特許第6982989号(P6982989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982989
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   E03C1/042 E
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-115252(P2017-115252)
(22)【出願日】2017年6月12日
(65)【公開番号】特開2019-2142(P2019-2142A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤城 達也
【審査官】 広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−061242(JP,A)
【文献】 特開2015−203242(JP,A)
【文献】 特開2002−047707(JP,A)
【文献】 特開平11−303165(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第106320455(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/04−1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水管と、前記吐水管を壁部に接続する接続管とを備える水栓において、
前記接続管は、前記壁部に接続される本体部と、前記吐水管の上流側端部に挿入される挿入部とを備え、
前記接続管の前記挿入部には、前記吐水管の上流側端部に挿入して回転させることにより前記吐水管に係止される抜け止め部が設けられ、
前記吐水管の上流側端部の端面は、前記挿入部の挿入方向に垂直な面に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記接続管に取り付けられて、前記傾斜面に接触することで前記吐水管と前記接続管との相対回転を抑制する環状の回転止め部材を備えることを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記接続管は、前記本体部と前記挿入部との境界部分で屈曲することにより、くの字状に構成され、前記本体部の軸方向は、前記傾斜面の垂線に沿う方向である請求項1に記載の水栓。
【請求項3】
前記回転止め部材は、前記本体部に形成されたねじ溝に係合した状態で前記接続管に取り付けられている請求項1又は2に記載の水栓。
【請求項4】
吐水管と、前記吐水管を壁部に接続する接続管とを備える水栓において、
前記接続管は、前記壁部の孔部に挿入される本体部と、前記吐水管の上流側端部に挿入される挿入部とを備え、
前記接続管の前記挿入部には、前記吐水管の上流側端部に挿入して回転させることにより前記吐水管に係止される抜け止め部が設けられ、
前記抜け止め部は、前記接続管の前記挿入部の外周に設けられた凸部であり、
前記吐水管の内周には、前記吐水管の上流側端部から下流側に延びる第1溝部及び前記第1溝部の下流側端部から、前記吐水管の周方向に延びる第2溝部を有するL字溝が設けられ、
前記第1溝部に挿入されて、前記第2溝部に係合した前記凸部の前記第1溝部側への移動を規制することで前記吐水管と前記接続管との相対回転を規制する回転止め部材を備え、前記回転止め部材が前記第1溝部に挿入された状態で、前記回転止め部材は、前記凸部の前記第1溝部側への移動を規制することを特徴とする水栓。
【請求項5】
前記回転止め部材は、環状部と、前記環状部に設けられて前記第1溝部に挿入される挿入片部とを有する請求項4に記載の水栓。
【請求項6】
前記本体部は、回転操作により前記壁部に接続される請求項1〜5のいずれか一項に記載の水栓。
【請求項7】
前記接続管は、樹脂製である請求項1〜6のいずれか一項に記載の水栓。
【請求項8】
前記吐水管は、前記回転止め部材の周囲を覆うスカート部を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図18に示すように、吐水管51と、壁部52に設けられた給水管53とが、接続管54を介して接続された水栓50について記載されている。給水管53と接続管54とは、給水管53に設けられたねじ溝53Aと、接続管54に設けられたねじ溝54Aと螺合させることによって固定されている。また、吐水管51と接続管54とは、接続管54の端部を吐水管51に挿入した状態として、吐水管51の周面のねじ孔51Bを介して吐水管51の外側から挿入した止めねじ56の先端を接続管54に押し付けることにより固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−262780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1等の水栓のように、管状部材同士を螺合等の回転を伴う操作によって固定する構成の場合、回転を伴う操作によって更に別の部材を接続する際や、水栓に手や物が触れた際に、管状部材同士が相対回転して、その固定状態が緩んでしまう虞がある。こうした問題に対して、特許文献1の水栓においては、吐水管51の外側から挿入した止めねじ56の先端を接続管54に押し付けることによって、吐水管51と接続管54との相対回転を抑制している。この場合、上記相対回転を抑制する効果を得るためには、止めねじ56の押し付け力を大きくする必要があるが、止めねじ56の押し付け力を増大させると、吐水管51や接続管54が変形してしまう虞がある。特に、樹脂製等の強度の低い管状部材を用いた場合には、こうした変形が起こりやすい。
【0005】
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吐水管と接続管の相対回転が好適に抑制された水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための水栓は、吐水管と、前記吐水管を壁部に接続する接続管とを備える水栓において、前記接続管は、前記壁部に接続される本体部と、前記吐水管の上流側端部に挿入される挿入部とを備え、前記接続管の前記挿入部には、前記吐水管の上流側端部に挿入して回転させることにより前記吐水管に係止される抜け止め部が設けられ、前記吐水管の上流側端部の端面は、前記挿入部の挿入方向に垂直な面に対して傾斜した傾斜面を有し、前記接続管に取り付けられて、前記傾斜面に接触することで前記吐水管と前記接続管との相対回転を抑制する環状の回転止め部材を備えることを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、水栓の取付け作業時等に作業者の体の一部が触れて接続管が回転しても、接続管に取り付けられた環状の回転止め部材が、吐水管の傾斜面に接触することによって吐水管と接続管の相対回転を抑制することができる。これにより、吐水管と接続管の相対回転によって吐水管が接続管から外れることを抑制することができる。
【0008】
上記水栓について、前記吐水管は、前記本体部と前記挿入部との境界部分で屈曲することにより、くの字状に構成され、前記本体部の軸方向は、前記傾斜面の垂線に沿う方向であることが好ましい。この構成によれば、壁部の孔部に挿入された接続管の本体部の回転軸と、吐水管の上流側端部に挿入された接続管の挿入部の回転軸とが異なる向きとなるため、吐水管と接続管の相対回転をより効果的に抑制することができる。
【0009】
上記水栓について、前記回転止め部材は、前記本体部に形成されたねじ溝に係合した状態で前記接続管に取り付けられていることが好ましい。この構成によれば、環状の回転止め部材を、本体部のねじ溝に係合させながら、吐水管の傾斜面に接触する位置に取り付けることができる。これにより、回転止め部材が、所定の位置に効率良く取り付けられたものとなる。
【0010】
上記課題を解決するための水栓は、吐水管と、前記吐水管を壁部に接続する接続管とを備える水栓において、前記接続管は、前記壁部に接続される本体部と、前記吐水管の上流側端部に挿入される挿入部とを備え、前記接続管の前記挿入部には、前記吐水管の上流側端部に挿入して回転させることにより前記吐水管に係止される抜け止め部が設けられ、前記抜け止め部は、前記接続管の前記挿入部の外周に設けられた凸部であり、前記吐水管の内周には、前記吐水管の上流側端部から下流側に延びる第1溝部及び前記第1溝部の下流側端部から、前記吐水管の周方向に延びる第2溝部を有するL字溝が設けられ、前記第1溝部に挿入されて、前記第2溝部に係合した前記凸部の前記第1溝部側への移動を規制することで前記吐水管と前記接続管との相対回転を規制する回転止め部材を備えることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、水栓の取付け作業時等に作業者の体の一部が触れて接続管が回転しても、第1溝部に挿入された回転止め部材が、第2溝部に係合した凸部の第1溝部側への移動を規制することにより、吐水管と接続管の相対回転を抑制することができる。これにより、吐水管と接続管の相対回転によって吐水管が接続管から外れることを抑制することができる。
【0012】
上記水栓について、前記回転止め部材は、環状部と、前記環状部に設けられて前記第1溝部に挿入される挿入片部とを有することが好ましい。この構成によれば、環状部の内周に接続管の本体部を通して回転止め部材を取り付けることができるため、回転止め部材の挿入片部の位置決めが容易になる。
【0013】
上記水栓について、前記本体部は、回転操作により前記壁部に接続されることが好ましい。
上記水栓について、前記接続管は、樹脂製であることが好ましい。
【0014】
上記水栓について、前記吐水管は、前記回転止め部材の周囲を覆うスカート部を有することが好ましい。この構成によれば、吐水管が壁部に接続された構成において、回転止め部材をスカート部で隠すことができる。これにより、水栓の外観を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吐水管と接続管の相対回転を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の水栓の斜視図。
図2】本実施形態の水栓の部分断面図。
図3】(a)は吐水管と接続管の部分斜視図、(b)は吐水管と接続管が係止した状態の部分斜視図。
図4】(a)は凸部が第1溝部に挿入された状態における吐水管の上流側端部側から見た部分断面図、(b)は凸部が第1溝部に挿入された状態における吐水管の径方向内側から見た部分断面図、(c)は凸部が第2溝部に係止された状態における吐水管の上流側端部側から見た部分断面図、(d)は凸部が第2溝部に係止された状態における吐水管の径方向内側から見た部分断面図。
図5】(a)は第1実施形態の回転止め部材の斜視図、(b)は第1実施形態の吐水管と接続管と回転止め部材の部分斜視図。
図6】(a)は第2実施形態の回転止め部材の斜視図、(b)は第2実施形態の吐水管と接続管と回転止め部材の部分斜視図。
図7】(a)は挿入片部が第1溝部に挿入された状態における吐水管の上流側端部側から見た部分断面図、(b)は挿入片部が第1溝部に挿入された状態における吐水管の径方向内側から見た部分断面図。
図8】接続管を壁部に接続させる変更例の部分断面図。
図9】接続管を壁部に接続させる他の変更例の部分断面図。
図10】第1実施形態の抜け止め部の変更例の部分斜視図。
図11】第1実施形態の回転止め部材の変更例の斜視図。
図12】第1実施形態の回転止め部材の他の変更例の斜視図。
図13】第2実施形態の回転止め部材の変更例の斜視図。
図14】第1実施形態の水栓の変更例の部分断面図。
図15】(a)は第2実施形態の回転止め部材の変更例の斜視図、(b)は第2実施形態の吐水管と接続管と回転止め部材の変更例の部分斜視図。
図16】水栓の他の変更例の部分断面図。
図17】水栓のさらに他の変更例の部分断面図。
図18】従来技術の水栓の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を説明する。
図1、2に示すように、水栓10は、キッチンキャビネットのカウンタである壁部11に設置されている。水栓10は、壁部11の壁面11A上に立設した吐水管20と、吐水管20を壁部11に接続する接続管30とを備える。吐水管20は、先端側が下方を向くように屈曲している。吐水管20と接続管30の内部には、給水パイプ(図示省略)が挿通されている。吐水管20の先端側には、人の手を感知するセンサ(図示省略)が設けられている。このセンサが人の手を感知すると、弁機構(図示省略)が開状態となり、給水パイプを通過した水が吐水管20の先端から吐出される。
【0018】
図2に示すように、壁部11には、壁面11Aに対して垂直な方向に貫通する孔部11Bが設けられている。吐水管20は、接続管30を介して、壁部11の孔部11Bに取り付けられている。
【0019】
図3(a)に示すように、吐水管20の内周には、吐水管20の上流側端部21から下流側に延びる第1溝部22、及び第1溝部22の下流側端部から、吐水管20の周方向に延びる第2溝部23を有するL字溝24が設けられている。L字溝24は、吐水管20の周方向に等間隔に4個設けられている。
【0020】
図2に示すように、吐水管20の上流側端部21の端面は、上流側端部21の軸方向に垂直な面に対して傾斜した傾斜面21Aを有している。吐水管20が壁面11A上に立設した状態において、傾斜面21Aは壁部11の壁面11Aと略平行となっている。また、吐水管20の上流側端部21には、上流側端部21における壁部11の壁面11Aに接続される部分の外周を覆うとともに、その端部が壁面11Aに接触するスカート部25が設けられている。
【0021】
図2及び図3(a)に示すように、接続管30は、その一端側に設けられた直管状の本体部31と、その他端側に設けられた直管状の挿入部32とを備える。接続管30は、本体部31と挿入部32との境界部分Fで屈曲した「く」の字状に構成されている。
【0022】
本体部31は、壁部11の孔部11Bに挿入される部位であり、その長さが壁部11の厚さよりも長く、その直径rが孔部11Bの内径Rよりも若干小さくなるように形成されている。本体部31の外周の全体には、ねじ溝31Aが形成されており、本体部31は雄ねじとして構成されている。また、図2に示すように、接続管30の本体部31の軸方向は、傾斜面21Aの垂線Sに沿う方向となっている。
【0023】
挿入部32は、吐水管20の上流側端部21に挿入される部位であり、その直径が本体部31の直径rよりも一回り大きくなるように形成されている。挿入部32の外周には、凸部32Aが設けられている。凸部32Aは、挿入部32の周方向に等間隔に4個設けられている。
【0024】
図4(a)、(b)に示すように、挿入部32の周方向における凸部32Aの寸法Mは、吐水管20の周方向における第1溝部22の寸法mよりも若干小さく構成されている。挿入部32の軸方向における凸部32Aの寸法Hは、吐水管20の軸方向における第2溝部23の寸法hより若干小さく構成されている。すなわち、凸部32Aは、第1溝部22と第2溝部23の両方に挿入することができる寸法に構成されている。
【0025】
図2に示すように、水栓10は、壁部11の壁面11A側において、接続管30の本体部31のねじ溝31Aに螺合された状態で係合される回転止め部材40を備えている。
図5(a)、(b)に示すように、回転止め部材40は、中央に孔40Aを有する環状の円板で構成されている。孔40Aの内径Tは、接続管30の本体部31のねじ溝31Aに係合する大きさに構成されているため、本体部31のねじ溝31Aに係合させながら、回転止め部材40は取り付けられる。そして、図2に示すように、回転止め部材40は、円板の表面40Bが吐水管20の上流側端部21の傾斜面21Aに接触する位置に取り付けられる。
【0026】
図2に示すように、水栓10は、壁部11の裏面11C側において、接続管30の本体部31のねじ溝31Aに螺合された状態で係合される固定部材としてのナット12を備えている。
【0027】
次に、水栓10の組み付け方法について説明する。
図3(a)の矢印で示すように、接続管30の挿入部32に設けられた凸部32Aが、吐水管20の第1溝部22に挿入されるように、接続管30の挿入部32を吐水管20の上流側端部21に挿入する。
【0028】
次に、図3(b)に示すように、接続管30の挿入部32を矢印の方向である周方向一方側に回転させて、挿入部32の凸部32Aを吐水管20の第2溝部23に係止させる。このとき、吐水管20の上流側端部21の傾斜面21Aは、挿入部32の挿入方向に垂直な面に対して傾斜している。
【0029】
図4(c)、(d)に示すように、挿入部32の凸部32Aが第2溝部23に係止することにより、接続管30の挿入部32は、吐水管20に抜け止めされた状態となる。すなわち、挿入部32の凸部32Aは、吐水管20の上流側端部21に挿入して回転させることにより吐水管20に係止される抜け止め部として機能する。
【0030】
次に、図5(a)、(b)に示すように、吐水管20に接続管30が係止された状態で、接続管30の本体部31の外周に回転止め部材40を取り付ける。回転止め部材40は、孔40A内に本体部31を位置させた状態として、ねじ溝31Aに沿って回転させることにより本体部31に螺合されて挿入部32側へと移動する。そして、回転止め部材40の表面40Bが接続管30の挿入部32の端面に当接して、それ以上に回転できない位置となったところで位置決めされる。これにより、回転止め部材40は本体部31に取り付けられた状態となる。このとき、回転止め部材40の表面40Bは、吐水管20の上流側端部21の傾斜面21Aに接触した状態となる。
【0031】
図2に示すように、回転止め部材40を取り付けた接続管30の本体部31を壁部11の孔部11Bに挿入し、壁部11の裏面11Cから突出した本体部31のねじ溝31Aにナット12を回転操作により取り付ける。接続管30に取り付けられた回転止め部材40及びナット12によって壁部11が挟持されることにより、接続管30は壁部11に接続される。また、吐水管20が壁面11A上に立設した状態において、吐水管20の上流側端部21に設けられたスカート部25によって、回転止め部材40は隠された状態となる。
【0032】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図2に示すように、吐水管20に対する接続管30の挿入部32の回転軸Gと、接続管30に一体回転可能に取り付けられた環状の回転止め部材40の回転軸gとの向きが異なる状態で、回転止め部材40は、吐水管20の傾斜面21Aに接触している。回転軸Gは、接続管30の挿入部32を吐水管20に係止させる際の回転方向、すなわち挿入部32の凸部32AをL字溝24の第1溝部22から第2溝部23へ移動させる際の回転方向における軸線である。また、回転軸gは、接続管30の本体部31の軸線である。
【0033】
そのため、接続管30の本体部31にナット12を取り付ける際や、水栓に手や物が触れた際に、本体部31等に作用した回転力によって、接続管30の挿入部32と吐水管20とが相対回転しようとしても、吐水管20の傾斜面21Aと回転止め部材40とが干渉することにより吐水管20と接続管30の相対回転が抑制される。
【0034】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)水栓10の取付け作業時等に作業者の体の一部が触れて接続管30が回転しても、接続管30に取り付けられた環状の回転止め部材40が、吐水管20の上流側端部21の傾斜面21Aに接触することによって吐水管20と接続管30の相対回転を抑制することができる。したがって、吐水管20と接続管30の相対回転によって吐水管20が接続管30から外れることを抑制することができる。
【0035】
(2)接続管30は、本体部31と挿入部32との境界部分Fで屈曲することにより、くの字状に構成され、本体部31の軸方向は、傾斜面21Aの垂線Sに沿う方向である。したがって、壁部11の孔部11Bに挿入された接続管30の本体部31の回転軸(回転軸gと同じ)と、吐水管20の上流側端部21に挿入された接続管30の挿入部32の回転軸Gとが異なる向きとなるため、吐水管20と接続管30の相対回転をより効果的に抑制することができる。
【0036】
(3)環状の回転止め部材40は、本体部31に形成されたねじ溝31Aに係合した状態で接続管30に取り付けられている。これにより、環状の回転止め部材40を、接続管30の本体部31のねじ溝31Aに係合させながら、吐水管20の上流側端部の傾斜面21Aに接触する位置に取り付けることができる。したがって、回転止め部材40が、所定の位置に効率良く取り付けられたものとなる。
【0037】
(4)接続管30の本体部31は、回転操作により壁部11に接続されている。この回転操作の際に、吐水管20が接続管30から外れる方向に力が加わっても、環状の回転止め部材40によって吐水管20と接続管30の相対回転を抑制することができる。
【0038】
(5)吐水管20は、回転止め部材40の周囲を覆うスカート部25を有する。したがって、吐水管20が壁部11に接続された構成において、回転止め部材40をスカート部25で隠すことができる。したがって、水栓10の外観を向上させることができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態は、回転止め部材40の構成において、第1実施形態と異なっている。
【0040】
図6(a)に示すように、回転止め部材40は、中央に楕円形の孔40Aを有する環状の円板からなる環状部40Dを備えている。環状部40Dの表面40Bには、楕円形の孔40Aの短軸方向において楕円形の孔40Aを挟んで対向する位置に、同じ方向に傾斜して突出する2個の挿入片部41が設けられている。
【0041】
挿入片部41の幅方向の寸法Nは、吐水管の周方向における第1溝部22の寸法mよりも若干小さく構成されている。また、挿入片部41の長さPは、図4(b)に示す第1溝部22における第2溝部23との境界部分Kに達する長さを有している。また、円板の表面40Bに対する挿入片部41の傾斜角度αは、吐水管20の上流側端部21における傾斜面21Aに対する接続管30の挿入部32の挿入方向の角度β(図2参照)に等しくなるように構成されている。孔40Aの短軸方向の内径Tは、接続管30の本体部31の直径rよりも大きく構成されている。すなわち、回転止め部材40の孔40Aは、接続管30の本体部31に干渉することなく、本体部31を挿通させることができるように構成されている。
【0042】
図6(b)に示すように、回転止め部材40は、その内周に接続管30の本体部31を挿通させながら、回転止め部材40を吐水管20側に移動させることにより、吐水管20に取り付けられる。このとき、回転止め部材40の2個の挿入片部41は、吐水管20に設けられた4個の第1溝部22の内、対応する位置に設けられた2個に挿入される。回転止め部材40の孔40Aが楕円形であることにより、接続管30の本体部31に回転止め部材40を干渉させることなく、回転止め部材40の向きを調整して挿入片部41を第1溝部22にスムーズに挿入することができる。
【0043】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図7(a)、(b)に示すように、接続管30の挿入部32の凸部32Aが、吐水管20の第2溝部23に係止した状態で、第1溝部22に回転止め部材40の挿入片部41が挿入される。挿入片部41が、第1溝部22における第2溝部23との境界部分Kに達しているため、第2溝部23に係止した凸部32Aが第1溝部22側へ移動することが規制される。よって、吐水管20と接続管30の挿入部32との相対回転が抑制される。
【0044】
次に、本実施形態の効果について説明する。
第2実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(6)第1溝部22に挿入されて、第2溝部23に係合した凸部32Aの第1溝部22側への移動を規制することで吐水管20と接続管30との相対回転を規制する環状の回転止め部材40を備える。これにより、水栓10の取付け作業時等に作業者の体の一部が触れて接続管30が回転しても、第1溝部22に挿入された挿入片部41が、第2溝部23に係合した凸部32Aの第1溝部22側への移動を規制することにより、吐水管20と接続管30の相対回転を抑制することができる。したがって、吐水管20と接続管30の相対回転によって吐水管20が接続管30から外れることを抑制することができる。
【0045】
第1及び第2実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。また、上記実施形態の構成や以下の変更例に示す構成を適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0046】
・接続管30の材質は特に限定されず、金属製でも樹脂製でもよい。接続管30が樹脂製であると、水栓10を軽量化することができるため好ましい。接続管30が樹脂製であると、強度が低いため従来構成により相対回転を規制することが難しい。よって、本実施形態の構成により相対回転を好適に抑制することができる。吐水管20の材質も特に限定されないが、吐水管20が樹脂製であると水栓10を軽量化することができるため好ましい。
【0047】
・水栓10は水を流通させるものに限定されない。湯や、水と湯の混合水を流通させるものであってもよい。
・吐水管20は先端側が屈曲した態様に限定されない。屈曲せずに直線状であってもよいし、先端側が湾曲した構成であってもよい。
【0048】
・吐水管20と接続管30は、その内部に給水パイプを挿通する態様に限定されない。例えば、吐水管20と接続管30の間に、水密性を確保するためにOリングを嵌め込み、吐水管20と接続管30の内部を直接、水が通過するように構成してもよい。
【0049】
・接続管30の本体部31を壁部11に接続させる態様としては、ナット12を用いる態様に限定されない。例えば、図8に示すように、壁部11の裏面11C側において、接続管30の本体部31に給水管13を回転操作で直接取り付けることにより、接続管30を壁部11に接続させてもよい。また、図9に示すように、孔部11Bにねじ溝11Dを形成することにより、ねじ溝11Dに接続管30の本体部31に形成されたねじ溝31Aを回転操作により螺合させた状態で係合させてもよい。
【0050】
・第1実施形態では、抜け止め部の構成として、吐水管20のL字溝24に接続管30の挿入部32の凸部32Aを係止させていたが、この構成に限定されない。例えば、図10に示すように、吐水管20の内周にねじ溝26を形成し、同じく接続管30の挿入部32の外周に形成したねじ溝32Bと螺合させることによって、接続管30の挿入部32が、吐水管20から抜け止めされた状態としてもよい。
【0051】
・回転止め部材40は、環状の円板で構成されたものに限定されない。例えば、図11に示すように、環状の多角形の板材42で構成されていてもよい。また、図12に示すように、円板の表面40Bに突起40Cが設けられていてもよい。すなわち、回転止め部材40は、板材42の表面42Bが吐水管20の上流側端部21の傾斜面21Aに面接触するように構成されていてもよい。また、円板の表面40Bに設けられた突起40Cが、吐水管20の上流側端部21の傾斜面21Aに線接触もしくは点接触するように構成されていてもよい。
【0052】
・第2実施形態において、回転止め部材40は環状部40Dを有するものに限定されない。例えば、図13に示すように、挿入片部41が1個形成された回転止め部材43を複数組み合わせて用いてもよい。また、挿入片部41のみからなる回転止め部材40であってもよい。
【0053】
・L字溝24の数は4個に限定されない。吐水管20の内周に1〜3個形成されていてもよいし、5個以上形成されていてもよい。接続管30の挿入部32に形成された凸部32Aも同様である。また、L字溝24及び凸部32Aの形成間隔を変更してもよい。
【0054】
・L字溝24における第1溝部22と第2溝部23の各形状は、直線状に限定されず、曲線状に構成されていてもよい。
・第1実施形態において、本体部31と挿入部32が同軸上に位置する直線状の接続管30としてもよい。
【0055】
例えば、図14に示すように、接続管30の本体部31の外周に対して、端部側に位置するとともに、本体部31の軸方向に沿った軸線回りのねじ溝31Aと、挿入部32側に位置するとともに、本体部31の軸方向に対して傾斜した軸線回りのねじ溝31Bを設ける。そして、回転止め部材40をねじ溝31Bに螺合させて取り付ける。これにより、直線状の接続管30とした場合にも、吐水管20の上流側端部21の傾斜面21Aに回転止め部材40を接触させることができる。
【0056】
この場合、ねじ溝31Aの外径をねじ溝31Bの谷の径よりも小さく構成することが好ましい。これにより、回転止め部材40を、本体部31のねじ溝31Aには螺合させることなく、ねじ溝31Bに螺合させた状態で係合させることができる。
【0057】
・第2実施形態において、本体部31と挿入部32が同軸上に位置する直線状の接続管30としてもよい。
例えば、図15(a)、(b)に示すように、円板の表面40Bから垂直に突出する挿入片部41が設けられた回転止め部材40を用い、挿入片部41を吐水管20に設けられた第1溝部22に挿入するように構成してもよい。
【0058】
図16に示すように、吐水管20がスカート部25を備えていない構成であってもよい。また、スカート部25は、外観形状が末広がり状でなくてもよい。例えば、図17に示すように、回転止め部材40の外径を吐水管20の外径よりも小さくし、吐水管20の上流側端部21の周壁27に回転止め部材40が入り込むことによって、回転止め部材40が隠される構成であってもよい。この場合、上流側端部21が傾斜面21Aとなり、周壁27がスカート部25となる。
【0059】
・接続管30の本体部31の軸方向は、吐水管20の上流側端部21の傾斜面21Aの垂線に沿っていない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
10…水栓、11…壁部、11B…孔部、20…吐水管、21…吐水管の上流側端部、21A…傾斜面、30…接続管、31…本体部、32…挿入部、40…回転止め部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図11
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