【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有するデバイスによって解決される。好ましい実施形態は、対応する従属請求項に明記される。
【0006】
請求項1によれば、人(または動物)、特に未熟児の皮膚を通して検体が受動的に拡散した、前記動物または人の血液または組織中のその検体の濃度を測定するためのデバイスは、前記検体に対する(例えば、メンブレンの第1および第2の状態に例えば対応する)少なくとも第1および第2の透過性を備える手段を備え、前記検体に対する第1の透過性は、検体に対する第2の透過性とは異なる。
【0007】
これは、動物または人の血液または組織中の所望の検体の濃度を自己較正の方法で測定することを原理的に許容する。
【0008】
好ましい実施形態によれば、プローブヘッドは、メンブレンが第1の状態にあってプローブヘッドが皮膚と接触するときに、前記動物もしくは人の皮膚を通して例えば受動的に拡散した、検体が前記メンブレンを通して拡散することが可能であるように、かつメンブレンが第2の状態にあってプローブヘッドが本人の皮膚と接触するときに、検体が前記メンブレンを通して拡散することが可能であるように、前記メンブレンが前記検体に対する第1の透過性を備える、前記第1の状態と、前記メンブレンが前記検体に対する第2の透過性を備える、前記第2の状態との間で(可逆的に)スイッチされるように設計された前記メンブレンを備え、前記第1の透過性は、前記第2の透過性とは異なる。
【0009】
さらに、代わりに、プローブヘッド(またはプローブヘッド手段)は、(第1の)メンブレンおよびさらなる(第2の)メンブレンを備え、プローブヘッドが皮膚と接触するときに、前記動物もしくは人の皮膚を通して例えば受動的に拡散した、前記検体がメンブレンを通して拡散することが可能であるように、かつプローブヘッドが本人の皮膚と接触するときに、前記検体がさらなるメンブレンを通して拡散することが可能であるように、前記メンブレンは、前記検体に対する第1の透過性を備え、前記さらなるメンブレンは、前記検体に対する第2の透過性を備え、第1の透過性は、第2の透過性とは異なる。
【0010】
可能な検体は、最も好ましいグルコースだけでなく、カフェイン、尿素、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、乳酸塩、オピオイド、コカイン、アンモニア、クレアチニン、ビリルビン、または未処理もしくは処理済の皮膚さえも通るすべての分子である。
【0011】
本発明によるこの解決法は、以下に示されるように有利な方法での患者の血液中の所望の検体(例えば、グルコース)の濃度の自己較正測定を許容する。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば(前記2つの状態を有するメンブレンが採用されるケースでは)、デバイスは、好ましくは、前記2つの状態間で前記メンブレンをスイッチするためのスイッチング手段を備える。
【0013】
本発明のある実施形態では、かかるスイッチング手段は、メンブレンを1つの状態から他の状態へスイッチするために電磁放射、特に光をメンブレンに照射するように設計される。
【0014】
さらなる実施形態では、スイッチング手段は、メンブレンを1つの状態から他の状態へスイッチするために電界および/または(例えば、一定)磁界をメンブレンに印加するように設計されてもよい。
【0015】
さらなる実施形態では、スイッチング手段は、メンブレンを1つの状態から他の状態へスイッチするために前記メンブレンと接触する媒体のpH値を変化させるように設計されてもよい。
【0016】
さらなる実施形態では、スイッチング手段は、メンブレンを1つの状態から他の状態へスイッチするためにメンブレンの温度を変化させるように設計されてもよい。
【0017】
さらに別の実施形態では、スイッチング手段は、メンブレンを1つの状態から他の状態へスイッチするために前記メンブレンに圧力および/または剪断応力をかけるように設計されてもよい。
【0018】
好ましい実施形態によれば、前記スイッチング手段は、前記メンブレンを照明するように設計される光源を備え、光源は、メンブレンを第1の状態へスイッチするための第1の波長を備える光でメンブレンを照明するように特に設計され、かつ光源は、メンブレンを第2の状態へスイッチするための第1の波長とは異なる第2の波長を備える光でメンブレンを照明するように特に設計される。
【0019】
好ましくは、スイッチング手段は、メンブレンを1つの状態から他の状態へスイッチするためのそれぞれの光をメンブレンに照射できるように、光源の前記光をメンブレンの方へ導くための光ガイドを備える。
【0020】
好ましくは、前記メンブレンを通して皮膚からまたは皮膚へ拡散する前記検体を受け取るために、プローブヘッドは、前記メンブレンに隣接して拡散チャンバを備える。
【0021】
さらに、好ましくは、拡散チャンバは、灌流媒体を拡散チャンバ中へ供給するための入口、および、特に前記メンブレンを通して拡散する前記検体を拡散チャンバ外へ輸送すべく、前記灌流媒体を拡散チャンバから排出するための出口を備える。
【0022】
患者の血液または組織中の検体の濃度を測定するために、システムは、好ましくは、本発明の実施形態による分析手段を備え、前記分析手段は、第1の状態にあるメンブレンを通して拡散された(例えば、流動性灌流媒体中の)検体の第1の濃度を測定するように設計され、前記分析手段は、第2の状態にあるメンブレンを通して拡散された(例えば、流動性灌流媒体中の)検体の第2の濃度を測定するように設計され、特に、分析手段は、(例えば、前記灌流媒体中の)検体の前記第1および第2の濃度C
mlおよびC
mhを用いて血液または組織中の検体の濃度を測定するように設計される。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記分析手段は、前記灌流媒体をそれぞれの透過液とともに分析手段へ輸送できるように、拡散チャンバの前記出口へ接続される。
【0024】
好ましくは、デバイスは、検体が第1の状態にあるメンブレンを通して拡散したときには灌流媒体が検体の第1の濃度を備えるように、かつ検体が第2の状態にあるメンブレンを通して拡散したときには灌流媒体が検体の第2の濃度を備えるように、拡散チャンバを通して灌流媒体を、メンブレンを通して拡散する検体を伴って導くように設計される。
【0025】
検体は、動物もしくは人の皮膚を通して拡散し、その後、メンブレンを通して灌流媒体中へ拡散しうることに注目すべきである。しかしながら、灌流媒体が十分高い濃度の検体を含むケースでは、検体がメンブレンを通して動物もしくは人の皮膚の方へ拡散する。このように、メンブレンの透過性に依存して灌流媒体中の検体の濃度も変化する。
【0026】
灌流媒体は、次に、検体の第1および第2の濃度を測定するように設計された分析手段の方へ検体を運ぶ。
【0027】
検体に対する透過性が異なる2つのメンブレンが採用されるケースでは、プローブヘッド手段は、前記検体を受け取るために前記メンブレンに隣接した第1の拡散チャンバ、および前記検体(異なる濃度)を受け取るために前記さらなるメンブレンに隣接した第2の拡散チャンバを備える。好ましくは、第1の拡散チャンバは、灌流媒体を第1の拡散チャンバ中へ供給するための入口、および、特に前記灌流媒体を検体とともに第1の拡散チャンバ外へ輸送すべく、前記灌流媒体を第1の拡散チャンバ外へ排出するための出口を備える。さらに、好ましくは、第2の拡散チャンバは、灌流媒体を第2の拡散チャンバ中へ供給するための入口、および、特に前記灌流媒体を検体とともに第2の拡散チャンバ外へ輸送すべく、前記灌流媒体を第2の拡散チャンバ外へ排出するための出口を備える。
【0028】
プローブヘッドに関して、考えられるのは、前記プローブヘッドが前記第1の拡散チャンバおよび前記メンブレンを備える第1のプローブヘッド、ならびに前記第2の拡散チャンバおよび前記さらなるメンブレンを備える第2のプローブヘッドへ分離されることである。しかしながら、プローブヘッドは、両方のメンブレンおよび拡散チャンバを含む単一のプローブヘッドによって形成されてもよい。
【0029】
検体に対する異なる透過性を有する2つのメンブレンが採用されるケースでは、分析手段は、メンブレンを通して拡散された(例えば、灌流媒体中の)検体の第1の濃度、およびさらなるメンブレンを通して拡散された(例えば、灌流媒体中の)検体の第2の濃度を測定するように設計される。この場合もやはり、分析手段は、好ましくは、前記第1および第2の濃度を用いて血液または組織中の検体の濃度を測定するように設計される。さらに、流動性灌流媒体に依存して(上記参照)、検体は、皮膚からそれぞれのメンブレンを通してそれぞれの拡散チャンバ中へ、またはそれぞれの拡散チャンバからそれぞれのメンブレンを通して本人の皮膚の方へ拡散しうる。
【0030】
第1または第2の検体濃度を含む灌流媒体を受け取るために前記灌流媒体を検体とともに分析手段へ輸送できるよう、分析手段が前記出口へ接続される。
【0031】
有利なことに、前記測定される2つの濃度は、さらなる較正なしに本人の血液(または皮膚)中の検体濃度を推定することを許容する。このように、本発明によるデバイスは、前記検体濃度の自己較正による推定を許容する。
【0032】
これは、以下のように達成される。皮膚およびメンブレン(または前記第1および第2のメンブレン)を通しての前記検体の受動拡散は、フィックの法則:
C
g,body−C
g,sensor=F
g(R
g+R
m) (1)
によってモデリングされ、ここでC
g,bodyは、所望の血中検体(例えば、グルコース)濃度、C
g,sensorは、拡散チャンバにおける(または第1および第2の拡散チャンバにおける)の検体濃度、F
gは、皮膚およびメンブレンを通しての検体流量、R
gは、検体拡散に対する皮膚抵抗、R
mは、検体拡散に対するメンブレン抵抗であり、状態ごとに1つ、または第1のメンブレンに対して1つおよび第2のメンブレンに対して他の1つ(上記参照)の2つの値を有する。未知数は、血中検体濃度C
gおよび検体拡散に対する皮膚抵抗R
gである。濃度および検体拡散流量を前記メンブレンの両方の状態(すなわち、両方の抵抗)に対して、または(of)第1および第2のメンブレンに対して測定することで、皮膚抵抗および血中検体濃度の両方を決定できる。
【0033】
好ましくは、濃度勾配を高く、従って、検体拡散流量を高く保つために、微小透析セットアップにおいて拡散チャンバ(または2つの拡散チャンバ)が灌流媒体(灌流液とも表される)でフラッシュされる。かくして、それぞれの拡散(または微小透析)チャンバを通る流れの流線にわたって一旦積分されると、式(1)は、
【0034】
【数1】
【0035】
となり、項
【0036】
【数2】
【0037】
は、透析物抽出比とも称され、ここでQ
dは、透析物流量であり、A
mは、メンブレンと接触した微小透析または拡散チャンバの面積である。
【0038】
【数3】
【0039】
であれば、(3)における透析物抽出比を線形化できる。その時には、式(2)は、以下のようになる。
【0040】
【数4】
【0041】
次に、2つの対応するメンブレン状態/透過性に対する(または2つのメンブレンに対する)2つの濃度C
mlおよびC
mh、ここでインデックスmlは、低抵抗(すなわち、高透過性)を表し、インデックスmhは、高抵抗(すなわち、低透過性)を表す、あるいは、2つのメンブレン抵抗値R
mlおよびR
mhを測定することで、(C
ml=C
g,sensor(R
m=R
ml)およびC
mh=C
g,sensor(R
m=R
mh)を用いて)(4)から血中グルコース濃度を得る:
【0042】
【数5】
【0043】
好ましくは、次の近似が用いられ、
R
ml<<R
mh,R
mh=Rgおよび
R
G=1’200’000scm
−1
Q
d=5μLmin
−1
A
m=4cm
2
結果として
C
g,body=Q
dR
gC
mlC
mh/(
Cml−C
mh) (5’)
が得られる。
【0044】
それに対応して、本発明のある実施形態では、本発明によるデバイスの前記分析手段は、好ましくは、関係(5)または(5’)を用いることによって、検体(ここでは例えば、グルコース)の血液の濃度を決定するように設計される。
【0045】
前記メンブレンに2つ以上の状態が実装されていれば、前記検体の血中濃度C
g,bodyを式(2)または(4)に従って決定するためには、従来の方法で検体拡散に対する皮膚抵抗R
gが一旦測定されると、メンブレンの1つの状態のみに対応する灌流法での検体濃度の1つの測定結果で十分である。
【0046】
必要に応じて、前記分析手段は、2つの対応する異なるメンブレンまたはメンブレン状態に対する2つの測定結果C
ml=C
g,sensor(R
m=R
ml)およびC
mh=C
g,sensor(R
m=R
mh)に関して式(2)も非線形較正アルゴリズムとともに採用するであろう。
【0047】
分析手段は、前記濃度C
mlおよびC
mhを[1]に記載されるような蛍光測定によって測定するためのマイクロ流体チップを備えてもよい。
【0048】
本発明のさらなる実施形態によれば、分析手段および/またはマイクロ流体チップは、プローブヘッド中に一体化される。特に、プレートまたは層の形態を備えるマイクロ流体チップ(または分析手段)は、前記メンブレンから見て反対側の(同じく、プレートまたは層の形態を備える)拡散チャンバの頂部に配置される。かかる一体化デバイスのさらなる特徴は、いくつかの図を参照して以下に記載される。
【0049】
さらなる実施形態によれば、メンブレンおよび/またはさらなるメンブレンは、フォトクロミック化合物またはその部分を含む。
【0050】
本発明の文脈におけるフォトクロミック化合物は、少なくとも2つの形態を呈示する化合物を指し、少なくとも2つの形態は、電磁放射の吸収によって誘起された1つの形態から他の形態への可逆的変換を経ることが可能であり、少なくとも2つの形態は、異なる吸収スペクトルを有する。変換は、共有結合形成、共有結合切断、シス・トランス異性化、異方性開環または閉環のような反応を含みうる。
【0051】
さらなる実施形態によれば、前記メンブレンおよび/またはさらなるメンブレンは、例えば、多孔質ポリカーボネートから形成され、前記メンブレンおよび/またはさらなるメンブレンは、スピロベンゾピラン部分またはスピロオキサジン部分をさらに含む。
【0052】
特に、メンブレンおよび/またはさらなるメンブレンは、スピロベンゾピラン部分またはスピロオキサジン部分を含む第1のポリマーを含むか、またはそれらからなる。より詳しくは、第1のポリマー、特に多孔質ポリカーボネートは、化合物または第2のポリマーがグラフトされ、化合物または第2のポリマーは、スピロベンゾピラン部分またはスピロオキサジン部分を含む。
【0053】
好ましくは、前記メンブレンおよび/またはさらなるメンブレンは、スピロオキサジン部分またはスピロベンゾピラン部分を含む両親媒性ネットワークを含む。
【0054】
本発明の文脈におけるスピロベンゾピラン部分は、分子式1
【0055】
【化1】
【0056】
を特徴とする化合物を特に指し、Lは、リンカー、特にメンブレンおよび/またはさらなるメンブレンあるいは第1のポリマー、化合物または第2のポリマーへのリンカーであり、特にリンカーLは、少なくとも1つのメチレン基(−CH
2−)を含み、R
1は、HおよびNO
2から選択される、
【0057】
本発明の文脈におけるスピロオキサジン部分は、分子式2a、2b、2cまたは2d:
【0058】
【化2】
【0059】
を特徴とする化合物を特に指し、Lは、上記の意味を有し、
【0060】
L
1およびL
2は、リンカーであり、特にL
1およびL
2のうちの一方は、メンブレンおよび/またはさらなるメンブレンあるいは第1のポリマー、化合物または第2のポリマーへのリンカーであり、L
1およびL
2のうちの他方は、追加の化合物またはポリマーへのリンカーであり、特に追加の化合物またはポリマーは、追加のスピロベンゾピラン部分または追加のスピロオキサジン部分を備えてもよく、
【0061】
R
2およびR
3は、−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2−および−O−C(O)−CH=CH
2、−NO
2、水素またはアルキル、特にCH
3から互いに独立して選択され、
【0062】
R
4は、水素またはアルキル、特にCH
3である。
【0063】
いくつかの実施形態において、スピロベンゾピラン部分は、分子式3:
【0064】
【化3】
【0065】
を特徴とするスピロ化合物に由来し、
【0066】
R
1は、上記の意味を有し、
【0067】
R
5は、−CH
2−CH
2−O−C(O)−CH=CH
2、−CH
2−CH
2−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2、−CH
2−CH
2−C(O)−O−CH
2−CH
2−O−C(O)−CH=CH
2および−CH
2−CH
2−C(O)−O−CH
2−CH
2−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2から選択される。
【0068】
いくつかの実施形態において、スピロオキサジン部分は、分子式4:
【0069】
【化4】
【0070】
を特徴とするスピロ化合物に由来し、
【0071】
R
2およびR
3は、−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2−、−O−C(O)−CH=CH
2、−NO
2、水素またはアルキル、特にCH
3から互いに独立して選択され、
【0072】
R
6は、R
2およびR
3のうちの少なくとも1つが−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2−または−O−C(O)−CH=CH
2であることを条件として、−CH
2−CH
2−O−C(O)−CH=CH
2、−CH
2−CH
2−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2、−CH
2−CH
2−C(O)−O−CH
2−CH
2−O−C(O)−CH=CH
2、−CH
2−CH
2−C(O)−O−CH
2−CH
2−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2、水素およびアルキル、特にCH
3から選択されるか、あるいはR
6は、−CH
2−CH
2−O−C(O)−CH=CH
2、−CH
2−CH
2−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2、−CH
2−CH
2−C(O)−O−CH
2−CH
2−O−C(O)−CH=CH
2または−CH
2−CH
2−C(O)−O−CH
2−CH
2−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2である。
【0073】
いくつかの実施形態において、R
6は、水素またはアルキル、特にCH
3であり、R
2およびR
3のうちの少なくとも1つは、−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2−または−O−C(O)−CH=CH
2である。
【0074】
いくつかの実施形態において、R
2およびR
3のうちの少なくとも1つは、NO
2、水素またはアルキル、特にCH
3であり、R
6は、−CH
2−CH
2−O−C(O)−CH=CH
2、−CH
2−CH
2−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2、−CH
2−CH
2−C(O)−O−CH
2−CH
2−O−C(O)−CH=CH
2または−CH
2−CH
2−C(O)−O−CH
2−CH
2−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2である。
【0075】
いくつかの実施形態において、スピロベンゾピラン部分は、SP5(2−(3’,3’−ジメチル−6−ニトロ−スピロ[クロメン−2,2’−インドリン]−1’−イル)エタノール)、(2−(3’,3’−ジメチル−6−ニトロ−スピロ[クロメン−2,2’−インドリン]−1’−イル)エチル2−メチルプロパ−2−エノアート)、(2−(3’,3’−ジメチル−6−ニトロ−スピロ[クロメン−2,2’−インドリン]−1’−イル)エチルプロパ−2−エノアート)、SP12(3−(3’,3’−ジメチル−6−ニトロ−スピロ[クロメン−2,2’−インドリン]−1’−イル)プロパン酸)、SP14(2−[3−(3’,3’−ジメチル−6−ニトロ−スピロ[クロメン−2,2’−インドリン]−1’−イル)プロパノイルオキシ]エチル2−メチルプロパ−2−エノアート)、およびSP16(2−プロパ−2−エノイルオキシエチル3−(3’,3’−ジメチル−6−ニトロ−スピロ[クロメン−2,2’−インドリン]−1’−イル)プロパノアートから選択されたスピロ化合物に由来する。
【0076】
いくつかの実施形態において、スピロオキサジン部分は、SO37(1’,3’,3’−トリメチルスピロ[ベンゾ[f][1,4]ベンゾオキサジン−3,2’− インドリン]−9−オール)、SO39(1’,3’,3’−トリメチルスピロ[ベンゾ[f][1,4]ベンゾオキサジン−3,2’− インドリン]−9−イル)2−メチルプロパ−2−エノアート、SO50((1’,3’,3’−トリメチルスピロ[ベンゾ[f][1,4]ベンゾオキサジン−3,2’− インドリン]−9−イル)プロパ−2−エノアート、およびSO49((5’−アセトキシ−1’,3’,3’−トリメチルスピロ[ベンゾ[f][1,4]ベンゾオキサジン−3,2’− インドリン]−9−イル)プロパ−2−エノアートから選択されたスピロ化合物に由来する。
【0077】
さらに、本発明による課題は、動物または人、特に未熟児の血液または組織中の検体の濃度を測定するための請求項18による方法によって解決され、前記濃度、および特に前記動物または前記人の皮膚抵抗を測定するために、検体は、前記検体に対する第1の透過性を備える手段を通して、また前記検体に対する第2の透過性を備える手段を通して拡散され、前記2つの透過性は異なる。前記手段は、メンブレンが第1の透過性を備える第1の状態を備える第1の状態、およびメンブレンが第2の透過性を備える第2の状態を備える単一のメンブレンを備えてもよい。代わりに、前記手段は、第1の透過性を(例えば、永続的に)備えるメンブレン、および第2の透過性を(例えば、永続的に)備える別のさらなるメンブレンによって形成されてもよい。
【0078】
好ましい実施形態において、方法は、
−(前記動物もしくは前記人の皮膚を通して例えば受動的に拡散された)検体を前記検体に対する第1の透過性を備えるメンブレンを通して拡散させるステップと、
−(前記動物もしくは前記人の皮膚を通して例えば受動的に拡散された)検体をさらなるメンブレンを通して、または前記検体に対する第2の透過性を備える前記メンブレンを通して拡散させるステップと、
−第1の透過性を備えるメンブレンを通して拡散する検体の第1の濃度、および第2の透過性を備えるメンブレンを通して、または第2の透過性を備えるさらなるメンブレンを通して拡散する検体の第2の濃度を測定するステップと、
−前記第1および第2の濃度を用いて血液もしくは組織中の前記検体の濃度を決定するステップと
を含む。
【0079】
好ましくは、本発明によるデバイスは、本発明による方法を実施するために用いられる。
【0080】
好ましくは、(検体に関してそれぞれが異なる透過性をもつ)2つの状態を有するメンブレンが用いられるときに、メンブレンは、第1の状態にされる。
【0081】
好ましくは、(患者の皮膚を通して例えば受動的に拡散された)検体は、第1の状態にあるメンブレンを通して拡散されて、次に、好ましくは、拡散チャンバにおいて好ましくは灌流媒体中に収集される。代わりに、検体が拡散チャンバから(例えば、灌流媒体外へ)第1の状態にあるメンブレンを通して皮膚の方へ拡散することもある(このケースでは灌流媒体が検体をまさに最初から含み、ここでも同様に検体の特定の第1の濃度が灌流媒体中で確立される、上記参照)。第1の透過性は、第2の透過性より高くてもよい(逆もまた同様)。
【0082】
好ましくは、第1の濃度の検体を伴う灌流媒体は、特に検体を分析手段へ運ぶ灌流媒体を、拡散チャンバを通してポンピングすることによって分析手段へ輸送される。
【0083】
好ましくは、流動性灌流媒体中の検体の第1の濃度が測定されて、特に分析手段によって記憶される。
【0084】
好ましくは、メンブレンは、次に、特にメンブレンを第1の状態に保つために第1の波長の光をメンブレン上に照射することによって、および次にメンブレンを第2の状態にスイッチしてその状態に保つためにメンブレンに第2の波長の光を照射することによって、第1の状態から第2の状態へスイッチされる。上記のその他の方法が用いられてもよい。
【0085】
次に、好ましくは、(患者の皮膚を通して例えば受動的に拡散された)検体が第2の状態にあるメンブレンを通して拡散されて、次に、好ましくは、拡散チャンバにおいて好ましくは灌流媒体中に収集される。代わりに、検体が拡散チャンバから(例えば、灌流媒体外へ)第2の状態にあるメンブレンを通して皮膚の方へ拡散することもある(このケースではやはり灌流媒体が検体をまさに最初から含み、ここでも同様に検体の特定の第2の濃度が灌流媒体中で確立される、上記参照)。
【0086】
好ましくは、(前の第1の濃度より低いかまたは高い)検体の第2の濃度を示す灌流媒体は、特に検体を分析手段へ運ぶ灌流媒体を、拡散チャンバを通してポンピングすることによって分析手段へ輸送される。
【0087】
好ましくは、流動性灌流媒体中の検体の第2の濃度が測定される。
【0088】
好ましくは、次に、2つの測定濃度を用いて分析手段によって、例えば、上記のように関係(5)または(5’)を用いることによって血液中(例えば、グルコース)または皮膚中の検体の濃度が決定される。
【0089】
分析手段は、2つの測定濃度、例えば、上記の前記関係(5)または(5’)を用いて当人の血液または組織中の検体の濃度を決定するようになっているプログラムコードを備える、適切なコンピュータープログラムが実行されるコンピュータを備えてもよい。
【0090】
(第1の)メンブレンおよびさらなる(第2の)メンブレンが用いられるケースでは、方法は、好ましくは以下のように実施される、すなわち、
【0091】
好ましくは、(患者の皮膚を通して例えば受動的に拡散された)検体は、前記検体が第1のメンブレンを通して拡散するように皮膚を第1のメンブレンと接触させることによって、第1のメンブレンを経由してプローブヘッドの第1の拡散チャンバにおいて(例えば、灌流媒体中に)収集される。代わりに、検体が第1の拡散チャンバから(例えば、灌流媒体外へ)(第1の)メンブレンを通して皮膚の方へ拡散することもある(このケースでは灌流媒体が検体をまさに最初から含み、ここでも同様に検体の特定の第1の濃度が灌流媒体中で確立される、上記参照)。第1の透過性は、第2の透過性より高くてもよい(逆もまた同様)。
【0092】
好ましくは、検体の第1の濃度を示す灌流媒体は、特に検体を分析手段へ運ぶ灌流媒体を第1の拡散チャンバを通してポンピングすることによって分析手段へ輸送される。
【0093】
好ましくは、灌流媒体中の検体の(第1の)濃度が測定されて、特に分析手段によって記憶される。
【0094】
次に、好ましくは、(患者の皮膚を通して例えば受動的に拡散された)検体は、検体が第2のメンブレンを通して拡散するように皮膚を第2のメンブレンと接触させることによって、第2のメンブレンを経由してプローブヘッドの第2の拡散チャンバにおいて(例えば、灌流媒体中に)収集される。
【0095】
第1および第2の拡散チャンバにおいて検体を収集するステップは、原理的に同時に、すなわち、並行して行うことができる。
【0096】
好ましくは、(第1の濃度より低いかまたは高い) 検体の第2の濃度を示す灌流媒体は、特に検体を分析手段へ運ぶ灌流媒体を第2の拡散チャンバを通してポンピングすることによって分析手段へ輸送される。
【0097】
好ましくは、流動的灌流媒体中の検体の第2の濃度が測定される。原理的に、検体の2つの濃度は、同時に、すなわち、並行して測定されてもよい。
【0098】
好ましくは、次に、2つの測定濃度を用いて分析手段によって、例えば、上記のように関係(5)または(5’)を用いることによって血液中(例えば、グルコース)または皮膚中の検体の濃度が決定される。
【0099】
かさねて、分析手段は、2つの測定濃度、例えば、上記の前記関係(5)または(5’)を用いて当人の血液または組織中の検体の濃度を決定するようになっているプログラムコードを備える、適切なコンピュータープログラムが実行されるコンピュータを備えてもよい。
【0100】
有利なことに、本発明による方法は、早産児の皮膚のように非常に透過性の高い皮膚にとって非侵襲的であり、あるいは皮膚の透過性が非常に高い検体(すなわち、未処理の皮膚を測定可能な量で通過するすべての分子、例えば、早産の新生児に対するグルコース)を非侵襲的に測定できる。このケースでは、血中検体濃度を測定するために侵襲的な方法(例えば、マイクロニードル)を全く必要としない。
【0101】
しかしながら、本発明による方法は、透過性がより低い皮膚に用いられてもよい。本明細書では、本発明による方法を実施する前に、所望の検体に対する皮膚の透過性を十分高めるために低侵襲の方法(例えば、皮膚を穿刺するマイクロニードル、皮膚剥削、レーザ・アレイを用いたマイクロドリル加工または他の化学的、電磁気的、熱的および機械的方法による角質層の薄層化)によって患者の皮膚が用意されてもよい。
【0102】
さらに、本発明に従って所望の検体を測定する前に、ソノフォレシス、電気泳動法によって、または表面皮膚層を機械的また化学的に除去することによってその透過性を増加させるように皮膚が用意されてもよい。
【0103】
独立請求項として明記されてもよい発明のさらなる態様によれば、デバイスが提供され、検体は、動物もしくは人の皮膚を通して拡散していないが、その濃度が未知のリザーバから、拡散に対するその抵抗が未知のバリアを通して受動的に拡散しており、その検体がこのデバイスによって測定されるであろう。
【0104】
本発明のさらなる特徴および利点が実施形態の詳細な記載により図面を参照して説明されるであろう。