特許第6983078号(P6983078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983078
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】壁掛け棚
(51)【国際特許分類】
   A47B 43/02 20060101AFI20211206BHJP
   B65D 5/52 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   A47B43/02
   B65D5/52 E
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-5457(P2018-5457)
(22)【出願日】2018年1月17日
(65)【公開番号】特開2019-122594(P2019-122594A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2020年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 公三
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−309573(JP,A)
【文献】 特開2001−95659(JP,A)
【文献】 特開昭61−149108(JP,A)
【文献】 実開昭61−35129(JP,U)
【文献】 実開昭62−159422(JP,U)
【文献】 米国特許第2401908(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 43/02
B65D 5/00− 5/76
A47B 85/00−85/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1棚部と、
前記第1棚部の下方に位置する第2棚部と、
前記第1棚部と前記第2棚部とを連結する後板と、
を備える壁掛け棚であって、
前記後板には、前記第1棚部と前記第2棚部との間に位置させて折り曲げ可能な折曲可能部が設けられ、
前記第2棚部は第2底部を備え、
前記第2底部の前後方向の長さは、前記後板の下端から前記折曲可能部までの高さよりも短く設定されており、
前記後板を前記折曲可能部で折り曲げた自立状態と、前記後板を前記折曲可能部で折り曲げていない壁掛け状態とを選択して使用できることを特徴とする壁掛け棚。
【請求項2】
請求項1に記載の壁掛け棚であって、
前記後板の前記折曲可能部よりも第2棚部側には、前記壁掛け状態において前方へ延びる突片が設けられ、
前記後板の前記折曲可能部よりも第1棚部側には、前方へ延び途中で折り返される折返し片が設けられ、
前記自立状態において、前記突片は、折り返された前記折返し片に挟まれて係止されることを特徴とする壁掛け棚。
【請求項3】
請求項2に記載の壁掛け棚であって、
前記折返し片と前記後板との連設部分には、前記折返し片の先端が差し込まれる差込孔が設けられていることを特徴とする壁掛け棚。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の壁掛け棚であって、
前記後板には、前記折曲可能部を横切るように延びる切込部によって切り起こし可能な切起し部が設けられていることを特徴とする壁掛け棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば原紙から打ち抜かれた一枚の板紙を折り曲げて組み立てられるような、壁掛け棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原紙から打ち抜かれた一枚の板紙を折り曲げて組み立てられる壁掛け棚が知られている(例えば、特許文献1参照)。この壁掛け棚は、第1棚部と、第1棚部の下方に位置する第2棚部と、第1棚部と第2棚部とを接続する後板とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−122772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の壁掛け棚は、専ら壁に掛けるために用いられるため、自立性が低く机などの上で立った状態を維持することが困難であり、壁に掛けられるスペースを確保できないような場合に、机の上に置いても倒れてしまう虞があった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、机の上などに置いたときにも安定して起立することができる壁掛け棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]上記目的を達成するため、本発明は、
第1棚部(例えば、実施形態の第1棚部2。以下同一。)と、
前記第1棚部の下方に位置する第2棚部(例えば、実施形態の第2棚部3。以下同一。)と、
前記第1棚部と前記第2棚部とを連結する後板(例えば、実施形態の後板4。以下同一。)と、
を備える壁掛け棚(例えば、実施形態の壁掛け棚1。以下同一。)であって、
前記後板には、前記第1棚部と前記第2棚部との間に位置させて折り曲げ可能な折曲可能部(例えば、実施形態の折目線4a。以下同一。)が設けられ、
前記第2棚部は第2底部(例えば、実施形態の第2底板8。以下同一。)を備え、
前記第2底部の前後方向の長さ(例えば、実施形態の長さX。以下同一。)は、前記後板の下端から前記折曲可能部までの高さ(例えば、実施形態の高さY。以下同一。)よりも短く設定されており、
前記後板を前記折曲可能部で折り曲げた自立状態と、前記後板を前記折曲可能部で折り曲げていない壁掛け状態とを選択して使用できることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、壁掛け状態で壁に掛けることもできるし、机の上などに置くときには、折曲可能部で後板をL字状に折り曲げて自立状態とすれば、折曲可能部よりも下方の後板が接地することができるため、安定して起立した状態を維持させることができる。
【0008】
[2]また、本発明においては、
前記後板の前記折曲可能部よりも第2棚部側には、前記壁掛け状態において前方へ延びる突片(例えば、実施形態の突片11。以下同一。)が設けられ、
前記後板の前記折曲可能部よりも第1棚部側には、前方へ延び途中で折り返される折返し片(例えば、実施形態の折返し片12。以下同一。)が設けられ、
前記自立状態において、前記突片は、折り返された前記折返し片に挟まれて係止されることが好ましい。
【0009】
かかる構成によれば、突片が折返し片に挟まれて係止されるため、意図せずに自立状態から壁掛け状態に切り替わることを防止することができる。
【0010】
[3]また、本発明においては、前記折返し片と前記後板との連設部分には、前記折返し片の先端が差し込まれる差込孔(例えば、実施形態の差込孔13。以下同一。)が設けられていることが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、折返し片の先端が差込孔に差し込まれているため、自立状態において、突片を挟んで係止した状態をしっかりと維持することができる。
【0012】
[4]また、本発明においては、前記後板には、前記折曲可能部を横切るように延びる切込部(例えば、実施形態の切込線14。以下同一。)によって切り起こし可能な切起し部(例えば、実施形態の切起し部15。以下同一。)が設けられていることが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、壁掛け状態において、切起し部を起立させることにより後板が折曲可能部で折り曲げられなくなり、意図せずに後板が折曲可能部で折れ曲がるような外力が加わっても、壁掛け棚が壁掛け状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の壁掛け棚の実施形態を示す説明図。
図2】本実施形態の壁掛け棚の自立状態を示す説明図。
図3】本実施形態の壁掛け棚を展開して示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図を参照して、本発明の壁掛け棚の実施形態を説明する。図1に示すように、本実施形態の壁掛け棚1は、原紙から打ち抜かれた一枚の板紙を折り曲げて組み立てられるものであり、第1棚部2と、第1棚部2の下方に位置する第2棚部3と、第1棚部2と第2棚部3とを接続する後板4とを備える。一枚の板紙の一方の面は印刷面であり、第1棚部2、第2棚部3に載置される商品の名称などが印刷されている。
【0016】
後板4には、第1棚部2と第2棚部3との間に位置させて折り曲げ可能な折曲可能部としての折目線4aが設けられている。また、後板4の上端には、壁掛け用の貫通孔4bが左右に間隔を存して2つ設けられている。
【0017】
第1棚部2は、後板4に対して起立した状態となるように配置された第1底板5と、第1底板5の前端縁から上方に向かって起立し且つ後板4と平行となるように配置される第1前板6と、第1前板6の側縁と後板4の側縁とを夫々接続する左右一対の第1側板7と、を備える。第1側板7の上端縁は、前方から後方に向かうに従って次第に上方に高くなるように傾斜した傾斜縁となっている。
【0018】
第2棚部3は、後板4に対して起立した状態となるように配置された第2底板8(本発明の第2底部に該当)と、第2底板8の前端縁から上方に向かって起立し且つ後板4と平行となるように配置される第2前板9と、第2前板9の側縁と後板4の側縁とを接続する左右一対の第2側板10とを備える。
【0019】
第2底板8の前後方向の長さXは、後板4の下端から折目線4aまでの高さYよりも短くなるように設定されている。これにより、壁掛け棚1を壁に引っ掛けたときに壁からの突出を抑えることができ、壁掛け棚1が邪魔となり難い。
【0020】
後板4には、折目線4aよりも第2棚部3側に位置させて、前方へ延びる突片11が設けられている。本実施形態では、突片11は、第2側板10に接続された折り曲げ部分のない一枚の板として構成されている。また、後板4には、折目線4aよりも第1棚部2側に位置させて、前方へ延びて途中で折り返される折返し片12が設けられている。なお、図1では、折返し片12の折り返す前の状態を二点鎖線で示している。
【0021】
本実施形態では、折返し片12の折り返される部分を除く基端部12aは、第1側板7に接続された折り曲げ部分のない一枚の板として構成されており、折返し片12の基端部12aの下端は、折目線4aの延長線上に達する位置まで延びている。
【0022】
折返し片12と後板4との連結部分には、折返し片12の折り返された先端が差し込まれる差込孔13が設けられている。
【0023】
また、後板4には、折目線4aを横切るように延びるU字状の切込線14が左右に間隔を存して一対設けられている。この切込線14によって切込線14の内側に画成される切起し部15を後板4から後ろ側へ起立させることにより、後板4が折目線4aで意図せずに折れ曲がることを防止することができる。なお、切込線14は、U字状に限らず、他の形状、例えば、C字状、V字状、コ字状、であってもよい。
【0024】
図2は、後板4を折目線4aに沿って折り曲げ、断面L字状としたときの壁掛け棚1を示している。壁掛け棚1が図1の状態のときを、貫通孔4bを利用して壁に掛けられる状態であり、後板4を折目線4aで折り曲げていない壁掛け状態という。また、壁掛け棚1が図2の状態のときを、机の上などに安定して起立を維持させたまま置くことができ、後板4を折目線4aで折り曲げられた自立状態という。
【0025】
壁掛け棚1を図1の壁掛け状態から図2の自立状態に切り換えるには、まず、切起し部15を後板4と面一になるように寝かせて後板4が折目線4aで折り曲げられる状態とする。そして、折返し片12の先端を差込孔13から抜き去り、折返し片12の折り返された部分を前方へ延ばす。
【0026】
次に、後板4を折目線4aに沿って断面L字状になるように直角に前方へ折り曲げる。このとき突片11は、折返し片12の折り返されることのない基端部12aの内側に重ね合わされる。そして、折返し片12の先端部を折り返して突片11を挟み込むと共に、折返し片12の先端を差込孔13に差し込んで、突片11を折返し片12で係止させる。折返し片12の先端は差込孔13に差し込まれているため、折返し片12は、突片11を挟んでしっかりと係止することができる。
【0027】
図2に示す自立状態においては、後板4の下端から折目線4aまでの高さYが第2底板8の前後方向の長さXよりも長いため、壁掛け棚1が安定して起立した状態を維持することができる。
【0028】
なお、図2の自立状態では、第1前板6と横に寝かされた状態の第2前板9との間に間隔を存するように構成されており、第1前板6と第2前板9との間のスペースに第2棚部3の載置されていた商品等を置くことができるようにされている。
【0029】
図3は、本実施形態の壁掛け棚1を展開して示す説明図である。図3から明らかなように、本実施形態の壁掛け棚1は、原紙から打ち抜かれた1枚の板紙を折り曲げて組み立てられる。図3では、一点鎖線で示す折目線が山折り線であり、二点鎖線で示す折目線が谷折り線であることを示している。また、各折目線には、必要に応じて切れ目部を適宜織り交ぜて設けて、厚い紙を用いた場合でも容易に折り曲げられるようにしてもよい。このとき、外側から視認できる部分には、切れ目部を入れない方が外観上好ましい。
【0030】
図3に示すように、一方の第1側板7には、折目線を介して折り曲げられて後板4の一方の端部に接着される接着片7aが設けられている。この第1側板7と接着片7aとの間の折目線に一方の差込孔13が設けられている。このように、本件においては、後板4に接着される接着片7aと第1側板7との間も、本発明における「折返し片と後板との連結部分」と定義する。
【0031】
一方の第2側板10には、折目線を介して折り曲げられて後板4の一方の端部に接着される接着片10aが設けられている。
【0032】
第1底板5は、第1前板6の上端縁に折目線を介して接続された前板補強板6aを第1前板6の裏側に沿って折返し、この前板補強板6aの下端(図3の展開図では上端)に折目線を介して接続されている。
【0033】
図3において第1底板5の上端には、差込片5aが折目線を介して連設されている。この第1底板5に連設された差込片5aは、第1底板5に対して下方に直角に折り曲げて、後板4に設けられた切込線4cに差し込まれる。差込片5aが切込線4cに差し込まれることにより第1底板5が支えられる。切込線4cは、切起し部15よりも上方に位置している。また、第1底板5の左右には、上方へ折り返されるフラップ5bが設けられている。
【0034】
第2底板8は、第2前板9の下端に折目線を介して連設されている。図3の展開状態において、第2底板8の下端には、左右方向に間隔を存して一対の差込片8aが設けられている。
【0035】
図3の展開状態において、後板4及び左右一対の第2側板10の各下端には折目線を介して内フラップ10b、16aが連設されている。後板4と後板4の下端に連設された内フラップ16aとの間の折目線上には、第2底板8に連設された一対の差込片8aが夫々差込み可能な左右一対の切込線16bが設けられている。また、第2底板8と差込片8aとの間の折目線の中央には、切込線8bが夫々設けられ、後板4と後板4に連設する内フラップ16aとには両者に跨るように切り起こされて第2底板8と差込片8aとの間に設けられた切込線8bに差し込まれる差込片16cが設けられている。なお、内フラップ10b、16aは第2底板8に接着してもよい。
【0036】
本実施形態の壁掛け棚1によれば、壁掛け状態で壁に掛けることもできるし、机の上などに置くときには、折曲可能部としての折目線4aで後板4をL字状に折り曲げて自立状態とすれば、折目線4aよりも下方の後板4の部分が接地することができるため、壁掛け状態と比較して、安定して起立した状態を維持させることができる。
【0037】
また、本実施形態の壁掛け棚1によれば、突片11が折返し片12に挟まれて係止されるため、意図せずに自立状態から壁掛け状態に切り替わることを防止することができる。
【0038】
また、本実施形態の壁掛け棚1によれば、第1棚部2は、左右一対の第1側板7を備え、第2棚部3は、左右一対の第2側板10を備え、折返し片12は第1側板7に連設され、突片11は第2側板10に連設されている。
【0039】
かかる構成によれば、壁掛け棚1の組立工程において、第1側板7と第2側板10とを後板4に対して起立するように折り曲げたときに突片11及び折返し片12も一緒に後板4に対して起立するため、壁掛け棚1の組立て工程の簡略化を図ることができる。
【0040】
また、本実施形態の壁掛け棚1においては、後板4には、折曲可能部としての折目線4aを横切るように延びるU字状の切込線14(本発明の切込部に該当する)によって切り起こし可能な切起し部15が設けられている。
【0041】
かかる構成によれば、壁掛け棚1の壁掛け状態において、切起し部15を後板4に対して起立させることにより後板4が折曲可能部としての折目線4aで折り曲げられなくなり、意図せずに後板4が折目線4aで折れ曲がるような外力が加わっても、壁掛け棚1が壁掛け状態を維持することができる。
【0042】
なお、本発明の壁掛け棚は、実施形態の壁掛け棚1の構成に限定されず、第1棚部2、第2棚部3、後板4、折目線4aとして説明した折曲可能部を備えていればよい。また好ましくは突片11、折返し片12を備えることにより、自立状態を安定して維持することが可能となる。
【0043】
例えば、本実施形態では、第1側板7と折返し片12の折り返されない基端部12aとが折り曲げられることのない1枚の板として構成されたものを説明した。しかしながら、本発明の折返し片12の形状はこれに限らず、例えば、折返し片12の折り返されない基端部12aが第1側板7から分離されていてもよい。この場合、例えば、第1前板6の下端縁の延長線上に切り込み線を入れて第1側板7と折返し片12とを完全に分離させてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 壁掛け棚
2 第1棚部
3 第2棚部
4 後板
4a 折目線(折曲可能部)
4b 貫通孔
4c 切込線
5 第1底板
5a 差込片
5b フラップ
6 第1前板
6a 前板補強板
7 第1側板
7a 接着片
8 第2底板(第2底部)
8a 差込片
8b 切込線
9 第2前板
10 第2側板
10a 接着片
10b 内フラップ
11 突片
12 折返し片
12a 基端部
13 差込孔
14 切込線(切込部)
15 切起し部
16a 内フラップ
16b 切込線
16c 差込片
図1
図2
図3