特許第6983042号(P6983042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6983042ガスが通過するチムニー内に分散材料を備えている、交換塔の分配トレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983042
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ガスが通過するチムニー内に分散材料を備えている、交換塔の分配トレイ
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20211206BHJP
   B01J 19/30 20060101ALI20211206BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20211206BHJP
   B01D 3/20 20060101ALI20211206BHJP
   F28C 3/06 20060101ALN20211206BHJP
【FI】
   B01J19/00 301Z
   B01J19/30
   B01D53/18 110
   B01D3/20
   !F28C3/06
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-222383(P2017-222383)
(22)【出願日】2017年11月20日
(65)【公開番号】特開2018-83194(P2018-83194A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2020年8月21日
(31)【優先権主張番号】1661339
(32)【優先日】2016年11月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ブラエム ラン
(72)【発明者】
【氏名】アリクス パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ロエスレ ジョン
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−001097(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0175792(US,A1)
【文献】 特開平07−031866(JP,A)
【文献】 特開2009−127451(JP,A)
【文献】 特開2016−120485(JP,A)
【文献】 特表2014−529487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00− 8/46、
10/00−12/02、
14/00−19/32
B01B 1/00− 1/08
B01D 1/00− 8/00
53/14−53/18、
53/26−53/28、
53/34−53/85
B01F 1/00− 5/26
F28C 1/00− 3/18
F24F 8/117
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体と液体との間で熱および物質の少なくとも一方を交換するための塔の分配トレイ(2)であって、
前記分配トレイ(2)を介して前記気体を専用的に通過させる、前記分配トレイ(2)の上部から突出している少なくとも1つのチムニー(4)と、
前記分配トレイ(2)を介した液体の通過を可能にする少なくとも1つの手段(5)と、を備え、
前記気体を専用的に通過するための少なくとも1つのチムニー(4)の内側に、前記気体を分散させる分散材料が設けられ
前記分散材料は、ランダムパッキンまたは構造化パッキンである、分配トレイ。
【請求項2】
前記分散材料は、前記気体を専用的に通過させるためのチムニー(4)の内側に、長手方向および横断面内に均一に設けられている、請求項1に記載の分配トレイ。
【請求項3】
前記分散材料は、少なくとも10cmを超える厚さにわたって設けられている、請求項2に記載の分配トレイ。
【請求項4】
前記気体を専用に通過させるためのチムニー(4)は、実質的に直方体である、請求項1からのいずれか1項に記載の分配トレイ。
【請求項5】
前記気体を専用に通過させるためのチムニー(4)は、実質的に円筒形である、請求項1からのいずれか1項に記載の分配トレイ。
【請求項6】
前記気体を専用に通過させるためのチムニー(4)の全ての内側に、前記分散材料が設けられている、請求項1からのいずれか1項に記載の分配トレイ。
【請求項7】
前記液体の通過を可能にする手段(5)は、液体を通過させる複数の孔(5)および複数のチムニー(5)の少なくとも一方を備える、請求項1からのいずれか1項に記載の分配トレイ。
【請求項8】
前記液体を通過させるチムニー(5)は、前記トレイの上部および前記トレイの下部の少なくとも一方から突出している、請求項に記載の分配トレイ。
【請求項9】
前記分配トレイ(2)は、前記分配トレイ(2)上に均一に分配されている複数の前記液体の通過を可能にする手段(5)を備えている、請求項1からのいずれか1項に記載の分配トレイ。
【請求項10】
前記液体の通過を可能にする手段は、前記トレイの周縁部に配置されている下降管(9)を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の分配トレイ。
【請求項11】
気体と液体との間で熱および物質の少なくとも一方を交換するための塔であって、前記気体および前記液体である2つの流体は、少なくとも1つの気体/液体コンタクタ(3)によって接触され、
前記塔は、前記流体を前記気体/液体コンタクタ(3)に分配するための、請求項1から10のいずれか1項に記載の少なくとも1つの分配トレイ(2)を含むことを特徴とする塔。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載の少なくとも1つの分配トレイが前記塔底部に配置されている、請求項11に記載の塔。
【請求項13】
前記塔が複数のセクションを備えており、前記セクションの各々が、気体/液体コンタクタおよび請求項1から10のいずれか1項に記載の分配トレイを含む、請求項11に記載の塔。
【請求項14】
気体処理、CO2捕捉、蒸留、脱水、または空気変換の方法のために請求項11から13のいずれか1項に記載の塔を用いる、塔の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体/液体の接触塔の分野に関し、より詳細には、気体処理ユニット、CO捕捉ユニット、脱水ユニットまたは蒸留のユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
気体処理ユニット、アミン洗浄プロセスを使用するCO捕捉ユニット、蒸留ユニットおよび脱水ユニットの少なくとも1つは、気体と液体との間で物質および熱の少なくとも一方の交換を行うための塔を備えている。この塔は、例えば、液体状または気体状の流体を吸収および再生する塔として使用できる。これらの塔は、気体および液体の向流条件下または並流条件下で動作する。
【0003】
一般的に、これらの気体処理ユニット、CO捕捉ユニット、蒸留ユニットおよび脱水ユニットの少なくとも1つに使用される塔は、塔内を循環する気体と液体における、物質および熱の少なくとも一方の交換原理で動作する。
【0004】
図1(a)は、気体処理塔1の上部(塔頂部と称される部分)の可能な実施形態を示し、図1(b)は、気体処理塔1の下部(塔底部と称される部分)の可能な実施形態を示す。従来、気体処理塔1は、コンタクタ(contactor)によって充填されているいくつかのセクション3と、各セクション3間に配置された分配トレイ2とを備えている。気体/液体コンタクタは、気体Gを液体Lに接触させて交換を可能にする。分配トレイの目的は、液体Lおよび気体Gを、気体/液体コンタクタ3に均質に分配することである。図1(a)に示す塔頂部の具体例では、気体分配トレイ2は、コンタクタ3で充填されているセクションの上に配置されている。図1(b)に示す塔底部の具体例では、気体分配トレイ2は、コンタクタ3で充填されているセクションの下の塔底部に配置されている。
【0005】
吸収/再生塔または蒸留塔に使用される標準の分配トレイ2は、一般的に、トレイを介した気体の通過を可能にするチムニー4(箱とも称される)を備える収集/分配トレイを含む。向流動作条件下では、各チムニー4は、気体を塔1の下部から塔1の上部へ通過させる。チムニー4は、トレイ2の一方の側から突出し、かつ、トレイ2に対して垂直である。各チムニー4は、例えば、円筒形状(図2(a)参照)または直方体状(図2(b)参照)に形成され、トレイ2の内容積の範囲を定めるいくつかの壁を含み、各側が開放されている。向流動作条件下では、液体は、例えば、(図2(a)に示されるように)トレイ2に設けられている孔5を介して、または(図2(b)に示されるように、および特許文献1に記載されるように)トレイ2の上部から突出している液体通過チムニー5を介して、塔の頂部から底部へ分配される。これらの液体通過チムニー5は、トレイ2の下部から突出している二次液体分配手段5’と連通されてもよい。液体が気体通過チムニー4に流れ込むことを防止するために、トレイ2上で開口している気体の出口または入口は、蓋(ベベルとも称される)によって覆われることが好ましい。
【0006】
例えば、塔の良好な動作性、および、気体処理から生じる生成物に関する仕様への適合性を提供するために、塔分配システムは、可能な限り均質な気体相および液体相の分配を保証する必要がある。
【0007】
従来技術による分配トレイ、より詳細には、気体分配を改善するための分配トレイの例が、特許文献2に開示されている。特許文献2に記載の技術では、気体が矩形状のチムニーを上昇し、横方向の穴すなわちスロットを介して流れる。2つの隣接しているスロットの外郭は1/2ピッチだけずれている。特許文献3は、フィンが液体を収集して、中央収集チムニーに接続されている箱に送る装置を開示している。この装置では、気体は、箱の間の空間を流れ、次にフィンの間の空間を流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3006599号明細書(国際公開2014/199035号)
【特許文献2】仏国特許出願公開第2936717号明細書
【特許文献3】米国特許第5464573号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術による分配トレイは、塔の径が大きくなると、特にトレイの縁部において、完全に均一な気体供給速度をかえって実現できなくなる。
【0010】
一般的に、気体/液体コンタクタとして使用するパッキン(packing)が容量性の場合、気体分配の均質性を得ることは非常に困難である。パッキンの容量は、所与の液体の流れに関して塔から溢れることなく、つまり、パッキンの一部に液体が蓄積することなく、循環できる気体の最大量である。パッキンの容量は、多くの要因(チャネルの角度や要素の形状など)に依存し、一般的に、単位容積当たりの接触面積(m/m)である比表面積(幾何表面積とも称される)に反比例する。
【0011】
本発明は、特に大きい径(通常少なくとも3mの径)を有する塔おいて、気体が通過する少なくとも1つのチムニー内に配置される分散材料を使用することによって、気体通過チムニーの出口における気体の速度をより均質に分配することが可能な分配トレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、気体と液体との間で熱および物質の少なくとも一方を交換するための塔の分配トレイ(2)であって、分配トレイを介して前記気体を専用的に通過させる、前記分配トレイ(2)の上部から突出している少なくとも1つのチムニーと、分配トレイを介した液体の通過を可能にする少なくとも1つの手段(液体通過手段)と、を備え、気体を専用的に通過するための少なくとも1つのチムニーの内側に、気体を分散させる分散材料が設けられている分配トレイに関する。
【0013】
本発明の実施形態によると、分散材料は、チムニー内の長手方向および横断面内に均一に設けられてもよい。
【0014】
分散材料は、少なくとも10cmを超える厚さにわたって設けられることが好ましい。
【0015】
本発明の実施形態によると、分散材料は、ランダムパッキンまたは構造化パッキンでもよい。
【0016】
本発明の変形実施形態によると、気体を専用的に通過させるためのチムニーは、実質的に直方体でもよい。
【0017】
本発明の別の変形実施形態によると、気体を専用的に通過させるためのチムニーは、実質的に円筒形でもよい。
【0018】
気体を専用的に通過させるためのチムニー(4)の全ての内側に、気体分散材料が設けられることが好ましい。
【0019】
本発明の実施形態によると、液体通過手段は、液体を通過させる複数の孔および複数のチムニーの少なくとも一方を備えてもよい。
【0020】
本発明の変形実施形態によると、液体通過チムニーは、トレイの上部およびトレイの下部の少なくとも一方から突出してよい。
【0021】
本発明の実施形態によると、トレイは、トレイ上に均一に分配されている複数の液体通過手段を備えてよい。
【0022】
本発明の変形実施形態によると、液体通過手段は、トレイの周縁上に配置されている下降管を含んでもよい。
【0023】
さらに本発明は、気体と液体との間で熱および物質の少なくとも一方を交換するための塔であって、2つの流体は、少なくとも1つの気体/液体コンタクタによって接触され、塔は、流体を気体/液体コンタクタに分配するための分配トレイ(2)を含む。
【0024】
本発明による交換塔の実施形態によると、本発明による少なくとも1つの分配トレイが塔底部に配置されてよい。
【0025】
本発明による交換塔の実施形態によると、塔は複数のセクションを備えてもよく、セクションのそれぞれは、本発明による気体/液体コンタクタおよび分配トレイを備えてもよい。
【0026】
さらに本発明は、気体処理、CO2捕捉、蒸留、脱水、または空気変換の方法のために、本発明による交換塔を用いる、塔の使用方法に関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、特に大きい径(通常少なくとも3mの径)を有する塔おいて、気体が通過する少なくとも1つのチムニー内に配置される分散材料を使用することによって、気体通過チムニーの出口における気体の速度をより均質に分配することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】分配トレイを備えた気体処理塔またはCO捕捉塔の頂部および底部を示す図である。
図2】従来技術による分配トレイを示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態による分配トレイを示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態による分配トレイを示す図である。
図5】本発明による分配トレイの実施形態を示す図である。
図6図6(a)および図6(c)は、それぞれ状来技術による分配器の下流側における平均速度および垂直速度を示し、図6(b)および図6(d)は、それぞれ本発明による分配器の下流側における平均速度および垂直速度を示している。
図7図7(a)および図7(c)は、それぞれ塔径D=3.76mを有する本発明による分配器の下流側における平均速度および垂直速度を示し、図7(b)および図7(d)は、それぞれ塔径D=7mを有する本発明による分配器の下流側における平均速度および垂直速度を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、気体と液体との間で熱および物質の少なくとも一方を交換するための塔の分配トレイであって、トレイを介して気体を専用的に通過させるための、トレイの上部から突出している少なくとも1つのチムニーと、トレイを介した液体の通過を可能にする少なくとも1つの手段と、を備える分配トレイに関する。従来、分配トレイは実質的に円筒形である。分配トレイの上部は、交換塔の頂部に向かって配向されている分配トレイの一部である。
【0030】
本発明による分配トレイは、熱および物質の少なくとも一方を交換するための交換塔における向流に適合されており、気体は気体通過専用チムニーを介して上昇し、液体は液体通過手段を介して流れ落ちる。
【0031】
本発明によると、気体を専用的に通過させることを可能にするチムニーは、トレイの上部から突出する(したがって、チムニーは塔の頂部に向かって配向される)。これらのチムニーは、向流条件下で動作する塔では、気体がトレイの底部(または下部)からトレイの頂部(または上部)へ通過することを可能にする。
【0032】
本発明によると、気体を専用的に通過させるためのチムニーは、液体がチムニーを通過することを防止する少なくとも1つの手段を含んでいる。この手段は、チムニーよりも高い位置にある蓋でもよい。このような蓋は、気体は蓋とチムニーとの間に挟まれた空間から逃れることができるが、(本発明による分配トレイが向流条件下で動作するため、トレイの上部の頂部を介して流れる)液体がチムニーに入るのを防止する。
【0033】
気体通過専用チムニーは、実質的に直方体であることが有利であり、矩形状であることがさらに好ましい。実際、このような外形によって、気体が通過するための広い開口部を設けることができ、それにより圧力の低下を制限することができる。さらに、分配トレイが複数の気体通過チムニーを備えている場合、それらを互いに平行に配置することができる。この代わりに、気体通過専用チムニーを実質的に円筒形にしてもよい。
【0034】
本発明によると、気体を専用的に通過させるための少なくとも1つのチムニーの内側は、気体を分散させる材料、すなわち気体がチムニーを通過する際に気体の分散を実現する材料が設けられ、それによって気体がチムニーを離れる際に、(均質という観点において)より良好な気体の分散を生じさせることができる。分配トレイの全てのチムニーには、分配トレイから下流の気体流体の均質性を促進するように、分散材料が設けられることが好ましい。
【0035】
分散材料は、長手方向(トレイの下部からトレイの上部へ延びる軸方向)に均一、かつ横断面内に均一となるように気体通過専用チムニー内に設けられることが有利である。これにより、チムニーを通過する気体の分散は可能な限り均質となり、チムニーのセクションに対応する、セクション上のチムニーの出口において、一定の気体流を実現する。
【0036】
分散材料は、チムニーの長手方向に沿って少なくとも10cmの厚さにわたって、均一に設けられることが好ましい。この場合、分散材料の厚さ方向を流れ抜ける気体粒子は十分に分散され、チムニーの出口において均質な気体流を実現することができる。分散材料は、気体通過専用チムニーの全高にわたって均一に設けられることが望ましい。
【0037】
少なくとも1つの気体通過専用チムニー内に設けられる分散材料は、ランダムまたは構造化されたタイプのパッキンであることが好ましく、構造化されたタイプがより好ましい。実際、構造化されたタイプのパッキンである構造化パッキンでは、分散媒体の均一な密度を実現することができる。ランダムタイプのパッキンであるランダムパッキンは、不規則であり、例えば、環状またはらせん状などの特定な形状のユニット要素のランダムな積み重ねである。熱および物質の少なくとも一方の交換は、これらのユニット要素内で生じる。これらは金属、セラミック、プラスチック、またはそれと同等な材料で形成されてもよい。欧州特許第1478457号明細書および国際公開2008/067031号は、ランダムパッキンのユニット要素に対する2つの例を開示している。ランダムパッキンは、伝達効率、小さい圧力低下、および、設置の簡易性の観点において、興味深い品質をもたらしている。ランダムパッキンの幾何表面積は、70m/mと250m/mとの間の範囲でもよい。構造化パッキンは、特に仏国特許出願公開第2913353号明細書(米国特許出願公開第2010/0213625号明細書)、米国特許第3679537号明細書および米国特許第4296050号明細書に記載されているように、折り畳まれたプレートまたはシートの積み重ね、波型のもの、または大きいブロックの形態で構成される。熱および物質の少なくとも一方の交換は、これらのプレート上で生じる。構造化パッキンは、所与を代表径に対して、大きい幾何表面積を実現することが可能である利点を有する。構造化パッキンの幾何表面積は、100m/mと500m/mとの間の範囲でもよい。
【0038】
気体を専用的に通過させるためのチムニーの全てに、気体分散材料が設けられることが有利である。
【0039】
液体通過手段は、液体がトレイの上部からトレイの下部へ通過することを可能にする。
【0040】
本発明の実施形態によれば、特に交換塔が複数のセクションを含み、各セクションが気体/液体コンタクタおよび分配トレイから作られる場合、トレイを介した液体の通過を可能にする手段は、トレイの上側およびトレイの下側に突出できるチムニーのセットを含む。液体が液体通過チムニーを通過し、気体通過専用チムニーを通過しないようにするためには、液体通過チムニーの高さは、気体通過チムニーの高さより低いことが好ましい。液体通過チムニーは、実質的に円筒形でもよい。本発明の別の実施形態によれば、トレイを介した液体の通過を可能にする手段は、トレイに設けられた孔の集合からなる。(例えば、層間挿入の構成(inter-bed configuration)を備えた)別の実施形態の例によれば、トレイを介した液体の通過を可能にする手段は、チムニーおよび孔の両方を備える。これらの液体通過手段は、気体通過専用チムニーの間に配置されている。液体通過手段の数は、気体通過専用チムニーの数よりも多いことが好ましい。液体通過手段のピッチは、三角形または正方形とすることができる。気体/液体コンタクタで、良好な液体の搬送および良好な液体の分配を実現するためには、液体通過手段はトレイ全体にわたって、均一に分配されることが好ましい。つまり、液体通過手段は、気体通過チムニー間のトレイの全表面にわたって配置されることが好ましい。
【0041】
代替実施形態として、特に交換塔底部に配置される分配トレイの場合、液体通過手段は下降管でもよい。分配トレイの下降管は、従来、トレイの周縁部に単一通過トレイとして設けられており、塔径によって複数の通過トレイの中央セクションに配置されてもよい。
【0042】
変形実施形態によれば、図示しないが、欧州特許第3034142号明細書(米国特許出願第2016/0175733号明細書)に記載されているように、分配トレイは、少なくとも2つの液体収集レベルおよび分配レベルを備えており、上部レベルからの液体の一部がトレイの底部の下に送られる前に下部レベルを通過し、その一方で、上部レベルに含まれている液体の別の部分が、下部レベルの底部に直接供給されている。この構成によって、液体流量が多い場合、特に液体流量が変化する範囲が広い場合に、空間要件を小さくしたままで液体分配を改善することができる。
【0043】
図3は、本発明による分配トレイ2の非限定的な例を示す。図3は、分配トレイ2の一部の断面図である。図3は、トレイ2の上部から突出している、気体Gを専用的に通過させるための複数のチムニー4と、液体Lをトレイ2の下へ通過させることができる複数の孔5とを備える分配トレイ2を示す。本発明のこの実施形態によれば、気体通過専用チムニー4のいくつかには、気体分散材料6が提供されており、いくつかの気体通過専用チムニー4は気体分散材料6を備えていない。この実施形態によると、全ての気体通過専用チムニー4は、液体がチムニー4を通り抜けるのを防止するための蓋7を備えている。
【0044】
図4の非限定的な例によれば、気体通過専用チムニー4は、直方体であり、トレイ2の上部から突出している。この例では、気体通過専用チムニー4は、広い開口部8を有し、気体は開口部8の表面を通過することができる。この例では、トレイ2を介した液体の通過を可能にする手段5は、気体通過チムニー4の間に設けられている孔に対応する。しかしながら、液体通過手段は、他の手段、特に液体通過チムニーまたは下降管で構成されてもよい。
【0045】
図5に示される別の非限定的な例によれば、気体通過専用チムニー4は、直方体であり、トレイ2の上部から突出し、かつ、トレイ2は、トレイ2の周縁部に配置される下降管9の形態で、トレイ2を介した液体の通過を可能にする手段5を備えている。本実施形態によれば、液体はトレイ2の上部から下部まで下降管9を通過して流れ落ちる。トレイ2の下部からの気体は、本実施形態では、全て気体分散材料6が設けられている気体通過専用チムニー4を介して、向流で塔内を流れる。
【0046】
また、本発明は、2つの流体間で物質および熱の少なくとも一方の交換のための塔に関し、2つの流体は少なくとも1つの気体/液体コンタクタによって接触されており、塔は、少なくとも1つの液体流体用の第1の入口、少なくとも1つの気体状流体用の第2の入口、少なくとも1つの気体状流体用の第1の出口、および少なくとも1つの液体流体用の第2の出口を備えている。また塔は、上述の少なくとも1つの分配トレイを備えており、気体を気体/液体コンタクタに均質に分配することができる。
【0047】
本発明の実施形態によれば、塔は、塔底部に配置される上述の分配トレイを備えている。塔底部の分配器は、気体相の事前分配装置の前に置かれることが好ましい。
【0048】
本発明の実施形態によれば、塔はいくつかのセクションを含んでおり、各セクションは上述の気体/液体コンタクタおよび分配トレイを含む。
【0049】
気体/液体コンタクタは、構造化パッキン層であることが有利である。代替案としては、気体/液体コンタクタは、ランダムパッキン層でもよい。
【0050】
気体および液体は、向流条件下で塔を介して流れることが好ましい。
【0051】
本発明による塔は、気体処理、CO捕捉(例えば、アミン洗浄)、蒸留、脱水、または空気変換の方法に使用することができる。さらに、本発明は任意の溶媒タイプで使用することができる。
【実施例】
【0052】
本発明の利点を例示するために、ここから、本発明に係る交換塔を使用して得られた結果と、従来技術の塔(少なくとも1つの気体通過専用チムニーに、気体分散材料を用いない塔)を使用して得られた結果とを比較する。
【0053】
したがって、第1の例によれば、3.76m径の交換塔を考える。この塔は、塔底部に配置された、本発明による単一の分配トレイを備えている。このトレイは、矩形の気体通過専用チムニーを備えており、各チムニーには蓋が載せられており、各チムニーには構造化パッキンの形態の気体分散材料が設けられている。本発明による塔の主な特性を、以下に記載する。
− 分配トレイの高さ:1.4m
− 気体通過専用チムニーの数:6
− チムニーの高さ:0.555m
− 気体チムニー内の構造化パッキンの厚さ:0.555m
− チムニーと蓋との間の距離:0.1m
− チムニーの出口とパッキン層(多孔材料で作られたパッキン)との間の距離:0.9m
− 塔内の表面気体速度:Vsg=0.35m/s
− 気体の反応速度因子:2.7Pa0.5
− 圧力:大気圧
− 温度:25℃
【0054】
気体分配の観点から、本発明による上記の塔の性能は、全ての気体通過チムニー内に分散材料が存在する点以外は同じ特性を有する従来技術による塔(少なくとも1つの気体通過専用チムニーに、気体分散材料を用いない塔)の性能と比較した。
【0055】
図6(a)および図6(c)は、それぞれ従来技術による分配器の下流側における平均速度(または速度ノルム)および垂直速度を示し、図6(b)および図6(d)は、それぞれ本発明による分配器の下流側における平均速度(または速度ノルム)および垂直速度を示す。従来技術による分配トレイと本発明による分配トレイによって得られた結果とを比較すると、速度は、本発明による分配トレイを備える塔が、より均質であることを明確に示している。特に、本発明による分配トレイの場合、従来技術による塔において塔壁の縁部で観測された速度超過が消失している点に留意すべきである。
【0056】
発明の第2の実施例は、塔径が3.76mから7mに変更されている点以外は、上記の第1の実施例と同じ特性を有する、本発明による分配トレイを備えている交換塔を考える。気体分配の観点から、本実施例によるこの塔の性能が、第1の実施例で記載された本発明による3.76m径の塔の性能と比較した。2つの塔の間の結果は、パッキン層から5cm上流で比較した。
【0057】
図7(a)および図7(c)は、それぞれ発明の第1の実施例(塔径D=3.76m)による分配器の下流側における平均速度(または速度ノルム)および垂直速度を示し、図7(b)および図7(d)は、それぞれ第2の実施例(塔径D=7m)よる分配器の下流側における平均速度(または速度ノルム)および垂直速度を示す。これらの図から、塔径を大きくしても、塔の縁部を含めて、速度が均等に維持されていることが観測される。したがって、本発明による分配トレイでは、大きい径の塔の場合でも効率的な動作が保証されることは明確である。
【0058】
したがって、本発明による分配トレイは、交換塔内のより均質な気体の分配を可能にする。このような改善によって、交換塔が大きい径の場合でも、塔から液体があふれるリスクを防止しつつ、分配トレイと気体/液体コンタクタとの間の高さを低くすることができる。したがって本発明による分配トレイは、気体相と液体相との間のより良好な接触に貢献し、それによってより良好な移動に貢献する。
【符号の説明】
【0059】
1 気体処理塔
2 分配トレイ
3 セクション
4 チムニー
5 液体通過チムニー
6 気体分散材料
7 蓋
8 開口部
9 下降管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7