(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のコネクタ(CE1)は、絶縁層(Is)上に配置されるとともに前記ナノチューブまたはナノワイヤ素子の第1の端(E1)へ結合されたほぼ平面なコンタクト素子(C1)を含む、請求項1または2に記載の真空電子管。
前記陰極は、前記ナノチューブまたはナノワイヤ素子へ第2の電位(V2)を印加することができるように少なくとも1つのナノチューブまたはナノワイヤ素子(NT)へ電気的に結合された第2の電気コネクタ(CE2)を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の真空電子管。
前記第1および第2のコネクタ(CE1,CE2)はそれぞれ、絶縁層上に配置されるとともにそれぞれ前記ナノチューブまたはナノワイヤ素子の第1の端(E1)と第2の端(E2)とへ結合された第1のほぼ平面なコンタクト素子(C1)と第2のほぼ平面なコンタクト素子(C2)とを含む、請求項6に記載の真空電子管。
前記陰極はさらに、光生成により前記ナノワイヤまたはナノチューブ素子内に自由キャリヤを生成するように前記ナノチューブまたはナノワイヤ素子を照射するように構成された光源を含む、請求項14に記載の真空電子管。
【背景技術】
【0002】
真空電子管の構造は
図1に示すように知られている。電子放射陰極Cathおよび陽極Aは真空槽E内に配置される。電位差V0(通常10kV〜500kV)が真空槽内部に電界E0を生成するために陽極Aと陰極Cath間に印加され、陰極からの電子の抽出およびその加速が「電子銃」を生成できるようにする。電子は電界E0の影響下で陽極へ引き寄せられる。陽極により生成される電界は以下の3つの機能を有する:
− 陰極からの(冷陰極の)電子の抽出、
− 電子が真空電子管内で使用されるように電子に軌道を与えること。例えば、TWTでは、電界が電子ビームを相互作用インペラ内に注入することを可能にする、
− 真空電子管の必要性のために電圧勾配を介し電子へエネルギーを与えること。例えば、X線管では、電子のエネルギーがX線放射スペクトルを制御する。
【0003】
TWTは、電子ビームが金属インペラ内で移行する管である。RF波が、電子ビームと相互作用するためにこのインペラ内に誘導される。この相互作用は、電子ビームと増幅されるRF波との間のエネルギー伝達を生じる。したがって、TWTは、例えば通信衛星内に見られる高出力増幅器である。
【0004】
X線管では、一実施形態によると、電子は陽極への衝撃によりブレーキがかけられ、これらの減速された電子が電磁波を放射する。電子の初期エネルギーが十分に強ければ(少なくとも1keV)、関連放射はX線の範囲内である。別の実施態様によれば、エネルギー電子はターゲット(陽極)の原子の内核電子と相互作用する。誘起された電子再組織化は特徴的エネルギーの光子の放射を伴う。
【0005】
したがって、陰極により放射された電子は外部電界E0によりX線管のターゲット/陽極(通常タングステンで作られる)方向にまたはTWTの相互作用インペラへのいずれかへ加速される。
【0006】
電子の(準)連続的放射を生成するために、以下の2つの技術が採用される:(i)冷陰極および(ii)熱イオン陰極。
【0007】
冷陰極は電界放射による電位放射に基づき、材料へ印可される強電界(数V/nm)は、電子がトンネル効果により真空へ移行することを可能にするのに十分であるエネルギー障壁の湾曲を可能にする。このような強電界を巨視的に得ることは不可能である。
【0008】
垂直ティップを有する陰極はティップ効果と組み合わせた電界放射を利用する。このため、非常に広く使用されており文献において開発された幾何学形状は、
図2に示すように基板上に垂直ティップP(強いアスペクト比を有する)を生成することにその本質がある。ティップ効果により、エミッタのティップの電界は求める程度のものであり得る。この電界は、一様電界においてティップにより表される静電気外乱により生成される。この構成では、一様な外部電界E0が印加される。エミッタのティップにおける電界レベルとしたがって対応する放射電流レベルとを制御することを可能にするのはこの電界の変動である。
【0009】
Spindtティップと呼ばれる第1のゲート型陰極は1970年代に開発されており、
図3に示す。それらの原理は制御ゲート25により囲まれた導電性ティップ20の使用に基づく。通常、頂点はゲートの面上にある。ティップの頂点における電界レベル(したがって放射される電流)を変調することを可能にするのはティップとゲート間の電位差である。これらの構造は、ティップ/ゲートアラインメントに対するそれらの極高感度と2つの素子間の電気的絶縁の問題とで知られている。
【0010】
最近になって、ティップエミッタが、基板に対し直角で垂直方向に配置されたカーボンナノチューブすなわちCNTによって生成された。
【0011】
カーボンナノチューブCNTを有するゲート型陰極はまた、例えば欧州特許出願公開第2015/08099号(PCT2015/08099号)明細書に記載されており、
図4に示す。ゲートGは各VACNT(「垂直アライメントCNT」の意味)の周囲に配置される。
【0012】
電界放射は通常金属である材料の表面上の電界から生じる。次に、この電界は、印加される電位電界の勾配に直接関連付けられる。
【0013】
従来の陰極(無ゲート)では、電位電界は、外部電界の影響とナノチューブの電位だけからの影響との組み合わせから生じる。次に、これらの2つは関連付けられる。
【0014】
「ゲート」型の陰極では、ナノチューブのレベルにおける電位電界は、外部電界の影響の組み合わせから、ナノチューブの電位から(前と同様に)、そしてまた、他の2つと独立であるゲートにより誘起される電位から生じる。したがって、本システム内に導入されるこの新しい電極と共に働くことにより電位放射レベルを修正することが可能である。
【0015】
一般的に、各エミッタに関連する電界増幅率はその高さとそのティップの曲率半径とに強く関連付けられる。これら2つのパラメータの分散が増幅率分散を誘起する。次に、トンネル効果はこの増幅率に関わる指数法則である。一団のエミッタを考慮すると、一部だけ(1%以下程度で比較的低い可能性がある)が電位放射に実際に関与する。ターゲット全電流に関し、これは、実際のエミッタが比較的高い電流を放射することができることを必要とする(すべてのエミッタにわたって一様でありかつ一様に分散されるだろう放射と比較して)。
【0016】
ティップ形式のこれらのエミッタの生成は次のようになされる:
− エッチングにより(例えば:シリコンのティップ)または直接成長により(例:CNT)のいずれかで基板上に直接。これらの2つの方法は基板に対し直角なティップの優先配向を可能にする必要がある。
− または取り付けにより:ナノ材料の合成(ナノチューブ/ナノワイヤ形式の)そして次に基板上へ取り付ける。基板に対し直角に配向する工程も必要である。
【0017】
基板上への直接生成では、文献において著しい半径/高さ分散が知られている。加えて、基板上に成長されたCNTの特定のケースでは、基板に対し直角の配向は制御されるが、材料の品質はCVD成長により得られるCNT材料より著しく低い。高さ分散を低減する一手段はカプセル化材料に対して研磨を行うことである。この欠点は研磨された材料が関連放射性能レベルを下げる欠陥があるということである。
【0018】
材料成長そして次に基板への取り付けの場合、基板に対し直角の配向を得ることは複雑である(局所化されない、実際の高さが制御されないなど)。
【0019】
文献から知られたナノワイヤに基づく平面幾何学形状(基板に対し直角に配向される物体は無い)を有する陰極は依然としてティップ効果に基づく。しかし、基板に対し直角でないように配向を軽減するために、エミッタを有する電極に対する対向電極が基板内に取り込まれる。第1の例を
図5に示す。Ppティップ型およびZnOナノワイヤ型のエミッタが基板と平行である。その端の一方が電極(陰極Cath)へ接続され、対向電極(陽極A)が、垂直構造の場合の均一電界E0の等価物を生成できるようにする。放射は依然としてティップの頂点に出現する。電子ビームはエミッタから陽極へ伝播される。他のどこかで使用するためにビームを偏向させる(特には、ビームを従来の電子管内に注入する)ことは可能であるが困難である。ゲートGとドープポリシリコンのティップPpとを含む同じ原理による別の具体例動作を
図6に示す。
【0020】
真空管の場合、目的は陰極から「遠い」電子ビームを利用することである。平面構造の場合、陽極は放射素子に直接隣接しており(印加される電圧を制限するために)、このことは、ビームが陽極により捕えられる前に極短距離を移動するということを意味する。したがって、ビームは真空管内でさらに離れて使用され得ない。
【0021】
熱イオン陰極は電子を放射するために熱イオン効果を利用する。この効果は加熱により電子を放射することにその本質がある。このため、フィラメントの両端に配置された2つの電極にバイアスがかけられる。両端間の電位差の印加がフィラメント内に電流を生成し、フィラメントはジュール効果により熱くなる。ある温度(典型的には摂氏1,000度)に達すると、電子が放射される。実際には、加熱は単に、いくつかの電子が金属真空障壁より大きな熱エネルギーを有し得るようにし、したがってこれら電子は真空管方向へ自然に抽出される。
【0022】
材料の加熱を保証するために真下に配置された電気フィラメントを有するパッド形式(1ミリメートル程度)の陰極(次に電子を放射することになる)が存在する。
【0023】
熱イオン陰極が、比較的中位の真空(例えば10
−6mbr)において長期間にわたり高電流を供給できるようにする。しかし、それらの放射は急速に(例えば1GHzの数分の1程度で)切り替わるのが困難であり、ソースの寸法は固定されており、それらの温度は取り込まれる真空管のコンパクト性を制限する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
真空管は本明細書では平面幾何学形状に従って配置されたナノチューブまたはナノワイヤ素子に基づき提案されるが、従来技術のすべては真空管陰極を生成するためにナノチューブ/ナノワイヤ陰極の形式に関連するティップ効果を常に利用しようと努力してきた。
【0045】
本発明による真空電子管70を
図7に示す。
図7は本装置の陰極Cのプロファイル図と斜視図とを説明する。本発明による真空電子管は通常はX線管またはTWTである。
【0046】
真空電子管70は真空槽E内に配置された少なくとも1つの電子放射陰極Cと少なくとも1つの陽極Aとを含む。本発明の特定の特徴は陰極のオリジナル構造であり、真空電子管70の残りは従来技術に従って寸法決めされている。
【0047】
真空電子管70の少なくとも1つの陰極Cは、導電材料(すなわち金属と同様な電気的振る舞いを呈示する材料)を含む基板Sbを含む平面構造と、基板から電気的に絶縁された複数のナノチューブまたはナノワイヤ素子NTとを有する。
【0048】
図7に示す一実施形態によると、絶縁は基板上に蒸着された絶縁層Isで作製され、ナノチューブまたはナノワイヤ素子NTは絶縁層Is上に配置される。
図7に示すように平面構造はナノチューブまたはナノワイヤ素子の長手軸が絶縁層の面にほぼ平行であることを意味するものと理解すべきである。
【0049】
ナノチューブおよびナノワイヤは当業者に知られている。ナノチューブおよびナノワイヤはその直径が100ナノメートル未満でありその長さが1〜数十マイクロメートルである素子である。ナノチューブはほとんど中空の構造であるがナノワイヤは固体構造体である。2つのタイプのナノ素子は全体的にNTと呼ばれ、本発明による真空管の陰極と互換性がある。
【0050】
通常、基板は、ドープシリコン、ドープシリコンカーバイドまたは陰極の製作と互換性のある任意の他の導電材料のものである。陰極はさらに、第1の電位を素子NTへ印加することができるように少なくとも1つのナノチューブまたはナノワイヤ素子へ電気的に結合された少なくとも1つの第1のコネクタCE1を含む。したがって、第1のコネクタCE1は素子NTへの電気的アクセスを可能にする。製作技術の複雑性のために、陰極の素子NTは必ずしもすべてが接続される必要はない。以下では、我々は、コネクタCE1へ実際に電気的に結合された素子NTだけに焦点を合わせることになる。
【0051】
平面構造のために、動作中の陰極Cの(接続された)素子NTがその表面Sから電子を放射する。電子の放射を引き起こす物理的効果に従ってそれぞれが本発明による陰極Cの特定の構成を誘起する2つの変形形態が存在する。第1の変形形態はトンネル効果に基づき、第2の変形形態は熱イオン効果に基づき、2つの変形形態は合成されることができ、電子放射の増加を可能にする。これらの2つの変形形態については後で詳細に説明する。
【0052】
素子NTの平面構造は無数の利点を提供する。素子NTの平面構造は、2つの上述の効果の別々または一緒の使用と両立する
図7に示す一般的装置を生成することを可能にする。
【0053】
さらに、本発明による素子NTの製作は、既知の技術的ビルディングブロックで行われており、垂直方向カーボンナノチューブのケースと同様にPECVD(プラズマDC)型の成長を必要としなく、これにより、使用され得る材料および可能な設計に関する制約を著しく和らげる。(PECVD成長と現在両立しない)表面絶縁を生成することが特に可能であり、現在の「ゲート型陰極」設計と比較してより高いレベルの頑強性を得ることを可能にする。
【0054】
素子NTは、プレート上にその場(in−situ)成長方法(例えば、触媒局在化方法)により、または取り付けによるその場外(ex−situ)成長方法により生成され得る。2つの方法は以下の利点と欠点とを有する:
その場成長:ナノワイヤ/ナノチューブの取り付け、可能な局所化の必要性が無い。しかし、この方法はより制限され、事が終わった後にナノワイヤ/ナノチューブを選択するのは困難である。
その場外成長:その場成長よりはるかに大きな一群の成長方法を利用できる。この手法は、材料必要性に対する本方法の実施および適応化のより大きな柔軟性を提供する。さらに、電界放射のパラメータを低減するために同様な直径のナノ材料を選択することが可能である。材料品質制御もまた単純化される。最後に、広範囲の材料の商業的入手性が有利な設計柔軟性を提供する。しかし、この方法は、2つのナノワイヤ/ナノチューブを取り付ける工程と、2つのナノワイヤ/ナノチューブ間の標的間隔Wを保証するための密度を制御する工程とを必要とする欠点を提示する。
【0055】
エッチングによる基板上の水平方向ナノワイヤの生成は、マイクロエレクトロニクスの要件に関し広く研究されたテーマである。サイズ縮小およびサイズ分散の概念は特にこれらの研究の焦点である。この問題に対処するためのいくつかの戦略(光リソグラフィDUV/EUV;電子線リトグラフィ;「スペーサリソグラフィ」など)が成功裡に開発されてきた。本発明によるこれらのナノワイヤ/ナノチューブの生成は、そのゲートが今日では工業規模上10nm程度の寸法を実現するCMOS技術におけるゲート生成と非常に良く似ているということに注意すべきである。
【0056】
優先的に、より良好な動作のために、ナノチューブまたはナノワイヤ素子NTは互いにほぼ平行であり、各素子間の平均距離Wが制御される。絶縁の厚さ程度の素子NT間の平均距離が好ましい。平行アラインメントは、より優れた集積化コンパクト性としたがって表面領域単位当たり能動エミッタの数とを保証し、この構造により放射される電流を増加する可能性がある。
【0057】
図7−1に示す好適な実施形態によると、第1のコネクタCE1は、絶縁層Is内に配置されるとともに素子NTの第1の端E1へ結合されたほぼ平面なコンタクト素子C1を含む。コネクタCE1の製作は単純化される。コンタクト素子C1は通常は金属であり、マイクロエレクトロニクスにおいて標準的な材料(アルミニウム、チタン、金、タングステンなど)で作られる。
【0058】
図7−1にも示される一実施形態によると、基板からのナノ素子NTの絶縁は真空により行われる。
【0059】
通常、ナノチューブの製作に利用される絶縁層Is(犠牲層)はナノチューブ部分の下で除去され、これらのナノチューブは次に平面コンタクトC1により基板へ係留され、その一部は絶縁層Isにより基板から絶縁される。したがって、この変形形態では、絶縁は、平面コンタクトC1に対しては物理的犠牲層により、および素子NTに対しては真空Vacにより得られる。
【0060】
したがって、最早いかなるNT/絶縁/真空界面も存在しないがNT/真空界面だけが存在する。NTの断熱性が増加される。さらに、放射面は増加され、その下半面は放射される電流に関与することができる(この下半面により放射された電子を外部電界E0が回収できるようにするという保証を前提として)。
【0061】
図8に示す第1の好ましい変形形態によると、陰極はトンネル効果によりその表面Sを介し電子を放射するように構成される。
【0062】
このため、真空管70の陰極Cは、電圧V1でバイアスされた第1のコネクタCE1と基板Sbとへ結合された第1の制御手段MC1であって基板とナノチューブ素子間にバイアス電圧V
NWを印加するように構成された第1の制御手段MC1を含む。V
Sbが基板の電位であれば:
V
NW=V1−V
sb
【0063】
電界放射を得るためには、電位差V
NWが負であることが必須である。基板は例えばアースへ結合され得る。
【0064】
CE1を介した素子NTとの前面コンタクトは実際には導電基板Sbから電気的に絶縁される。
【0065】
良好な絶縁のためには、100nm〜10μmの厚さhを有する「厚い」絶縁層Isが好ましい。
【0066】
したがって、バイアス電圧V
NWが素子NTと基板間に設定される。このバイアス電圧と外部の巨視的電界E0とは組合せて素子NT上に表面電界E
Sを誘起する。実際には、
図9に示すように、ナノ素子/絶縁/基板系はナノチューブの小さな表面S上に集中された多数の負電荷の生成を可能にするキャパシタを形成し、この負電荷の生成により素子NTの面上に強電界E
S(Sの近傍で極密集した力線90により表される)を生成する。第1の例では、電界Esは素子NTの半径rに反比例する。
【0067】
印加される外部の巨視的電界E0は真空電子管のニーズに(特には、放射された電子をチューブ内に向けるために)基本的に必要であるということに注意すべきである。
【0068】
電子の抽出はトンネル効果により行われ、電子は全方向に放射状に放射される。外部電界E0は、
図10に示すように、基板に対し全体的には直角である軌道100を電子に取らせ、電子を加速する。外部電界E0は本明細書では抽出に極わずかに寄与する(後の説明を参照)。
【0069】
優先的には基板VACNTに対し直角であるエミッタ1Dを有する従来の手法と比較し、VACNTの高さ/半径、絶縁の厚さにより設定される高さh、および平面ナノワイヤ/ナノチューブNTの半径間には類似点がある。したがって、エミッタ1Dおよび背景技術章で説明した製作におけるこれら2つのパラメータの分散の問題と比較して、本発明は以下の利点を提供する。
【0070】
エミッタの高さに関し、水平方向エミッタ素子NTはすべて、従来の手法(5〜10μmの典型的高さに対して垂直方向ナノチューブ上で通常は+/−1μm)と違って全く同じ高さhを有し、このパラメータの分散の問題を事実上著しく低減し、分散の問題は従来のマイクロエレクトロニクス手段により生成される均一絶縁層Isの使用により極めて簡単に解決される。
【0071】
ナノチューブ半径に関して、低い半径分散を呈示するナノワイヤ/ナノチューブを生成するためにさらに既知の方法を適用することが可能である。さらに、このように生成されるナノ材料は、半径要因の分散(基板上の成長を考えれば不可能な事項)を可能な限り低減する様々な方法により選択され得る。+/−2nmの半径分散が通常は達成可能である(VACNTの+/−20nmと比較して)。
【0072】
したがって、従来技術による陰極では、垂直方向ナノチューブの高さおよび半径の分散のために、エミッタ毎に強電流(破壊の確率が大きい)を誘起する電子を効果的に放射するナノチューブはほとんど無い。
【0073】
本発明による陰極Cでは、より小さな分散のために、エミッタ当たりの電流はより小さく、したがって陰極はより頑強である。
【0074】
さらに、陰極Cは、バイアス電圧V
NWが低いまたは零である場合に電界効果を無視してよいようにされる。すなわち、真空管70は医療X線管用途において求められる信頼性の要素である「通常オフ」モードで動作する。
【0075】
1D型のエミッタと比較して、本発明による平面ナノ素子のティップ効果は2次元で生成され、したがって、可能な電位放射面は著しく大きいということにも注意すべきである。実際には、1Dマイクロティップに関し表面は約r
2程度であり、一方、平面ナノチューブに関し、同様なエミッタ密度に対して表面はL×r程度である(Lはナノワイヤの長さ、rはナノワイヤの半径)。放射面のこの利得は強い全体電流を標的とするには有利である。
【0076】
ティップ効果およびトンネル効果による抽出を得るために、優先的に、ナノチューブまたはナノワイヤ素子NTは1nm〜100nmの半径rを有する。
【0077】
ナノチューブ/ナノワイヤ素子NTの電界効果(トンネル効果)による放射を得るために、表面電界Esは0.5V/nm〜5V/nmであるべきである。この範囲の値が次の関係式を介し陰極の寸法決めを調節する:
【数1】
ここで、Esはナノチューブの表面における電界、E0は印加される外部電界、V
NWはバイアス電圧、hは高さ、ε
rはNTの下に存在する絶縁層の比誘電率、rはナノチューブ/ナノワイヤNTの半径。
【0078】
第1項は純粋に幾何学的であり、典型的には10〜100の値である。
【0079】
バイアス電圧V
NWは通常は100V〜1,000Vである。
【0080】
通常、E0は0.01V/nm程度であり、項V
NW/(h/ε
r)は0.1V/nm程度である。項V
NW/(h/ε
r)はE0より大きく、電界Esの取得に第一に寄与するのはこの第1項である。E0が電子の抽出に使用されないということ、換言すると電子の生成/抽出(V
NWを介した)と加速(E0を介した)間には独立性があるということはX線管の大きな利点である。
【0081】
従来技術によると、電界E0が変化すると放射電流が変化する。
【0082】
本発明による陰極では、放射電流の値を調節するのはバイアス電圧であり、外部電界E0ではないまたはほんの少しの外部電界E0である。したがって、本発明によるX線管では、様々なエネルギーに対し同一である放射電流により画像を生成することが可能である。
【0083】
したがって、数ボルト/nmの典型的トンネル効果電界がナノワイヤ/ナノチューブNTの表面S上で得られる。
【0084】
以下の他の設計規則が電位放射を改善できるようにする:
− 通常、2つのエミッタNT間の距離Wはh/2以上である。
− 通常、h/rは100以上であり、例えば、h=1〜5μm、およびr=2〜10nm。
− 通常、上部コンタクトと基板間の受容可能なバイアスは少なくともE0×h/ε
r(すなわち数十ボルト)程度である。
【0085】
図11に示す好ましい変形形態によると、陰極Cは、第2の電位V2をナノ素子へ印加することができるように少なくとも1つのナノチューブまたはナノワイヤ素子NTへ電気的に結合された第2の電気コネクタCE2を含む。したがって、より多くのナノチューブの良好な接続が保証される。
【0086】
有利には、陰極は、本発明による陰極を熱イオン効果の使用と両立させるために、第1のコネクタCE1と第2のコネクタCE2とへ同時に結合された少なくとも1つの素子NTを含む(後の説明を参照)。
【0087】
この構成では、様々な電位がナノ素子の両端に印加されるが、これは、導電基板と共に、ナノ素子と同基板間の絶縁の存在だけにより可能である。
【0088】
優先的に、製作を簡単にするために、陰極Cは、同じ第1のコネクタおよび/または同じ第2のコネクタへ接続されるいくつかのナノチューブまたはナノワイヤ素子NTを含む。
【0089】
優先的に、コネクタCE2は、
図12に示すように、絶縁層Is上に配置され素子NTの第2の端E2へ結合された平面コンタクト素子C2を含む(通常、マイクロエレクトロニクスにおいて標準的な材料の金属:アルミニウム、チタン、金、タングステンなど)。
【0090】
したがって、絶縁上で、一連の電気的コンタクト素子が互いに結合される。コンタクトは優先的には局所的に平行であり距離Lで配置される。電極間には、それらの端の少なくとも1つが電気的コンタクトの1つに接続されるようにナノワイヤ/ナノチューブNTが存在する。2つのナノワイヤ/ナノチューブ間の特徴距離はWで表される。
【0091】
図12は基板上に蒸着された物理的絶縁層Isを有する実施形態に対応する。
図12−1は層Isがナノチューブの下で除去された実施形態を示し、
図7−1にも示すのは、ナノチューブNTの下に存在する真空により生成されるナノチューブの絶縁である。
【0092】
トンネル効果だけにより電子を放射する
図12または12−1の構造を有する本発明による陰極Cに関して、
図13に示すようにコネクタCE1とCE2とを結合することが好適である。この場合、両電位は等しい:
V1=V2。
【0093】
放射制御のために、優先的に、素子NT間の距離Wはほぼ一定であり制御される。実際には、絶縁厚さ程度である平均距離を守ることが好ましく、距離Wの値の不変性は理想ケースである。これにより、単位表面積当たりの実効エミッタの数を最大化するしたがって関連放射電流を増加することが可能になる。エミッタは、関連放射電流を最大化し陰極の寿命/頑強性を増加するのと同じやり方で要求される。
【0094】
このような幾何学形状により、50,000〜100,000/mm
2の密度(前面上のコンタクト中継子の集積化に起因する1未満の「充填率」)が得られる。各素子NTは7,000nm
2程度の放射面を有する(半面Sの有効放射)。エミッタ当たり定格放射電流(200nA程度)はナノワイヤ/ナノチューブにより受容可能である。
【0095】
別の変形形態によると、本発明による陰極Cは素子NTを加熱することによる熱イオン効果により電子を放射する。したがって、陰極Cはナノチューブまたはナノワイヤ素子NTを加熱するための手段をさらに含む。このため、素子NTを特別に寸法決めすることは必要でなく、絶縁層Isの高さhまたは素子NTの半径rに関する制約は無い。この場合、低仕事関数を有する材料(タングステンまたはモリブデンなど)をナノ素子に使用するのが好適である。
【0096】
ナノチューブ/ナノワイヤを加熱するための好ましい手段が電流をナノチューブ/ナノワイヤ内に流す。このため、少なくとも1つのナノチューブまたはナノワイヤ素子NTが第1のコネクタCE1と第2のコネクタCE2とへ同時に結合されなければならない。
【0097】
図14の一実施形態によると、発熱手段は、第1の電位V1と第2の電位V2とを介しナノチューブまたはナノワイヤ素子NTへ加熱電圧Vchを印加するように構成された第2の制御手段MC2を含む。
【0098】
次式が適用される:Vch=V1−V2
【0099】
したがって、電流Iがナノチューブ/ナノワイヤ素子NT内に生成される。2つのコネクタCE1およびCE2は電流が循環できるようにするためにナノチューブ上で十分に空間的に分離されなければならない。
【0100】
熱イオン効果だけが使用される本発明の変形形態(バイアス電圧V
NWまたは特定寸法決めが無い)では、素子NTを加熱温度(摂氏1,000°以上)まで加熱することが好ましい。
【0101】
熱イオン効果がトンネル効果と組み合わされる/トンネル効果を補間する場合(後の説明を参照)、摂氏600°より高い加熱温度が十分である。
【0102】
優先的に、加熱電圧Vchは0.1V〜10Vである。
【0103】
したがって、本発明に従って構成された陰極は、第1のコネクタCE1へ結合された少なくとも1つの制御手段(MC1および/またはMC2)であって陰極がその表面Sから電子を放射するように電位差を印加するように構成された制御手段を含む。電位差は次のものへ印加される:
− 第1の制御手段MC1:トンネル効果による電子放射のために素子NT(CE1を介したV1)と基板Sb(基板の電位V
Sb)間(バイアス電圧V
NW=V1−V
Sb)、
− 第2の制御手段MC2:熱イオン効果による放射のために素子NT自体(CE1を介しV1およびCE2を介しV2)へ(加熱電圧Vch=V1−V2)。
【0104】
バイアス電圧および加熱電圧は2つの効果からの恩恵を受けるために同時に印加されることができる。
【0105】
図15は、熱イオン効果により電子を放射するように構成され
図12および
図12−1で説明したものと同じ性質の平面コンタクトC1およびC2に基づく本発明による陰極Cを示す。CE1およびCE2を介し(それぞれコンタクトC1およびC2の中継により)印加される電圧がナノチューブ/ナノワイヤ素子NT内に電流Iを生成する。この場合、電流IはナノチューブNTの一端から他端へ循環する。
【0106】
一実施形態によると、本発明による陰極は、
図16の原理に従って示されるように、2つの物理的電子放射効果(トンネル効果および熱イオン効果)を組み合わせる。このため、基板とナノ素子間のバイアス電圧V
NW(100V〜1,000V)と、ナノ素子NTの2つの部分間の電圧Vch(0.1V〜10V)とは同時に印加される。ナノチューブNTは優先的に、トンネル効果を最適化するために1nm〜100nmの半径rを有する。
図17は、2つの平面コンタクトC1およびC2を使用することによる2つの効果の組み合わせを示す。したがって、2つの物理的効果が分離して使用される場合より大きな電子放射が得られる。実際には、本構造は真空内で使用されるので、放射素子を加熱することは、例えば絶縁の寸法を低減するのに役立つ所与の電流を放射するために印加される電界を低減できるようにする。さらに、放射素子は「熱い」ので、表面汚染の問題は回避される(元素は熱い表面上にはそれほど容易に吸着されない)。これにより放射の安定性を改善する。
【0107】
真空(絶縁)ナノワイヤ/ナノチューブ界面の存在は電界の局所的悪化を誘起するだろう。この界面はナノワイヤの「下」に配置されるのでこの効果を低減することが好ましい。この効果は絶縁中への局所的電子注入および望ましくない電荷効果に繋がり得るからである。このため、
図18に示す一実施形態によると、ナノチューブまたはナノワイヤ素子NTは埋め込み絶縁層Isent内に部分的に埋め込まれる。こうして、ナノワイヤ/ナノチューブの周囲による一定電界レベルが得られる。
【0108】
一変形形態によると、層Isentは基板Sb上に配置された絶縁層である。
【0109】
好ましい変形形態によると、層Isentは、絶縁層Is上に蒸着された少なくとも1つの追加層で構成される。実際には、この部分的埋め込みは電子放射を絶縁内に引き起こし、基板の作用を「覆う」局所的電荷効果を誘起し得る。
【0110】
優先的に、誘電率効果に作用ししたがって絶縁との接合におけるナノワイヤの電界を最小化する一方でナノワイヤの自由部上の電界を最大化するために、ε
HfO2=24を有するHfO
2など強誘電率を呈示する材料(「高k」材料と呼ばれる)中の局所的カプセル化が行われる。一実施形態によると、埋め込み層Isentは複数の副層からなる多層である。したがって、力線の構造はより良く制御され、望ましくない増悪効果が制限される。さらに、本構造において印可可能電圧を最適化するために様々な層の誘電率/誘電体強度パラメータに作用することが可能である。
【0111】
有利には、ナノ素子の約半分が層Isent内に埋め込まれる。
【0112】
しかし、強誘電率を有する材料の取り込み(薄層内へも)は実効高さを著しく修正し得る。この態様は層Isの厚さhの寸法決めの際に考慮されるべきである。
【0113】
図19および
図20に示された別の変形形態によると、陰極Cは、同一の第1の電気コネクタへ結合されたナノチューブまたはナノワイヤ素子をそれぞれが含む複数の区域Z、Z’に分割される、例えば、区域Zの素子NTはCE1へ結合され、区域Z’の素子NTはCE1と異なるCE1’へ結合される。互いに独立しており再構成可能であるバイアス電圧V
NWおよびV
NW’を各区域へ印加することが可能である。したがって、放射は、放射区域を空間的に変調するためにいくつかの電気的に自律的な放射区域を生成することにより「画素化」される。
図19は放射区域Zを含む陰極Cを示し、区域Z’は放射しない。
図20は放射する区域Z、Z’の両方を有する陰極Cを示す。
【0114】
従来技術によると、放射区域の空間的変調はいくつかの陰極を互いに並置することにより生成される。
【0115】
陰極の画素化の利点は、撮像アプリケーションが、広い放射区域を使用して照射することにより当該区域を当初特定し、次に当該区域が検知されると、分解能の増加を可能にするより小さな寸法の放射区域を有する当該区域の照射を行うことが可能であるということである。
【0116】
図21に示す一変形形態によると、少なくとも1つの平面コンタクトC1が2つのグループのナノ素子に共通である。したがってナノ素子のネットワークはより密にされる。
【0117】
優先的に、ナノチューブ/ナノ素子NTは、炭素、ドープZnO、ドープシリコン、銀、銅、タングステンなどの導電材料で作られる。
【0118】
別の実施態様によれば、ナノチューブ/ナノワイヤ素子は、電子放射の制御を高めることができるようにする電界効果によりおよび/または照射により絶縁の存在を誘起するように例えばSi、SiGeまたはGaNで作られた半導体である。
【0119】
次に、ナノワイヤまたはナノチューブ素子はMOS型のキャパシタのチャネルを構成する。キャリヤの生成はバイアス電圧V
NWが閾値電圧Vthより大きいとうまくいく。
【0120】
キャリヤの光生成の場合、真空管70はナノチューブまたはナノワイヤ素子を照射するように構成された光源をさらに含み、自由キャリヤは光生成により生成される。
【0121】
半導体ナノ素子NTは、トンネル効果によりおよび/または熱イオン効果により電子を生成するために使用され得る。
【0122】
例示として、
図22は「ボトムアップ」型の本発明による陰極Cを製作する第1の方法を示す。
図22に示す第1の工程では、ナノワイヤ/ナノチューブNTの分散が、導電基板Sb上に蒸着(「噴霧」、「浸漬被覆」、電気泳動)された絶縁層Is上に生成された。キーポイントは、制御され得るナノワイヤ/ナノチューブ間の平均距離Wを有することである。
【0123】
図22bに示す第2の工程では、コンタクトは既に生成されたマット上にリフトオフにより生成される。コンタクト(好適には、絶縁の表面と同じ高さであるコンタクト材料の表面の埋め込みコンタクト)は分散の前に生成され、分散を最終製造工程としてだけ生成させ得るということに注意すべきである。
【0124】
図23は「トップダウン」型の本発明による陰極Cを製作する第2の方法を示す。薄層(エミッタ材料となる)が導電基板Sb上の絶縁層Is自体の上に蒸着される。
図23aに示すように、エッチマスクがこの層上に生成され、この材料は基板+絶縁上にナノワイヤ/ナノチューブだけを残すようにエッチングされる。
【0125】
次に、
図23bに示すように、コンタクトは既に生成されたマット上にリフトオフにより生成される。前と同様に、コンタクト(好適には、絶縁の表面と同じ高さであるコンタクト材料の表面の埋め込みコンタクト)は分散の前に生成され、分散を最終製造工程としてだけ生成させ得るということに注意すべきである。