特許第6982995号(P6982995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6982995受電システム、非接触電力供給システム、無人搬送車及び受電方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982995
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】受電システム、非接触電力供給システム、無人搬送車及び受電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20211206BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20211206BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   H02J7/00 302C
   H02J50/10
   H02J7/00 301D
   H02J7/00 P
   B60M7/00 X
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-131327(P2017-131327)
(22)【出願日】2017年7月4日
(65)【公開番号】特開2018-117509(P2018-117509A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2020年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2017-6850(P2017-6850)
(32)【優先日】2017年1月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】辰田 康明
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−244875(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3206251(JP,U)
【文献】 特開2014−212643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
50/00−50/90
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−58/40
B60M 1/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触で伝送される電力を受電する受電装置と、
前記受電装置から出力される電力を蓄電し、当該蓄電した電力を負荷である無人搬送車及び前記受電装置に供給する電気化学キャパシタと、を備え、
前記受電装置は、前記電気化学キャパシタから供給される電力を蓄電する蓄電デバイスを備え、
前記蓄電デバイスは、前記電気化学キャパシタの充電量が所定値以下になったときに、前記電気化学キャパシタの替わりに前記受電装置の内部に電力を供給し
前記電気化学キャパシタは、当該電気化学キャパシタの充電量が所定値以下になったときに、前記蓄電デバイスにより供給される電力により駆動する前記受電装置から出力される電力を蓄電する、
電システム。
【請求項2】
前記電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であると判定された場合に、前記受電装置を駆動する電源を、前記電気化学キャパシタから前記蓄電デバイスに切り替える切替制御部と、
をさらに備える請求項1記載の受電システム。
【請求項3】
前記電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であると判定された場合に、表示部に所定の表示を行わせる表示制御部と、
前記受電装置を駆動するための電源として前記蓄電デバイスを選択させる選択部と、
をさらに備える請求項1記載の受電システム。
【請求項4】
前記蓄電デバイスの充電容量は、前記電気化学キャパシタの充電容量よりも小さい、
請求項1から3のいずれか一項に記載の受電システム。
【請求項5】
前記蓄電デバイスは、二次電池である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の受電システム。
【請求項6】
前記蓄電デバイスは、前記電気化学キャパシタから出力される電力により充電される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の受電システム。
【請求項7】
前記蓄電デバイスは、外部から接続される外部電源の電力により充電される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の受電システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の受電システムと、
前記受電装置に電力を非接触で伝送する送電装置と、
を備える非接触電力供給システム。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の受電システムを搭載する無人搬送車。
【請求項10】
非接触で伝送される電力を受電装置により受電する工程と、
前記受電装置により受電された電力を電気化学キャパシタに蓄電するとともに、当該電気化学キャパシタに蓄電した電力を負荷である無人搬送車及び前記受電装置に供給する工程と、
前記電気化学キャパシタから供給される電力を前記受電装置に備えられた蓄電デバイスに蓄電させる工程と、
前記電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であるか否かを判定する工程と、
前記判定において前記電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であると判定された場合に、前記電気化学キャパシタに替えて、前記蓄電デバイスから、前記受電装置の内部に電力を供給する工程と、
前記蓄電デバイスにより供給される電力により駆動する前記受電装置から出力される電力を前記電気化学キャパシタに蓄電させる工程と、
を含む受電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電システム、非接触電力供給システム、無人搬送車及び受電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1、2には、送電装置から受電装置に非接触で伝送した電力を負荷に供給する非接触電力供給システムが開示されている。これらの非接触電力供給システムにおける受電装置は、送電装置から受電した電力を蓄電するデバイスにバッテリを用いると充電に時間がかかるため、急速充電が可能なキャパシタを用いることで充電時間を短縮している。また、特許文献1、2には、キャパシタとバッテリの双方を用いて負荷に電力を供給する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−187471号公報
【特許文献2】特開2011−234551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の非接触電力供給システムにおいて、キャパシタとバッテリの双方に蓄電した電力を、負荷に供給するだけではなく、さらに受電装置の駆動用として受電装置にも供給することとした場合、キャパシタ及びバッテリに蓄電した電力が不足すると、受電装置を制御することができなくなる。受電装置の制御が不能になると、非接触で電力を受電することができなくなり、非接触電力供給システムとしての基本的な機能が果たせなくなる。
【0005】
そこで、本発明は、負荷及び受電装置に供給する電力が不足した場合であっても、非接触で電力を受電することができる受電システム、非接触電力供給システム、無人搬送車及び受電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による受電システムは、非接触で伝送される電力を受電する受電装置と、受電装置から出力される電力を蓄電し、当該蓄電した電力を負荷及び受電装置に供給する電気化学キャパシタと、電気化学キャパシタの充電量が所定値以下になったときに、電気化学キャパシタの替わりに受電装置に電力を供給可能な蓄電デバイスと、を備える。
【0007】
電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であるか否かを判定する判定部と、判定部により電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であると判定された場合に、受電装置を駆動する電源を、電気化学キャパシタから蓄電デバイスに切り替える切替制御部と、をさらに備えることとしてもよい。
【0008】
電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であるか否かを判定する判定部と、判定部により電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であると判定された場合に、表示部に所定の表示を行わせる表示制御部と、受電装置を駆動するための電源として蓄電デバイスを選択させる選択部と、をさらに備えることとしてもよい。
【0009】
蓄電デバイスの充電容量は、電気化学キャパシタの充電容量よりも小さいこととしてもよい。
【0010】
蓄電デバイスは、二次電池であることとしてもよい。
【0011】
本発明の他の態様による非接触電力供給システムは、前述した受電システムと、受電装置に電力を非接触で伝送する送電装置と、を備える。
【0012】
本発明の他の態様による無人搬送車は、前述した受電システムを搭載する。
【0013】
本発明の他の態様による受電方法は、非接触で伝送される電力を受電装置により受電する工程と、受電装置により受電された電力を電気化学キャパシタに蓄電するとともに、当該電気化学キャパシタに蓄電した電力を負荷及び受電装置に供給する工程と、電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であるか否かを判定する工程と、判定において電気化学キャパシタの充電量が所定値以下であると判定された場合に、電気化学キャパシタに替え、予備に設けた蓄電デバイスから、受電装置に対して電力を供給可能とする工程と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、負荷及び受電装置に供給する電力が不足した場合であっても、非接触で電力を受電することができる受電システム、非接触電力供給システム、無人搬送車及び受電方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る受電システムを含む非接触電力供給システムの概略構成を例示するブロック図である。
図2】変形例における受電システムを含む非接触電力供給システムの概略構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0017】
図1は、本発明に係る受電システムを含む非接触(ワイヤレス)電力供給システムの構成の一例を示すブロック図である。同図の構成要素のうち、無人搬送車(Automatic Guided Vehicle、以下「AGV」ともいう。)7を除いた構成要素が、非接触電力供給システム1を構成する。また、非接触電力供給システム1の構成要素のうち、送電ユニット2及び送電コイルユニット3を除いた構成要素、すなわち受電コイルユニット4、受電ユニット5及びキャパシタユニット6が、受電システム10を構成する。
【0018】
AGV7は、例えば工場の生産ラインなどにおいて、床面に敷設された磁気テープや磁気棒などによる電磁誘導を利用して自動走行する無人の搬送用車両である。本実施形態では、例示的に、受電システム10をAGV7に搭載し、生産ラインに沿った荷物の積み下ろしスペース等に、送電ユニット2及び送電コイルユニット3(以下、まとめて「送電装置」ともいう。)を設置する場合について説明する。
【0019】
非接触電力供給システム1は、磁界共鳴方式により送電装置から、受電コイルユニット4及び受電ユニット5(以下、まとめて「受電装置」ともいう。)に数kHz〜数百MHzの高周波電力を非接触で伝送し、その高周波電力を受信した受電装置がキャパシタユニット6に直流電力を供給し、その直流電力を受け取ったキャパシタ61がAGV7に供給するための電力を蓄電するシステムである。
【0020】
送電ユニット2は、高周波電源21及び制御部22を備える。高周波電源21は、所定の周波数(数kHz〜数百MHzの高周波)の高周波電力を発生する。高周波電源21は、高周波信号(電圧信号)を発生する高周波信号発生回路と、高周波信号発生回路で発生した高周波信号を増幅するパワーアンプと、このパワーアンプに直流の電源電圧を供給するDC−DCコンバータと、パワーアンプから出力される高周波信号の高周波成分を除去するローパスフィルタと、パワーアンプから出力される高周波電力の電力量を制御する電力制御部と、を含む。
【0021】
パワーアンプは、例えば、D級アンプやE級アンプで構成することができ、高周波信号発生回路から入力される高周波信号によってスイッチング素子をオン・オフ駆動することにより、高周波信号と同一の周期を有し、DC−DCコンバータから入力される直流電圧に依存した振幅の高周波信号を生成する。この高周波信号はローパスフィルタで高周波成分が除去されることにより正弦波の高周波信号に整形されて出力される。
【0022】
電力制御部は、制御部22から入力される出力制御信号に基づいてDC−DCコンバータから出力される直流電圧の振幅を制御し、これによりパワーアンプから出力される高周波信号の増幅量(すなわち、高周波電力の電力量)を制御する。
【0023】
制御部22は、ROM、RAM、CPUなどを備えるマイクロコンピュータやFPGA(field-programmable gate array)などで構成される。制御部22は、高周波電源21に対してDC−DCコンバータの出力電圧を制御する出力制御信号を出力し、高周波電源21から出力される高周波電力を制御する。
【0024】
送電コイルユニット3は、送電部31を備える。送電部31は、送電ユニット2の高周波電源21から出力される高周波電力を受電コイルユニット4の受電部41に無線で伝送する。送電部31は、例えば、複数ターンのソレノイドコイルからなるインダクタ(以下、「送電用コイル」ともいう。)とそのインダクタに直列に接続されたキャパシタとの直列共振回路で構成される。
【0025】
送電部31における直列共振回路の直列共振周波数(=1/[2π・√(L・C)])(L:インダクタの自己インダクタンス、C:キャパシタのキャパシタンス)は、高周波電源21から出力される高周波電力の周波数(以下、「電源周波数」ともいう。)[MHz]に調整されている。
【0026】
受電コイルユニット4は、受電部41を備える。受電部41は、送電コイルユニット3の送電部31との間で磁界結合をして送電部31から高周波電力を受電する。受電部41は、送電部31と同一の構成を有し、複数ターンのソレノイドコイルからなるインダクタ(以下、「受電用コイル」ともいう。)とそのインダクタに直列に接続されたキャパシタとの直列共振回路で構成される。
【0027】
受電部41における直列共振回路の直列共振周波数(=1/[2π・√(L・C)])(L:インダクタの自己インダクタンス、C:キャパシタのキャパシタンス)は、電源周波数[MHz]に調整されている。
【0028】
受電ユニット5は、整流回路51、制御部52、予備電源53及び電源用回路54を備える。整流回路51は、受電コイルユニット4の受電部41から出力される高周波信号を整流し、キャパシタユニット6に直流電力を供給する。整流回路51は、例えば、4個の整流素子をブリッジ接続したブリッジ回路で構成される。4個の整流素子として、ショットキーバリアーダイオードを用いる。
【0029】
制御部52は、ROM、RAM、CPUなどを備えるマイクロコンピュータやFPGA(field-programmable gate array)などで構成される。制御部52は、受電コイルユニット4、受電ユニット5及びキャパシタユニット6を含む受電システム10の各構成要素に制御信号を出力し、受電システム10全体を制御する。制御部52は、例えば、以下の機能を有する。
【0030】
制御部52は、後述するキャパシタ61の充電量が所定値以下であるか否かを判定する判定部としての機能を有する。所定値として、例えば、DC−DCコンバータ62の入力電圧範囲の下限値を設定することができる。
【0031】
制御部52は、キャパシタ61の充電量が所定値以下であると判定した場合に、表示部であるLED(light emitting diode)56を点灯(所定の表示)させる表示制御部としての機能を有する。この機能を有することで、キャパシタ61の充電量が所定値以下になったことを、LED56を点灯させることで作業員等に知らせることができる。これにより、例えば、LED56の点灯を確認した作業員が、後述するように受電ユニット5のスイッチ(選択部)55をONにすることにより、受電ユニット5の駆動電源をキャパシタ61から予備電源53に切り替えることが可能となる。
【0032】
なお、表示部は、LEDに限定されず、例えば、LCD(liquid crystal display)等であってもよい。LCDを用いる場合、制御部52は、充電量が所定値以下になったことを表すメッセージ(所定の表示)をLCDに表示させることとしてもよい。
【0033】
予備電源53は、スイッチ55がONにされた場合に、キャパシタ61の替わりに受電ユニット5に電力を供給する蓄電デバイスである。予備電源53の充電容量は、キャパシタ61の充電容量よりも小さくすることが好ましい。これにより、予備電源53を小型化かつ軽量化することができるため、メンテナンスや交換が容易となり、コストを抑えることも可能となる。また、予備電源53は、二次電池であることが好ましいが、電気化学キャパシタであってもよい。二次電池を採用することで、安定した電圧を供給することが可能となる。
【0034】
二次電池として、例えば、ニッケル水素電池、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池等を用いることができる。一方、電気化学キャパシタとして、例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタに代表されるハイブリッドキャパシタ、レドックスキャパシタ等を用いることができる。
【0035】
電源用回路54は、スイッチ55がOFFであるときには、DC−DCコンバータ62から出力される電力を、予備電源53に充電すること、及び同電力を受電ユニット5内の各構成要素に供給するための各種処理を実行する。電源用回路54は、スイッチ55がONであるときには、予備電源53に蓄電された電力を受電ユニット5内の各構成要素に供給するための各種処理を実行する。
【0036】
キャパシタユニット6は、キャパシタ61、DC−DCコンバータ62及びリレー63を備える。
【0037】
キャパシタ61は、電気化学キャパシタであり、具体的には、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタに代表されるハイブリッドキャパシタ、レドックスキャパシタ等を用いることができる。キャパシタ61は、複数のキャパシタを直列及び並列に組み合わせて構成されていてもよいし、単一のキャパシタであってもよく、AGV7に供給する電力に応じて適宜構成することができる。
【0038】
キャパシタ61は、受電ユニット5から印加される直流電圧により充電され、電荷を蓄える。キャパシタ61は、蓄えた電荷に基づいて直流電力を放電し、DC−DCコンバータ62を介してAGV7に電力を供給する。また、キャパシタ61は、DC−DCコンバータ62を介して受電装置である受電ユニット5及び受電コイルユニット4に電力を供給する。
【0039】
DC−DCコンバータ62は、キャパシタ61から入力された直流電圧を調整(昇降圧)し、AGV7に調整後の直流電圧を供給する。
【0040】
リレー63は、キャパシタ61の充電量が所定値を超えるとON状態となり、キャパシタ61の充電量が所定値以下になるとOFF状態となる。つまり、リレー63は、キャパシタ61の充電量が所定値以下である場合に、キャパシタ61から出力される電力の出力経路を遮断する遮断部としての機能を有する。所定値は、前述したように、例えば、DC−DCコンバータ62の入力電圧範囲の下限値に設定することができる。
【0041】
上述したように、実施形態における受電システム10を含む非接触電力供給システム1によれば、非接触で伝送される電力を受電装置(受電コイルユニット4及び受電ユニット5)で受電し、この受電装置から出力される電力をキャパシタ61に蓄電し、このキャパシタ61に蓄電した電力をAGV7及び受電装置に供給することができる一方、キャパシタ61の充電量が所定値以下になった場合には、予備電源53に蓄電した電力を受電装置に供給することができる。
【0042】
具体的には、受電装置の制御部52が、キャパシタ61の充電量が所定値以下であるか否かを判定し、キャパシタ61の充電量が所定値以下であると判定した場合に、LED56を点灯させることができる。さらに、LED56の点灯後に、スイッチ55をONにすることで受電装置を駆動するための電源を、キャパシタ61から予備電源53に切り替えることができる。
【0043】
これにより、キャパシタ61の充電量が不足した場合には、受電装置を駆動するための電源をキャパシタ61から予備電源53に切り替え、予備電源53から供給される電力により受電装置を駆動させることができ、受電装置からキャパシタ61に電力を充電させることができる。
【0044】
それゆえ、実施形態における非接触電力供給システム1によれば、AGV7及び受電装置に供給する電力が不足した場合であっても、非接触で電力を受電することができ、非接触電力供給システムとしての基本的な機能を維持することが可能となる。
【0045】
また、実施形態における非接触電力供給システム1によれば、キャパシタ61の充電量が所定値以下であるか否かを判定することができ、この判定においてキャパシタ61の充電量が所定値以下であると判定された場合に、LED56を点灯させることができるため、受電ユニット5のスイッチ55をONにするように、作業員に促すことが可能となる。そして、その作業員がスイッチ55をONにすることで、受電ユニット5の駆動電源をキャパシタ61から予備電源53に切り替えることができる。
【0046】
[変形例]
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0047】
例えば、前述した実施形態では、受電ユニット5の駆動電源をキャパシタ61から予備電源53に切り替える際に、作業員等がLED56の点灯を確認してから、受電ユニット5のスイッチ55をONにしているが、受電ユニット5の駆動電源を切り替える手段は、これに限定されない。例えば、受電ユニット5の制御部52が駆動電源の切り替えを制御することとしてもよい。これにより、図1に示すスイッチ55及びLED56を省略することが可能となる。ただし、LED56については省略せずに、キャパシタ61の充電状況を確認するために用いることとしてもよい。
【0048】
この変形例において、制御部52は、キャパシタ61の充電量が所定値以下であるか否かを判定する判定部としての機能、及びキャパシタ61の充電量が所定値以下である場合に、受電ユニット5を駆動するための電源を、キャパシタ61から予備電源53に切り替える切替制御部としての機能を、さらに有することとする。
【0049】
これにより、受電装置の制御部52が、キャパシタ61の充電量が所定値以下であると判定した場合に、受電装置を駆動する電源を、キャパシタ61から予備電源53に切り替えることが可能となる。したがって、キャパシタ61の充電量が不足した場合に、予備電源53から供給される電力により受電装置を駆動させることができ、受電装置からキャパシタ61に電力を充電させることが可能となる。
【0050】
また、前述した実施形態における電源用回路54は、DC−DCコンバータ62から出力される電力を、予備電源53に充電しているが、予備電源53の充電に用いる電力は、これに限定されない。例えば、図2に示すように、キャパシタ61から放電される電力を用いて、予備電源53を充電することとしてもよいし、受電ユニット5のコネクタ(例えばUSBポート等)57を介して接続される外部電源等の電力を用いて、予備電源53を充電することとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…非接触電力供給システム、2…送電ユニット、3…送電コイルユニット、4…受電コイルユニット、5…受電ユニット、6…キャパシタユニット、7…無人搬送車、10…受電システム、21…高周波電源、22…制御部、31…送電部、41…受電部、51…整流回路、52…制御部、53…予備電源、54…電源用回路、55…スイッチ、56…LED、61…キャパシタ、62…DC−DCコンバータ、63…リレー
図1
図2