。
【0066】
本実施形態に係る廃水処理システム200は、流出口15がタンク本体11の下方部分に位置しており、保留タンク10で保留された洗浄液は、この流出口15から直接流出し、廃水処理部20に供給される。本実施形態の保留タンク10によれば、第1実施形態の保留タンク10に比べて構造が単純であり、また、洗浄液をタンク本体11の下方部分から抽出して廃水処理部20に供給するため、汚染粒子のほとんどが浮上粒子152である場合には有効である。
【0067】
つまり、洗浄液に含まれる汚染粒子のほとんどが浮上粒子152である場合、洗浄液の上方部分が汚染粒子の濃度が高い部分となり、洗浄液の上方部分以外の部分が汚染粒子の濃度が低い部分となることから、本実施形態によれば汚染粒子の濃度が低い部分に相当する洗浄液が優先的に廃水処理部20に供給され、廃水処理部20による浄化処理の負荷を軽減することができる。なお、流出口15が位置するタンク本体11の下方部分とは、例えば、タンク本体11を上下方向に等間隔に3分割したときの最も下方に位置する部分をいう。
【0068】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る廃水処理システム300について説明する。図4は、第3実施形態に係る廃水処理システム300の概略図である。図4に示すように、第3実施形態に係る廃水処理システム300では、保留タンク10の浮上部材12の構成が、第1実施形態に係る廃水処理システム100のものと異なる。
【0069】
本実施形態の浮上部材12は板状の部材であって、保留タンク10の内部全体に広がっている。また、水平断面視において、浮上部材12の外周縁と保留タンク10の側壁部の内周縁とが一致し、浮上部材12は保留タンク10が保留する洗浄液の液面全体を覆っている。さらに、浮上部材12の厚みは大きく、タンク本体11内で傾くことができない程度の厚み寸法を有している。つまり、浮上部材12は、タンク本体11の側壁部に対して垂直な状態を維持したまま側壁部に沿って移動できるように構成されている。
【0070】
そのため、船舶101が揺動して保留タンク10が傾斜すると、それに伴って浮上部材12も傾斜し、保留タンク10内の洗浄液の液面も水平にならず傾斜する。よって、保留タンク10が傾斜しても、洗浄液の液面は保留タンク10に対して変化しない。さらに、浮上部材12は洗浄液の液面を覆っているため、洗浄液の液面が波打つこともない。その結果、本実施形態によれば、洗浄液の内部流動を抑制することができ、洗浄液から分離した汚染粒子が洗浄液に再度分散するのを抑制することができる。
【0071】
ただし、スクラバ117から排出された洗浄液がタンク本体11に流入すると溶存ガスが発生するとともに気泡が膨張するため、洗浄液の液面を全て浮上部材12で覆うと、溶存ガス及び気泡を構成する空気が洗浄液と浮上部材12の間に溜まって空間が生じる(気層が形成される)おそれがある。この場合、浮上部材12による洗浄液の内部流動を抑制する効果を維持することができなくなる。
【0072】
そこで、本実施形態では、スクラバ117と保留タンク10の間、すなわち保留タンク10の上流に内部が大気開放されている前段タンク40を設けている。これにより、スクラバ117から排出された洗浄液はこの前段タンク40で減圧及び脱気が行われ、保留タンク10では溶存ガスが発生せず気泡も膨張しないため、浮上部材12と洗浄液の間に気層は形成されない。よって、浮上部材12による洗浄液の内部流動の抑制効果は維持される。
【0073】
さらに、本実施形態では、吸引口17は浮上部材12から下方へ所定距離離れた位置に位置している。この構成によれば、洗浄液に多くの沈降粒子151及び浮上粒子152が含まれる場合であっても、吸引口17が沈降粒子151及び浮上粒子152を避けて洗浄液を吸引することができる。つまり、汚染粒子の濃度が低い部分に相当する洗浄液を優先的に吸引することができる。そのため、上記の構成によれば、廃水処理部20に供給する洗浄液に含まれる沈降粒子151及び浮上粒子152の量を減らすことができ、廃水処理部20における浄化処理の負荷を軽減することができる。
【0074】
なお、本実施形態では、保留タンク10は、洗浄液の水位が低いときに吸引口17がタンク本体11の底部に接触しないように、浮上部材12を所定の高さ位置で支持するストッパ18を備えている。
【0075】
また、本実施形態では、浮上部材12の厚みを大きくすることにより、タンク本体11に対する浮上部材12の角度を維持しているが、他の構成を採用してもよい。例えば、タンク本体11に鉛直方向に延びるレールを設け、浮上部材12がこのレールに沿って移動することで、タンク本体11に対する浮上部材12の角度が維持できるような構成を採用してもよい。
【0076】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る廃水処理システム400について説明する。図5は、第4実施形態に係る廃水処理システム400の概略図である。図5に示すように、第4実施形態に係る廃水処理システム400では、保留タンク10が第1仕切板51を備えている点で、第3実施形態に係る廃水処理システム300と構成が異なる。
【0077】
第1仕切板51は、保留タンク10の内部を仕切る板状の部材であり、保留タンク10の内部に位置している。図5において、第1仕切板51はタンク本体11の紙面手前の側壁部から紙面奥の側壁部まで延びており、第1仕切板51の下端はタンク本体11の底部よりも上方に位置しており、第1仕切板51の上端はタンク本体11の天部よりも下方に位置している。つまり、第1仕切板51の下端とタンク本体11の底部とは離間しており、第1仕切板51の上端とタンク本体11の天部とは離間している。
【0078】
また、第1仕切板51とタンク本体11の一部によって、流入口14が設けられた流入エリア61が区画されているとともに、流出口15が設けられた流出エリア62が区画されている。なお、本実施形態では、空気口16は流入エリア61に設けられている。
【0079】
また、上記のとおり、第1仕切板51の下端とタンク本体11の底部とは離間しており、第1仕切板51の上端とタンク本体11の天部とは離間しているため、流入エリア61と流出エリア62は連通している。そのため、流入エリア61と流出エリア62との間は、第1仕切板51の下端とタンク本体11の底部との間を介して洗浄液が流通可能である。また、流入エリア61と流出エリア62との間は、第1仕切板51の上端とタンク本体11の天部との間を介して空気が流通可能である。
【0080】
さらに、本実施形態では、浮上部材12は流出エリア62にのみ設けられており、水平断面視において浮上部材12と流出エリア62が一致し、浮上部材12は流出エリア62の洗浄液の液面全体を覆っている。また、浮上部材12の厚みは大きく、タンク本体11内で傾くことができない程度の厚み寸法を有している。これにより、流出エリア62の洗浄液の内部流動が抑えられ、廃水処理部20に供給する洗浄液に含まれる汚染粒子の量を抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態では、流入口14から流入した洗浄液は流入エリア61で減圧及び脱気が行われる。その結果、洗浄液の減圧に起因する溶存ガスの発生及び気泡の膨張は流入エリア61で生じることとなり、流出エリア62では、浮上部材12と洗浄液の間に気層が形成されない。これにより、浮上部材12による洗浄液の内部流動の抑制効果を阻害することはない。換言すれば、第3実施形態に係る廃水処理システム300では前段タンク40(図4参照)を備えていたのに対し、本実施形態に係る廃水処理システム400は前段タンク40を省略することができる。
【0082】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る廃水処理システム500について説明する。図6は、第5実施形態に係る廃水処理システム500の概略図である。図6に示すように、第5実施形態に係る廃水処理システム500では、複数の第2仕切板52を備えている点で、第1実施形態に係る廃水処理システム100と構成が異なる。
【0083】
第2仕切板52は、保留タンク10の内部を仕切る板状の部材であり、保留タンク10の内部に位置している。図6において、第2仕切板52はタンク本体11の紙面手前の側壁部から紙面奥の側壁部まで延びている。第2仕切板52の下端はタンク本体11の底部に接しているが、下方部分に流通孔53が形成されている。また、第2仕切板52の上端はタンク本体11の天部よりも下方に位置している。
【0084】
上記の第2仕切板52とタンク本体11の一部とによって、流入口14が設けられた流入エリア61が区画されるとともに、流出口15が設けられた流出エリア62が区画されている。さらに、隣り合う2つの第2仕切板52によって各中間エリア63が区画されている。なお、本実施形態では、空気口16は流入エリア61に設けられている。
【0085】
さらに、流入エリア61と中間エリア63の間、各中間エリア63の間、及び中間エリア63と流出エリア62との間は、第2仕切板52に形成された流通孔53を介して洗浄液が流通可能である。また、流入エリア61と中間エリア63の間、各中間エリア63の間、及び中間エリア63と流出エリア62との間は、第2仕切板52の上端とタンク本体11の天部との間を介して空気が流通可能である。
【0086】
さらに、浮上部材12は、流出エリア62内に位置しており、この浮上部材12に吸引管13が取り付けられている。なお、流入口14から流入した洗浄液は流入エリア61で減圧及び脱気が行われる。
【0087】
以上のとおり本実施形態に係る廃水処理システム500によれば、保留タンク10の内部が複数の小さなエリアに仕切られているため、船舶101が揺動しても、保留タンク10内における洗浄液の内部流動を抑えることができる。その結果、洗浄液から分離した汚染粒子が洗浄液に再度分散するのを抑制することができる。
【0088】
(その他の変形例)
以上、実施形態に係る廃水処理システム100、200、300、400、500及び船舶101について説明したが、本発明に係る廃水処理装置及び船舶は上記の構成に限定されない。例えば、保留タンク10が船舶101の船底に位置する場合について説明したが、保留タンク10は、操舵機室104内に設けられていてもよく、デッキ105(図1参照)に設けられていてもよい。
【0089】
ここで、舵106の上方に位置する操舵機室104は、十分な空間を確保できないため、デッドスペースとなる場合が多い。そのため、保留タンク10を操舵機室104に設ければ、デッドスペースを有効に利用することができる。また、保留タンク10をデッキ105に設ければ、保留タンク10内に溜まった汚染粒子(スラッジ)を陸揚げする作業を比較的容易に行うことができる。
【0090】
また、上述した実施形態では、EGRユニット115の一部を構成するスクラバ117はそれ単体で構成されているが、例えばスクラバ117がEGRガスクーラ118等と一体に形成されていてもよい。
【0091】
さらに、上述した実施形態では、スクラバ117が洗浄する排気ガスはEGRガスであったが、スクラバ117が洗浄する排気ガスはエンジンシステム110から排出される排気ガス、つまり図1の例では過給機114を通過して船外に放出される排気ガスであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
10 保留タンク
11 タンク本体
12 浮上部材
13 吸引管
14 流入口
15 流出口
17 吸引口
20 廃水処理部
51 第1仕切板
52 第2仕切板
61 流入エリア
62 流出エリア
63 中間エリア
100、200、300、400、500 廃水処理システム
101 船舶
102 船体
104 操舵室
105 デッキ
110 エンジンシステム
111 エンジン
117 スクラバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6