【実施例1】
【0014】
図1は本発明が適用される液晶表示装置の平面図である。
図1において、TFT基板100と対向基板200が周辺のシール材150によって接着し、内部に液晶が封止されている。表示領域20には、走査線11が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12が縦方向に延在し、横方向に配列している。走査線11と映像信号線12で囲まれた領域が画素13となっている。
【0015】
図1において、TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成され、TFT基板100が対向基板200と重なっていない部分が端子領域30となっている。端子領域30にはフレキシブル配線基板500が接続している。フレキシブル配線基板500から、電源、走査信号、映像信号、クロック信号等が供給される。表示領域20とフレキシブル配線基板500との間は端子配線81によって接続されている。
【0016】
図1の特徴は、端子領域30には、フレキシブル配線基板500が接続されているのみで、ドライバICは搭載されていないことである。したがって、端子領域30の面積を小さくすることが出来、額縁を小さくすることが出来る。ドライバICはフレキシブル配線基板に搭載されている。
【0017】
図2は、従来例の液晶表示装置である。
図2において、表示領域20は
図1と同じである。
図2では、端子領域30にドライバIC510が搭載され、さらにフレキシブル配線基板500が接続している。したがって、
図2では、
図1に比較して、端子領域30の面積が大きくなり、狭額縁にするには問題が生ずる。
【0018】
図1に示す、本発明が適用される液晶表示装置は、端子領域30の面積を小さくすることが出来るが、従来、ドライバICとの接続部に配置してきた検査回路の配置が問題となる。すなわち、従来は、ドライバICの下に検査回路を配置することによって、必要な検査を行うとともに、検査回路はICチップによって覆われ、物理的にも保護されていた。本発明は、
図1に示すような、フレキシブル配線基板500と表示領域20が直接、配線81によって接続されている構成において、信頼性の高い検査回路の配置、および検査方法を与えるものである。
【0019】
図3は、
図1の表示領域の断面図である。表示領域と端子領域は同時に形成されるので、
図3は、表示装置の基本的な層構成を説明するためのものである。
図4以後では、端子領域および端子領域付近のシール部について説明するが、端子領域あるいはシール部に形成される選択回路、検査回路等に使用されるTFTや配線等は、
図3に示すTFT等と同じ層構成で、同じプロセスによって形成される。
図3は、IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置の断面図である。
【0020】
図3において、TFT基板100は一般にはガラスで形成されるが、フレキシブル表示装置としたい場合はポリイミド等の樹脂で形成される。TFT基板100の上には、酸化シリコン(SiO)および窒化シリコン(SiN)の積層膜によって下地膜101が形成されている。下地膜101の役割は、TFT基板100からの不純物が半導体層102を汚染することを防止することである。
【0021】
下地膜101の上に半導体層102が形成されている。半導体層102は、多結晶シリコン(poly-Si)で形成されることが多い。poly-Siは移動度が大きいので、走査線駆動回路等の周辺回路を同時に形成することが出来る。半導体層102としては、この他に非結晶シリコン(a−Si)、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)等の酸化物半導体等が使用される。
【0022】
半導体層102を覆ってゲート絶縁膜103が形成される。ゲート絶縁膜103はTEOS(テトラエトキシシラン)を原料とし、CVDによって形成されたSiO膜である。ゲート絶縁膜103の上にゲート電極104が形成される。ゲート電極104は例えばMoW等で形成され、走査線11と同時に形成される。また、端子領域30における端子配線の一部もゲート電極104と同じ材料でゲート電極104と同時に形成される。
【0023】
ゲート電極104をパターニングした後、リン(P)、ボロン(B)等のイオンインプランテーションを行って、ゲート電極104の下以外の半導体層102に導電性を付与する。ゲート電極104の直下がチャネル部102になり、他の部分は、ドレイン領域1021あるいはソース領域1022になる。
【0024】
その後、層間絶縁膜105を形成する。層間絶縁膜105はSiOあるいはSiN、またはSiOとSiNの積層膜によって形成される。層間絶縁膜105およびゲート絶縁膜103にスルーホール120および121を形成して、ドレイン電極106とドレイン領域1021、ソース電極107とソース領域1022の接続を可能にする。ドレイン電極106およびソース電極107は同時に形成される。ドレイン電極106およびソース電極107は、映像信号線12と同時に形成される。また、端子領域における端子配線の一部もドレイン電極106等と同時に形成する。ドレイン電極106およびソース電極107は例えば、アルミニウム(Al)あるいはその合金をチタン(Ti)でサンドイッチしたものが使用される。あるいは、AlをMoW等でサンドイッチしたものが使用される。
【0025】
ドレイン電極106およびソース電極107を覆ってアクリル等の透明樹脂によって有機パッシベーション膜108が形成される。有機パッシベーション膜108は平坦化膜を兼ねているので、2乃至4μmと厚く形成される。有機パッシベーション膜108にスルーホール130を形成してソース電極107と後で形成される画素電極111の接続を可能にする。
【0026】
有機パッシベーション膜108の上にITO等の透明酸化物導電膜によってコモン電極109が形成される。コモン電極109は各画素共通に形成される。コモン電極109を覆ってSiNによる容量絶縁膜110が形成される。容量絶縁膜110の上にITO等の透明酸化物導電膜によって画素電極111が形成される。コモン電極109あるいは画素電極111を構成するITOは、端子領域30における端子配線あるいは端子の一部を形成する。コモン電極109を構成するITOを第1ITOと表記し、画素電極111を構成するITOを第2ITOと表記することもある。
【0027】
画素電極111を覆って配向膜112が形成される。液晶分子301を初期配向させるためである。画素電極111はストライプ状あるいは櫛歯状に形成され、画素電極111に信号電圧が印加されると、下層に平面状に形成されたコモン電極109との間に
図3の矢印で示すような電気力線が発生し、液晶分子301を回転させることによって液晶層300を透過する光の量を制御する。
【0028】
図3において、液晶層300を挟んで、対向基板200が配置している。対向基板200も一般にはガラスで形成されるが、フレキシブル表示装置としたい場合はポリイミド等の樹脂で形成される。対向基板200の内側にはカラーフィルタ201およびブラックマトリクス202が形成され、これらを覆ってオーバーコート膜203が形成される。オーバーコート膜203の上には、柱状スペーサ210が形成され、TFT基板100と対向基板200の間隔を一定に保つ。オーバーコート膜203を覆って配向膜204が形成される。
【0029】
図3は、液晶表示装置の層構造を示すものであるが、端子領域30あるいは額縁領域に形成される、選択回路、検査回路等に使用されるTFTも
図3で説明したのと同様な構成を有している。また、選択回路、検査回路等に使用される配線も、
図3におけるゲート電極104、ドレイン電極106、ソース電極107、第1ITO109、第2ITO111等と同時に形成される。
【0030】
図4は端子領域30付近を拡大した平面図である。
図4において、TFT基板100と対向基板200がシール材150によって接着し、シール材150の内側が表示領域20となっている。TFT基板100と対向基板200が重なっていない部分は端子領域30となっており、フレキシブル配線基板500と接続するための端子31(
図4では図示せず)、および、検査のための検査端子32が形成されている。
【0031】
表示領域20には、映像信号線12が縦方向(y方向)に延在している。映像信号線12の数は非常に多いので、端子部30における配線の数を減らすために、選択回路60が設けられている。選択回路60は、TFTで形成されたスイッチング回路である。例えば、1フレーム内において、赤画素、緑画素、青画素の信号を別々に書き込むことによって端子配線の数を1/3に減らすことが出来る。
【0032】
選択回路60からの配線は、斜め配線領域50を経て、検査回路40に接続する。検査回路40も多くのTFTからなるスイッチング回路である。検査回路40は、端子31または検査端子32からの信号を斜め配線領域の各配線に接続できるように切り替える。検査工程は、フレキシブル基板500が接続される前に、検査端子32を用いて行われる。
【0033】
本発明では、
図4に示すように、検査回路40まで、対向基板200によって覆われている。したがって、多くのTFTを有する検査回路40は、対向基板200およびシール材150によって保護されている。斜め配線領域50は、端子領域30に延在して、端子領域30に形成された端子と接続する。端子にはフレキシブル配線基板500が接続している。
図4では、ドライバICは端子領域には搭載されておらず、フレキシブル配線基板500に搭載されている。
【0034】
ドライバICがTFT基板100の端子領域30に搭載されている場合をCOG(Chip On Glass)、ドライバICがフレキシブル配線基板500に搭載されている場合をCOF(Chip On Film)と呼んでいる。各映像信号線12に供給される映像信号はドライバICでアレンジされる。すなわち、外部からシリアルに供給される映像信号線をドライバICにてパラレルに変換し、液晶表示装置の表示領域に供給される。したがって、本発明のような、COFの場合はCOGの場合に比べて端子の数が大幅に増加する。例えば、COGの場合は、端子数は300程度であったものが、COFの場合は、その5〜6倍の1500〜1800程度になる。
【0035】
図5は、
図4のE−E断面に相当する模式断面図である。
図5において、TFT基板100と対向基板200がシール材150によって接着し、内部に液晶300が封入されている。TFT基板100側には、映像信号線12、選択回路60、斜め配線領域50、検査回路40、端子配線81、信号端子31が形成されている。
【0036】
図5において、選択回路60、斜め配線50、検査回路40等は有機パッシベーション膜108に覆われ、さらにシール材150と対向基板200によって保護されている。検査回路40から端子に向かって端子配線81が延在している。端子31は異方性導電膜(Anisotripic Conductive Fim、ACF)501によってフレキシブル配線基板500と接続している。なお、端子配線81はむき出しの場合もあるし、
図3に示す、SiNで形成された容量絶縁膜110や有機パッシベーション膜108によって覆われる場合もある。
【0037】
図5の特徴は、多くのTFTを含んだ検査回路40は、有機パッシベーション膜108、シール材150、対向基板200等によって保護されていることである。したがって、検査回路40の信頼性を確保することが出来る。
【0038】
図6は
図4に対応する等価回路である。
図6は発明をわかりやすくするために回路を単純化している。
図6において、表示領域20側には選択回路60から縦方向(y方向)に映像信号線12が延在している。選択回路60はTFTによる多くのスイッチ61を有している。選択回路60は1水平期間中に信号を3回書き込むことを可能にして、選択回路60よりも端子領域30側の配線の数を1/3に減らしている。
【0039】
選択回路60と検査回路40を接続するため、斜め配線領域50が形成されている。選択回路60における配線ピッチよりも端子31のピッチを小さくするので、選択回路60と検査回路40の間は斜め配線51となっている。配線が、縦方向(y方向)に延在する場合に比較して、斜め配線51の部分では配線ピッチが小さくなるので、配線間隔を確保することが困難になる。したがって、斜め配線51の部分では、多層配線としている。
【0040】
すなわち、斜め配線領域50において、1本おきに斜め配線51にスルーホール90および91を形成し、配線を例えば、ドレイン層からゲート層に乗り換えている。
図7は
図6の斜め配線領域50におけるA−A断面図である。選択回路60から延在してきた、ドレイン電極106(映像信号線12)と同じ層に形成された配線71、51は、スルーホール91において、ゲート電極104(走査線11)と同じ層の配線70、51に乗り換え、斜め配線が終わったところで、スルーホール90で再び、映像信号線12と同じ層である、配線71、51に乗り換える。
【0041】
図8は、
図6のB−B断面図である。
図8に示す配線は映像信号線71、51の層のままである。したがって、平面で視て、隣り合う斜め配線を重複させて、斜め配線の面積を小さくすることが可能である。
図9は
図6のC−C断面図である。
図9において、隣同士の配線は別な層に形成されているので、線間のピッチを線幅よりも小さくしている。一方、オーバーラップする面積が大きくなるので、線間のショートの危険が大きくなる。
【0042】
図6に戻り、斜め配線領域50は、線間の容量を小さくするため等から、配線を交差させる場合もあるが、
図6は図を複雑化しないために、配線交差は無いものとしている。斜め配線50を経て、配線が再び縦方向(y方向)に延在したところに、検査回路40が形成されている。
【0043】
図6に示す検査回路40は多数のスイッチを含む回路である。これらのスイッチはTFTによって形成され、多くの半導体層102を有している。検査回路40は、
図5に示すように、有機パッシベーション膜108、シール材150、対向基板200等によって保護されているので、外部環境に対する信頼性は確保されている。
【0044】
検査回路40は、多数の配線の断線やショートを検査する回路である。斜め配線領域50には、選択回路60内の各スイッチ61から延設された複数の斜め配線51が配置されている。検査回路40では、斜め配線51毎に検査スイッチ41が設けられる。検査スイッチ41は、斜め配線51が端子配線81か検査信号線45の何れかに接続されるように切り替えるスイッチである。端子配線81は、フレキシブル配線基板500が接続される端子31とつながり、検査信号線45は、フレキシブル基板500が接続される前に行われる検査時に使用される検査端子32とつながる。
【0045】
検査端子32は、
図4で示したように、端子31群の左右に複数設けられる。この検査端子32に接続された検査信号線45は、検査回路40において、x方向に延在し、y方向に配列される。斜め配線50は、検査スイッチ41を介して、いずれかの検査信号線45と接続されるようになる。検査を行う際は、検査端子32の入力を順次切り替えることで、斜め配線50およびその先の信号線12の断線等の検出を行う。
【0046】
図6に示す構成とすることで、検査回路40から表示領域20側に延在する配線は、断線、ショートなどの検査が実施可能である。また、検査回路40を対向基板200との重複領域のできるだけ端に設けることで、出来るだけ広い領域を検査することが可能となる。
【0047】
液晶表示装置では、一般的に交流駆動が行われる。この交流駆動方式には、フレーム反転、カラム反転、ドット反転等があるが、現在はカラム反転が主流となっている。カラム反転は、隣接する映像信号線上の信号の極性を逆にする駆動方法である。
【0048】
図4、
図6等に示す斜め配線50において、配線面積を小さくするために、配線51を多層にして、平面で視て配線51をオーバーラップさせている。この場合、隣接する配線51の極性が異なると、配線間容量が問題となって、信号書込みの時間が長くなる。
【0049】
これを防止するために、例えば、極性が同じ信号線3本を束ねて配置し、極性が異なる3本の信号線との間には間隔を設けることが行われる。
図10において、左側の3本セットには負の信号電圧が印加され、中央の3本セットには正の信号電圧が印加され、右側の3本セットには、負の信号電圧が印加されている。信号の極性が同じであれば、線間容量の問題は軽減されるからである。
【0050】
本実施例では、
図11に示すように、2系統方式が行われている。2系統方式は、一対の検査信号線45が、異なる極性の電圧が印加される2本の配線で構成される場合である。
図11における斜め配線領域50において、左側の3本セットには負の電圧が印加され、右側の3本セットには正の電圧が印加される。そうすると、3本セットにおける配線間のショートの検出はできなくなる。この構成を実現するために、選択回路60と検査回路40において、スイッチ61またはスイッチ41に接続される斜め配線51の入れ替えが行われる。
【0051】
図11の構成では、検査信号線45は一組だけ示したが、
図4に示されるように、本実施例では検査端子32は6つ形成される。このため、実際には、
図12に示すように、検査回路40における検査信号線45を6本形成する。そして、隣り合う検査信号線45毎に極性を異ならせれば、斜め配線領域50において、
図13に示すように、斜め配線領域50における3本セットの配線間においても、ショート及び断線の検出が可能になる。
【0052】
なお、
図13における3本セットの配線における極性は、検査回路を動作させているときの極性であって、表示装置に画像を表示させているときは、
図10に示すような極性になっている。検査回路40の極性を6系統とすることによって、画像表示時は、高速書込みを可能とし、配線検査を行う場合、全配線の検査を行うことが出来る。
【0053】
図14は、本発明による端子領域30における端子31、32の変形例を示す平面図である。
図14の端子領域30において、検査端子32と映像信号用の端子31が配置している。配線の検査はフレキシブル配線基板500が接続される前に行われ、検査端子32にはテスタのプローブが接触するので、映像信号用の端子31よりも大きく形成されている。
図14では、フレキシブル配線基板500の位置は点線で示している。
図14において、321は検査端子32が配置している領域であり、312は映像信号用端子31が配置している領域である。
【0054】
図14に示すように、検査端子領域321を映像信号用端子312領域の両側、及び、端子領域30の中心付近、すなわち、映像信号用端子領域311と映像信号用端子領域312の間に配置することによって、端子領域30のスペースを有効に使用することが出来る。端子領域中央付近の検査端子領域321には、比較的大きな電流が流れる、電源端子、あるいは、コモン電極用端子を配置することも出来る。
【0055】
このような構成は、フレキシブル配線基板500の幅を大きくすることになるが、一方、検査回路40から端子31、32までを斜め配線とする必要がある場合、斜め配線の角度を小さくし、配線ピッチがあまり小さくならないように制御することが出来るようになる。
【0056】
このように、本発明によって、ドライバICを端子領域に搭載せず、フレキシブル配線基板500に搭載した方式の液晶表示装置において、検査回路40を対向基板200、シール材150等によって保護した領域に配置できるとともに、検査の機能を実質的に低下させないようにすることが出来る。したがって、信頼性の高い液晶表示装置を実現することが出来る。
<変形例1>
図20に検査回路40の変形例を示す。
図6に示す例では、検査スイッチ41は、対向基板の内側の領域に形成されていたため、検査スイッチ41と端子31間の配線51は、検査ができない領域となる。これに対して、
図20の検査回路40では、配線51と検査スイッチ41の接続箇所を対向基板200の重複領域を超えて、端子31の近傍に設けている。これにより、配線51のほぼ全体を検査することが可能となる。
【実施例3】
【0060】
実施例1および2では、本発明を液晶表示装置に適用した場合について説明した。しかし、本発明は有機EL表示装置にも適用することが出来る。有機EL表示装置においても、映像信号線12、走査線11等が存在し、多くのスイッチをTFTで構成することは同じだからである。また、有機EL表示装置においても、ドライバICを端子領域30からフレキシブル配線基板500に移動して、端子領域30の面積、ひいては、額縁の面積を小さくしたいという要求は同じである。
【0061】
図17は有機EL表示装置の平面図である。
図17において、表示領域20と端子領域30が形成され、端子領域30には、ドライバICは搭載されておらず、フレキシブル配線基板500のみが接続されている。表示領域20には走査線11が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12が縦方向に延在し、横方向に配列している。さらに、電源線14が画面上側から下側に延在している。電源線は有機EL層に電流を供給する。走査線11と映像信号線あるいは、走査線11と電源線14に囲まれた領域に画素13が形成されている。
【0062】
表示領域20の左右には走査線駆動回路160が形成され、走査線駆動回路160から走査線11が表示領域内に横方向(x方向)延在している。表示領域20の上側には、電流供給領域170が存在し、電流供給領域170から各電源線14に電流が供給される。
【0063】
図17において、表示領域20より下方には選択回路60が配置し、選択回路60から映像信号線12が表示領域20側に延在している。選択回路60の役割は実施例1で説明したのと同様である。選択回路60と検査回路40は斜め配線領域50によって接続している。斜め配線領域50は多層配線となっている。斜め配線領域50の構成は実施例1で説明したのと同様である。
【0064】
検査回路40は、液晶表示装置の場合と同様、多くの配線間のショート、あるいは、配線の断線を検出する。検査回路40のスイッチはTFTによって形成されている。
図17において、検査回路40は、後で説明する偏光板408あるいは粘着材407、バンク403、有機パッシベーション膜108等によって保護されている。
【0065】
検査回路40とフレキシブル配線基板500は配線81によって直接接続される。
図17では、配線81はy方向に延在しているが、検査回路40とフレキシブル配線基板500の幅によっては、斜め配線になる場合もある。
【0066】
図18は有機EL表示装置の画素部における断面図である。
図18におけるTFTは駆動トランジスタであるが、有機EL表示装置でも多くのスイッチングトランジスタを使用しており、スイッチングTFTの構成は駆動TFTの構成と同じである。
【0067】
図18において、有機パッシベーション膜108を形成するまでは、
図3に示す液晶表示装置の場合と同じである。
図18では、有機パッシベーション膜108の上に、Al等で形成された反射電極401とアノードとして作用するITOによる透明導電膜402が形成されている。アノード402はスルーホールを介してソース電極107と接続している。
【0068】
図18において、アノード402の周辺を覆ってバンク403が形成されている。バンク403は、アノード402の上に形成される有機EL層404の段切れを防止することと、各画素を隣接する画素から区画するものである。バンク403のスルーホール、つまり、
図18におけるバンク403とバンク403の間に発光層を含む有機EL層404が形成されている。有機EL層404は、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等の複数の層で形成されている。
【0069】
有機EL層404を覆ってカソード405が形成されている。カソード405は、酸化物導電膜等の透明電極によって全画面共通に形成されている。なお、カソード405は金属の薄膜で形成される場合もある。金属も薄膜になると光を通すようになるからである。
【0070】
図18において、カソード405を覆ってSiN等による保護層406が形成される。有機EL層405は水分等に対して弱いので、保護層406によって水分等の侵入を防止する。保護層406の上に、粘着材407を介して偏光板408が貼り付けられている。有機EL表示装置は反射電極401を有しているので、外光の反射が大きくなり、視認性を劣化させる。偏光板408は外光の反射を防止するものである。
【0071】
図18と実施例1の
図3を比較すると、TFT基板100から有機パッシベーション膜108までの構成は同じである。実施例1で説明したように、検査回路40等に使用されるTFTの構成は、液晶表示装置の場合と同様、表示領域におけるTFTの層構成を適用することが出来る。
【0072】
図19は
図17のG−G断面に相当する模式断面図である。
図19において、信号配線12、斜め配線51、検査回路40等を覆って有機パッシベーション膜108が形成され、その上にバンク403を形成しているアクリル等の有機膜が配置され、その上にSiN等からなる保護層406が形成されている。そして、保護層406の上に粘着材407を介して偏光板408が貼り付けられている。
【0073】
つまり、検査回路40の上に形成されている層の部材は異なるが、基本的構成は液晶表示装置の場合の
図5と殆ど同じである。したがって、
図4乃至
図9で説明した本発明の内容はそのまま有機EL表示装置にも適用することが出来る。一方、有機EL表示装置は交流ではなく、直流で駆動される。したがって、
図10等で説明した、斜め配線部50において、同極性の配線を束にして容量を減らすというような構成は必須ではない。
【0074】
なお、
図17及び
図19では、最上層が偏光板408であるとしたが、偏光板408の下層あるいは上層にガラスあるいは透明樹脂による保護基板が貼り付けられる場合もある。このような場合、偏光板の代わりに、保護基板によって検査回路を保護してもよい。