(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983076
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】てんかんの治療におけるカンナビノイドの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20211206BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20211206BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
A61K31/05
A61K36/185
A61P25/08
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-565998(P2017-565998)
(86)(22)【出願日】2016年6月16日
(65)【公表番号】特表2018-521042(P2018-521042A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】GB2016051792
(87)【国際公開番号】WO2016203239
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2019年6月13日
(31)【優先権主張番号】1510664.4
(32)【優先日】2015年6月17日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517437896
【氏名又は名称】ジーダブリュー リサーチ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ギー,ゲオフリー
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ミード,アリス
(72)【発明者】
【氏名】チートハム,エマ
(72)【発明者】
【氏名】デビンスキー,オリン
(72)【発明者】
【氏名】シラー,ドミニック
【審査官】
前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−532093(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/184127(WO,A2)
【文献】
特表2008−543800(JP,A)
【文献】
特表2009−514890(JP,A)
【文献】
特表2014−501271(JP,A)
【文献】
Epilepsia,2014年,55(6),p.783-786
【文献】
Epilepsy Behav,2013年,29(3),p.574-577
【文献】
The Journal of pharmacology and experimental therapeutics,1977年,201(1),p.26-32
【文献】
Epilepsia,2014年,55(6),p.791-802
【文献】
Pediatric Neurology,2015年,52,p.544-547
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61P 25/00
A61K 36/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラベ症候群における焦点性発作の治療の為の剤であって、該剤がカンナビジオール(CBD)を含み、該CBDが、98%(w/w)以上のCBDを含む大麻の高度精製抽出物の形態であるか、又は合成化合物として存在し、該CBDが、5mg/kg/日の用量で用意され、それが、25mg/kg/日の最大用量まで、2〜5mg/kgの増分で漸増されることを特徴とする、前記剤。
【請求項2】
前記焦点性発作が機能障害を伴う焦点性発作である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
前記ドラベ症候群が治療抵抗性である、請求項1又は請求項2に記載の剤。
【請求項4】
前記抽出物に含まれるテトラヒドロカンナビノール(THC)が0.15%未満である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の剤。
【請求項5】
前記抽出物に含まれるカンナビジバリン(CBDV)が1%以下である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の剤。
【請求項6】
1種以上の併用抗てんかん薬(AED)をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の剤。
【請求項7】
1種以上のAEDが、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、クロニジン、クロラゼプ酸塩、デスメチルクロバザム、ジアゼパム、エトスクシミド、フェルバメート、ケトン食療法、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ロラゼパム、ミダゾラム、N−デスメチルクロバザム、ノルジアゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、ルフィナミド、スチリペントール、トピラマート、トラゾドン、迷走神経刺激、バルプロ酸、ビガバトリン及びゾニサミドからなる群から選択される、請求項6に記載の剤。
【請求項8】
CBDと併用される抗てんかん薬の種類の数が、CBDでの治療前のAEDの数に比べて低減されている、請求項6又は7に記載の剤。
【請求項9】
CBDと併用される抗てんかん薬の用量が、CBDでの治療前のAEDの用量に比べて低減されている、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の剤。
【請求項10】
ドラベ症候群における焦点性発作の治療の為のキットであって、該キットが、請求項1〜5のいずれか1項に記載の剤と、1種以上の併用抗てんかん薬(AED)とを含む、前記キット。
【請求項11】
1種以上のAEDが、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、クロニジン、クロラゼプ酸塩、デスメチルクロバザム、ジアゼパム、エトスクシミド、フェルバメート、ケトン食療法、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ロラゼパム、ミダゾラム、N−デスメチルクロバザム、ノルジアゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、ルフィナミド、スチリペントール、トピラマート、トラゾドン、迷走神経刺激、バルプロ酸、ビガバトリン及びゾニサミドからなる群から選択される、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
CBDと併用される抗てんかん薬の種類の数が、CBDでの治療前のAEDの数に比べて低減されている、請求項10又は11に記載のキット。
【請求項13】
CBDと併用される抗てんかん薬の用量が、CBDでの治療前のAEDの用量に比べて低減されている、請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点性発作の治療におけるカンナビジオール(CBD)の使用に関する。一実施形態では、焦点性発作に罹患している患者は小児及び若年成人である。CBDは、他の発作タイプに比べて、レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症、ドラベ症候群、CDKL5、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、熱性感染症関連てんかん症候群(FIRES:febrile infection related epilepsy syndrome)、アイカルディ症候群及び脳異常を含む病因による患者の焦点性発作を低減するのに特に有効と思われる。
【0002】
重要なこととして、CBDは、さらに、焦点性発作のサブタイプである機能障害を伴う焦点性発作の低減に極めて有効である。機能障害を伴う焦点性発作に罹患した患者の病因としては、レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症、ドラベ症候群、CDKL5、熱性感染症関連てんかん症候群(FIRES)、アイカルディ症候群及び脳異常が挙げられる。
【0003】
これらの患者において、CBDによる治療によって、欠神発作又はミオクロニー欠神発作の発生回数が大きな割合の患者(それぞれ64%及び74%)で50%超低減した。これは、治療した患者全体では、発作の総数が50%超低減した患者の割合がより少なかった(46%)ことに照らすと驚くべき結果である。
【0004】
好ましくは、使用されるCBDは、CBDが全抽出物の98%(w/w)超で存在し、抽出物の残りの成分の特性が明らかにされているような、大麻の高度精製抽出物の形態である。特に、カンナビノイドであるテトラヒドロカンナビノール(THC)が0.15%(w/w)以下のレベルまで実質的に除去されており、かつCBDのプロピル類似体であるカンナビジバリン(CBDV)が1%以下の量でしか存在しない。或いは、CBDは合成したCBDであってもよい。
【0005】
使用に際して、CBDは、1種以上の抗てんかん薬(AED)と併用してもよい。或いは、CBDは、1種以上のAEDと別個、順次又は同時に投与されるように処方してもよいし、或いはそれらの組合せを単一の剤形として提供してもよい。別個、順次又は同時に投与するようにCBDが処方される場合、キットとして又は1種以上の成分を所定の様式で投与するための使用説明書と共に提供してもよい。また、単独の薬物療法として、すなわち単剤療法として使用することもできる。
【背景技術】
【0006】
てんかんは世界の人口の約1%の割合で発生し(Thurman et al., 2011)、その70%は利用可能な既存の抗てんかん薬(AED)で症状を適切に抑制することができる。しかし、この患者群の30%(Eadie et al., 2012)は利用可能なAEDを用いて発作消失(seizure freedom)を得ることができず、そうした状態は難治又は「治療抵抗性てんかん」(TRE)と呼ばれる。
【0007】
難治つまり治療抵抗性てんかんは、2009年に国際抗てんかん連盟(ILAE:International League Against Epilepsy)によって「忍容性があり適切に選択及び使用された2種類のAED治療スケジュール(単剤治療又は併用を問わない)を適切に試みたにもかかわらず、持続的な発作消失を達成することができなかったこと」と定義されている。
【0008】
生後数年間のうちにてんかんを発症した個体は治療がしばしば困難であり、治療抵抗性としばしば呼ばれる。小児期に頻繁に発作を起こす子供は、しばしば神経障害が残り、認知、行動及び運動の発達遅滞を引き起こすおそれがある。
【0009】
小児てんかんは小児及び若年成人に比較的一般的な神経障害であり、その罹患率は100,000人当たり約700人である。これは人口当たりの成人てんかん患者数の2倍である。
【0010】
子供及び若年成人が発作を呈する場合、通常はその原因を調べるための検査が行われる。小児てんかんは、多種多様な症候群及び遺伝的変異に起因する可能性があり、こうした小児に対する診断にはある程度の時間を要することがある。
【0011】
てんかんの主な症状は反復性の発作である。患者が罹患しているてんかんのタイプ又はてんかん症候群を判定するために、その患者が経験している発作型についての検査がなされる。臨床的観察及び脳波検査(EEG)が行われ、以下で説明し
図1に示すILEA分類に従って発作型が分類される。
【0012】
ILAEによって提案された発作型の国際分類は1981年に採用され、2010年にILAEから改訂案が発表されたが、1981年版の分類は依然として廃止されていない。
図1では、2010年版で修正された用語を採用しており、部分という用語を焦点に置き換える改訂案を含む。さらに、「単純部分発作」という用語は、「意識/反応障害のない焦点性発作」という用語で置き換えられ、「複雑部分発作」という用語は、「意識/反応障害のある焦点性発作」という用語で置き換えられている。
【0013】
図1にみられる通り、発作が両側に分布したネットワーク内で発生し、急速にネットワーク全域が巻き込まれる全般発作は、強直間代発作(大発作)、欠神発作(小発作)、間代発作、強直発作、脱力発作及びミオクロニー発作の6つのサブタイプに分類することができる。
【0014】
発作が片側の大脳半球のみに限定されたネットワーク内で発生する焦点(部分)発作も下位分類に分けられる。ここでは、発作は、前兆、運動、自律神経及び意識/反応を含む発作の1以上の特徴に従って特徴づけられる。発作が限局性発作として始まり、急速に進展して両側のネットワーク内に分布する場合、この発作は両側性けいれん性発作として知られる。この用語は二次性全般化発作(焦点性発作から進展して、限局した状態にない全般化発作)に代わる用語として提案されたものである。
【0015】
患者の意識/反応に変化が起こる焦点性発作は機能障害を伴う焦点性発作と呼ばれ、患者の意識又は反応が損なわれない焦点性発作は機能障害のない焦点性発作と呼ばれる。
【0016】
焦点性発作は、レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症、ドラベ症候群、CDKL5、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、熱性感染症関連てんかん症候群(FIRES)、アイカルディ症候群及び脳異常を含むてんかん症候群で起こる。
【0017】
てんかん症候群は数多くの異なるタイプの発作を伴うことが多く、標準的なAEDの多くは所定の発作タイプ/サブタイプの治療に向けられたものであるか所定の発作タイプ/サブタイプにしか有効でないので、患者が罹患している発作のタイプを同定することが重要である。
【0018】
小児てんかんの一つがドラベ症候群である。ドラベ症候群の発症は、それまでは健康で発育も正常であった乳児でほとんど生後1年の間に間代及び強直間代発作を伴って起こる(Dravet, 2011)。症状ピークは生後約5か月である。1歳から4歳の間に、長期焦点性認知障害発作及び短期欠神発作のような他の発作が起こる。
【0019】
ドラベ症候群の診断においては、焦点性発作及び全般発作が共に必須であると考えられており、ドラベ患者は、非定型欠神発作、ミオクロニー欠神発作、脱力発作及び非けいれん性てんかん重積をきたすこともある。
【0020】
発作は頻回であり、治療抵抗性へと進行し、このことは発作が治療に十分応答しないことを意味する。また、発作は長期化して5分間以上続くようになる傾向がある。長期化した発作はてんかん重積をきたすことがあり、これは30分間超続く発作又は次々に群発して起こる発作である。
【0021】
予後は不良であり、約14%の小児が、感染のため、又は明らかでない原因のため突然に、しばしば容赦ない神経学的憎悪のために、発作中に死亡する。患者は、知的障害及び一生続く発作を起こす。知的障害は、50%の患者における重度から、各々25%をなす中程度及び軽度知的障害までまちまちである。
【0022】
現在、ドラベ症候群に対して特定に指示されたFDA承認治療は存在しない。標準治療は、以下の抗けいれん薬:クロバザム、クロナゼパム、レベチラセタム、トピラマート及びバルプロ酸の組合せを含んでいるのが通常である。
【0023】
欧州では、クロバザム及びバルプロ酸と共にドラベ症候群の治療にスチリペントールが承認されている。米国では、2008年にドラベ症候群の治療のための希少疾病用医薬品の指定(Orphan Designation)を受けているが、本剤はFDAの承認を得ていない。
【0024】
てんかんの治療に用いられる強力なナトリウムチャネル遮断薬は、実際には、ドラベ症候群の患者の発作の頻度を増加させる。最も一般的なものは、フェニトイン、カルバマゼピン、レベチラセタム及びルフィナミドである。
【0025】
管理としては、ケトン食療法並びに物理的及び迷走神経刺激を挙げることもできる。抗けいれん薬に加えて、ドラベ症候群の患者の多くは、抗精神病薬、刺激薬及び不眠症治療薬による治療も受けている。
【0026】
焦点性発作の第一選択治療は、カルバマゼピン又はラモトリギンのようなAEDである。レベチラセタム、オクスカルバゼピン又はバルプロ酸ナトリウムも有用であると考えられる。焦点性発作の治療には、これらの薬剤の組合せが必要とされることもある。
【0027】
作用機序によって定義される一般的AEDを以下の表に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
これらの表から、様々な機序で作用する数多くのAEDが焦点
性(部分)発作の治療用に承認されていることが分かる。実際に、複雑部分発作(機能障害を伴う焦点性発作)の治療用に承認されている唯一のAEDはフェニトインである。
【0032】
過去40年間にわたり、発作を治療するため非精神活性カンナビノイドであるカンナビジオール(CBD)の使用について数多くの動物試験がなされてきた。例えばConsroe et al.,(1982)は、CBDが、けいれん誘発薬の投与又は電流の施用後のマウスで発作を抑制することができたと結論づけている。
【0033】
CBDによるてんかんの研究は過去40年間成人で行われてきた。Cunha他は、全般てんかんの8人の成人患者にCBDを投与すると、そのうちの4人で発作の顕著な低減がみられたと報告している(Cunha et al., 1980)。
【0034】
1978年の研究では、4人の成人患者に対する200mg/日の純CBDで、4人のうちの2人で発作が消失したが、残りの患者では発作頻度に変化がなかったと報告されている(Mechoulam and Carlini, 1978)。
【0035】
上述の研究とは対照的に、オープンラベル研究では、200mg/日の純CBDは、12人の成人入院患者における発作の抑制には効果がなかったと報告されている(Ames and Cridland, 1986)。
【0036】
てんかん患者におけるCBDの有効性について検討した年代順に最後の研究でCBDは発作を抑制することができないと立証していることに照らすと、CBDが抗けいれん薬として有用である可能性があるとは全く予想できない。
【0037】
過去40年間の研究で、30種類を超える薬剤がてんかんの治療に承認されているが、そのいずれもカンナビノイドではない。実際、カンナビノイドに対しては偏見があったように思えるが、これは、これらの化合物の予定される性状のため及び/又は公知の向精神薬であるTHCがけいれん誘発薬であるとされてきた(Consroe et al., 1977)ことによるためであろう。
【0038】
最近発表された報文では、カンナビジオールに富む大麻がてんかんの治療に有効である可能性があると示唆されている。Porter and Jacobson(2013)は、治療抵抗性てんかんの子供に対するCBDに富む大麻の使用について調査したFacebookグループを介して行った両親に対するアンケート調査について報告している。調査した19人の親のうち16人が子供のてんかんに改善があったと報告したことが分かった。この報文で調査した子供は全員、高濃度のCBDを含有していたとされる大麻を摂取していたが、その症例の多くで、CBDの存在量及びTHCを含む他の成分については不明であった。実際には、CBDレベルは0.5〜28.6mg/kg/日(試験した抽出物中)の範囲であったが、THCレベルは0.8mg/kg/日もの高さであったことが報告されている。
【0039】
治療抵抗性てんかん(TRE)の子供に、けいれん誘発薬とされている(Consroe et al., 1977)THCを含む大麻抽出物を、0.8mg/kg/日という向精神薬として作用するおそれのある用量で投与することには懸念があり、CBDが実際に有効であるか否かを決定する必要がある。
【0040】
2013年11月、GW Pharmaceuticals社は、CBDが希少疾病用医薬品の指定を受けたことにより、CBDでドラベ症候群を治療する予定である旨の報道発表を行った。さらに2014年には、ドラベ症候群を含めた治療抵抗性てんかんの小児における有効性の有望な兆候がある旨の追加の報道発表がなされている。
【0041】
国際特許出願WO2015/193667には、てんかんの治療におけるCBDの使用が記載されている。患者には、9人のドラベ症候群の患者とその他の27人が含まれていた。
【0042】
国際特許出願WO2015/193668には、欠神発作の治療におけるCBDの使用が記載されている。患者には、他の症候群の10名に加えてドラベ症候群の患者が含まれていた。
【0043】
Maa and Figi(2014)には、てんかんにおける医療用大麻の症例について記載されており、熱性及び無熱性てんかん重積の頻回発作並びに強直、強直間代及びミオクロニー発作(全般発作)を起こしていたドラベ症候群のCharlotteという少女の肯定的な治療に関して記載されている。この少女には、「Charlotte’s Web」と名付けられた大麻草からの抽出物が投与されたが、これについて、供給元であるCW Botanicals社によれば、この抽出物はテルペン類に富んでいて、それらの含有量は他の専売植物でみられる量の10〜200倍であると開示されている。換言すると、示唆されているのは、有効性はそれらの抽出物に存在するCBDとテルペン類との組合せに基づくということである。
【0044】
Press et al.(3 April 2015)には、経口大麻抽出物(OCE:oral cannabis extracts)を投与された難治てんかんの小児患者の親による報告に関する入念な総説がなされている。その入念さをもってしても、明確な有効性を実証する研究はないと結論付けられている。
【0045】
重要なことに、この報文は、抗てんかん薬の有効性は、CBD(表3)を包含する薬剤自体、てんかんの症候タイプ(表2)及び発作のタイプ(表2)に依存する可能性があると認識している。
【0046】
極めて重要なことは、この報文では、論評に当たっては、特にオープンラベル研究では、プラセボ発現率が高くなりかねないので注意を要すると認識されていることである。実際、「最近FDAで承認された4種類の抗けいれん薬は、それぞれ31.6%、26.4%、20%及び21%のプラセボ発現率を有していた。」と特記されている(第51頁左欄)。
【0047】
さらに、この解析では、「コロラドの新住民(治療を受けるために引っ越してきた者)は、コロラドで既成のケアを受けた家族に比べて、50%超の発作低減を報告する傾向が3倍超高かった。」との驚くべき所見がなされており、Porter and Jacobson(2013)に記載されているような研究には瑕疵がある可能性が高いことが示唆されている。
【0048】
そこで、Press et al.から当業者が推量することとして以下の点が挙げられる。CBDと「他のOCE」の存在(例えば他のカンナビノイド類、特にTHC、並びにテルペン類のような非カンナビノイド類)との薬剤型の方がCBD単独よりも興味深い組合せ(レスポンダー率63%対35%)と思われること。
【0049】
レスポンダー率89%のレノックス・ガストーてんかん症候群が、ドラベ症候群(レスポンダー率23%)及びドーゼ症候群(レスポンダー率0%)に比べて、最も有望な標的であると思われること。
【0050】
論評した7種類の発作タイプのうち、脱力発作に対するレスポンダー率44%から強直発作に対するレスポンダー率17%の範囲に、研究した発作タイプが亘ること。
【0051】
評価は、3つの別個のグループ、すなわち、OCEタイプ(表3)(4種類のOCEタイプ)、てんかん症候群(例えば、第50頁右欄3行)(3種類の症候群タイプ)及び発作タイプ(第51頁表2)(7種類の発作タイプ)で考察していること。
【0052】
以上を勘案すると、この報文の読者には、84種類の異なる代替的組合せに関する情報がもたらされる。
【0053】
多くの患者が既存の薬物療法に抵抗性であるてんかんの分野での医療大麻に関して検討している当業者が直面している問題は、所与の患者群における所与の発作タイプに対して適切なカンナビノイド及びその形態を選択することである。
【0054】
したがって、2014年3月に発表されたコクラン報告(Gloss and Vickrey)において、てんかんの治療におけるカンナビノイドの有効性に関してなされた総説で、「てんかんの治療としてのカンナビノイドの有効性に関して、現時点で信頼性のある結論を導き出すことはできない。」と結論づけられているのは驚くべきことではない。
【0055】
しかるに、今回、本願出願人は、ドラベ症候群の患者、特に小児、さらに具体的には既存の治療に対して抵抗性の患者における焦点性発作の治療にCBDが特に有効であるという予想外の知見を得た。
【発明の概要】
【0056】
本発明の第1の態様では、ドラベ症候群の焦点性発作の治療に使用するためのカンナビジオール(CBD)を提供する。
【0057】
一実施形態では、焦点性発作は機能障害を伴う焦点性発作である。
【0058】
好ましくは、ドラベ症候群は治療抵抗性である。
【0059】
更なる実施形態では、CBDは、1種以上の併用抗てんかん薬(AED)との組合せで使用するためのものである。
【0060】
更なる実施形態では、CBDは、98%(w/w)以上のCBDを含む大麻の高度精製抽出物として存在する。好ましくは、抽出物に含まれるTHCは0.15%未満である。さらに好ましくは、抽出物に含まれるCBDVは1%以下である。
【0061】
別の実施形態では、CBDは合成化合物として存在する。
【0062】
更なる実施形態では、1種以上のAEDは、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、クロニジン、クロラゼプ酸塩、デスメチルクロバザム、ジアゼパム、エトスクシミド、フェルバメート、ケトン食療法、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ロラゼパム、ミダゾラム、N−デスメチルクロバザム、ノルジアゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、ルフィナミド、スチリペントール、トピラマート、トラゾドン、迷走神経刺激、バルプロ酸、ビガバトリン及びゾニサミドからなる群から選択される。
【0063】
好ましくは、CBDと併用される抗てんかん薬の種類の数が低減される。或いは、CBDと併用される抗てんかん薬の用量が低減される。
【0064】
慣用AEDには数多くの副作用が付随しており、例として、めまい、かすみ目、吐き気、呼吸器系衰弱、疲労、頭痛、その他中枢神経系に対する運動副作用が挙げられる。このような副作用は、高い用量又は多数のAEDの組合せを用いるときに特によくみられる。そこで、安全な副作用プロファイルを呈しながら、発作の数を低減することのできる代替薬剤に対するニーズが存在する。
【0065】
好ましくは、CBDの用量は5mg/kg/日超である。すなわち、15kgの患者に対しては、1日当たりCBD75mg超の用量となる。5mg/kg/日を超える用量、例えば10mg/kg/日超、15mg/kg/日超、20mg/kg/日超及び25mg/kg/日超も有効であると考えられる。
【0066】
本発明の第2の態様では、カンナビジオール(CBD)を対象に投与することを含む、ドラベ症候群の焦点性発作の治療方法を提供する。
【0068】
本発明の第3の態様では、ドラベ症候群の焦点性発作によって特徴づけられるてんかんの治療に使用するための組成物であって、カンナビジオール(CBD)、溶媒、共溶媒、甘味料及び香味料を含む組成物を提供する。
【0069】
好ましくは、溶媒はごま油であり、共溶媒はエタノールであり、甘味料はスクラロースであり、香味料はイチゴフレーバーであり、CBDは25mg/ml〜100mg/mlの範囲内の濃度、例えば50mg/ml〜75mg/mlの範囲で存在する。
【0070】
さらに好ましくは、組成物は、25〜100mg/mlの濃度のカンナビジオール(CBD)、79mg/mlの濃度のエタノール、0.5mg/mlの濃度のスクラロース、0.2mg/mlの濃度のイチゴフレーバー、及び1.0mlとするための残部のごま油を含む。
【0071】
本組成物は、経口液剤として投与することも想定される。固体、半固体、ゲル、スプレイ、エアロゾル、吸入剤、気化剤、浣腸及び座薬を含む他の投与モードも、代替的な投与形態である。かかる医薬は経口、頬側、舌下、呼吸、経鼻及び遠位直腸経路で投与することができる。
【0072】
定義
本発明の説明に用いる幾つかの用語の定義について、以下で詳しく述べる。
【0073】
本願で説明するカンナビノイドを、その一般的略語と共に以下に列挙する。
【0075】
上記の表は網羅的なものではなく、本願で同定されたカンナビノイド類の詳細を参考のため示したものにすぎない。従前60種類超のカンナビノイド類が同定されており、これらのカンナビノイド類は異なるグループ、すなわち植物性カンナビノイド(Phytocannabinoids)、内在性カンナビノイド(Endocannabinoids)及び合成カンナビノイド(Synthetic cannabinoids:新規カンナビノイドである、又は合成された植物性カンナビノイド又は内在性カンナビノイドであってもよい)に分類することができる。
【0076】
「植物性カンナビノイド」は天然由来のカンナビノイドであり、大麻草に見出される。植物性カンナビノイドは、植物から単離して高度精製抽出物とすることができるし、或いは合成によって複製することができる。
【0077】
「高度精製カンナビノイド抽出物」とは、大麻草から抽出され、カンナビノイドと共抽出される他のカンナビノイド及び非カンナビノイド成分が実質的に除去されて、高度精製カンナビノイドの純度が98%(w/w)以上となる程度まで精製されたカンナビノイドとして定義される。
【0078】
「合成カンナビノイド」は、カンナビノイド又はカンナビノイド様構造を有する化合物であって、植物由来ではなく化学的手段を用いて製造される化合物である。
【0079】
植物性カンナビノイドは、カンナビノイドの抽出に用いる方法に応じて中性(脱炭酸形)又はカルボン酸形のいずれかとして得ることができる。例えば、カルボン酸形を加熱すると、カルボン酸形の大部分が脱炭酸されて中性形になることが知られている。
【0080】
「治療抵抗性てんかん」(TRE)又は「難治てんかん」とは、2009年のILAEガイダンスに従って、1種以上のAEDの試用によっては適切に抑制されないてんかんと定義される。
【0081】
「小児てんかん」とは、小児期にてんかんを起こすおそれのある多種多様な症候群及び遺伝的変異をいう。これらの具体例を幾つか挙げると、結節性硬化症、ドラベ症候群、ミオクロニー欠神てんかん、レノックス・ガストー症候群、病因不明の全般発作、CDKL5変異、アイカルディ症候群、両側性多小脳回、Dup15q、SNAP25、熱性感染症関連てんかん症候群(FIRES)、良性ローランドてんかん、若年性ミオクロニーてんかん、点頭てんかん(ウェスト症候群)及びランドウ・クレフナー症候群がある。数多くの様々な小児てんかんが存在しており、上記の例は網羅的なものではない。
【0082】
「焦点性発作」とは、片側大脳半球のみに限定されたネットワーク内で起こる発作と定義される。発作中に何が起こるかは、脳のどこで発作が起こるか、脳のその部分が通常何を行っているかによって左右される。
【0083】
「認識/意識が損なわれる焦点性発作」という用語が「複雑部分発作」という用語の代わりに用いられている。これらの発作は、通常、脳の側頭葉又は前頭葉の小さな領域で始まり、注意力及び意識に影響を与える同じ大脳半球内の脳の他の領域を巻き込む。大きな割合の患者は、意識障害を伴う焦点性発作中に自動症を経験する。
【0084】
「混合発作」とは、同じ患者で全般発作及び焦点性発作が共に存在していることと定義される。
【0085】
「50%レスポンダー」又は「発作の50%低減」という用語はいずれも臨床試験で用いられる用語である。本願では、これらの用語は、CBD投与前のベースライン期間中に起きた発作の回数に比して、CBDでの治療中に発作の回数が50%以上低減した患者のパーセントと定義される。
【発明を実施するための形態】
【0087】
高度精製CBD抽出物の調製
下記の実施例に記載の拡大アクセス試験で使用した一定の既知の組成を有する高度精製(>98%w/w)カンナビジオール抽出物の製造について以下で説明する。
【0088】
要約すると、試験で用いた原薬は、高CBD含有ケモタイプの大麻草(Cannabis sativa L.)の液体二酸化炭素抽出物であり、CBDを得るため溶媒結晶化法でさらに精製したものである。結晶化プロセスでは、他のカンナビノイド及び植物成分が特異的に除去されて98%超のCBDが得られる。
【0089】
大麻草を生育、収穫、加工して植物抽出液(中間体)を製造し、次いで結晶化によって精製してCBD(原薬)を得る。
【0090】
植物出発原料は植物原料(BRM:Botanical Raw Material)と呼ばれ、植物抽出物は中間体であり、医薬品有効成分(API)は原薬のCBDである。
【0091】
植物出発原料及び植物抽出物はいずれも規格によって管理される。原薬の規格を以下の表5に示す。
【0093】
得られるCBD原薬の純度は98%超である。抽出物に混入するおそれのある他のカンナビノイドは、CBDA、CBDV、CBD−C4及びTHCである。
【0094】
特定の化学成分つまりカンナビノイドの産生量を最大限にするために、異なるケモタイプの大麻草(Cannabis sativa L.)を生産した。あるタイプの植物は主にCBDを産生する。天然に産生されるのは(−)トランス異性体のみである。さらに、精製時にCBDの立体化学は影響されない。
【0095】
中間体の製造
植物抽出物である中間体を生産するためのステップの概要は以下の通りである。
1.生育
2.脱炭酸
3.第1回抽出−液体CO
2を使用
4.第2回抽出−エタノールを用いた「脱ろう」
5.濾過
6.蒸発。
【0096】
高CBD化学変種を生育、収穫、乾燥して、必要になるまで乾燥室内で保存した。植物原料(BRM)を、1mm篩が装着されたApexミルを用いて細かく刻んだ。粉砕したBRMは、抽出前に冷凍庫で最長3か月間保管した。
【0097】
CBDAからCBDへの脱炭酸は、大型Heraeusトレイオーブンを用いて実施した。Heraeusでの脱炭酸バッチサイズは約15kgである。トレイをオーブンに配置して105℃に加熱したが、BRMは105℃に達するのに96.25分間を要した。105℃に15分間保持した。オーブンを次いで150℃に設定したが、BRMが150℃に達するのに75.7分を要し、BRMを150℃で130分間保持した。オーブン内での合計時間は、45分間の冷却及び15分間の排気を含めて380分間であった。
【0098】
第1回抽出は液体CO
2を用いて60バール/10℃で行って、植物性原薬(BDS)を生じさせた。
【0099】
粗CBDであるBDSを、第2回抽出で標準条件下(−20℃の2倍量のエタノールで約50時間)で脱ろうした。析出したワックスを濾過により除去し、溶媒をロータリーエバポレータ(60℃以下の水浴)を用いて蒸発させてBDSを得て、次いでこれを結晶化して試験材料を得た。
【0100】
原薬の製造
中間体植物抽出物から原薬を製造するための製造ステップは以下の通りである。
1.C
5〜C
12直鎖又は枝分れアルカンを用いた結晶化
2.濾過
3.任意工程としてC
5〜C
12直鎖又は枝分れアルカンからの再結晶化
4.真空乾燥。
【0101】
上記の方法を用いて生産した中間体植物抽出物(12kg)を、30リットルのステンレス鋼容器内のC
5〜C
12直鎖又は枝分れアルカン(9000ml、0.75vol)中に分散させた。
【0102】
混合物を手作業で撹拌して塊をほぐし、次いでこの密閉した容器を約48時間冷凍庫内に置いた。
【0103】
結晶を真空濾過によって単離し、冷C
5〜C
12直鎖又は枝分れアルカンのアリコート(計12000ml)で洗浄し、60℃の温度で<10mbの真空下で乾燥させてから、原薬を分析に付した。
【0104】
乾燥生成物を、FDA食品グレードの認可されたシリコーンシール及びクランプを備える医薬品グレードのステンレス鋼容器内で−20℃の冷凍庫に保管した。
【0105】
医薬品の製造
医薬品は、経口液剤として提示される。提示する経口液剤は、25mg/ml又は100mg/mlのCBDを、補剤のごま油、エタノール、スクラロース及び香味料と共に含有する。2種類の製品濃度は、広範な用量範囲で用量漸増できるように利用し得る。
【0106】
25mg/ml液剤は低用量に適しており、100mg/ml液剤は高用量に適している。
【0107】
本医薬品の処方は以下の表6に示す通りである。
【0109】
原薬のCBDは水に不溶性である。原薬を溶解するための補剤としてごま油を選択した。
【0110】
甘味料及びフルーツフレーバーは、ごま油溶液の嗜好性を改善するのに必要とされる。
【0111】
エタノールは、甘味料及び香味料を溶解するのに必要とされる。
【0112】
組成は実質的に均等であってもよく、ここでいう実質的均等とは、各機能性成分の量が表6に規定する量的組成と最大10%異なっていてもよいことを意味する。
【0113】
以下の実施例1は、カンナビジオール(CBD)を含む高度精製大麻抽出物の使用について説明する。カンナビジオールは、選択した化学変種において最も豊富な非精神活性カンナビノイドである。動物における以前の研究は、CBDが複数の種及びモデルにおいて抗けいれん作用を有することを実証している。
【0114】
実施例1は、TREの小児の拡大アクセス治療計画で得られたデータである。
【実施例】
【0115】
実施例1:難治てんかんの小児及び若年成人におけるカンナビジオールによる焦点性発作の低減効果
材料及び方法
幼児期に発症した重度の治療抵抗性てんかん(TRE)に罹患した137名の小児及び若年成人のうち、51名は焦点性発作で特徴づけられるてんかんに罹患していた。これらの患者に対して、大麻草から得られたカンナビジオール(CBD)の高度精製抽出物で治験を行った。患者は全員、焦点性発作を呈し、しばしば全般発作を伴っていた。この研究の参加者は、CBDに関する拡大アクセスコンパッショネート使用プログラム(expanded access compassionate use program for CBD)の一部であった。
【0116】
これらの患者が患っていたてんかん症候群は以下の通りであった。レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症、ドラベ症候群、CDKL5、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、熱性感染症関連てんかん症候群(FIRES)、アイカルディ症候群及び脳異常。
【0117】
これらの患者が経験した他の発作タイプとして、強直、間代、強直間代、ミオクロニー、脱力、欠神、ミオクロニー、ミオクロニー欠神、機能障害を伴わない焦点性発作、機能障害を伴う焦点性発作、及び両側性けいれん性発作へと進展する焦点性発作が挙げられる。
【0118】
患者全員について4週間のベースライン期間に入る際に、親/介護者に将来の発作日誌を渡し、計測可能なすべての発作タイプを記録するようにした。
【0119】
次いで患者に、ベースライン抗てんかん薬(AED)治療計画に加えて、一定の既知の組成のごま油中の高度精製CBD抽出物(98%(w/w)超のCBD)を5mg/kg/日の用量で与えた。
【0120】
1日当たりの用量を、不耐性が発生するまで或いは25mg/kg/日の最大用量に達するまで、2〜5mg/kgの増分で漸増させた。
【0121】
患者を2〜4週間の定期的間隔で診察した。血液学的機能、肝機能、腎機能及び併用AEDレベルに関する臨床検査をベースラインで行うとともに、CBD治療の4週経過毎に行った。
【0122】
この研究の患者は全員1種以上の併用AEDを受けていた。それには、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、クロニジン、クロラゼプ酸塩、デスメチルクロバザム、ジアゼパム、エトスクシミド、フェルバメート、ケトン食療法、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ロラゼパム、ミダゾラム、N−デスメチルクロバザム、ノルジアゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、ルフィナミド、スチリペントール、トピラマート、トラゾドン、迷走神経刺激、バルプロ酸、ビガバトリン及びゾニサミドが含まれる。
【0123】
結果
全員が焦点性発作に罹患していた51名の小児及び若年成人患者に、CBDによる治療を施したが、その治療期間は少なくとも12週間であった。
【0124】
12週間の治療に基づく50%レスポンダーの結果を以下の表7にまとめる。
【0125】
【表7】
【0126】
表7は、3か月の治療後に、63%もの患者で焦点性発作が50%超低減したことを示しており、これらのデータは、CBDがこのタイプの発作の低減に極めて有効であることを示している。
【0127】
結論
これらのデータは、CBDが、既存のAEDに応答しない患者の高い割合で発作の回数を大幅に低減することを示している。
【0128】
こうした治療抵抗性の患者のグループにおいて、このような高い数値で効果を得ることができたことは驚くべきことであった。患者のほぼ3分の2(63%)で、焦点性発作の回数の50%以上の低減効果がみられたことは注目に値する。
【0129】
実施例2:難治てんかんの小児及び若年成人におけるカンナビジオールによる機能障害を伴う焦点性発作の低減効果
材料及び方法
幼児期に発症した重度の治療抵抗性てんかん(TRE)に罹患した137名の小児及び若年成人のうち、37名は機能障害を伴う焦点性発作で特徴づけられるてんかんに罹患していた。これらの患者に対して、大麻草から得られたカンナビジオール(CBD)の高度精製抽出物で治験を行った。患者は全員、機能障害を伴う焦点性発作を呈し、しばしば他の全般及び/又は焦点性発作を伴っていた。この研究の参加者は、CBDに関する拡大アクセスコンパッショネート使用プログラムの一部であった。
【0130】
これらの患者が患っていたてんかん症候群は以下の通りであった。レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症、ドラベ症候群、CDKL5、熱性感染症関連てんかん症候群(FIRES)、アイカルディ症候群及び脳異常。
【0131】
患者全員について4週間のベースライン期間に入る際に、親/介護者に将来の発作日誌を渡し、計測可能なすべての発作タイプを記録するようにした。
【0132】
次いで患者に、ベースライン抗てんかん薬(AED)治療計画に加えて、一定の既知の組成のごま油中の高度精製CBD抽出物(98%(w/w)超のCBD)を5mg/kg/日の用量で与えた。
【0133】
1日当たりの用量を、不耐性が発生するまで或いは25mg/kg/日の最大用量に達するまで、2〜5mg/kgの増分で漸増させた。
【0134】
患者は2〜4週間の定期的間隔で診察した。血液学的機能、肝機能、腎機能及び併用AEDレベルに関する臨床検査をベースラインで行うとともに、CBD治療の4週経過毎に行った。
【0135】
この研究の患者は全員1種以上の併用AEDを受けていた。それには、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸塩、デスメチルクロバザム、ジアゼパム、エトスクシミド、フェルバメート、ケトン食療法、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ロラゼパム、ミダゾラム、N−デスメチルクロバザム、ノルジアゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、ルフィナミド、トピラマート、迷走神経刺激、バルプロ酸、ビガバトリン及びゾニサミドが含まれる。
【0136】
結果
機能障害を伴う焦点性発作に全員が罹患していた37名の小児及び若年成人患者に、CBDによる治療を施したが、その治療期間は少なくとも12週間であった。
【0137】
12週間の治療に基づく50%レスポンダーの結果を以下の表8にまとめる。
【0138】
【表8】
【0139】
表8は、3か月の治療後に、65%もの患者で機能障害を伴う焦点性発作が50%以上低減したことを示しており、これらのデータは、CBDがこのタイプの発作の低減に極めて有効であることを示している。
【0140】
さらに、これらのデータを、焦点性発作の他のサブタイプ(すなわち、機能障害を伴わない焦点性発作及び二次全般化発作へと進展する焦点性発作)と対比すると、CBDが機能障害を伴う焦点性発作の発生回数を選択的に低減できることが分かる。表9にこれらの知見を示す。
【0141】
【表9】
【0142】
結論
これらのデータは、CBDが、機能障害を伴う焦点性発作の回数を選択的に大幅に低減することを示している。
【0143】
こうした治療抵抗性の患者のグループにおいて、このような高い数値で効果を得ることができたことは驚くべきことであった。患者の3分の2(65%)で、機能障害を伴う焦点性発作の回数の50%以上の低減効果がみられたことは注目に値する。
【0144】
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